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第51号お奨め国内盤新譜(1)



AEON

MAECD 1088
(国内盤)
\2940
サン=サーンス(1835〜1921):
 1.序奏とロンド・カプリチョーゾ op.28
 2. ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 op.61
ショーソン(1855〜99):
 3. 詩曲 op.25 〜ヴァイオリンと管弦楽のための
イザイ(1858〜1931):
 4. 悲しき詩op.12〜ヴァイオリンと管弦楽のための
テディ・パパヴラミ(ヴァイオリン)
フランソワ=グザヴィエ・ロート指揮
リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団
(リエージュ=ワロニー=ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団)
 フランスの楽壇は日進月歩で温故知新、ピリオド奏法など朝飯前でやってのける指揮者・演奏陣がいたるところで活躍しているかと思えば(たとえばレ・シエクル室内管弦楽団やブルターニュ管弦楽団…)古き良き演奏伝統をいまに伝える名手たちがいたり、その伝統も「古きよきフランス」のそればかりでなく、ロシア革命前後にやってきた亡命者たちの系譜(ピアニスト、ヴァイオリニスト…)など、諸外国の伝統も確かに息づいている、実に複雑かつ奥深い状況にあるのです。
 そんなフランスのシーン最先端を担うソリストと指揮者とが、フランス語圏の演奏者たちが正統に「自分たちの祖先の文化」として振り返ることのできる一派、フランコ=ベルギー派のヴァイオリン芸術へのこだわりを思うがままぶつけた傑作アルバムが登場いたします!
 独奏者パパヴラミはaeon に名盤続々、シューマン四重奏団の室内楽奏者としても大活躍しつつ、パガニーニの『24の奇想曲』を全編ライヴで(しかも事後編集いっさいなしに!)録音・リリースしてしまうほどの技巧派。ごく若い頃に祖国アルバニアからフランスにやってきてもう30 年近く、明らかに「フランスの名手」と呼ぶにふさわしい活躍をしてきた彼の師匠はピエール・アモイヤル、生粋のフランス人奏者として活躍しながら、同じユダヤ系の名匠ハイフェッツにも師事した偉大な演奏家。本盤添付のインタビュー(全訳付)でパパヴラミ曰く、本盤に収録されている一連のロマン派傑作を生ましめたフランコ=ベルギー派のヴァイオリン演奏は、すべてのヴァイオリン流派の演奏技法の源でもあるとのことですが、匂い立つような高雅な響きを聴かせる各作品の響きに、ぴしっと筋を通してくれるパパヴラミの精悍なサウンドを聴いていると、なよっと繊細なだけではフランス・ロマン派の作品の美質は伝わらないのだ、ということをあらためて痛感せずにはおれません。特にサン=サーンス!管弦楽も独奏とのからみも堅固な2傑作だけに、曲構造をよく踏まえた鬼才ロートのタクトとがっちり組み合い、至極充実した鑑賞体験をもたらしてくれます。
 さらに嬉しいのは、もう2曲の併録曲——ショーソンの絶美の名品「詩曲」をこんな豪華な顔ぶれでじっくり聴けるのも至福なら、そのインスピレーション源となったイザイの希少な初期作品「悲しき詩」まで堪能できるのは、まったく貴重!
 イザイの故郷、フランス語圏ベルギーに冠たる老舗名門リエージュ・フィル(近年、活動形態をかんがみ名称変更)の響きも、曲の味わいを幾倍にも増幅させてくれます。
 いま最も聴きたい、フランス・ロマン派解釈の最前線!
MAECD0314
(国内盤)
\2940
フランス19世紀末、巨匠たちの管弦楽付歌曲さまざま
 エルネスト・ショーソン(1855〜99):
  1. 愛と海の詩 作品19
 モーリス・ラヴェル(1875〜1937):
  2. シェラザード
 アンリ・デュパルク(1848〜1933):
  3. 旅へのお誘い
  4. 哀しき歌
  5. フィディレ
英Grammophone誌Editor’s Choice
仏Classica誌 10点満点
仏Le Monde de la Musique誌CHOC(ショック )賞
フェリシティ・ロット(ソプラノ)
アルミン・ジョルダン指揮
スイス・ロマンド管弦楽団
アンセルメの後に、この巨匠と築いてきた黄金時代の精華ここに——ワーグナー指揮者とフランス近代作品に通暁したフランス語圏の名門がゲストに迎えるのは、全世界随一の偉大な歌曲歌手。結果はごらんのとおり、辛口批評誌の最高点総なめ!スイス・ロマンド管弦楽団。フランス東部に大きく食い込んだスイス西端の大都市ジュネーヴを拠点に、かつては1918 年に同団を創設した巨匠エルネスト・アンセルメのタクトのもと、フランス系近代作品(特にバレエ音楽)の解釈では他の追従を許さないほどの名声をわがものにした超一流オーケストラ——フランス語圏随一ともいえる技量を誇るこの楽団、その後20 世紀末には同じスイス出身、ドイツ語圏側の生まれながらフランス語圏で世界的なキャリアを築いてきた巨匠中の巨匠、アルミン・ジョルダンのもとで第2の黄金時代を築いてきました。古楽から現代音楽まで、よいものは臆せずとりあげてきたフランスの気鋭レーベルaeon には、この黄金タッグによる比類ない傑作録音がひとつ眠っています。レーベル再起とともに昨年から弊社取扱スタートとなった当初から機会を窺っておりました本録音、この春ついに日本語解説・歌詞訳つきでリリースできる流れとなりました! 「歌詞訳」?そう、本盤はゲスト歌手とともに録音されたアルバム。そのゲストというのが、歌曲からオペラ、王道レパートリーから現代音楽まで幅広いレパートリーで余人寄せ付けぬ求心力あふれる解釈を聴かせる、今やもうさまざまな意味で「世界最高のソプラノ」と言っても誰も否定はしないであろう大歌手、フェリシティ・ロットなのです! スイス・ロマンド管は、1985年から97年まで音楽監督をつとめてきたジョルダンとその後も実り豊かな共演関係を続けてきましたが、今なお特筆される名演のひとつが、フェリシティ・ロットを主役に据えてのプーランク「人間の声」でした。この三位一体の信頼関係が、2002 年録音の本盤では「ワーグナーに感化された世代のフランス音楽」という絶妙のレパートリーで、至上の結実をみることになります。2006 年に惜しくも急逝したものの晩年はバイロイトにも客演、ジョルダンといえばフランスものだけでなく、ワーグナー指揮者としても知られた巨匠。きめ濃やかな細部の鳴らし方が、壮大なスケール感とまったく矛盾なく融けあうオーケストラに、ことばひとつひとつに繊細な魂を宿らせるロットの卓越した歌が乗る、それはもはや、他の誰にもまねできない境地——ラヴェル初期の長大な傑作「シェラザード」のえもいわれぬ充実度、意外に録音のすくないショーソン随一の傑作『愛と海の詩』、そしてフランス近代音楽史上、もっとも録音されない隠れ名管弦楽曲、デュパルク歌曲の管弦楽伴奏編曲版...と、曲目があまりにも彼らの感性にぴたりと合いすぎているのかもしれません。心して聴きつづけたい、21世紀初頭の金字塔的名録音です。

ALPHA

Alpha 157
(2CD)
(国内盤)
\4515
J.S.バッハ:六つのパルティータ
 〜鍵盤練習曲集 第1巻 BWV825-830〜
 『鍵盤練習曲集第1 巻』(1731)
 1.パルティータ第1番 変ロ長調 BWV825
 2. パルティータ第2番 ハ短調 BWV826
 3. パルティータ第3番 イ短調BWV827
 4. パルティータ第4番 ニ長調BWV828
 5. パルティータ第5番 ト長調 BWV829
 6. パルティータ第6番 ホ短調 BWV830
バンジャマン・アラール(チェンバロ)
満を持してAlphaでバッハ作品の録音を始めるや、当たり前のように快進撃続行中——今ならもう「21世紀のレオンハルト」「21世紀のヴァルヒャ」と呼んでも差し支えないでしょう。いきなり、風格たっぷり。全瞬間、ニュアンスに満ちています。じっくり味わう、バッハの真髄。
バンジャマン・アラール——もう、この人の名前だけで即買い・という時代は、すぐそこまで来ているように思います。Alpha レーベルへのデビューはつい最近、オルガン1台で3人分のパートを弾くバッハの「六つのトリオ・ソナタ」を、パリのど真ん中にある本格ドイツ・バロック式オルガンで風格たっぷりに弾きこなし、当然のように『レコード芸術』特選を頂いたばかりとあっては、貴店の棚をチェックされておられるバッハ・ファンにも、その名はちょうど今、しっかり刻まれつつある頃ではないでしょうか。
2004 年のブリュッヘ(ブルージュ)国際古楽コンクールで優勝したのなんて、もう遥か昔のことのよう。ヨーロッパの古楽関係者で今この人を知らない人はいないであろう、すっかりソリストとしてキャラの立ってしまった新世代の俊英でございます。名声云々、というのはともかく、サンプル音源をお申し付の上お聴きいただければ、何がどうして「アラールがすごい」かは自ずと知れようというもの。
今回の曲目はまたしてもバッハ、それも市場効果抜群の「パルティータ」——晩年のバッハが、自らの芸術性の全てを楽譜に残すべく、本腰を入れて作曲しはじめた一連の『鍵盤練習曲集』の最初を飾る組曲集。脂の乗り切ったバッハ壮年期の真骨頂が凝縮されているといっても過言ではない曲集だけに、演奏者も怖気づくのでしょうか、ピアニストの録音はそこそこ出るのに「その道のプロ」たるチェンバロ奏者がめったに新録を出さないレパートリーでもあります(2年前にRAMEE でリリースされたパスカル・デュブリュイユの快演もずいぶん売れました)。ところがアラールときたら、怖気づくどころか泰然自若もいいところで、大ヴェテランが長年の経験の末に打ちたてたような、えもいわれぬ風格たっぷりの解釈をさらっと打ち出してみせるのです!「さらっと」と言うのは簡単ですが、普通そうはいかない曲目。全編ゆったりめのテンポで、音符ひとつひとつ、噛んで含めるように(チェンバロで、ですよ)弾いてみせ、これが信じられないくらい深く、心に刺さる。ピアノならまだしも、音に強弱のつかないチェンバロでこんなこと出来る人となると、滅多にいませんよね…派手めの演奏で圧倒する人なら結構いるんですが。今ならもう「ヴァルヒャ、レオンハルト、そしてアラール」と言っても過言ではないでしょう。世界随一の秀逸古楽レーべルAlphaがしっかと確保、同社に前例のないバッハ大作群を録音するだけのことはある、本物の天才です。
Alpha910
(国内盤)
\2940
ラ・タランテッラ〜タランチュラの毒を清める方法〜
 《Alphaレーベル 2010年カタログ&ボーナストラック付限定仕様》
 ①タランテッラ「ラ・カルピネーゼ」
 ②子守唄「猫がバグパイプを吹き鳴らせば」
 ③ナポリ風タランテッラ(ヒポドリア旋法による)
 ④ル・カッサリエリュ(カラスムギのタランテッラ)
 ⑤物乞いたちの悲哀
 ⑥ピッジーカ「お月さん、お月さんよ」
 ⑦ああ美しきかな、人生よ
 ⑧我ルガーノのタランテッラ
 ⑨わたしのピッジーカレッラ(タランテッラ風ピッジーカ)
 ⑩恋人たちの沈黙
 ⑪カラブリアのタランテッラ
 ⑫タランテッラによる子守唄「夢見てねむれ、わが花の子よ」
 ⑬イタリアのタランテッラ
 ⑭タランテッラ「ええ体つきの別嬪さんよ」
 ⑮ピッジーカ・ウッチ
 ⑯葬送の哀歌「あわれなアントヌッチオ」
 ⑰タランチュラの解毒剤
※ボーナストラック付(他はAlpha503 と同内容)
クリスティナ・プルハル(テオルボ、ハープ、各種ギター)
Ens.ラルペッジャータ(古楽器使用)
マルコ・ビズリー、ルチッラ・ガレアッツィ(歌)
いわずと知れたAlpha レーベル「白ジャケット」シリーズきっての大ヒット盤が、今年の豪華カラーカタログつきアイテムに選ばれました!
2009年末の来日公演も絶好調、演奏陣の豪華さも改めて驚愕——古楽の壁を軽やかに打ち破った、21世紀人必聴の名演Alpha レーベルの初期には、フランス語圏のクラシック受容・古楽受容のあり方を根底からくつがえすような革新的アルバムがずいぶん登場したものですが、この「ラ・タランテッラ」こそはまさしく、古楽の壁など軽やかに超越し、フランス中のクラブシーンまで巻き込んでのヒットを記録した異色盤中の異色盤!
南イタリアにいまも伝わる伝統舞踊「タランテッラ」——この地域の農地によく潜んでいるタランチュラ蜘蛛の毒を抜くため、刺された患者を取り囲んで踊るという舞曲——を徹頭徹尾とりあげて、ゲストにイタリア伝統音楽の革新的歌手ルチッラ・ガレアッツィ、今や日本の古楽シーンにもすっかり知られるようになった鬼才ハイ・テナー歌手マルコ・ビズリー(思えば、彼の快進撃はこの1枚から始まったようなものでした)、若い頃にはシチリアで羊飼いをしていたパフォーマー=打楽器奏者アルフィオ・アンティーコ...といったクセの強い面子を迎え、えもいわれぬ静謐さから聴き手を引きずり込まずにはおかない精悍なパッションまで変幻自在の前代未聞サウンドにまとめてみせたのは、17 世紀古楽とその新しいアプローチに情熱を注ぐ異才、クリスティナ・プルハル!
古楽撥弦楽器集団ラルペッジャータは昨年、カウンターテナー歌手ジャルースキーのバックバンドとして来日して存在感を新たにアピールしましたが、本盤での面子を改めて見てみると、エドゥアルド・エグエス(!)にエディン・カラマーゾフ(!!)、さらに打楽器にはAlpha白シリーズの常連ミシェル・クロードも!と、参加メンバーそのものが豪華絢爛だったことにも驚かされます。
バロックギターにバロックハープ、アーチリュート、コラシオーネ(ナポリの民族楽器)、バッテンテ・ギター(かき鳴らすことに特化した民族楽器)…とさまざまに入り乱れる弦音を、Alpha随一の名技師H.デショーが生々しく収録。これを聴かずに、21 世紀のヨーロッパ音楽は語れない大・傑作…思わぬボーナストラックもニヤリ、の限定仕様で再登場!

