NAXOS 1CD¥1100
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8.572705 |
インキネン/シベリウス交響曲全集完結!
シベリウス:交響曲第6番&第7番他
1-4.交響曲第6番二短調 Op.104/
5.交響曲第7番ハ短調 Op.105/
6.フィンランディアOp.26 |
ニュージーランド交響楽団/
ピエタリ・インキネン(指揮) |
フィンランド気鋭の若手指揮者、ピエタリ・インキネンによるシベリウス(1865-1957)交響曲全集も、こちらの第6番と第7番で完結となります。1914年に着想された第6番は、ほぼ9年という長い期間を経て、簡潔な構造と、深い思索に満ちた交響曲として生を受けました。当時宗教音楽を研究していたシベリウスらしく、ドリア旋法なども使われた荘厳な佇まいが魅力です。第7番はシベリウスの最後の交響曲で、単一楽章(およそ20分程度)という短い作品ながら、凝縮されたソナタ形式で書かれていて、途中幾度かのクライマックスを挟みながら、最後はこの世に決別するかのようにさりげなく終わります。インキネンの指揮は、極めて決然としたもので、シベリウスのエッセンスを一切の夾雑物なしに感じさせてくれる良い演奏です。現実に引き戻してくれるかのような「フィンランディア」も熱演です。
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8.572788 |
リムスキー=コルサコフ:スペイン狂詩曲他
1-5.スペイン狂詩曲Op.34/6.歌劇「五月の夜」序曲/
7.歌劇「皇帝の花嫁」序曲/8.3つのロシアの主題による序曲Op.28/
9.歌劇「プスコフの娘」序曲/10.ドゥビヌシカOp.62/11.ロシアの復活祭序曲Op.36 |
シアトル交響楽団/
ジェラード・シュワルツ(指揮) |
シェエラザード(8.572693)に続く、シュワルツとシアトル交響楽団のリムスキー=コルサコフ(1844-1908)作品集の第2弾です。
これらの作品、既にNAXOSに録音があるのですが、いかんせん十何年も前のもの。そろそろ新しい録音で聴きたいと思っていた方も多いのではないでしょうか?このシュワルツの演奏、まさに申し分のないもので、痒いところに手が届くかのような素晴らしいリムスキー・コルサコフを聞かせています。中でも聴きものは「スペイン狂詩曲」でしょう。スペイン民謡とロシア音楽の融合から生まれたこの作品、切れ目のない5楽章形式で書かれています。ホセ・インセンガが編纂した「スペイン民謡集」のメロディがそのまま使われていて、元はヴァイオリン協奏曲として創案されたという通り、ヴァイオリンが大活躍するという興味深いものです。精緻なオーケストレーションと狂おしいまでのスペイン情緒は、この曲を一度聞いた者を虜にするだけの吸引力を備えています。他の序曲や管弦楽作品も大迫力で聴き手に迫ります。ロシア音楽の楽しみがここにあります。 |
8.572685 |
セイラー(1957-):スナーク狩り他
1-8.スナーク狩り
(上陸/ベルマンの演説/ベイカーの物語/狩り/ビーバーの授業/
簡潔なスナークエストラルの爆発Ⅰ/簡潔なスナークエストラルの爆発Ⅱ/消失)/
《ヴィンテージ・サイレント・フィルム・コメディへの新しい音楽》
9.カルッツォ(1980-):盗品/10.セイラー:宣伝料/
11.シンプソン(1967-):たくさんのママ |
カンターテ・チェンバー・シンガーズ…1-8/
ホルトン=アームズ・ロウアー・スクール合唱団…1-8/
スナーク・ピット=バンド…1-8/
ジゼル・ベッカー(指揮)…1-8/
スナーク・アンサンブル…9-11 |
このタイトルにある「スナーク狩り」というのは、ルイス・キャロルの伝説的な作品です。白紙の海路図に導かれ海を渡り奇妙な島にやって来た探検隊の一行。彼らは伝説の生き物「スナーク」を捕まえるのを目的としています。しかし、その捕まえたスナークが“”ブージャム”だったとしたら、発見者は突然消えてしまうというのです。何とも不可解で意味不明な長編詩。真の意味を知っているのはキャロルだけでしょう。ちなみにキャロルは、「そのスナークはブージャムだった」という最後の1行からこの詩を書き始めたといいます。
この理不尽なお話にセイラー(1957-)が付けた音楽がこれまた秀逸。珍しい楽器を使うのが好きな作曲家で、この録音のために彼自身がバンドを結成したほどです。ルイス・キャロルの不思議な世界をそのまま音楽にした・・・といっていいと思います。
「サイレント・フィルムへの新しい音楽」がこれまた楽しいもので、ピンクパンサーの音楽をもっと発展させたような爽快感があります。
「面白い1枚」として認定します。 |
8.572525 |
アルヴォ・ペルト:ピアノ作品集
1-2.ピアノ・ソナチネOp.1-1/3-5.ピアノ・ソナチネOp.1-2/
6-9.パルティータOp.2<トッカーティナ/フゲッタ/ラルゲット/オスティナート>/
10-15.アリヌシュカの回復による変奏曲/16.アリーナのために/
17.アンア・マリアのために…世界初録音/18-27.ラメンターテ |
ラルフ・ファン・ラート(ピアノ)/
オランダ放送室内フィルハーモニー…18-27/
ジョアン・ファレッタ(指揮)…18-27 |
「現代人の心の癒し」として、その作品が幅広い人気を得ている現代作曲家アルヴォ・ペルト(1935-)。しかし、このアルバムから最初に聴こえてくるのは、メカニカルで他動的な音楽です。そんな「ソナチネ」は1950年代の終わり、彼が20代の頃の作品でした。しかしその作風はソヴィエト政府の怒りを買う事になり、模索を重ねた結果、彼は「西洋音楽の根底」へ回帰することとなります。使われる音符は少なくなり、リズムは単純になっていきます。
