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第47号お奨め国内盤新譜(1)



AEON

MAECD0751
(国内盤)
\2940
ルイ・クープランと、その時代
〜ルイ・クープラン、シャンボニエール、フローベルガー〜
 ルイ・クープラン(1626 頃〜61)
  1. ニ短調とニ長調の組曲 2. 組曲ヘ長調
  3. ハ長調の三つの小品
  (クラント/サラバンド/パサカーユ)
  4. ト長調とト短調の二つの小品
  (プレリュード/シャコンヌ)
 ヨハン・ヤーコプ・フローベルガー(1616〜67)
  5. カンツォン(1649) 6.神聖ローマ皇帝
 フェルディナント4世の崩御を悼む哀歌
  7. サラバンドハ長調
 ジャック・シャンピオン・ド・シャンボニエール(1601〜72)
  8. シャコンヌ
ヨヴァンカ・マルヴィル
(クラヴサン/ルイ・ドゥニ1658 年製作オリジナル)
仏Diapason 誌5点満点受賞 フランス製の現存例では、どうやら現存最古!古雅なる 1658 年製クラヴサンで堅固に、たおやかに、雅びな響きが紡ぎ出される——オリジナルの楽器、同時代の2巨頭との比較で浮かび上がる、大クープランの伯父ルイの芸術性ここに!フランスのAeon は現代音楽の最前線にも強い一方、古楽アイテムも充実しており、たまに出てくれば全て当たり!といっても過言ではないほど——先日ようやく発売あいなったオケゲムの「いかなる旋法にもなるミサ」(MAECD0753)同様、この1枚も本場フランスできわめて高く評価されましたが、フランスの雑誌は古楽も含め、自国の音楽を録音したCD には概して点が辛いところ、その権化たるDiapason が5点満点をつけているのは、ダテじゃありません。フランス語圏スイスを拠点に活躍するヨヴァンカ・マルヴィルなる手練のクラヴサン(チェンバロ)奏者、このレーベルで近年続々と新譜を録音制作中ですが、筋の通った確たる音楽性は実に好感の持てる味わい深さ。プログラムの主人公は、シャンボニエール、フローベルガーとともに17 世紀中葉のフランス・クラヴサン音楽創生期を支えた巨匠、ルイ・クープラン!甥の大クープランに押されてか、それとも演奏の困難さゆえか、名声に比して録音の少ないこの巨匠の大きな組曲ふたつを骨子に、折々にシャンボニエールとフローベルガーの小品を織り交ぜて続けられるプログラム。「ルイ・クープランは誰だったのか」が、同時代人の作例との比較で際立つ好企画なのです。彼の得意芸である、小節線を書き込まず、演奏者が自由にリズムをとってゆくという「小節線のないプレリュード」もさることながら、シャコンヌやパサカーユといった変奏曲も含め、マルヴィルの芯の通った解釈は作品像をぼやけさせることなく(これ、けっこう難しいんです)作品の美質をきわだたせてゆきます。しかし、本盤が何より価値ある録音となっているのは、使われている楽器の貴重さにも負うところが大——なんと! パリで1658 年に製作された、およそフランスのクラヴサンで現存している最古の作例と目すべき楽器なのです(17 世紀末のフランス楽器ならいくつか知られていますが、シャンボニエールやルイ・クープランの活躍期に作られた楽器がこれほどオリジナルの状態で残っているなど、実は奇跡に近いのです)!フランドル型の楽器に適宜イタリア風の要素を取り入れたこの二段鍵盤の銘器から引き出される、堅固にして繊細な音色...隅々まで本格的な、快楽にみちた古楽盤!
MAECD 0975
(国内盤)
(2ACD Hybrid)
\4620
ジョナサン・ハーヴィ:弦楽四重奏曲全集
ジョナサン・ハーヴィ(1939〜):
 1. 弦楽四重奏曲第1番
 2. 弦楽四重奏曲第2番
 3. 弦楽四重奏曲第3番
 4. 弦楽四重奏曲第4番
 5. 弦楽三重奏曲
アルディッティ四重奏団
あのスーパー・カルテットが、「新しい古典」となるレファレンス的傑作録音を電撃リリース!というか、アルディッティがaeon に電撃デビュー!でもありますが、冒頭すぐにわかるDSD 録音へのこだわりは、繊細な音へのこだわり。稀有の美しさが、ここにあります!!
aeon というレーべルの重要なポイントのひとつに、いま、まさに歴史を刻みつつある最先端の同時代作曲家たちとの密接な連携関係があります。すべての音楽、すべての“音響美”に先入観なく開かれた耳を持った、人脈たしかなプロデューサーあればこそ、の境地でしょう。そんなわけで2009 年、さっそくこんな大本命アルバムが登場してまいりました。
本年70 歳となる現代最高の大家のひとり、ジョナサン・ハーヴィの弦楽四重奏曲を、すべて収録した決定盤! しかも...演奏は何をかくそう、世紀転換期以来ずっと最高の現代音楽集団でありつづけている大・大御所、アルディッティ四重奏団!!
1939 年生まれの英国人ジョナサン・ハーヴィという作曲家は、まずアメリカでシェーンベルク直系のセリー技法をみっちり学んだのち、電子音楽の技法を模索してみたり、スペクトル楽派に接近してみたりと、20 世紀後半の重要なムーヴメントをひととおり経験してきた人。そんな、ややもすれば恐怖心しか呼びさまさないような作品ばかり書いていてもおかしくないこの経歴のなかで、つねに、響きの美しさということを追求しつづけ、クラシカルな手法の長所は決して軽視せず、中世の教会音楽に触発されてスペクトル的手法に向かうなど、技法のための技法ではない、あくまで美に出発点を置いた創作をつづけてきたのでした。
齢40 を超えてから本格的に取り組みはじめた弦楽四重奏曲という古典的様式での作品群は、そんなハーヴィの作風変遷を如実にあらわす充実作ばかり。最初の3曲は各15 分ほど、そして21 世紀に入って書かれた「第4番」は30 分以上の大作で、ライヴ・エレクトロニクスが非常に繊細な使われ方で採り入れられた名品!
何より嬉しいのは、アルディッティSQ の演奏がきわめて明晰かつ求心力にあふれ、まったく聴き疲れさせることなく、どんどん曲の響きの美しさに私たちを引き込んでくるところ、若気の勢いあふれる四重奏団にはない、さりとて古びることのまったくない、なんという境地でしょう! ショスタコーヴィチかプロコフィエフか、といった落ち着き具合で、インスピレーション飛ばしまくりの音響世界にじっくり浸れるのです!
そこには冒頭いきなり、かそけきピアニシシモから始まる息の長いクレッシェンドですぐに威力を発揮する——DSD 録音の、こだわりぬいた自然派音響エンジニアリングも大きく寄与しているわけで。
隅々まで磨き抜かれた企画で「いま最も聴いておきたい大家」の芸術世界をつぶさに知れる、ほんとうに貴重なリリースでございます。この春きっての、大注目盤!
MAECD 0540
(国内盤)
\2940
ショーソン:ピアノ四重奏曲 作品30
フォーレ:ピアノ四重奏曲 第1番 作品15
シューマン四重奏団
テディ・パパヴラミ(vn)
クリストフ・シラー(va)
フランソワ・ギィ(vc)
クリスティアン・ファーヴル(vc)
フランスのレーベル、ロマン派も近現代もOK——といったこのレーベルの魅力を最もよく体現しているのは、このアルバムではないでしょうか。それぞれが王道レパートリーも弾けるソリストとしても活躍、しかし室内楽にも目がなくて…といった「本物の音楽好き」たる名手たちが4人集うシューマン四重奏団が、日々フランス語で暮らしている演奏家でなくては感じ取りきれない微妙さの詰まった、印象派以前、ワーグナー趣味たっぷり、ドイツ古典派への傾倒最前線…の「19世紀末フランス近代」の傑作ふたつを、これ以上ないほどの絶品解釈で聴かせてくれます!
MAECD 0867
(国内盤)
\2940
ブラームス:
 1.チェロとピアノのためのソナタ 第1番  イ短調 作品8
 2.チェロとピアノのためのソナタ ニ長調 『雨の歌』
  (ヴァイオリンとピアノのためのソナタ作品78
  (1878)から作曲者自身が編曲、1897年)
 3.チェロとピアノのためのソナタ 第2番 ト短調 作品38
マルク・コッペイ(チェロ)
ピョートル・ラウル(ピアノ)
スタンダードなドイツ・ロマン派レパートリーでも、強烈にうったえかけるクールな名盤を続出してくるaeon。そのことを知らしめんがため、まず御紹介するのは当レーベルの「低音を支える」フランスきっての名手、マルク・コッペイ(コペー)の最新盤となるブラームス!
シュタルケル門下で腕を磨いたのちイザイSQで活躍、今やジャン=ギアン・ケラスやオフェリー・ガイヤール、アンヌ・ガスティネルらと並ぶ、フランス・チェロ界の新世代を盛り上げるスーパースターのひとりです!
MAECD 0421
(国内盤)
\2940
シューベルトのソナタ D.845をめぐって
 ブリス・ポゼ(1962〜):
  1. コントラ・ソナタ(開始楽章)
 シューベルト:2. ピアノ・ソナタ ニ長調 D.845
 ブリス・ポゼ:3. コントラ・ソナタ(終楽章)
アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ)
使用楽器製作:クリストファー・クラーク(グラーフ1827年モデル)
Aeonのカタログには、それこそ電子音楽ありセリー派あり、偶然性の音楽から自然音響研究まであり、刺激的だが日本のユーザー様にはちと厳しいタイプの現代音楽アルバムも色々あるにはあるのですが、中にはクラシック王道派が「たまには現代音楽でも」というときにぴったりの、新しい世界に無理なくすんなり溶け込めるような絶好企画もたくさんあります。彼らの目のつけどころは独特で、意外な美しさにはっとさせられ、「聴きなれないものにも美と愉しみが詰まっている!」と目を見開かせてくれる、そうした良好企画の代表格が、これ——ごらんのとおり、演奏は現代きっての異才フォルテピアノ奏者アンドレアス・シュタイアー! 近年でも『シューマン・トリビュート・トゥ・バッハ』のような異色作を大成功させ、ますます注目の集まる彼ですが、その感性はフィールドを問わない広さを誇っています。ベートーヴェンも愛したグラーフ・モデルのフォルテピアノに向かい、あの長大かつ悲壮で詩的なシューベルト後期のソナタD.845を、トラックが始まったとたん心がざわざわしてしまうような絶妙解釈で弾きこなす——シューベルトのソナタの古楽器演奏は意外と少ないので、トラック操作でここだけ聴くのでも十分、本盤を入手する価値はあるのですが、本盤のキモはさらにあります。自らチェンバロ奏者でもあるフランスの現代作曲家ブリス・ポゼは古楽器を使った新作楽曲をよく書いていますが、本作は「ソナタ」に「対置」されるかたちで前後に配される2楽章として構想されたもの。名手シュタイアーの名演なくしてはインスピレーションも沸かなかっただろう、というポゼ自身が「(シューベルトの)引用というより、追憶」というとおり、散漫な響きからソナタそのものが立ちのぼり(開始楽章)、その後その追憶が静寂に消えてゆく(終楽章)…といった響きは、フォルテピアノの美音のなかで追憶にひたるかのような、えもいわれぬ快感と余韻のひとときをもたらします。何しろ肝心の演奏が絶妙にすばらしいからこそ、こうした企画も万人に語りかけるというもの…!!
MAECD 0644
(国内盤)
\2940
スカルラッティの鍵盤ソナタを、無伴奏ヴァイオリンで
ドメーニコ・スカルラッティ(1685〜1757)
 編曲:テディ・パパヴラミ
 1) ソナタ イ短調 Kk54
 2) ソナタ ハ長調 Kk32
 3) ソナタ ヘ短調 Kk466
 4) ソナタ ヘ短調 Kk481
 5) ソナタ ハ短調 Kk11
 6) ソナタ イ長調 Kk380
 7) ソナタ ロ短調 Kk87
 8) ソナタ ニ短調 Kk141
 9) ソナタ ト短調 Kk426
 10) ソナタ ト短調 Kk185
 11) ソナタ ニ短調 Kk9
 12) ソナタ イ長調 Kk322
テディ・パパヴラミ(vn)
使用楽器:C.バヨン2006年製作/
弓:J-P-M.ペルソワ製作 19世紀オリジナル
 編曲というものは往々にして、原曲からは想像もつかないような意外な楽器のために行われるわけですが(マリンバやサックスでバッハを、とか、ベートーヴェンのピアノ・ソナタを弦楽四重奏で、とか…)、よもや、鍵盤奏者の左手と右手が縦横無尽に入り乱れるスカルラッティのソナタを、たった1挺のヴァイオリンで弾こうと思う人間がいるとは…そしてその試みを完璧に成功させたどころか、低音のない無伴奏ヴァイオリンならではの「うらさびしさ」をあざやかな魅力の要素にしてしまい、艶やかな弦音の官能性もあざやかに、かくも忘れがたいアルバムを紡ぎあげてしまう人がいるとは…いやいや、驚きの1枚です。リリース当初もかなり話題になったのでご存知の方も多いとは思いますが、ヴァイオリン1本だけのスカルラッティ・ソナタ集。仕掛け人はアルバニアからパリに出てきた超絶技巧の天才、テディ・パパヴラミ——そう、harmonia mundi franceやPanClassicsで、パガニーニその他の圧倒的名演を聴かせてくれたこの技巧派、シューマン四重奏団名義での室内楽演奏のみならず、ソロでもaeonに録音をいくつか残しているのです。子供の頃、パリに来てはじめて接した「世界的巨匠のレコード」のひとつがホロヴィッツのスカルラッティ・アルバムだったそうで、その音楽にたちまち魅了された彼は自分の楽器で弾いて悦に入ったり、全曲無伴奏は子供には不可能とさとって絶望したり…といった過去があったとか。きっかけが「曲調の美しいメランコリー」に魅せられてのことだっただけに、その思いはヴァイオリンという楽器の音色の上でいやがおうにも引き立てられ、それが本盤の演奏効果に繋がってきたのでしょう。しかし重音を上手に使いながら2声を奏し分けてみせたりするところは、技巧派の彼でなくては不可能!の離れ業…それがごく自然に、まるで無理を感じさせず鳴りつづけるから、安心して誰にでも奨められます。アコーディオン版にも似ているけど、意表つく達成度はこちらが一枚上?ホント、「だまされたと思って!」と聴かせまくりたい——“音”を聴いて頂いても、そこで飽きずにむしろ買いたくなる、そんな1枚だと思います。本人書き下ろし解説も全訳添付。ぜひ改めてご注目を!
MAECD 0753
(2CD)
(国内盤)
\4515
ヨハンネス・オケゲム(1420 頃〜97):
 「いかなる旋法にもなるミサ曲」
 (missa quiusvis Toni)と4種の解釈
  1. ニ調によるミサ 3. ホ調によるミサ
  2. へ調によるミサ 4. ト調によるミサ
  5. モテトゥス「けがれなき神の母」
Ens.ムジカ・ノーヴァ(中世声楽集団)
まずはなにより、批評レヴェルのきわめて厳しいヨーロッパで次から次へと贈られたレビュー賞の数々をごらんください——大絶賛です。
何がすごいって、鑑賞スタイルのまったく異なるイギリスとフランスで、それぞれ最も影響力のある批評雑誌が手放しで賞讃しているのがすごい(英仏のメディアの反応は、しばしばまるで逆だったりするのに...)。そして1音聴けば、そのわけも納得——聴き込むほどに、こりゃあタダモノじゃない、まったく絶賛すべき内容だ、と思いを新たにする…そう、aeon がたまーに出してくる古楽アルバムは、百発百中スマッシュヒットといっても過言ではないんです。15 世紀ネーデルラント楽派の中心的存在たるオケゲムは、弟子のジョスカン・デプレや後代のラッススなどとともに「ルネサンス最重要」の巨匠のひとり——なぜか英国勢以外の録音が少ないので、新譜リリースは古楽ファンたちが注目するところ。エノー地方(いまのベルギー南東部)に生まれ、フランスのトゥールにある聖マルタン大聖堂を拠点に、歴代のフランス国王に仕えた人物——あざやかな手腕でポリフォニー芸術の粋をきわめた傑作群を残し、自身も「黄金のごとき声」で歌ったといわれ、亡くなったときにはヨーロッパ中の知識人が深く嘆いたといいます。その至芸の極致ともいえるのが、本盤の「いかなる旋法でもよいミサ曲」——なんと!ひとつの楽譜が幾通りの旋法(まあ、「調」みたいなものですね)にも解釈できるという驚くべき一編(簡単に言うと、同じ曲を(たとえば)長調でやっても短調でやってもよく、そのたび演奏効果が変わるが作品の本質は変わらない…といった感じ)。これほどの対位法芸術の境地は、バッハを超えて21 世紀の今なお、凌駕されていないのでは(さすがはフランスの現代音楽シーンを音盤側から支えるaeon、古い時代のさまざまな「前衛性」には明敏なようで)。演奏にあたるのは、中世音楽研究の最先端をゆくフランスでも特に重要な機関、ロヨモン研究所で後進の育成にもあたる、リュシアン・カンデル(C-T)以下総勢8名の精鋭専門家集団! ZigZagTerritoires ですばらしいデュファイやマショーを聴かせてきたア・カペラ歌唱(英国風に揃った響きは、日本の古楽ユーザー様の好みを突いていると思います)で、オケゲムが仕組んだ「旋法ごとのテイストの妙」をあざやかに描き分けます。充実の解説も全文訳添付。古楽ファン必携、ネーデルラント楽派の精髄がここに詰まってます!