ARCO DIVA

UP0011
(国内盤)
\2940
ヤナーチェク(1854〜1927):
 1.グラゴル・ミサ 〜独唱、合唱と管弦楽のための
 2.永遠の福音 〜独唱、合唱と管弦楽のための
レオシュ・スワロフスキー指揮
チェコ国立ブルノ交響楽団、
ブルノ・フィルハーモニー合唱団
エヴァ・ドジーズゴヴァー=イルショヴァー(S)
ハナ・シュトルフォヴァー=バンドヴァー(A)
ヴラディミール・ドレジャル(T)
イジー・スルシェンコ(Bs)
マルティン・ヤクビーチェク(オルガン独奏)
チェコの偉人ヤナーチェク晩年の難曲を、風通しよく、ひときわ滋味深い響きで…!
現状、本場チェコからの最新録音。
指揮者は日本でも活躍中、チェコ新世紀の代表的名匠。晴朗な静けさから迫力のオルガンとブラスまで、弦も管も、本場ならではの味わいが宿る!
ドヴォルザークやスメタナにつづく音楽大国チェコの作曲家でありながら、その全貌が意外に知られていない多作な巨匠、ヤナーチェク...その「意外と知らない」感があればこそ、昨年の某ベストセラー文学作品に端を喫する「シンフォニエッタ」人気があったのでしょう。ともあれ、彼の作品でもよく聴かれている数少ない作例が、晩期に集中しているのはご存知のとおり——とりわけ最晩期の「グラゴル・ミサ」は、壮麗なオーケストラの響き、印象的というほかない各楽器の使い方、そして迫力にも繊細さにも事欠かない合唱と独唱の美によって、ヤナーチェク最大の傑作の地位を不動のものとしているようです。
そのむかし、チェコを含むスラヴ人たちの土地にキリスト教が根づくにあたり、この地の人の心に沁みる礼拝の言葉として整えられた「教会スラヴ語」での典礼文を歌詞にして、自己アイデンティティを問いなおすかのように綴られた壮大なミサ曲…世界各地で愛奏されてきたこの傑作はしかし、チェコという国の民族の歴史、チェコ語という言葉の歴史にも深く関わっている作品——祖国の巨匠への思い入れも含め、本場チェコの演奏陣の手にかかったときこそ、その魅力を最大限に発揮するのは、いうまでもありません。
ともあれ、なにぶん大編成を要する大作だからか、新録音はなかなか出ないもの。ヨーロッパ屈指の音楽大国であるチェコのクラシック・シーンの「いま」を伝えるArco Diva からの本盤は、その点で実に頼もしい1枚といえます。録音は1999 年ですが、現状、チェコ演奏陣での録音はこれが最新録音のよう。
指揮は今や日本にもたびたび来日、チェコ現役最前線の手際よき名匠として知られるレオシュ・スワロフスキー! しかも演奏陣は、ヤナーチェク本人ともゆかりの深い、作曲家の故郷モラヴィア地方の中心地であるブルノに本拠を置く超・名門、ブルノ交響楽団——すぐれた合唱指揮者として知られるペトル・フィアラの合奏指導を受けた合唱団も、教会スラヴ語という難物(日本でいう古文のようなもの)をまるで母語のように自然に響かせながら、作品としてのダイナミズムを迫真の歌唱で浮き彫りにしてゆく頼もしさ...これぞ、本場のヤナーチェク!といった説得力に、つい引き込まれずにはおれません。神秘的な美を湛えた佳品「永遠の福音」の併録も嬉しいところ。深みあふれる、文句なしの本場の名演です。

CONCERTO

CNT2032
(国内盤)
\2940
ジョヴァンニ・ベネデット・プラッティ (1697〜1763)
 1. ソナタ イ短調(ソナタ第15 番)
 2. ソナタ ハ短調(ソナタ第16 番)
 3. ソナタ ハ長調(ソナタ第17 番)
 4. ソナタ ヘ長調(ソナタ 第18 番)
フィリッポ・エマヌエーレ・ラヴィッツァ(チェンバロ)
バッハもヘンデルも生きていた頃、すでに古典派ソナタを予告する鍵盤作品を書いていた興趣のつきない天才作曲家、プラッティの至芸を解き明かす全集、完結編!
手書き楽譜のみで伝わる未出版曲ばかり、短調の深み、色彩豊かなロココ情緒、聴き飽きない4傑作バッハやヴィヴァルディら、バロック末期の芸術家たちの堅固な音作りから、モーツァルトやハイドンらウィーン古典派の作曲家たちの、あの特徴的な作風までのあいだには、いったいどんな音楽が存在していたのでしょう?
流行というのは静かに移り変わるもの、そのあいだの過渡期には、大バッハの次男エマヌエル・バッハや改革派歌劇の巨匠グルック、あるいはマンハイム宮廷の作曲家たち、ヴァイオリンの達人タルティーニやフルートの名手クヴァンツ(このふたりは、年代的にも作風的にも、もうバロックではないですよね)——と、「ウィーン古典派っぽい」あの響きが確立される前の、それぞれに魅力的な「定まりきらなさ」をはらんだ音作りをする天才たちが、少なくありません。その後の「音楽史」というガクモンが、なにかとドイツ語圏中心・巨匠中心でつくられていったというだけの理由で、イタリア音楽こそがヨーロッパ最良の音楽だった、この18 世紀半ばの音楽を見過ごしてしまうなんて、やはりもったいないことだと思うのですね。
店頭で本盤がかかっていたら、チェンバロだけれども節回しがやや古典派っぽく、スカルラッティとは違って3楽章や4楽章など古典派っぽい楽章構成、そして(チェンバロは音の強弱がつけられない楽器なのに)妙にドラマティック&コントラスト豊かな響きが展開してゆく...いったい誰?この興趣のつきない曲の作者?と、クラシックをご存知の方ほど引き込まれずにはおれないはず。その正体は、バランスのとれた18 世紀イタリア流儀の歌心を先天的にそなえ、かつ旺盛な作曲活動を通じて楽曲構成・作曲形式の面白さも深く追求していったイタリア人の天才作曲家、プラッティ。嬉しいことに、この魅力あふれる多彩なソナタ群は、本盤の4作のみならず、あとCD3枚分すでにリリースされていたりします(CNT2026・2030・2031…いずれも日本語解説付で発売中)。最終巻となる第4巻に収録されているのは、作曲者の生前には出版されずに手稿だけで出回っていた作品ばかり!その節回しに確たる説得力を与え、時には絶妙のルバート(テンポの揺らし)もかけながら、1音1音の美しさを大切に曲を紡いでゆくのは、18 世紀中盤の、ピアノ登場直前のチェンバロ芸術にきわめて深い造詣を誇るイタリアの名手、フィリッポ・エマヌエーレ・ラヴィッツア——本年の彼は別の注目リリースも控えていますが、本盤が演奏家の頼もしさ、作曲家の奥深さを知るのに絶好の1枚、というのは間違いないところです!
CNT 2051
(国内盤)
\2940
ボッテジーニ:コントラバス作品集2
 〜ヴェルディの盟友・超絶技巧のコントラバス〜
ジョヴァンニ・ボッテジーニ(1821〜89):
 ①ドニゼッティの歌劇『ランメルモールのルチア』による幻想曲
 ②ベッリーニの歌劇『テンダのベアトリーチェ』による幻想曲
 ③パイジェッロの歌劇『水車小屋の娘』の
  アリア「もう、わたしの心には響かない」による変奏曲作品 23
 ④エレジア(悲歌)、または劇的なるロマンツァ作品 20
 ⑤序奏とガヴォット
 ⑥カプリッチョ・ディ・ブラヴーラ(めざましき奇想曲)
 ⑦夢
 ⑧アレグレット=カプリッチョ
 ⑨メロディア
フランチェスコ・シラグーサ(コントラバス)
ロベルト・パルッツォ(ピアノ)
第1弾は、本当に大好評でございました——あれから3年、スカラ座の首席奏者があでやかな歌心と完璧なコントロールそのまま、同郷人ならではのボッテジーニ解釈をさらに縦横無尽、さらにカリスマ的に、極上の響きで綴ります。圧巻の超絶技巧は必聴!「コントラバスのパガニーニ」——そんな言い方が成立するものか?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、この楽器にも超絶技巧の名手はいます。ただ音楽性においてすぐれているだけでなく、聴き手が固唾をのんでついてゆくしかないくらい、圧倒的な超絶技巧を、この巨大な楽器の上で体現してしまう天才奏者が…コントラバス奏者のあいだで伝説的存在となっているイタリア19 世紀の名匠ボッテジーニは、まさにそうした超絶技巧のコントラバス奏者だったのです。指揮者としても活躍、かのヴェルディとも親交があり『アイーダ』の世界初演をカイロで指揮したのは、ほかならぬこのボッテジーニでした。そして作曲家としては数々のオペラのほか、幾つかの協奏曲的作品をはじめ、自らの楽器のためにも数々の名品を残しています——しかし何しろ技巧派名手、世のコントラバス奏者たちにとっては憧れの的、「いつか弾ける日が...」と夢見るほど、それらは高度な演奏技巧を弾き手に要求し、それだけに演奏効果も実にあざやか。指揮現場でも叩き上げられたオペラ作曲家だけに、「見せ場」の作り方がうまいのももちろんですが、単に技巧一辺倒に走らず、音楽的にすぐれた、説得力あふれる、充実した鑑賞体験をもたらしてくれる逸品が多いのです。つまり、演奏者のテクニックが昔とは比べ物にならないほど全体的に高水準になりつつある昨今、ボッテジーニ作品をたんに「弾ける」プロなら数多くいるにせよ、外面的な演奏効果に終わらず、その作品の魅力をきちんと伝えられる名手は、なかなかいないのが現状、ということでもあり。しかしその点、本盤は明らかに数段飛びぬけた録音なのです!リッカルド・ムーティの抜擢でミラノ・スカラ座管弦楽団に入団して以来、今もなお首席奏者をつとめるアントニオ・シラグーサは、同じイタリア人としての血がそうさせるのでしょうか、ボッテジーニ作品の「魂」まであざやかに伝える、深みあふれる解釈を聴かせてくれるのです。かつて2007 年に同じConcerto からリリースされた彼のボッテジーニ作品集第1弾は、『レコード芸術』誌上で特選を頂いた前後から国内で大いに注目が集まり、驚くほどの売れ行きをみせました。艶やかな歌心が高く評価されたこの先行盤に続く本盤では、超絶技巧がより効果的に盛り込まれた作品も増えているよう。それらを隅々まで完璧に弾きこなし、しかも説得力あふれる音楽的流れに見事文脈付ける技量は、じっくり聴くに足る「深み」にあふれています。