そして「アリーナのために」では無調も捨て去り、2006年の「アンナ・マリアのために」ではまるでモーツァルトか、リチャード・クレイダーマンのピアノ曲のような明快さを得ています。
2002年に書かれた「ラメンターテ」はインドのアーティスト、A.カプーアの彫刻「Marsyas」にインスパイアされた作品で、ここでは、いつもの静謐なペルトだけではなく、激しい音の応酬も聞こえてくる音による記念碑です。 |
8.572409 |
マリピエロ:自然の印象・間隔と静寂
1-3.自然の印象Ⅰ/4-6.自然の印象Ⅱ/7-9.自然の印象Ⅲ/
10.間隔と静寂Ⅰ/11-15.間隔と静寂Ⅱ ※世界初録音…2.4-9.11-15 |
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮) |
最近人気急上昇中のイタリアの近代作曲家マリピエロ(1882-1973)。このアルバムは、いくつかの世界初録音を含む彼のカタログの隙間を埋める貴重なものとなっています。自然の印象三部作の第1番は、まだ印象派の影響が見て取れる色彩的な曲。ドビュッシーを思わせる柔らかい和声も聞こえてくる美しい作品です。1914年から15年作曲の第2番は荒々しさが加わり、何とも生命力溢れる曲となっています。そして第3番は1921年から22年に作曲されたもので、中でも「カプリのタランテラ」はストラヴィンスキーとまでは言わないものの、命の根源に迫るかのような激しさも見せてくれます(とはいえ、レスピーギにも近いかも)。象徴的なタイトルを持つ「間隔と静寂」も幽玄な作風が見られ、とりわけ第1番の静けさと力強さの対比は見事であり、マリピエロの管弦楽法の素晴らしさを体感することができるでしょう。 |
8.559700 |
ハワード・ハンソン(1896-1981):交響曲第1番「ノルディック」
1-3.交響曲第1番「ノルディック」(1922)/4.ベオウルフの哀歌(1925) |
シアトル交響合唱団…4/
シアトル交響楽団/
ジェラード・シュワルツ(指揮) |
ハワード・ハンソン(1896-1981)はアメリカの作曲家、指揮者です。保守的な作風で知られ、とりわけ北欧文化を好んで題材にするため「アメリカのシベリウス」と呼ばれることもあります。彼は25歳の時に、交響詩「夜明け前」を作曲、この曲がアメリカ・ローマ賞を受賞したことで、イタリアに留学するという栄誉を受けました。その時にレスピーギにも管弦楽法を学び、その時に作曲されたのが、この第1番の交響曲と「ベオウルフの哀歌」を含む一連の作品でした。交響曲第1番「ノルディック」はまさにシベリウスの作風を継承したものであり、穏やかさと勇壮さを兼ね備えています。また「ベオウルフ」とは、イギリスの長編詩に登場する英雄の名で、ハンソンは緊張感溢れる見事な音楽を付けています。 |
8.572312 |
イルゲンス=イェンセン:交響曲二短調他
1-3.交響曲二短調(原典版)(1942)/
4.エアー(1959)/5.パッサカリア(1928) ※世界初録音…1-4 |
ボーンマス交響楽団/
ビャルテ・エンゲセト(指揮) |
ノルウェーの作曲家イルゲンス=イェンセンは最初オスロ大学で文献学を学んでいましたが、ニルス・ラーセンからピアノも学んでいました。25歳を過ぎて作曲を始めるようになり、オラトリオや管弦楽作品で幾つかの賞を獲得します。このアルバムに収録された「パッサカリア」は1928年のシューベルト100年祭作曲コンクールの北欧地区予選で第2位を獲得し、ストラヴィンスキーやトスカニーニの注目を浴びるのです。
彼のただ一つの交響曲は第二次世界大戦への憂いと、人間と自然界についての考察が反映されています。ここでは彼が創案したとおりの3楽章形式で演奏されています。
そして短いながらも印象的な「エア」の美しさも特筆ものです。 |
8.572765 |
ジェフリー・ライアン(1962-):交響曲第1番「逃亡する色」
1.リニアリティ・オブ・ライト-光の直線性(2003)/
2-4.ピアノ・トリオと管弦楽のための三重協奏曲「エクイラテラル」(2007)/
5-8.交響曲第1番「ヒュージティヴ・カラーズ-逃亡する色」(2006) |
グリフォン・トリオ…2-4/
バンクーバー交響楽団/
ブラムウェル・トヴェイ(指揮) |
カナダで活躍中の作曲家、ジェフリー・ライアン(1962-)の作品集です。彼の作品はどれもパワフルで鮮烈です。ここに収録された3つの作品は、どれも楽器の特性を上手く生かした鮮烈な印象を持つものばかりです。「光の直線性」は一直線に進む光と、それを反射させる鏡を想像しながら聞いてみてください。フル・オーケストラで表現される光は様々なフィルターを通しながら、耳に残像を残して行きます。次の「エクイラテラル(等辺)」は3つの楽器がそれぞれ対等の立場で使われていることをタイトルにした曲で、ミニマル風でもあり、民族音楽風でもあるという、胸がわくわくするような緊張感に満ちた音楽が展開されます。交響曲第1番も音で光を描いた作品といえるでしょうか。こういう感覚的な作品を聴くときは、曲の成立を調べたりするよりも、何も考えずに音の渦に身を浸すのが一番でしょう。 |
8.572671 |
マックロード(1941-):皇帝とナイチンゲール
1.皇帝とナイチンゲール(1985)/
2-4.管弦楽のための3つのセレブレーション(1983/2010年改訂)
<マウンテン・パークランドの旅/湾にて/A&Pショウ>/
5-7.ロック・コンチェルト |
ヘレン・メドリン(ナレーター)…1/
