NAXOS 1CD¥1100
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8.572456 |
セルバンテス:キューバ舞曲集
1.3つの衝撃/2.高級な夜の女/3.葬儀/4.魔女/5.キューバへの別れ/
6.帰郷/7.クリクリ/8.失われた夢/9.笑い/10.オマージュ/
11.回転木馬/12.アルメンダレス/13.即興的に/14.もう踊らないで/15.意思/
16.メッセージ/17.キスマーク/18.思い出/19.孤独/20.友情/
21.招待/22.中断/23.嫉妬深い女/24.アーメン/25.おいっ!/
26.はい、これからも/27.それは必要/28.もう泣かないで/29.冷たいシャワー/
30.さわらないで/31.ジグザグ/32.偉大なる女性/33.親密な/
34.あなたから遠く離れて/35.彼は去り、もう戻らない/36.魂の融合/
37.私はあなたを愛し抜く/38.えっ?なぜ? |
アルバロ・センドージャ(ピアノ) |
ラテン・アメリカのピアノ音楽における重要人物であるセルバンテス(1847-1905)の作品集です。彼の母国キューバの文化と国家のアイデンティティを反映させた作風は、当時の聴衆に大うけであり、コンサートホールだけでなく、舞踊音楽としても重要な役割を担っています。この「キューバ舞曲集」は、作曲年代などはっきりしたことは分かっていませんが、まさにエッセイ風の趣きを持ち、楽譜にはちょっとした思い付きなども書き込まれているという、興味深い作品集です。何より、どの曲も楽しさ満点。どの曲も1〜2分と短く、どこかスコット・ジョプリンを思わせる軽快なリズムの曲があったり、ショパンを思わせるしっとりとしたマズルカ風の曲があったりと、変化に満ちた38曲です。一度聴いたら必ずはまります。 |
8.572596 |
ピアソラ:タンゴ・ディスティーノ
1.ミケランジェロ'70/2.タンゴの歴史第2番「カフェ1930」/
3.タンゴの歴史第3番「ナイトクラブ1960」/4.ソレダッド(孤独)/
5.グラン・タンゴ/6.オブリビオン(忘却)/7.エスクアロ(鮫)/
8-10.天使の組曲より<天使の死/天使のミロンガ/天使の復活>
※1-7…トロンボーンを含む編曲:A.リアルマコプーロス、8-10…G.セナネス編曲 |
エクトル・デル・クルト(バンドネオン)…1.4.7/
オクタヴィオ・ブルネッティ(ピアノ)…1.4.7/
ペドロ・ジラウド(コントラバス)…1.4.7/
サイモン・パウイス(ギター)…2/
イアン・ローゼンバウム(マリンバ)…3/
ロバート・トンプソン(ピアノ)…5.6/
サミュエル・アダムズ(コントラバス)…6.8-10/エドソン・シャイト(第1ヴァイオリン)…8-10/
ジユン・ハン(第2ヴァイオリン)…6.8-10/
ラウル・ガルシア(ヴィオラ)…8-10/
アーノルド・チョイ(チェロ)…8-10/
アキレス・リアルマコプーロス(トロンボーン) |
ピアソラ(1921-1992)のタンゴは、すでに普遍的な地位を築いており、今ではまるでJ.S.バッハの作品のように、様々が楽器で演奏されることが普通となっています。彼の作品はどんな楽器とも親和性があり、まるで最初から予定されていたかのようにそこに馴染むのです。今作はソロ・トロンボーンによるピアソラの最初の録音となります。有名なオブリビオンや、耳にする機会の多い「タンゴの歴史」も、全く新しい装いで立ち現れます。もちろん、ここでソロを担うリアルマコプーロスの超絶技巧には目を見張るものがあります。名チェリスト、ロストロポーヴィチのために書かれた「グラン・タンゴ」でも、涙が出そうなほどに見事な演奏を聴かせます。 |
8.572681 |
エベンシオ・カステリャーノス:パカイリグアの聖なる十字架
1.パカイリグアの聖なる十字架(1954)/2.セブンスターの川/
3-7.アビレーニャ組曲
<アビレーニャ/子どもたちのロンド/ノットゥルノ/夜明けのクリスマス/クリスマス> |
ベネズエラ交響楽団/
ヤン・ヴァグネル(指揮) |
冒頭から高らかに響き渡るファンファーレ!これを聴いて「おおっ」と思わない人はいないのでは。20世紀前半に活躍したベネズエラの作曲家、カステリャーノス(1915-1984)の刺激的なこの作品「パカイリグアの聖なる十字架」は、人気のダンスのリズムやメロディーだけでなく、ベネズエラの中世のキャロルを引用するなど、まさに国家主義的なスタイルの音楽です。豊富なメロディ、厚みのあるハーモニー、そして見事な管弦楽法に彩られた曲は、ある意味、マーラーの第7番の終楽章の喧騒にも似た混沌たるエネルギーを感じさせてくれることでしょう。オリノコ川についての詩に触発されたという「セブンスターの川」、ベネズエラの流行歌や、マラカスなどを配した極めて楽しい「アビレーニャ組曲」も心地良い気分を誘います。とにかく気分良くなりたい人にうってつけの1枚です。 |
8.572707 |
コルデロ:カリビアン・コンチェルト他
1-3.ギターと弦楽合奏のための「祝典協奏曲」(2003)/
4-7.協奏組曲「インスラ」(2009)/
8-10.ヴァイオリンと弦楽合奏のための「コンチェルティーノ・トロピカル」 |
ペペ・ロメロ(ギター)…1-3/
ギレルモ・フィグエロア(ヴァイオリン)…4-10/
イ・ソリスティ・ザグレブ |
