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第61号
マイナー・レーベル新録音新譜(5)


2/24までの紹介分


BAYER



BR 100376
\2300→\2090
文屋充徳/無伴奏コントラバス・リサイタル
 『ユーリイ・レヴィチン:ソナタOp.58』
 『ギーゼルヘル・クレーベ:6つの小品Op.68』
 『ハンス・フリーバ:「古風な組曲」「アラベスク」』
 『ミロスラフ・ガイドス:カプリッチョ第2番』
 『ジエスン・リム:メモリー Op.89』
文屋充徳(Cb)
 超絶技巧による現代無伴奏コントラバス作品集
 ドイツで活躍するコントラバス奏者、文屋充徳。東京藝術大学、ドイツ・ヴュルツブルグ音楽大学卒業後、ミュンヘン国際コンクール最高位ローマ・ヴァレンティノ・ブッキコンクール第1位。ザール放送交響楽団元首席、現在ドイツ国立ヴュルツブルグ音楽大学教授を務めています。もちろんコントラバスの無伴奏作品のレパートリーは限られていますが、ここに収録された現代作品を超絶技巧と緊張感によって楽器の限界に挑んでいます。
録音:2011年

DELOS


DE 3410
\2300
マーガレット・ルスヴェン・ラング:歌曲集第2集 
 〜 New Love Must Rise
ドナルド・ジョージ(T)
ルーシー・マウロ(P)
 メジャー・オケに作品を演奏された、アメリカ女性初の作曲家のロマンあふれる歌曲集第2集。
 マーガレット・ルスヴェン・ラング[1867-1972]は、メジャー・オーケストラ(ニキシュ指揮のボストン響)に作品を演奏されたアメリカ女性初の作曲家です。ミュンヘンで学び、リスト、ワーグナー、ドヴォルザーク、パデレフスキといった後期ロマン派の系譜に連なる彼女の美しい歌曲の数々は、歴史的にも重要。高い評価を得ている実力派テノール、ドナルド・ジョージの巧みな歌唱でお届けします。

DE 3417
\2300
《ダ・カーポ・ブラス》
 『ロルフ・ウィルヘルム:金管五重奏曲』
 『バッハ:小フーガ ト短調(ロナルド・ロム編)』
 『デイヴィッド・ボールドウィン:オールの朝食のための音楽』
 『インゴ・ルイス:パラヴァン』
 『ジャスティン・D・ライト:プロータゴリスト』
 『R・ケヴィン・ポール:アパラチア聖歌』
 『ジェームズ・カーナウ:金管五重奏、オルガンと打楽器のための歓喜』
ダ・カーポ・ブラス 
[Luke Boudreault (Tp);
Steve Sutton (tp);
Mary Pritchett Boudreault (Hr);
Paul Pietrowski (Tb);
Brent Harvey (Tuba)]
 見事なテクニックによるパフォーマンス・ブラス軍団。ノースカロライナ州に拠点を置くダ・カーポ・ブラスは、クラシックからジャズ、ルネッサンスから現代音楽、ゴスペルなどジャンルを飛び越え、聴衆との垣根を無くすために教会、美術館、クラブ、学校などアクティブな活動を行っており、各方面から高い評価を得ています。

DELOS


DE 3413
\2300
サーシャ・ロジェストヴェンスキー
 《チャイコフスキー:ヴァイオリンとピアノのための作品集》

 『ゆううつなセレナードOp.26』『ワルツ・スケルツォOp.34』
 『なつかしい土地の思い出Op.42』『ユモレスク ト長調Op.10-2』
 『アンダンテOp.30-3』『おお、あの歌を歌ってOp.16-4』
サーシャ・ロジェストヴェンスキー(Vn),
ジョシアン・マーフルト(P)
 無表情さの中に浮かび上がるチャイコフスキーの新解釈
 サーシャ・ロジェストヴェンスキーはロシアの中でも一流の若きヴァイオリニストの一人で、「才能に溢れ、洗練されたヴァイオリニスト」「彼は偉大な音楽家達と同じレベルにある。彼の音楽とヴァイオリンへの情熱はすさまじく、それでいて繊細で知的だ。」と、メニューインやギトリスも絶賛しています。彼は、モスクワ音楽学校に学び、その後パリ音楽院、英国王立音楽大学でフェリックス・アンドレフスキー等に師事。彼の使うヴァイオリンはガルネリ・デル・ジェスやストラディバリ協会から貸し出されているストラディバリで、またストラディバリウス協会の大使にも就任しています。ここに収録されたチャイコフスキーの作品は、決して技巧的ではありませんが、これらの曲のもとになったと言われているロシアの寓話や神話を音楽に投影したものです。感情的というよりは、一見無表情にも見える中で、内に秘めたメランコリーを克明に奏でた新解釈をお聴きください。
 録音:2011年[デジタル:セッション]


旧譜
ロジェストヴェンスキー親子共演!
Glazunov & Shostakovich: Violin Concertos
NIBMBUS
NI 6123
(CD-R)
\2400→¥2190
グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調Op.82
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調Op.77
サーシャ・ロジェストヴェンスキー(ヴァイオリン)
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮)
ロシア国立シンフォニー・カペラ
サーシャとゲンナジー。ロジェストヴェンスキー親子がグラズノフとプロコフィエフで共演!
しかもオーケストラはロジェヴェン父がかつて音楽監督を務めたロシア国立シンフォニー・カペラ(旧ソヴィエト国立文化省交響楽団)。
ジャケットのインパクトも特大で、エンジニアはメロディア・ファン懐かしのイーゴル・ヴェプリンツェフ。
2007年12月20日−21日、モスクワ音楽院大ホール(モスクワ)での録音。

ECM


476 4546
\2400
《シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための作品集》
 『ヴァイオリンとピアノのための幻想曲ハ長調D.934,Op.159』
 『華麗なるロンド ロ短調D.895,Op.70』
 『ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲(ソナタ)イ長調D.574,Op.162』
カロリン・ヴィトマン(Vn)
アレクサンダー・ロンクィッヒ(P)
録音:2010年11月2〜4日、ノイマルクト [デジタル:セッション]
 シューベルトは、「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ」を3曲書いていますが、それらとは比較にならない独創的な作品が収録されています。ソナタ形式における展開部の書法等構成的だけでなく、両楽器のバランス、自在な和声、美しい旋律、名技性も要求されます。ヴィトマンは「シューベルには、ためらいの中に痛みと同じ強烈さで表現された美しさがあります。オーストリアの田舎、そして天に手を伸ばすような幸福感。それらが超越して曲に込められているのです」と語っているとおり、音色の変化によって色彩感豊かな自然なシューベルト像を描き出しています。

476 4585
\2400
ヴァーリョン/ベルク、ヤナーチェク&リスト
 ベルク:『ピアノ・ソナタOp.1』
 ヤナーチェク:『4つの小品「霧の中で」』
 リスト:『ピアノ・ソナタ ロ短調』
デーネシュ・ヴァーリョン(P)
 リストの作品がもつ斬新なアイデアの拡張子が繋ぐ3作品
録音:2011年4月27〜28日、ルガーノ・スイス・イタリア語放送 [デジタル:セッション]
 ベルクの作品は、シェーンベルク下で修業時代の末期を飾るにふさわしく、2つの主題がテンポの違いによって対照化され、からみあってクライマックスをなしており、濃厚な後期ロマン派的表情を醸し出しています。ヤナーチェクの作品は、60歳を目の前にプラハの音楽界に認められず、ブルノで不安にさいなまれていた時代のもので、全曲を通して表題のように暗い色調で、当時の作曲者の精神状態を反映したものといわれています。ハンガリーのピアニスト、デーネシュ・ヴァーリョンは「私はリストの音楽からのエコーをベルクとヤナーチェクの作品の中に感じますが、リストの作品が持つ斬新さを、さらに後の作曲家たちの作品にも見出すことができます」と語っているように、ベルクとヤナーチェクとカプリングする事によって、リスト作品の中に潜む斬新性を抉り出しています。

476 4662
\2400→¥2190
ギドン・クレーメル&クレメラータ・バルティカ〜『オルフェの竪琴』
グバイドゥーリナ:作品集
 ①『オルフェの竪琴』(クレーメルのために)
 ②『アッシジの聖フランチェスコによる太陽の賛歌』(ロストロポーヴィチのために)
①ギドン・クレーメル(Vn),
マルタ・サドラバ(Vc),
クレメラータ・バルティカ
② ニコラス・アルステッド(Vc),
アンドレイ・プシュカレフ(Perc),
マリス・シルマイス(指揮)
カメール合唱団
録音:①2006年7月16日, ②2010年7月10日、ロッケンハウス音楽祭(デジタル:ライヴ)"
 「オルフェの竪琴」は2006年にクレーメルのために作曲され、クレーメルによって初演された作品です。「緻密な内部塑性」から始まる魂の音楽を感じさせる手法で作曲されており、豊饒な音と沈黙、そして演奏家自身にも独自の創造性が要求される作品です。
 「太陽の賛歌」は、ロストロポーヴィチのために作曲された作品で、ここに収録された演奏は「華麗なテクニックと美しい音の表現。見事に個性が発揮された最高の演奏」と、グバイドゥーリナ自身が絶賛したものです。チェロのニコラス・アルステッドは、2012年からクレーメルよりロッケンハウス音楽祭の音楽監督に就任します。

476 4166
\2400→¥2190
ペレーニの最新録音!
 無伴奏チェロ作品集
 ブリテン:『無伴奏チェロ組曲第3番Op.87』
 J・S・バッハ:『無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調BWV.1012』
 リゲティ:『無伴奏チェロ・ソナタ』
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)
 多くの音楽ファンが敬愛するチェリスト、ペレーニの最新録音!
録音:2009年8月6〜8日、ルガーノ・スイス・イタリア語放送 [デジタル:セッション]
 ペレーニの最新録音がECMから登場します。
 卓越した音色とボウイングによって、これらの曲の進化を表現していきます。まず最初に、ロストロポーヴィチに献呈された「ブリテン:無伴奏チェロ組曲第3番」を雄弁な語り口で厳粛に歌いあげます。もともと5弦チェロ用の「バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番」は、通常の4弦チェロでは高い技巧を要しますが、それを全く感じさせない自然体の演奏。単純な性格でない「リゲティ:無伴奏チェロ・ソナタ」ではペレーニの長年にわたるチェロ演奏の積み重ねが、滋味豊かな年輪を刻み、聴き手の心に深く突き刺さります。


旧譜
ペレーニ、2つの金字塔的アルバム

472 4012
(2CD)
¥4400→¥2990
お安くしてみました
ペレーニ、2004年リリースの金字塔的録音
ベートーヴェン:ピアノとチェロのための作品全集
 チェロ・ソナタ 第1番 ヘ長調 作品5-1
 チェロ・ソナタ 第2番 ト短調 作品5-2
 チェロ・ソナタ 第3番 イ長調 作品69
 チェロ・ソナタ 第4番 ハ長調 作品102-1
 チェロ・ソナタ 第5番 ニ長調 作品102-2
 チェロ・ソナタ ヘ長調 作品17(原曲:ホルン・ソナタ)
 「ユダス・マカベウス」の主題による変奏曲 ト長調 WoO.45
 「魔笛」の主題による12の変奏曲 ヘ長調 作品66
 「魔笛」の主題による7つの変奏曲 変ホ長調 WoO.46
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)
アンドラーシュ・シフ(P)
ハンガリー出身の二人の名手のコンビによるベートーヴェンのチェロとピアノのための作品全集!ペレーニは1948年生まれのチェロ奏者。わずか15歳の時にブダペストで開催されたパブロ・カザルス国際コンクールに入賞して、当時80歳だった巨匠カザルスの目にとまり国際的な音楽家としてのキャリアをスタートさせた。ベートーヴェンの「全集」は1979年にフンガロトン・レーベル(ハンガリー)にデジュー・ラーンキとのコンビで録音して以来23年ぶりの再録音で同郷の名ピアニストシフとともに円熟した演奏を聴かせている。

HDVD 32421
¥5500→¥4900
映像DVD
そして1996年の伝説的映像〜バッハ:無伴奏チェロ組曲
J.S.バッハ:
 無伴奏チェロ組曲BWV. 1007-1012(全曲)
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)
ファンには伝説と化した一回目の全集録音(81年)からおよそ20年。一作ごとに大きな話題を提供しているペレーニの新作は、なんと「バッハの無伴奏」!しかもDVDでの登場。
バッハの無伴奏は、チェリストなら幾度となく挑まずにはいられない決して辿り着けない永遠の高み。そのためか旧作のCD化はペレーニ自身が決して首を縦に振らなかったため、一番大事な曲目がディスコグラフィから空白という状態が続いていた。そのような中で、1996年にペレーニが無伴奏全曲をTV放送用に収録した映像があるという知らせがHUNGAROTONから届いたのが5年前。以来、弊社とHUNGAROTONとがともに、粘り強い交渉の末にペレーニを口説き落としてようやくリリースが実現。さて、演奏内容について。他ならぬペレーニがリリースに同意したということだけで、もはや何の説明も要らないだろう。あとはご自身の目と耳で心ゆくまで味わっていただくほかない。
収録:1996年ハンガリー放送NTSC ステレオ

MD+G



940 17376
(SACD Hybrid)
\3000→\2390
ツァハリアス/モーツァルト:ピアノ協奏曲集Vol.8
モーツァルト:
 『ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491』
 『ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503』
クリスティアン・ツァハリアス(P&指揮)
ローザンヌ室内管弦楽団
 美音による詩的情景を紡ぎだすツァハリアスのモーツァルト
 着々と進行しているツァハリアス&ローザンヌ室内管の、モーツァルトのピアノ協奏曲全集Vol.8。交響的に充実した書法と劇的なパトス表現によって、ベートーヴェンに接近したと評される「24番」。雄大なスケールと「絶望的な情熱のあとでの必然的な自己確認、勝ち取られた勝利」とアインシュタインが示した傑作の「25番」を収録。モーツァルト演奏に対する技術的適正を考え抜き、音色やアーティキュレーションだけでなく技巧的装飾音を試みています。爽やかで生き生きとした演奏というだけでなく、美音による詩的情景を描いていきます。
録音:2011年4月(K.491), 1999年5月(K.503),ローザンヌ、メトロポール(デジタル:セッション) 〔ハイブリッドSACD仕様(SACD:Stereo, SACD:5.1ch, CD:Stereo)


609 17332
(3CD)
\4600→\4190
グルック:歌劇「クレリアの勝利」(全曲) エレーヌ・ル・コール(Sp:クレリア),
マリー=エレン・ネシ(Ms:オラツィオ),
イリーニ・カライアンニ(Ms:タルクィニオ),
ブルク・ウヤール(Sp:ラリッサ),
ヴァッシリス・カヴァヤス(T:ポルセンナ),
フロリン・セサル・オウアトゥ(C-T:マンニオ),
ジュゼッペ・ゾギスモンド・デ・リジオ(指揮)
アルモニア・アテネア(ピリオド楽器使用)
 ボローニャ初演250年記念 世界初録音 
 このグルックのオペラは1763年に作曲され、現ボローニャ市立劇場でグルック自身の指揮でこけら落としを飾った作品です。このオペラの台本を書いたのはオペラ・セリアでは最も著名なイタリアの作家ピエトロ・メタスタージオ。彼の作品は特に熟練したソプラノとカストラートのために書かれており、心理的な面を重視したオペラが流行する直前のものだったようです。グルックもこのオペラ以降ヴィルトゥーゾ的な歌唱から大きく変革を遂げていきます。ボローニャで電子音楽を学びイタリア・オペラも得意とするジュゼッペ・ゾギスモンド・デ・リジオは、ピリオド楽器アンサンブルを起用しつつ、感情的・叙情的・ロマンチックさを見事に表現しています。
 録音:2011年7月13〜19日, メガロン・アテネ・コンサートホール (ディミトリ・ミトロプーロス・ホール)(デジタル:セッション)

603 17362
\2300
ユトレヒト四重奏団/グラズノフ:弦楽四重奏曲集Vol.5
グラズノフ:
 『弦楽四重奏曲第1番ニ長調Op.1』
 『弦楽四重奏曲第7番ハ長調Op.107「過ぎ去りし日々へのオマージュ」』
ユトレヒト弦楽四重奏団
[Eeva Koskinen(Vn),
Katherine Routley(Vn).
Jo?l Waterman(Va),
Sebastian Koloski(Vc)]
 グラズノフ、最初と最後の弦楽四重奏曲を収録。これでシリーズ完結。
 ハイドンからアバンギャルドまで幅広いレパートリーを誇るオランダの実力派、ユトレヒト弦楽四重奏団が着々と進行しているグラズノフ全集の第5弾。弦楽四重奏曲と題された作品の最初と最後の作品が収録されています。「第1番」は、グラズノフがまだ16〜17歳の時に作曲された作品です。粗野的なロシアの民族性と美しいメロディーによる悲歌が印象的。「第7番」は、パリで書かれた晩年65歳の作品。数少ないタイトルが付いている作品で、後のショスタコーヴィチなどの作曲手法を拒絶し、最終楽章では昔を思い出させるような壮大なドラマが閉じられていきます。
 録音:2011年6月27〜29日(デジタル:セッション)


613 16402
\2300→\2090
音楽史から消えた男
 独自に12音技法を発展させていたハウアーの作品集
  ヨーゼフ・マティアス・ハウアー:『エチュード (Study) Op.22』
シュテッフェン・シュライエルマッヒャー(P)
 ヨーゼフ・マティアス・ハウアーは、20世紀前半に活躍したオーストリア出身の作曲家、音楽理論家です。彼は、十二音技法と呼ばれる新しい作曲技法を発展させるきっかけを作った人物として有名です。独学で音楽を学び、音楽教師をしながら作曲を続けていました。シェーンベルクとは異なった独自の12音技法を開拓したのです。それは、トローベと呼ばれる44通りの12の音の配列組み合わせによっています。その理論の成立は、古代中国思想の影響によるものだったようです。ジョン・ケージ全集などジャズから現代音楽を専門としているシュライエルマッヒャーは、すでにハウアーの作品を手がけています。計算された独特の12音技法を、彼は見事な強弱和音を使い分けて、鮮烈な音を響かせていきます。
録音:2010年3月26日、マリエンミュンスター修道院(デジタル:セッション)