CYPRES

MCYP1659
(国内盤)
\2940
フランツ・クサヴァー・リヒター(1709〜89):
 1. パストラーレ・ミサ 〜独唱、合唱と管弦楽のための
 2. 交響曲 ニ長調
 3. マニフィカート 〜独唱、合唱と管弦楽のための
アンジェイ・コセンジャク指揮
ヴロツワフ・バロック・オーケストラ(古楽器使用)
マジェナ・ルバシカ(S)
ピョートル・リコフスキ(C−T)
マチェイ・ゴツマン(T)
ボグダン・マカル(B)
ヴロツワフ・フィルハーモニー合唱団
古楽シーン最先端——急成長中の東欧古楽シーン、西欧レーベルが録音に乗り出す。ポーランドのアンサンブルは、百発百中インターナショナルに通用する俊英です!…というか、曲目にご注目! 前古典派の優駿リヒターの全貌が、この1枚で堪能できます次ページでも説明しますが、ベルギーはもうずっと昔から、いわずと知れた「古楽大国」。古楽解釈にうるさい聴衆層もしっかり育っているのでしょう、この国のレーベルから出てくる古楽アルバムは、だいたい飛びぬけて水準が高いものばかりです。本盤も、そんな「古楽への適性」をありありと示す好例——しかし、演奏陣はベルギー人ではありません。遠く離れたポーランド(!)の、きいたこともないアンサンブル。ところが、その演奏水準がいきなり最高級なのです! 実はここ20 年ほど、日本のクラシック報道メディアが定点観測的に「西」に気をとられているうちに、日進月歩で古楽シーンの水準を上げてきたのが、チェコ、ハンガリー、ポーランドの東欧三国なのです。とくにポーランドは、ルネサンス期にはロシア以上の大国だったこともあり、掘り起こすに足る古楽遺産には事欠かず。音楽家たちのセンスがもともと飛びぬけて高水準、いったん古楽のコツを飲み込むや、強烈な表現能力を備えた名手やアンサンブルが続々登場したのでした。東欧の古楽水準の高さは、欧州業界では広く知られた事実(Alphaなんか、シベリアの古楽集団を発掘しているくらいですから!)——そう、「旧・西側」のレーベルがあえて予算を割いてアルバム制作に協力するポーランドの古楽アンサンブルとなれば、それは百発百中「秀逸な団体」といっても過言ではないのです。ましてや、古楽大国ベルギーのレーベルとなれば…!肝心の作曲家についてご紹介。前古典派きっての優駿、ヨハン・シュターミッツと並ぶマンハイム楽派最大のセンス抜群な作曲家、フランツ・クサヴァー・リヒターでございます。晩年はアルザス地方のストラスブールで大聖堂楽長をつとめ、モーツァルトの手紙にもたびたび出てくるのですが、本領発揮は18 世紀の半ば頃、ちょうどバロックから古典派へと時代の好みが変わる頃。マンハイム楽派がウィーン古典派にさきがけて花開かせた「交響曲」という新ジャンルも、リヒターを世界的に有名にした教会音楽も、本盤はしっかり収録。最も長いのは、1760 年代頃(ハイドンの初期、ラモーの晩年、バッハが亡くなって10 年以上経った頃、その息子たちの活躍していた時代)に書かれた長大なミサ・パストラーレ(降誕祭ミサ曲)。キリスト教きっての壮麗な祝日に華を添えるべく、金管とティンパニがオーケストラに加わった編成が歯切れよくコントラスト鮮やかに紡ぎ出すサウンドは、この時代ならではのメロディセンスの美とあいまって、モーツァルトやベートーヴェンの“ピリオド奏法”好きな方を魅了せずにはおきません!ハイドン初期を思わせる、ピリオド管楽器の素朴な美がたまらない3楽章形式の交響曲も絶妙——優しく切ない和声進行の妙こそ、リヒター芸術の真骨頂なのです。
MCYP1655
(国内盤)
\2940
〜「レクィエムと七つの世紀」vol.4/完結編〜
ピエール・バルトロメー(1937〜):『レクィエム』
 〜混声合唱、サクソフォン3、ホルン2、
 トランペット、トロンボーン、チューバ、
 打楽器奏者、マリンバ/ヴァイブラフォン、
 アコーディオン、ヴィオラ、チェロ、
 コントラバスのための
ギィ・ヤンセンス指揮
ラウダンテス・コンソート、
アンサンブル・ミュジク・ヌーヴェル
静かなるブームの続く好評シリーズ「レクィエムと七つの世紀」、ついに堂々完結!
世界各地の悲劇をまっすぐ見つめながら、安らぎへと昇華されてゆく、響き。大きな救いは、楽音の美しさ——熾烈さから静謐まで変幻自在、触感確かな音楽表現「交響曲の父」J.ハイドンの弟で宗教音楽の大家だったミヒャエル・ハイドンによる、モーツァルトの作例に大きな影響を与えた『レクィエム』(18世紀)。のちに交響曲作曲家になるとは誰も思わなかった若き日のブルックナーによる、弦楽器と僅かな金管という異色編成の『レクィエム』(19世紀)、「死者のためのミサ=レクィエム」という礼拝形式の全体を、すべて一人の作曲家が音楽化した最初の作例となるオケゲムの『レクィエム』(15世紀)...自ら稀代のピアニストとして将来を嘱望されながら指揮に転向、ルネサンス音楽への通暁はもとより、古楽器バンドでの古典派〜ロマン派解釈や現代音楽への適応力でも卓越したセンスをみせる、現代ベルギー楽壇の異才ギィ・ヤンセンスが、そのありあまる才能を余すところなく発揮、世界中でも彼でなくては成しえなかった偉業を数年がかりで完遂いたしました。15 世紀から21 世紀まで、七つの世紀それぞれから1曲ずつのレクィエムを選ぶにあたり、比較的見過ごされがちな「隠れ名曲」ばかりを選択、その全てにおいて鮮烈な演奏結果を打ち出し、各作品の知られざる魅力を明らかにしてきた当シリーズは、すでに日本でも明敏な音楽ファンの支持を受け、2007 年のシリーズ開始以来、静かな売れ行きを連綿と続けています。西欧の死生観と日本の死生観の違いがどう作用しているのか、「レクィエム」と聞くと必ず押さえておきたいというクラシック・ファンが、なぜか我が国にも少なからずおられるとのこと——すでに同シリーズの既存3盤を聴かれてきた方々にも、そうでない方々にも、このシリーズの完結編となる「私たちの世紀=21世紀のレクィエム」は、ふかく傾聴に値する内容になっています。なにしろ、作曲者はピエール・バルトロメー!指揮者としての活躍ぶりは、Ricercar レーベルで録音されたギヨーム・ルクー作品集をはじめ、日本でもつとに知られていますが、具象的な響きのストレートな魅力を大切にした、いわばグレツキやペルトら同世代の作曲家たちにも通じる作風の本作は、現代音楽慣れしていなくともスムースにその世界に入ってゆきやすい音楽内容。しかし、そのメッセージは痛烈そのもの——ベルギーが旧宗主国だったルワンダで20 世紀末に起こった内戦をモチーフに、世界的・普遍的な「人間の悲劇」を個人の心とむすびつけてゆく、そして最後に静かな安らぎ(レクィエム)へと昇華されてゆく情感と、独特の余韻...。室内合唱の高水準さを誇るベルギーらしく、スリリングで精緻な声楽アンサンブルの巧みさも聴きどころ。
Alpha の名技師ユーグ・デショーのあざやかなエンジニアリングで、空間性や響きの妙が実に自然に再現されるのにも注目です。