プエルトリコの作曲家兼ギタリスト、エルネスト・コルデオ(1946-)の作品集です。彼は名ギタリスト、ペペ・ロメロを「神のインスピレーションを持つもの」として讃え「祝典協奏曲」を捧げました。これは作曲家の心でもあるカリブ海の島に伝わるリズムに源を発した情熱的でリズミカルな音楽です。叩き付けるようなリズム、熱い風を感じさせる郷愁的なメロディ。とにかく盛り上がること間違いなしの音楽です。「インスラ」は「島」の意味を持ち、指揮者であり、また優れたヴァイオリニストでもあるフィグエロアに捧げられています。こちらもカリブ海の風景を思い起させるような音楽で、忍び寄るかのようなタンゴ風のメロディもたまりません。生い茂るマホガニーの木、その枝をぬって飛ぶ極彩色の鳥たち、そんな情景が目に浮かんできませんか? |
8.572815 |
ブラガ・サントス:バレエ組曲「アルファーマ」他
1.交響的序曲第3番Op.20(1954)/
2.ヴィアンア・ダ・モッタへのエレジーOp.14(1948)/
3-11.バレエ組曲「アルファーマ」(1956)(編曲:A.カッスート)…世界初録音
<序曲/船乗りたちの踊り/パ・ドゥ・トロワ/魚売り女たちの踊り/
魚売り女と港湾労働者の踊り/少女と隣人の踊り/
広場一杯の少年少女たちの踊り/炎の回りの少女たちの踊り/終わりの踊り>/
12.管弦楽のための変奏曲Op.49(1976)…世界初録音/
13-15.3つの交響的スケッチOp.34(1962) |
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団/
アルヴァロ・カッスート(指揮) |
リスボン生まれのジョリ・ブラガ・サントス(1924-1988)は、フレイタス・ブランコの弟子であり、高い音楽的創造性をもち、ポルトガルの民族音楽の特徴を反映させて見事な音楽を残しました。彼は6曲の交響曲を書いていて、その全てがカッスートによってMARCO
POLOに録音され好評を博していますが、こちらは久々の新録音となります。彼の音楽的言語はとても豊かで、緻密なアーキテクチュアを描くもので、どれもが魅惑的な音世界を持っています。バレエ音楽「アルファーマ」は世界初録音。作曲家と親しかったカッスートが、図書館に保存されたスコアの紛失部分と、作曲家が持っていたというメモを併せ再現したもので、もともとは長かった楽曲を、上演しやすいように短く整えたと言います。生き生きとした躍動感にあふれた見事な音楽です。 |
8.559703 |
ハンソン:交響曲第4番&第5番他
1-4.交響曲第4番「レクイエム」Op.34(1943)/
5.交響曲第5番「神聖な交響曲」Op.43(1954)/
6.セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出によるエレジー(1956)/
7-15.ディエス・ナタリス(1967) ※DELOS原盤 |
シアトル交響楽団/
ジェラード・シュワルツ(指揮) |
アメリカ音楽界に確固たる地位を築き、作品も評価され、順風満帆の人生を歩んでいたハンソン(1896-1981)ですが、1943年の父の死にはかなりのショックを受けたようです。その苦悩を乗り越えて書き上げられたのが、この交響曲第4番「レクイエム」。もともと抒情的な彼の作風ですが、ここでは一層ロマン主義に回帰し、深い精神性に満ちた曲を描きだしました。第2楽章以外はレクイエムの典礼文を用いた感動的なもので、交響曲というよりもカンタータとしての色合いが強くなっています。彼はこの作品でピューリッツァー賞も獲得しています。第5番は単一楽章の交響曲で、タイトル通り神聖な雰囲気を醸し出しています。彼が世に出るきっかけとなったクーセヴィツキーのために書かれたエレジーも、深い悲しみを湛えた一遍の叙事詩です。 |
8.559704 |
ハンソン:交響曲第6番&第7番他
1-6.交響曲第6番(1968)/7-8.キリストの光(1974)/
9-11.交響曲第7番「海の交響曲」(1977) ※DELOS原盤 |
シアトル交響楽団…1-6.9-11/
シアトル合唱団…7-11/
ジェラード・シュワルツ(指揮) |
「アメリカのロマンティスト」ハワード・ハンソン(1896-1981)の最後の2つの交響曲は、彼の作曲のキャリアにふさわしい結論を提示するかのようです。第6番はニューヨーク・フィルの創立185周年のシーズンを記念して委嘱された作品で、レナード・バーンスタインに捧げられています。印象的な3つの音によるモティーフが全曲を支配するロマンティックな作品で、第2楽章の冒頭のスネアドラムは新しい時代の到来を予感させる胸躍る音楽です。ナザレ大学からの委嘱作である「キリストの光」は、ハイドンとヘンデルの主題による変奏曲を書いて欲しいと依頼されたものですが、ハンソンは聖書から「光」についてのテキストを選ぶという独自の作品で応えました。第7番は実質カンタータとも言える美しく印象的な曲。81歳の作品ですが、創作意欲は全く衰えることなく、美しいメロディが次から次へと溢れ出す壮大さが魅力です。時代遅れと評される事も多かった作曲家ですが、自らの作風を貫いた姿勢は天晴というほかありません。 |
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スティル:交響曲第2番&第3番・森の調べ
1-4.森の調べ(1947)<歌う川/秋の夜/月の夕暮/ヨタカの靴>/
4-8.交響曲第2番ト短調「新種族の歌」(1937)/
9-12.交響曲第3番「日曜日の交響曲」(1958)
1-4…世界初録音 |
フォート・スミス交響楽団/
ジョン・ジーター(指揮) |