ALPHA

Alpha146
(国内盤)
\2940
C.P.E.バッハ:フルートのための協奏曲集2
 1.フルート協奏曲ト短調 Wq.166
 2.フルート協奏曲ニ長調 Wq.13
 3.フルート協奏曲イ長調 Wq.168
アレクシス・コセンコ(ft/クヴァンツ1745 年モデル)
アルテ・デイ・スオナトーリ(古楽器使用)
やっと登場してくれました! フランスが誇る超絶トラヴェルソ奏者がじっくり進めてきたC.P.E.バッハの協奏曲全集、3年ぶりの「下巻」です! ポーランドの超・精鋭とともにクヴァンツ・モデルのフルートをたおやかに吹きこなす、好感度抜群の3傑作に酔う...!大バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ...ご存知、何かとファンの多いこの作曲家ですが、Alpha レーベルでも何かと偏愛を感じるアルバムが録音されてきています(名手ホイマンによるガンバ・ソナタ集(Alpha080)、カフェ・ツィマーマンのハンブルク交響曲集(Alpha107)...)。競争の熾烈なフランス古楽界で立派にソリストとして成長を続けるトラヴェルソ奏者アレクシス・コセンコが進めるフルート協奏曲プロジェクトも、まさにそうした充実盤のひとつ!しかしファンをやきもきさせたことに、このシリーズは「上巻」が2006 年にリリースされて以来、今回の「下巻」リリースまで実に3年もの間が開いてしまいました。オーケストラは躍進めざましい東欧古楽シーンから逸早く世界に羽ばたいた少数精鋭ヴェテラン集団、ポーランドのアルテ・デイ・スオナトーリ——この全曲録音で通奏低音陣を支えていたオランダ出身の気鋭チェロ奏者バス・ファン・ヘンゲルが闘病の末急逝したことも、録音が遅れた原因だったのかもしれません(解説文には、この名手への胸うつ追悼文が寄せられてます)。その遺志をくむかたちで鮮やかに仕上がった今度の「下巻」でも、疾風怒涛という言葉がまさにぴったりの痛快な短調作品をひとつ、ロココの優雅さ・ほんのりせつない美質や、前古典派的形式感覚が冴える充実の長調作品が2点、というバランスのよいプログラム構成で、明敏な古楽ファンはもとより、より広い一般ユーザーさまも魅了すること間違いなし・の緊密なアンサンブルがたまりません!もうひとつ注目したいのが、コセンコの吹くフラウト・トラヴェルソ...さすがに復元楽器ではありますが、そのモデルとなったのは、フリードリヒ大王の宮廷で冷遇されていたC.P.E.バッハとは対照的に、フルートを愛奏するこの王に演奏を教え、深い寵愛を受けていた天才フルート作曲家、J.J.クヴァンツによる1745 年製作楽器!大王の宮廷があったのが、ポーランドとは目と鼻の先のベルリンやポツダムだったことを思うにつけ、楽器の選択とともに、ポーランドの精鋭アンサンブルによるこの録音がいかにオーセンティック(正統的)なものかと感服せずにはおれません。やはり、古楽はAlpha——秀逸な自然派録音も含め、全くスキのない名盤です。
Alpha522
(国内盤)
\2940
中世フランス、聖なる芸術から宮廷の愛へ
〜サン=マルティアル楽派と、南仏の吟遊詩人〜
 ①ひとたび世界が誘惑を知ると+
 ②けがされえぬマリア+
 ③わたしは正気を欠いた人のようだった*
 ④百合は花ざかり+
 ⑤彼女の過ちのあったがゆえに+
 ⑥森は、楡の林は、緑に燃えて*
 ⑦この日、天上の国は歓喜する+
 ⑧何の不思議があるだろう、わたしが誰よりうまく歌うとて*
  (ベルナール・ヴァンタドゥール)
 ⑨天は聖なるしずくを滴らせ+
 ⑩この御誕生を祝うべく+
 ⑪わたしは見た、ヒバリが羽ばたき*
 ⑫真実の陽の輝きが+
 ⑬今のわたしに、太陽の輝きなど見えはしない*
 ⑭わたしは見た*(フィドル独奏、ベルナール・ヴァンタドゥール版)
  + サン・マルティアル修道院の歌(ラテン語)
  * 吟遊詩人の歌(南仏語)
アンサンブル・ベアトゥス(中世声楽集団)
中世ヨーロッパ、それもフランス...ポリフォニー音楽が生まれた頃は、まさに吟遊詩人たちが活躍をはじめた頃でもあります。
ノートルダム楽派よりもさらに古い最初期の対位法芸術とトルバドールたちの関係を、極上のサウンドで解き明かす...!中世フランス、というか中世において多声芸術、つまりヨーロッパの芸術音楽の基礎ともいえるポリフォニー音楽というものがいつ発生したかというと、これが存外古いらしく、有名なところでは12 世紀末に急速な開花をみせたノートルダム楽派の活躍があるわけですが、近年の研究現場では、ノートルダム楽派以前に対位法芸術がすでにあったことなど、もはや常識。
とくに有名なのは、ヨーロッパ北方からスペインのサンチャゴへと抜ける巡礼者が立ち寄る場所として有名になった、中南仏の大都市リモージュにあるサン=マルティアル修道院における例でしょう。この地に伝わる聖歌写本は13 世紀以降につくられたものといいますが、実はこの修道院の聖歌隊は、どうやらすでに11 世紀初頭(ノートルダム楽派よりも1世紀以上早く!)はやくも複数声部からなるポリフォニー教会音楽を歌っていたらしい、と考えられているのです!
ヨーロッパ最古の多声音楽のひとつと目しうるその伝統、気になりますでしょう——楽譜におさまりきらない口承音楽や即興演奏などと古楽研究のあわいを探るAlpha の「白」シリーズからのこのアルバムは、そんなサン=マルティアル楽派のポリフォニー芸術をたっぷり、フランスが誇る男声中世歌手3人の美声で味わえるのです。
Alpha142
(国内盤)
\2940
〜室内楽編成による「ザイス」「ゾロアストル」「ダルダニュス」〜
 ジャン=フィリップ・ラモー(1683〜1764):
  1.歌劇「ザイス」(1749)より
   序曲、および12曲のエールと舞曲
  2. 歌劇「ゾロアストル」(1748/1756)より
   14曲のエールと舞曲
  3. 歌劇「ダルダニュス」(1739)より
   シャコンヌ
   器楽合奏全容:2vn・2va・vc・cb・ft・ob・fg・perc
フレデリク・アース(cmb)指揮
Ens.オーゾニア(古楽器使用)
ウジェニー・ワルニエ(S)
アルノー・リシャール(Bs)
ミラ・グロデアヌ(vn・コンサートマスター)
フレデリク・アース(指揮・cmb)他
バロック・オペラの盛り上がりを「横目で見てきた」そこそこ古楽ファン、必見!
すごいと噂の「ラモーの真骨頂」たるオペラの魅力を、真髄そのまま、CD1枚で堪能させる室内編成による再現は、18世紀の常套手段。オーセンティックな響きは、さすがAlpha!
フィリップ・ジャルスキーやパトリシア・プティボン、サンドリーヌ・ピオ、ジモーネ・ケルメス・・・バロック・オペラの音盤シーンは昨今かなり多士済々で盛り上がり、ヘンデルやヴィヴァルディのオペラも続々全曲版が出て、ヨーロッパの歌劇界での活況をよく伝えてくれていますが…「アリア抜粋ならOK」という方でも、作品の全体像が気になりながら「オペラ全曲CDで聴くのはさすがにきつい」という方も多いはず! そうした方々のうちには、「真骨頂はオペラにあり」と言われているラモーという作曲家を意識しながらも、ジャンル自体がとっつきにくく、結果モヤモヤされている方は少なくないでしょう。
ヘレヴェッヘ、ブリュッヘン、ミンコフスキといった大御所たちがやってきた「管弦楽曲抜粋」は、どうもラモーの本質をとらえているようではないぞ、と…。そうした「もう一歩先」が気になる方にぜひお奨めしたいのが、フランスの最強古楽レーベルAlpha からの、この新譜。歌劇作曲家としてのキャリア中期にあたる1740年代後半の2傑作「ザイス」と「ゾロアストル」に焦点をしぼり、それらの骨子をよく伝える曲を抜粋、物語的流れを尊重しながら、1枚のアルバムとしての完成度がきわめて高いアンソロジーを織り上げているのです。それも、歌い手は女声・男声ひとりずつだけ、器楽伴奏は弦6人に管3人、プラス打楽器(!)という極小編成——
ラモーの人気作は貴族の私邸でのプライヴェート上演のために縮小編曲されたりもしていましたが、これはまさにそうした当時の演奏実践の流儀に従った、正統的なディヴェルティスマン的解釈なわけです。
Alpha147
(国内盤)
\2940
ショパン:バラード(全4曲)と夜想曲
 〜プレイエル・ピアノで聴くショパン2:自由と革命、夜と個人〜
フレデリク・ショパン(1810〜56)
 1. 前奏曲第 25 番 嬰ハ短調 op.45
 2. バラード第1番 ト短調 op.23
 3. 夜想曲第3番ト長調 op.9-3
 4. バラード第3番 変イ長調 op.47
 5. 夜想曲第1番変ロ短調 op.9-1
 6. バラード第2番 ヘ長調 op.38
 7. 夜想曲第2番変ホ長調 op.9-2
 8. バラード第4番 ヘ短調 op.52
 9. 夜想曲第 20 番嬰ハ短調(遺作)
アルテュール・スホーンデルヴルト
(ピアノ/プレイエル1836 年製作)
Alpha レーベルきっての超ロングセラー「プレイエル・ピアノで聴くショパン」に待望の第2 弾が登場! 「初演時編成による“皇帝”」でも話題沸騰のスホーンデルヴルトが最前線でのさらなる経験の末に向き合うショパンは、バラードはじめ、最も劇的な作品群!
絶好調とどまるところを知らぬAlpha から、またもや多言を要さぬアイテムが飛び出してまいりました——2004 年に発売されて以来、実に5年にわたってハイテンポの注文枚数が途切れないロングセラー、あのスホーンデルヴルトによる「プレイエル・ピアノで聴くショパン」の第2弾!! まさか後続巻が出るとは思いも寄りませんでした。なにしろ前回の録音では1836年、つまりショパンが大活躍中の時代に作られたオリジナルのプレイエル・ピアノ(ご存知のとおり、ショパンが愛してやまなかったパリの工房の楽器です)を使い、右手だけテンポ・ルバートを多用して自由に弾きくずしながら左手はテンポ厳守、というショパン自身がやっていた奏法を再現、ワルツやマズルカなどの作品群を、作曲されたときの発想どおり、つまり19世紀人たちの舞踏会に供する“舞曲として”の性質をきわだたせながら弾くという、きわめて興味深い企画だったから…そしてスホーンデルヴルトという人は、そんな周到な企画を打ち出しながら、あくまで演奏のすばらしさで聴き手を魅了しつづけてきた人。
さて今度のテーマは「自由と革命、夜と個人...」といったところでしょうか。前回のアルバムが“舞踏会”という、19世紀人とショパンの外向性を示してやまない企画だったとすれば、今回はあの難曲「バラード」4曲と、最初の四つの夜想曲によって、ドラマティックな表現と、個人の内側へと向かう主観的な随想とが描き出されるのです。
例によってライナーノートは本人書き下ろし(全訳添付)、ジャケットに掲げられたドラクロワ絵画との関連まで彼の言葉で語られる、そして何より、演奏の鮮やかさは息をのむばかり! 前回と同じ1836 年製オリジナルのプレイエルを手足のように操って(歴史的ピアノって、まともに弾きこなすだけでも大変なのに…)ドラマティックに息せき切ってみせたり、堂々たるコントラストを打ち出してみたり、絶妙のテンポ設定とルバートの妙は今回ますます冴えわたり、聴き手の心を軽やかにからめとってしまいます。
今年前半のAlpha、最大の注目作!
Alpha145
(2CD)
(国内盤)
\4515
シューマン:ピアノ曲・室内楽作品集 7
〜子供のためのアルバム&連弾作品さまざま〜
 1) 小さな子供と大きな子供のための
  4手による 12 の小品作品 85
   ...エリック・ル・サージュ&フランク・ブラレイ
 2) 舞踏会の情景作品 109
 3) 子供の舞踏会作品 130
  ...エリック・ル・サージュ&ドゥニ・パスカル
 5) 子供のためのアルバム作品68 (独奏)
エリック・ル・サージュ(ピアノ/スタインウェイ)
ドゥニ・パスカル、
フランク・ブラレイ (ピアノ)
超人気企画、第 7 弾——今度は全面的に後期作品ばかり、それも豪華共演陣と!
ドレスデン革命後、デュッセルドルフのシューマンは、新たに子供の世界と向きあう。緻密にして素朴、明朗にして憂愁ただよう演奏機会の少ない名品群を、最高の解釈で!
多言は要さぬこの至高のシューマン・シリーズ、昨年後半ありえないペースで続々と新刊が登場いたしましたが、作曲家生誕200年となる来年に向け、ガンガン重要リリースが続きます!早くも第7 巻となる今回のリリースは、すべて後期の作品ばかり、テーマは「シューマンと家庭音楽」といったところでしょうか——
毎回かならず「待望の大作」と「秘曲中の秘曲」がバランスよく組み合わされているのが魅力のこのシリーズですが、今回の「大作」は「子供のためのアルバム」全曲! シューマン愛好家垂涎、隠れた名作ぞろいの巨大な曲集を、ル・サージュの軽妙かつ深遠なピアニズムで聴けるというのは、何と嬉しいことでしょう!
しかし本盤の重要な魅力は、もうひとつあるんです——2枚組の片方は、そっくりそのまま連弾作品ばかり収録しているのですが(CD もラジオもなかった19 世紀、家庭で手軽に音楽を愉しむといえば、何をおいてもピアノ連弾だったのです——人々は連弾で家族の絆を深め、連弾によって客人と娘は恋に落ち...というわけです)、この連弾群をル・サージュと弾くパートナー2人がまたすごい!
かたやフランク・ブラレイ——ル・サージュとは最近、20 世紀の年代物ピアノでモーツァルトやシューベルトを弾いたアルバムを日本で制作、きわめて大きな話題となりましたが、昨今ではブラレイ単体のキャラも立ってきたところ、こうした重要シリーズにさりげなく登場。
そしてもうひとり、一連の舞曲群でル・サージュと息遣いぴったり「四手の生き物」といったアンサンブルを聴かせてくれるのは、前頁でご紹介しているアルバムで巨匠アラン・マリオンとの絶妙タッグを展開してみせたフランス最高の室内楽ピアニスト、ドゥニ・パスカル!! パリ音楽院で異才ジャック・ルヴィエと巨匠ピエール・サンカン(!)に学び、シュタルケルのパートナーたる名伴奏者ジェルジ・シェベックに師事、共演者数知れず、ショパンの協奏曲はレ・シエクルと録音…只者でないことは、キャリアと実績が示しているとおり。
ル・サージュに何ら負けてないこの人のピアニズムにも、要注目!どこをとってもぬかりないシリーズです。
Alpha115
(国内盤)
\2940
ブリュネットと田園舞曲
 〜フランス、ロココ前夜の牧歌的音楽さまざま〜
 ①三つのブランルを、組曲仕立てで(ボルジョン・ド・セレリ)
 ②カントリーダンス3様:
  会釈するジョー/ちょっとすみません/
  赤い家(プレイフォード)
 ③なぜ、やさしいロシニョルは(ド・ブーセ)
 ④美しき羊飼い、ティルシ(作者不詳)
 ⑤ヴィエルのためのカントリーダンス3様:
  ラ・マニョット/小さなジャネットちゃん/六つの顔(ルブール嬢)
 ⑥あなたに恋した気でいたけれど(作者不詳)
 ⑦ラ・フュルステンベルク(作者不詳)/ラ・ロワヤル(ルベル&フランクール)
 ⑧恋をすると、なんだか自分が素敵なようで(シェドヴィル)
 ⑨わが苦しみ、なんと快く/
  いとしき娘さんたち、どこへいった/
  おお!この森、この川、この泉(ボワモルティエ)
 ⑩村のバレ ト長調(ボワモルティエ)
 ⑪涙する者は幸せ/若きイリスは、わたしに鎖を愛させる(リッペール)
 ⑫われらが森で(伝リュリ)/木靴屋さん(ルブール嬢)
 ⑬三国いちの誠実な恋人が(オトテール)
 ⑭すてきなタバコがありますよ/イシスのムニュエ/
  ヘラクレスのムニュエ/4声のムニュエ(リュリ、マレ)
 ⑮『エベの饗宴』のミュゼット(ラモー)/
  ニレの木蔭で、リゼットは(オトテール)
 ⑯プロヴァンスの娘/『ポリュムニの祝典』のタンブラン/
  煙突掃除の娘(ルブール&ラモー)
フランソワ・ラザレヴィチ(各種ミュゼット、リコーダー、トラヴェルソ)
アニー・デュフレーヌ(ソプラノ)
ステファニー・ポレ、
ガブリエル・グロバール(バロック・ヴァイオリン)
ドミニク・パリ(ミュゼット)
アレクシス・コセンコ、
フィリップ・アラン=デュプレ(トラヴェルソ)
トビー・ミラー(ハーディガーディ)
レ・ミュジシャン・ド・サン=ジュリアン(古楽器使用)
18 世紀——古典派前夜のフランスでは、ふいご式の宮廷ミュゼットが大流行!ピクニックが大好きな上流階級人たちの心をとろかせた、牧歌風味のすてきなサウンドを引く手あまたの古楽バグパイプのプロフェッショナルが、あざやかに楽しませてくれます!
レーベル発足以来、何かにつけて「フランス古楽」と「フランス民謡」の親和性の高さを知らしめてきたAlpha ですが、その路線は途絶えることなく現在も続いておりましてこのたび紹介するアイテムは、バロック末期のフランスで愛された楽器、ミュゼットが主役のひとり!
ミュゼットはようするにバグパイプなんですが、ふいご式なので管をくわえずに済み、女性でもたしなめる牧歌風味の楽器として、田園情緒が大好きな当時のフランス人たちに人気となり、当時はオペラ座のオーケストラの標準編成にまで組み込まれたほど…時々ラモーのオペラなんかで必要になるため、古楽の現場にはこの楽器を吹きこなせる管楽器奏者が欠かせないわけですが、嬉しいことに現在のフランスには、フランソワ・ラザレヴィチという名手がいるのです!
ルセ、H.レーヌ、マルゴワールらの信頼もあついこの名手、リコーダー奏者としてスタートした当初からフランス民謡と古楽の相性のよさに魅力を感じていたとか。かくて各種バグパイプにも通暁して民俗音楽シーンでも大活躍していますが、今回はフランスの大御所トラヴェルソ奏者アラン=デュプレや、Alpha でもC.P.E.バッハの協奏曲をリリースしているA・コセンコら古楽界のスーパープレイヤーたちをゲストに、当時人気のあった田園舞曲(カントリーダンス)を意趣たっぷり、たおやかな古楽器サウンドで楽しませてくれます。
間で興を添えているのは、宮廷向けカンタータなどに押されてあまり紹介されてこなかった“18 世紀フランスのポピュラーソング”、ブリュネットの数々。それらは鍵盤もなしにトラヴェルソだけで伴奏されることもあったりで、芸術音楽からは一段劣ったものと見なされたりしましたが、絶妙の古楽解釈で聴けば、エール・ド・クールの18 世紀ヴァージョン…といった感じの繊細さがきわだち、耳に快いことこのうえありません。
Ens.ジル・バンショワのドミニク・ヴラールやERATO の中世もので知られるアンヌ・アゼマらに師事したアニー・デュフレーヌが、ル・ポエム・アルモニークばりの魅力あふれる「まっすぐサウンド」を聴かせてくれます。
Alpha509
(国内盤)
\2940
ダニエル・ブレル 憂愁の道は四つ
ダニエル・ブレル(1950〜)
 ①冷たい太陽 ②夜と月 ③パレード ④哀しい歌
 ⑤四つの道(2面のヴィオラ・ダ・ガンバのための)
 ⑥すべりゆく小舟ひとつ(バンドネオン独奏のための)
 ⑦小さなワルツ ⑧筆致
 ⑨星たちのなかの眼(無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのための)
 ⑩こだま ⑪永遠の青春 ⑫オマージュ
 ⑬ひと目で ⑭かもめ(バンドネオンとテオルボのための)
 ⑮一皮むけば ⑯子守唄
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
ル・ポエム・アルモニーク来日公演は、とんでもない大成功でした!
アンコールではなんとシャンソン(16 世紀のじゃなく、現代の!)まで披露——その衝撃が脳裏に焼き付いた全古楽ファンにご提案したい「古楽器による新音楽」がここに!
2009 年4月、ついに興行来日あいなったル・ポエム・アルモニーク。あまりの待望ぶりに王子ホール公演はあっという間に売り切れ、神奈川県立音楽堂も鈴なりの大盛況で、入場してきたメンバーの顔を見るなり客席は大興奮(名演直後のような割れんばかりの拍手!)、さらに1曲、また1曲と進むにつれ興奮は増し、3曲のアンコールが終わるまで、殆ど立ち去る方はおらず…という流れは両公演とも全く同じでした。
関東圏の古楽ファンの方々がことごとく、おそらくは地方からも多くの方が詰め掛けて下さったに違いない「2009 年前半きっての注目公演」でしたが、ラテン系のグループだけにアンコール曲目がひとひねりあって、1曲はなんと(現代の)シャンソン!ドゥルツィアン(ファゴットの前身となる古楽器)がさながらバリトンサックスのようなアドリブを聴かせ、古楽歌手たちはまっすぐの声をきれいに活かした瀟洒な歌声で会場を魅了しつくし、バックにはヴィオラ・ダ・ガンバのコンソートが、やはりまっすぐな音色をたくみに重ね、アコーディオンのような響きを醸し出す不思議さ…そう! ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏の玄妙な和音というのは、蛇腹楽器のしゃれたサウンドを再現できるのです!
そして会場全体がうっとり魅了されたのを見て、Alphaのル・ポエム・アルモニーク盤で唯一日本盤扱いしてこなかったこの「幻の名盤」を今こそ解説付きでお届けする絶妙のタイミング!と確信いたしました。
ダニエル・ブレル——ベルギー・ポップ界の大物シンガーとは関係ありませんが、フランス生まれのバンドネオン奏者として活躍する彼は作曲家でもあり、同時にル・ポエム・アルモニークの主宰者ヴァンサン・デュメストルとは20 年以上の知己で、後者はこのブレルから折々多大な刺激を受けてきたとのこと。ブレルの作曲と共演による、バンドネオンとガンバ合奏による新作プログラム「憂愁の道は四つ」は、いわばダウランドのガンバ合奏曲集「ラクリメ」の現代版といった感じで、バラード系シャンソンのようなしっとり静か&瀟洒な響きがつづく、静かな夜にクールダウンするにはもってこいの聴きやすさと親しみやすさ、あるいは少し高いお酒でも開けましょうか、といった上品な響き(古楽器とは何ぞや、と考えなおす静かな問題提起盤でもあります)。
このアンサンブルへの注目が飛躍的に高まっている今こそ、このアルバムの聴き時・売り時です!