308 3782
\2300
フリーダー・トリオ/ボッケリーニ:弦楽三重奏曲集
 弦楽三重奏曲集Op.14(全6曲)
  『ヘ長調Op.14-1,G.95』『ハ短調Op.14-2,G.96』
  『イ長調Op.14-3,G.97』『ニ長調Op.14-4,G.98』
  『変ホ長調Op.14-5,G.99』『ヘ長調Op.14-6,G.100』
フリーダー・トリオ
[Klara Flieder(Vn),
Johannes Flieder(Va),
Raphael Flieder(Vc)]
《再発売⇒1991年発売で既に廃盤になっていた商品の復活です》
 多くの交響曲、協奏曲。弦楽四重奏や、チェロを巧みに用いた弦楽五重奏など多くの室内楽を作曲し、古典派の中でもひときわ優れた存在のボッケリーニ。その中でもヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの編成による弦楽三重奏曲は意外と少なく、Op.14とOp.47のそれぞれ6曲しかありません。また録音もわずかしか無いようです。喜多尾道冬氏は「全体にあだっぽい女を愛撫するような官能的な歓喜に満ち、魅惑的な脂粉の匂いさえ漂ってくるほどだ」と、この作品について述べています。ウィーン生まれ、ウィーン育ちの兄弟たちによって、朝露のようなつややかさは新鮮そのものです。
録音:1990年4月(デジタル:セッション)

MD+G


910 17276
(SACD Hybrid)
\3000→¥2590
エキサイティングな、クラシカル・フラメンコ組曲
 《クラシカ・エスパノーラ》
 グラナドス:
  『スペイン舞曲第5番ホ短調「アンダルーサ(祈り)」Op.37-5)』
  『スペイン舞曲第2番ハ短調「オリエンタル」Op.37-2』
  『スペイン舞曲第4番ト長調「ビリャネスカ」Op.37-4』/
 アルベニス:
  『マラゲーニャ ホ短調Op.165-3』『スペイン組曲〜セビーリャOp.47-3』
  『入江のざわめき-マラゲーニャOp.71-6』『組曲「スペイン」〜タンゴ ニ長調Op.165-2』/
 オマール・アコスタ:
  『ジャスミン(タンゴ)』『セビーリャのクリオージョ舞曲』
  『幸せのために』『アネッテのブレリア』/
 ファリャ:『「はかなき人生」〜スペイン舞曲第1番』『火祭りの踊り』/
 フランソワ・ラバト:『スペインのオード(頌賦)』/
 ファン・ラマ:『ラ・リサ』/チック・コリア:『スペイン』
アネッテ・マイブルク(Fl),
アンドレアス・フォン・ヴァンゲンハイム(G),
ブウォジミエシュ・グラ(Cb),
アルベルト・アラルコン(カスタネット),
ファン・ラマ(フラメンコ・ギター),
ルイス・ジョレンテ(カホン, ティヤナ, パルマス),
ヘスス・ゴンザレス・ブリト(バンドーラ)
 民族音楽とクラシック音楽の融合を図ったシリーズ。今回はスペインを題材としています。斬新なバッハの無伴奏チェロのギター版で話題をさらったヴァンゲンハイムのギターを中心に、伝統楽器を組み合わせたフラメンコの組曲としてアルバムを構成しています。クラシック奏者と民族楽器奏者演奏の融合により、エキサイティングな化学反応が生まれています。
[デジタル:セッション] ハイブリッッドSACD仕様 録音:2011年9月23〜25日、マリエンミュンスター修道院 

618 17292
\2300→¥2090
貴重!
 《マスネ:ソロ・ピアノのための作品全集》
 『マイアベーアの「プロエルメルのパルドン祭」による大幻想曲』『10の風俗的小品Op.10』
 『アルルカンの物語』『7つの即興曲』『トッカータ』『2つの即興曲』『楽興の時』
 『聖母の御前で(ローマの田園の思い出)』『狂ったワルツ』
 『非常にゆっくりしたワルツ』『ゆりかごを揺するための調べ』『2つの小品』
シュテファン・イルマー(P)
 演奏される機会が稀なマスネのピアノ作品集
録音:2011年6月21〜23日、マリエンミュンスター修道院 [デジタル:セッション]
 「タイスの冥想曲」で有名なフランスのオペラ作曲家、マスネの珍しいピアノ作品集です。彼のメロディストとしての資質以上に、ピアノのヴィルトゥオーゾ的な側面をうかがい知る上でも興味深い作品の録音です。クレメンティやロッシーニのピアノ作品全集を仕上げてきたシュテファン・イルマーの繊細なタッチと滑らかなフレージングの磨きぬかれたテクニックを余すところなく披露され、洗練されたピアニズムによって見事に表現されています。

338 7482
(2CD)
【再発売】
\3000
アントニオ・カシミール・カルテッリエリ:
  『オラトリオ「ユダヤの王ジョアス」(全曲)』
カタリーナ・カンマーローアー(Ms: ジョアス),
トーマス・クヴァストホフ(Br:ジョイアーダ),
ゲザ・ホッペ(Sp:ゼビア),
インゲボルク・ヘルツォーク(Sp:アタリア),
ヒューゴー・マレット(T:イシマエル), 他
ゲアノート・シュマルフス(指揮) 
デトモルト室内管弦楽団,
ギュータースロー・バッハ合唱団
ベートーヴェンの友人、カルテッリエリの貴重なオラトリオ
 カルテッリエリ(1772-1807)はグダニスクに生まれ、サリエリやアルブレヒツベルガーに作曲を学びました。彼の友人でもあったベートーヴェンよりも当時有名だった彼のオラトリオ「ユダヤの王ジョアス」は、イタリアの情熱を取り入れた画期的な作品。復讐アリア、狂気のシーン、熱心な祈りなどが取り入れられ、絶賛を浴びました。この曲の初演日には、ベートーヴェンもヴィオラ奏者として参加しています。彼の重要なこの作品を、現在デトモルト音楽大学の教授のゲアノート・シュマルフスがイタリアの図書館にて自ら発見し、校訂し演奏録音したのが当盤。しばらく生産中止となっていましたが、生誕240年を記念して再発売となりました。
録音:1996年12月5〜10日、デトモルト音楽大学 [デジタル:セッション]

308 3002
【再発売】
\2300
《ジャン・フランセ:室内楽作品集》
 『八重奏曲(1972)』
 『クラリネット五重奏曲(1977)』
 『ディヴェルティシメント(1968)』
シャリス・アンサンブル
録音:1987年12月5〜10日、ノルトキルヒェン宮殿オラニエンブルク・ザール [デジタル:セッション]
 ル・マンの音楽一家に生まれ、早くから楽才を示したフランセ。パリ音楽院に学び1933年に「ピアノ小協奏曲」が成功して以来、平明さの中に才気のほとばしりを感じさせるディヴェルティメント風の軽妙でユーモアのある作品を次々に発表してきました。新プラットフォームによって洗練された「クラリネット五重奏曲」。純粋な楽しさを求めた「ディヴェルティシメント」。シューベルトとのそれと同編成を使用し、技巧的なフレーズ満載の「八重奏曲」のフランセの常態である洒脱な感覚の音楽によって、彼ならではの世界を堪能させてくれます。

613 17312
(18CD)
\6000→¥5490
《ジョン・ケージ:ピアノ作品全集》
 ジョン・ケージの唯一のピアノ作品全集の待望のBOX化!完全限定盤!
【Disc1〜3】[プリペアド・ピアノのための作品集1940-1952]
 『バッカナール』『トーテム・アンセスター』『かくて大地は再び実を結ばん』
 『プリミティヴ』『ホロコーストの名のもとに』『我々の春が来るだろう』
 『部屋』『トスト・アズ・イット・イズ・アントラブルド』『危険な夜』『ピンボケの源』
 『…の思い出せない記憶』『野生の大地』『3倍の歩調で』
 『季節外れのヴァレンタイン』『瞑想への前奏曲』『不思議な冒険』
 『孤島の娘たち』『マルセル・デュシャンのための音楽』
 『2つのパストラール』『ソナタとインターリュード』、
【Disc4〜5】
 『ピアノのための音楽第1〜85番』『2台のピアノのための電子音楽』
 『5台のピアノのための音楽』『4台のピアノのための音楽』
 『3台のピアノのための音楽』『2台のピアノのための音楽』
【Disc6】
 『易の音楽I〜IV』
【Disc7〜8】[小品集1950-1960]
 『冬の音楽(ウィンター・ミュージック)』『水の音楽』『M.C.とD.T.のために』
 『ポール・テイラーとアニタ・デンクスのために』『TVケルン』『待機』『7つの俳句』
 『俳句』『ミュージック・ウォーク』『Solo for Piano』『34'46.776』
【Disc9〜10】[2台のピアノのための]
 『音楽の本』『経験第1番』『____のための音楽』『Two2』『3つのダンス』
【Disc11〜12】[小品集1960-1992]
 『One2』『One』『エチュード・ボレアリス』『ザ・ビートルズ 1962?1970』『ASLSP』『One5』
【Disc13】[小品集1933-1950]
 『独白』『オフェーリア』『四季』『ピアノのための2つの小品』『ジャズ練習曲』
 『メタモルフォシス(変容)』『クエスト』『3つのやさしい小品』『部屋』
 『クレーテ』『父親』『2つの小品』『アドリブ』『3倍の歩調で』
【Disc14】
 『永遠のタンゴ』『ある風景の中で』『トイピアノのための組曲(ピアノ版)』
 『チープ・イミテーション』『夢』『スポーツ:スウィングすること』
【Disc15〜17】
 『エチュード・オストラル』
【Disc18】
 『幕の踊り(始まりのダンス)』『家具の音楽 エトセトラ』
 『トイピアノのための組曲(トイ・ピアノ版)』『カルダーの作品』『Four3』
シュテッフェン・シュライエルマッヒャー(P)
録音:1996〜2001年、Furstliche Reitbahn Arolsen [デジタル:セッション]
 シュテッフェン・シュライアーマッヒャーは、1960年ハレに生まれたピアニストで、ジョン・ケージをはじめ現代音楽のスペシャリストとして近年注目を集めています。またアンサンブル・アヴァンギャルドを創設し、あまり演奏されることのなかった現代音楽も積極的に取り上げています。また作曲の分野にも非常に意欲的で、新作を次々に発表し続けています。
 1996〜2001年の間に録音したこのジョン・ケージの「ピアノのための作品全集」は現在においても最も重要な全集であり、貴重な音源でもあります。その待望の全集ボックス化でお届けします。完全初回のみの限定プレスとなります。どうぞお早めに。


RBM



RBM 463038
\2400→\2190
ヴァイオリンの透明で濁りのない音色とハープの美しい響きの融合
 マリアンネ・ベッチャー& ドメニカ・レーツ/
  ヴァイオリンとハープのための作品集
  『ヴィヴァルディ:ソナタ ロ短調Op.2-5』
  『サン=サーンス:幻想曲イ長調Op.124』
  『マスネ:タイスの瞑想曲』
  『シューベルト:バガテル Op.13-9』
  『バルバラ・ヘラー:花束』
  『マリア・テレジア・フォン・パラディス:シシリエンヌ』
  『ロッシーニ:アンダンテと変奏』
  『作者不詳:グリーンスリーヴズ』
  『フォーレ:子守歌Op.16』
  『シュポア:ヴァイオリンとハープのためのソナタ ハ短調WoO.23』
マリアンネ・ベッチャー(Vn) 
ドメニカ・レーツ(Hp)
 サロン・コンサートなどでは多いこの組み合わせは、録音では多いとは言えません。シュポアが作曲した多くのヴァイオリンとハープのための作品と様々な編曲作品を、カラヤン&ベルリン・フィル時代のコンサートマスター、ミシェル・シュヴァルベに師事し、現ベルリン芸術大学教授であるマリアンネ・ベッチャーによる透明で濁りのない音色でお届けします。ハープの美しい響きもご堪能いただけるアルバムです。
録音:2011年

BR KLASSIK


900115
\2300
アレクセイ・ゴルラッチ, ベートーヴェンを弾く!
 1-3.ベートーヴェン(1770-1827):ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.37/
 4-7.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調 Op.2-1
アレクセイ・ゴルラッチ(ピアノ)/
〈Track.1-3〉
バイエルン放送交響楽団/
セバスチャン・テヴィンケル(指揮)
1988年ウクライナに生まれ、19歳の若さでカーネギー・ホールで演奏するなど、すでに高い評価を得ているピアニスト、ゴルラッチをご存知ですか?最近の逸材の例に漏れず、彼も数多くのコンクールで上位入賞しており、それは2002年のスタインウェイ・コンクールの優勝を皮切りに、主だったところだけでも同年のロベルト・シューマン青少年コンクール(ツヴィカウ…第1位)、2003年のホロヴィッツ国際コンクール(キエフ…第4位)、2006年の浜松国際ピアノコンクール(日本…第1位)など華々しい経歴を誇っています。2011年は最難関コンクールの一つであるミュンヘン国際コンクールで優勝したことで、これを契機に更なる飛躍を遂げることでしょう。2009年には来日し、日本のファンも数多い彼。この確固たるベートーヴェンはそんな彼の魅力のほんの一部を伝えるものですが、協奏曲の冒頭を聴いただけでも、彼の底知れない才能に震撼させられずにはおれません!録音 〈Track.1-3〉2011年9月11日ARDコンクール・ライブ/〈Track.4-7〉2011年10月12日バイエルン・ムジークスタジオ
900503
\2300
R.シュトラウス・ワーグナー・マーラー:無伴奏合唱作品集
 1.R.シュトラウス(1864-1949):2つの歌Op.34-1 「夕べ」/
 2.マーラー(1860-1911):「さすらう若人の歌」より
  「2つの青い目が」(C.ゴットヴァルト編)/
 3.マーラー:リュッケルト歌曲より
  「私はこの世に忘れられ」(C.ゴットヴァルト編)/
 4-6.R.シュトラウス:リュッケルトの詩による3つの無伴奏男声合唱曲
  <戸口で/夢の中の光/五月の喜び>/
 7-9.ワーグナー(1813-1883):イゾルデのための3つの歌曲(C.ゴットヴァルト編)
  <温室にて/夢/イゾルデの愛の死>/
 10.R.シュトラウス:2つの歌Op.34-2「讃歌」
ペーター・ダイクストラ(指揮)/
バイエルン放送合唱団
マーラー、R.シュトラウス、ワーグナーという3人の「20世紀末」を象徴する作曲家の無伴奏合唱曲集です。あまり知られていませんが、R.シュトラウスはいくつかの合唱作品を書いていて、複雑なオーケストレーションをそのまま声に移した精緻なアンサンブルは、合唱愛好者垂涎の作品として知られています。マーラーの作品は、C.ゴットヴァルトによる編曲で、こちらはマーラーの音世界を16声部によるアンサンブルで描くことで、壮大な世界観を表現しています。ワーグナーの3つの曲はどれも楽劇「トリスタンとイゾルデ」に関係した作品を合唱化したものです。例えば、「ヴェーゼンドンクの5つの歌」の「夢」は「トリスタンとイゾルデのための習作」とされていたり、「温室にて」の濃厚な表現も、直接イゾルデを描いたものではないものの、一人の女性の渇望と孤独を生い茂る植物に添わせたマティルデの詩は、移ろいやすい女心を映し出す鏡のようなものであり、この狂おしいまでのエネルギーの放射は、ダイクストラとバイエルン放送合唱団の水準の高い演奏によって昇華され、聴き手の心を酔わせること間違いありません。

CD ACCORD


ACD171
\2000
2010年ショパン・コンクール最年少参加で話題になった
 ニコライ・ホジャイノフ、デビュー・アルバム
 1.ショパン(1810-1849):夜想曲 ロ長調Op.9-3
 2.ショパン:ボレロイ短調 Op.19
 3-6.ショパン:ソナタ第2番変ロ短調 Op.35
 7.リスト(1811-1886):巡礼の年第2年より「ダンテを読んで」ソナタ風幻想曲
 8.リスト:モーツァルトの「フィガロの結婚」による幻想曲
ニコライ・ホジャイノフ(ピアノ)
 4月に1回だけ東京でコンサートを開催するという天才ホジャイノフ。
 彼は2010年のショパン国際ピアノコンクールに最年少で参加。第1次予選から、一際光る演奏を披露したことで話題となり、惜しくも優勝は逃したものの、それが却って話題となったという逸材です。
 このデビューアルバムでは、ショパンと、彼の友人であったリストの作品を中心に選曲されているもので、これを聴けばホジャイノフの目指すものが少しだけ見えてくるのではないでしょうか?ショパンの3作品はコンクールでの演奏曲目であり、彼にとっても最も大切なレパートリーでもあります。ボーイッシュでスタイリッシュなルックス。ロシアのピアノ・スクールの伝統に則りながらも、独自性を見せる解釈。そして時折ユーモラスなタッチを交えた明朗な音色。彼の将来には輝かしい未来が待ち受けていること間違いなしです。