ユージン・アルブレスキュー(ピアノ)…5/
ニュージーランド交響楽団/
ウーヴェ・グロット(指揮) |
ニュージーランド生まれの作曲家、マックロード(1941-)の楽しい3つの作品です。
「皇帝とナイチンゲール」はよく知られているアンデルセンの物語をテキストにした朗読劇です。本物の鳥と機械の鳥に優劣をつけるという愚かな行為に対して、生きているナイチンゲールは文句も言わず、皇帝に生きる希望を与えるという物語で、ストラヴィンスキーも同じ題材で作曲していることはご存知の通りです。このマクロードの作品、とてもわかりやすい音楽と、若干オーバーアクションなれども、聞き取りやすいナレーターで構成されています。他には、ニュージーランドの景色が目の前に広がるような描写的作品「3つのセレブレーション」と、ノリノリのピアノが縦横無尽に活躍する「ロック・コンチェルト」を収録。ご家族みんなでお楽しみいただける内容です。 |
8.572211 |
ペンデレツキ:ヴィオラ協奏曲・チェロ協奏曲第2番
1-7.ヴィオラ協奏曲(1983)/
8-15.チェロ協奏曲第2番(1982) |
グリゴリー・ジスリン(ヴィオラ)…1-7/
タチアナ・ヴァシリエヴァ(チェロ)…8-15/
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団/
アントニ・ヴィト(指揮) |
かのレディオ・ヘッドのトム・ヨークが「ペンデレツキのチェロ協奏曲いいじゃん」と言ったとかで、一時期CDの売り切れが続いたというのは本当の話ですが、さて彼は第1番と第2番、どちらが良いと言ったのでしょうか?このアルバムに収録された第2番は1982年に名チェリスト、ロストロポーヴィチのために書かれたもので、ベルリン・フィル創立100周年記念の委嘱作品となっています。切れ目なく演奏される1楽章形式の作品で、刺激的な音は影をひそめ、豊かな調和と劇的な力は感じられるものの、やはり不安な感情を拭うことはできません。その1年後に書かれたヴィオラ協奏曲は、冒頭の表現力豊かなモノローグが耳に残る緊張感溢れる作品です。20分ほどの短い時間にぎっしり中身の詰まっています。60年代の尖がった作風を捨て、ネオ・ロマンに回帰しつつある作曲家の変遷の跡が見えてきませんか? |
8.559678 |
シュワントナー(1943-):Chasing Light…(光を追いながら)
1-3.パーカッションと管弦楽のための協奏曲(1944)/
4.朝の抱擁/
5-8.光を追いながら…
<日の出は夜明けのヴェールに点火する/
カリオペが架けた虹の歌/万華鏡の花/夜明けを迎えての朝の抱擁> |
クリストファー・ラン(パーカッション)/
ナッシュヴィル交響楽団/
ジャンカルロ・ゲレーロ(指揮) |
ピューリッツァー賞を受賞したこともある、アメリカ合衆国の作曲家シュワントナー(1943-)。
彼の名前は主に吹奏楽の分野で知られています。とりわけ「・・・そしてどこにも山の姿はない」は彼の代表作であり、日本でもしばしば演奏されています。彼はさまざまな分野から影響を受けた多くの作品を書き、それらはとても雄弁で強烈な色彩を放っています。
このアルバムに収録された3つの作品、ニューヨーク・フィルハーモニック創立150周年のために書かれた、強烈な音響を持つ「パーカッション協奏曲」と、ワシントン・ナショナル交響楽団75周年を記念して書かれた「朝の抱擁」、そしてソローの「ウォールデン-森の生活」からインスピレーションを受けた「光を追いながら」は、どれも彼の作風を端的に表すものとして評価されることでしょう。 |
8.570767 |
ピエール・ローデ(1774-1830):ヴァイオリン協奏曲第3,4,6番
1-3.ヴァイオリン協奏曲第3番ト短調 Op.5/
4-6.ヴァイオリン協奏曲第4番イ長調 Op.6/
7-9.ヴァイオリン協奏曲第6番変ロ長調 Op.8 |
カデンツァ…フリードマン・アイヒホルン/
フリードマン・アイヒホルン(ヴァイオリン)/
イェナ・フィルハーモニー管弦楽団/
ニコラ・パスケ(指揮) |
ヴィオッティの愛弟子であり、またナポレオンの宮廷音楽家として幅広い活動を行ったヴァイオリニスト、ピエール・ローデ(1774-1830)。以前NAXOSからリリースされた第7番と第10番の協奏曲(8.570469)で、その偉大な才能に開眼した人も多いことでしょう。
今回もヴァイオリニスト、アイヒホルンによる3曲の協奏曲を聴いてみてください。優美さ、抒情性、冴え渡る技巧、そして流暢な音楽の流れ。まさにベートーヴェンやパガニーニに匹敵する素晴らしい作品がここにあります。第3番は壮大で悲痛な面持ち、第4番は端正、そしてスペイン訪問の際に書かれた第6番の素晴らしさと言ったら・・・全く言葉に尽くせません。ヴァイオリンの汲めども尽きぬ魅力がここにあります。
各々の曲に付されたカデンツァはアイヒホルンによるもの。バッハのシャコンヌからもインスピレーションを受けたというその音楽。ぜひ楽しんでください。
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8.572468 |
ショーソン:協奏曲ニ長調・ピアノ三重奏曲
1-4.ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲ニ長調
Op.21/
5-8.ピアノ三重奏曲ト短調 Op.3 |
スティーヴン・シップス(ヴァイオリン)…1-4/
エリック・ラーセン(ピアノ)…1-4/
ウィハン弦楽四重奏団…1-4/
メドウマウント・トリオ…5-8 |