ARCANA

Mer-A 352
(国内盤)
\2940
ハイドン:二つのソナタ、二つの変奏曲
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)
 1. ピアノ・ソナタ変イ長調 Hob.XVI-46
 2. アンダンテと変奏ヘ短調 Hob.XVII-6
 3. ピアノ・ソナタハ短調 Hob.XVI-20
 4. オーストリア国歌による変奏曲
 5. アダージョヘ長調 Hob.XVII-9
パウル・バドゥラ=スコダ(フォルテピアノ)
使用楽器:ウィーンのヨハン・シャンツ
1790 年頃製作のオリジナル楽器
「ハイドンの年」にふさわしいリリース、とどまるところを知らず! ウィーンきっての巨匠バドゥラ=スコダによる、ハイドンが最も愛したシャンツ製のフォルテピアノでの天衣無縫、繊細にして堂々たる、おどろくべきハイドン最新録音が届きました——!ハイドン歿後200 周年、気の利いた新譜もどんどん登場しているところ、当の本場ウィーンから痛快な録音がお目見えします——それは、復活あいなった切れ味抜群古楽レーベルArcana が、新生スタート以降、リニューアル後のパッケージで最初からリリースされる待望の最新新譜!演奏者は20 世紀半ば以降、音楽都市ウィーンの楽壇でつねに最前線を走ってきた巨匠、バドゥラ=スコダ! フルトヴェングラーやカラヤンら往年の巨匠たちとも緊密な共演を続け、ウィーン古典派への愛から18〜19 世紀当時のピアノ(フォルテピアノ)の演奏をふかく研究、自らそのパイオニアにもなってしまったこの名匠、Arcana の創設者だった故ミシェル・ベルンステンとともにハイドンのソナタ全曲録音も敢行していますが、それも今は昔——ここでは80 歳を越えてなお衰えぬばかりか、さらに経験豊かに、さらに深まりゆく「いまのバドゥラ=スコダ」の音楽性がじっくり堪能できるのです。使用楽器は、壮年期以降ハイドンが絶賛してやまなかったシャンツ製フォルテピアノ、作曲者生前の完全なオリジナル! 充実したソナタを2曲、名ピアニストたちのなかにも愛奏者の多いへ短調の変奏曲、滋味豊かなアダージョ、そして有名な「皇帝賛歌」(オーストリア国歌、弦楽四重奏曲第77 番「皇帝」の第2楽章)...「歿後200 周年」にからめて重要なのは、やはり最後にあげた皇帝賛歌でしょう。なにしろこの曲、ハイドンが亡くなる前、最後にピアノで弾いていた曲なのですから(ナポレオン軍がウィーンのすぐそこに迫った朝、珍しくこの曲を3度も弾けるほど体調が回復したハイドン、砲撃が始まり怯える使用人たちを「恐れるな!このハイドンがいれば何者も不安はない!」と励ました後、ついに倒れて昏睡してしまったといいます)。扱いの難しいフォルテピアノをみごと手なずけるバドゥラ=スコダ随一のタッチはますます深みを増し、どこかリュートやハープにも似た人間味ある響きで鳴るシャンツは、急速楽章でも音を欠くことがありません——さらに白眉は一連の緩徐楽章で、じんわり、しみじみ、老境に達すればこそなのか、と思わせてやまない深遠さで鳴りひびく音楽、やはりバドゥラ=スコダの「いま」ならではの境地というほかありません! 例によってライナーノートは演奏者本人が執筆(全訳添付)。モーツァルトばかりでなく、ハイドンにも一家言と愛あり!ということを、演奏・企画両面からひしひしと感じさせてくれる、巨匠の新名盤でございます!
Mer-A417
(2CD)
(国内盤)
\3885
ハイドン:弦楽四重奏曲集 作品64
 〜ピリオド楽器による弦楽四重奏曲全集 7 〜
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809):
 弦楽四重奏曲集作品64「トスト四重奏曲集2」
 1) 弦楽四重奏曲ニ長調op.64-5 Hob.III-63「ひばり」
 2) 〃変ホ長調op.64-6 Hob.III-64
 3) 〃ハ長調 op.64-1 Hob.III-65
 4) 〃ト長調 op.64-4 Hob.III-66
 5) 〃変ロ長調 op.64-3 Hob.III-67
 6) 〃ロ短調 op.64-2 Hob.III-68
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
ベートーヴェンもさることながら、「歿後200 周年」のハイドンの全曲録音にもこんな傑作が!
全編ピリオド楽器による解釈、濃密・鮮烈をきわめた演奏で世界各地が話題騒然、無数のレビュー賞に輝いた“幻の傑作シリーズ”が、日本語解説付で続々再登場!
ベートーヴェン四重奏曲全集の傑作盤シリーズがスタートしたなら(下記PAN CLASSICS参照)、本年ようやくレーベル経営状況が復活したArcana からも、ハイドンの弦楽四重奏曲全集が続々登場いたします!
なにしろリリース当初から話題騒然で、さまざまな批評雑誌から続々無数のレビュー賞を授けられてきたこのこのシリーズ、創設者の急逝により長らく入手困難となっていたのですが、続々再プレスが上がってきているようですので、この機会に充実の解説もすべて日本語訳をつけ、秋口までに全9巻すべてを入手できる状態にしてゆきとのこと(ピリオド楽器による名盤も少なくなくなってきたハイドンの弦楽四重奏曲アルバムですが、最新研究をふまえた解説がひととおり日本語で読める国内盤仕様はこれだけ)!
Mer-A411
(2CD)
(国内盤)
\3885
ハイドン:ピリオド楽器による弦楽四重奏曲全集1
 弦楽四重奏曲集 作品9 (全6曲)
  1.弦楽四重奏曲 ニ短調 op.9-4
  2.弦楽四重奏曲 ハ長調 op.9-1
  3.弦楽四重奏曲 ト長調 op.9-3
  4.弦楽四重奏曲 変ホ長調 op.9-2
  5.弦楽四重奏曲 変ロ長調 op.9-5
  6.弦楽四重奏曲 イ長調 op.9-6
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
Arcana再スタートの目玉!何はともあれ、このシリーズは全点、押さえておきたいもの・・・!まずは「第1巻」で、その創意の発端に迫りましょう!レーベル主宰者ベルンステインが亡くなる前まで、心血を注いで敢行しつづけた「ピリオド楽器によるハイドン弦楽四重奏曲全集」…最新校訂の楽譜を用い、入念な作品検証を盛り込んだ充実の解説書(全訳添付)もさることながら、このシリーズが世界的に高く評価されるにいたったのは何より、フェシュテティーチ四重奏団の演奏解釈が、他の追従を許さぬほどの境地にあるためでしょう。楽器の直接音をきれいにすくい取り、ほとんど最低限の残響だけで、4パートそれぞれの動きを鮮明に示してくれる自然な録音エンジニアリングによって、内実豊かな各人の音楽性も、ガット弦の語法を完璧にマスターしつくした堂に入ったアンサンブルも、その魅力を十二分に伝えてやみません。 「第1巻」は、作曲者の晩年にブライトコップフ&ヘルテル楽譜出版が企画した「ハイドン弦楽四重奏曲全集」にさいし、作曲者の記憶があやふやになっている青年時代の作品を切り捨て、ハイドン自ら「ここからが本格的な四重奏曲」と自認した1770年頃初出の「作品9」に収められている6曲を収録。軽妙なロココ風からドラマティックでバロック風でもある短調作品まで内容多彩ですが、すでに6曲ともメヌエットつき4楽章仕立ての構成が確立されているのは驚き!フェシュテティーチSQはそれぞれの旨味をみごと弾き分け、確たる構築感覚のなか、インテンスに求心力あふれる解釈で聴き手をぐいぐい引き込んできます。さっそく後続巻が待ち遠しくなること必至…ハイドン・イヤーの店頭に欠かせない、世界的重要シリーズ!
Mer-A309
\2940
(国内盤)
コンティ:独唱とさまざまな楽器のための、四つのカンタータ
  〜帝都ウィーンを魅了したイタリア音楽〜
フランチェスコ・バルトロメオ・コンティ(1682〜1732):
 1.第1カンタータ「恋する人から遠く離れて」
  〜独唱、シャリュモー、横吹フルート、
    二つの弱音器付ヴァイオリン、
    フランス式リュートと通奏低音のための
 2.第2カンタータ「草原は輝き」
  〜独唱、リコーダー、二つのヴァイオリン、
    リュートと通奏低音のための
 3.第3カンタータ「最も輝かしき閃光とともに」
  〜独唱、シャリュモー、二つのヴァイオリン、
    リュートと通奏低音のための
 4.第4カンタータ「愛しき小鳥たちが」
  〜独唱、シャリュモー、二つのヴァイオリン、
    リュートと通奏低音のための
ベルナルダ・フィンク(メゾソプラノ)
アルス・アンティクヮ・アウストリア(古楽器使用)
グナール・レツボール(バロック・ヴァイオリン&総指揮)
ペーター・レープル(シャリュモー)
クリスティアン・グルトナー(ft)
ミヒャエル・オーマン(bfl)
ルチアーノ・コンティニー(アーチリュート)
名歌手フィンク、堂々登場! しかもパートナーは精鋭集団アルス・アンティクヮ・アウストリアの凄腕たち! たおやかな古楽器サウンドで甦る、思わぬ名曲の連続…!ARCANAを通じてその名が世界的に認められるようになったアーティストとしては、先日ラ・フォル・ジュルネでも来日したオーストリアきっての鬼才バロック・ヴァイオリン奏者レツボールをあげなくてはなりません。少し先輩のガンバ奏者ドゥフトシュミットや指揮者ハーゼルベックらとともに、この音楽大国の古楽シーンを支える彼は、自ら精鋭集団アルス・アンティクヮ・アウストリアを率い、この国の17〜18世紀における音楽的活況を支えた知られざる巨匠たちの作品発掘に意欲を燃やしています。ここでまずご紹介するのは、ヴィヴァルディ登場の直前から、つまりカルダーラやガスパリーニと同じ頃にウィーンで活躍をみせたイタリア人、コンティの室内カンタータ。ごらんのとおり、いずれも充実した器楽伴奏がついているうえ、自らリュート奏者だったコンティだけに、リュートに独立した動きも与えられていたり。またクラリネットの前身であるシャリュモーが、牧歌的なサウンドを添えているのも、18世紀初頭のウィーンならではのユニークな特徴です。綴られる音楽は、すでにヴィヴァルディ風の伸びやかな歌心や、パート間の絶妙のからみが美しい後期バロック風・・・キャッチーな魅力はまさに、日本の古楽ファン層にぴったりの美質!しかしそうした旨味の数々も、独唱パートをあざやかに歌いこなす、あの実力十分の天才ベルナルダ・フィンクの起用なくしては、ここまで見事に伝わりはしなかったでしょう。リュート・パートにもヴェテラン奏者コンティニーがさりげなく参加。
Mer-A351
\2940
(国内盤)
モーツァルト:古楽器によるピアノ協奏曲
 1.ピアノ協奏曲 変ホ長調 Kv.271
 2.ピアノ協奏曲 イ長調 Kv.414
  ※独奏者使用楽器:
 ポール・マクナルティ2005年製作
 (アントン・ヴァルター&ゾーン1802年頃
          製作のモデルに基づく)
パウル・バドゥラ=スコダ(フォルテピアノ&指揮)
アンサンブル・ムジカ・フロレア(古楽器使用)
Arcanaのプロデューサーであるミシェル・ベルンステンは、Astree時代にバドゥラ=スコダをフォルテピアノ奏者として迎え、世界ではじめてハイドンのソナタ全曲録音をピリオド楽器で敢行、さらにモーツァルトの全曲録音も行い、この「古楽器奏者」の名声を不動のものとしました。1950年代に「ウィーンの三羽烏」と呼ばれてデビューした頃からモーツァルトには一家言あり、現場で活躍する音楽学者といった立場で上梓した『モーツァルトの演奏と解釈』は今なお名著の呼び声が高いバドゥラ=スコダ御大、近年ではあえて現代楽器オケのプラハ室内管を弾き振り、「ウィーンのピアノ」ベーゼンドルファーによってピアノ協奏曲の連続録音を続けていますが(Transartレーベル…ちなみに最新巻も近日ご案内!)古楽器への情熱が収まったわけでないのは、度重なる来日公演でフォルテピアノを弾いている事実からも推して知れようというもので。かくてTransartでの録音と並行するかたちで、古楽器で録音されたこの1枚、ベーゼンドルファーでの一連の録音と全く同じ感性で、扱いの難しいフォルテピアノをみごと弾きこなす手腕には脱帽! 絶好のパートナーシップをみせているのは、こちらも奇しくもプラハを拠点とする、ここ数年で世界的に活躍しはじめているムジカ・フロレア——この団体は古楽のメッカ・フランスでも非常に高く評価されており、声楽作品の伴奏オケとして多忙な活躍をみせているばかりか、実は今まさに売れ行き絶好調のル・ポエム・アルモニークからもお声がかかり、大好評DVDでも弦楽セクションを任されていたりします。少数精鋭、管も弦も実力・自発性ともに抜群...モーツァルトゆかりの地プラハの、このうえなく頼もしい演奏陣とともに、しかもモーツァルトの知っていたであろう響きそのまま、これら2傑作が楽しめるとは、何と贅沢なことでしょう…!ちなみにフォルテピアノはヴァルター・タイプ——ご存知のとおり、晩年のモーツァルトが好んだ楽器です(弾きこなし具合が、また絶妙)。
Mer-A308
\2940
(国内盤)
シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D.946 ヴィーラント・クイケン(クラシカル・チェロ)
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
大御所クイケン、チェロを手に、堂々たる風格!一糸乱れぬ精妙な設計のなかで繰り出される ダイナミックな展開は、けだし圧巻、興奮必至!シューベルトの室内楽は、なぜかピリオド楽器録音が意外にも少ないわけですが、そうした渇を癒してあまりある、ひたすら豪華な組み合わせで、期待を裏切らないどころか大いに上回る演奏結果をもたらしてくれるのが、この1作! ベートーヴェン亡き後「彼に続く者たちに乾杯!」と意欲に燃えていた、最晩年のシューベルトによって書き上げられた至高の傑作『弦楽五重奏曲』を、もはやすっかり大御所になってきたフェシュテティーチ四重奏団がみごとな解釈で録音してくれました。しかも「もうひとりのチェロ奏者」として呼ばれたのは、な・なんとヴィーラント・クイケン御大!! 近年はガンバのみならず、チェロを手にロマン派や近代作品のピリオド解釈にも意欲を燃やしているクイケンの繰り出す確かな弓さばき、すばらしく風格あふれる低音域の安定感は、ピリオド楽器を聴き慣れない人さえ魅了してやまないに違いありません。さらにすごいのは、その風格にフェシュテティーチSQがまったく対等に渡り合って、一糸乱れぬアンサンブル、精妙な解釈設計のなか、きわめて安定したノン・ヴィブラートの美音で一歩一歩、しずかに壮大な作品像を織り上げてゆくこと。冒頭楽章の「格」、静謐な緩徐楽章をつらぬく「嵐の前の静けさ」感、王者のごとく堂々としたスケルツォ、そして終楽章の熱狂とメランコリーの端正なコントラスト…おそらく誰にとっても、これは「手にしてよかった」としみじみ思う1枚になるに違いありません。別格な名演です。ちなみに、解説執筆は音楽学者としても随一の名匠バドゥラ=スコダ…こうなるともう、文句のつけようがありません。
Mer-A401
(2CD)
(国内盤)
\4515
ビーバー:ロザリオのソナタ集(全曲)
 『ロザリオの玄義によるソナタ集』〜変則調弦による
 ヴァイオリンと通奏低音のための15のソナタと、
 無伴奏ヴァイオリンのためのパッサカーリャ
グナール・レツボール(バロック・ヴァイオリン)
ローレンツ・ドゥフトシュミット(vg)
ヴォルフガング・ツェラー(org)他
通奏低音:ローレンツ・ドゥフトシュミット、
ミヒャエル・オーマン(vg)
ウリ・フセネッガー(cb)
ヴォルフガング・ツェラー(org)
ヴォルフガング・グリュクサム(cmb)
アクセル・ヴォルフ(リュート)
バッハ以前のドイツ・バロックでも最大のヴァイオリン芸術、現在最高の決定盤...!作曲家と同郷、オーストリアを代表する鬼才レツボールが、たおやかな呼吸感、変則調弦を駆使した驚くべき技巧でくりひろげる、あまりに美しきガット弦の迷宮...!Arcana というレーベルのおかげで大躍進をとげ、日本でも広く知られるようになった古楽器奏者といえば、かつてキアラ・バンキーニの“名脇役”をしていたエンリーコ・ガッティと、このオーストリア古楽界きっての鬼才グナール・レツボールのふたりをあげないわけにはまいりません! オーストリアという国は、20 世紀前半以来の伝統的なクラシック演奏だけでなく、豊富な歴史遺産と資料を活かして古楽復興にも大いに貢献しています。古くからアルノンクールのウィーン・コンツェントゥス・ムジクスがあったほか、マルティン・ハーゼルベックのウィーン・アカデミーや、リンツ音楽院出身のガンバ奏者ローレンツ・ドゥフトシュミット(この人も「Arcana が有名にした」ひとりかもしれません)、パウル・バドゥラ=スコダとイェルク・デームス周辺のフォルテピアノ室内楽奏者たち…と古楽奏者陣にも厚い層があるわけですが、ウィーン・アカデミーでコンサートマスターをつとめてきたグナール・レツボールは自身、祖国の豊穣なバロック音楽遺産の復興に燃えており、民俗音楽まで視野に入れたユニークなプログラム構成で「本場ならでは」の古楽再発見に大きく貢献してきた大立者! そもそも演奏技量と音楽性がケタはずれで、無伴奏から超絶技巧や変則調弦まで、この国のバロック特有の困難な語法をなんなくクリア、折々に情熱ほとばしらせ、あるいは精妙な静けさの瞬間を描き出したり、鮮烈な解釈で聴き手を魅了してやみません。その魅力があますことなく示されているのが、この『ロザリオのソナタ』。17 世紀にザルツブルク大司教の楽長として活躍し、全ドイツ語圏にその名を轟かせたヴァイオリンの名手=作曲家ビーバーが、15のソナタそれぞれに異なるやり方でヴァイオリンを調弦させ(弦を交差して張る曲まであります!)独特の演奏効果を引き出しながら、聖母マリアにまつわる15のエピソードを象徴的に演奏してゆくというこの傑作は、バッハ以前の最大のヴァイオリン芸術としても呼び声の高い人気曲。15 のソナタの末尾には、通奏低音なしの無伴奏ヴァイオリンで弾かれる壮大なパッサカーリャが付されています。本盤では通奏低音陣にも稀代の腕利きばかりが集まり、多彩な楽器による的確なサポートの上で繰り広げられる変幻自在のガット弦語法は、およそ他の追従を許すものではありません。並居る競合盤をものともしない、本場奏者ならではの境地——Arcana の底力をしめしてやまない傑作盤!!
Mer-A414
(2CD)
(国内盤)
\4515
ハイドン:弦楽四重奏曲集 作品33&42
 〜ピリオド楽器による弦楽四重奏曲全集 4 *〜
弦楽四重奏曲集 作品 33「ロシア」
 1) 弦楽四重奏曲ト長調 op.33-5 Hob.III-41
 2) 〃変ホ長調op.33-2 Hob.III-38「冗談」
 3) 〃ト短調 op.33-1 Hob.III-37
 4) 〃ハ長調 op.33-3 Hob.III-39「鳥」
 5) 弦楽四重奏曲ニ長調 op.33-6 Hob.III-42
 6)弦楽四重奏曲変ロ長調 op.33-4 Hob.III-40
 7) 弦楽四重奏曲ニ短調「スペイン」op.42 Hob.III-43
* 2009 年最新リリースシリーズ最終巻!
フェシュテティーチ四重奏団(古楽器使用)
イシュトヴァーン・ケルテース、
エリカ・ペテーフィ(vn)
ペーテル・リゲティ(va)
レジェー・ペルトリニ(vc)
ハイドン歿後200 周年に、たいへんな朗報!
休眠状態だったARCANA レーベル復活、この「超・傑作」全曲録音シリーズがカタログに復活します !!
最先端の研究成果をふまえての校訂版と古楽器を使ったケタはずれの名演、初リリースの最新巻からご案内!
Erato のミシェル・ガルサン、Naive のヨランタ・スキュラに次ぐフランス古楽ディスク界の大御所、故ミシェル・ベルンステンが立ちあげたARCANA レーベルは、古くはビオンディやアレッサンドリーニの躍進期を支え、その後もエンリーコ・ガッティ(vn)、グナール・レツボール(vn)、クイケン兄弟&一族、バドゥラ=スコダのフォルテピアノ録音…と、世界最大の古楽奏者たちとの強力なタッグにより途方もない名盤群をつくりつづけてきましたが、2 年前に創設者ベルンステン氏が亡くなり、以来休眠状態で商品流通もストップ。しかし昨年末に復活をとげ、これに伴い日本代理店も移行しました(詳細はまたいずれ)。
まずはハイドン・イヤー、この全9巻からなる傑作全集録音を、2ヶ月ごと3巻ずつのペースで完全解説付にてお届けいたします!
ウィーン、ドイツ、フランスの古楽界で鍛えれられまくったハンガリー(ハイドンとゆかりの深い国ですね)の精鋭4人によるフェシュテティーチSQ は、いまだ数少ない「ピリオド楽器弦楽四重奏団」のパイオニア的存在——鮮烈なまでの演奏力と歴史的省察の双方に長けており、このハイドン全集も初期作品の軽妙さから中期作品の対位法的パースペクティヴ、晩期作品のとほうもない深み…と、古楽演奏の通念をくつがえす名演ぶりで様々なディスク賞を続々獲得してきました。
ベルンステン氏の急逝でリリースされずじまい、今回が世界初リリースとなる「第4巻」は、ハイドンが10 年の沈黙を破って1783 年に発表し、ウィーンに弦楽四重奏ブームを巻き起こすことになった「最初の本格的にハイドンらしい」四重奏曲集であるユーモアたっぷりの作品33と、異形の単独曲「スペイン四重奏曲」を収録。前者はモーツァルトをいたく刺激して「ハイドン・セット」を書かしめたことでも有名なシリーズです。
研究現場の最先端から届いた最新校訂の楽譜を用い、曲の持ち味である「4パートの対等性」を見通しよく聴かせ、絶妙のドラマづくりで聴き手をふりまわす解釈は、何度聴いても発見のある、ほんとうにすごい深さ! この全集を知らずして、もはやハイドンと弦楽四重奏は語れません!