ラテン系アメリカ人の作曲家、ウィリアム・グラント・スティル(1895-1978)は、典型的なアメリカン・サクセス・ストーリーを実現した人でした。彼は3歳の時に町の楽団指揮者を務めていた父を亡くしますが、教師だった母の勧めでヴァイオリンを学ぶことで最初の音楽体験を果たしました。その後医学の研究にいそしみますが、やはり音楽への情熱捨てがたく、戦争をはさみながらも、アレンジャーとして働き、またブロードウェイではオーボエ奏者として、数多くの経験を積むことになります。ニューヨークからロサンゼルスに移り、古典的な作品を中心に数多くの曲を発表しました。当初5楽章として計画されるも、出版時に最終楽章を削除したという「森の調べ」は、少しだけドヴォルザーク色を感じさせる牧歌的でのどかなもの。自らのルーツを辿るかのように、ジャズなどの要素を埋め込んだ交響曲第2番、彼の生前は演奏されることのなかった交響曲第3番、どれも独特の情緒を湛えた名作です。 |
8.572243 |
ルーセル:蜘蛛の饗宴他
《バレエ音楽「蜘蛛の饗宴」Op.17(1912)》〈第1部〉
1.前奏曲-庭/2.アリの入場/3.かぶと虫の入場-蝶の踊り/
4.蜘蛛の喜び-蜘蛛の踊り/5.みみずが通る/
6.2匹の戦闘的なカマキリ/7.アリのロンド/
〈第2部〉
8.カゲロウの羽化/9.カゲロウの踊り/10.カゲロウが止まる/
11.カゲロウの死/12.カゲロウの弔い/
《オペラ・バレエ「パドマーヴァティ」(1914-1918)》
13-15.第1幕より第1組曲/16-17.第2幕より第2組曲 |
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団/
ステファン・ドヌーヴ(指揮) |
印象主義から新古典主義へと進んだルーセル(1869-1937)の初期の名作「蜘蛛の饗宴」です。この作品はもっぱら作曲家自身が編纂した「交響的断章」が知られ、この全曲が演奏される機会はあまりありません。曲は印象主義そのものであり濃密な管弦楽法が特徴的です。1912年に芸術劇場の委嘱によって書かれたバレエ作品で、ファーブルの「昆虫記」からインスピレーションを受けていて、庭に巣を作った蜘蛛と、蜘蛛のエサとなる昆虫たち、その蜘蛛を狙うカマキリ。そして神秘的なカゲロウの羽化からその死までを精緻な書法で描いた、音による博物誌です。ルイ・ラロイの台本によるオペラ「パドマーヴァティ」は野性味あふれる異国的な音楽。本編には歌が挿入されますが、こちらは管弦楽組曲のみです。なかなか上演される機会のない幻のバレエです。ドヌーヴの演奏は闊達で色彩豊か。この曲を初めて聞く人にも安心してオススメできる逸品です。 |
8.572718 |
バーナード・ハーマン:ジェーン・エア(1943)
1.前奏曲/2.ジェーンの出発/3.ジェーンの孤独/4.夢想-虚栄/
5.悲歌-ジェーンの悲しみ/6.時間の経過-手紙/
7.ソーンフィールド・ホール-火花のワルツ/8.ロチェスター/
9.ピアノ-プロムナード/10.ロチェスターの過去-火事/11.二重唱-ドア/
12.春/13.メースン氏/14.部屋-喧騒/15.庭/16.告別/
17.歌:ジェーンの告白-嵐/18.結婚-妻/
19.ジェーンの告別(ロチェスターの告白)/20.ジェーンの帰郷/
21.終曲
※MARCO POLO 8.223535より移行盤 |
スロヴァキア放送交響楽団/
アドリアーノ(指揮) |
ニューヨーク生まれの映画音楽作曲家、バーナード・ハーマン(1911-1975)の初期の代表作の一つ1943年作曲の「ジェーン・エア」です。1936年にオーソン・ウェールズと出会ったハーマンは、彼が演出したラジオ・ドラマに次々と曲をつけ、1938年には、あの「宇宙戦争」で市民を大パニックに陥れたことでも知られます。ウェールズは1940年から映画を撮影し始めますが、その時にもハーマンをハリウッドに呼び映画「市民ケーン」の音楽が出来上がったのでした。とは言え、ハーマンの活動の拠点はニューヨークであり、他の活動もしていたため、映画音楽に本腰を入れているというわけでもなかったようです。しかし、「ジェーン・エア」は重厚さと不気味さを適度に持ち合わせた名作であり、その後の彼の名声を約束したかのような優れた作品としてこの世にあらわれました。この録音は編集中に行われたカットなどを全て復元したものとなります。 |
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リムスキー=コルサコフ:雪娘-管弦楽組曲集
1-4.組曲「雪娘」<序曲/鳥たちの踊り/行列/道化師の踊り>/
5.交響的絵画「サトコ」Op.5/
6-10.組曲「ムラダ」<序曲/レドワ/リトアニアの踊り/インドの踊り/行列>/
11-14.組曲「金鶏」
<宮廷のドドン王/戦場のドドン王/ドドン王とシェマハの女王/
婚礼の祝宴とドドン王の哀れな末路と死> |
シアトル交響楽団/
ジェラード・シュワルツ(指揮) |
ロシア五人組のなかでも、とりわけ管弦楽法に優れた才能を発揮したリムスキー=コルサコフ(1844-1908)。このアルバムに収録されたオペラからの管弦楽組曲の数々は、そんな彼の特筆を知るのにふさわしいものと言えるでしょう。組曲「雪娘」は春の精と冬の精との許されぬ愛が生んだ悲劇の物語。とりわけ「道化師の踊り」が知られていますが、悲しげに始まる「序曲」から聞きごたえ充分です。海の英雄となった「サトコ」の物語、こちらも伝説から採ったという、亡霊になっても愛する人を守る娘「ムラダ」、そして彼の最後のオペラで、風刺に満ち少々教訓めいた終わり方をする「金鶏」から素晴らしい音楽を並べました。演奏はシュワルツとシアトル交響楽団で、彼らの見事な演奏はシェエラザード(8.572693)でも聴くことが可能です。 |
8.559397
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スーザ:吹奏楽のための作品集第10集
1.救世軍行進曲(1930)/2.ジャズ・アメリカ(1925)/
3.フリー・ランス行進曲(1906)/4.キルティング・パーティ・マーチ(1889)/
5-8.「温室に住む人々」よりバレエ組曲(1909)/