FUGA LIBERA

MFUG 564
(国内盤)
\2940
ベートーヴェン:
 交響曲第1番・第6番「田園」
 〜Fuga Liberaレーベル 最新カラーカタログ付〜
ベートーヴェン(1770〜1827):
 1. 交響曲 第1番 ハ長調 作品25
 2. 交響曲 第6番 変ロ長調 作品68「田園」
アレクサンドル・ルーディン指揮
ムジカ・ヴィーヴァ室内管弦楽団
 今や、超・高水準な演奏を聴かせる古楽器楽団がシベリアでも活躍しているくらいですから、かつては社会主義体制下でオリンピック選手並の伝統肌名匠たちを続々と生み出してきたロシアという国にも、どんどん新しい演奏スタイルが流入、あざやかに咀嚼されているようです。
 ベルギーのレーベルでありながら、これまでも注目度の高いロシアもの企画をいくつかリリースしてきたFuga Libera がこのたび録音してくれたのは、そんな「ロシア最前線」をいやおうなしに感じさせてやまない、まさしく「痛快!」の一言がぴったりなベートーヴェン演奏!
 チェロ独奏者としても名盤あまたのアレクサンドル・ルーディンが1988 年から音楽監督をつとめるムジカ・ヴィーヴァ室内管弦楽団は、古典から現代まできわめて幅広いレパートリーを誇りつつ、ホグウッドやノリントンら古楽畑の指揮者たちとも綿密な共演関係を続け、ディッタースドルフ、サリエリ、アリャビエフ…といった知られざる古典派前後の作曲家たちの名品を自家薬籠中の得意曲とするユニークな楽団。最後にあげたアリャビエフは、FugaLiberaで録音したアルバムが日本でも「レコード芸術」特選をとるなど高く評価されています。本盤は、そんな「ロシア新世代」の飛びぬけた高水準を王道レパートリーで端的に堪能できる名演。
 ヴァイオリンの両翼対向配置なんてもう当たり前、硬質かつ熾烈な叩き込みをみせるティンパニの響きは「第1 番」に明快なクリスピーさを与え、「田園」のクライマックスを劇的に盛り上げる、また絶妙のタイミングで、えもいわれぬ野趣をこめて音を割るホルンといい、信じられない機能性と「味」を感じさせる管楽器ソロといい、もういたるところ聴きどころ満載のベートーヴェンなんです。なんて整然と痛快な「第1 番」、なんてわくわくする「田園」!こんな秀逸なアイテムをさりげなくリリースしてくるFuga Libera、あらためて振り返れば『レコ芸』特選・準特選率が思いのほか高かったり。日本市場に受け入れられてきたそのセンスを、添付カラーカタログで追認できるのも嬉しい点ですね。
MFUG 561
(国内盤)
\2940
セルヴェ:チェロのための四つの技巧的名品
 〜19世紀、フランコ・ベルギー派最大のチェロ芸術家〜
フランソワ・セルヴェ(1807〜1866):
 1. ロッシーニの歌劇『セビーリャの理髪師』による大幻想曲
 2. アントヴェルペンの追憶
 3. スイスの追憶
 4. スパの追憶
ディディエ・ポスキン(チェロ)
ロザムンデ・アンサンブル(弦楽四重奏+コントラバス)
本盤の主人公、作曲家にして稀代のチェロ奏者だったフランソワ・セルヴェは、両足でチェロをはさんで弾くのがまだ主流だった19 世紀中盤にあって、近代式のエンドピンを誰よりも早く常用、新たなチェロ奏法を切り開いた名手。
セルヴェはベルギーの首都ブリュッセルにほど近い、ハルという衛星都市の出身。終生ここに暮らしながらブリュッセルを拠点に大活躍、近隣のドイツやフランスや英国はいわずもがな、遠くトルコやロシア・北欧まで遠征し、行く先々ですばらしい演奏を聴かせて大絶賛されたヴィルトゥオーゾです。師匠はニコラ・プラテルというフランス人——そう!つまり彼こそは、ド・ベリオやヴュータンなど同郷のヴァイオリンの名手たちと同じく、正統的に「フランコ・ベルギー派」を名乗りうるチェロ芸術家だったのです!
1840 年頃に作曲した「スパの追憶」(「スパ」は「温泉」という欧州語の語源にもなった、ローマ古代から続くベルギーの温泉街の名)はマインツのショット社から楽譜出版され、いまだに再版されつづけているベストセラー名曲。まるでヴェルディのオペラを15 分強の室内楽に凝縮したような、息をもつかせぬ展開、絶妙のカンタービレ、鮮烈な技巧性などが交錯する、演奏効果ばつぐんのチェロ独奏曲です。
本盤はこの「スパの追憶」はもちろん、それぞれ10 分以上にもおよぶ壮麗・芳醇な技巧的チェロ作品を4作も収め、セルヴェ芸術の真髄をあざやかに浮き彫りにしてくれる1枚!
「スパの追憶」のピアノ伴奏版以外は驚くほど知られていないその音響世界には、ヴュータン、ヴィエニャフスキ、エルンスト…といった、技巧と歌心がみごとな調和をみせるヴァイオリン作品群の魅力を、すっかりそのままチェロに引き写したような味わいが。こういうチェロ曲を聴きたかった!という方は、きっと多いことでしょう。
セルヴェと同郷のベルギー・ブリュッセル出身、フルニエやシャフランに師事したポスキンの美音と技巧も実に頼もしく、ロザムンデ・アンサンブルの絹のような弦楽伴奏をバックに、陶然と聴き進めてしまうこと必至!各曲、聴き終えた時の充実感は桁外れです!
MFUG557
(国内盤)
\2940
ヨセフ・スーク(1874〜1935):
 1.交響曲第2番「アスラエル交響曲」op.27
 2.死せる英雄たちの伝説 op.35b
  〜大管弦楽のための記念碑
仏Diapason誌5点満点受賞
ヴァルター・ヴェラー指揮
ベルギー国立管弦楽団
「アルプス交響曲」には負けない「チェコ交響楽のトリスタン」。雄大にして繊細をきわめるポスト・ドヴォルザーク世代の優駿スークの大名曲を、ウィーン・フィル出身の「あの名匠」がストレートに心に響く痛快名演であざやかに仕上げました。管弦楽ファンに贈る絶妙盤1961 年、わずか17 歳にしてウィーン・フィルのコンサートマスターの一人になり、11 年間その座を守り続けた末に独立して指揮者に転向、長きにわたる英国での活躍の末に2007 年、ブリュッセルの超名門ベルギー国立管弦楽団の音楽監督に就任したヴァルター・ヴェラー。日本では指揮者というよりも、むしろDecca に数々の名演を残したヴェラー四重奏団の第1ヴァイオリン奏者として知られているかもしれませんが、ともあれ彼は生粋のウィーン生まれ、古典派・ロマン派の時代から脈々と続いてきたこの音楽都市の空気を肌で知っている名匠——そんな大家が、1931 年からつづくフランス語圏随一のオーケストラを率いて録音したのは、意外と言えば意外な『アスラエル交響曲』!ご存知のとおり、作曲者スークはドヴォルザークがその才能を認めて娘オティーリエとの結婚を許した、チェコ晩期ロマン派の大家。『アスラエル交響曲』は結婚直後、順風満帆のすべり出しをみせたキャリア中期の始まりに、亡くなったドヴォルザークへの追悼を込めて作曲していたところ、妻オティーリエも亡くなってしまい、両者の追悼の意をこめて「アスラエル」(死の天使)と題された作品。それは、管弦楽法の美と精緻さがひとつの絶頂に到達した1900 年前後の交響曲らしい壮大な名曲のひとつにほかならず、細やかな聴きどころにも事欠かないスークの代表的傑作でもあります。長らくSupraphon 音源のノイマン&チェコ・フィルの決定盤が国内盤流通であったくらいでしたが、近年ようやくR.シュトラウスの「アルプス交響曲」やラフマニノフの「交響曲 第2番」といった同時期の大作群に伍しうる名曲ということが理解されてきたか、20世紀末くらいから急にディスコグラフィが充実してきました。しかし!本盤は、ゾクゾクっとくるような艶やかな冒頭部からいきなり聴き手の心をつかみにかかる、ヴェラーの成熟とオーケストラとの信頼関係の伸張をいやおうなしに感じさせてくれる名演で、じゅうぶん他盤と競合して抜きん出られる充実解釈となっているのです! 正直、Fuga Libera でのこれまでの録音2作はマーケット的に不利な要素もあったと思うのですが(1枚目は曲目がややニッチ(マルティヌーの交響曲第4番)、2枚目はあまりに有名曲すぎ(英雄の生涯)で競合盤無数)、今度の1枚は演奏内容の秀逸さ、上り調子の作品知名度(のわりに国内盤はなし)、しかも指揮者は作曲者の育った環境とごく近いところの出身(スークは世紀末プラハ育ち、ヴェラーはそのすぐそばのウィーンっ子で、スークがこの曲を書いた頃プラハはまだオーストリア=ハンガリー帝国の一地方でした)、と追い風要素たっぷり。細部の歌い回しにも全体のドライヴ感にも、明らかな格の違いが滲み出ています。
MFUG 562
(2CD)
(国内盤)
\4515
1838〜39 年のローベルト・シューマン
 〜子供の情景、ノヴェレッテン、およびその他のピアノ曲〜
ローベルト・シューマン(1810〜56):
 1. ノヴェレッテン作品21
 2. 子供の情景作品15
 3. フモレスケ作品20
 4. アラベスケ作品18
 5. 花の曲作品19
 6. 三つのロマンツェ作品28
 7. 夜の曲作品23
  使用楽器:J.B.シュトライヒャー1850 年製作
ピート・クイケン(フォルテピアノ)
「シューマンの年」、続々と注目盤が登場すると思っていたら...こんな傑作盤まで!クイケン一族の「第2世代」、今や日本でも名をあげつつあるガンバと鍵盤の名手ピートがシューマン夫妻も愛したシュトライヒャー・ピアノで、細やかなタッチで「作曲家の心」に迫る!1970 年代——少し前から「古楽先進国」として、オランダとともに「作曲家と同じ時代の楽器と演奏法を」というピリオド楽器演奏のメッカになっていたベルギー。そのシーンを牽引しつづけ、のちに世界的なヴィオラ・ダ・ガンバの「導師」となる巨匠ヴィーラント・クイケンこそ、この時期に生まれた、本盤の主人公であるピート・クイケンの父親なのでした。同じくバロック・ヴァイオリン演奏のパイオニアとして華々しく活躍してきたヴィーラントの弟、シギスヴァルト・クイケンの娘サラとヴェロニカも、今やヨーロッパ古楽界きっての重要なバロック・ヴァイオリン奏者になりつつありますが、同じ「第2 世代」でも、ピート・クイケンはチェンバロ、フォルテピアノ、現代ピアノ、ヴィオラ・ダ・ガンバ…とさまざまな楽器をステージで演奏できてしまう多芸な才人。とりわけ、現代ピアノとはさまざまな点で扱い方が異なる19 世紀以前のピアノ(フォルテピアノ)の演奏にかけては、当人の飛びぬけた音楽性とあいまって、ヨーロッパ屈指の活躍ぶりを見せているようです。そんな新世代の気鋭奏者を起用して、ベルギーきっての侮りがたい個性派レーベルFuga Libera が、実に充実したシューマン・アルバムをリリースしてくれます! 時おりしもシューマン生誕200 周年。かつての師匠ヴィークの娘、クララとの恋路が「恋人の父」である師匠の断固たる否認で断ち切られ、絶望の淵をさまよっていた1838〜39 年のシューマンに焦点をあて、名手ピート・クイケンはこの時期に作曲された有名・無名の充実ピアノ曲7編を集め、それらを、シューマン夫妻もたいへん高く評価していたというウィーンの名工、シュトライヒャーの製作した楽器で綴ってゆきます。高音の優しさ、低音の滋味深さ、現代ピアノとは大いにクセの異なるニュアンスの豊かさ...そういった美質の数々こそ、私たちの時代の強靭・精密な現代ピアノではたどりつけない「シューマン自身がイメージしていた響き」に迫るものにほかなりません。「子供の情景」や「アラベスケ」など有名曲が19 世紀当時、かくも繊細な音の移ろいのなかで味あわれていたのか!と、息をのむ美しさに認識を新たにする瞬間もさることながら、「ノヴェレッテン」「三つのロマンツェ」など、重要作にもかかわらず録音が少ない名品まで含め、ボリューム充分の解説(全訳付)とともに、シューマンのピアノ曲作曲人生において最も重要な時期をじっくり追える、というのがきわめて貴重。改めて作曲家像を追認する、本年きっての充実企画です!
MFUG563
(国内盤)
\2940
シューベルト:二つのソナタD840・D959
〜未完成の美、死への予感〜
シューベルト(1797〜1828):
 1. ピアノ・ソナタ ハ長調 D840(未完)
 2. ピアノ・ソナタ イ長調 D959
ゼーフェリン・フォン・エッカルトシュタイン(ピアノ)
ドイツ21世紀。すでに楽壇の先陣でバリバリ活躍中の「ドイツ本格派」エッカルトシュタインがついにドイツ=オーストリア系の王道作曲家に向き合ってくれました!
風格たっぷり、余裕と詩情もたっぷり。長大な楽章で聴くに値する、この感性とスケール感!エッカルトシュタイン(本年来日時の公演名では「エッカードシュタイン」)——1990 年代からハンブルク・スタインウェイ・コンクールやイタリア国際青少年コンクールなどで優勝相続き、世紀末頃にはミュンヘンARD やブゾーニ国際コンクールなどの難関に上位入賞、そして2003 年にエリザベート王妃国際コンクールにみごと優勝したあたりから、ヨーロッパのシーンで着実に注目を集めつつある大器ですが、近年の充実ぶりを聴くにつけ、これは確実に新世代のドイツを担う存在になるだろう、と期待度の高まるところ。
しかしコンサートシーンはいざ知らず、録音はメトネル、ヤナーチェク、プロコフィエフ、グラズノフ…と諸外国の作曲家ばかり(いやもちろん、それらが素晴しいのも確かでしょう)、ドイツ=オーストリア系の王道に触れてくれないものか、と思っていた矢先にこの新録音! 堂々のシューベルト、それも選曲からして憎いことに、最晩年の長大な3曲のソナタでも唯一短調のD959 と、その3年ほど前に着手されたものの、冒頭2楽章だけ書いたところで未完のまま放棄された「未完成ソナタ」D840 ときたものです。
「全曲録音に望んで、これみよがしに“これが私のシューベルト解釈です!”と誇るようなまねはしたくない、そうやって気負った姿勢で臨むことほど、シューベルト演奏を台無しにするものはない」といった論調の小論を自ら解説書に寄せているとおり(全訳添付)、彼自身の心に添う作品としてこの2曲が浮かび上がったのでしょうが、その解釈に漂うさりげない風格はもはや大ヴェテランの域。聴き手を細部に引き込む手際もあざやかなら、全体としてスケール感あふれる演奏に仕上げてみせる構築感覚も逞しく、これぞドイツ=オーストリア直系、といった頼もしさに貫かれているのです。各楽章が長大なプログラムだからこそ、いっそう際立つ特質といえるでしょう——事実エッカルトシュタインは録音にさいし、非常な長尺でテイクをとり、ほとんどライヴ録音プラス微調整、といった制作進行をとったのだそうです。一貫性とシューベルトらしい詩情…21 世紀もますます、驚くべき才人が続々登場してくるのですね!
MFUG558
(国内盤)
\2940
クラリネットで、ソナチネを
 〜20世紀ヨーロッパ、さまざまなソナチネ芸術〜
 マーカム・アーノルド(1921〜2006):
  1. クラリネットとピアノのためのソナチネ
 ボフスラフ・マルティヌー(1890〜1959):
  2. クラリネットとピアノのためのソナチネ
 ニコラ・バクリ(1961〜):
  3. 叙情的なソナチネ 作品108-1
 ピエール・サンカン(1916〜2008):
  4. クラリネットとピアノのためのソナチネ
 レーモン・シュヴリュイユ(1901〜76):
  5. クラリネットとピアノのためのソナチネ 作品94
 マルセル・プート(1901〜88):
  6. クラリネットとピアノのためのソナチネ
 ジョーゼフ・ホロヴィッツ(1926〜):
  7. クラリネットとピアノのためのソナチネ
ロナルド・ヴァン・スパーンドンク(クラリネット)
エリアーヌ・レイエス(ピアノ)
「ソナチネ」は、ピアノの専売特許ではありません——が、クラリネットのためのソナチネはどうしたものか、驚くほどの充実作ぞろい! 広範なレパートリーを誇る仕事人ヴァン・スパーンドンクが黙っていようはずがない。味のある逸品ぞろいの選曲を、絶妙の名演で!ソナチネ——いかにも、チェルニーやモーツァルトやクレメンティやクーラウや...と、ピアノを習いはじめて少しした頃に出てくる「初心者向きにしては結構本格的」なジャンル、といった印象を拭い去れないこの呼称。しかしどうしたものか、クラリネットのためのソナチネというのには意外に名曲が多く、英国随一の多作な作曲家アーノルドや、管楽器作品に名品の少なくないマルティヌー、ユダヤ系作曲家ジョーゼフ・ホロヴィッツ...といった面々の作例は、この楽器を吹く人たちにとっては親しみ深くも手ごわい名曲群。つまり、大作曲家の手すさびでも子供向け小品でもなんでもなく、「ソナタ」の壮大さと充実度をそのまま小規模な曲展開のなかにぎゅーっと凝縮したような、聴き応えたっぷりの逸品ばかりなのです! で、さらに近現代のシーンから楽譜を探ってみると、ぞろぞろ出てくるソナチネの名品...というわけで、古典から現代まで幅広いレパートリーを誇るベルギーきっての才人クラリネット奏者ヴァン・スパーンドンクは、それならいっそ、と「全てソナチネ」のアルバムを制作してしまいました。こんなに次々、もし聴かされるのがソナタばかりだったらさぞ食傷することでしょうが、とんでもない——1楽章完結型のバクリの意外な名品や、見過ごしがたい作曲家の多いベルギー近代からの「隠れ名匠」プートやシュヴリュイユ、パリ音楽院のサンカン...といった侮りがたい天才たちの至芸は、ちょうどよい曲の長さとあいまって、つい「これは?じゃあこれは?」と聴きついでしまう面白さ! なにしろヴァン・スパーンドンクの饒舌かつ上品な吹き口が心地よいので、思わず釣り込まれてしまうのです。ピアノのレイエスも、まだ若手とは思えない手際よくも積極的な絡みをみせ、「室内楽」としての上質さを否応なしに印象づけてやみません。ヨーロッパに数あまたのスーパー管楽器プレイヤーの至芸は、フランスのIndesens!だけの専売特許ではない…そんな思いを強くせずにはおれない、磨きぬかれた秀逸盤の登場でございます!