ARCO DIVA

UP0113
(国内盤)
\2940
カルミナ・ルクセンブルギアーナ
 〜ルクセンブルクとボヘミア 14世紀から21世紀へ〜
ギヨーム・ド・マショー(1300〜77)
 1. アニュス・デイ 〜『ノートルダム・ミサ』より
ヨセフ・スーク(1874〜1935)
 2. チェコの古い賛美歌「聖ヴェンツェスラス」への瞑想
オトマル・マーハ(1922〜2006):
 3. シンフォニア・ダ・カメラ
シルヴィエ・ボドロヴァー(1954〜):
 4. カルミナ・ルクセンブルギアーナ
  〜弦楽合奏のための
マルセル・ヴェングレール(1946〜):
 5. ノヴェレッテ 〜アルト・サックスと弦楽のための
ルネ・メルツィヒ(1911〜86):
 6. 弦楽合奏のための三つのスケッチ
ギヨーム・ド・マショー/ボドロヴァー編:
 7. アニュス・デイ & イテ・ミサ・エスト
  〜『ノートルダム・ミサ』より
マレク・シティレツ指揮
クワトロ室内管弦楽団
はっきりいって、おそらく「予想をはるかに上回る」カッコよさです——
「チェコの弦」の底力ここにあり、現代楽器アンサンブルが織り成す、中世末期から現代までの「ほんとうに美しい響き」の連続! 流し聴いてよし、聴き込んでよしの名品ばかり!
「古楽と現代のクロスオーヴァー」企画を、もうひとつ——こちらはチェコのArcoDivaからの新譜でございます。まともにチェコ風ラテン語読みすると「ツァルミナ・ルツェンブルギアナ」なんでしょうが…まあ、わかりやすく読んでおきましょう。チェコなのになぜ「ルクセンブルク」なのか? それはこの国の王様が、14 世紀以来ひとときルクセンブルク公爵家の出身者ばかりだった時期があるから——1310 年、ルクセンブルク家のヤン盲目公がボヘミア王家のエリシュカと結婚、この地の為政者となり、その息子がほかでもない、昔からチェコで聖王と崇められているヴェンツェスラス王なのでした。かくて、このプログラムはルクセンブルクの駐チェコ大使の肝煎りで制作されたもので、演奏は「弦の国チェコ」の伝統をみずみずしく今に伝える気鋭集団、クワトロ室内管弦楽団。現代チェコの「4人組」と呼ばれるボドロヴァー、フィシェル、ルカーシュ、マーハらにあやかった名をもつこのアンサンブル、さすがはチェコ!という機動力と音色の滋味で、冒頭1音からいきなり魅了されること間違いなし——
その「冒頭」を飾るのは、なんと14世紀アルス・ノーヴァ最大の作曲家、マショーというから驚きです(彼こそは、上述のヤン盲目王の秘書をつとめたことのある人物なのだとか)。昨今、弦楽四重奏団が中世ルネサンスの作曲家を演奏会でとりあげるのが静かなブームですが、彼らはピリオド奏法などどこ吹く風、の弾き方なのにもかかわらず、さながらヴォーン・ウィリアムズやブリテンらの中世風弦楽合奏曲のように、それがすごくぴたりとマショーの響きにハマるハマる、めちゃめちゃカッコイイんです! その後につづくのは20 世紀以降の作品ばかりですが、自意識満々のコワい前衛曲はいっさいなし、ずーっとペルトかグレツキか、といった真摯な音楽がつづき、演奏の飛びぬけたウマさとあいまって、現代楽器の弦楽合奏を聴く喜びをしみじみ噛み締めることに。青を基調に14 世紀写本を配した美しいジャケットを眺めながら、じっくり響きの美しさに身をあずけたい良盤です。前頁のル・ポエム・アルモニークとあわせて展開すれば、「古楽と現代のクロスオーヴァー」なんて技ありなテーマ棚の骨子に(膨らませ方が楽しそうですね…)。ご注目を!
UP 0028
(国内盤)
\2940
ハンス・プフィッツナー(1869〜1949):
 1. 弦楽四重奏曲第 2 番嬰ハ短調 op.36
アルノルト・シェーンベルク(1874〜1951):
 2. 弦楽四重奏曲第 4 番 op.37
ヴィハン四重奏団
中欧きってのスーパー・カルテット、充実の腕前あればこその近代大作解釈!うっかり手を出すとやけどしそうな難曲ふたつを、滋味たっぷり&シャープなセンスで悠々ひきこなしてしまう腕前は、圧巻そのもの——何度も聴き極めたくなる、この充実度!
「弦の国」チェコのきわめてハイレヴェルな弦楽四重奏シーンにひしめく精鋭たちのなかでも、ヴィハン四重奏団はちょっと飛びぬけた存在!
ターリヒSQ やシュターミツSQ、プラジャークSQ などと同様、チェコのみならず国際的な舞台に出てもなお絶大な評価を受け続けているグループで、同じく気鋭カルテットだらけの英国でも熱心に支持されているあたりでも、ホンモノっぷりをいやおうなく印象づけてくれる名団体。
ご存知のとおり、音楽大国チェコの「いま」をリードする音楽事務所が経営するArcoDiva レーベルは、近年の彼らのアルバム制作を全面的にバックアップしていますが、なかでもヴィハンSQ でなくては企画立案さえ浮かんでこなかったであろう「難題」をみごとクリアしてみせたのが、この近代作品2編からなるアルバム! かたや「ややこしすぎる!」との批判もよく受けたプフィッツナーの最盛期の大作(1925 年作)、かたや新ウィーン楽派のシェーンベルクが、米国亡命後はじめて意識的に十二音技法を使ったという問題作(1936 年作)——どちらも難曲中の難曲で、ハンパな気持ちで演奏しようものなら、音楽にさえならなそうな厄介な作品といえましょうが、このアルバムを聴いたなら、現代におけるその理想的な解釈者がヴィハンSQ 以外にありえないことはすぐにわかるでしょう。
チェコの弦楽器奏法の伝統をよく踏まえて滋味深いサウンドを描きあげる腕は超一流、なのに曲構造をきれいに見通して、シャープなサウンドに仕上げてみせる腕にも事欠かない…ある意味で晩期ロマン派的な情緒表現がまだまだ健在だった20 世紀初頭の2作品、しかし作品の「かたち」をちゃんとわかりやすく出さないと、もごもごと重めの和音の塊が転がるように聴こえてしまう——相反する魅力のありようを、ヴィハンSQは両面ともきれいに打ち出して、ふかい感慨を与える演奏に仕上げています。
20 世紀の弦楽四重奏にいまひとつピンと来なかった室内楽ファンの方々も、この1枚で「新たな世界」の面白さにすんなり入ってゆけること必至! たんに「濃密な四重奏曲の傑作を」という方にも安心してお奨めできる名盤です!