ショーソン(1855-1899)の協奏曲ニ長調は、協奏曲と名付けられてはいるものの、実際はピアノと弦楽四重奏と、もう1台のヴァイオリンからなる六重奏曲です。
偉大なヴァイオリニスト、イザイに献呈されており、初演も彼がヴァイオリン・パートを演奏、聴衆と批評家たちの心に強い印象を与え、この曲の人気を瞬時に揺るぎないものとしたのです。それ以来、フランスの室内楽曲の中でもとりわけ重要な作品の一つとなり、今に至っています。柔らかな和声に支配された美しいメロディは一瞬足りとも緊張感を失うことなく、全ての楽器が心を合わせ大いなる歌を紡いでいきます。第2楽章の物憂げなシシリエンヌは、フォーレの曲よりも儚げで移ろいやすい佇まいを持っています。第3楽章の胸をふるわせるような不安さ、終楽章での縺れ合うような音の動き。どこを切ってもフランス風味が溢れています。初期の作品であるピアノ三重奏曲も美しさの極みです。 |
8.572640 |
アーノルド:協奏曲集
1-3.シェイクスピアのチェロ協奏曲Op.136(1988/2000年改訂版)/
4-6.フルートと弦楽のためのコンチェルティーノOp.19a
(D.エリスによるフルート・ソナチネの編曲)(1948/2000年改訂版)/
7-11.リコーダーと弦楽四重奏のための幻想曲Op.140(1990/2001年改定版)/
12-14.サクソフォン協奏曲(D. エリスによるピアノ・ソナタの編曲)(1992/1994)/
15-17.弦楽のための交響曲Op.13(1946) ※4-6,12-14…世界初録音 |
ラファエル・ウォルフィッシュ(チェロ)…1-3/
エステル・インガム(フルート)…4-6/
ジョン・ターナー(リコーダー)…7-11/
カール・レーヴェン(アルト・サクソフォン)…12-14/
マンチェスター・シンフォニア…4-14/
リチャード・ハワース(指揮)…4-14/
ノーザン室内管弦楽団…1-3,15-17/
ニコラス・ウォード(指揮)…1-3,15-17 |
映画音楽でも有名なマルコム・アーノルド(1921-2006)は、もともとはトランペット奏者で、名門ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席を務めたこともあるほどの腕前でした。作曲家としても多くの作品を書き、変化に富んだ作風で聴き手を楽しませています。ここに収録された曲は、彼の活動の初期から後期までの長い時間に渡って書かれたものを選りすぐっており、彼が生涯を通じて、どんな音楽を書きたかったのかが理解できるかと思います。迫力たっぷりの音に聴き惚れていると、直後に軽くいなされるような、変幻自在の表情が魅力的なアーノルドの作品は、イギリス音楽好きだけでなく、もっと広く愛されるに値する名曲ぞろいです。 |
8.572533 |
ヴィオラとピアノのための作品集
1-2.マルティヌー(1890-1959):ヴィオラ・ソナタ
H355/
3.コダーイ(1882-1967):アダージョ(ヴィオラとピアノ編)/
4-6.ドホナーニ(1877-1960):
ヴァイオリン・ソナタ 嬰ハ短調 Op.21(S.J.ブラッドリー編)/
7-9.ヨアヒム(1831-1907):ヘブライの旋律
Op.9/
10.エネスク(1881-1955):コンチェルトシュトゥック |
サラ=ジェーン・ブラッドリー(ヴィオラ)/
アンソニー・ヒューイット(ピアノ) |
NAXOSの「地味ながらも極めて人気の高いシリーズ」として定着しているヴィオラ作品集。今作は抒情性と妙技、そして民族風な味付けを施された作品を集めた1枚です。
マルティヌーが1955年に作曲しヴィオラ・ソナタはところどころに不思議な和音が顔を出すものの、全体的にはノスタルジックな雰囲気に満たされた親しみ易い音楽です。
コダーイの夢見るように美しいアダージョは、彼の初期の作品で、ヴァイオリン、ヴィオラどちらでも演奏が可能です。
ドホナーニの表現力豊かな作品は、彼がこの手の音楽の扱いに長けていたことを証明するものですし、ヨアヒムの「ヘブライの旋律」もなかなかの名曲です。エネスコのペーソス溢れる作品も聴きものです。 |
8.559696-97
(2CD) |
ヘルプス:ピアノを伴う室内楽作品集&ピアノ・コンサート
作品集
〈CD1〉
1.後奏曲(1964)/2.幻想曲(1963)/3-7.ピアノ四重奏曲(1997)/
8.二重奏曲(1977)/9-11.ピアノ五重奏曲(1997)/
〈CD2〉
1-3.ピアノ三重奏曲Ⅰ(1957)/
4-6.ピアノ三重奏曲Ⅱ(2000)/《ベルリンでのロバート・ヘルプス演奏会》
7.メンデスルソーン(1809-1847):6つの歌より
Op.71-4「葦の歌」 |
R.ヘルプスによるピアノ・コンサート編
〈CD2〉
8.アイアランド(1879-1962):恋は悲しみに満ちた病(R.ヘルプスによるピアノ編)/
9.プーランク(1899-1963):即興曲変イ長調
FP118/
10-11.ゴドフスキー(1870-1938):
ショパンの練習曲による53の練習曲より第45番.第12番/
12.ヘルプス(1928-2001):シャル・ウィ・ダンス/
13.アイアランド:暮れなずむ谷間 |
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シュペクトラム・コンチェルト・ベルリン…CD1/
アトス三重奏団…CD2.1-6/
ロバート・ヘルプス(ピアノ) |
アメリカの作曲家、ピアニスト、ロバート・ヘルプス(1928-2001)。この2枚組では彼の作品とピアノ演奏の両面を味わえます。