ACD170
\2000
ミカエル・カロル・シマノフスキ〜ピアノ・リサイタル
 1.パデレフスキ(1860-1941):メヌエットト長調 Op.14-1
 2.パデレフスキ:伝説変イ長調 Op.16-1
 3.パデレフスキ:マズルカ変イ長調 Op.9-3
 4.ショパン(1810-1849):夜想曲第8番変ニ長調 Op.27-2
 5.ショパン:バラード第2番ヘ長調 Op.38
 6.ショパン:マズルカ第1番嬰ヘ短調 Op.6 No.1
 7.ショパン:マズルカ第2番嬰ハ短調 Op.6 No.2
 8.ショパン:マズルカ第3番ホ長調 Op.6 No.3
 9.ショパン:マズルカ第4番変ホ短調 Op.6 No.4
 10.ショパン:マズルカ第9番ハ長調 Op.7 No.5
 11.ショパン:幻想曲ヘ短調 Op.49
 12.シマノフスキ(1882-1938):練習曲ロ短調 Op.4-3
 13-25.シマノフスキ:変奏曲変ロ短調 Op.3
ミハウ・カロル・シマノフスキ(ピアノ)
 1988年、ポーランドのビドゴシチで生まれたミカエル・カロル・シマノフスキ。彼は2010年のパデレフスキ国際ピアノコンクールで第3位を獲得し、注目を浴びました。
 彼の演奏はテクニックはもちろんのこと、その卓越した音楽性が高く評価され、またポーランド出身ということもあり、パデレフスキの解釈については文句なしであることは想像の通りです。彼はコンクールにおいては、本選でプロコフィエフ、第2次でザレンプスキなどを選択していて、レパートリー的にも確固たるものを持っているのですが、このアルバムでは、パデレフスキ、ショパン、シマノフスキという、ある意味「定番曲」で勝負をかけてきました。ショパンでのマズルカのリズムの処理や、幻想曲での噴出するパッションなど、聴くべきところの多い演奏は、確かに溜息ものであり、こちらも「これからの輝かしい未来」に大いなる期待が持てそうな逸材と言えそうです。
 録音 2011年5月15.16.19日ワルシャワ・フィルハーモニー・コンサート・ホール

CAPRICCIO



C5110
\2600→\2390
ダニエル・ベーレ
 R.シュトラウス:歌曲集
 1.セレナードOp.17-2 Trv149/2.レンツさんOp.37-5 Trv187/
 3.私はあなたを愛するOp.37-2 Trv187/4.懐かしい面影Op.48-1 Trv202/
 6-8. 4つの歌Op.27
  <第1番憩え、わが心/第2番ツェツィーリエ/
   第3番ひそやかな誘い/第4番明日の朝>/
 9-16. 8つの歌Op.10
  <第1番献呈/第2番何もなく/第3番夜/第4番ダリア/
   第5番待ちわびて/第6番もの言わぬ花/第7番サフラン/第8番万霊節>/
 17-22.はすの花びらより6つの歌Op.19
  <第1番おとめよ、それが何の役に立つというのか/
   第2番あなたの黒髪を私の前に広げてください/
   第3番美しく、しかし冷たい空の星よ/
   第4番二人の秘密をなぜ隠すのか/第5番希望と失望/
   第6番私の心は沈黙し冷える>/23.解き放たれてOp.39-4 Trv189
ダニエル・ベーレ(テノール)/
オリヴァー・シュナイダー(ピアノ)
 ドイツの若手テノール、ダニエル・ベーレ。「魔笛」のタミーノで一躍有名になり、今や飛ぶ鳥をも落とす勢いで活躍する期待の人です。2年間に相次いで4枚のCDをリリース、シューマン、シューベルト、ベートーヴェンと言ったドイツ・リートの王道や、イギリス歌曲など、レパートリーも広げていますが、今作ではR.シュトラウス(1864-1949)の華麗で濃厚な音楽を紐解いてくれます。ベーレはこれらの歌曲を長年に渡って研究し、極めて満足の行くものとして歌い上げます。伸びやかで抒情的な声と、はじけるような感情の発露をお聞きください。冒頭の「セレナード」の軽やかなピアノの響きで始まる「セレナード」、有名な「献呈」で始まるOp.10の歌曲集などは、ドイツ・リートの新しい可能性を感じさせることでしょう。「明日の朝」や「万霊節」での祈りを思わせる美しい歌唱も心に残ります。
録音 2010年9月13-15日,2011年4月3日チューリヒ、放送スタジオ

C5112
(2CD)
\2600→\2390
ハチャトゥリアン:バレエ音楽「スパルタクス」
 (1968年ボリショイ版…Y.グリゴローヴィチ編曲))
〈CD1〉
 《第1幕》
 1.序曲/2.剣士とエジプトの踊る少女の更新/
 3.フリーギアの踊りと別れの情景/4.ギリシャの奴隷の踊り/
 5.クロタレスとの情景と踊り/6.エトルスキャンの踊り/
 7.エージナとバッカナリアのヴァリエーション/8.目隠しをした剣士の戦い/
 9.剣士の死/10.奴隷の反乱とフリーギの歓喜/
《第2幕》
 11.アッピア通りの羊飼いと羊飼い女の踊り/
 12.囲いの中の奴隷たちのヴァリエーションと踊り/
 13.スパルタクスの到着と彼の語り/14.スパルタクスとフリーギアの別れ/
 15.序奏とニンフたちの踊り/16.エギナの踊り/
 17.エギナとクラッススのアダージョ/18.アダージョ/
〈CD2〉
 1.クラッススの踊り/2.ガダィタネアの娘の踊り-スパルタクスの勝利/
 3.スパルタクスとクラッススの戦い/《第3幕》4.クラッススとエギナ/
 5.喧騒/6.スパルタクスとプリーギアのアダージョ/7.情景/
 8.スパルタクスの入場/9.商人たちの入場-全体の踊り/10.エギナの踊り/
 11.全体の踊り/12.スパルタクスの入場,口論とハルモディウスの裏切り/
 13.最後の戦い/14.スパルタクスの軌跡/
 15.スパルタクスの死とレクイエム
RIAS室内合唱団/
ベルリン・ドイツ交響楽団/
ミハイル・ユロフスキ(指揮)
C10817-18の新装盤
 「ガイーヌ」と並ぶハチャトゥリアンの名作バレエです。奴隷たちの指導者スパルタクスの偉業を題材とした、この「スパルタクス」は、1954年に作曲され、まずは1956年にヤコブソンの振付、その2年後の1958年にモリセーエフの振付で上演されました。しかし、これらはあまり好評とは言えず、その10年後に新たにグリゴローヴィチが振付を行ったヴァージョンが、現在の通常レパートリーとして人気を博しています。有名曲を抜粋した「組曲」も愛好されていますが、ここでは、物語の流れにそった全曲盤をお楽しみください。
C5120
\2000
クライスラー:ヴァイオリン小品集(弦楽合奏とヴァイオリン編)
 1.愛の喜び/2.愛の悲しみ/3.美しきロスマリン/
 4-5.クープランの様式によるルイ13世の歌とパヴァーヌ/
 6.W.F.バッハの様式によるグラーヴェ/
 7.タルティーニの様式によるコレッリの主題による変奏曲/
 8.クープランの様式によるプロヴァンスの朝の歌/
 9-10.パガニーニの様式による前奏曲とアレグロ/
 11.マルティーニの様式によるアンダンティーノ/
 12.クープランの様式による気取った曲/
 13-14.フランクールの様式によるシチリアーナとリゴードン/
 15.プニャーニの様式によるメヌエット/
 16.ボッケリーニの様式によるアレグレット/
 17.ディッタースドルフの様式によるスケルツォ/
 18.ベートーヴェンの主題によるロンディーノ/
 19-20.レチタレィーヴォとスケルツォ・カプリスOp.6/
 21.ウィーン奇想曲Op.2 C10374の新装盤
ベーラ・バーンファルヴィ(ヴァイオリン)/
ブダペスト・ストリングス/
カーロイ・ボトヴァイ(指揮)
 名ヴァイオリニスト、クライスラーは演奏旅行先の図書館で、埋もれていた作品を発掘することを楽しみにしていました。しかし、そのままでは飽き足らず、自分で編曲したり、その一部を自作に取り入れたりと、いろいろな改変を行ったのですが、これらを発表、出版する際に「過去の作曲家の作品を発見した」と偽ったのです。理由はいろいろありますが、その作品を褒め称えた(演奏は酷評された)当時の批評家をからかうためであったとも言われます。これらの「ジョーク」は1935年になって、ニューヨーク・タイムズの音楽記者によって真相があぶりだされることとなり、この一連の作品が「〜の様式による」クライスラーの作品であるということで、一応の収束を見たのです。なお、クライスラーは真相が発覚するまでに発生した「印税」は受け取らなかったそうです・・・。

CEDILLE


Lonely Motel: Music from Slide
CDR-90000128
\2000
2012 年度 グラミー賞Best Small Ensemble Performance 受賞作!
スティーヴン・マッキー:
 ロンリー・モーテル - ミュージック・フロム・スライド

 1.Slide of Dog/2.Stare Prelude/Overture/3.Depending/4.She Walks as if.
 5.Fog/6.Stare/7.Addiction/8.Processional/9.Running Dog 2/10.Ghosts/
 11.Lonely Motel
リンド・エッカート(ヴォーカル)/
スティーヴン・マッキー(ギター)/
エイト・ブラックバード
 なんとも実験的、かつ不思議な音楽。世界初録音となるこの「ロンリー・モーテル」は弦楽、ピアノ、パーカッションのアンサンブルと、作曲者マッキー(1956-)のギター、そして歌手、俳優、台本作家のエッカートが生み出す陶酔的な世界です。婚約者に捨てられた孤独な男が、一人安宿で、スライドを投影しながら悲しみに沈むというシチュエーションは永遠のテーマであり、創作の根源ではないでしょうか?
 「こっそり動く犬、走る犬、そんなものは無視しよう・・・(Slide of Dog)」全ての言葉も韻を踏み、統制されたリズムに支配されることで、ミニマル的な要素を添付されることで静かな狂気も生まれてくるかのようです。燃える家、幻、全てが終わったあと、男は何を見るのでしょう・・・

Notable Women
CDR-90000126
\2000
注目すべき女性たち
 1-3.レーラ・アウエルバッハ(1973-):ピアノ三重奏曲/
 4.ステイシー・ギャロップ(1970-):ピアノ三重奏のための「セヴン」/
 5-6.ジェニファー・ヒグドン(1962-):ピアノ三重奏曲
  <淡い黄色/燃えるような赤>/
 7.ローラ・エリーズ・シュウェンディンガー(1962-)今夜は月が出ない?/
 8.オーガスタ・リード・トーマス(1964-):ムーン・ジグ/
 9.ジョン・タワー(1938-)トリオ・キャヴァニー
  ※1-3.7…世界初録音
リンカーン・トリオ
 何とも想像力をかき立てる1 枚。
 このリンカーン・トリオによるアルバムは、アメリカの現代女性作曲家たちの作品を集めたものです。6 人の作曲家の中には、すでにおなじみのジョン・タワーや、一頃話題沸騰だったアウエルバッハの名前も見えますし、他の人たちも、その独創性が高く評価されています。タイトルから仄かに女性らしさが感じられたりもしますが、とにかく先入観なしで聴いてみてください。
 録音 2010 年1 月1-5 日,2011 年4 月15 日ラヴィニア ベネット・ゴードン・ホール

The Soviet Experience Volume I
CDR-90000127
(2CD)
\2000→\1890
パシフィカ弦楽四重奏団久々の新譜
 ソ連の経験第 1 集
〈CD1〉
ショスタコーヴィチ(1906-1975):
 1-3.弦楽四重奏曲第 5 番変ロ長調 Op.92/
 4-7.弦楽四重奏曲第 6 番ト長調 Op.101
〈CD2〉
 1-3.弦楽四重奏曲第 7 番嬰ヘ短調 Op108/
 4-8.弦楽四重奏曲第 8 番ハ短調 Op.110
 9-12.ミャスコフスキー(1881-1950):弦楽四重奏曲第 13 番イ短調 Op.86
パシフィカ弦楽四重奏団
 ショスタコーヴィチ(1906-1975)と同世代の作曲家たちによる弦楽四重奏曲を集めたシリーズの第1 集です。全部で4 巻となる予定のこのシリーズ、まずは、ショスタコーヴィチの中期の傑作4 曲と、少し前の世代に属するミャスコフスキー(1881-1950)の作品で幕を開けます。1950 年代から1960 年にかけて書かれたショスタコーヴィチの4 つの弦楽四重奏曲は、少しずつ圧力を増してくる政策と、自らの身の置きどころについて苦悩した彼の逡巡が透けて見えてくるような作品群で、その諸々の思いは、有名な「第8 番」で見事に結実します。ミャスコフスキーの作品は、彼がなくなる1 年前に作曲されたもので、全体的な暗さはあるものの、まだ抒情性を持ち、聴きやすいと言えば聴きやすいでしょう。日本でも人気の高いパシフィカ弦楽四重奏団の納得の演奏です。
 録音 2010 年7 月24-25 日,9 月3-5 日, 2011 年1 月31 日,2 月1 日,5 月14-15 日イリノイ フォーリンジャー・グレート・ホール



旧譜より
廃盤と言われていたパシフィカSQの名盤、いつの間にか復活していた!
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲全集
Mendelssohn: The Complete String Quartets
CEDILLE
CDR 90000 082
(3CD)
¥5000→¥4490
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲全集
 弦楽四重奏曲 第1番 変ホ長調 作品12
 弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 作品13
 弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 作品44-1
 弦楽四重奏曲 第4番 ホ短調 作品44-2
 弦楽四重奏曲 第5番 変ホ長調 作品44-3
 弦楽四重奏曲 第6番 ヘ短調 作品80
 弦楽四重奏のための4つの小品 作品81
 弦楽四重奏曲 変ホ長調 1823年
パシフィカ四重奏団
[シミン・ガナートラ(Vn)、
シッビ・バーンハートソン(Vn)、
マスミ・パー・ロスタード(Va)、
ブランドン・ヴェイモス(Vc)]
 「ここ最近リリースされたメンデルスゾーンの全集セットをすべて比較試聴してみた。
 ターリヒ四重奏団、エマーソン弦楽四重奏団、ライプツィヒ弦楽四重奏団、バルソルディ四重奏団、ヘンシェル・クァルテット、バルトークSQ+シャロンSQ+イングリッシュSQ。
 店主の好みもあるかもしれない。・・・しかしそれから長い長い時間をかけて結局手元のCD棚に残ったのは・・・パシフィカ四重奏団のセットだった。なんの先入観もない。ただ、彼らの演奏が最も情熱的でダイナミックでエネルギッシュだった。ここで歌ってほしいというときに歌ってくれ、ここで泣いてほしいというときに泣いてくれた。曲のツボを理解しているというのか。」昔のコメントより
 録音:2002年12月、2003年10月、2004年3月、6月 作品81は続けて収録されている。


A French Soiree
CDR-90000129
\2000→¥1890
フランスの夜会
 1-4.リュリ(1632-1687):フローラ/
 5-6.F.クープラン(1668-1733):趣味の融合-コンセール第7 番ト短調より
  <アルマンド/サラバンド>/
 7.マレ(1656-1728):ヴィオール曲集第 3 巻-シターレ/
 8.F.クープラン:シチリエンヌ/
 9.F.クープラン:ガヴォット/
 10-11.マレ:ヴィオール曲集第 1 巻より
  <前奏曲/シャコンヌ>/
 12-18.F.クープラン:王宮のコンセール第 3 番イ長調/
 19-21.ルベル(1666-1747):ヴァイオリン・ソナタニ短調/
 22-24.ラモー(1683-1764):コンセール第 4 番変ロ長調/
 25-28.ルクレール(1697-1764):ヴァイオリン・ソナタト長調 Op.5-12
トリオ・セッテチェント
 「ドイツの花束」(CDR-90000114),「イタリア滞在」(CDR-90000099)に続くトリオ・セッテチェントの第3 集。
 1996 年にヘンデルのヴァイオリン・ソナタ全集を録音するため、レイチェル・バートン・パイン(ヴァイオリン)、ジョン・マーク・ローゼンダール(チェロ)、デヴィッド・シュレーダー(チェンバロ)の3 人がアンサンブルを結成、その翌年、「トリオ・セッテチェント」の名前で新たに活動を始めました。2006 年にはニューヨークのフリック・コレクションで演奏、また2007 年にはボストン・バロック・フェスティヴァルにデビュー、アメリカ全土でのピリオド楽器演奏の隆盛に寄与しています。
 レイチェル・バートン・パインはただの美人ヴァイオリニストかと思っていたら、1995年のある日、列車のドアに挟まってしまった愛器を守ろうとしたが、動き出した列車に引き摺られ、片足を切断するという大事故に遭ったのだという。しかし2年間の活動休止の後復活。以前にもまして旺盛な音楽活動を開始した。そうした苦悩のあとの美しい音楽だったのである。

 録音 2010 年8 月10-14 日イリノイ州 エヴァンストン,ニコルス・コンサート・ホール


トリオ・セッテチェントの旧譜

CDR90000 099
\2000→¥1890
「イタリア滞在」
 ダリオ・カステッロ(1621-1631活動):8度のソナタニ短調/
 ストラデッラ(1644-1682):シンフォニアニ短調/
 ビアジョ・マリーニ(1597頃-1665頃):2声のソナタニ短調/
 ロカテッリ:室内ソナタへ長調op. 6-2/
 コレッリ:ソナタハ長調op. 5-3/
 タルティーニ:田園ソナタイ長調/
 ヘンデル:ソナタト長調HWV364a/
 フランチェスコ・ヴェラチーニ(1690-1750):ソナタニ短調op. 2-12
セッテチェント三重奏団:
【レーチェル・バートン・パイン(Vn)、
ジョン・マーク・ロゼンダール(Vc)、
デーヴィッド・シュラーダー(Cemb)】
 そしてもう一枚、CEDILLEのなかで店主が大のお気に入りの一枚。
 店主が選ぶ「2008年ベスト21」にも入れさせていただいた、レイチェル=バートン・パイン率いる古楽器トリオによるアルバム「イタリア滞在」。
 きっと誰も注目しないような、イタリア・バロック期の音楽。なんということのない、他愛のないイタリア・バロックの流麗で可憐な音楽。ただそこに身を浸しているだけでもう幸せになる。
 ただ、1曲とても不思議な曲があった。ロカテッリの「室内ソナタ」。その第2楽章。ロカテッリはもっと穏健で美しいだけの人だと思っていたが、これはかなりアヴァンギャルド。こんな時代を超えたキュートな音楽を書いていたとは。天才である。