<シャンパン/ラインのワイン/ウィスキー-スコッチ,
アイリッシュ, バーボン&ライ/
コーディアルの大集合、ワイン、ウイスキー、ホワイト・ロック>/
9.兵士たちが船で帰還してくる時には!(1918)/
10.ミルラ・ガヴォット(1876)/11.コンドル序曲(1886)/
12.ボウ・アイディアル・マーチ(1893)/
13.ジェローム・カーンの「幸せを求めて」によるユモレスク(1922)/
14.錨と星(1918)/15.海軍紳士録(1920) |
ノルウェー王国海軍軍楽隊/
キース・ブライオン |
「マーチ王」ジョン・フィリップ・スーザ(1854-1932)の作品集、第10集です。今回のアルバムにも胸躍る行進曲など、たくさんの名曲が収録されています。中でも珍しいのがトラック13のユモレスクです。この曲はP.D.Q.バッハの作品にも匹敵するほどのユーモアにあふれたもの。ミュージカルのスタンダード・ナンバーで知られるジェローム・カーンのヒット曲のもじりで、T型フォードを酩酊状態で運転すること(ダメですよ)についての作品とのことで、曲は様々な楽器で演奏されます。「温室に住む人々」はいろいろなアルコール飲料についての音楽。聴いているだけで幸せな気分になれそうな組曲です。 |
8.571288
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イディル・ビレット/アーカイヴ・エディション第11集サイグン:ピアノ協奏曲他
1-3.サイグン(1907-1991):ピアノ協奏曲第1番…世界初録音/
4-15.サイグン:アクサク・リズムによる12の前奏曲集/
16-19.ジャン・フランセ(1912-1997):ピアノ・ソナタ(ビレットに捧ぐ)/
20.アルカン(1813-1888):鉄道Op.27/
21.バラキレフ(1837-1910):イスラメイ ※1-15のみモノラル録音 |
オーケストラ・コロンヌ…1-3/
アフメト・アドナン・サイグン(指揮)…1-3/
イディル・ビレット(ピアノ) |
今でこそ、トルコの作曲家アフメト・アドナン・サイグンの作品は、耳にする機会が比較的多いのですが、この演奏が行われた1958年当時は、まだまだ広くは認められていませんでした。そんな彼のピアノ協奏曲を堂々たる身のこなしで演奏したのが、17歳の若きピアニスト、イディル・ビレットだったのです。サイグン自身の指揮と彼女の演奏により、この曲の持つ雄弁な表現法と、独創的で知的なイディオムが広く知れることとなり、聴衆たちは、作曲家と演奏者ともどもに熱い拍手を送ったのです。また、フランス屈指の技術を持つオーケストラ・コロンヌの役割も大きなもので、このような新しい音楽を演奏すること自体、冒険であったはずですが、彼らは期待以上の働きをしています。サイグンの信頼を得たビレットは、ソロ作品でも素晴らしい演奏をしていて、それは「12の前奏曲」で目の当りにすることができるでしょう。フランセの作品もビレットのために書かれたもので、こちらはウィットに富んだ軽やかな、いかにも「フランス風」の曲。アルカンとバラキレフの2曲は超絶技巧のオンパレード。ビレットでなくしては成立しない1枚といえるでしょう。 |
8.572550 |
プレイエル:交響曲とフルート協奏曲
1-4.交響曲変ロ長調(Benton125)/
5-8.交響曲ト長調(Benton130)/
9-11.フルート協奏曲ハ長調(Benton106) |
シンフォニア・フィンランディア・ユバスキュラ/
パトリック・ガロワ(指揮&フルート…9-11) |
オーストリアで生まれ、ハイドンに学び、そのまま行けばベートーヴェンの良き先輩として活躍したであろうプレイエル(1757-1831)ですが、1783年にフランスに移り、名前を改名してから(以前はプライエルであった)は、ロンドンで成した財で邸宅を購入、そして師であるハイドンの楽譜を出版するために立ち上げた音楽出版社が成功を呼び、ついにはピアノ制作会社までをも設立するに至ったというのですから、人生全く何が起こるかわかりません。こんな多彩な活躍をした彼ですが、その作品数もとても多く、一時期はヨーロッパにおいて「最も有名な作曲家」として知られていたほどであり、ここで聴ける2つの交響曲などからは、その才能を存分に感じることができるでしょう。彼の唯一のフルート協奏曲であるハ長調の作品も、きらめくような美しさを備えています。最近は指揮者として活躍している名手ガロワですが、ここでは文句なしのフルートを聴かせます。 |
8.572559 |
クライスラー&ジンバリスト:弦楽四重奏曲他
1-4.クライスラー(1875-1962):弦楽四重奏曲イ短調(1919)/
5-8.ジンバリスト(1890-1985):弦楽四重奏曲ホ短調(1931/1959改編)/
9.イザイ(1858-1931):夕べのハーモニーOp31(1924)
5-9…世界初録音 |
ファインアーツ弦楽四重奏団
<メンバー:
ラルフ・エヴァンス(第1ヴァイオリン)/
エフィム・ボイコ(第2ヴァイオリン)/
ニコロ・ユージェルミ(ヴィオラ)/
ヴォルフガンク・ラウファー(チェロ)>/
フィルハーモニック・オーケストラ・オブ・エウロペ…9/
オーティス・クレーバー(指揮)…9 |
伝説のヴァイオリニストたちによる弦楽四重奏曲をじっくりと。クライスラーについては、もう説明の必要もないでしょう。3歳からヴァイオリンを学び、作曲は一時期ブルックナーにも師事していたという彼、その演奏はもちろんのこと、数々の愛らしい作品も良く知られています。とは言え、彼が弦楽四重奏曲を書いていたとは!…とは言え、この曲は思いの他シリアスであり、そんな点が却って人気をなくしてしまったのかもしれません。ジンバリストも名ヴァイオリニストであり、クライスラーの友人でした。ロシアでユダヤ系の家庭に生まれ、1911年にボストン交響楽団と共演してからアメリカに定住、素晴らしい活動をしています。2人ともイザイを大変尊敬したいたと言い、このアルバムにはそんなイザイの知られざる作品「夕べのハーモニー」も収録されています。世紀末音楽とは全く違った世界に属する音がここにあります。 |