FUGA LIBERA

MFUG524
(国内盤)
\2940
レオ・ブローウェル(1713〜51):
 1. ギター協奏曲第3番「悲しみの協奏曲」
 2. 三つの協奏的舞曲
 3. ギター五重奏曲〜ギターと弦楽四重奏のための
ドゥニ・スンホ(ギター)
トゥルネー・シャペル・ミュジカル室内合奏団
(指揮:フィリップ・ジェラール) アルファマ四重奏団
ストレートな南国情緒を、爽快なサウンドでスマートに——
押しの一手で迫らない、フランス映画のように「静々と迫力をみせる」この上品なるブローウェル像!・・・と思いきや、録音希少なギター五重奏曲はロックなパワー全開!とにかくウマイです!
レオ・ブローウェル——ご存知、現代キューバを代表する作曲家にして稀代のギタリスト、クラシックの世界にあって、難解な現代臭とはまるで無縁なのに、明らかに新しい、鋭角的なリズムと叙情的な語り口で、(クラシックを知らない人も含め)誰が聴いてもエキサイトせずにはおれないようなロックな語法をつむぎだす才人。
ギター弾きのあいだではつとに知られた巨星ですが、若き俊英・大萩康司氏のそれをはじめソロ作品は無数の録音に恵まれている一方、意外と出てこないのが、それ以外の作品。ここに登場するベルギー勢の録音は、そうした状況に風穴をあける待望の協奏的作品&室内楽アルバムでございます!
MFUG554
(国内盤)
\2940
アルビノーニ:オーボエ協奏曲全集
 1. オーボエ協奏曲作品 7-3
 2. オーボエ協奏曲作品 7-6
 3. オーボエ協奏曲作品 7-9
 4. オーボエ協奏曲作品 7-12
 5. オーボエ協奏曲作品 9-2
 6. オーボエ協奏曲作品 9-5
 7. オーボエ協奏曲作品 9-8
 8. オーボエ協奏曲作品 9-11
パウル・ドンブレヒト(バロックob)指揮
Ens.イル・フォンダメント(古楽器使用)
ついに出た——王道ど真ん中、押しも押されぬバロック・オーボエの巨匠ドンブレヒトが満を持して臨んだ、貴重な古楽器によるアルビノーニのオーボエ協奏曲全集!
木材の触感たしかな、温もりある美音が、自在にうたい、小編成の弦とからみあう快感!
昨今は協奏曲でもオペラでもヴィヴァルディ復興が爆発的に進んでいますが、そのライヴァルたるアルビノーニは(器楽・声楽とも同じくらい多作だったにもかかわらず)なぜか驚くほど新録音が出てきません。クレメンチッチが最近リリースしてくれたセレナータも含めて声楽方面はまだまだ録音が希少、というかそもそも重要な器楽作品の古楽器録音さえ滅多に出ないありさま——とくにオーボエ協奏曲は(ヴィヴァルディにさきがけてオーボエをソロ楽器たらしめた傑作ばかりなのに)いまだにモダン楽器奏者たちのほうが熱心に録音しているくらい。パッヘルベルのカノン状態です。バロックをよく聴き込んで来られた方々なら、あのコレッリ風均整とヴィヴァルディ風の華やかさとを両方そなえた作風や、オーボエの伸びやかさと機動性とが両方きわだつメロディラインの美を、ちゃんと当時流のサウンドで堪能したいという方も多いでしょうに…
と、そんな現状を打破するような傑作アルバムが、古楽大国ベルギーから登場いたします! 忘却の淵にいたところから昨今復権めざましいバッハの同時代人、ファッシュの傑作組曲集(MFUG502)によって一躍その名を印象づけた名団体イル・フォンダメントによる、超・高次元の名演!! 3/3/2/2/1 のバランスよい小編成の弦楽の上で、絶妙の鄙びかげんで温もりあふれる美音を躍らせるソロ奏者は、このアンサンブルの主宰者たる大御所、パウル・ドンブレヒトその人なのです!
ドンブレヒトといえば、ブリュッヘンやレオンハルト、クイケン兄弟といった巨匠たちがまだ大スター扱いされるようになる前から、彼らの重要な録音のオーボエ・セクションを担ってきた、バロック・オーボエの一大権威ともいえる存在でしたが(SEONやACCENTのアルバムにもよくクレジットされていました)、昨今は指揮活動がむしろメインのような印象もあったところ、このアルビノーニ・アルバムは明らかに他の追従を許さぬスーパープレイヤーぶりをあらためて知らしめてくれる、ソロ奏者ドンブレヒトここに健在!と嬉しく感じられるアルバムとなりました。
MFUG550
(国内盤)
\2940
〜19 世紀、ホルンの進化とベルギー人〜
マルタン=ジョゼフ・メンガル(1784〜1851):
 1. 八重奏曲(1820 頃)
  〜6本のホルンと2本のトロンボーンのための
レオン・デュボワ(1859〜1935):
 2. 八重奏曲(1895)
 〜8本のクロマティック・ホルンのための
リュク・ベルジェ(ナチュラル・ホルン/ヴァルヴ付19 世紀ホルン)
ブリュッセル王立音楽院ホルン合奏団(古楽器使用)
信じられないほどウマい!ピリオド楽器のホルン合奏、それも「ヴぁルヴあり/なし」両方で!いちど聴いたら、かならずヤミツキになる! なんてたおやか、なめらかなピリオド金管のブロウの重なり...さすが古楽大国ベルギー、演奏陣の層、厚いです!Fuga Libera の主宰者はブリュッセル王立音楽院出身、現在も教鞭をとっている現役の音楽学者でもあるわけですが、自国の芸術の復興にも意欲を燃やす彼のセンスなくしては、こんな企画が録音として実現することもなかったかもしれません(ちょっと前のCypres で、ジョンゲン・アルバムを続々制作したのもこの人です)。①「19 世紀の壮大な金管八重奏曲がふたつ」というだけでもレアですが、②それが両方ピリオド楽器で、③しかもヴァルヴなしのナチュラルホルンだけでなく、ヴァルヴつきの19 世紀ホルンも使いながら、④片方はもうドビュッシーやフォーレの時代の音楽...ここまでで四つもユニークなセールスポイントがあるわけです、そしてその上⑤演奏が信じられないくらい、ウマい! なにしろベルギーは古楽大国、同国内だけでもピリオド楽器のオーケストラが続々。さらに、古楽シーンはフランスやオランダともつながってますし、管楽器奏者たちもそうそう各アンサンブル兼任というわけにはゆきませんから、畢竟、最前線で腕をみがく精鋭たちが続々登場することに。で、特に員数が必要なホルン・セクションは音楽院の学生たちからしてレヴェルが高いときている——というわけで、本盤もシャンゼリゼ管のソロ奏者たるリュク・ベルジェが、ブリュッセル王立音楽院の生徒・卒業生たちを駆り集めて演奏したわけですが、彼らの腕の確かさときたら、言葉を失うほど——現代ホルンの比ではないくらいコントロールの難しい(時にはヴァルヴさえない)19 世紀ホルンから、おどろくほど整った、自由自在のアンサンブルを引き出してみせるのです! 気になる曲目は、どちらもベルギーの音楽院で19 世紀の初頭と晩期に活動した管楽器奏者=作曲家、メンガルとデュボワの作品。サクソフォンの発明者アドルフ・サックスの活躍したベルギーは、近代管弦楽の管楽器改良に大きく寄与した国で、ここでは前者がヴァルヴなしナチュラルホルンで、後者がヴァルヴ付の19 世紀末モデルによるホルンで演奏されます。古典派晩期の充実した書法がきわだつメンガルの作品もすばらしければ、フォーレかワーグナーか…といった繊細な瞬間に事欠かないデュボワの世紀末作品もみごと! 古いホルンの響きの諧調はいとも細やか、弦楽器とはまるで異なるニュアンスの妙味は、各20〜30 分の作品が短く感じられるほど「また聴きたくなる」こと必至です!音楽の美がピリオド楽器の楽音の美ときわめて密接にむすびついた、忘れがたい1 枚!
MFUG 548
(国内盤)
\2940
マーラー(1860〜1911):
 1. 交響曲第4番
 (シェーンベルクとリーンによる室内楽編曲版)
アルノルト・シェーンベルク(1875〜1951):
 2. 六つの管弦楽伴奏付歌曲
 (シュタインとアイスラーによる室内楽編曲版)
アンサンブル・オクサリス
ロール・デルカンプ(S)
精鋭集団オクサリス、またもや絶美の“室内楽編曲版”——十二音技法以前のシェーンベルクが描き出した“ウィーン世紀末の美”が、マーラーのそれと重なるとき...クリムトの壁画のように、透明感あふれるサウンドのなか緻密さとスケール感が併存する!
巨大編成のオーケストラ作品の緻密な楽曲構造をあざやかに解きほぐし、見通しのよい室内楽編成でその「からくり」を解明してみせる「室内楽編曲」——新ウィーン楽派のシェーンベルクお得意のこの手法は、もとをただせば彼が限られた財力のなかで運営していた「私的音楽協会」の演奏会が、オーケストラなど雇えず数人の演奏者からなる室内楽コンサートとなっており、そこで(当時まだ広く知られていなかった)マーラーやブルックナー、ドビュッシーら近代作曲家たちの大作を紹介するための、やむにやまれぬ手段でした。
しかしそこはシェーンベルク、こうした室内楽編曲がいかに意義深く作品研究に役立つかをすぐに見抜き、後年に弟子たちを育てるさいにも、積極的に同種の既存楽曲編曲をさせて指導したそうです。
ベルギーきってのユニークな室内楽グループであるオクサリスは、すでにマーラー「大地の歌」のシェーンベルク編曲版によってそのクリアかつエキサイティングな面白さを披露してくれていますが、今回は堂々、マーラーの交響曲の編曲版でその魅力をたっぷり堪能させてくれます!
あのヘット・コレクティーフの「音楽の捧げ物」で精妙そのものサウンドを聴かせてくれた面子がかなり混じっており、曲構造をきれいに浮き彫りにするアンサンブル力はヨーロッパ屈指といっても過言ではなく、濃密な退廃美を絶妙の匙加減でうっすら漂わせた響きの妙には、ドイツ語圏のグループにはない魅力たっぷり(古楽解釈風というか、ブーレーズ風というか…)!ゆたかな自然美を感じさせる曲そのものの味わいもまるで損なわれません。
そして併録は、前衛技法を確立する前のシェーンベルクが、「浄夜」と同じ頃に書いた「六つの歌曲」を高弟ふたりが編曲したヴァージョン——この曲を好んでとりあげる管弦楽指揮者の解釈だとなかなか伝わりにくい(?)晩期ロマン派ふうの世紀末情緒がきれいに際立つサウンドは、必聴!難渋なシェーンベルク観も一新されるでしょう。
両作品とも独唱は「ヨーロッパきっての前衛芸術国」ベルギーの現代音楽シーンで大活躍中のデルカンプ!デカダンな美声、ぴったりです!
MFUG551
(国内盤)
\2940
ドゥメネク・テルデーリャス(1713〜51):
 1. 歌劇『メローペ』(1743)
  〜序曲と三つのアリア
 2. 歌劇『アルタセルセ』(1744)〜二つのアリア
 3. 歌劇『エジプトの王セソーストリ』(1751)
  〜序曲と四つのアリア
 4. カタラン語カンタータ「なんと悲しい出来事が」
マリア・グラツィア・スキアーヴォ(ソプラノ)
Ens.ドルチェ・エ・テンペスタ(古楽器使用)
ヘンデルとグルックのはざま、国籍と歴史のいたずらで忘却に追い込まれてしまったものの、生前おそろしいほどの影響力をみせた早世の天才、テルデーリャス!当時の名声に納得のゆく、饒舌そのものの初期古典派アリアは、あまりに面白い...!
1990 年代半ば——映画「カストラート」のヒットにより、18 世紀のオペラに世界全体があらためて注目しはじめてから早15 年。ヨーロッパの歌劇界ではハッセやヨンメッリ、ポルポラ…といったナポリ楽派周辺のオペラ作曲家たちがずいぶん復権を遂げつつありますが、この古楽復興ブームの勢いのさなかにあって、なお見過ごされてきた天才がいたのです! 18 世紀初頭までナポリがスペインの属領だったことから、つてを頼ってバルセロナからナポリに出て修業をつんだ作曲家テルデーリャスは、その後1740 年代(英国ではヘンデル晩期、パリではラモー最盛期、マンハイムではシュターミッツが活躍をはじめた頃…最晩年のバッハが、かつての弟子シャイベに「古くさい」と批判された時代です)のローマで、レチタティーヴォや管弦楽まで手を抜かない新機軸のオペラによって絶賛を博し、1751 年に惜しくも早世したものの、その後もパリの百科全書派や英国の音楽著述家バーニーらによって、当代最高かつ革新的なオペラ作曲家と讃えられたのでした。なんでもバーニーによれば、グルックやトラエッタにさきがけて管弦楽伴奏付レチタティーヴォを作曲しはじめたのは、このテルデーリャスが最初だったとか。しかし、それほどまでにイタリア・オペラ界に貢献したのに、イタリアの音楽史家たちは「スペイン人でしょ?」と彼を見過ごし、スペインの音楽史家たちも「イタリア音楽にしか関係のない人でしょ?」と研究を怠り、その真価はつい最近まで忘れられたまま…しかしどうでしょう!フランスのバロック・オペラ界で熾烈な競争をくぐり抜けてきた名花スキアーヴォの迫真の超絶技巧歌唱と、ドラマティックな表現ならお手のもののイタリア古楽精鋭陣が織りなす絶品演奏は、このテルデーリャスという人が再評価に値する、いや是非聴かれなくてはならない天才だったことを印象づけてやみません。手の混んだメロディ、あでやかな和声進行、鮮烈なコントラスト…タルティーニやヴィヴァルディの協奏曲のソロを歌にしたような、至高のバロック・サウンド!
MFUG515
(国内盤)
\2940
アリアーガ :知られざる傑作アリア 他、声楽作品
 1.おお、救いの生贄(オ・サルタリス・ホスチア)
 2.聖母は立てり、悲しみにくれ(スターバト・マーテル)
 3. エール「希望を持ってよいのか、おお不幸なる自分よ」〜
   『コロヌスのエディプス王』より
 4. カンタータ「エルミニ」
 5. エール「婚礼の神よ、空なる恐怖を散らしたまえ」〜
   『メデー』より
 6. 二重唱「いけないのは重々、わかってはいるけど」〜
   『オロール伯母さん』より
 7. 二重唱「砂漠のハガル」
パウル・ドンブレヒト指揮
イル・フォンダメント(古楽器使用)
フィオレト・セレナ・ノールダイン(S)
ロバート・ゲチェル、
ミカエル・ステンバーク(T)
ヒューベルト・クラーセンス(Bs-Br)
ブリュク・ヴァテレ(ボーイソプラノ)
ベルリオーズより遅く生まれ、ベートーヴェンより先に亡くなった…フランス王政復古期を駆け抜けるように生き抜いた、スペイン生まれの天才アリアーガの至芸を真の意味で伝える、貴重なアリア集——演奏最高、流通希少だった幻の名盤をどうぞ!
ヨーロッパ芸術音楽史上、おそらく最も若くして亡くなったのが、スペイン生まれの天才作曲家、アリアーガでしょう。何しろ享年、20 に満たず——
しかしその音楽は同時代人たちを瞠目させ、故郷ビルバオと後年はパリで作曲された僅かばかりの現存作品(とくに1曲の交響曲と3曲の弦楽四重奏曲)は、今のクラシック・ファンにも熱心な愛好家が少なくありません! ベルギーの精鋭古楽器集団イル・フォンダメントは、この天才の傑作群をはじめて全面的に(ここが重要——
交響曲だけなら先例があります)古楽器演奏でとりあげてくれたわけですが、交響曲・序曲集(MFUG522)が根強く売れているところからも、日本におけるアリアーガ・ファンの情熱は伝わってこようというもの。しかし、イル・フォンダメントのアリアーガ探究は、器楽作品だけにとどまりませんでした——
本国リリースはこちらが先だったのですが、ここにご紹介するアルバムは、現代楽器でもめったに演奏されてこなかったアリアーガの貴重な声楽作品群をたんねんに集め、1枚のアルバムにまで作りあげたもの——
歌い手は古楽オペラ界きっての腕利きぞろい、もちろんオーケストラにも古楽界で最も多忙な気鋭奏者が集まり、秘曲をただ発掘しただけでなく、すばらしくインテンスな演奏でその魅力をひろく知らしめる、そんなポテンシャルに満ちたトラックの連続なのが嬉しいところ!前半ふたつの宗教曲はビルバオ時代の作とされ、古風なスタイルのなかにも初期ロマン派風のドラマティックな和声感覚が発揮され、とくにキリストの死と聖母マリアの悲しみを歌った「スターバト・マーテル」はえもいわれぬ真摯な表現が胸を打ちます。残る曲は「歌劇習作集」と題されているものの、実体は既存のオペラなどから歌詞を抜粋して作られた、堂々たる演奏会用アリアの連続…壮大な二重唱「砂漠のハガル」をはじめ、革命期風とロッシーニ風の間をゆく(つまり、ベートーヴェンの泥臭さを洗練させたような)ドラマティックな傑作の数々が名手たちの絶品解釈で冴えわたり、手を抜かぬ伴奏部分の面白さは第一級の管弦楽曲としても愉しめる…さすが天才アリアーガ!聴き逃すのはあまりに惜しい名盤です。