INDESENS!

INDE014
(国内盤)
\2940
エリック・オービエの美術館散策
〜「管の国」のトランペットと、印象派絵画〜
 ①「展覧会の絵」より プロムナード(ムソルグスキー)
 ②「夜想曲」より 祝祭(ドビュッシー)
 ③夢のあとに(フォーレ)
 ④ハバネラ形式の小品(ラヴェル)
 ⑤エスパーニャ(シャブリエ)
 ⑥シランクス(ドビュッシー)
 ⑦「子供の領分」より 小さな羊飼い(ドビュッシー)
 ⑧即興曲*(イベール)
 ⑨演奏会用ガヴォット*(ズーターマイスター)
 ⑩幻想曲 変ホ長調(サン=サーンス)
 ⑪伝説*(エネスコ)
 ⑫アルベニス風に*(シチェドリン)
 ⑬ソナチネ*(フランセ)
 ⑭「動物の謝肉祭」より 白鳥(サン=サーンス)
 ⑮ガヤルド*(タイユフェル)
 ⑯カンタービレとスケルツェット*(ゴベール)
 ⑰練習曲 op.8-12(スクリャービン)
エリック・オービエ (トランペット)
パスカル・ガレ(ピアノ)
「管楽器の王国」フランスの最高峰奏者は、楽器の常識をも軽やかに乗り越える——こんなに安らぐトランペットが、いまだかつてあったでしょうか?
通念を覆す編曲と秘曲、美麗デジパックに飾られた印象派絵画とともに、古き良き時代にゆっくりクールダウン。原題は「Balade impressioniste」。バラード、といってもL が二つの「バラード ballade」とは違います、「散策」という意味のフランス語単語。20世紀の終わり頃、フランスでは「最近は外来語が多すぎる!極力フランス語で言い換えましょう」という動きがあった時期があり、過敏になりすぎるあまり「ウォークマン」にまで言い換え表現が提案され、それが「バラードゥール baladeur」という語だったものでした…すみません、余談ですね。ともあれ、テーマは「印象派散策」。印象派絵画が世をにぎわせたのは19 世紀の末ちかく、その頃の美術と「散策」という語から連想される音楽といえば...やはり「プロムナード(回廊)」という曲で始まるムソルグスキーの「展覧会の絵」。のちにフランスを中心に音楽の世界にも印象主義が台頭してきた頃、その担い手だったラヴェルが手がけたその管弦楽編曲は、伸びやかな無伴奏トランペットのソロで始まります。かつて弱冠19 歳でパリ・オペラ座の首席奏者となり、その後も華々しく活躍を続けてきた現代フランス最高のトランペット奏者エリック・オービエは、数多くの同曲の名演で、どれだけこのソロを奏でてきたのでしょう——オーケストラ活動を離れて完全なソリストとなり幾年月、今や「管の国」フランスのトランペット界の頂点にいると言っても過言ではないこの名匠は本盤で、たおやかなアンサンブルを織り上げるピアノとの静かなデュオで、1900 年前後の意外なレパートリーの数々をあれこれ、美術館をゆっくり散策してゆくかのようにひとつひとつ、他の追従を許さぬ磨きぬかれた名演で楽しませてくれます。美麗デジパック・ジャケット内面を彩るのは、それらの作品と同時代の芸術世界を賑わせた印象派絵画の傑作さまざま——オービエの選曲は、これらの絵から着想を得てのものとのこと。そこで静かな驚きを提供してくれるのが、さりげなく織り込まれた思わぬ編曲の数々!フォーレの「夢のあと」やドビュッシーの管弦楽曲に「シランクス」(!)、スクリャービンの練習曲(!!)…と、およそトランペットには似合わなそうな曲が、オービエの絶品ブレスコントロールとビロードのような美音にかかると、信じがたいほど滑らかな、安らぎたっぷりの響きになるのです(こんなやり方でトランペットの新しい可能性を提案できるのも、彼だからこそ)!一度聴いたら病みつきになる異色の妙音、その静かな意外性は、19 世紀当時まったく新機軸の表現手法だったのに、今や多くの人の心を安らがせずにはおかない、印象主義絵画のそれと似ているような。美麗ジャケット内の名画の数々とともに、極上のくつろぎを約束してくれる1 枚です。
INDE007
(国内盤)
\2940
トランペットで聴く、ロッシーニの名曲アリア
ロッシーニ(1792〜1868):
 ①歌劇『泥棒かささぎ』より「私の心は喜びに踊る」
 ② 歌劇『ウィリアム・テル』より「暗い森よ」
 ③歌劇『タンクレーディ』より「こんなに胸騒ぎが」
 ④歌劇『オテッロ』より「柳の歌」
 ⑤歌劇『アルジェのイタリア女』より「美しい女に恋焦がれ」
 ⑥歌劇『チェネレントラ』より
  「わたしは苦しみと涙のために生まれ」
 ⑦歌劇『ブルスキーノ氏』より「ああ、すてきな花婿をくださいな」
 ⑧歌劇『絹のはしご』より「いとしい人を呼び、ため息をつくの」
 ⑨歌劇『セビーリャの理髪師』より「今の歌声は」
エリック・オービエ(トランペット)
アモリ・デュ・クロセル指揮
ルーマニア放送フィルハーモニー管弦楽団
世界的名手エリック・オービエのブロウは、人声にさえ比肩しうる——艶やかなカンティレーナの美しさも、ため息もののコロラトゥーラも、不可能なパッセージは一切なし。食わず嫌いでオペラを避けてきた方々、この1枚で「面白すぎる新境地」が垣間見えますオペラ——やれスカラ座の引越し公演だ、MET(メトロポリタン歌劇場)の新演出だ、といった何やら「おいしそう」な報道などを横目に「すごいんだろうけれど、オペラ声はちょっと...」とか「長すぎる」とか「歌詞がわからないし」とか、もろもろの理由でオペラを聴かずじまいのクラシックファンは、日本には多いはず。どんな理由であれ、至極もっともだと思います——町ごと歌劇場があるヨーロッパでもなし、イタリア語やらドイツ語やらが母国語だったり身近だったりでもなし、全幕となればブルックナーの交響曲の倍以上長いものも続々、楽しめというほうが難しいわけで、「やる側」の努力とプロデュースの妙が問われるというものです。でも、たとえばトスカニーニの振る『運命の力』序曲でヴェルディの偉大さを垣間見たり、演奏会用のあっけない終わり方をしない『ドン・ジョヴァンニ』序曲の続きに思いを馳せたり、『ワルキューレの騎行』は本当はどんな流れで出てくる音楽なのだろう、とか、『泥棒かささぎ』序曲の軽妙な響きのあとにはどんな音楽が劇場を満たすのだろう、とか、「オペラは聴かないがクラシックファン」であればこそ、のもやもや感を抱えておられる方もまた多いはず。そのもやもやをCD1枚分だけ、しかし完膚なきまでに痛快に晴らしてくれるのが、「管楽器の王国」フランスが誇る現役最高のトランペッターのひとり、エリック・オービエ! ベル・カントの王様ロッシーニのさまざまな傑作アリアの独唱パートを、絹のように滑らか&濃やかなカンティレーナで、比類なく饒舌なコロラトゥーラで、意気揚々と風格たっぷり、歌心たっぷり、艶やかに吹きこなしてしまったのです。古来「楽器は人の歌声を模倣するもの」と、歌声にかなうものはなし・という大前提がありながら、腕利きの管楽器奏者がオペラ歌手と張り合う、という演奏対決芸もしばしば行われ(映画『カストラート』にもありましたね)、この試みはまったく正統的な行為ながら、よほど腕に覚えがないと敢行できない「離れ業」。それができてしまうのがオービエという人なのだな、としみじみ痛感する1枚です。オペラ・ファンが日頃「舌鼓」を打つ定番名曲も続々、「オペラ声」も「外国語歌詞」もなしに「大天才ロッシーニの真髄」に触れられる絶好のユニーク企画、どうぞご注目を!
INDE002
(国内盤)
\2940
フランスのトロンボーン音楽さまざま
 〜サン=サーンス、デュティユー、ロパルツ、ブートリ…〜
 アンリ・デュティユー(1916〜):
  1. コラール、カデンツァとフガート
 カミーユ・サン=サーンス(1835〜1924):
  2. カヴァティーヌ 作品114
 アンリ・トマジ(1901〜71):
  3. アンダンテとスケルツォ
 ギィ・ロパルツ(1864〜1955):
  4. トロンボーンとピアノのための演奏会用小品
 ジャック・カステレード(1926〜):
  5. ソナチネ
 ロジェ・ブートリ(1932〜):
  6. 奇想曲
 アルフレッド・デザンクロ(1912〜71):
  7. プラン・シャンとアレグレット
 アレクサドル・ギルマン(1837〜1911):
  8. 交響的作品
ジャン・ラファール(トロンボーン)
ユミ・オーツ(p)
「薫り豊かなトロンボーン」、というほかない高雅なブロウ——温もりと静かな香気、マッシヴな迫力を下品にしない絶妙のコントロール。思いがけない名作も続々!気になるフランス人巨匠たちの意外な秘曲を、本場奏者の、超・高水準の演奏で!トロンボーン——ルイ・アームストロングの元気なジャズ、ブルックナーの迫力満点なブラスセクション、あるいはモーツァルトの「レクィエム」に聴く「喇叭は不思議な音色を奏で」の、ほんとうに不思議なソロ…単体でのトロンボーンは、なんとなく「高雅」とはほど遠い精力満点の楽器のように思われるかもしれませんが、あにはからんや。「管楽器の王国」フランスの金管・木管スーパープレイヤーたちを続々と起用してくれるIndesens!レーベルの本盤を聴けば、そうした通念はあざやかに覆されることでしょう。なにしろ演奏はパリ・オペラ座のスーパープレイヤー、パリ音楽院と(同じくパリ近郊の名門である)ブローニュ=ビヤンクール音楽院で教鞭をとり「管の国」の伝統を後代にも伝えている名匠、ジャン・ラファール!次から次へと難曲を手がけなくてはならないオペラ座で揉まれながら、この芸術の殿堂に薫り高い響きを添えてきたこの名手が、「管の国」の伝統をじっくり育ててきた、フランス屈指の作曲家たちがこの楽器のために書いてきた知られざる名品群を、これ以上望むべくもない極上解釈で聴かせてくれます。サン=サーンス、ロパルツ、ギルマン…といったロマン派末期〜近代の「気になる」作曲家たちが書いた優美な作品群もさることながら、管楽器の名品を数多く残しているパリ音楽院のブートリ、質感確かな近代作品を書くトマジ、そして押しも押されぬ知的な音楽詩人デュティユー...と、20 世紀作品もどれをとってもエレガントで深みあり、この国の芸術家の接しやすさと深みをあざやかに象徴する曲ばかりが続きます(妙な話、チェロ奏者やフルート奏者でさえ羨望のあまり編曲して弾きたくなるような?曲ばかりのとさえ言えるかも)。インスピレーション満点のピアノとの絡みも、高雅で知的なサロンでの一夜・といった感覚で、誰しも魅了されずにはおれない絶妙さ!金管表現の通念を覆す、何とも忘れがたい1枚です。