8.572030 |
F.X.リヒター:フルート、チェロとチェンバロのためのソナタ第2集
1-3.フルート、チェロとチェンバロのためのソナタ第4番ハ長調/
4-6.フルート、チェロとチェンバロのためのソナタ第5番ヘ長調/
7-9.フルート、チェロとチェンバロのためのソナタ第6番ト短調/
10.前奏曲ハ長調/11.アンダンテヘ長調 |
パウリーナ・フレッド(フルート)/
ヘイディ・ペルトニエミ(チェロ)/
アーポ・ハッキネン(チェンバロ) |
フランツ・クサーヴァー・リヒター(1709-1789)は、18世紀の作曲家でマンハイム楽派の最も重要な代表者の一人です。彼の作品はこの時代としては、かなり独創的であり、声部の処理や表情豊かなハーモニーには驚かされるばかりです。このソナタ集は第1集(8.572029)に続くもので、ここでもバロックのトリオ・ソナタの伝統に根差しつつも、それだけに留まることのない新しい時代の息吹を感じさせるソナタを聴くことができます。またこのアルバムには、彼の2つの鍵盤作品も収録。これらの作品は、どの楽器のために書かれたのかは不明ですが、当時の南ドイツやオーストリアのオルガンは足鍵盤を持たない簡便なものが多かったため、こういったオルガンの練習用に書かれたものではないか?と考える人もいます。ただし、このアルバムではハープシコードで演奏されています。まだまだ研究余地の多い作曲家だけに、これから先が楽しみです。 |
8.572580 |
ボーエン:ヴィオラ・ソナタ第1番&第2番幻想曲
1-3.ヴィオラ・ソナタ第1番ハ短調 Op.18/
4.幻想曲Op.54/5-7.ヴィオラ・ソナタ第2番ヘ長調
Op.22 |
ブリッジ・デュオ
<メンバー:マシュー・ジョーンズ(ヴィオラ)/
マイケル・ハンプトン(ピアノ)> |
イギリスの近代作曲家エドゥイン・ヨーク・ボーエンは、ヒンデミットのようにオーケストラのほぼ全ての楽器を演奏できるほどの腕前を持っていたのですが、彼が愛したのはヴィオラの音色でした。それは「近代ヴィオラの父」ライオネス・ターティスの存在に触発されたのは間違いないのですが、もしかしたら戦争で受けた心の傷が影を落としているのかもしれません。そんな彼がヴィオラを通して歌い上げた2つのソナタは、作曲当時から「演奏困難」とされていて、なかなか弾き手が現れず、世に出る機会を失ってしまったものと思われますが、これらは本当に溢れんばかりのファンタジーに満ちたロマンティックで美しい歌だったのです。存命時は、その懐古的な作風から、「時代遅れ」と批判されてしまったこともあるものの、こんなに美しい曲を書く人が埋もれているのはもったいないの一言に尽きるのではないでしょうか。ヴィオラの魅力がひしひしと伝わる1枚です。 |
8.572647 |
ジェラール/モンサルバーチェ/カサド:ピアノ三重奏曲集
1-3.ロベルト・ジェラール(1896-1970):ピアノ三重奏曲第1番(1918)/
4-6.モンサルバーチェ(1912-2002):ピアノ三重奏曲(1986-1988)/
7-9.カサド(1897-1966):ピアノ三重奏曲ハ長調(1926-1929) |
トリオ・アリアーガ
<メンバー:ダニエル・リゴーリオ(ピアノ)/
フェリペ・ロドリゲス(ヴァイオリン)/
デヴィッド・アペラニス(チェロ)> |
3人のカタロニアの作曲家たちによるピアノ三重奏曲集です。ロベルト・ジェラールはファリャ以降の世代で最も優れたスペイン人作曲家として評価されています。シェーンベルクの影響を受け、無調の音楽をスペインに持ち込んだことで知られていますが、この初期の三重奏曲はフランス風の洗練された味わいを持つものであり、瑞々しい若者の感性漲る流麗な作品です。次のモンサルバーチェの曲は、どこか官能的な響きを持つ「ドルシネアのバラード」という楽章で始まります。第2楽章は彼が尊敬していたモンポウへのオマージュで、静謐な響きが横溢しています。そして活動的な第3楽章「リトメッロ」はジャズの雰囲気を持ちあわせています。カザルスの弟子であり、チェリストとしても高名なカサドの作品は、力強い民族的なリズムを持つ輝かしい作品で、先人たちの影響を受けつつも、決してロマン派の風合いをなくすことなく、独自の世界を築いています。 |
8.572656
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クシシトフ・メイエル:弦楽四重奏曲集第2集第9番,第11番,第12番
1-5.弦楽四重奏曲第9番Op.74(1990)/
6.弦楽四重奏曲第11番Op.95(2001)/
7-15.弦楽四重奏曲第12番Op.103(2005) |
ヴィエニャフスキ弦楽四重奏団
<メンバー:
ヤロスラフ・ゾルニエルチュキ(ヴァイオリン)/
ミロスラフ・ボチェク(ヴァイオリン)/
レフ・バラバン(ヴィオラ)/
マチェイ・マズレク(チェロ)> |
1943年、ポーランドのクラコフ生まれのメイエル(1943-)の弦楽四重奏曲第2集です。ペンデレツキとブーランジェの指導を受けた人ですが、単一楽章で書かれた第11番の弦楽四重奏曲からは、明らかにショスタコーヴィチの影響が感じられます。5つの楽章に分かれ、それらが目まぐるしく変化するテンポが心地良い(?)快感を呼び覚ます第9番、そして彼の最も直近の作品である第12番は、9つの部分に分かれていて、それらが緊密な関係を持って描かれています。切れ切れのメロディは相互に睦みあい、古典派やロマン派の音楽のように、美しく響きあうのではないものの、精巧なポリフォニーは刺激的な響きを以って人間の感覚の奥深い部分に棲みつくかのよう。現代音楽の一つの形がここにあります。 |