GRAMOLA

GRML98795
(国内盤)
\2940
地中海の歌さまざま 〜スペインからマルタまで〜
 チャールズ・カミレリ(1931〜)
 マヌエル・デ・ファリャ(1876〜1946)
 モーリス・ラヴェル(1875〜1937)
 ヴィチェンツォ・ベッリーニ(1801〜35)
 ジョアッキーノ・ロッシーニ(1792〜1868)
  ①七つのスペイン民謡(ファリャ)
  ②三つのマルタの歌(カミレリ)
  ③ヴェネツィアのレガッタ(ロッシーニ)
  ④五つのギリシャ民謡(ラヴェル)
  ⑤マルタの夏の夜(カミレリ)
  ⑥ユダヤの調べ(ラヴェル)
  ⑦アラビアの歌(カミレリ)
  ⑧スペイン民衆の歌(ラヴェル)
  ⑨フランス民衆の歌(ラヴェル)
  ⑩五つのマルタ民謡(カミレリ)
  ⑪三つのアリエッタ(ベッリーニ)
リディア・カルアナ(ソプラノ)
パウル・グルダ(ピアノ)
地中海を西から東まで、スペイン、シチリア、イタリア、そして東のマルタ島へ——
「マルタの宝石」と讃えられた名歌手カルアナが、雰囲気満点の“声”で魅せます!
音楽大国オーストリアが誇るGramolaレーベルは、ドイツ=オーストリア系作品の“本場ならでは”なアルバムを次々とリリースしてくれている一方で、世界各地にまなざしを注ぎ、いろいろな地域の地方性をつよく感じさせるアルバムを折々に繰り出してくるから侮れません。
今回ご紹介するこのアルバムにいたっては、かのウィーンの巨匠の多芸なる息子パウル・グルダの表現豊かなピアノに乗せ、地中海はマルタ島からの大歌手が、さまざまな「南国」の芸術歌曲アンソロジーを聴かせてくれる・・・まさしく、これからの季節にぴったりの南国サウンド炸裂!なのでございます。
前のブローウェルが「納涼サウンド」なら、こちらは南欧料理とワインで陽気にやりましょう、とでもいうように、否応なしに聴き手を引きずり込んでくる「容赦ない本場の響き」が魅力!
GRML98844
(国内盤)
\2940
作曲家としてのフェデリコ・ガルシア・ロルカ
 〜ロルカ ギター伴奏によるスペイン歌曲集〜
フェデリコ・ガルシア・ロルカ(1899〜1936):
 ①アンダ・ハレオ(さあ、暴れろ)
 ②セビーリャの子守唄③巡礼者たち ④4人の暴れ者
 ⑤3枚の葉⑥ハエンのモーロ娘
 ⑦18 世紀のセビリャーナス⑧ラ・タララ
 ⑨モンレオンの若い衆ども⑩ドン・ボイソの武勇伝
 ⑪チニータのカフェ⑫トランプの王様たち
 ⑬ねむれ、わたしの坊や
 ⑭カスティーリャの秋の歌
 ⑮ソロンゴラファエル・カタラ(1960〜):
  ロルカの詩のための音楽(ジプシーのセギリヤ)
  ⑯風景 ⑰ギター ⑱叫び ⑲静寂
  ⑳セギリヤのパソ (21)そして、それから...
カルロス・アルバレス(バリトン)
ラファエル・カタラ(ギター)
詩人であるとともに作曲家でもあった——フラメンコを現代に甦らせた「音楽家ロルカ」。その旨味たっぷり、同じアンダルシアの血が流れる名歌手アルバレスが歌い上げる!しかも、伴奏はピアノでなくギター...大御所カタラの、切れ味抜群のサウンドに酔う!スペインと、男声オペラ歌手——古くはアルフレード・クラウス、近年ではドミンゴにカレーラス、イタリア人のように情熱と人間味あふれる声、しかし独特の異国情緒…彼らスペインの一流オペラ歌手たちに共通しているのは、自国の音楽芸術を大切にしていること。今あげた3人は、スペイン独自の歌劇文化であるサルスエラも歌いこなす名人でした。さて、今回ここでご紹介するのは(なぜかウィーンのGramola からの新譜ですが)そんなスペインの「いま」を支える名歌手、カルロス・アルバレスのソロ・アルバム——これが、注目ポイントだらけの優良盤なのです! まず曲目は、ファリャやプーランク、ギタリストのセゴビアといった近代クラシックの大御所たちの友人でもあり、国民的詩人として愛された文学者でありながら、作曲もこなし、近代フラメンコの復興に大きく寄与もしたガルシア・ロルカ(あらためて紹介するまでもないですね…世界的に有名なスペイン人です)の作曲した歌がメイン。よくファリャやアルベニスなどのスペイン歌曲集に、詩人の余技といった感じでおまけのように入っている「ロルカ作曲」の歌を、ここでは堂々15 曲とりあげ、プログラムのメインに据えています。えもいわれぬ淋しさをたたえたメロディは、世界屈指の名歌劇場のひとつ、バルセロナのリセウ劇場で10年近く主役格を張ってきたアルバレスの太く暖かい声に乗り、においたつようなスペイン情緒、いやアンダルシア情緒が漂う...なにしろ作曲者ロルカも歌い手アルバレスも同じアンダルシア出身、発音もおのずとアンダルシア訛り、筋の通った「本場の響き」はスペインものに一家言ある玄人ファンにも強烈にアピールするはず! しかも伴奏はピアノではなくギター——その弾き手は、2004 年ベルガンサ来日時に伴奏をつとめた大御所、自ら作曲もこなすバレンシアの天才、ラファエル・カタラ! 隅々まで磨き抜かれた完璧な技巧もさることながら、後半ではロルカの詩を朗読するアルバレスの声にあわせて弾かれる新作楽曲も。これが『プラテーロとわたし』のような、雰囲気満点のトラックだったり。いっさい手抜きなし、いとも高雅な、磨き抜かれた超一級スペイン・アルバム・・・これからの暑い季節、贅沢なくつろぎの時間を素敵に演出してくれます!
GRML98816
(国内盤)
\2940
プレイエルのソナタとソナチネ
 〜1831 年製作の歴史的プレイエル・ピアノによる〜
イグナス・プレイエル(1757〜1830)
 1. ロンド・ファヴォリ変ホ長調 Ben. 613
 2. ソナチネ変ホ長調 Ben.579
 3. ソナチネニ長調 Ben.578
 4. ソナタト長調 Ben.572
 5. ソナタ変ロ長調 Ben.571
 6. ソナタニ長調 Ben. 436
 7. アンダンテ変ロ長調 〜ソナチネ Ben.577より
 8.ロンド・ファヴォリイ長調 Ben.114
マーシャ・ドミトリェヴァ(P/プレイエル1831 年)
繊細さをもって知られる「ショパンのピアノ」の作り手は、自身、売れっ子作曲家だった——ハイドンの愛弟子にしてライヴァルだった、時代を先取りするような作風を最も鮮やかに伝えるのは、19 世紀オリジナルのプレイエル・ピアノの、詩的な音色美!ショパンの愛したピアノは、パリのメーカー、プレイエル社のもの——しかして、このプレイエル社を興したのが、楽譜出版人でもあり、ハイドンの愛弟子にしてライヴァルでもあった気鋭作曲家だったことをご存知でしょうか? って、明敏なバイヤーさまには釈迦に説法ですね…そう、本盤はそのプレイエルの作品群を、あろうことか、彼がまだ生きていた頃のプレイエル社オリジナルによる古楽器で弾いてしまうという豪華なプロジェクトなのです。それも、プレイエルの祖国オーストリアが誇るGramola から、とびきり弾けた演奏解釈で!ニーダーエスターライヒ地方のルッペルスタルという小村に生まれたプレイエル(彼の母語であるドイツ語では「イグナッツ・プライエル」)は、まずストラスブールの大聖堂で、マンハイム楽派の大御所F.X.リヒターのもとで大聖堂の副楽長となり、この巨匠が亡くなった後は楽長職を受け継ぎます。この間ハイドンに教えを受け、みるみるうちに“パパ・ハイドン”の器楽曲作法を吸収咀嚼したプレイエルは、ごく短期間のうちに「楽譜が最も売れる室内楽作曲家」となり、250もの作品を次々と出版、それらはパリからロシア、さらにニューヨークでまで飛ぶように売れてゆきました。1784 年にはモーツァルトもその質に驚きを隠せず「彼の時代になったら、ハイドンさえ追い落としてしまうかもしれません」などと手紙で書いているほど——1790 年代には、ロンドンでハイドン人気への「対抗馬」としてプレイエルをかつぎ出す連中も出たほどでした。昨今は徐々にプレイエル作品の再評価も進んでいるようですが、特に遅れていたのがこれら、ピアノのための作品群! その後1807 年に自らピアノ・メーカーを起こすくらいピアノに造詣の深かったプレイエルですが、こうして独奏曲がCD でまとめて紹介されるのは、世界でも初めてではないでしょうか。で、これがなんと——路線としては「ハイドンよりモーツァルト」という感じで、スムースな流れのなかに周到きわまる書法が緻密な音楽を紡いでゆくさまは、なるほど人気が出たわけだ、と納得せずにはおれません。注目すべきは、大ソナタだけでなく(モーツァルトのそれのような)軽妙なロンドあり、あるいはソナチネが幾つもあるところ——このソナチネがクセモノで、短いくせに楽想展開は雄大そのもの、短さを忘れるスケールの大きさはちょっと必聴です(ある意味、ベートーヴェンの初期ソナタなみに…いや、それ以上に面白いかも)! 演奏者はモスクワ音楽院直系のロシア・ピアニズム系奏者なのですが、プレイエル1831 年のオリジナルの魅力をみごと引き出し、かそけき弱音の繊細さから(楽器の限度をよくふまえたうえでの)雷のようなフォルテまで、自由自在の「フォルテピアニズム」には驚きあきれるばかり!はっきりいって、ウマいです。

PAN CLASSICS

PC10205
(2CD)
(国内盤)
\4515
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3〜6番
 〜2008 年度レコード・アカデミー賞の興奮、再び!〜
ベートーヴェン(1770〜1827):
 1. 弦楽四重奏曲第3番 作品 18-3
 2. 弦楽四重奏曲第4番 作品 18-4
 3. 弦楽四重奏曲第5番 作品 18-5
 4. 弦楽四重奏曲第6番 作品 18-6
ミケランジェロ四重奏団:
ミハエラ・マルティン、
ステファン・ピカール(vn)
今井信子(va)
フランス・ヘルマーソン(vc)
今井信子参加 ミケランジェロ四重奏団 レコード・アカデミー賞受賞で盛り上がった「あの全曲録音」、待望の第2集ついに登場!
全員ソリストばかりの気鋭集団、充実の解釈と収録内容で「作品18」を制覇——前作の受賞で、注目度は絶頂に…
『レコード芸術』で特選となったのはもちろん、その後2009 年度レコード・アカデミー賞(録音部門)にも輝いたあの鮮烈な「第一弾」(PC10198)から早一年——ようやく待望の「第2弾」が登場いたしました!
今井信子(va)はじめドイツ、スペイン、スウェーデンからの超実力派ソリストたちが、室内楽への情熱を傾ける豪華集団ミケランジェロSQによる、ベートーヴェンの16 曲ある弦楽四重奏曲を全曲録音してゆくプロジェクト、今回は堂々2 枚組で、ベートーヴェンが最初に出版した1800 年の「作品18」の6曲は早くも全て聴けるかたちになります。
まだ音源は到着していませんが、録音技師・服部光一郎氏の話によれば演奏内容も「益々充実」とのこと——第1 番と第2 番が収録されていた前作では、とりたてて声を荒げるでもない落ち着いた語り口にもかかわらず音楽はきわめて緊密、聴き手の耳をぐいと引っぱるでなく、寛がせてニュートラルな鑑賞状態にし、音楽の深みにどっぷり浸らせてくれる…といった、まさにヴェテラン集団ならではのさりげなさと存在感が鮮烈でした。あれを凌ぐ充実度で、ハ短調の第4番をはじめとする曲集後半の傑作群が味わえるとは、なんと豪華なアルバムでしょう!
気鋭の若手集団が放つ丁々発止なオーラも良いですが、ミケランジェロSQのような境地はやはり、彼らがソリストでありながら、同時に出どころ引きどころをわきまえた「百戦錬磨の室内楽のプロ」だからこそ!の「格」の違いを感じさせてやみません(もっとも、ヨーロッパで暮らす芸術家たちだけあって、セッションや編集の現場では「喧々諤々」なのだそうですが)。
PC10217
(国内盤)
\2940
ブラームス(1833〜97):
 1. ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
  第1番 ト長調 op.78「雨の歌」(1878)
 2. スケルツォ〜「F.A.E.のソナタ」より
バルトーク(1881〜1945):
 3.ヴァイオリンとピアノのためのソナタSz.75 (1921)
矢野玲子(vn)
セルゲイ・クズネツォフ(p)
鮮やかに、薫り高く——カントロフ譲りの繊細さ、おどろくほど周到な抑制でしっとりうつくしい弦の美音は自ずから匂いたち、強烈な求心力によって無調の世界でさえ、聴き手を迷わせない。全く対照的な2作品が、どちらも絶品である驚き!
2004 年ジュネーヴ国際コンクールでの首位獲得からはや5年、いつまでも受賞記念のデビュー盤で引っぱるわけにも…と思われるほど、昨今ますます活躍ぶりに磨きのかかってきた若き俊英、矢野玲子。前回のアルバムでは躍進めざましきセルゲイ・クドリャコフのピアノとともに、高雅なサン=サーンスの第1ソナタやショーソンの珍しい小品、鮮烈そのもののバルトークの狂詩曲…といった多彩なレパートリーを披露、さらにコンチェルト・ケルンのヴェルナー・エーアハルトの指揮する気鋭団体ジュネーヴ室内管とともに、ばつぐんの安定感と湧き上がる溌剌さで聴き手を魅了してやまないモーツァルトを披露してくれていました(PC10187・好評発売中)。
それはそれはバランスの良いプログラムでしたが、「本格録音第一弾」となる今回のアルバムを聴いてしまうと、あれはあくまでデビュー記念盤だったのだ…とあらためて居ずまいを正したくなるほどに、彼女の音楽性(技巧はもちろん、音楽性です)が周到なる深まりをみせていて。
「若手奏者が、バルトークと、ブラームス」…というセッティングから想像されそうな、安直な「暑苦しいほどの鮮烈さ、凡百のコブシ」を思い描かれたなら、ここにある音楽は本当に、ほんとうに、“想定外の名演”ということになるでしょう…!
いったい、ブラームスの「雨の歌」を、感傷とは無縁なら無味乾燥とも無縁な、これほど深い抑制でしなやかに描き上げられる若手奏者など、いるのでしょうか? 随所で微かに響きを揺らすだけのヴィブラートが、なんと雄弁に聴き手の心をふりまわすことでしょう…ロシアの気鋭クズネツォフとの息はぴったり、ふたりとも最後まで急ぎすぎず、ただひたすら静かに、曲を紡いでゆく——私たち聴き手の心だけが、どんどん興奮に駆り立てられてゆく、この驚き!
しかしさらに驚かされるのは、無調と民俗的熱狂のはざまで生み出された硬派なる傑作、「雨の歌」とは対極にあるようなバルトークの第1ソナタが、その同じ感性で、強烈なまでの「静かな説得力」でもって歌い上げられてゆくこと…無調をさまよう冒頭部からもう、気迫だけで押すような芸のなさとは明らかに“格の違う”周到ぶり、声を荒げず、釣り込むように自分たちの音響世界にからめとり、熱狂的な終楽章さえ冷静さを欠くことなく、それなのに肝心の瞬間には必ず、炎のような表現が迸る…まったく、圧巻です。
ポーカーフェイスの現代的解釈というのとはまるで違う、とりみださない上品さ、とでも言いましょうか? ちょっとした所作ひとつで立ち昇る香気は、師匠カントロフ譲りなのでしょうか?桁外れの逸材が、育ちつつあります…!

RAMEE

RAM0807
(国内盤)
\2940
トゥーシュムラン:交響曲・協奏曲集
 〜ボンとレーゲンスブルク、ドイツ屈指の宮廷楽団〜
ジョゼフ・トゥーシュムラン(1727〜1801)
 1. 交響曲ヘ長調 作品1−5
 2. ヴァイオリン協奏曲ニ長調
 3. チェンバロ協奏曲ハ長調
 4. フルート協奏曲イ長調
 5. 交響曲ト長調作品1−2
パトリック・エアトン(cmb・指揮)Ens.レザンヴァンシオン(古楽器使用)
独奏: ダニエル・セペッチュ(Vn)
アレクシス・コセンコ(トラヴェルソ)
古典派時代の「5大(?)オーケストラ」のひとつ、レーゲンスブルク宮廷楽団の栄光をつくったフランス生まれの才人作曲家——その師匠は、なんと鬼才タルティーニ!
初期古典派風の交響曲から前ロマン派風の協奏曲まで、多彩な作風を絶品古楽演奏で!古典派の音楽というやつは、知れば知るほど「ハイドンとモーツァルトだけじゃない!」と思わせられる発見ばかり——ハンガリー国境付近やザルツブルクのような片田舎で彼らのような巨匠が実力をたくわえていた頃、ヨーロッパ各地で、同じように強烈な個性を養っていた天才たちの偉業が次々と再発見されているわけですが、本盤の主人公トゥーシュムランはまさしく「快挙」と讃えたい再発見なんです!
生まれはブルゴーニュのフランス人。しかし若くしてイタリアに赴きパドヴァで「悪魔のトリル」のタルティーニに師事し(実は彼の弟子って、めったにいないんですよ)、その後パリで揉まれた時期もありましたが、青年時代はおおむねドイツ西方の、ベートーヴェンの生地ボンの宮廷で着実に実力をつけ、その後バイエルン北部のレーゲンスブルクで宮廷楽団に迎えられ、1783 年には堂々楽長に就任、亡くなる直前まで同職にありました。レーゲンスブルク宮廷楽団といえば、当時ヨーロッパじゅうにその名をはせた名門オーケストラ——世界初のバッハの評伝を書いたことで知られる著述家ニコラウス・フォルケルは、1783 年にこの宮廷楽団をマンハイム宮廷楽団、ウィーン皇室楽団、ハイドンのいたエステルハーザの楽団などとともに、この楽団をヨーロッパ最高級のオーケストラと讃えたほど(つとに有名なパリのコンセール・スピリチュエルを加えたら「古典派時代のビッグ5」といったところでしょうか)。「スウェーデンのモーツァルト」ことJ.M.クラウスもヨーロッパ渡航中にこの宮廷を訪れ、自作の交響曲をこの楽団が演奏したのを聴いて「まったく何もかも期待以上、感服するほかありません」と絶賛を隠しませんでした。そんな名門オーケストラを任されたトゥーシュムラン、実に幅広く深く、作曲法をきわめたようです。後期作品のヴァイオリン協奏曲など、ロマン派すれすれのドラマを秘めながら悠々と優雅なメロディを綴ってゆく、同ジャンルで言えばモーツァルトの5曲がかわいく感じられるほどの充実作!
まだボンにいた頃の交響曲2曲も、小気味よいテンポとメロディアスな流れが痛快、管楽器のあしらいも巧い(マンハイム楽派とハイドン初期の間をゆくような面白さ)。ロココ風のフルート協奏曲や貴重なチェンバロ協奏曲も含め、演奏にあたるのは、古楽音楽祭で有名なブルゴーニュ地方を本拠とする精鋭集団!Globe に名盤の多いチェンバロ奏者エアトンが絶妙ソロとともに指揮にあたり、Alpha のC.P.E.バッハ協奏曲全集でも活躍中のA.コセンコもふわっと艶やかな名演を聴かせ、さらにA.シュタイアーやJ-G.ケラスとのトリオでヴァイオリンを弾く、古楽器も現代楽器もOK のセペッチュ(チェコ系ドイツ人で、こう読むのだそう)まで登場…と豪華なソロ陣も期待を裏切りません!美麗デジパックも含め、充実度満点の逸品です。