コロンビア大学からカリフォルニア大学に転学し、卒業後ジュリアード音楽院ピアノ科でも学んだヘルプスは、1950年代から作曲家として注目され、多くの作品を書き始めます。なかでもピアノを使った作品に重きを置き、2つの協奏曲を始め、室内楽や独奏曲を作曲しています。彼の作品は独特の叙情性を帯び、また無調と調性音楽の橋渡しをするものとしても評価されています。
一方CD2の7-13は彼のベルリンでのコンサートを収録したもので、これを聴くと、彼がなかなか腕の立つピアニストであり、曲の解釈にも一工夫あったことがわかるというものです。 |
8.570896 |
R.シュトラウス:若き日の室内楽曲集
ピアノ三重奏曲第1番&第2番他
1-4.ピアノ三重奏曲第1番イ長調 AV37(1877)/
5-8.ピアノ三重奏曲第2番ニ長調 AV53(1878)/
9.セレナーデト長調 AV168(1882)/
10.祝典行進曲ニ長調 AV178(1886)/
11-12.ピアノ四重奏のための2つの小品(1893)<アラビア風の踊り/小さい愛の歌>/
13.コンチェルタンテAV157(1875頃) |
アメリア・ピアノ三重奏団
<メンバー:相沢吏江子(ピアノ)/
アンジー・クレストン(ヴァイオリン)/
イアソン・ダックレス(チェロ)>/
マックス・マンデル(ヴィオラ)…9-13 |
破壊的な音響と、華美かつ複雑過ぎるオーケストレーション。そんな大げさな音楽で好き嫌いが分かれてしまうのがR・シュトラウス(1864-1949)です。しかしここに収録された10代から20代終わりにかけてかかれた優美な室内楽作品は、彼のイメージを一新するのに役立つことでしょう。
これらの一連の音楽は、彼の父が敬愛していたモーツァルトやベートーヴェンをモデルとして書かれていて、とりわけ13歳の時に書かれた第1番のピアノ三重奏曲は、煌めく創造力と抒情性に満ちています。しかしそのまま大人しく年を重ねなかったのが彼のスゴイところ。1893年に書かれた“アラビア風の踊り”は、全くあの“7つのヴェールの踊り”を彷彿させるものですし、“小さい愛の歌”は込み入った三角関係を予感させてくれるのですから。 |
8.572564 |
ヴィラ=ロホ:チェロのための作品集
1-3.ソナタ第2番(2009)/4.哀歌(バージョンB)(2008)/
5.オラシオン・セレーナ(2004)/
6-12.エクスプレシオーネス
<彼は私の感覚をひととき停止させた/喜びと愛と/私の心に燃えて/
幸せな夜に/こんなに穏やかな愛に満ちた/
彼の優しい手で/赤裸々な精神の自由> |
アシエル・ポロ(チェロ)/
アマイア・ジピチラーヤ(ピアノ)/
ラファエル・ロメオ(ヴォーカル)…4/
ゲラルド・ロペス・ラグーナ(ピアノ)…5 |
ヴィラ・ロボスじゃなくて、ヴィラ=ロホ。
スペインの現代作曲家の中でも最もダイナミックな作品を書くことで知られるヴィラ=ロホ(1940-)のチェロ作品集。
以前リリースの協奏曲集(8.570443)でも、その少々不気味な音楽が癖になったものですが、このチェロ作品集も負けず劣らず個性的です。「オラシオン・セレーナ(穏やかな祈り)」は2004年にマドリッドで勃発した同時多発テロの犠牲者に捧げる哀歌であり、自らの存在価値を問われるような深遠な曲調です。聖ヨハネの言葉を元にした「エクスプレシオーネス」は痛みすら覚えるようなチェロによる慟哭です。同じく“慟哭”の音楽「哀歌」ではフラメンコ歌手ロメロと、多重録音によるチェロ・アンサンブルの果てなき応酬が繰り広げられます。悲痛な歌には救いもないようです。
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8.572660 |
チュルリョーニス:ピアノ作品集第2集
1.前奏曲二短調 VL239/2.前奏曲イ短調 VL241/
3.前奏曲ニ短調 VL256/4.前奏曲ロ短調 VL259/
5.天にましますわれらの父よVL260/6.秋VL264/
7-9.3つの秋の小品VL269-271/10.前奏曲二短調
VL294/
11.前奏曲二短調 VL295/12.即興曲二短調
VL298/
13.前奏曲VL304/14.前奏曲二短調 VL325/
15.前奏曲ハ長調 VL327/16.前奏曲ハ長調
VL330/
17.前奏曲イ長調 VL335/18.前奏曲ト長調
VL338/
19.前奏曲二短調「おお、我が親愛なる母よ」VL340/
20.前奏曲ト短調 VL343/21.前奏曲二短調
VL344/
22.フーガ編ロ短調 VL345/
23-25.弦楽四重奏曲ハ短調 VL83(M.ルバッキーテによるピアノ編)
※MARCOPOLO 8.223550より移行盤 |
ムーザ・ルバッキーテ(ピアノ) |
第1集(8.572659)も大好評。チュルリョーニス(1875-1911)のピアノ作品集第2集です。こちらは彼の後期の作品を含むため、よりモダンな味わいになっています。ほとんどは彼が好んだ「前奏曲」として成立していますが、VL269から271までは、明らかにソナタとして計画されたようで、短いながらもまとまりのある、凝縮された音楽が見てとれます。トラック22から25までは、1901年から1902年に草案された弦楽四重奏曲(ここではピアニスト自身によるピアノ独奏編曲版を収録)は、出版される前に最終楽章が失われてしまいましたが、もし聴くことができれば、かなりドラマティックな世界が展開されたことでしょう。フーガVL345は彼の最後のピアノ作品で、暗く陰鬱なピアノの音色の中に厳粛な雰囲気が宿った感動的な曲となっています。
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8.572440 |
アレクサンドル・ギンジンNAXOSに降臨!