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ヒル:弦楽四重奏曲集第4集
1-4.弦楽四重奏曲第10番ホ長調/
5-7.弦楽四重奏曲第11番ニ短調
8-11.「人生」の五重奏曲
<重々しく-速く/葬送行進曲/スケルツォ/
終曲「いと高きところの神の栄光」(声とピアノ五重奏版)> |
ドミニオン弦楽四重奏団/
リチャード・マップ(ピアノ)…8-11/
ブライオニー・ウィリアムズ(ソプラノ)…11/
アメリア・ベリー(ソプラノ)…11/
リンデン・ローダー(メゾ・ソプラノ)…11/
アナベル・チータム(メゾ・ソプラノ)…11/
リチャード・グリーガー(テノール)…11/
クリス・ベレントソン(テノール)…11/
ダニエル・オコーナー(バス)…11/
キース・スモール(バス)…11/
マーク・ドレル(指揮)…11 |
オーストラリアの作曲家の中でも第一人者として讃えられているアルフレッド・ヒル(1869-1960)。彼の作品は、同世代のヨーロッパの作曲家たちのものと比べると若干時代遅れの感は否めませんが、数多くある弦楽四重奏曲は、そのどれもが個性的であり、凝った作風を持っています。1935年に書かれた第10番と第11番の曲は、ガーシュウイン的でもあり、また印象派の影響も受けています。第10番の身を切るように美しいアダージョや、第11番の第1楽章の重苦しい冒頭部からアレグロへと移り変わる一瞬の閃きからは、ヒルのしたり顔が見えてくるようです。最終楽章で声楽が登場する「人生の五重奏曲」は、後に交響曲へと編曲されるほど、彼のお気に入りのもの。終楽章で高らかに人生の喜びを歌い上げるという、まさにヒルによる「喜びの歌」と言えるでしょう。 |
8.572608-09
(2CD) |
ロッシーニ:ピアノ作品全集第4集
《CD1.老年のいたずら第8集「館のアルバム」より》
1.No.1 旧体制の見本/2.No.2 あわただしいロココ風の前奏曲/
3.No.3a 悲嘆/4.No.3b 希望/5.No.4 だったんボレロ/
6.No.5 おおげさな前奏曲/7.No.6 現代の見本/
8.No.7 反舞踏的ワルツ/
《老年のいたずら第9集より》
9.No.9 イタリア風前奏曲/10.No.12 4手のための小ファンファーレ/
《CD2.老年のいたずら第8集「館のアルバム」より》
1.No.8 ちょっぴり牧歌的な前奏曲/
2.No.9 サラブレッドのためのタランテラ/3.No.10
夢/
4.No.11 劇的な、いわゆるプレリュード/5.No.12
将来の標本/
《老年のいたずら第9集より》
6.No.6 イタリアのノエルの歌のカタログ/
7.No.7 わが最後の旅のための行進曲と思い出/
8.No.11 右手のための、良く知られたブラックジョークのカタログ |
アレッサンドロ・マランゴーニ(ピアノ) |
引退後のロッシーニ(1792-1868)の手による、何ともケッタイな作品集がこの「老年のいたずら」です。13集からなる曲集は、独奏曲や室内楽、声楽曲など様々な形の作品の集合体であり、その中身はまるで「ごった煮」。それも1曲1曲に良く味のしみた老舗の味わいのようなものを醸し出しているのです。舞曲あり、フーガあり。そして大抵の曲には、一筋縄でいかないような捻ったタイトルが付けられていて、その真意を探るのは全く困難。まさに、常にいたずらを仕掛けられているような楽しいものなのです。もちろん、稀代のメロディメーカーであるロッシーニのこと、美メロに事欠くことはありません。この第4集には第8集と第9集からの抜粋が収録されていて、夢のような曲からクリスマス?のメロディ、ブラックジョークまで盛りだくさん。さあ、何からいただきましょうか? |
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J.S.バッハ:ギターのための編曲集
1-6.パルティータ第2番ハ短調 BWV826(T.マヌキアン編)/
7-10.リュート組曲ハ短調 BWV997(T.ホップストック編)/
11-13.前奏曲,フーガとアレグロBWV998(T.ホップストック編)/
14-16.協奏曲ニ長調 BWV972 (原曲:ヴィヴァルディ)(J.ペロワ編) |
ジュディカエル・ペロワ(ギター) |
J.S.バッハ(1685-1750)の作品はその限りない可能性に惹かれるのか、数多くの作曲家たちによって様々な編曲が試みられています。ギターのために編曲を試みた最初の作曲家は、名ギタリストでもあったタルレガでした。タルレガはバッハの対位法や色調の多様さを見事にギターへと置き換えることに成功、次世代の作曲家たちに多くの示唆を与えたのです。そんな中、パルティータ第2番を編曲したのがマヌキアンでした。彼は鍵盤楽器のために書かれたこの曲を、完璧にギターへと移し替えることに成功しています。ホップストックの手による2つの作品も、もともとギターのために書かれたかのように、ぴったりとマッチしています。そして、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲をバッハ鍵盤独奏曲へと編曲したBWV972をギターへと移し替えたのは、演奏者であるペロワ自身。こちらも何も文句のない仕上がりです。演奏しているペロワは1973年パリ生まれの名手で、2003年からジェレミー・ジューヴと「パリ・ギター・デュオ」を創設し活動、世界中で好評を博しています。深みのある美しい音色が魅力的です。 |