2006年12月録音 

CDR90000 114
\2000→¥1890
「ジャーマン・ブーケ」
 ヨハン・ショップ(d.1667):ノーブルマン
 J.H.シュメルツァー(c.1620-1680):ソナタ ニ短調
 G.ムファット(1653-1704):ソナタ ニ長調
 J.P.クリーガー(1649-1725):ソナタ ニ短調Op.2-2
 D.ブクステフーデ(1637-1707):ソナタ ハ長調Op.1-5
 J.S.バッハ(1685-1750):フーガ ト短調BWV.1026
 P.H.エルレバッハ(1657-1714):ソナタ第3番イ短調
 J.G.ピゼンデル(1687-1755):ソナタ ニ長調
 J.S.バッハ:ソナタ ホ短調BWV.1023
セッテチェント三重奏団:
【レイチェル=バートン・パイン(Vn)、
J.M.ローゼンダール(gamba)、
D.シュレーダー(Cemb,Org) 】

録音:2008年
 今回はJS.バッハとの彼の先輩格の作曲家たちの作品を収録。
 ジャーマン・ブーケのアルバム・タイトル通り、雅びできらびやか、装飾性に富んだヴァイオリンのメロディとそれを静かに支えるチェンバロとガンバ。古典から現代まで幅広いレパートリーを持つレイチェル・バートン・パインは、1770年製作の名器を使用、バロック時代の宮廷がリアルによみがえらせてくれる。うっかりすると見逃しそうな地味なアルバムながら、要注目。





CPO


777714-2
\1000→\890
ロゼッティ:ホルン協奏曲集
 2012年カタログ付き
 1.2台のホルンのための協奏曲 ヘ長調 Murray C61/Knaul III:49/
 2.ホルン協奏曲ホ長調 Murray C50/Kaul III:44/
 3.ホルン協奏曲変ホ長調 Murray C48/Kaul III:37/
 4.2台のホルンのための協奏曲変ホ長調よりアンダンテ Murray C55Q/Kaul III:54
クラウス・ヴァレンドルフ(ホルン)…1.3.4/
サラ・ウィリス(ホルン)…1.2.4/
マンハイム・プファルツ選帝候室内管弦楽団/
ヨハネス・メーズス(指揮)
 レギュラー盤(777288-2)に現在発売中の約900タイトルを掲載した美麗カタログをセット。もしろん価格は大盤振る舞いです。cpoのカタログは2年に一度の発行となります。日本でも人気の高いロゼッティのホルン協奏曲をこの機会にぜひどうぞ。
 アントニオ・ロゼッティ(1750-1792)、本名アントニーン・レスレルはボヘミア生まれの作曲家です。1773年ボヘミアを去って、6年の間エッティンゲン=ヴァラーシュタイン侯爵の宮廷楽団に加わるのですが、その際名前をイタリア風のアントニオ・ロセッティに変えたのです。その後活躍の場を広げ、多くの作品を出版、彼自身も自らを「洗練された音楽家」と呼び、幸せな生涯を送りました。彼が残した多くの曲の中でもとりわけホルン協奏曲が有名で、モーツァルトのホルン協奏曲のお手本にもなったのではないかとも言われているほどです。演奏はベルリン・フィルの名奏者、ヴァレンドルフとサラ・ウィリスによるもので、あふれんばかりのパワーと、繊細な感情表現が魅力です。古典的な形式と現代的な組成のアーキテクチャをお楽しみください。

777647-2
(2CD)
\5200→\4780
フランツ・シュレーカー:
 歌劇「ヘントの鍛冶屋」(大魔法オペラ)3幕

 チャールズ・デ・コスター「フラマンの伝説」より"スメトス・スメー"原作
オリヴァー・ツヴァルク(バス・バリトン)/
ウンディーネ・ドライシヒ(メゾ・ソプラノ)/
アンドレ・リーマー(テノール)/
エドヴァルト・ランダル(テノール)/
マーティン・ゲーブラー(バス)/
ユディス・クーン(ソプラノ) 他/
ケムニッツ歌劇場合唱団/
ロベルト・シューマン・フィルハーモニー/
フランク・ベールマン(指揮)
 1929年、フランツ・シュレーカー(1878-1934)は創造的危機の真っただ中にありました。それ以前の彼は1920年にベルリン高等音楽学校の校長に任命され、数多くの弟子を持ち、また彼のオペラも数多く上演されるなど、華々しい活躍をしていたにもかかわらずです。彼の成功に陰りが見えはじめたのは1923年の「狂える炎」の初演が賛否両論にわかれたこと、また1928年の「歌える悪魔」が失敗に終わったことあたりでしょう。当時の社会も反ユダヤの空気が蔓延しつつあり、出版社も彼のオペラの出版を拒否しました。聴衆が求めたものは、1922年に上演されたクルシェネクの「ジョニーは演奏する」のようなセンセーショナルな作品であり、シュレーカーが望んだメルヘンチックなものは受け入れがたかったのでしょう。それでもこのオペラは「全ての人のために」向けて書かれています。16世紀の東フランドル、鍛冶屋のスメーは力を失いますが、悪魔の契約によって再び力を得ます。7年後、契約によって地獄へ行くことになった彼ですが、実は"ある家族"の手伝いをしたことで、天国へと迎えられます。その家族とは、大工の父と、その妻、そして息子でした。シュレーカーは自身の音楽のパロディと、民謡を上手く取り入れた普遍的な音楽を付けています。シュレーカー復興がますます進むことはうれしい限りです。

777454-2
\2600→\2390
シュペルガーの交響曲
 どんどん奏者が増えていくらしい
エルンスト・フォン・ゲンミンゲン:ヴァイオリン協奏曲 他
 1.ヴァイオリン協奏曲第1番イ長調/
 2.ヴァイオリン協奏曲第2番ハ長調/
ヨハン・マティアス・シュペルガー(1750-1812):
 3.シンフォニアヘ長調「到着の交響曲」
コーリャ・レッシング(ヴァイオリン)…1.2/
ミュンヘン放送管弦楽団/
ウルフ・シルマー(指揮)
 誰もが知ってるハイドンの「告別交響曲」。これは曲の終わりに楽団員が次々と退席し、ヴァイオリニストが2人だけ残ることで、雇い主に「家に帰りたい」と訴えるという作戦でしたが、このシュペルガーの交響曲はその逆で、最初はヴァイオリン・デュオで始まり、次々と奏者が増えてくるという趣向です。
 もう一人の作曲家ゲンミンゲン(1759-1813)については、現在ほとんど知られていません。ビュルテンブルクの騎士の末裔であり、ベルリンで裁判官として働いたという経歴の持ち主です。このヴァイオリン協奏曲は、当時の音楽を上手く取り入れながらも、すでにロマン派の香りを先取りしているものであり、小さな驚きを感じさせずにはおれません。

777447-2
\2600→\2390
パウル・グレーナー:管弦楽作品集第1集
 1.コメディエッタ Op.82/
 2.ロシア民謡による変奏曲Op.55/
 3.夕べの音楽Op.44/
 4.短い交響曲Op.96
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団/
ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト(指揮)
 作曲家グレーナー(1872-1944)は、幼い頃からボーイソプラノとして聖歌隊で活躍、その才能を認められ、音楽院で学んだ後は、数々の土地で楽長を務め、1898年から1906年まではロンドン王立ヘイマーケット劇場の音楽監督に就任します。1911年からはザルツブルク・モーツァルテウムの院長も務め、フリーランスの作曲家として作品も発表するようになります。しかし、1944年にベルリンの自宅が爆撃されたことで、全ての自筆譜が消失してしまい、失意のうちに各地を転々とし、ザルツブルクで生涯を閉じました。彼はナチスに傾倒していたことでも知られ、どうしてもその作品が敬遠される傾向にありますが、音楽は注目に値するものです。既発のピアノ三重奏曲(777599-2)も秘かな人気を誇っています。


旧譜
グレーナー、密かに売れてるピアノ・トリオ
Paul Graener: Works for Piano Trio
777599-2
\2000→\1790
グレーナー(1872-1944):ピアノ三重奏曲集
 1.ピアノ三重奏曲「組曲」 Op.19/
 2.室内楽の詩曲 Op.20/3.ピアノ三重奏曲 Op.61/
 4.ピアノ三重奏とバリトンのための「テオドール・シュトルムの調べ」
ハイペリオン三重奏団/
アルブレヒト・ペール(バリトン)
ベルリンで生まれ、幼少から美しいボーイソプラノを生かして聖歌隊で活躍、その後音楽院で作曲を学んだグレーナーのピアノ三重奏曲集です。ドイツだけでなく、ロンドンのヘイマーケット劇場の音楽監督や、英国王立音楽院でも教鞭を執り多くの学生に影響を与えました。戦時中ナチスとの関わりが深かったため、立場的にも音楽的にも、色々な憶測を醸しましたが、結局のところ没した後は、作品もほとんど演奏されることなく、ほとんど忘れ去られてしまった作曲家と言えそうです。そんな彼の作品は、当時の風潮をしっかり反映した後期ロマン派色の強いもので、この時代の音楽を好む人ならば文句なしに好きになれそうです。

777519-2
(2CD)
\4000→\3580
フェリックス・メンデルスゾーン:無言歌集(全曲)
 1.無言歌集全曲/
 2.厳格な変奏曲Op.54
ミヒャエル・コルスティック(ピアノ)
 「ドクター・ベートーヴェン」の異名をとるドイツの中堅ピアニスト、コルスティック。もちろん、ベートーヴェンだけでなく、様々な作曲家の作品を手掛けていて、cpoレーベルにはリストの「巡礼の年」や、レーガーの協奏曲などがあり、他のレーベルでは、ケクランなどの珍しい曲も演奏していたりします。彼の演奏はとにかく知的であり、行間を読むタイプ。派手さよりも、一貫して聴き手に何かを考えさせる姿勢が心地よいピアニストです。
 今回のメンデルスゾーン(1809-1847)は、まさに彼にうってつけのレパートリーであり、作曲家によって曲ごとに込められた詩情を浮かび上がらせ、見事な音の絵をして描きだしています。
999953-2
\2600
北ドイツのルネサンス音楽集第1集
 ヴェーザー・ルネサンスの宮廷音楽
  ミヒャエル・プレトリウス:復活祭のミサ曲
ブレーメン・ヴェーザー・ルネサンス/
マンフレッド・コルデス(指揮)
 初期バロック時代の大家、ミヒャエル・プレトリウス(1571-1621)のミサ曲です。彼は当時「最も多作な作曲家」として知られ、同世代のドイツ、イタリアの作曲家たちに影響を与え、また自身もそれらの音楽様式を取り入れています。ほとんどが教会のための音楽であり、このミサ曲もヴォルフェンビュッテル教会で行われる復活祭のために書かれたものです。世界初演となるこの作品を的確な解釈で聴かせるコルデスとブレーメン・ヴェーザー・ルネサンスは、常に新鮮な驚きをもたらしてくれます。

777543-2
\2000→\1790
ビーバーやシュメルツァーの作風を感じさせるという
 アゴスティーノ・グェッリエリ:ソナタ集Op.1より
 La Sevesca/La Galeazza/La Sevaschina/La Brignoli/La Tita/
 La Viviani/La Lucina/Sonata malinconica/La Marchetta/
 La Benedetta/La Rotini/La Rosciana/La Pietra/
 La Rovetta/Balletto primo/Balletto secondo
パルナッシ・ムジチ(ピリオド楽器使用)
 パルナッシ・ムジチは、南西ドイツ放送響の第2ヴァイオリンのメンバーを中心に結成された団体です。基本はヴァイオリンが2人、チェロ、チェンバロで構成されていますがその時に応じてメンバーを加え、自由自在な演奏を繰り広げるアンサンブルです。とりわけ「テレマンのスペシャリスト」でありcpoにも数多くの録音があります。
 今回彼らが取り上げたのは、ほとんど知られていないヴェネツィアの作曲家グェッリエリのソナタです。1673年に出版された5部からなるこのコレクションは、すべてグェッリエリ(1630頃-1684頃)の作品であり、その曲には、グェッリエリのパトロンやプロモーターの名前が「献辞を込めて」つけられています。当時活躍していたビーバーやシュメルツァーの作風を感じさせ、また多彩な舞曲の融合も見られる素晴らしい曲集です。これはとにかく面白い1枚です。

CPO


777720-2
(SACD-Hybrid 3枚組)
\5200→¥4590
アンドルー・マンゼ&ヘルシングボリ響
 ブラームス:交響曲全集

 1.交響曲第1番ハ短調 Op.68/2.交響曲第2番ニ長調 Op.73/
 3.交響曲第3番ヘ短調 Op.90/4.交響曲第4番ホ短調 Op.98/
 5.ハイドンの主題による変奏曲Op.56a/
 6.悲劇的序曲Op.81/7.大学祝典序曲Op.80
ヘルシングボリ交響楽団/
アンドルー・マンゼ(指揮)
 2006年にヘルシングボリ交響楽団の首席指揮者に就任したアンドルー・マンゼのブラームス(1833-1897)です。
 以前リリースされたベートーヴェンでは思いの他抑制された表現で、弦楽器の瑞々しさを大切にした良演を披露してくれたものですが、今回のブラームスでは、その表現に一層磨きをかけ、充実した音を聞かせます。古楽奏者として揺るぎない名声を確立したマンゼですが、このようなモダンオケと対峙する時には、エモーショナルな面を強調することはせず、スコアを忠実に、かつ丁寧に描き出すことに力を注ぎ、確実な音像を描き出すことに成功しています。もちろん楽器の配置などには様々な工夫をこらし、アグレッシブな響きも聞こえてくるなど、古楽演奏で培った経験が物を言わせている部分も多々あります。
 がっつり満腹感をもたらすものではないかもしれませんが、細部までに手が入った精進料理のようなブラームスが却って新鮮さを運びます。最上の響きをSACDハイブリッドの高音質盤でお届けいたします。


マンゼ&ヘルシンボリ響の旧譜

BIS 1602
\2500→¥2290
これぞマンゼ!優雅のきわみ!
 ユーハン・ヘルミク・ルーマン:
  ドロットニングホルムの音楽(全 24 曲)
アンドルー・マンゼ(指)
ヘルシンボリ響
DDD、70’04”
 何とアンドルー・マンゼが BIS に登場。オケは先日発売になって巷で話題の「英雄」とおなじヘルシンボリ響。マンゼがこの北欧オケの首席指揮者になった時は驚いたが、それも板についてきたか、今回からBISでのリリースとなった。長期契約であれば今後もいろいろ魅力的な録音が出てくるはず。
 さて、そのマンゼのBIS第1弾、「スウェーデン音楽の父」と称されるユーハン・ヘルミク・ルーマン (1694-1758) の代表作「ドロットニングホルムの音楽」。マンゼらしく、またヘルシンボリ響らしく、そしてBISらしく。なかなか粋な選曲。
 J・H・ルーマンの「ドロットニングホルムの音楽」は1744 年、スウェーデン国王とプロイセン王女の婚礼を祝って作られた管弦楽曲で、全部で 24 曲から成る。まさにその華やかかつ貴族的な音楽はマンゼにぴったり。

仏HM
HMU 807470
(SACD Hybrid)
\2600→¥2390
ベートーヴェン:
 (1)交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」
 (2)12のコルトルダンス WoO 14
 (3)バレエ「プロメテウスの創造物」Op.43 よりフィナーレ
アンドルー・マンゼ(指)
ヘルシンボリ交響楽団
 なんとも驚きのリリース。古楽演奏からモダンへと活動の場を広げていった先人はガーディナー、アーノンクールと数知れないが、ついにわれらがマンゼも名乗りをあげた。2006年に首席指揮者に就任したヘルシンボリ響を率いての「エロイカ」が登場。
 颯爽としたテンポが作りだす無類の格好よさ。いたずらに重くなりすぎず引き締まった葬送行進曲。フィナーレでは変奏ごとのゆたかな表情もまた魅力的。カップリングはこの「エロイカ」のフィナーレの主題つながりで、「プロメテウスの創造物」のフィナーレと同主題を第7曲目に使ったコルトルダンス。マンゼみずからがバロック・ヴァイオリンを駆るときにみせる、音楽にとびきりみずみずしくフレッシュないのちを吹き込む作業は、モダンオケを振ってもすこしもかわるところがない。
 DSDマルチチャンネルステレオ 70'07"

777583-2
\2000
イタリアの愛のカンタータ集
 1.アゴスティーノ・ステッファーニ(1654-1728):アムールよ、あなたの弓と矢で/
 2.アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741):疑惑の全ての影に/
 3.アントニオ・ロッティ(1667-1740):わかります、目隠しをした神よ/
 4.ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757):私は復讐したい
シルヴィア・ヴァエンテ(ソプラノ)/
エポカ・バロッカ
 カンタータというと、どうしても合唱主体の大きな編成の楽曲を思い浮かべるのですが、バロック時代のカンタータというのは多少意味合いが違いまして、室内オーケストラとソリストによる、どちらかというと「アリア」に近いもの。
 超絶技巧を駆使した声部はもちろんのこと、管楽器が重要な働きを持ち、とりわけオーボエは歌手のパートナーとして用いられることが多く、親密な「二重唱」を聴かせるのです。このカンタータはイタリアで多く書かれたのですが、その中でも4人の巨匠が手掛けた素晴らしい作品をお楽しみください。
 素晴らしい歌唱を聴かせるのは、バロック・ソプラノ歌手のヴァエンテ。表現力豊かで優しい響きを持つ彼女の声は、曲に込められた思いを存分に伝えます。バックを務めるエポカ・バロッカの扇情的な音色も聴きものです。