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第1.4.8番他
1-2.2つの詩曲Op.32/3-6.ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調
Op.6/
7-8.2つの詩曲Op.44/9.3つの小品Op.45より第2番「幻想的詩曲」/
10.4つの小品Op.51より第3番「翼のある詩曲」/
11.2つの小品Op.59より第1番「詩曲」/
12-13.ピアノ・ソナタ第4番嬰へ長調 Op.30/
14-15.2つの詩曲Op.63/16-17.2つの詩曲Op.69/
18-19.2つの詩曲Op.71/20.ピアノ・ソナタ第8番Op.66 |
アレクサンドル・ギンジン(ピアノ) |
10年ほど前、リストの編曲したシューベルトなどの超絶技巧系のレパートリーを引っ提げて、颯爽とデビューした若手ピアニスト、アレクサンドル・ギンジン。
その後多くの経験をして、今回NAXOSレーベルに登場しました。演奏するのはスクリャービン(1872-1915)。初期の作品から晩年の作品までをソナタを中心に上手く組み合わせています。若い頃、右手を酷使し過ぎたためピアニストとしては挫折、以降作曲を志したというスクリャービン(この頃に第1番のソナタが書かれました)。1900年頃からニーチェに心酔し、作風をより神秘的なものへと変化させていきます。第8番のソナタは、番号こそ最後ではありませんが、実際に作曲されたのは第10番よりも後であり、実質上彼の最後のソナタとなります。無調とはいうものの、その和声は妖艶な響きを持つ難解な美しさを帯びています。 |
8.572455 |
トゥリーナ:ピアノ作品集第7集
1-5.旅のアルバムOp.15
<肖像/アルヘシラスのカジノ/ジブラルタル/
夜の散歩/タンジールのムーア人の祭り>/
6-8.ビアヘ・マリティモOp.49 <海の光/お祝い/最初の到着>/
9-11.回想曲<風景/海/サルダーナ>/
12-14.マロールカOp.44 <ドラゴンの洞窟/パルマ湾の夜/道路上の車>/
15-19.葉書Op.58 <バスクの踊り/ランブラス通り/マドリッド/グラナダの風景/巡礼> |
ホルディ・マソ(ピアノ) |
ホルディ・マソによるトゥリーナ(1882-1949)のピアノ作品集第7集は、なんとも楽しい「旅のアルバム」で幕を開けます。
この初期の作品はスペイン風の音を持ちながらも、ドビュッシーの影響を感じさせる柔らかい響きも持ち合わせています。何より香りのよい風が吹き抜けるような爽やかさが自慢です。「ジブラルタル」ではどこかで聴いたメロディも使われていて、こちらも興味深いところです。続く作品も、どれもが旅の風景を切り取ってきたかのような、表現力豊かなものばかり。「回想曲」で描かれているのはカタロニアの風景であり。「葉書」で描かれるのはバスクの風景です。美しいピアノの音色に耳を傾けながら、スペイン旅行を楽しめそうです。 |
8.572843 |
期待の新進演奏家シリーズ アナベル・モンテシノス:ギター・リサイタル
1.グラナドス(1867-1916):詩的なワルツ集(A.モンテシノスによるギター編)/
2.グラナドス:昔風のスペインの歌曲集より第7番「ゴヤのマハ」
(A.モンテシノスによるギター編)/
3.ファリャ(1876-1946):バレエ音楽「三角帽子」より第2部代官の踊り
(S.ベーレントによるギター編)/
4-6.リョベート(1878-1938):13のカタルーニャ民謡より
<第3番:クリスマス・イヴに/第13番:盗賊の歌/第10番:少年の母親>/
7-9.ロドリーゴ(1901-1999):スペイン風の3つの小品
<ファンダンゴ/パッサカリア/ザパテアード>/
10-12.ロペス=キローガ(1899-1988):5つのコプラスより(C.トレパトによるギター編)
<第1番:タトゥー/第2番:おお、マリア/第4番:緑の瞳>/
13.ソル(1778-1839):モーツァルトの主題による序奏と変奏Op.9/
14-16.プホール(1866-1980):3つのスペインの小品<トナディーリャ/タンゴ/グアヒラ> |
アナベル・モンテシノス(ギター) |
2003年3月に録音されたモンテシノスのNAXOSデビュー盤から早や8年。当時も「上品な柔軟性」と「完璧な技術」が高く評価されたのですが、このアルバムでは更に深化した彼女の音楽性を感じることができます。幾つものコンクールで上位に入賞、2010年には有名なミケーレ・ピッタルーガ国際クラシック・ギターコンクールの優勝者となりました。アルバムの冒頭から炸裂する力強い音色は、本当に只者ではありません。グラナドス、リョベート、ロドリーゴなど鉄板のレパートリーを次々と弾きこなしていきますが、要所要所にこぼれ落ちるほどの抒情性も感じさせてくれます。次々と登場する名ギタリストたちの中でも、一際輝く存在となることは間違いありません。 |
8.660303-04
(2CD) |
ドニゼッティ:歌劇「マリーノ・ファリエーロ」全曲
〈CD1〉1.序曲/2-19.第1幕/
〈CD2〉1-9.第2幕/10-22.第3幕 |
マリーノ・ファリエーロ…ジョルジョ・スーリアン(バス)/
エレーナ…ラシェル・スターニシ(ソプラノ)/
フェルナンド…イヴァン・マグリ(テノール)/
イスラエル・ベルトゥッチ…ルカ・グラッシ(バリトン)/
ステーノ…ルカ・ダッラーミコ(バス・バリトン)/
レオーニ…レオナルド・グラメーニャ(テノール)
他/
ベルガモ音楽祭合唱団/
ベルガモ音楽祭管弦楽団/
ブルーノ・チンクエグラーニ(指揮) |