INTRADA

INTRA042
(国内盤)
\2940
メンデルスゾーン:チェロとピアノのための作品集
 1. チェロとピアノのためのソナタ 第1 番変ロ長調 作品45(1838)
 2. チェロとピアノのためのソナタ 第2番ニ長調 作品58(1843)
 3. 無言歌 ニ長調 作品109
 4. アルバムの一葉 作品117(1835)
 5. チェロとピアノのための協奏的変奏曲ニ長調 作品17
セバスティアン・ヴァン・カイック(チェロ)
ダナ・チョカルリエ(ピアノ)
フランス発・いま最もアツい新世代チェロ奏者——デュティユーもバクリもエスケシュも、フランスの現代作曲家は世代を問わず、この人にチェロのことを相談して作曲する。その上、ロマン派まで巧いんですから…誰が聴いても直ちに魅了される、絶品作品集!ジャケットをごらんください——まあ美しい桜の花。リリース時にはぴったりのヴィジュアルでしょう(こういうベタなはずの写真を絶美のDigiPack にしてしまうのは、さすがモードの国フランスの絶妙センス)。なぜ桜?それは演奏者ヴァン・カイックが、フランス人ながら母方に日本の血を引いているからでしょう。ともあれ、フランスのIntrada といえば、いつの時代も才能あふれる若者に事欠かないフランスのシーンから、さらによりすぐりの急成長株を見出してくることにかけては天才的なレーベルのひとつ!今回も、そんな定評をさらに確たるものにしてくれる慧眼を発揮してくれました。パリ音楽院育ちのヴァン・カイック(日仏系といいつつ、この名は明らかにベルギー=オランダ風ですね…フランス人たちもオランダ語風に読んでいます。余談ながら、クイケン兄弟の姓もリアルにオランダ語読みすれば「カイケン」に近い)は、ムニエやミュレールらパリ音楽院の名教師たちからセンス抜群の美音を受け継いだだけでなく、ゲリンガスやヴィスペルヴェイ、シュタルケル、マリア・クリーゲル…とさまざまな世代の世界的名手にも師事、またたく間にチェロ芸術の至芸を身につけてしまった天才(演奏からはおよそ窺い知れませんが、まだ20代だそうで)!すでにフランスのシーンでは大人気で、バクリやエスケシュといった現代随一の作曲家たちはおろか、かのデュティユー御大までもが、チェロ作品を書くときにはヴァン・カイックを頼って共同作業をするほどなんです。どれほどの力量か?本作はその圧倒的な感性を知り、酔いしれるには絶好のデビュー盤といえるでしょう。なにしろ曲はメンデルスゾーン、ご存知の方はきっと深ーくご存知の、2曲のソナタを中心とした絶品チェロ作品の数々。ってこれ、実は我々業界人が思っているより、ずっと知名度の低いレパートリーなのでは?とも思うんですが、チェロ音楽を聴き慣れた方なら、この2曲を含むメンデルスゾーンのチェロ作品集ほど、チェリストのさまざまな技量のありようがわかりやすく出てくるものもないことを、きっとご存知のはず! 壮大なスケール感と濃やか・細やかなロマン情緒のバランスが絶妙な2曲のソナタや長大な変奏曲では、伸びやかさと緻密さを兼ね備えたヴァン・カイックの弓さばきが、ルーマニア系フランス人ピアニスト、チョカルリエの積極的な立ち回りとみごとに交錯、実に聴き応えのある解釈に——その感性は一連の小品でも空回りせず、ぴたりと作品美に寄り添う明敏にして叙情あふれる仕上げ方がたまりません。

PAN

PC 10216
(国内盤)
\2940
デュルニッツ男爵 ファゴットとピアノのためのソナタ集
タドイス・ヴォルフガング・フォン・デュルニッツ(1756〜1807)
 ①ソナタ 第1番 変ロ長調 ②ソナタ 第2番 変ホ長調
 ③ソナタ 第3番 ト長調 ④ソナタ 第4番 ヘ長調
 ⑤ソナタ 第5番ト長調 ⑥ソナタ 第6番 ハ長調
セルジオ・アッツォリーニ(古典派ファゴット/1770年製オリジナル)
エドアルド・トルビアネッリ(フォルテピアノ/シュタイン・モデル)
モーツァルトと同い年、ミュンヘンで「デュルニッツ・ソナタ」を献呈された男爵さまは支払いは悪いが音楽センスはズバぬけて秀逸、実は作曲まで天才的にウマかった——!
デュルニッツという名前そのものは「どっかで聞いたような…?」という方も少なくないかもしれません。
若きモーツァルトにピアノ・ソナタを発注して受け取っておきながら、報酬支払いをずっと逃げ続けた悪名高きデュルニッツ男爵については、その後のマンハイム=パリ旅行のあいだ作曲家と父親のあいだに交わされた手紙にも「はやく支払いをしてもらえ」「いやいや上品にいきましょう」といった対話のなかにばっちり残っているのでした(結局かなり後になって支払いがあったらしく、当該のソナタKV284 はめでたく「デュルニッツ・ソナタ」の愛称で知られています)。
さて!そんな不名誉な経緯で歴史に名を残してしまったこの男爵様、実はみずから手練のピアニストとして名を知られた「実践肌」の音楽愛好家で、自らも作曲までたしなむほどでした。そんなわけで、本盤の演目はその彼が1780 年頃に作曲したという、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ同様「ファゴットの助奏つきピアノ・ソナタ」といった感じのセンス抜群な二重奏ソナタ6曲。それがわざわざ6曲全て紹介したくなる内容なのは、本盤のどこをちょっと聞いただけでもすぐにわかるでしょう!
音楽教育で知られたイエズス会系修道院学校を卒業後、所領を継ぐまでの若い頃は「全員が士官の軍隊」とうたわれた宮廷楽団を擁するマンハイムの宮廷で司祭をしていただけあってか、そのセンスのまあ絶妙なこと!モーツァルトやハイドン並の鍵盤ソナタを書ける作曲家って1770〜80 年代には滅多にいないんですが(ウィーンだと辛うじてG.A.シュテファンくらい?)、デュルニッツ男爵はそれこそ玄人はだし、後年のルドルフ大公や往年のレオポルト皇帝もかくや、というほど、否「名義デュルニッツ、実はモーツァルト作?」と疑りたくなるほどのセンスを発揮。ピアノが連ねる流麗かつ堅牢なメロディラインのそば、折々ファゴットがなめらかに、素朴にして芳香な調べでからんでくる——小気味よいアレグロのテンポも、のどかなカンタービレも、それらを的確な順番で組み合わせる構成能力も、ズバぬけているのです。
18 世紀音楽愛好者向けに言えば「クラウスの巧みさとアンフォッシ歌劇の叙情、マルティン・イ・ソレールのドラマ作りが並存している」…といったところ?それが誇張でないことは、お聴き頂ければわかるはず。で、本盤のもうひとつのポイントは、演奏者ふたりが現代最高級の「その道のプロ」であること——ファゴットのアッツォリーニは現代楽器にも古楽器にも通じた(しかも楽器復元には一家言あり・の)同業者に知らぬ者なき巨匠(Naive のヴィヴァルディ録音でも大活躍でしたね)、この人ほど古楽器を現代楽器のように難なく、絶妙のニュアンスで吹ける名手もいないでしょう。対する「主役格のピアノ」はPan Classics に名盤あまたの俊英が奏でるシュタイン型(モーツァルトが初期に愛用したモデル)。これも難なく美しい音の珠を連ねますが、これもまた常人技ではありません。神の領域です…!