777127-2
\2000→¥1890
リノス・アンサンブル
 ユリウス・レントヘン:管楽のための室内楽作品集
 1.セレナード第1番Op.14/
 2.フルート、オーボエ、2つのクラリネット、2つのホルンと2つのファゴットのための九重奏曲/
 3.セレナード第2番/
 4.フルートとオーボエ、ファゴットのための三重奏曲 Op.86
リノス・アンサンブル
cpoではおなじみレントヘンの作品集です。レントヘン(1855-1932)は素晴らしいピアニストであり、またヴィオラも堪能だったため、ピアノと弦のための作品はよく知られているのですが、数は少ないとはいえ、このような管楽器のための作品も書いていて、またそのどれもが素晴らしいのです。セレナードの第1番と九重奏曲は、おそらくモーツァルトの作品や、ベートーヴェンの八重奏に触発されたものでしょう。作風も古典的で端正な姿を見せています。しかし、セレナードの第2番はもっと流麗で自由なハーモニーを示します。こちらはフランス音楽の影響を受けているのでしょうか。三重奏曲も極めて魅力的な音楽です。演奏しているのは、ベルリンを中心に高い評価を受けているリノス・アンサンブル。新鮮な喜びを喚起させる名演です。


リノス・アンサンブル/CAPRICCIOの旧譜


10863
¥2700→¥2390
マーラー/
 エルヴィン・シュタイン編:交響曲第4番ト長調——室内アンサンブル版
 シェーンベルク編:さすらう若人の歌——室内アンサンブル版
アリソン・ブローネル(S、交響曲)
オラフ・ベーア(Br、さすらう若人の歌)
リノス・アンサンブル
 いまやCAPRICCIO最大のヒットメーカーとなったリノス・アンサンブル。ドイツの各オーケストラの首席奏者からなる精鋭音楽団体である。そんな彼らの「ウィーン音楽私的協会の編曲作品シリーズ」。
 ウィーンでシェーンベルクとベルクが主宰していた音楽私的演奏協会は、同時代作品を中心に正当な評価を受けてこなかったものを納得のいく形で演奏するために生まれたものだった。大規模な作品であっても、編曲が施され、次々とコンサートで紹介された。結果として、新ウィーン楽派の音楽観を投影した記録が多く残ることにもなった。

交響曲第4番はシェーンベルクに師事したウィーンの作曲家、エルヴィン・シュタインによる編曲。一時話題になった室内楽編成版「大地の歌」同様、シェーンベルクが発足させた「音楽私的室内楽協会」のコンサートのために編曲されたもの。このシュタイン版マーラーのスコアは失われてしまったが、ブリテン=ピアーズ財団が楽器の使用法をメモした原譜スコアから復元を依頼し、演奏可能な状態になったもの。これまでハワード・グリフィスが指揮したレコーディングがひとつあるが、それはボーイ・ソプラノを起用したものだった。

10864
¥2700→¥2390
ブルックナー/シュタイン、アイスラー、ランクル編:
 交響曲第7番(室内楽版)
リノス・アンサンブル
シェーンベルクがウィーンで主宰した「私的室内楽協会」コンサートのための編曲リストにブルックナーの7番があることは知られていたが、1921年夏の初演以降、演奏された記録はまったくなかった。このCDはそれを80年ぶりに復活させたもの。クラリネット、ホルン、ハーモニウム、ピアノ、弦楽四重奏、コントラバスの9人編成。編曲の実作業はシェーンベルク門下の3人が分担しておこなったという。ハンス・アイスラーが第1楽章と第3楽章、エルヴィン・シュタインが第2楽章「アダージョ」、カール・ランクルが第4楽章をそれぞれ担当している。しかし、音を聞く限りそれぞれ編曲者が違うという印象は薄い。おそらくスコアリングの綿密な打ち合わせが当事者間であったのだろう。大オーケストラによる演奏ではマスクされてしまう対旋律や経過句も、明瞭に耳に飛び込んでくる。それはともすれば原曲のオーケストラ版より立体的に響くほど。

10865
¥2700→¥2390
 ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
  —— 室内アンサンブル版(1921)
  (fl、ob、cl、vn×2、cb、pf、harmonium、cymbals)/
  ベンノ・ザックス編曲
 ウェーベルン:管弦楽のための6つの小品 op.6
  —— 室内アンサンブル版(1920)
  (fl、ob、cl、vn×2、va、vc、cb、pf、per)/作曲者自身の編曲
 レーガー:ロマンティック組曲 op.125
  —— 室内アンサンブル版(1920)
  (fl、cl、hr、fg、vn×2、va、vc、cb、pf、harmonium)/
  アルノルト・シェーンベルク&ルドルフ・コーリッシュ編曲(1920)
 シェーンベルク:6つのオーケストラ歌曲 op.8
  〜第1曲「自然」、第2曲「紋楯」、
   第4曲「奥方よ、私はうまずたゆまずに」、
   第5曲「あの甘美な魅力にあふれて」、第6曲「小鳥が嘆く時」
    —— 室内アンサンブル版(1920/21)
   (sop、fl、ob、cl、vn×2、va、vc、cb、pf、harmonium)/
  ハンス・アイスラー&エルヴィン・シュタイン、
  アルノルト・シェーンベルク編曲
シモーネ・ノルド(S)
リノス・アンサンブル
注目はドビュッシー《牧神の午後への前奏曲》。もともと管弦楽のマッシヴなパワーを売り物にしている作品ではないが、管弦楽版以上に精妙なその響きは新たな感動を呼ぶ。レーガーの名作《ロマンティック組曲》の室内アンサンブル編曲がおさめられているのにも注目。ここに編曲者としてシェーンベルクと共に名を連ねているルドルフ・コーリッシュは1927年から活躍したあのコーリッシュ弦楽四重奏団を主宰していたあのコーリッシュ。シェーンベルクの良き理解者として、全弦楽四重奏曲の初演を担ったあのコーリッシュが編曲に携わっているというのは興味深い。

777547-2
\2000→¥1890
フンパーディンクの室内楽!
フンパーディンク:弦楽四重奏曲&ピアノ五重奏曲集
 1.弦楽四重奏曲ハ長調/2.ピアノ五重奏曲ト長調/
 3.ピアノ五重奏によるメヌエット変ホ長調/4.弦楽四重奏の楽章ホ短調/
 5.弦楽四重奏の楽章ハ短調/
 6.ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのノットゥルノト長調
ディオジェネス弦楽四重奏団/
アンドレアス・キルパル(ピアノ)/
リディア・ドブロスカヤ(ヴァイオリン)
 「ヘンゼルとグレーテル」では、おとぎ話の世界を重厚なワーグナー風の音楽で味付けするという、ロマン派特有の方向性を見せたフンパーディンク(1854-1921)ですが、室内楽のような小さな編成の作品では、また違った表情を見せてくれます。オペラを得意とした彼にしてみれば、室内楽はかなり多くの制約があったかもしれませんが、ここに収録された魅力的な作品群を聴いてみると、各々の楽器の対話やハーモニーの変化に隅々まで気を配り、オペラのように言葉を用いなくとも音楽のみで雄弁な表現ができることを、全力で実証しているように思えます。
 たとえば、ヴァイオリンと弦楽四重奏のための「ノットゥルノ」は、そんなフンパーディンクの美質がよく表れた作品です。またピアノを用いた曲は驚くほどにメロディアスであり、聴けば聴くほどに心に染み入ることでしょう。後期ロマン派の懐の深さを感じさせる1枚です。

777561-2
\2600
J.S.バッハ:偽作ミサ曲&マニフィカト第2集
 1.ミサ曲ト長調 BWV Anh.167/2.マニフィカトハ長調 BWV Anh.30/
 3.ミサ曲イ短調 BWV Anh.24/4.サンクトゥスト長調BWV240/
 5.サンクトゥスニ短調 BWV239/
 6.サンクトゥスハ長調 BWV237/7.カンタータBWV150
ジェズアルド・コンソート・アムステルダム/
ゾリステンクァルテット・デア・ムジクホーホシューレ・ブレーメン/
アルスフェルダー・ヴォーカルアンサンブル/
ヴォルフガンク・ヘルビッヒ(指揮)
 cpoの人気シリーズである、J.S.バッハ(1685-1750)の「偽作」作品集です。
 ご存知の通り、バッハは多作家であり、また当時は作品を整理ことについては鷹揚であったため、200年以上経た現在にどんなに研究を重ねたとしても、バッハが書いた作品の全てを知ることは困難です。多くの研究者たちがこの難問に取り組み、それなりの答えを導きだしてはいるのですが、結局のところは永遠の謎として、後世の人に謎解きの楽しみを与えていくのでしょう。この第2集の作品群もJ.S.バッハの作品とされてきましたが、実は他の人の手によるものであろう。と推測される曲です。
 例えば、ミサ曲ト長調BWV Anh.167は、ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ(1677-1731)か、アントニオ・ロッティ(1667-1740)の作曲らしいとされますが、もし、正式に「J.S.バッハの作品でない」と認定されたとしても、曲の完成度の高さが変わることはありません。他の曲も然り。バッハ周辺の埋もれてしまった多くの作品が、自由に聴ける現代においては、このような「偽作」も余裕を持って楽しむことができるのではないでしょうか。研究者でもあるヘルビッヒの説得力ある演奏でどうぞ。

777569-2
\2000
ウィリアム・ヤング:ヴィオラ・ダ・ガンバ作品集
 ソナタ,組曲,ファンタジー,舞曲集
ハンブルガー・ラッツムジーク/
ジモーネ・エッケルト(指揮)
17世紀の音楽家、ウィリアム・ヤング(1610-1662)の初期の経歴については、ほとんどと言ってよいほど知られていません。このイギリスの作曲家は、ガンバ奏者として活躍し晩年はインスブルックで生活していました。音楽をこよなく愛したフェルディナント・カール大公に仕え、音楽家としての名声を確立しました。型破りな行いで知られる、スウェーデンのクリスティーナ女王が、改宗のためインスブルックに滞在した1655年には彼女のために御前演奏を行っています。そしてジェンキンスやロウズとともにヨーロッパにおける「英国の最高のガンバリスト」として知られるようになり、1653年には彼のソナタが出版されるほど人気を獲得したのです。女王も心酔した音楽に浸ってください。

DACAPO


Schutz: The Complete Narrative Works
8.204035
(4CD)
\4000→¥3590
シュッツ:宗教作品BOX
 1.ルカ受難曲SWV480(8.226019)/
 2.クリスマス物語SWV435/
  復活の物語SWV450(8.226058)/
 3.十字架上のキリストの最後の7つの言葉SWV478/
  ヨハネ受難曲SWV481(8.226093)/
 4.マタイ受難曲SWV479(8.226094)
アルス・ノヴァ・コペンハーゲン/
ポール・ヒリアー(指揮)
このボックスセットには、ポール・ヒリヤーとアルス・ノヴァ・コペンハーゲンによるシュッツ(1585-1672)の「historiae」がすべて収録されています。崇高なるバロック様式で書かれた静かなる情熱と復活の物語です。同じ精神に貫かれているとはいえ、バッハが描いた聖書の世界とは全く違うキリストにまつわる物語は、全てを通して聴くことで完結するのかもしれません。
Knudage Riisager: The Symphonic Edition Volume 1
8.226146
\2000
クヌドーゲ・リーサゲル:シンフォニック・エディション集第1集
 1.デンマークの絵画第1番「エラスムス・モンタヌス」Op.1/
 2.デンマークの絵画第2番「まぬけなハンス」Op.18/
 3-5.交響曲第1番Op.8/6.デンマークの絵画第4番「コメーディエ」Op.21/
 7.デンマークの絵画第3番「謝肉祭」Op.20
オーフス交響楽団/
ボー・ホルテン(指揮)
1920年代のパリで作曲を学び、デンマークに新古典派のスタイルを持ち込んだ作曲家リーサゲル(1897-1974)の交響的作品集の第1集です。リーサゲルというと、バレエを好きな人なら名前はご存知かもしれません。ハラルド・ランダーの「エチュード」の音楽を担当(チェルニーの練習曲を管弦楽版に編曲)、この演目は世界中で広く愛されています。第1集に収録されているのは、初期の作品で、「デンマークの絵画」と題された4つの作品と、1925年に初演された交響曲第1番です。時としてユーモラスであり、どこか辛辣な音は、確かに20世紀のヨーロッパの雰囲気を伝えています。

Niels Marthinsen: Snapshot Symphony
8.226545
\2000
ニールス・マルティンセン:作品集
 1-3.交響曲第2番「スナップショット交響曲」/
 4.3つのトロンボーンのための協奏曲「こうもりの影に」/
 5-7.白雪姫の鏡/8.Kongen af Himmelby Demo
ホーカン・ビョルクマン(トロンボーン)…4/
シュテファン・シュルツ(トロンボーン)…4/
ヨルゲン・ファン・ライエン(トロンボーン)…4/
オーフス交響楽団/
クリスティアン・リンドベルイ(指揮)
コミックとSFで育った世代を代表するニールス・マルティエンセン(1963-)の作品集。彼の作品の中ではバットマンが活躍し、白雪姫が鏡と語りあうのです。彼の交響曲第2番は、実際に行ったことのない地域へ空想で旅行するというもの。実際にその地へ行かずとも、映画やテレビ、インターネットで知ることのできる現代だからこそ書き得た作品です。メキシコとアラビア、中国にに行ったことのない作曲家が、ディズニー映画やクリント・イーストウッドの映画の力を借りて「行ったつもり」で書いた作品は、現実の世界よりも更にデフォルメされて、これらの国が描かれています。名トロンボーン奏者リンドベルイの華麗なタクトにも注目です。
A Bridge of Dreams
6.220597
(SACD-Hybrid)
\2200
A Bridge of Dreams〜夢の橋 環太平洋地帯の合唱作品集
 1-11.ルー・シルヴァー・ハリソン(1917-2003):
  聖チェチーリアの日のためのミサ曲/
 12.ロス・エドワーズ(1943-):聖なるカワセミの詩編/
 13-17.ジャック・ボディ(1944-):5つの子守歌/
 18.リウ・ソーラ(1955-)&ケヴィン・クロッスリー=オランド(1941-):海をゆく者/
 19.アンヌ・ボイド(1946-):As I Crossed a Bridge of Dreams〜更級日記
アンドリュー・ローレンス=キング(ハープ)…1-11.18/
アルス・ノヴァ・コペンハーゲン…1-17.19/
ポール・ヒリアー(指揮)
ルー・ハリソンをクラシックの作曲家として扱うのは何だか申し訳なく思います。彼は生涯を通じて「音」を追求し、制約の多い「現代音楽」には背を向け、あえて他ジャンルのミュージシャン(例えばキース・ジャレット)とコラボし、ガムランやアジアの伝統楽器などを好み、世界中の音律をわが手にしようと試みたのでした。さて、このアルバムはそんなルー・ハリソンのミサ曲を中心に、中国、日本、カリフォルニア、ニュージーランド、オーストラリアに関係した合唱作品を集めた1枚です。タイトルの「A Bridge of Dreams」とは更級日記のことであり、イヴァン・モリスによる英訳に「As I Crossed a Bridge of Dreams」とタイトルが付けられているためです。アルス・ノヴァ・コペンハーゲンの無垢な合唱と、名手アンドリュー・ローレンス=キングのハープが夢の世界を作り上げます。
Wayne Siegel: Terra
8.226566
\2000
ウェイン・シーゲル:テッラ
 1.テッラ(2000)/2.ブルーパーズ(2008)/
 3.ばらの森の午後/4.ジェリコ2.0
クリスティアナ・ダール(メゾ・ソプラノ)…1/
アン=メッテ・スコウビエ(ギター)…3/
ニルス=オーレ・ボー・ヨハンセン(トロンボーン)…4/
ウェイン・シーゲル(コンピューター)
コンピューターとアコースティック楽器のコラボレーションを追求し続ける作曲家、ウェイン・シーゲル(1953-)の作品集です。彼はロサンジェルスで生まれ、1974年までカリフォルニアで学びましたが、その後、オーフス王立アカデミーでノアゴーに学び、フリーランスの作曲家としてデンマークに定住を決めた人です。もちろん彼の音楽のルーツはアメリカにあり、ミニマル的な要素も感じられますが、注意深く変換された音とメロディを様々な形に組み合わせた魅力的な音楽は、一定の枠には収まらない魅力的な世界を構築しています。はらはらと零れ落ちていくようなギターの音色で構成された「ばらの森の午後」、悲痛な響きを持つ声と不可思議な響きが溶け合う「テッラ」他全4曲。人の感覚を鋭く刺激します。
C.F.E. Horneman: Orchestral Works
6.220564
(SACD-Hybrid)
\2200
クリスチャン・フレゼリク・エミール・ホーネマン:管弦楽作品集
 1-4.グレ組曲/5-8.組曲「ムーサとの戦い」/9.英雄的序曲/10-14.組曲「カラヌス」
デンマーク国立声楽アンサンブル…5-8/
デンマーク国立交響楽団/
ヨハネス・グスタフソン(指揮)
デンマークの知られざる作曲家クリスチャン・ホーネマン(1840-1906)の作品集です。芸術家の一族に生まれ、幼い頃から一流の芸術に触れながら育ってきた人で、画家であった祖父は、フリードリヒ・クーラウの親友であり、若きベートーヴェンのミニチュア肖像画を描いたことでも知られています。現在、ホーネマンの作曲家としての知名度はほとんど無きに等しいもので、これまでにほんの少しの録音のみが存在しますが、実はそのどれもが素晴らしいものでした。今回はSACDハイブリッドの高音質で、この知られざる作曲家の本質に迫ります。北欧の自然と一体となったような、美しく抒情的な音楽「グレ組曲」、勇壮な「ムーサの戦い」と「英雄的序曲」、悲劇のための音楽「カラヌス」。どれも劇的で色彩豊かです。
Svend Hvidtfelt Nielsen: Dance and Detours
8.226565
\2000
スヴェン・ヴィトフェルト・ニールセン:ダンス、そして遠回り
 1.ヴァイオリンと九重奏のためのトッカータ「ダンス、そして遠回り」(2002/2003改作)/
 2-4.夜の静けさの中で(1996)/
 5-9.シンフォニエッタ「王子と夢について」(1999/2000)/
 10-14.独奏ヴァイオリンのための小組曲「アリアとダンス」(2004)
ランダース室内管弦楽団/
デイヴィッド・リデル(指揮)/
ヘルゲ・スラーット(ヴァイオリン)
この作曲家、S.V.ニールセン(1958-)は、とにかく執拗でリズミカルな音楽を作り出すことに長けています。どの曲も印象的であり、予期せぬ驚きに満ちています。「王子と夢について」と題されたシンフォニエッタは、有名なアンデルセンの「人魚姫」を題材とした音楽劇で、比較的平易な作風で書かれています。ステキな王子と舞踏会を待ちわびる姫の気持ちが伝わるでしょうか?独奏ヴァイオリンのための小組曲は、見事過ぎるほどの音の戯れです。
Gunnar Berg: Chamber Music with Piano
8.226547
\2000
グンナー・ベルイ:室内楽作品集
 1.Tronque-切り捨てる(1969)/2.Tobrud-雪解け(1961)/
 3.ヴァイオリンとピアノのために(1960)/
 4-6.2台のチェロとピアノのために(ヴァージョン2)(1958)/
 7.Prosthesis-補綴(1954)/8.小品(1949)
ニルス・ウルナー(チェロ)…1.4-6/
ソレン・モンラッド(マリンバ)…1/
エーリク・カルトフト(ピアノ)…1-8/
シーネ・アムスセン(メゾ・ソプラノ)…2/
シーネ・マセン(ヴァイオリン)…2.3/
ケネス・ラーセン(バス・クラリネット)…2/
ヨン・エーデ(チェロ)…4-6/
トルベン・スネッケスタ(サクソフォン)…7/
アーネ・バルク=メラー(ヴァイオリン)…8/
ペア・モルテン・バイ(トランペット)…8
戦後ヨーロッパにおける国際的なモダニストたちのひとりである、グンナー・ベルイ(1909-1989)の作品集です。最近になってようやく母国デンマークでも彼の作品が知られるようになりました。このアルバムに収録されているのは1949年から1969年までの作品で、ピアノを中心に、サックス、トランペット、バス・クラリネットとマリンバを含む珍しい楽器の組み合わせの室内楽です。全ての音は象徴的な意味を持ち、必然性を帯びています。日本における現代音楽の歩みと比べてみるのも興味深いところです。