ドニゼッティ(1797-1848)のほぼ50番目のオペラにあたる「マリーノ・ファリエーロ」は、「ランメルモールのルチア」と同じ1835年に作曲されました。主人公マリーノ・ファリエーロは実在の人物で、1354年にヴェネツィアの第54代総督に選ばれるも、その翌年に市民が企てた反乱の首謀者となり、自らが議長を務めた十人委員会で死刑宣告を受けたといわれています。かのバイロンがこの人物について長編の悲劇を著し、そこからヒントを得た劇作家ドラヴィーニュが書いた同名の戯曲をビデーラが台本にしたものにドニゼッティが作曲したのです。民衆の政治不信と、若き妻への不信感。これらが混然一体となり避けるべくもない悲劇を構成しています。ヴェルディの一連の作品と双璧を成すこのドニゼッティの「政治オペラ」、名手スーリアンを中心とした素晴らしい歌手たちによって演じられました。現代社会にも通じる問題作です。 |
8.572737 |
ウィットボーン:リヴィング・ヴォイシズ他
1-9.神の子のミサ(2001)/10.ウィンターズ・ウェイト(2010)/
11.私たちに信仰の翼をください(2002)/
12.ピーター・アベラールの短い話(ソプラノ・サクソフォンとオルガン編)(2006/2011)/
13.南アメリカからの祈り(2009)/14.リヴィング・ヴォイシズ(2001)/
15-19.レクイエム・カンティコルム(2010)/
20.すべてはアーメンとハレルヤでなければならない(2009) |
ジェレミー・パウエル(ソプラノ・サクソフォン)…1.3.5.7.9.12.14-18/
ケン・コーワン(オルガン)…1-12.15-20/
ロン・キャロル(朗読)…14/
ジョナサン・パルマー・レイクランド(ピアノ)…20/
ヤコブ・エッツォ(パーカッション)…20/
ウェストミンスター・ウィリアムソン・ヴォイシズ/
ジェイムズ・ジョーダン(指揮) |
このアルバムを再生してすぐ、聴き手は「あれ、これ宗教曲だったはず」と複雑な思いに捉われるかもしれません。何しろソプラノ・サックスの朗々とした響きで始まるのですから。とはいえ、透明な響きを持つ合唱が「キリエ・エレイソン」と歌い始めると、何となく安心できるのは間違いありません。2000年から2001年に放送されたBBCドキュメンタリー・フィルムのために書かれた音楽をミサ曲にしたもので、いかにもキャッチーな肌触りが魅力です。他にも9.11の祈りのために書かれた「リヴィング・ヴォイシズ」など、生と死の狭間を垣間見るような、深遠で濃密な音楽です。 |
イディル・ビレット・シリーズ |
8.571286
初紹介 |
リスト:練習曲集・リゴレット・パラフレーズ他
1-12.12の練習曲S136/R1(1826)/
13-15.3つの演奏会用練習曲S144/R5(1845-1849)
<悲しみ/軽やかに/ため息>/16-17.2つの演奏会用練習曲S145/R6/
18.リゴレット・パラフレーズS434/R267/
19.ワーグナー=リスト:歌劇「タンホイザー」序曲S422/R275 |
イディル・ビレット(ピアノ) |
1941年生まれのトルコの名ピアニスト、ビレットは16歳でデビューし、以降半世紀に渡ってその技巧と音楽性を発展させ続けています。そんな彼女の最新録音はリストの練習曲とパラフレーズという「いかにも」というものです。「12の練習曲」はリスト(1811-1886)15歳の時の作品。後に「超絶技巧練習曲」として煌めく技巧を駆使した作品として改訂されますが、ここではもう少し素朴、かつ平易な音使いとなっています。しかし、至るところに流麗なパッセージが使われていて、単なる少年の習作として切って捨てることは不可能な素晴らしい作品です。演奏会用練習曲は、それぞれ単独でも奏される魅力的な作品で、確固たる技巧と表現力の持ち主でないと、これらの曲の真の姿を描き出すことはできないでしょう。そして2つのパラフレーズ作品は、これぞリスト!と言える華やかさ。音符の多さに圧倒されること間違いありません。年齢を重ねた渋さも加わったビレットのリストをどうぞお楽しみください。 |
8.571258 |
イディル・ビレット/ベートーヴェン・エディション第8集
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集第4集
1-3.ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調「熱情」Op.57/
4-7.ピアノ・ソナタ第28番イ長調 Op.101/
8-10.ピアノ・ソナタ第31番変イ長調 Op.110 |
イディル・ビレット(ピアノ) |
イディル・ビレットのスゴイところは、それがどんなに難曲であろうとも、顔色ひとつ変えることすらなく弾きこなしてしまうところでしょう。また独特のテンポ感があり、それも興味深いところと言えそうです。このアルバムに収録された3曲は、どれもベートーヴェン(1770-1827)のソナタの中でも最高峰に位置する作品で、技巧、表現ともども、一筋縄ではいきません。それを彼女は独自の世界観を持って構築していきます。妙に醒めた感のある「熱情」、これ以上ないほどにねっとりと演奏される「第28番」の第3楽章、第31番の透明感溢れる第1楽章は、あえて素っ気なさで対応するなど、ビレット節炸裂。そして28番、第31番ともども大空に向かって高く伸びて行くような終楽章のフーガ。こういうベートーヴェンも好き。
*以前特集で紹介したがこの価格では初めて。 |
8.571259 |
イディル・ビレット/ベートーヴェン・エディション第9集
ベートーヴェン=リスト編曲 ピアノ独奏による交響曲集第3集
1-4.交響曲第7番イ長調 S464/R128/
5-8.交響曲第8番ヘ長調 S464/R128 |