RICERCAR

MRIC283
(国内盤)
\2940
ラッススの「聖」と「俗」 〜「音楽作品大全」より〜
ロラン・ド・ラッシュ、通称オルランド・ラッソ
またはオルランドゥス・ラッスス(1532〜94):
 ①おまえはなぜ震えている、楽神よ
 ②これらの歌を、かつて歌いしは
 ③私たちは、日陰の塵芥(ちりあくた)です
 ④いざ、いの席に持ち寄らん
 ⑤星々を統べるのが、かの方でありますよう
 ⑥この不浄なる唇から、我らが罪を取り除きたまえ
 ⑦讃えよ、母なる教会
 ⑧2声のカンツォーナ(『音楽作品大全』第16 曲)
 ⑨どこを見ても、矛盾ばかり
 ⑩バビロンの流れのほとりで
 ⑪ヒスパニア人が、ベルガエ商人の食卓に招かれた
 ⑫獣のように、愚かな輩は悪徳に染まる
 ⑬2声のカンツォーナ(『音楽作品大全』第21 曲)
 ⑭愛する人よ、あなたはなんと清らかで(器楽合奏版)
 ⑮愛する人よ、あなたはなんと清らかで(声楽版)
 ⑯人は、名誉のさなかにあっても
 ⑰女性に魂を握らせてはいけない
 ⑱われら今こそ歓喜せん
 ⑲ワインは喜びのもと、乱痴気騒ぎのもと
 ⑳それはあなたの民と、天上との美しき宝飾
 (21)2声のカンツォーナ(『音楽作品大全』第22曲)
 (22)ひと口含めば死んでしまうぞ、飲み干さぬかぎり
 (23)時の末には、何もかもが朽ち果てる
ジャン・チュベリー指揮
ラ・フェニーチェ(古楽器使用)
ナミュール室内合唱団
古楽大国ベルギーでも、最高峰のアンサンブルがあざやかに織り上げてゆくのは後期ネーデルラント楽派最大の巨匠ラッススの芸術性を、多角的にしめす豪奢な傑作群。歿後出版された一大曲集から、聖・俗の合唱曲のみならず、貴重な器楽作品まで収録ネーデルラント地方として栄えた時代を過去に持ち、国土はせまいが歴史は長い、かねてから「古楽大国」としての地位を誇ってきたベルギー。この国にはフランス語圏があるので(国土の約半分がフランス語圏)、隣国フランスとの文化的連携もあざやかに、折々ヨーロッパ随一の文化的偉業を打ち立ててきました。この国が、オランダという古楽先進国のとなりで古楽大国たりえてきたのは、フランス語で培われた文化伝統があればこそ。当のフランス楽壇がまだ古楽慣れしていなかった頃から、ベルギーの古楽奏者たちは「母国語」フランス語で育まれたフランス・バロックの世界を、いちはやくネイティヴとして全世界に発信してきたわけです。その偉業を長年にわたって音盤シーンで支えてきたのが、古楽レーベルRicercar。フィリップ・ピエルロ率いるリチェルカール・コンソートの活躍はつとに有名ですが、同じくらい昔から古楽界に貢献をなしてきた超・実力派ナミュール室内合唱団もまた、このレーベルであまたの名盤を制作してきました。近年とくに緊密な関係を続けているのが、現・音楽監督である天才コルネット奏者ジャン・チュベリー。パッヘルベル、シャルパンティエ、カリッシミ(Cypres)…と近作は17世紀の巨匠たちの作品が中心でしたが、今回新たに向き合ったのは、ルネサンス晩期を代表する世界的名匠ラッスス!自分たちと同じネーデルラント地方出身の大作曲家なのも手伝ってか、1トラックごと濃密な音楽性が凝縮された充実作に仕上がっているのが頼もしいところ——ルネサンス=合唱芸術が最重要ジャンル、とよくご存知の古楽ファンなら、このクオリティには抗し切れないに違いありません! 息子たちの手で歿後出版された『音楽作品大全』は、この巨匠の傑作教会音楽のみならず、世俗重唱曲や合奏曲(!)まで収めた網羅的曲集。ラッススは当時大きな権勢を誇ったバイエルン公のもとで数代にわたり愛顧を受け、特にヴィルヘルム5世公とは個人的にも親交深く、イタリアに派遣された折などには頻繁に手紙も交わしていました。本盤はそんなラッススの現存書簡を拾いながら(例によって全訳添付)、聖俗両面での偉業をたどる構成。大作モテットから重唱作品まで、あらゆる編成で絶妙の解釈を聴かせられるのは、個々のメンバーがソリスト級の腕前を誇るナミュール室内合唱団だからこそ!同国有数の精鋭が揃う器楽編成と、ア・カペラに留まらない柔軟な解釈を織り上げます。ラッススを知るなら、この1枚で完璧です!
MRIC284
(国内盤)
\2940
フランスのヴィオール合奏 ルネサンスからバロックへ
 ルイ・クープラン(1626 頃〜61):
  ①5声のファンタジーI
  ②3声のサンフォニー
  ③4声のファンタジー
  ④4声のサンフォニー
  ⑤5声のファンタジーII
 ウスターシュ・デュ・コロワ(1549〜1609):
  ⑥「或るうら若い小娘」による五つのファンタジー
 クロード・ル・ジュヌ(1530頃〜1600):
  ⑦ 旋律模倣様式による第3ファンタジー「天の皇后は祝福されぬ」
 エティエンヌ・デュ・テルトル(16世紀):
  ⑧第1のパヴァーヌとガヤルド、第1と第3のブランル
 エティエンヌ・ムリニエ(1600頃〜69頃):
  ⑨4声のためのファンタジー 第1〜3番
 アンリ・デュモン(1610~84):
  ⑩4声の荘重なアルマンド
 フランソワ・ロベルデ(1624〜72):
  ⑪ 第5フーガとカプリース
 マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ(1643〜1704):
  ⑫ヴィオール合奏のための4声のコンセール
Ens.マーレ・ノストルム(古楽器使用)
アンドレア・デ・カルロ、ジェローム・ルジュヌ(各種vg)他
なんて貴重、なんて安らぐ美しさ——マレやフォルクレら、偉大なソリストたちが活躍する前ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)は、妙なるアンサンブルを奏でるための楽器だった!フランス芸術のミッシング・リンクを解き明かす、老舗古楽レーベルからの最上質演奏!「クラヴサンの詩人」こと大クープランの偉大なる大叔父にして、鍵盤芸術の世界的巨匠フローベルガーの友人でもあった人、ルイ・クープラン——この名からまっさきに連想されるのは、やはりクラヴサン(=チェンバロ)のための音楽でしょう。しかし、古楽大国ベルギーきっての充実古楽レーベルRicercar からの本盤には、そのルイ・クープランの「ヴィオール(=ヴィオラ・ダ・ガンバ)作品」がいくつも収録されているといいます。いったい、彼はヴィオールのためにも作曲していたのでしょうか? あわててこの作曲家の経歴を紐解いてみれば、驚いたことに、フランス宮廷には「ヴィオール奏者」として仕えていた、ということが随所に記されているではありませんか...!本盤には、そんな意外な発見がいたるところに潜んでいるのです。「フランスのヴィオール音楽」というと、私たちが真っ先に思い浮かべるのはやはり、マラン・マレやフォルクレ父子の活躍に代表される、バス・ヴィオールの達人たちのソリスト的活躍。けれどもそれは17 世紀も末頃になってからのこと——それ以前のルネサンス期には、フランスはある意味まだ音楽後進国でもあり、「音楽的先進諸国」、つまりネーデルラントや英国のスタイルにならった音楽鑑賞のあり方が愉しまれていたようで。英国風の静謐なコンソートや、ネーデルラント楽派のモテットのような精緻な対位法楽曲といった古風な作品に始まり、世紀中〜後半の作例あたりから「いかにもフランス」な響きが聞かれはじめ、シャルパンティエになるともう完全にフランス・バロック独特の節回しに。機敏なヴァイオリンではなく、高音から低音まで一揃い、すべて音の立ち上がりの遅いヴィオールならではの滋味ふかい響きなのが、また実に上品で高雅...演奏陣は、ベルギーやスイス、イタリア、スペインなどヨーロッパ各地からの精鋭が居並ぶEns.マーレ・ノストルム(5声作品ではRicercar 主宰者のルジュヌ教授がバス・ガンバで参加!)。たおやかなガット弦の重なりあいの美しさは、各人が自己主張だけでなく、合奏というものをよく知っていればこその境地でしょう(といいつつ、各楽器の「聴き取れ具合」がまた絶妙!)。癒しサウンドとしても、音楽史的興味からも、まさに掘り出し物の逸品です。