6.220571
(SACD-Hybrid)
\2200
ヨハネス・オケヘム:死者のためのレクイエム/ベント・セレンセン:レクイエム断章
 1.セレンセン:レスポンソリウム:神よ,われを思い出したまえ/
 2.オケヘム:入祭唱/
 3.オケヘム:キリエ/
 4.聖歌:続唱-「みいつの大王よ」-セレンセン:続唱「思い出したまえ」-聖歌:続唱「正しき裁判官よ」/
 5.セレンセン:涙の日/
 6.オケヘム:昇階唱/
 7.オケヘム:詠唱/
 8.セレンセン/オケヘム/モンテヴェルディ:聖なるかな/
 9.セレンセン:祝福あれ/
 10.聖歌:神の羊/
 11.オケヘム:奉献唱/
 12.セレンセン:楽園にて
アルス・ノヴァ・コペンハーゲン/
ポール・ヒリアー(指揮)
ポール・ヒリヤーの最新プロジェクトはオケヘム(1410?-1497)とデンマークの現代作曲家セレンセン(1958-)の作品集です。これは、ほぼ500年の年月を経て、2人の作曲家の魂が融合したかのような静謐で神秘的なレクイエムであり、音楽の懐の深さと、永遠に変わらぬ神への愛を実証するかのような確かな響きと法悦を感じさせます。あまりにも美しい声の芸術です。グラミー賞受賞のアルス・ノヴァ・コペンハーゲンの純粋な響きをSACDハイブリッドの高音質で。
Ib Norholm: Tavole per Orfeo
8.226068
\2000
イブ・ネアホルム:オルフェオのタブレット
 1-5.5つの歌曲集Op.44
  <雲/都市,秋/国の運命について話す/歌/証拠>…世界初録音/
 6-9.デンマークの詩集からの「フローラの花」Op.36より…世界初録音/
 10-15.オルフェオのタブレットOp.42/
 16-19.デンマークの詩集からの「フローラの花」Op.36より…世界初録音/
 20.天の死のささやきOp.103
エルセ・トープ(ソプラノ)/
ペア・パルソン(ギター)/
マティアス・フリース=ハンセン(パーカッション)
幼い頃から音楽の才能を発揮、16歳ですでに作曲家として活動を始め、18歳の時にはアンデルセンの物語をオペラにしたというネアホルム(1931-)。1950年、19歳でコペンハーゲンの王立音楽アカデミーで音楽史や理論を学ぶことで、更に才能に磨きをかけ、卒業後は若い作曲家のサークルの中心的人物をなりました。このアルバムは世界初録音を含む彼の作品集で、凝縮した音楽劇である「オルフェオのタブレット」と、ギターアレンジの「フローラの花」など、驚きとユーモア、そして静けさに満ちた刺激的な音楽をお届けします。

MARCO POLO


8.225981
\2000
シュポア:弦楽四重奏曲集第15集
 1-3.弦楽四重奏曲第19番イ長調
   「華麗なる四重奏曲 第4番」Op.68…世界初録音/
 4-7.弦楽四重奏曲第22番ニ短調 Op.74-3
モスクワ・フィルハーモニック・コンチェルティーノ弦楽四重奏団
<メンバー:
ヤロスラフ・クラスニコフ(第1ヴァイオリン)/
ソフィア・クラスニコワ(第2ヴァイオリン)/
オルガ・ズマーエワ(ヴィオラ)/
ヴィクトル・コゾドフ(チェロ)>…1-3/
新ブダペスト弦楽四重奏団
<メンバー:
アンドラーシュ・キシュ(ヴァイオリン)/
フェレンチェ・バログ(ヴァイオリン)/
ラースロー・バールショニ(ヴィオラ)/
カーロイ・ボトバイ(チェロ)>…4-7
 秘曲ファンにとって何よりの贈り物である、MARCOPOLOのシリーズ物。なかでも、このシュポア(1784-1859)の弦楽四重奏曲集は、音楽史の狭間に取り残されたシュポアに脚光を当てるものとしてファンの間から高く評価されています。
 今回の第15集は世界初録音の第19番と、1826年に作曲された第22番の2曲を収録しています。1822年からカッセルの宮廷楽長として働いていたシュポアですが、彼のヴァイオリンの腕を生かすために、第1ヴァイオリンを特に技巧的にした「協奏曲」とも言える弦楽四重奏曲を作曲しました。その第4番目に当たるのが、この1824年に作曲された第19番です。また第22番は、彼が弦楽四重奏曲の「真の形式」に到達した作品で、燃え上がる情念と、官能的なテーマが対位法的に処理され、全てが見事に統一された音楽です。

NAXOS


8.509002
(9CD)
\4400→¥3990
フランス国立リヨン管弦楽団&準メルクル
 ドビュッシー:管弦楽作品集全集

《CD1》
 1.牧神の午後への前奏曲/2-4.海/5.バレエ音楽「遊戯」/
 6-11.子どもの領分(A.カプレによる管弦楽編)/
《CD2》
 1.「ペレアスとメリザンド」交響曲(M.コンスタント編)/2-4.夜想曲/
 5.英雄の子守歌(管弦楽編)/6-8.12の練習曲より第9番,第10番,第12番/
《CD3》
 1-5.映像/
 6.ピアノのために-第2楽章「サラバンド」(M.ラヴェルによる管弦楽編)/
 7.舞曲(M.ラヴェルによる管弦楽編)/8.スコットランド行進曲(管弦楽編)/
 9.レントよりもおそく/
《CD4》
 1-7.聖セバスティアンの殉教<交響的断章
  (ユリの庭/法悦の踊りと第1幕の終曲/受難/よき羊飼い)/
  第2幕魔法の部屋より前奏曲/第3幕偽りの神の懐柔よりファンファーレ第1/
  第3幕偽りの神の懐柔よりファンファーレ第2>/
  8.バレエ音楽「カンマー」(C.ケクランによる管弦楽補筆編)/
  9-10.リア王(J. ロジェ=デュカスによる管弦楽編)
  <ファンファーレによる序曲/リア王の眠り>
 11.セーヌ・リリック「放蕩息子」より「行列と踊りの歌」/
《CD5》
 1-7.おもちゃ箱(C.ドビュッシー,A.カプレによる管弦楽編)/
 8.バッカスの勝利(M.F.ガイヤールによる管弦楽編)/
 9-14.6つの古代の墓碑銘(E. アンセルメによる管弦楽編)/
《CD6》
 1-3.白と黒で(R.ホロウェイによる管弦楽編)/
 4-7.小組曲(H.ビュッセル編)/8-11.ベルガマスク組曲(G.クロエ編)/
 12.喜びの島(B.モリナーリ編)/
《CD7》
 1-12.前奏曲集第1集(C.マシューズによる管弦楽編)/
 13-14.交響組曲「春」(H.ビュッセル編)/
《CD8》
 1-12.前奏曲集第2集(C.マシューズによる管弦楽編)/
 13.版画第1番「塔」(A.カプレ編)/
 14.版画第2番「グラナダの夕べ」(H.ビュッセル編)/
 15-17.交響曲ロ短調(T.フィーノによる管弦楽編)/
《CD9》
 1-2.幻想曲/3.クラリネットのための第1狂詩曲/
 4.幻想曲(管弦楽編曲:R.ロジェ=デュカス)/
 5-6.2つの舞曲「神聖な踊りと世俗の踊り」
フランス国立リヨン管弦楽団/
準メルクル(指揮)
 準・メルクルによるドビュッシー(1862-1918)の管弦楽作品全集です。このBOXには本来の管弦楽曲だけでなく、多くの管弦楽編曲(他の人の手によるものも含まれる)も収録されているのが特徴です。印象派を代表するドビュッシーの管弦楽の扱いの巧さについては今さら語る事もないでしょう。変幻自在に色を変える「海」の描写に始まり、「夜想曲」や、「牧神の午後への前奏曲」など、聴いているだけで、目の前に「音で描いた絵画」が立ち現れます。また彼を信奉する作曲家たちは、この手法を模倣するかのように、ピアノ曲などに素晴らしいオーケストレーションを施したのです。作品としての興味も、音としての興味も全て満足させてくれる充実のこのセット、ドビュッシー生誕150年を記念するにふさわしい贈り物と言えるでしょう。

8.572775
\1100
ウォレス:ケルト幻想曲集
 1.あま色の髪の若者-私のラッド、笛を吹けば私はあなたのところへ行くでしょう/
 2.私のナニーによる華麗なる幻想曲-マイ・アイン・カイン・ディアリー&ボニー・ダンディ/
 3.悲しい夜はとても早く過ぎていく-ラッソ・ゴーリー/
 4.栄光の待つところへ行こう-愛の若き夢/
 5.あなたがジェイミーから離れるとき/
 6.タラのホールでハープが聞こえてくるのは1度だけ-まだ飛ぶの/
 7.デズモンドの歌/8.春の日の花と輝く-アイルランドの旋律/
 9.スコットランドの釣鐘草/
 10.「ロイの妻」と「私たちは居眠りをする」
   のエコセーズによるピアノのためのサロン風な華麗なる幻想曲/
 11.ジョン・アンダーソン、マイ・ジョー-ジェミー、あなたは永遠に私の元からいなくなった/
 12.The Weary Pund o' Tow-幸運はこの家のあたりにある/
 13.輝く川の流れ-ノラ・クレイナ/14.マギー・ローダー/
 15.スコットランドの旋律による小ロンド-愛しのチャールズ王子/
 16.キンロック・オブ・キンロック-私はママのかわいい子/
 17.スコットランド賛歌/18.ホーム・スウィート・ホーム(埴生の宿)/
 19.川の岸と堤/20.老いたロビン・グレイ-ボートを漕ごう
ローズマリー・トゥック(ピアノ)/
リチャード・ボニング(ピアノ)…19
 確かにオペラ編曲集(8.572774)では、なかなか面白い作曲家だな、と思いはしたものの、なんとなくリストの亜流っぽさを感じてしまい、愛するまでには至りませんでした。しかし、このアルバムを聴けばそんな偏見が吹っ飛んでしまいました。ここに収録されているのは、数々の懐かしいメロディです。
 ウォーターフォード生まれの作曲家ウォレス(1812-1865)は、若いころからアイルランドとスコットランドの民謡を愛し、これらを超絶的なピアノ作品へと生まれ変わらせました。これは、当時まだまだ音楽的に未熟だったアイルランドの音楽産業の急成長に合わせ書かれたものですが、複数の曲をつなぎ合わせ、華麗なピアノ曲として聞かせる才能は、なかなかあるものではありません。異色の経歴を持つ人とされますが、大地震の遭遇や猛獣との格闘など、その大半は眉唾ものらしい彼。しかしピアニストとしての華々しい活動歴は真実だったのだな。と信じるに値する技巧的な作品群です。日本でもおなじみのメロディが至るところに現れは消えていく楽しさをぜひ味わってみてください。

8.572212
\1100
ペンデレツキ:シンフォニエッタ・カプリッチョ他
 1-3.古い形式による3つの小品(1963)/4-5.セレナード(1997)/
 6-7.シンフォニエッタ第1番(1992)/8.24の弦楽器のための間奏曲(1973)/
 9.オーボエと弦楽オーケストラのための奇想曲(1964)/
 10-13.シンフォニエッタ第2番(1994)
アルトゥール・パフレフスキ(クラリネット)…10-13/
ジャン・ルイス=カペッツァーリ(オーボエ)…9/
ワルシャワ・フィルハーモニック室内管弦楽団/
アントニ・ヴィト(指揮)
 常に高い評価を受けているヴィトによるペンデレツキ・シリーズです。
 今作は、彼の約30年間にわたる6つの作品を収録していて、ペンデレツキ(1933-)の多彩な魅力を万遍なく楽しむことができる構成になっています。1963年に書かれた「古い形式による3つの小品」は、もともと映画のために構想された作品で、明らかに後期ロマン派風のバロック作品のバスティーシュです。当時の若い作曲家は前衛的なスタイルを持ちながらも、このような作品を書くことで自らの音楽技法を認めさせたのです。その翌年に書かれた「奇想曲」は明らかに現代に属するもの(それもペンデレツキの最も過激なスタイル)で、各々の楽器がつぶやきつつ、絡み合う様を見事に描いたものです。最近は懐古的な作風へと変化していると言われる彼の音楽ですが、1990年代の作品を聴いてみていただければ、その見解に納得がいくかもしれません。



旧譜より
アントニ・ヴィト&ポーランド国立放送カトヴィツェ響
ペンデレツキ:管弦楽曲集第1〜3集
8.554491
\1100
ペンデレツキ(1933- ):<管弦楽曲集第1集>
 交響曲第3番、
 広島の犠牲者の追悼のための哀歌、
 フローレセンセス、デ・ナトゥーラ・ソノリス第2
アントニ・ヴィト指揮 
ポーランド国立放送
 カトヴィツェ交響楽団
 トーン・クラスターの手法で前衛音楽シーンを席巻したペンデレツキの作品集がスタート。第1弾は代表作「広島〜」をはじめ前衛時代の作品と、ネオ・ロマンの調性音楽に回帰した1988-95年作曲の交響曲。
 この音楽の恐ろしいまでの悲痛さを何と表現したらよいのでしょうか?弦楽オーケストラのための「広島の犠牲者に捧げる哀歌」はまさに阿鼻叫喚、20世紀最悪の地獄絵図を雑音をたてるなどの特殊奏法や、集団によるクラスター、グリッサンドといった技法を大胆に駆使することによって描きつくした究極の音楽です。実のところ当初ペンデレツキは、抽象的なタイトルを与えることを想定してこの作品の創作に当たったということですが、できあがってみてビックリ、余りにおどろおどろしい音楽となっていたため現行のタイトルとなったという裏話もあるようですが、この凄まじさはホンモノです。心臓に悪い一曲ですので、十分に覚悟を決めてお聴きになられてください。
8.554567
\1100
ペンデレツキ(1933- ):<管弦楽曲集第2集>
 交響曲第5番、同第1番
アントニ・ヴィト指揮 
ポーランド国立放送
 カトヴィツェ交響楽団
 シリーズ第2弾は、実験的野心作の「交響曲第1番」(1972-73年作)と調性回帰の「交響曲第5番」(1992年作)のカップリング。
 92年にソウルで初演(韓国民謡も織り込み)された「第5番」は単一楽章形式により、緩急や強弱のコントラストを特徴とします。80年代以降の作曲者は自ら頻繁に指揮したショスタコーヴィチ作品に影響を受け、それはここでも明らかです。クライマックスが明確で、マーラー的な金管の咆哮もあり、もっと近現代管弦楽曲ファンに聴かれてよいのではないでしょうか。73年に初演された「第1番」は続けて演奏される4つの部分から成ります。作風の転換期にあり、過去の激烈な音響の試みの刻印を残しているため、現代音楽ファン向けです。
8.554492
\1100
ペンデレツキ(1933- ):<管弦楽曲集第3集> 
 交響曲第2番「クリスマス」、同第4番
アントニ・ヴィト指揮 
ポーランド国立放送
 カトヴィツェ交響楽団
 先月リリースの第1&2集に続く交響曲シリーズの続編は、ネオロマン的な作風転換を世界に知らしめた「第2番」と、同様の路線である「第4番」のカップリング。これが廉価盤で聴けることも、20世紀音楽ファンにとっては朗報。
 79年のクリスマスイブに作曲開始、翌年初頭に完成した交響曲第2番は、ペンデレツキの中で最も親しみやすい作品、という評さえありますが、果たしてどうでしょうか。うっかりしてると、「きよしこの夜」の引用にも全く気づかないかも。結局クリスマスっぽい雰囲気とは無縁で親しみやすくはないけれど、作曲後のポーランドの不安定な政情を予見させる、真摯な力作なのです。仏革命二百周年のために書かれ89年にパリで初演された第4番は、80年代後半の作曲者の作風を代表する作品。楽想は落ち着かず変転し、アイロニカルな雰囲気(そこがいい)に支配されます。