イディル・ビレット(ピアノ) |
最近、リスト(1811-1886)が編曲したベートーヴェン(1770-1827)の交響曲を手掛けるピアニストが増えてきましたが、やはりこういう曲は「けれんみのない」人が演奏してもつまらなくなってしまうものです。その点ビレットならば問題なし。ベートーヴェンとリスト双方の美味しい部分をじっくり味わうことができるというものです。このアルバムに収録されているのは、人気急上昇中の第7番と、比較的簡素な形式を持つ第8番の2曲です。第7番は華やかな主題が出て来るまでに、かなりの長い時間を要するのですが、この部分をピアノで演奏すると、どうしても単調になりがちなところを、ビレットは上手い具合に飽きさせず聴かせてくれています。最も荒々しい曲調を持つ終楽章は意外にも静かですが、これは彼女のいつものやり方です。第8番は細部にまで手が入った編曲であり、ビレットはその音を漏らさず聴かせてくれています。優美なはずの第3楽章メヌエットも、予想外の表情を見せています。これは面白いです。
*以前特集で紹介したがこの価格では初めて。 |
8.571260 |
イディル・ビレット/ベートーヴェン・エディション第10集
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集第5集
1-3.ピアノ・ソナタ第9番ホ長調 Op.14-1/
4-6.ピアノ・ソナタ第10番ト長調 Op.14-2/
7-10.ピアノ・ソナタ第13番変ホ長調 Op.27-1/
11-13.ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調「月光」Op.27-2 |
イディル・ビレット(ピアノ) |
ビレットのベートーヴェン(1770-1827)を聴く時は、少しだけ固定観念を振り払う必要がありそうです。何しろ彼女は美しいメロディを美しく歌わせることにはあまり興味がないようですし、早いパッセージを流麗に演奏することにもあまり気合いを入れていないようなのですから。さて、このソナタ集に収録されている4曲ではどんな演奏を聞かせてくれるのでしょうか?まず「ソナタ・アルバム」でおなじみの若干平易に書かれているOp.14の2つのソナタを聴いてみてください。万が一、ピアノ学習者がこの真似をしたとしたら即叱られてしまうことでしょう。独創的過ぎて少々ついていけない人もいるのでは。そして、ともに「幻想曲風」という副題がついたOp.27の2つのソナタでは、ビレットの自由自在な解釈を味わうことができます。切れ目なく奏される第1番での目まぐるしく変化する曲想、そして誰もが知っている「月光」ソナタでの揺らぎなき幻想。一歩一歩踏みしめるかのような堅実な終楽章も味わい深いものがあります。
*以前特集で紹介したがこの価格では初めて。 |
8.571261 |
イディル・ビレット/ベートーヴェン・エディション第11集
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲集第3集
1-3.ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」Op.73/
4.ピアノと合唱、管弦楽のための合唱幻想曲ハ短調
Op.80 |
イディル・ビレット(ピアノ)/
エツゲチャン・ジェンチェル(ソプラノ)…4/
ギュルベン・エジシュク・チャヤン(ソプラノ)…4/
セマ・バイサル(アルト)…4/
チャン・セルハト・サイギ(テノール)…4/
エティム・デミール(テノール)…4/
アリ・シナン・ギュルセン(バス)…4/
トルコ国立ポリフォニック合唱団/
ビルケント交響楽団/
アントニ・ヴィト(指揮) |
さて、名演奏がひしめきあう感のある「皇帝」協奏曲。ビレットの演奏はその中のどの辺りに位置づけられるのでしょうか?確かにこの曲のベスト盤とするのは無理かもしれませんが、色々と期待のできる演奏と言っても過言ではありません。ポーランドの名指揮者ヴィトの堅固なサポートを聴くもよし。ソロでは独自の世界観を表出するビレットが、協奏曲ではどんな我がままで指揮者を振り回すのかを聴きとるのもよし。トルコのオーケストラの爆演を楽しむもよし・・・。思いの他端正な第1楽章も良いですが、濃厚なるビレット節を聴きたければ第2楽章がオススメです。もちろん第3楽章では大団円に向かって突っ走ります。そうそう、あまり演奏されることのない「合唱幻想曲」が想像以上に良い曲だと再認識することもできるでしょう。
*以前特集で紹介したがこの価格では初めて。
*以前特集で紹介したがこの価格では初めて。 |
8.571263 |
イディル・ビレット/ベートーヴェン・エディション第13集
ベートーヴェン=リスト編曲 ピアノ独奏による交響曲集第4集
1-4.交響曲第3番変ホ長調「英雄」S464/R128 |
イディル・ビレット(ピアノ) |
「フランス革命の際、ナポレオンに共感して曲を書きあげたものの、彼が即位したという知らせを受けて、激怒したベートーヴェン(1811-1886)が表紙を破り取った」という逸話がまことしやかに伝えられているこの第3番の交響曲。逸話を差し引いて考えても全編を通じて勇壮かつ創意工夫の見られる見事な作品です。リスト(1770-1827)はこの壮大な作品を見事にピアノ独奏作品へと移し替えました。どこもかしこも素晴らしい出来ですが、中でも変奏曲形式で書かれた終楽章が聴きものです。この主題はそのままベートーヴェン自身がピアノのための変奏曲としても作曲しているので、これと聴き比べるのも「通の楽しみ」と言えるでしょう。ビレットの演奏はどこを聴いても文句なし。
*以前特集で紹介したがこの価格では初めて。 |