8.572473 |
ケクラン:ペルシアの時Op.65
1.旅立ちの前のひるね/2.キャラバン(ひるね中の夢)/3.暗がりの山登り/
4.すがすがしい朝、高い山間にて/5.町を望む
/6.街道を横切る/7.夜の歌 /
8.テラスから見る月の光/9.夜明けの歌/10.真昼の日差しを受けるばらの花/
11.石像の泉の近くの日陰で/12.アラベスク/13.日暮れ時の丘陵/
14.語り部/15.夜の平穏、墓地にて/16.真夜中のイスラム教修道増たち |
ラルフ・ファン・ラート(ピアノ) |
フランク、フォーレ、ドビュッシーら先人の影響を受けながらも、伝統的なハーモニーと作曲技法を独自に拡大し、時には無調の作品までをも書いたフランスの作曲家ケクラン(1867-1950)。彼は良き教師でもあり、近代和声学、対位法の著作も残し、また映画からもインスピレーションを受けるなど、多方面に渡って影響を及ぼした人でもありました。彼は夜になると望遠鏡で星を眺め、宇宙の神秘を解明しようと試み、またある時は神話や旅行記、未知の国についての書物を熱心に読んでいたともいいます。そんな知識人であり夢想家であった彼ならではのピアノ曲がこの傑作「ペルシアの時」です。「ピエール・ロティの『イスパーンの方へ』に基づくピアノのための組曲」という副題をもち、彼の特徴でもある静謐さと、東洋的な雰囲気が横溢した16曲からなる組曲で、時に聞こえてくる古代の響きや、砂漠の熱い風が感じられる、今の慌ただしい時間を忘れさせてくれるかのような音たちが蠢いています。こういう曲を演奏させたら右に出る者はいないであろう、ラルフ・ファン・ラートがさらりと弾いてのけています。 |
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バラダ:ピアノ作品集
1.ショパンのバラード第1番によるトランスパレンシー(1977)/
2-6.プレルディス・オブスティナント(1979)…世界初録音/
7.コントラスト(2004)/8-15.ミニ=ミニチュアー(2010)…世界初録音/
16-19.4つのテンポによる音楽(1959)<レント/エネルジコ/スケルツァンド/様々なテンポで>/
20.アライルヴィング・ヴァリエーション…世界初録音/
21.持続性…世界初録音 |
パブロ・アモロス(ピアノ) |
単なる「現代音楽家」として一括りにしてしまうには、あまりにももったいないカタルーニャ生まれの作曲家レオナルド・バラダ(1933-)。これまでにNAXOSレーベルに10枚以上の録音がありますが、そのどれもが奇怪で奇妙な音に溢れているのです。今回のピアノ作品も、その例に漏れることなく極めて刺激的で挑戦的な音に満ちた作品が目いっぱい並びます。第1曲目の「ショパンのバラードによる〜」では、千切れたショパンのかけらのようなものを探しているうちに、見たこともない異世界へ迷い込むこと必至。「プレルディス・オブスティナント」は名ピアニスト、アリシア・デ・ラローチャのために書かれた作品で、ピアノがどれほどまでに創造的な力を発揮できるか?を命題とした5つの部分で構成されています。彼女は何度もこの曲を演奏したのですが、ついに録音することがなかったため、このアルバムが世界初録音となります。他の作品も興味深いものばかり。ここでピアノを演奏するアモロスに献呈された「ミニ=ミニチュアー」も凝縮された世界を描き出しています。 |
8.572689 |
チマローザ:ピアノ・ソナタ集第2集ピアノ・ソナタR.19-R.35
1-3.ソナタハ長調 R.19/4-6.ソナタト長調
R.20/7-9.ソナタハ長調 R.21/
10-12.ソナタイ長調 R.22/13-15.ソナタ変ロ長調R.23/
16-18.ソナタニ長調 R.24/19-21.ソナタハ短調
R.25/22-24.ソナタ変ロ長調 R.26/
25-26.ソナタニ短調 R.27/27-29.ソナタニ長調
R.28/30-32.ソナタ変ロ長調 R.29/
33.ソナタハ長調 R.30/34.ソナタト長調 R.31/35-36.ソナタヘ長調
R.32/
37.ソナタハ長調 R.33/38.ソナタ変ロ長調
R.34/39.ソナタイ長調 R.35 |
ヴィクトル・サンジョルジョ(ピアノ) |
チマローザ(1749-1801)のピアノ・ソナタの第2集です。第1集(8.570718)でも、その多彩な音楽の片鱗に触れることができましたが、ここでも興味深い曲が並びます。彼は活動の早い時期からソナタを書き始めましたが、これらが教育目的だったのか、それとも「手なぐさみ」だったのかはわかっていません。しかし、速い楽章での目もくらむような音使いからは、彼が国内の演奏会などで自らの技巧を誇示するために書かれたものではないか?と推測することもできそうです。緩徐楽章はやや保守的ではあるものの、その表現力の巧みさには驚くばかりです。第1集と同じく、サンジョルジョの丁寧な演奏が光ります。 |
8.572694 |
ブラームス:合唱と管弦楽のための作品集
1.アヴェ・マリアOp.12/2.埋葬の歌Op.13/
3.アルト・ラプソディOp.53/
4.運命の歌Op.54/5.悲歌Op.82/6.運命の女神の歌Op.89 |
エヴァ・ヴォラク(アルト)…3/
ワルシャワ・フィルハーモニー合唱団/
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団/
アントニ・ヴィト(指揮) |