8.572902
\1100
夕べの歌 〜 J.L.ウェッバーによるディーリアスとアイアランドの歌曲編曲集
 1.ディーリアス(1862-1934):日暮れ/
 2.アイアランド(1879-1962):春の悲しみ/3.ディーリアス:高き城の庭の鳥/
 4.アイアランド:夕べの歌/5.ディーリアス:ハーレムの庭/
 6.ディーリアス:愛の哲学/7.アイアランド:海ヘの情熱/
 8.ディーリアス:高き山脈/9.アイアランド:聖なる少年/
 10.ディーリアス:「ハッサン」よりセレナーデ/
 11.ディーリアス:長い長い年を通して/12.アイアランド:赤ちゃん/
 13.ディーリアス:三羽のからす/14.アイアランド:小さな小鳥/
 15.アイアランド:希望/16.アイアランド:若者の恋/
 17.ディーリアス:眠りの歌/18.アイアランド:夏の計画/
 19.ディーリアス:あなたの青い瞳とともに/
 20.アイアランド:彼女の歌/
 21.アイアランド:夏の森にて ※3.4.21…世界初録音
ジュリアン・ロイド・ウェバー(チェロ&編曲)/
チェン・ジアシン(チェロ)…4.21/
ジョン・レナハン(ピアノ)
 近代イギリス音楽は、どれも渋い美しさに彩られていることを誰もが知っていますが、ここで聴くことのできる「チェロで奏でる歌曲集」は一層磨きのかかった美を有しているように思われます。心の底に沈みこんでいくような深いチェロの音色と、哀愁を帯びた旋律。これを耳にして涙しない人はいないはず。
 チェロを演奏するJ.L.ウエッバーについては今さら語る必要もないでしょう。「オペラ座の怪人」でおなじみ、アンドリュー・ロイドの弟であり、父も作曲家という、まさに音楽の申し子。ディーリアスとアイアランドの繊細な感情を見事にチェロへと移し替えています。アイアランドのピアノ作品集でおなじみのレナハンの伴奏も、思いのたけを伝えるかのような雄弁さです。

8.572680
\1100
ヴァイス:リュートのためのソナタ集第11集
 1-6.リュート・ソナタ第39番ハ長調「パルティータ・グランド」/
 7-13.リュート・ソナタ第96番ト長調/
 14-20.リュート・ソナタ第30番変ホ長調
ロバート・バート(バロック・リュート)
 お待たせしました。本当にどうしてこんなにファンがいるの?と驚くほどに、リュート・ファンの間で人気が高いヴァイス(1687-1750)のソナタ集、待望の第11集です。
 バッハと同じ年に没した作曲家ですが、当時、イタリアとフランスのスタイルをミックスした「当時の現代音楽」を書いた人であり、もちろん最大のリュート奏者としても活躍していました。このアルバムでも、いつものように3曲が収録されていて、どれもが素晴らしい霊感に満ちています。
 第39番は、まるでリュリの作品のようなフランス風序曲で始まる壮大な曲であり、第96番は作曲家の死後、10年経ってモスクワで写譜が発見された曲。比較的容易な技巧で書かれていて、恐らく教育用と思われます。第30番は1725年から30年の間に書かれたもののようで、前奏曲はあとから付されました。なぜかというと、ヴァイスは譜面にアルマンドから記すことで、前奏曲はその場で即興演奏することを好んだからだと言われています。なんとも楽しい話ではありませんか?演奏はおなじみ、名手バートによるものです。


ヴァイス・シリーズ最近のアルバムから
 NAXOSで続々進行中のバルトによるヴァイスのリュート・ソナタ集 。素敵だから続くのである。

 18世紀、すでに人々はリュートを時代遅れの産物として扱い始めていた。
 演奏は困難、調弦も困難、楽器は高価で、ガット弦も高価。それよりもっと簡単で安価で、楽しそうな楽器がほかにいっぱいある。
 ・・・なのになぜヴァイスは時代遅れのこの楽器のために人生を費やしたのか。後継者も現れそうにない、時代に取り残されたこの楽器に、彼はなぜそこまでこだわったのか。何かにとりつかれたかのように。
 レオポルド・ヴァイス。1686年ドイツ生まれ。彼は18世紀ドイツ最高のリュート奏者と呼ばれ、生涯に600近いリュート作品を残した。それは1人の作曲家がこの楽器のために残したものとしては最大である。
 そしてその質も高い。彼は若いときからヨーロッパのさまざまな音楽都市を旅し、さまざまな音楽技法や感情表現方法を身に付け、イタリアの情熱的なロマンとフランスの様式美を独自の手法で融合したと言われている。そんな彼のリュート作品はしばしばバッハの鍵盤作品と比較され、同等の価値があると評された。(ちなみにバッハとヴァイスは友人だった)
 しかし、バッハが心酔した鍵盤楽器はその後大進歩を遂げて楽器の王様になったが、ヴァイスの愛したリュートは数年後には音楽界から姿を消した。そして楽器同様、バッハの名は今の世も奉られているが、ヴァイスの名は人々の記憶から消滅した。もちろんバッハは鍵盤楽器以外にも多くの傑作・大作を残し、一方のヴァイスはリュート曲以外にはほとんど手を付けなかったから、作曲家としての偉大さでは両者はまったく比較にならない。しかしこと「鍵盤楽器」と「リュート」という、両者こだわりの楽器での対決になったら、「同等の価値がある」という当時の人々の意見に店主は激しく同意する。バッハの鍵盤作品の素晴らしさをもちろん認めたうえで、ヴァイスのリュート作品にはそれに匹敵する魅力があると思うからである。
 論より証拠、NAXOSから出ているロバート・バートのアルバムから、どれでも手にとって聴いてみてほしい。本当にどれでもいい。・・・そのあふれる詩情、切ない抒情、自由で豊かな発想、新鮮で聡明なメロディー、・・・もう一発でその素敵な魅力の虜になってしまうのは間違いない。
 音楽史上からリュートという楽器が消えてしまったのだから、これだけの名作でも次第に聴かれなくなっていったというのは当然だと思う。・・・しかし現在ヴァイスの作品を再現してくれる人が少しずつ現れ始め、そして我々もその作品を耳にすることができるようになってきているのであれば、これからは、人生のいろいろな場面で遠慮なくこの音楽を享受していっていいと思う。
 実際店主がNAXOSの膨大なCDの中で最も頻繁に手にとるのはこのアルバムたちであり、正直これらのアルバムが日常生活からなくなるとちょっと困る。

 ヴァイスの音楽を聴いていて思うのである。
 彼の音楽はピアノではだめ、ヴァイオリンでもだめ、管楽器でもだめだし、もちろん合奏でもだめ。リュート独奏でないとだめなのである。彼の心に湧き上がった霊感を表現できるのはリュートという楽器しかありえなかった。そこに理由はない。なぜリュートだったのか、きっと本人もわからなかっただろう。
 ただ、彼とリュートはそういう運命にあったのである。


8.557806
\1100
ヴァイス:リュートのためのソナタ集 第7集
 ソナタ第15番
 ソナタ第48番
ロバート・バルト(バロックlute)
ヴァイスは没年が大バッハとぴったり重なったわけですが、当盤に聴くソナタ「第15番」は、音楽の実質もバッハ的と言えるでしょう。冒頭の朗々とした「アルマンド」から、まるでバッハの無伴奏チェロ組曲を聴いているかのような感触があります。再晩年作の「第48番」は、当時としては珍しい嬰ヘ短調という調性を採用し、演奏技巧的にも極めて難しく、そして流れるような美しさを持つ作品に仕上がっています。スカルラッティの鍵盤ソナタにも比肩しうる名作と言えるでしょう。バルトの演奏は常に見事、録音状態も良好です。

8.570109
\1100
ヴァイス:リュートのためのソナタ集 第8集
 ソナタ第36番
 ソナタ第19番
 ソナタ第34番
ロバート・バルト(バロックlute)
バッハと同じ年に亡くなったヴァイスのリュート・ソナタを、日本を含め世界中で活躍するリュート奏者バルトが弾く絶好調のシリーズ、その第8集です。「第36番」のサラバンドは主な調性であるニ短調ではなくヘ長調で、天国的な平和を表現。「第19番」のアルマンドでは、息の長い旋律に、思わず耳が引き寄せられます。ヴァイスの特徴的な一面である癒し系のサウンドに感嘆!「第34番」は、数多いヴァイスのリュート・ソナタの中でも特に有名な作品。大バッハの峻厳な音楽を想起させる充実したソナタは、激しい「ジグ」で締め括られます。リュートの典雅な響きと技巧性を融合させた手腕には脱帽です。

8.570551
\1100
ヴァイス:リュート・ソナタ集 第9 集
 1-6.ソナタ 第52 番 ハ短調/
 7-13.ソナタ 第32 番 ヘ長調/
 14-18.ソナタ 第94 番 ト短調
ロバート・バルト(リュート)
※ 2004 年 アンドリュー・ラタフォード制作のリュート使用
ヴァイス(1687-1750)が亡くなった年(バッハと同年)、彼はヨーロッパの最も偉大なリュート奏者、最も才能ある音楽家の一人として賞賛された。ヴァイスの時代のリュートはルネサンス時代のものよりも大型化し、奏法も複雑になり、もちろん書かれた曲も精緻極まるものでした。このアルバムに収録された第52 番はその中でも規模が大きくさまざまな手法を用いて書かれており、実に聴き応えのある曲。若干規模の小さい第94 番、第32 番とともにじっくりお楽しみください。

8.572219
\1100
ヴァイス:リュートのためのソナタ集第 10 集
 1-6.ソナタ第28 番ヘ長調「有名な海賊」/
 7-12.ソナタ第40 番ハ長調/13.ロジ伯爵の死を悼むトンボー
ロバート・バルト(リュート)
 NAXOS の人気シリーズ、ヴァイス(1687-1750)のリュート作品集もついに第10 集を数えました。シリーズを通して深い解釈を聴かせるロバート・バルトの冴え渡る技巧も、ますます深化を遂げています。
 このアルバムでは2 曲のソナタを中心に収録。どちらもかなり規模の大きな作品で、静けさの中に周到に張り巡らされた音の迷宮を彷徨う楽しみを味わうことができるでしょう。
 「有名な海賊」と題された第28 番のソナタは、恐らく1719 年頃の作品で、その前年に海上で戦死した「黒ひげ」と呼ばれる海賊の追悼の意味で書かれた作品といわれていますが、詳しいことはよくわかっていません。最後の曲に名前の残るロジ伯爵は、実は素晴らしいリュート奏者で、当時「リュートの王子」と呼ばれた名手です。もし彼が貴族でさえなかったら、後世に残る音楽家になっていたに違いありません。ヴァイスも多大なる影響を受けており、伯爵が亡くなった時に音による賛辞を送ったのです。



8.559705
\1100
ガーシュウイン:へ調の協奏曲 他
 1-3.へ調の協奏曲(1925)/
 4.ラプソディ第2番/5.「アイ・ガット・リズム」変奏曲
オリオン・ウェイス(ピアノ)/
バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団/
ジョアン・ファレッタ(指揮)
 ガーシュウィン(1898-1937)の「もう一つのピアノ協奏曲」である「へ調の協奏曲」です。代表作「ラプソディ・イン・ブルー」に比べると、古典的な形式に近づいているのは、この曲を作るためにガーシュウィンは、わざわざ音楽理論書を購入して、楽典から学びなおしたのだとか。もちろん前作のように、オーケストレーションを他の人の手に委ねることはなく、全て自らの手でスコアを書いたというのだから、その努力の凄まじさには敬服する他ありません。初演はガーシュウィン自身のピアノと、彼にこの作品を委嘱したダムロッシュの指揮、ニューヨーク交響楽団によって行われ、ジャズでもなくクラシックでもない新しい音楽は当時の聴衆を翻弄しました。もともと映画音楽として構想された「ラプソディ第2番」はマンハッタンの街並みを音に移したもの。彼の最後のフルスコアである「アイ・ガット・リズム」変奏曲も泣かせます。

8.572625
\1100
バラダ:カプリチョス第1番&第5番他
 1-7.カプリチョス第1番「フェデリコ・ガルシア・ロルカへのオマージュ」(2003)
  <4人のろばひき男たち/ラ・タララ/巡礼/セビリアーナ/
  遠くへ/子守歌/ザパテアード>/
 8-11.カプリチョス第5番「イサーク・アルベニスへのオマージュ」(2008)
  <トリアーナのクリスタル/セビリア聖体祭りのクリスタル/
   エヴォカシオンのクリスタル/セビリアとエルバイシンのクリスタル>/
 12.ハーレムの小さな夜の音楽(2006)/13-14.リフレクションズ(1988)
ベルトランド・(ギター)…1-7/
アルド・マータ(チェロ)…8-11/
タチアナ・フランコ(フルート)…13-14/
イベリア室内管弦楽団/
ホセ・ルイス・テーメス(指揮)
 NAXOSレーベルが殊の外力を注ぐ作曲家の一人が、このバラダ(1933-)です。民族性と伝統、アバンギャルドと現代性。これらを融合させ(かなり)スパイスを利かせた味わいは、曲によって多少のばらつきはあるものの、まるで匂いの強いチーズのような味わいであり、好きになったら手放せない中毒性を帯びています。
 このカプリチョスは、どちらも偉人たちへのオマージュと銘打たれていますが、内容はギターとチェロの協奏曲風な作りです。まあ、とにかく内容がエキサイティング。まさに血わき肉躍るといった表現がぴったりです。かき鳴らされるギター、叩き付けるようなヴァイオリン。「なぜここまで?」と思うほどに激しく、胸を打つ音楽が押し寄せてきます。「子守歌」でさえ、ゆったりとしたギターの歌は不安げな弦にかき消されるかのようです。アルベニスのピアノ曲からインスピレーションを受けた「第5番」も強烈な音楽です。著しく変貌したモーツァルト風の「夜の音楽」、扇情的な「リフレクション」。ああ、もうやめられない!

8.572837
\1100
Converging Coltures…集中する文化
 1.トゥリーナ(1882-1949):ロシオの行列(A.リード編)/
 2.バーンスタイン(1918-1990):ウェスト・サイド・ストーリーより
  「シンフォニック・ダンス」(P.ラヴェンダー編)/
 3-5.ボニー(1974-):カオス理論/
 6.ニクソン(1921-2009):太平洋の祭り/
 7-9.コー=チャン・スー(1970-):韓国舞曲<前奏曲/パッサカリア/ロンド:終曲>
フレッド・ハミルトン(ギター)…3-5/
ローン・スター・ウィンド・オーケストラ/
ユージン・ミリアーロ・コーポロン(指揮)
 スペイン、アメリカ、韓国、環太平洋、そしてロック(これは国ではないですね)・・・。これらを代表する色とりどりの音楽を舞曲を中心に集めてみました。トゥリーナによるスペインのお祭りの行進曲、誰もが知っているマンボやチャチャチャを駆使したバーンスタインの作品、ボニーの「カオス理論」はハードロック調のギター協奏曲、ニクソンの「太平洋の祭り」はカリフォルニアの景色を描いたもので、チャン・スーの「韓国舞曲」は文字通り、韓国のエキゾチックな伝統的リズムを配した曲。どこもかしこもピカピカで楽しさに満ち溢れた聴きごたえのある1枚です。
 演奏しているローン・スター・ウィンド・オーケストラはアルバム「アメリカン・タペストリー」(8.570968)の演奏が高く評価されていますが、ここでは一層磨きをかけたアンサンブルで、これらの難曲を完璧に演奏しています。これはスゴイです。

8.572684
\1100
トマス・マルコ:交響曲第2番,第9番&第8番
 1.交響曲第2番「閉ざされた空間」/
 2-3.交響曲第9番「タラッサ」<水の神/海の神>…世界初録音
 4-6.交響曲第8番
     「大地の舞曲」…<ゴンドワナ大陸/ローラシア大陸/パンゲア大陸>世界初録音
マラガ・フィルハーモニー管弦楽団/
ホセ・セレブリエール(指揮)
 不思議な魅力を持ったギター曲集「タロット」で知られるスペインの作曲家トマス・マルコの交響曲集。第8番と第9番は世界初録音。タイトルもこの人らしい神秘的なもの。

 マドリードで生まれた作曲家トマス・マルコ(1942-)は、法律を学びつつ、音楽(作曲とヴァイオリン)を、彼曰く「少年のように」学んだという人。フランスでブーレーズとマデルナ、ドイツでシュトックハウゼンに就き、1967年には彼の助手にもなっています。心理学、社会学も取得、作曲だけでなく教師としても活躍しています。この交響曲集は、彼のインスピレーションの源を探るかのような曲集であり、第2番以外は世界初録音となっています。第9番「タラッサ」は神話の女神の名前であり、中世の旋律を素材とし、それらを念入りな色彩の音色で彩るというもの。また交響曲第8番は、各楽章に「幻の大陸」の名前が付けられていて、そのどれもが活発な舞曲のリズムで描かれています。スペイン風な音楽とは違った味わいですが、畳み掛けてくるような迫力に満ちた音とリズムは、一度聴くと病みつきになること間違いなしです。