RICERCAR

MRIC242
(国内盤)
\2940
18 世紀パリ、ベルギー人たちの協奏曲と協奏交響曲さまざま
 フランソワ・ジョゼフ・ゴセック(1734〜1829):
  1. ヴァイオリン、チェロと
     管弦楽のための協奏交響曲 ニ長調
 アンドレ=モデスト・グレトリ(1741〜1813):
  2. フルート協奏曲ト長調
 デュドネ・パスカル・ピエルタン(1754〜1833):
  3. ヴァイオリン協奏曲第3番 変ロ長調
 アンドレ=フレデリク・グレスニック(1755〜99):
  4. クラリネット、ファゴットと
    管弦楽のための協奏交響曲 変ロ長調
ギィ・ヴァン・ワース指揮
Ens.レザグレマン(古楽器使用)
パトリック・コーエン=アケニヌ(vn)
フランソワ・ポリ(vc)
ヤン・ド・ヴィンヌ(ft)
エリック・ホープリッチ(cl)
ジェーン・ガウアー(hr)
あでやか、闊達——モーツァルトやハイドンをよそに「諸芸術の首都」パリを魅了しつづけた手際よすぎる、面白すぎる、うつくしすぎる、ソリストたちの饗宴劇ー—古楽大国ベルギーに集う世界的名手たちの演奏は、うまみたっぷり!!ハイドン歿後200 周年——古楽演奏のおもしろさゆえに日本でもどんどん増えつつある18 世紀ファン・古典派ファンの方々は、この期に「ハイドン周辺」にもどんどん興味を伸ばしていることでしょう。Ricercar のカタログに眠っていた、この隠れ名盤を国内盤リリースするならまさに今年!というわけです。腕利きソリストがばんばん参加!Alpha やCypres で活躍中、Alpha ではモーツァルト(Alpha092)はもちろん隠れ名匠ルクレール(Alpha083)でも両方『レコ芸』特選に輝いたヴェテラン奏者コーエン=アケニヌがヴァイオリンで、クラリネットは「ピリオド楽器世界一」のホープリッチ様(!)、ファゴットのジェーン・ガウアーはガーディナーの二つの古楽バンド(EBS、ORR)ほかベルギーやドイツでも大活躍の腕利き、さらに参加バンドあまたのヤン・ド・ヴィンヌがトラヴェルソ…とソロの豪華さもさることながら、そもそもベルギー古楽界の最前線をゆくオーケストラのEns.レザグレマンからしてサラ・クイケンや赤津眞言(vn)、クロード・モーリ(hr)、ハーヨ・ベース(va)にヴァンサン・ロバン(ob)とソリストまみれの実力派集団ですから、どうりで演奏がハイクオリティなわけです。4つの協奏曲はみな18 世紀後半パリで大人気だった、フランス語圏ベルギー出身の作曲家のものばかり。古典派ファン垂涎の「フランス交響楽の父」ゴセックは数々の協奏交響曲でも有名だったのに、その作例を古楽器演奏で聴けるのは現状、このアルバムしかありません。Ricercar では『カイロの隊商』(MRIC268)も『華麗なる管弦楽』(MRIC234)も『レコ芸』特選となったグレトリの貴重な協奏曲、フランス革命頃の名品2曲も、出会えたことが嬉しくなる先進的な充実作!精鋭陣の名演ならでは、の充実度です!
MRIC281
(国内盤)
\2940
ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809):
 『十字架上の七つの言葉』作品 51
   〜弦楽四重奏曲のための序章、七つのソナタと「地震」
テルプシコルド四重奏団(古楽器使用)
ハイドン歿後 200 周年——命日をしのぶにふさわしい、濃密な1枚があらわれました!緩徐楽章の連続でイエス・キリストの死に瞑想をはせる「あの名曲」を、こんなにドラマティックに、たおやかに、説得力ゆたかに、古楽器で弾いてしまうなんて!古楽器も本職なうえモダン楽器で近現代までこなす、ジュネーヴの精鋭集団テルプシコルドSQ!!
イエスが十字架上で亡くなった時、大地がひどく揺れて神殿の緞帳がまっぷたつに割けた…という聖書の記述をもとにしたクライマックスの「地震」が響きわたるときの、たとえようもない充実感!
MRIC 231
(2CD)
(国内盤)
\3885
ヴィオラ・ダ・ガンバとドイツ・バロックの2世紀
 17 世紀、イタリア音楽の影響
 ①「隣人ローラント」による5声のカンツォーナ(シャイト)
 ②8つのバス・ガンバのためのカンツォン(1649)(ヘンツシェル)
 ③パドゥアーナとガリアルダ第5番(1621)(ポシュ)
 ④ヴァイオリン、バス・ガンバと通奏低音のためのソナタ第5番(ブフナー)
 ⑤バス独唱とガンバ四重奏のためのコンチェルト「深き淵より」(作者不詳)
 ⑥「イェス、汝いと高貴にして善」によるパルティータ(キューネル)
 ⑦4つのバス・ガンバのための組曲ニ長調(フンク)
 ⑧バス・ガンバと通奏低音のためのソナタ(作者不詳)
 ⑨3つのバス・ガンバと通奏低音のためのソナタニ短調(J.M.ニコライ)
 ⑩ヴァイオリン、バス・バンバと通奏低音のための第2ソナタ(キューネル)
 ⑪バス・ガンバと通奏低音のためのソナタイ短調(シェンク)——
  18 世紀、フリードリヒ大王の宮廷で
 ⑫バス・ガンバと通奏低音のためのソナタニ長調Wq.137(C.P.E.バッハ)
 ⑬同、ハ長調 Wq.136(C.P.E.バッハ)
 ⑭バス・ガンバ二重奏曲ニ短調(シャフラート)
 ⑮バス・ガンバ、オブリガート・チェンバロと
  通奏低音のためのトリオハ長調(J.G.グラウン)
フィリップ・ピエルロ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ライナー・ツィパーリング(vc)
リチェルカール・コンソート(古楽器使用)
ソフィー・ワティヨン、
上村かおり(vg)
ライナー・ツィパーリング(vc)
フランソワ・フェルナンデス(vn)
ピエール・アンタイ、
ヤン・ヴィレム・ヤンセン、
ギィ・パンソン、
ロベール・コーネン(cmb/org)他
リチェルカール・コンソートの主宰者ピエルロ、その偉業を端的にあらわす金字塔録音——「ドイツ・バロックの室内楽」シリーズの音源から、ガンバにまつわるトラックを結集17 世紀から18 世紀にかけてのガンバ芸術を、あまりにもすばらしすぎる解釈で概観!創設1980 年の老舗古楽レーベルRicercar の、廃盤になっていた重要な録音を復刻、新たなテーマでアルバム化する好評企画——ベルギー古楽界と歩みを揃えてきたこのレーベルを一躍有名にした「ドイツ・バロックの室内楽」シリーズは、バッハ以前の全く知られていなかった器楽合奏世界の多彩さを強烈に印象づけてくれましたが、ここではその1990年代の録音群から、今や世界屈指のガンバ奏者になってしまったリチェルカール・コンソートの主宰者フィリップ・ピエルロが主役をつとめる、ヴィオラ・ダ・ガンバのための注目作品ばかりをCD2枚にわたって網羅!ガンバと通奏低音のためのロココ作品群での艶やかなガット弦さばきもさることながら、注目はやはり17世紀の無名作家たちの知られざる名品群...やれガンバ三重奏曲だの、ガンバ四重奏とバス独唱だの、といったくらいは朝飯前、はては「8つのバス・ガンバまたはトロンボーンのための」作品まであるんですから!世紀後半にはヴァイオリンも合奏に織り込まれながら、これぞブランデンブルク第6 番の先駆か!と思われるような発見の連続…共演者が豪華だけに(上にあげた他にL.ギェルミ(org)やC.ユングヘーネル(テオルボ)も!)ガット弦のたおやかさは絶品。古楽器を聴く喜びがしみじみ感じられる、バロックからロココまで多種多様、本当にぜいたくな2枚組——ガンバを知るなら、他の巨匠たちのアルバムを集めるより、これ1セットで末長く楽しめること請け合いです。解説も充実、ぜひご注目を!
MRIC 285
(国内盤)
\2940
〜シュッツとモンテヴェルディの時代 ガンバからヴァイオリンへ〜
カルロ・ファリーナ(1600 頃?〜1640)
 ①パヴァーナ 第3番(第4曲集より)
 ②「絶望したソナタ」と呼ばれたる2声のソナタ(第5曲集より)
 ③「海辺」と呼ばれたる2声のカンツォン(第1曲集より)
 ④「北アフリカの少女」と呼ばれたる2声のソナタ(第1曲集より)
 ⑤3声のバレット(第1曲集より)
 ⑥3声のパッサメッツォ(第4曲集より)
 ⑦「小麦粉(ファリーナ)」と呼ばれたる2声のソナタ
  (第1曲集より)
 ⑧ 酔狂なる奇想の曲(カプリッチョ・ストラヴァガンテ)
  (第2曲集より)
アンサンブル・クレマチス (古楽器使用)
ステファニー・ド・ファイー(vn)
ジローラモ・ボッティリエーリ(vn/va)
アンドレア・デ・カルロ、
エルナン・カドラド、
ジェローム・ルジュヌ(vg)
エリック・マトート(cb)
トーマス・ダンフォード (テオルボ、g)
レオナルド・ガルシア=アラルコン (室内オルガン、ヴァージナル、総指揮)
これぞ、バロック時代のヴァイオリン芸術のエッセンス——酔狂で荒唐無稽、歌心もたっぷり!ジャケット絵画のかわいさもさることながら、ガット弦から繰り出されるサウンドはねこの啼き声、いぬの喧嘩、撃ち交わされるマスケット銃、さまざまな管楽器(?)…何でもあり?Ricercar は創設1980年。前ページのアルバムのように、古い音源は本当にとほうもない宝だらけなのですが、創設以来主宰者も制作ポリシーも変わっていないわけで、最新録音も内容充実度はまったく衰えていません——何しろ主宰者ジェローム・ルジュヌ氏は、現役の音楽学者でもあり録音技師でもあるマルチタレント。「知られざる古楽器シリーズ」ではクルムホルン片手に演奏にも加わっていましたが、なんと今度はガンバ奏者として登場!こうした旺盛な活躍意欲もさることながら、ルジュヌ氏が素晴しいのは、古楽大国ベルギー内外の最前線で活躍する若手奏者たちから、真に才能ある演奏家を見抜く慧眼のあるところでしょう。本盤でもパンドルフォの愛弟子(!)たるイタリア人ガンバ奏者アンドレア・デ・カルロ、すでに録音多数の気鋭テルプシコルド四重奏団のボティリエーリといった気鋭新世代奏者たちが集う「クレマチス」なるアンサンブルが起用されていますが、まあこれが期待にたがわずウマいことウマいこと! で、肝心の演目ですが——カルロ・ファリーナ。ご存知でしょうか?モンテヴェルディを育てたマントヴァに生まれ、ドレスデン宮廷にシュッツがどーんと構えてきた時代に「本場イタリアから来た」ヴァイオリンの名手として活躍、さらにポーランドやドイツ北方、プラハなどでも活躍をみせたこの作曲家、ルネサンス末期風の楽曲形式でしおらしい叙情的作品を書いたかと思えば、謎めいたタイトルを付した技巧的合奏曲もお手のもの、きわめつけはルネサンス版画の唐草模様のごとく、ガット弦とバロック弓で考えられるあらゆる技巧を盛り込んで、動物の鳴き声だの戦争だの管楽器の模倣だの、常軌を逸した多彩さで、20分以上にわたりめくるめく音響世界を描き出す「酔狂なる奇想の曲」…これ、店頭でかけていたら絶対、一般ユーザーにも面白がっていただけると思いますよ(いぬとねこの喧嘩、ホントかわいいです)。
MRIC287
(2CD)
(国内盤)
\3885
ベートーヴェン 管楽合奏秘曲集
 &ホルンとピアノのためのソナタ
 1. ロンディーノ変ホ長調 WoO.25
 〜管楽八重奏のための
 2. 2本のオーボエとコーラングレの
  ための三重奏曲 ハ長調 op.87
 3. 管楽六重奏曲変ホ長調 op.71 〜2本の
  クラリネット、2本のホルンと2本のファゴットのための
 4. オーボエ、3本のホルンと
  ファゴットのための五重奏曲 変ホ長調
 5. モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』の二重唱
 「お手をどうぞ」による変奏曲 〜2本のオーボエと
 コーラングレのための
 6. ホルンとピアノのためのソナタヘ長調 op.17
フランツ・ダンツィ(1763〜1826):
 7. ホルンとピアノのためのソナタ変ホ長調 op.28
フェルディナント・リース(1784〜1838):
 8. ホルンとピアノのためのソナタヘ長調 op.34
リチェルカール・アカデミー(古楽器使用)
クロード・モーリ(ナチュラルホルン)ギィ・パンソン(fp)
エリック・ホープリッチ(cl)
マルセル・ポンセール、ミシェル・アンリ(ob)北里孝浩(コーラングレ)ほか
ベートーヴェンのオーケストレーションの極意は、管楽器の扱い方にあり!野外合奏向けのアンサンブル作品は、驚くばかりの実験の場でもあった...「英雄」同様に3本ホルン? ダブルリード三重奏? 超豪華古楽陣営で、発見の連続を!廃盤になってしまっていたRicercar の古い音源を掘り起こし、新たなパッケージ&お手頃価格で再リリースする嬉しいシリーズの最新巻は、なんと! ベートーヴェンに焦点が当てられ、一般のユーザーさまにまで広くアピールする商材に。何しろ古楽大国ベルギーが誇るRicercar の黄金時代に録音されたアイテムだけに、スーパーナチュラルホルン奏者クロード・モーリ、古楽器クラリネットの最重鎮ホープリッチ、コープマンやミンコフスキら巨匠たちから引っ張りだこの天才オーボエ奏者ポンセール...と信じられないくらい豪華なメンバーで録音されたこのアルバム、なんとベートーヴェンの「管楽合奏作品」という、あまり光の当たらない領域の作品群を集めているのですが、これほどの面子で演奏されてみると、聴くに値する、いや発見の連続というほかはない注目作品だらけだったことに気づきます! オーボエ2本に低音部はコーラングレ(イングリッシュホルン…楽器製作家としても有名な北里氏が、珍しい古楽器コーラングレを隆々と吹きこなす!)という異色のトリオや、「英雄」同様ホルンが3 本入る異形編成の五重奏曲、通例どおりのハルモニー編成(2ob, 2cl, 2hr,2fg)の傑作など、楽器にこだわりあり・の超実力派にかかれば、それらが後年の交響曲を生み出す実験の場でもあったことを強く感じずにはおれないでしょう。さらに、多芸なる才人パンソンが弾く1820 年頃のオリジナル・フォルテピアノに乗せて、偉大なる同時代人ダンツィと、ベートーヴェンの愛弟子リースによる作例とあわせ、ホルン・ソナタも聴けるのが嬉しいところ!ナチュラル楽器とは思えない縦横無尽の吹き口は、うまみたっぷり! 解説も充実、これを聴かずにベートーヴェンの管弦楽は語れない!と言っても過言ではありません。
MRIC232
(2CD)
(国内盤)
\3885
〜17 世紀ドイツのヴァイオリン音楽〜
ドレスデン宮廷の17 世紀
 ①8声のソナタ(ポーレ)
 ②5声と通奏低音のためのシンフォニア第39&48番(レーヴェン)
 ③第3パヴァーナ(ファリーナ)
 ④第2ソナタ(フルヒハイム)
 ⑤酔狂なる奇想の曲(ファリーナ)
 ⑥6声のソナタ(ポーレ)
 ⑦組曲ト短調(ファリーナ)
  —ヴァイオリン、ガンバと通奏低音という編成
 ⑨変奏つきアリア ト短調(キューネル)
 ⑩カッコウの歌によるソナタ(クレモル・ハインリヒ・アーベル)
  ——ウィーン、神聖ローマ皇帝の宮廷
 ⑪ソナタ ニ短調(シュメルツァー)
 ⑫ロザリオのソナタ第6&8番(ビーバー)
  ——彗星のごとく登場した名手ヴァルター
 ⑬『ヴァイオリン独奏のための気紛れさまざま(1676)より
  第4・8・10 曲(ヴァルター)
 ⑭『ケリスの庭園』(1668)より
  第8・12・14・25 曲(ヴァルター)
フランソワ・フェルナンデス(バロックvn)
エンリーコ・ガッティ(バロックvn)
フィリップ・ピエルロ(vg)
ピエール・アンタイ(cmb)
リチェルカール・コンソート(古楽器使用)
老舗古楽レーベル Ricercar が誇る、偉大な名古楽奏者たちの充実企画——アーティストに焦点をあてて続々と復活を遂げるインテンスな音源を続々リリース。
まずはバロック・ヴァイオリンの天才フェルナンデスによる「バッハ以前の17 世紀ドイツ総ざらい」!
創設1980 年の老舗古楽レーベルRicercar は、フランス語圏がまだ古楽に積極的でなかった時代から、若くとも当時すでに旺盛な活躍をみせていた「クイケン兄弟の次世代」にあたるヨーロッパの気鋭古楽奏者たちを起用、意欲的な企画を次々と成功させてきました。2000 年のレーベル休止時にいったん廃盤となったそれらの音源は続々新たなテーマを与えられて再編成され、続々と復活を遂げています。
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンのバッハ特集やリチェルカール・コンソート来日の興奮さめやらぬなか、この初夏はそれらの企画盤を「Ricercar の名手たち」として続々国内盤リリースいたします!
第1弾は「もはや大御所」、ラ・プティット・バンドやコープマンのアムステルダム・バロックo.など最前線の古楽集団でトップ奏者を歴任、ソリストとしても世界随一のF.フェルナンデス! 企画テーマは「17 世紀ドイツのヴァイオリン」——ルネサンス式のガンバ合奏が主流だった17 世紀ドイツ語圏の宮廷に、“イタリアの楽器”であり“村楽師の楽器”でもあったヴァイオリンはどう根付いていったのか?を、その初期からバッハ直前まで、みっちりCD2枚かけて辿ってゆきます。
ごらんのとおり共演陣は強烈に豪華!変則調弦のビーバーの傑作(この名曲をフェルナンデスの演奏で、というのがレア&貴重!)や、ヴァイマールでのバッハの先達ヴァルターの独奏曲や、押さえておきたい希少作品もすべて網羅。
MRIC278
(国内盤)
\2940
アンリ・ルドロワが遺したもの 〜精選音源集1980-87〜
マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ(1643〜1704):
 ①エール「この喜びを分かち合わん」H.463
 ②カンタータ「冥府に下るオルフェ」H.471
 ③ル・シッドの三つの短詩 H.457/459/458
 ④エール「哀しく、打ち捨てられ」H.469
 ⑤エール「ああ!なんと不幸な」H.443
 ⑥エール「愛神よ、わたしの心配を倍増させるのか」H.445
 ⑦エール「炉辺にありて、人は愛しあう」H.446
 ⑧エール「いなかの帽子」H.499a
フランツ・トゥンダー(1614〜67):
 ⑨独唱モテット「わたしの主イエス」
アレッサンドロ・グランディ(?〜1630):
 独唱モテット6編
  ⑩神は歌われぬ
  ⑪おお、イエスの優しき名
  ⑫おお、なんとけがれなく
  ⑬おお、あなたはなんと麗しく
  ⑭おお、主イエス・キリスト
  ⑮わたしの目を見開かせてください
クラウディオ・モンテヴェルディ(1567〜1643):
 二つの独唱モテット⑯民よ駆けつけよ⑰来たれ、見よ
 神聖ローマ皇帝レーオポルト1世(1640〜1705):
  ⑱独唱モテット「天の皇后よ」
アンリ・ルドロワ(カウンターテナー)
リチェルカール・コンソート(古楽器使用)
※Ricercar レーベル2009年度カラーカタログ付き
 アンリ・ルドロワ、歿後20年あまり——失われたものはあまりに大きく、遺されたものは、かけがえなく。今なお輝きを失わない、フランス最初のカウンターテナーのカリスマ的魅力を、精鋭ぞろいのリチェルカール・コンソートと、自家薬籠中の演目で。
 今やフランスはまごうことなき古楽の中心地のひとつで、Diapason 誌の金賞アルバムの大半が古楽アイテムなんて月も珍しくなくなったほどですが、それはつい最近のこと——パリやヴェルサイユに古楽奏者を育成できる環境が整ったのもせいぜい10年すこし前ですし、オランダやイギリスが古楽のメッカだった時代には、フランス人古楽奏者は活躍こそすれ、レコード会社は見向きもしていませんでした(頼みの綱の仏Erato も英国人ガーディナーと現代楽器のシモーネやパイヤールが看板だったし…)。そんな時代、Solstice やRicercarといった小さなレコード会社と丁寧な共同作業を続け、1970年代以来フランスでほぼ唯一のカウンターテナー歌手として活躍、この国の古い作品をフランス人にしか感知できぬ繊細さでうたいあげ、諸外国の知られざるレパートリーにも積極的にとりくみながら、カリスマ的魅力あふれる解釈でもってフランスにカウンターテナー歌唱が受け入れられる素地を整え、この国特有の古楽ブームの土台を準備した歌い手がいました——アンリ・ルドロワ、1988年に享年42という若さで亡くなった、天才です。
 ヘレヴェッヘ、アルノンクール、マルゴワール、コープマン…といった巨星たちの信望あつく、彼らのオペラ企画で重要な役を歌い上げ、アペルギスやジャック・ルノなど現代作曲家たちからも新作を提供されてきたこの名歌手、ソロ名義の録音はほんとうに珠玉の名盤ばかり——Ricercar はレーベル創設以来ルドロワと綿密な共同作業を続けて着ましたが、ここに集められているのは、17 世紀ドイツやイタリアの独唱モテットのほか、めったに演奏されないシャルパンティエの小品群(エール・ド・クール!!)と、ちょっとしたモノオペラ『冥府に下るオルフェ』という豪華プログラム(すべて現行で聴けるのは本盤のみ・他盤の再録なし)で、この歌い手の魅力を全面的にアピールしてくれます。
 リチェルカール・コンソートはピエルロ、フォクルール、ガッティ(!)、上村といった「神メンバー」時代、その高密度な解釈は今なお鮮烈!ルドロワを知らない世代への再認識を即して余りあるカリスマ的アンソロジーです。
MRIC267
(国内盤)
\2940
ギルマン オルガン・ソナタと小品群
 〜サン=サーンスと同時代のオルガンの巨匠〜
アレクサンドル・ギルマン(1837〜94)
 1. オルガン・ソナタ第 7 番作品 89
 2. アレグレットロ短調 作品 19
 3. 白鳥(サン=サーンス:『動物の謝肉祭』より)
 4. メロディト長調 作品 46
 5. グレゴリオ聖歌風の印象描写作品 65
 6. スターバト・マーテル作品 65*
 7. 葬送行進曲とセラフィムの歌作品 17
 *グレゴリオ聖歌部分:  
声楽アンサンブル「リサージェム」
ヨリス・ヴェルダン(オルガン)
どうしたものか有名なオルガン独奏作品は、ことごとく古楽と近現代に偏っていて、他ジャンルであれほど名曲あまたの19世紀がすっぽり抜け落ちているんです。
ブルックナーやフランクやリストやグノーや、自身オルガニストだった巨匠作曲家は枚挙に暇がないほどなのに…?サン=サーンスの「オルガン付」に登場するあのオルガンの響きが、ロマン派音楽とこの楽器の相性をあれほど雄弁に物語っているのに…?
なぜか——それはこの時代の重要なオルガン作品を書いた作曲家たちに、フランク以外の有名人がまるでいないせいではないでしょうか。そこでおすすめなのが、この1枚! のちに幾多の「オルガン交響曲」で有名になるヴィドール(この名匠でさえ知名度は微妙でしょう…)の前任者としてパリの聖三位一体教会の正規オルガニストをつとめ、リガ、グラスゴウ、ブダペスト…とヨーロッパ各地はおろかアメリカまで演奏旅行を敢行して大喝采を博し、後年はダンディらとスコラ・カントルム音楽院の創設に尽力した、19 世紀フランス最大のオルガン芸術家のひとり、ギルマンの独奏作品集!
古楽レーベルRicercarの慧眼と、オルガン激戦区ベルギーきっての名手ヴェルダンの音楽性と企画力なくしては生まれ得なかったこの1枚、オルガンのオムニバス盤でも(他の花形作曲家に押されて)なかなか登場しないギルマンの傑作を的確に集め、壮麗な組曲風ソナタ、グレゴリオ聖歌との交唱による「スターバト」(絶美!)、清らか・静謐な小品群からドラマティックな響きを活かした中篇、はてはサン=サーンスの「白鳥」の編曲(おだやかな弱音の音響空間に、そっと静かに入ってくるソロの響きの、なんと美しいこと…)にいたるまで、19 世紀フランスのオルガン世界を概観できる内容になっているのも嬉しいポイント。
その後20 世紀に続くオルガン交響派のルーツも垣間見え、時に迫力ある重低音から色彩豊かなスウェル装置の使いこなし方まで、そのシンフォニックな響きは、サン=サーンスの傑作でのみオルガンを知る管弦楽ファンをも魅了せずにはおきません!