SAPHIR

LVC 1106
(国内盤)
\2940
ストラヴィンスキー:兵士の物語、
 およびその他のさまざまな室内楽
 ①兵士の物語〜クラリネット、ヴァイオリンとピアノのための
 ②無伴奏ヴィオラのためのエレジー
 ③弦楽四重奏のための小協奏曲
 ④弦楽四重奏のための二重カノン
 ⑤弦楽四重奏のための三つの小品
 ⑥無伴奏クラリネットのための三つの小品
 ⑦イタリア組曲〜チェロとピアノのための
 ⑧墓碑銘 〜フルート、クラリネットとハープのための
ミシェル・レティエク(cl)
フィリップ・ミュレール(vc)
ピエール=アンリ・クスエレープ(va)
アンニク・ルーサン(vn)
フランソワ・ピエール(hrp)
パトリック・ガロワ(fl)
ジャン=ルイ・アグノエール(p)
アレクシス・ガルペリン(vn)
「春の祭典」や「火の鳥」ばかりが有名な?ストラヴィンスキーが、バロックや古典派に回帰してみたり、かと思えば急に十二音技法に走ってみたり…と、バーバリズム一辺倒ではない紆余曲折の多彩な創作活動をつづけたことは、長年クラシックを聴き続けて来られた方々ならご存知でしょう。そしていろいろな局面で、バレエ音楽からの編曲や、珍しい無伴奏クラリネット作品、あるいはチェロのための偽バロック風小品集「イタリア組曲」…と、その一筋縄ではいかない作風の多彩さを印象づける小品に、ときどき出会うチャンスもあったはず。
しかし!CD まるまる1枚がストラヴィンスキーの室内楽作品に割かれた例というのは、ほんとうに珍しいのではないでしょうか?弦楽四重奏団もクラリネット奏者も室内楽ピアニストも、みんな他に「先にやりたい曲」がいろいろあるでしょうから…しかし、室内楽に熱心なフランス・パリ音楽院周辺のヴェテランたちは、この作曲家の室内楽に、集中的に聴くに足る豊穣な世界があることをちゃんと知っていたようです。本盤は1 枚まるまるストラヴィンスキー作品ばかり。もちろん、彼の室内楽領域における最大の人気作「兵士の物語」からの三重奏編曲をはじめ、上にみたようなストラヴィンスキーの作風変化をことごとく表す多彩な作品群を、まったく思いがけない、超メジャー級というほかない名演で次々と仕上げてくれる、信じがたいほどのお値打ち盤!
ショスタコーヴィチめいたジャズ風味もオシャレなら、十二音技法系もリズムの刻みが絶妙で全然排他的じゃなく、もうクロノスSQ のロック的トラックさえ髣髴させるカッコよさ!それもそのはず、なにしろ演奏陣は名盤あまたの多芸なクラリネット奏者レティエク(この名前にピンと来る方、なかなか周到な音盤ファンとお見受けします)、近年めったに録音はしないパリ音楽院の超・名教師フィリップ・ミュレール(!)、知る人ぞ知るフランス最大級の仕事人ヴィオラ奏者クスエレープ、若手最前線のアンニク・ルーサン、ついでにしれっとパトリック・ガロワまで…と、どこを見てもスーパープレイヤーばかりなのですから!
フランス室内楽の飛びぬけた高水準度に震撼しながら、ストラヴィンスキーという芸術家の意外な側面にあれこれ気づかされる、お値打ちものの1枚。
LVC 1110
(国内盤)
\2940
ラモー:新しいクラヴサン小品集(1728/全曲)
 組曲 イ短調
  ①アルマンド ②クラント ③サラバンド
  ④手が3本 ⑤ささやかなファンファーレ
  ⑥勝ち誇る女 ⑦ガヴォットと六つの変奏
 組曲 ト長調/ト短調
  ⑧ロンドー「トリコテ」⑨無関心な女
  ⑩ムニュエ(メヌエット)⑪めんどり
  ⑫トリオレ(三連符)⑬未開地の人たち
  ⑭ラナルモニーク(異名同音)
  ⑮エジプトの女 ⑯王太子の妃
ジョエル・ポンテ(チェンバロ/デュコルネ製作タスカン・モデル)
クラヴサン(チェンバロ)のためのレパートリーのなかでも、とりわけ重要な演目たるラモーの「新しいクラヴサン小品集」——出版されたのは1728 年、ヴィヴァルディが世界初のフルート協奏曲集を出版し、バッハがライプツィヒで大活躍、ヘンデルもロンドンでライヴァルたちを次々と蹴落とし、ドメニコ・スカルラッティはイタリアで着々と実力をつけていた頃。つまりハイ・バロック全盛期の傑作曲集で、これ以降ラモーは鍵盤作品集を出版しなくなる「最後のクラヴサン曲集」でもあるわけですが、その内容を曲集1冊としてあらためて振り返る機会が、CD では意外に少ない。
バッハの「パルティータ」にしてもそうですが、18 世紀もこの時期になると「舞踏組曲」という17 世紀フランス出自の楽曲形式はすっかり様相を変え、個々の楽章がすっかり長くなって、踊る音楽というよりは「聴き応えある音楽」になってくる。単一楽章ごとに個性が出てきて、バラバラに録音されたりするわけで(たとえば、昨年出たスキップ・センペ(Paradizo)のアルバム)あるが、そうはいっても、この貴重な作品集を「曲集全体」でとらえてみると、いわば、1楽節だけアンコールで聴くのではない「バレエ音楽の全曲版」を聴くような面白さと充実感が味わえる(だいたい、バッハのパルティータ第5番を「全曲通すと30 分もかかるから、抜粋でやりますね」なんて人はほとんどいないのに、どうしてラモーのクラヴサン曲集が「組曲」として鑑賞されない理由がありましょうか?)。
そして本盤の演奏がまた、この曲集の深みを堪能するにはぴったりの、どっしり構えたヴェテランらしい解釈になっているのは、何ともこたえられません。奏者ジョエル・ポンテはユゲット・ドレフュス(DENON の名盤群、ご存知ですよね?)に師事した世代、つまり、フランスでピリオド奏法の勝利が始まる前からチェンバリストをしている実力派!派手にしようと思えば「あそびどころ」はたっぷりあるラモーのこの曲集を、風格たっぷり、しかしフランス人にしかできないあの独特のアゴーギグを効かせながらストレートに仕上げた演奏は、曲の深みや和声推移の妙をしみじみ味合わせてくれる充実解釈に仕上げられているのです。
ラモーと同時代のタスカン型の銘器も、近接めの録音で芳醇な響きをたっぷり堪能させてくれます。昨今あまり聴かないリュート・ストップ(昔、ERATO でヴェロン=ラクロワが多用してました)の混ぜ方も、また絶妙!ジャケットの「それっぽさ」もいい味出してます。
LVC1112
(国内盤)
\2940
フルート・ソナタ ロマン派から近代へ
 〜ブラームスとドビュッシーの同時代人たち〜
 メル・ボニス(1858〜1937):
  1.フルートとピアノのためのソナタ 嬰ハ短調op.64
 マックス・マイヤー=オルバースレーベン(1850〜1927):
  2.幻想ソナタ イ長調 op.17(1885)
   〜フルートとピアノのための
 ジョン・フランシス・バーネット(1837〜1916):
  3.フルートとピアノのための大ソナタ ト短調op.41
 エドウィン・ヨーク=ボーウェン(1884〜1961):
  4.フルートとピアノのためのソナタロ短調 op.120
ミシェル・モラゲス(fl)
野島今日子(p)
「管の国」フランス発。大好評のタファネル盤に続く、Saphir レーベルからの注目盤!ドイツの伝統、フランスの新機軸、少し遅れて英国情緒...「ソナタ」という堅固な形式がフルートならではの繊細さと交錯する。近年注目のメル・ボニス他、いま聴きたい秘曲続々!かつてランパル(fl)やピエルロ(ob)、アラール(bn)、アンドレ(tp)...とあまたの名演奏家たちを輩出、それ以前にもゴベール(fl)やマルセル・ミュール(sax)ら歴史的名演奏家にも事欠かない「管楽器の王国」フランス。その呼び名が今なお健在であることは、この国の「いま」を代表する管楽器のスーパープレイヤーが名盤を連発しているIndesens!レーベルの好況からも窺い知れるところですが、同じフランスの、パリの真ん中に拠点をおくSaphir レーベルも負けてはいません。モラゲス木管五重奏団やパトリック・ガロワ(fl)、そしてリヨン音楽院の名匠フィリップ・ベルノルド(fl)ら稀代の名手が、このレーベルにいるのですから!一昨年末にリリースされたタファネル作品集(ベルノルドの演奏、LVC1090)が、2枚組にもかかわらず連綿とセールスを伸ばしているのが記憶に新しいところ。フランス・フルート楽派の父と目すべきタファネルの作品群は、ロマン派後期のフランスならではの美質に満ちているにもかかわらず、めったにまとめて聴けないためでもありましょうが、そうしたアルバム制作をやってのける慧眼に、Saphir レーベルの周到さも窺い知れます。そんな秀逸レーベルが次に送り出す管楽器ものの新譜が、これまた実に注目の内容なのです——モラゲスWQ でもおなじみミシェル・モラゲス(fl)の絶品ブロウを堪能できる貴重なソロ盤というのも嬉しいのですが、曲目がまた絶好、ロマン派後期の「フルートとピアノのためのソナタ」を4曲!ヴァイオリンやチェロのみならず、19 世紀後半にフルートのためにも堅固なソナタがいくつも書かれていたこと自体驚きですが、一見なじみのない名前の作曲家たちの綴った作品はどれも実にうまみたっぷりの名曲ぞろい! マイヤー=オルバースレーベンと英国人バーネットはいずれもドイツ楽壇で活躍した古典主義者で、かっちりメンデルスゾーン風の構成にサン=サーンスやブラームスらにも通じる濃やかさやヴィヴィッドさが潜む(前者の終楽章はタランテラ風の傑作!)彼らのソナタはいずれもドヴォルザーク中期やフランク晩期と同時代の作。英国好きにはおなじみヨーク・ボウェンは「英国のラフマニノフ」という渾名がその作風をよく示すとおり(いい作曲家です)。メル・ボニスはかつてラヴェルやドビュッシーと比肩された、昨今とみに人気上昇中のフランス世紀末の女性作曲家——音盤シーンで密かな盛り上がりを見せる?叙情性と形式感覚を併せ持ったこの天才の艶やかな傑作ソナタが、同じフランス人ならではの機微をそなえた至高の解釈で聴けるという点だけでも、本盤の存在意義は計り知れません。自発性あふれるピアノとの交錯も絶妙、室内楽・管楽器ファン必聴の掘り出し物です!

TRANSART

TRM162
(国内盤)
\2940
ショスタコーヴィチ(1906-74):
 1. 24 の前奏曲 作品34
 2. ピアノ五重奏曲 作品57
ダヴィド・カドゥーシュ(ピアノ)
ショスタコーヴィチ アルデオ四重奏団
いくらロシア系とはいえ、デビュー盤がショスタコーヴィチ…?いやいや、その意味は少し聴いたらすぐにわかるでしょう! 2010年もっとも大化けしそうな超天才・登場!「新世代の実力派」をいちはやく見抜き、その感性を十全に知らしめる痛烈なデビュー盤を作ることにかけては、同じフランスのTransartもIntradaにはひけをとりません——というよりむしろ、Transartはフランス随一の音楽事務所が母体にあることも手伝って(古くはフォイアマンやバックハウスやバーンスタインや、昨今でもアイザック・スターンやロストロポーヴィチや…といった大演奏家をフランスでマネージメントしてきたのは、彼らにほかなりません)、ヨーロッパ最先端のコンサートシーンと直結したアーティスト発掘ができるという点でも、何倍も上手といっても過言ではないでしょう。なにしろ、日本でも急速に知名度をあげたネマーニャ・ラドゥロヴィチを筆頭に、ロール・ファヴル=カーン(p)やフィロメーナ・モレッティ(g)など、音盤シーンでも「出れば売れる」に近い若手アーティスト(若手アーティストで「出れば売れる」って、すごく稀有なことだと思いませんか?)が、次々とTransartから世界に羽ばたいているのですから。で、今年の快進撃はまず、このダヴィド・カドゥーシュから始まります。ニース生まれのロシア系フランス人、師匠はジャック・ルヴィエ(パリ音楽院)とドミトリー・バシキーロフ(マドリード王立ソフィア王妃音楽院)。さらにペライア、ポリーニ、ピリス…といった世界的スーパープレイヤーたちの薫陶も受け...なんて修業状況は、本盤を聞けばたちまちどうでもよくなるでしょう。弱冠20代半ばにして、デビュー盤がショスタコーヴィチ、しかも室内楽の大作まで収録!という向こう見ずなアルバム制作を試みたのは、ダテじゃないどころの騒ぎではありません——「アーティストの売り込み」ということを熟知している音楽事務所レーベルTransart がわざわざこんな試みを自信ありげに押してくるだけのことはあります。なにしろ「24の前奏曲」では、ショスタコーヴィチの難渋さなどどこ吹く風、バッハ直系の対位法のみならず、シックな往年映画音楽ふうのサウンドも、ショパン譲りのポエジーあふれる超絶技巧も、この難曲集のあらゆる美質の側面を、いっさい気負わぬ自然体で1曲、また1曲…とあらわにしてゆくのですから!対するピアノ五重奏曲では、これもパリ音楽院出身の4人の女性奏者による曲者カルテット・アルデオSQ(彼女たちも彼女たちで、Ar-Re-Se レーベルからのデビュー盤はケクランの四重奏曲集(!)というあざとさでした)とともに、時に協奏曲的、時に親密、インテンスをきわめる至高の室内楽世界を易々と描きあげてしまうのです。新録音が出ているようで意外に出ていない曲だけに、本作のこの突き抜けたトラックを聴くためだけでも、本盤を手にとる価値はあろうというもの——バレンボイムがペライアの代役に指名、すでにフランスのみならずアメリカでも人気沸騰真っ最中のこの才能、じっくり聴き究めるには絶好ではありませんか。たった1枚で、絶美・超充実のソロと、室内楽まで聴けるのですから!




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