ブラームス(1833-1897)の合唱作品と言えば、まず最初に頭に浮かぶのが「ドイツ・レクイエム」ですが、彼は他にも素晴らしい合唱曲をいくつも書いています。彼が最初に合唱曲を書いたのは1957年の時。ここに収録されたアヴェ・マリアになります。その後、1863年にウィーンのジンクアカデミーから指揮者としての招聘を受け、聴衆受けのするバッハのカンタータや自らの「ドイツ・レクイエム」を初演しつつ、合唱の素材をものにし、素晴らしい作品を創り上げていくことになります。その後に書かれた「アルト・ラプソディ」(ゲーテの『冬のハルツ紀行』の断章)や、「運命の歌」での荘厳さはブラームスでなければ書けない深い世界が広がります。また画家フォイエルバハの追悼のために書かれた「悲歌」は悲しみに満ちた内容でありながらも、優しさと希望の光にも満ちた美しい音楽です。絶望しかけた時に、こんな曲が聞こえてきたら・・・。 |
8.559698 |
モラヴェック:有用な知識
1-5.人生は短し(ソプラノとピアノ三重奏編)(2009)/
6-12.特性(1996)
<騒々しい/穏やかな/子鬼のような/快活な/優雅な/ひょうきんな/瞑想的>/
13.有用な知識-フランクリン・ファンタジー(2006)
※全て世界初録音 |
エイミー・バートン(ソプラノ)…1-5/
トリオ・ソリスティ…1-5/
サイモン・マリガン(ピアノ)…6-12/
ランドール・スカルターラ(バリトン)…13/
ラ・フェニーチェ…13/
セシリア・ブラウアー(グラス・ハーモニカ)…13 |
このアルバムのジャケットに使われている肖像画は、作曲家モラベック(1957-)のものではありません。学者でもあり、政治家としても知られるベンジャミン・フランクリンその人を描いたもので、タイトルの「有用な知識」も、フランクリンの言葉からの引用です。作曲者モラヴェックによると、このアルバムに収録されているのは「音楽の肖像」ともいうべき作品であり、歌曲集「人生は短し」はジェームズ・エッジの詩による“ゆがんだ子守歌”に始まる、一人の人間の誕生から死までを描いたもの。「特性」はピアノ独奏による、モラヴェックの友人たちの肖像画、そして表題作「有用な知識」は前述の通り、フランクリンのテキストを短縮、拡大して用いた音楽的賛辞です。ピューリッツァー賞を受賞するほどの頭の良い人が考えることは、やはり突き抜けています。 |
8.572449 |
ナイトハルト:宮廷歌人と彼の「涙のベール」
1.カンティレーナ「おんどり」/2.私は全ての尺度を越えて悲しむ/3.夏と冬/
4.クラウスラ/5.歌え、黄金のめんどりよ-ダンス「僧侶」/
6.来たれ、甘い夏の天候よ/7.優雅な女性はこの名誉に値する/
8.私は夫など望んでいない/9.私は花を悼む/10.ヘダメルスコール/
11.すべてのすべての夏の長いこと/12.神よ、高く賛美します/13.死ぬ、死ぬ |
アンサンブル・レオーネス
<メンバー:
マルク・レヴォン(指揮、ヴォーカル、リュート、ギター、ヴィエール)/
エルス・ヤンセンス=ファンミュンスター(ヴォーカル)/
バティスト・ロマン(ヴィエール、バグパイプ、ヴォーカル)> |
中世後期。ミンネゼンガーとはドイツの宮廷歌人で、徳の高い貴婦人をあがめ、その人のために愛の歌を歌うという役を担っていました。そんな時代、ナイトハルト(1185?-1240?)は最も人気のある宮廷歌人のひとりとして知られています。とはいえ、詩人でありミュージシャン、所謂「シンガーソングライター」であった彼の歌は素朴で、ある時は暴力的であり、また時にはエロティックであり、宮廷文化を伝えつつも、また一味違った「市井の音楽」として人気を博したのです。憂鬱さを歌うかと思えば、必要に応じて舞曲を演奏、また季節の風物詩を取り入れた歌の数々は、当時の生活を彷彿させる興味深いものです。このアルバムに収録されている作品は「フランクフルト・フラグメント」と呼ばれる資料から修復したもので、少なくとも5人の作曲家の名前が認められますが、大部分はナイトハルトのものであろうと推測されています。1000年近くの長い年月を経て蘇る中世の響きは聴き手を不思議な気分にさせてくれること間違いありません。 |
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フィリップス:カンツィオネス・サクレ
1.蘇りたまいしキリストは/2.主は教義と英知とを/3.使徒は口々に/
4.主よ、思い出したもうことなかれ/5.天使ガブリエル/6.シオンへの道は嘆く/
7.めでたし、イエス・キリストよ/8.天にましますわれらの父よ/
9.賛美されたアニェス/10.使徒らはステファノを/11.われら生のただ中にありて/
12.幸いなるかな天の女王/13.恵みあふれる聖マリア/14.ああ、何と甘美な/
15.聖母マリアの生涯/16.喜べ、処女マリアよ/17.喜べ、処女マリアよ/
18.歓喜とともに祝おう/19.幸いなるかな女王/20.ああ、だから |
サルム・コンソート/
アンドリュー・マッケイ(指揮) |
ピーター・フィリップス(1560/61-1628)。良くある名前ではありますが、ルネサンス後期のイギリスでウィリアム・バードと共に最も有名な作曲家として名を馳せていた人です。最初はロンドンのセントポール寺院で少年聖歌隊のメンバーとして活躍、1582年に宗教上の理由でイギリスを離れローマへ行き、オルガニストに任命されます。この時期にイタリア風のポリフォニーを徹底的に学んだようです。その後はヴァージナル教師をしながらヨーロッパを巡り、1590年にアントワープに定住。残りの人生はアルベール大公の火度を受けながら1628年に亡くなるまでその地で過ごしました。彼の音楽は当時としてはとても複雑であり、見事な対位法に彩られたドラマティックなものです。彼の鍵盤音楽(8.557864)も、魅力的で、この当時の上流社会の生活の一端を見るような典雅さを味わうことができるでしょう。 |