SAPHIR

LVC1097
(2CD)
(国内盤)
\4515
ガブリエル・デュポン ピアノ作品全集
 〜世紀転換期、知られざるフランス近代の名匠〜
ガブリエル・デュポン(1878〜1914)
 1. 病める時〜14 の小品
 2. 砂丘にある家〜10 の小品
エミール・ナウモフ(ピアノ)
「ピアノ独奏によるフォーレのレクィエム」が大ヒット中の「知性派」ナウモフが掘り起こすのは20 世紀初頭、まだ「世紀末」が続いていた第一次大戦前に亡くなった、夭逝の巨匠...再発見せずには勿体ない! フォーレとドビュッシーの同時代人、内へと向かう細やかさ。
パリ音楽院で教鞭をとるブルガリア出身の偉大なピアニスト、知性派名匠エミール・ナウモフは、フランス人よりもフランス人らしい?旺盛な活躍をみせる多忙な達人(パリにはそういう外国人、結構いますよね)。フランス近代ものへの圧倒的な適性は、フォーレの『レクィエム』を自らピアノ独奏に編曲したアルバム(LVC1007)が日本でも大人気なことからも、推して知るべしというところ——実際、彼自身が作曲家でもあるわけですから、作品を楽曲構造レヴェルで読み解くような解釈はお手のもの、というわけです。その彼が大いに惚れ込み、ピアノ独奏のための作品をすべて録音してしまったのが、このガブリエル・デュポンというフランス近代の作曲家! 今や、およそほとんどのクラシック・ファンには馴染みがないであろう人ですが、なにしろ生前はオペラを書けば必ず当たる、といっても過言ではないほどの超人気作曲家でした——生まれたのは1878 年、パリ音楽院での師匠はマスネ(なるほど、オペラの大家師弟ですね)、それにオルガンの巨匠ヴィドール...そう、フランクの系譜をひく純粋芸術路線に、美しいものを求めてやまない世紀末の人々を魅了しつくすバランス感覚も身につけた、完璧な芸術家だったのです。肺結核を病んで早世しているあたりも世紀末的、プロヴァンスの片田舎で療養しながら、人を避けるようにして、独自の内面世界を見つめ続けた作曲姿勢も、また世紀末的。根っからの耽美的デカダンというわけですが、実際そのピアノ作品を聴いてみれば、これぞ世紀末!といった、ドビュッシーやフォーレにも通じる薫り高い耽美的世界に、うっとりせずにはおれません(何しろ演奏者が名手ナウモフとあっては、その美質はくまなく、きれいに浮かび上がらないはずもなく...)。Timpaniレーべルにも録音のある「砂丘の家」は、しずかに気持ちを落ち着けてくれるクールダウン系近代ピアノ。同時代のセヴラックあたりも想起させるような、4〜5分の充実した小品が居並びます。世紀末情緒・という点では、もうひとつの(世界初録音?)「病める時」のほうが「いかにも」な感じ! 大小あわせて14 ある小品群は、療養中のデュポンが身近な光景を題材に、やさしさ、恐怖、希望…とさまざまな心象風景を織り交ぜて綴った私小説的な内容なのですが、「庭に注ぐ陽光」「白夜〜幻覚」「風の歌」「死神がうろついている」といった示唆的なタイトルにもあらわれているとおり、音楽表現は標題的ながら何かを解き明かそうとはせず、謎めいた雰囲気にはクープラン=ドビュッシー風の魅力がたっぷり詰まっています。1曲ごとじっくり聴いてもよし、曲集としての連関性を聴ききわめてゆくも良し——何にせよ、この絶品音響を知らずに過ごすことほど勿体ないことはありません。
LVC1028
(3CD)
(国内盤)
\5880
ミヨー:ピアノ独奏作品全集
 ①『ボヴァリー夫人』〜三つのワルツと「ボヴァリー夫人のアルバム」op.128
 ②暖かいおもてなしop.326
 ③或る一日 op.269
 ④四つの無言歌 op.129
 ⑤ブラジルのサウダージ op.67
 ⑥春・第1編 op.25
 ⑦春・第2編 op.66 ⑧秋 op.115 ⑨マズルカ
 ⑩白鍵あれこれ/黒鍵あれこれ op.222
 ⑪あそび op.302 ⑫コラール op.111
 ⑬三つのラグ=カプリース op.78
 ⑭四つのスケッチ op.227 ⑮ 家政婦というミューズop.245
 ⑯『屋根の上の牛』〜フラテッリーニのタンゴ
 ⑰ 組 曲 op.8 ⑱ ソナチネop.354 ⑲ソナタ第1番 op.33
 ⑳ソナタ第2番 op.293 (21)栄光の讃歌 op.33
フランソワーズ・ショヴォー(ピアノ)
あまりにうつくしい! 「美(うま)し国フランス」の子、ミヨーの“素顔”は、こんなに繊細——「スカラムーシュ」的な大騒ぎだけでミヨーに苦手意識のあった方、ぜひ!この「フォーレとサティの後継者」を再発見してください! 緩急自在の演奏も、極上!!フランス六人組のひとりミヨーといえば、なんといっても作品番号ウン百番の多作さで知られる人。交響曲は12 曲も書きましたし(シュポーアやラフも含め、ロマン派以降のドイツ人は誰も?かなわない数!) 弦楽四重奏曲だけでも18 曲(ベートーヴェンより、ショスタコーヴィチよりも多い!)、映画音楽は数知れず、声楽曲にいたっては気が遠くなるほどの量…しかもそのクオリティは概して超一流(そりゃそうですよね、教科書に名前が出てこようかというくらいの巨匠だもの)。にもかかわらず、ピアノ連弾としても有名な「スカラムーシュ」、木管五重奏曲の傑作「ルネ王の暖炉」、そしてヴァイオリン曲として有名なバレエ「屋根の上の牛」…と、よく聴かれているのはたった3曲だけ!その魅力の全体像をつかんでいる人なんて、業界人でもめったにお目にかかれるかどうか…(いや、自分もどっちかというと「知らない」側なんですが)。録音物でその音楽性をひょいと手軽に知ろうとするなら、たぶんEMI にあるチッコリーニやプレートルらのまとめ音源が一番手に届きやすい気がしますが、あのアルバムの魅力は多分に性格的で、ミヨーの全容という感じではないでしょうし。交響曲も弦楽四重奏曲も立派な全曲録音がありますが(CPO とNAIVE)、どちらもCD6枚以上のフルプライス…。そこでぜひお勧めしたいのが、このSAPHIRから登場のミヨー・ピアノ独奏作品全集! CD3枚というちょうどよい分量に、そのピアノ独奏曲をすべて収録、1910 年代の最初期作品から晩年の円熟期まで、その生涯のさまざまな局面で書かれた名品の数々をじっくり味わえます(CD3枚くらいだと「軽く聴く」にも「あとでじっくり」にも、ちょうどいいですよね)。「古典性」を重んじたソナタや組曲などの大作あり、南米趣味の快活さからフランス随一の繊細さまで多彩な小品あり、さまざまな魅力にふれるうち、一貫した「ミヨーらしさ」が浮かび上がる。上述EMI盤で「スカラムーシュ」や「プロヴァンス組曲」の元気溌剌にアテられてしまった方は、このアルバムで(ワーグナーから古典派、印象派などあらゆる作法をふまえた)フォーレとサティの系譜に連なる「フランスの繊細なミヨー」をぜひ体感してください!複調性的・旋法的なその響きは、古楽にも通じる平明さ、ドビュッシーらにも通じるえもいわれぬ美、コクトーやシャガールにも通じる「ひそかな伝統偏愛」があり、誰もが魅了されずにおれないことでしょう。で、何より嬉しいのが「演奏クオリティが本当に、高い!」ということ。ミヨーと同じくニューヨークに渡り、ジュリアードで腕を磨き、「ミヨーをすべて弾ける」ということでフランスでの評価は絶大、他の得意曲目は「ヴィラ=ロボスとシューマン」…繊細さと勇壮さの絶妙なコントロールに、決定盤というにふさわしい「風格」さえ漂います。

SOLAL

SOL006
(10CD)
(国内盤)
¥7560
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集 アンドレ・ド・フロート (ピアノ)
意外と、新しい録音って出てこないもの——ましてや、スマートな模範的演奏となれば…!現代ベルギー楽壇のレヴェルの高さを代弁。名教師にして名手ド・フロートの解釈はいかなる隅々までも抜かりなく、うつくしい——「曲を知る」なら、このセットが断然おすすめ。ベートーヴェンを愛聴されるピアノ・ファンの方々はよくご存知でしょうが、意外とありそうでないんですよね、ピアノ・ソナタ全集BOX の新譜って...もうほとんど広く認知されている歴史的名録音の数々を除いてしまうと、あとは1枚ずつ単体でのソナタ録音があったり、あるいは(CaroMitis で継続中のファツィオーリ・ピアノによるシリーズのように)バラ売りで次々と出てくる全曲録音があるくらいで、ここ近年はBOX など特に出て来ていないような。そのうえさらに意外とないのが、演奏者のキャラクターや音楽性でベートーヴェン自身の芸術性を霞ませることなく、誠実なアプローチで作品美をきわだたせてくれる演奏…現代ピアノで、ピアノを弾く人たちにとっても手本になれば、楽譜片手にベートーヴェンの意図を追う人、ただ単に流し聴きにして心地よいベートーヴェンを愉しみたい人、つまり、誰もが安心して音楽世界に浸ることのできる、そんな演奏で、この32曲の壮大な宇宙を味あわせてくれるピアニストが、意外といないのです! そこへ出てきてくれたのが、秀逸古楽レーベルRamee の主宰者でもあるバロック・ヴァイオリン奏者ライナー・アルントが「こだわりあり、しかし甚だしくはせず」のラインで運営しているもうひとつのレーベル、SOLAL からの新譜! 古楽から現代音楽まで幅広いジャンルにユーザーのいる、つまり日常的に幅広い音楽を身につけてゆかねば生き残れない国、ベルギーの楽壇で長く名教師として活躍、レパートリーの広さでも、室内楽への造詣の深さでも知られる「頼れる名匠」アンドレ・ド・フロートによる、ほんとうに誠実なベートーヴェン!! これぞ正統派解釈!といった感のあるオーソドックスな解釈なのですが、どうしたものか聴き止められない。繊細さと愉悦とがいたるところで耳を心地よくくすぐって、暴れすぎない沈みすぎない、絶妙のラインで、すべての音を周到に美しく響かせてゆく…完璧な名手、経験豊かな重鎮なればこその、飾らないでも大丈夫!な「本物のベートーヴェン」なんです。ベルギーローカルのNAXOS では流通したこともあるそうですが、世界流通はこれが初めて。誰から提案が出たのか、結果的にこれほど素晴しい録音が世界に出回るわけですし、ベルギーという国の音楽水準を(新米料理人をプレーンオムレツで腕試しするみたいに)よく知ったレパートリーで思い知らせる、という意味でも、まったく意義ぶかい企画だと思います。

TRAVERSIERES

MFT210-262
(2CD)
(国内盤)
\4515
ベートーヴェン:八つのヴァイオリン・ソナタ
(フルートとピアノによる編曲版)
第1〜8番(フルートとピアノによる)
 1. ソナタ第1番ニ長調 op.12-1
 2. ソナタ第2番イ長調 op.12-2
 3. ソナタ第3番変ホ長調 op.12-3
 4. ソナタ第4番イ短調 op.23
 5. ソナタ第5番ヘ長調 op.24「春」
 6. ソナタ第6番イ長調 op.30-1
 7. ソナタ第7番ハ短調 op.30-2
 8. ソナタ第8番ト長調 op.30-3
編曲:
 ドルーエ(1830)、クリントン(1845)、
 アルテース(1870)&マリオン(1998)
アラン・マリオン(fl)
ドゥニ・パスカル(p)
このきわめて豊かな表現力は、もはやヴァイオリンを越えている?やわらかく深みあるフルートの「うた」と「滋味」は、最晩年の名匠だから到達しえた境地あらゆる音楽ファンに薦めたい——天才の生きた証、ひたすらうつくしいベートーヴェン。ちょっとした縁を頂きまして、長らく入手不可能となっていたこの傑作アルバムを解説日本語全訳完備(!)でお届けできることとなりました。なにしろDIAPASON 金賞(ディアパゾン・ドール)受賞をはじめ、甚大な評価を賜った傑作盤——内容の良さは弊社も保障致します!ランパル父子の門下に学び、パリ音楽院直系のフランス・フルート楽派の継承者として20 世紀後半のフランスに君臨、パイヤール室内管との共演などでもおなじみ、この「管の国」きっての偉大なフルート奏者アラン・マリオンは、今を去ること10 年ばかり前、1998 年8月に惜しくも世を去りました——しかし、彼は最後まで、ひとつの重要な録音プロジェクトを進めていたのです。それがこのベートーヴェン・ソナタ集...なんと、あのヴァイオリン・ソナタの数々をフルートで演奏してしまうという果敢な試みだったのでした。残念ながら「クロイツェル」と「第10 番」を録音せぬまま彼は去ってしまいましたが、この8曲だけでも(つまり幸い「春」は収録されています)、それがどれほどかけがえのない録音だったか、ひしひしと感じられようというもの——なにしろ最晩年のマリオンのフルートときたら、その表現力の幅広さ・豊かさたるや、そこいらのヴァイオリンなど及びもつかぬほど! 静々と陰鬱な響きも、艶やかなカンタービレも、すばやいパッセージでのスピード感や圧巻のクライマックスの盛り上げ方、はては音の強弱ひとつひとつにいたるまで、フルートという楽器の可能性をこんなに引き出せる名手が、はたして他にいたでしょうか...? ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタのフルート用編曲は、実は19 世紀から何度も行われていて、古くはオランダ生まれのフランスのフルート音楽家ドルーエの1830 年版に始まり、英国のジョン・クリントン(1845)、フランスのレミュザ(1860)やアルテース(1870)…と何度か異版が出たそうですが、原曲を尊重した編曲なのに「あえて演奏会でとりあげる名手がいなかった」くらい演奏困難だったとか。マリオンはそれらの版をすべてベートーヴェンの原典とつき合わせ独自の演奏版を作り、フライシャーやシェベックに学んだ名室内楽奏者ドゥニ・パスカル(フランス現代きっての室内楽の名手です!)とともに、誰も到達しえなかった境地をみごと切り開いてみせたのでした。まったくもって、フルート演奏の通念を覆す金字塔的録音にほかなりません。



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