トマス・マルコ
先日紹介したギター曲集「タロット」
 南米のレーベルで一度だけリリースされたトマス・マルコのギター曲集「タロット」。廃盤後どこからもCDが出なかったが、ついにDYNAMICからリリースされることになった。
 その名のとおりちょっとエキゾチックでミステリアス。少し黒魔術っぽい雰囲気のある作品。


DYNAMIC
CDS 708
\2200
トマス・マルコ:ギターのための作品
  22のタロット
    愚者、魔術師、女教皇、女帝、皇帝、教皇
    恋人達、戦車、力、隠者、運命の輪、正義
    吊された男、死神、節制、悪魔、塔
    星、月、太陽、審判、世界
  早口で呟きながら
  火のソナタ
マルチェッロ・ファントーニ(G)
録音:2010 年4 月、ミラノ,2011 年7 月、ローディ/DDD

 トマス・マルコは1942 年、マドリッド生まれのスペインの作曲家。現代スペインの重要な作曲家です。ギター作品も多数残しており、ここに収録されているのはいずれも1990 年代の作品。 スペインのギターの伝統を受け継ぎつつ、現代的な感性を湛えたマルコの音楽は、たいへん魅力的です。
 マルチェッロ・ファントーニは、8 歳からギターを学び、ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で学んだイタリアのギタリスト。

8.572441
\1100
グリーグ:弦楽四重奏曲集(弦楽合奏版) 他
 1-4.グリーグ(1843-1907):弦楽四重奏曲ト短調 Op.27
  (A.エルダルによる弦楽オーケストラ編)/
 5-6.グリーグ:弦楽四重奏曲ヘ長調
  (A.エルダルによる弦楽オーケストラ編)/
 7-9.ヌールハイム(1931-2010):ランデヴー
  <プレアンブルム/間奏曲/弔辞>
オスロ・カメラータ/
ステファン・バラット=ドゥーエ(指揮)
 グリーグの完成された唯一の弦楽四重奏曲であるト短調(第1番は紛失、第3番は未完で、この作品は実質第2番にあたるもの)は、1877年から1878年にかけて作曲されました。当時、妻との関係悪化やその他の人間関係に疲れていたグリーグは、ハルダンゲル地方に自分自身のために建てた作業小屋に籠ることで、瞑想と精神集中にふけることができました。彼は、夏の夜に心から愛する湖のほとりを歩くことで、自らの心と向かい合い、新たな楽想を得たのでしょう。出来上がったこの弦楽四重奏曲は、漲る気迫と、美しい民謡調の旋律が交錯するもので、それまで大切に積み上げてきた民謡への愛着と、西洋音楽への回帰の両方が感じられる見事な作品となったのです。このアルバムでは、1892年に書かれた未完の第3番とともに、弦楽合奏に編曲された版をお聞きいただくことができます。一層高らかに歌い上げられる感情の発露は、聴き手の心を強く揺さぶります。同時収録のヌールハイムの作品は、20世紀を象徴するかのような、聴き手に痛みを突き付ける音楽。強烈な慟哭を味わってください。

8.572569
\1100
ドホナーニ:弦楽四重奏曲第1番&第3番
 1-3.弦楽四重奏曲第3番イ短調 Op.33/
 4-7.弦楽四重奏曲第1番イ長調 Op.7
アヴィヴ弦楽四重奏団
<メンバー>
セルゲイ・オストロフスキー(第1ヴァイオリン)/
エフゲニア・エプシュタイン(第2ヴァイオリン)/
ナタン・ブラウド(ヴィオラ)/
ラケル・マーサー(チェロ)
 ハンガリー出身の作曲家ドホナーニ・エルネー(1877-1960 作品を発表するときはエルンスト・フォンとドイツ語名を名乗っていた)は、指揮者、ピアニスト、教育者として活躍し、作曲家としても多くの作品を残しています。バルトークと同世代でありながら、その作風は対照的であり、彼は亡くなるまで、19世紀ロマン派の伝統を忠実に守り続けたことでも知られます。とはいえ、このアルバムに収録された2つの四重奏曲は、その作曲年代におよそ25年の開きがあり、その作風もかなり変化していることが見てとれるでしょう。1899年に書かれた第1番は、ブラームス風の美しいメロディに、ハンガリーの民族要素を少しだけ加えた表情豊かな作品で、ちょっとだけドヴォルザークの雰囲気も感じさせる面白い曲です。それに比べ、1926年に書かれた第3番は、より洗練された構造と、新古典派風の活気に満ちた楽想が自慢の曲。冒頭こそロマン派風ですが、ぶつかりながらはじけ飛ぶ音の粒は、満たされない気持ちを語るかのように、何かを強く訴えかけてきます。近代音楽を得意とするアヴィヴ弦楽四重奏団は、この複雑な作品を、すみからすみまで風通しよく聴かせます。

8.571289
\1100
イディル・ビレット/アーカイヴ・エディション第12集
 ラフマニノフ:6つの楽興の時Op.18 他
  1-6. 6つの楽興の時Op.16
   <変ロ短調/変ホ短調/ロ短調/ホ短調/変ニ長調/ハ長調>/
  7.コレッリの主題による変奏曲Op.42/
  8-10. 13の前奏曲Op.32より
   <第1番ハ長調/第5番ト長調/第12番嬰ト短調>
イディル・ビレット(ピアノ)
 『私の師であるナディア・ブーランジェは、私がラフマニノフ(1873-1943)の第3番の協奏曲を演奏するように依頼を受けた時、「大惨事が起きるから」と反対しました。しかし、私はラフマニノフの音楽の中に偉大なる貴族性を認めたのです。その後、私が「コレッリの主題による変奏曲」を演奏した時、ようやく彼女は完全に意見を変え始めたのです。…イディル・ビレット回顧録(2006)より』 彼女のラフマニノフに意見するのだとしたら、それはブーランジェ自身がラフマニノフに反感を持っていたのでは?と勘ぐってしまいたくなるような、説得力のある演奏です。重厚なタッチと技巧、漲る情緒。ラフマニノフの雄大な楽想を表現するのに、ビレットほどふさわしい人はいないのではないでしょうか?その後の彼女による協奏曲を始めとした一連の演奏を聴けば、それは一目瞭然です。

8.572225
\1100
チャイコフスキー:18のピアノのための小品Op.72
 1.即興曲ヘ短調/2.子守歌/3.やさしい非難/4.性格的舞曲/
 5.瞑想曲/6.踊りのためのマズルカ/7.演奏会用ポロネーズ/
 8.対話/9.少しシューマン風に/10.幻想的スケルツォ/
 11.火花のワルツ/12.いたずらっ子/13.田舎のエコー/14.悲しい歌/
 15.少しショパン風に/16.5拍子のワルツ/17.遠い昔/
 18.踊りの情景、トレパークへの誘い
コンスタンティン・シャムライ(ピアノ)
 数多くのピアノ曲を作曲したチャイコフスキー(1840-1893)ですが、この「18の小品」は、彼の最晩年、死の半年前に完成させた極めて完成度の高い曲集です。1曲1曲が、よくあるようなサロン風の小品とは一味違った深い味わいを持ち、詩情豊かで独創的な世界を構築しています。友人や同僚に捧げられた曲や内省的な曲が多く見受けられるのは、少しだけ人生に疲れていたチャイコフスキーが、自らの辞世の句として書いたのかもしれません。
 ここで素晴らしいピアノを聴かせるのは、2008年シドニー国際ピアノ・コンクールの入賞者、コンスタンティン・シャムライです。彼の演奏は、悲観的になりがちなこの曲集の表現に若々しい息吹を与えています。なお、管弦楽版の第10曲「幻想的スケルツォ」を耳にしたことがある人もいるかもしれません。これは、チャイコフスキーが交響曲「人生」として構想し、途中で投げ出してしまった作品を、後に作曲家ボガティリェフが拾い上げ、4楽章形式の交響曲として創り上げた際、第3楽章に取り入れたヴァージョンです。

8.572516
\1100
ソレル:鍵盤楽器のためのソナタ集第16番-第27番
 1.ソナタ第16番変ホ長調/2.ソナタ第17番変ホ長調/3.ソナタ第18番ハ短調/
 4.ソナタ第19番ハ短調/5.ソナタ第20番嬰ハ短調/6.ソナタ第21番嬰ハ短調/
 7.ソナタ第22番変ニ長調/8.ソナタ第23番変ニ長調/9.ソナタ第24番ニ短調/
 10.ソナタ第25番ニ短調/11.ソナタ第26番ホ短調/12.ソナタ第27番ホ短調
ヴェスタルド・シムクス(ピアノ)
2009年第55回マリア・カナルス国際ピアノコンクール第1位
 カタルーニャの作曲家、ソレル(1729-1783)のソナタ集です。第1集(8.572515)の15曲とともに、ケンブリッジのフィッツウィリアム博物館所蔵の原稿による演奏で、この27曲分のスコアのみが、彼の真筆とされています。これらのソナタは、いくつかの例外を除くと、2つの同じ調性のソナタが対になっていて、どれもエレガントな"遅い部分"と、極めて活動的でよく動く「速い部分」が見事なコントラストを形成していて、この第2集のソナタはすべてその法則に当てはまり、実質6曲のソナタと見た方がよさそうです。とにかくまだまだ研究の余地のある興味深いこれらの作品を、2009年マリア・カナルス国際ピアノ・コンクールの覇者シムクスが見事な技巧で聴かせてくれます。

8.572665
\1100
リピンスキー:奇想曲Op.10&Op.27
 1-3. 3つの奇想曲Op.10
  <第1番ホ長調:モデラート/第2番嬰ヘ短調:モデラート/
   第3番ホ長調:アダージョ-アレグロ・コン・フォーコ>/
 4-6. 3つの奇想曲Op.27
  <第1番変ロ短調:アレグレット・マ・エネルジーコ/
   第2番嬰ト短調:ラルゴ-アレグロ/
   第3番ト短調:アダージョ-アレグロ・リステッソ・テンポ>
チェン・シ(ヴァイオリン)
 「ポーランドのパガニーニ」の異名をとる名手リピンスキー(1790-1861)。彼はドレスデン宮廷でカペルマイスターを務めた経歴もある凄腕です。ラジニポドラスキーの音楽一家に生まれたリピンスキーは、最初父から音楽の手ほどきを受けましたが、溢れ出る才能はすぐに父親を追い越し、8歳の時にはプレイエルと協奏曲を演奏するまでに成長しました。驚いた父は、モーツァルトのように「ヨーロッパの演奏旅行」を企画したといいます。しかし、謙虚な性格だったリピンスキーはそれを拒否、ポーランドを出ることはありませんでした。19歳の時にはオペラ指揮者として地域のオーケストラを指揮し、22歳の時に楽長に昇格。また20歳でヴァイオリンをはじめ、シュポアと交友関係を結びます。その後ミラノでパガニーニと出会い、一緒に演奏会を行うまでに意気投合したのです。2人は真の芸術家同士として、お互いを認め合ったのでしょう。パガニーニはリピンスキーに「ヴェニスの謝肉祭」変奏曲を捧げ、リピンスキーはOp.10の「3つの奇想曲」をお返しとして献呈しています。ここで聴けるリピンスキーの作品は、確かにパガニーニのような悪魔的性格はないものの、タルティーニやヴィオッティの伝統を踏まえた豊かな表現に彩られた見事なものです。

8.572740
\1100
J.S.バッハ:ギター編曲集〜「シャコンヌ」
 グレアム・アンソニー・ディヴァイン編曲
 1.18のライプツィヒ・コラールより
  「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」BWV659/
 2-7.無伴奏チェロ組曲第4番変ホ長調 BWV1010/
 8.オルガン小曲集より「主イエス・キリスト,われ汝を呼ぶ」BWV639/
 9.カンタータ「心と口と行いと命もて」より
  「主よ、人の望みの喜びよ」BWV147/
 10-14.無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調 BWV1004/
 15.アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳第2巻より
  シュテルツェル:御身がともにあるならばBWV508
グレアム・アンソニー・ディヴァイン(ギター&編曲)
 名ギタリスト、ジュリアン・ブリーム(1685-1750)の後継者と目される名手グレアム・アンソニー・ディヴァインの編曲で聴くバッハの作品集です。
 彼はブローウェルやオアナ、イギリス近代など、どちらかというとモダンな作品の演奏が知られていますが、今作では偉大なるバッハに真正面から取り組むことで、新たな世界を開拓しています。チェロ組曲の孤高の旋律は、とりわけギターに適しているようで、なかでもサラバンドのアリアのような美しい音楽は、もともとギターのために作曲されたものである。と言われても、誰も疑うことはないかもしれません。また、2つのコラール前奏曲において、曲に静寂と透明度を付与するための特殊奏法も見事です。圧巻は、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータからの「シャコンヌ」で、ギターでここまで完璧に演奏することは、ディヴァイン以外のギタリストには不可能なのではないか・・・と思わせるだけの説得力を有しています。バッハの美メロが何の迷いもなく心に染み入る1枚です。

8.572739
\1100
ポット:合唱作品集物事の中心に
 1.8声部のためのミサ曲:キリエ・エレイソン/
 2.8声部のためのミサ曲:グローリア・イン・エクセルシス・デオ/
 3.マリアのキャロル(2008)/4.聖処女への讃歌(2002)/
 5.私は一人の乙女のために歌う/
 6.8声部のためのミサ曲:サンクトゥス/
 7.8声部のためのミサ曲:ベネディクトゥス/
 8.愛と悲しみのあるところに神はいる(2002)/9.バルラロウ(2009)/
 10.悲歌(2011)/11.8声部のためのミサ曲:アニュス・デイ
グレース・デイヴィッドソン(ソプラノ)/
コモーショ/
マシュー・ベリー(指揮)
 合唱王国イギリスには、いつの時代にも、多くの合唱曲とオルガン音楽の作曲家がいて、その時々に常に新鮮な曲を創造しています。このフランシス・ポット(1957-)もそんな一人。彼の音楽は劇的で感情的に優れていて、多彩なテクニックで、過去の伝統を未来へと繋いでいます。数多くの受賞歴もあり、また作品も数多く演奏されています。このアルバムの中心作品である「ミサ曲」は、病のため47歳の若さで世を去ったバッキンガム大学の教授、アナベラ・ブラヴォーの死を悼んで書かれたものです。痛烈な曲調をバードやタリス風の奥ゆかしい語り口で包んだ、美しい無伴奏合唱曲です。「マリアのキャロル」は彼の義理の父の追悼であり、その他の曲も、親しい人のために書かれたものが多いのですが、どの曲も親密さの中に人間の経験を超越した神秘性と、近代的な味わいを持たせていて、単なる個人的な悲しみに留まらず、普遍的な人生の機微を伺わせる見事な作品へと昇華させています。

NAXOS 1CD¥1100


8.572456
セルバンテス:キューバ舞曲集
 1.3つの衝撃/2.高級な夜の女/3.葬儀/4.魔女/5.キューバへの別れ/
 6.帰郷/7.クリクリ/8.失われた夢/9.笑い/10.オマージュ/
 11.回転木馬/12.アルメンダレス/13.即興的に/14.もう踊らないで/15.意思/
 16.メッセージ/17.キスマーク/18.思い出/19.孤独/20.友情/
 21.招待/22.中断/23.嫉妬深い女/24.アーメン/25.おいっ!/
 26.はい、これからも/27.それは必要/28.もう泣かないで/29.冷たいシャワー/
 30.さわらないで/31.ジグザグ/32.偉大なる女性/33.親密な/
 34.あなたから遠く離れて/35.彼は去り、もう戻らない/36.魂の融合/
 37.私はあなたを愛し抜く/38.えっ?なぜ?
アルバロ・センドージャ(ピアノ)
ラテン・アメリカのピアノ音楽における重要人物であるセルバンテス(1847-1905)の作品集です。彼の母国キューバの文化と国家のアイデンティティを反映させた作風は、当時の聴衆に大うけであり、コンサートホールだけでなく、舞踊音楽としても重要な役割を担っています。この「キューバ舞曲集」は、作曲年代などはっきりしたことは分かっていませんが、まさにエッセイ風の趣きを持ち、楽譜にはちょっとした思い付きなども書き込まれているという、興味深い作品集です。何より、どの曲も楽しさ満点。どの曲も1〜2分と短く、どこかスコット・ジョプリンを思わせる軽快なリズムの曲があったり、ショパンを思わせるしっとりとしたマズルカ風の曲があったりと、変化に満ちた38曲です。一度聴いたら必ずはまります。

8.572596
ピアソラ:タンゴ・ディスティーノ
 1.ミケランジェロ'70/2.タンゴの歴史第2番「カフェ1930」/
 3.タンゴの歴史第3番「ナイトクラブ1960」/4.ソレダッド(孤独)/
 5.グラン・タンゴ/6.オブリビオン(忘却)/7.エスクアロ(鮫)/
 8-10.天使の組曲より<天使の死/天使のミロンガ/天使の復活>
  ※1-7…トロンボーンを含む編曲:A.リアルマコプーロス、8-10…G.セナネス編曲
エクトル・デル・クルト(バンドネオン)…1.4.7/
オクタヴィオ・ブルネッティ(ピアノ)…1.4.7/
ペドロ・ジラウド(コントラバス)…1.4.7/
サイモン・パウイス(ギター)…2/
イアン・ローゼンバウム(マリンバ)…3/
ロバート・トンプソン(ピアノ)…5.6/
サミュエル・アダムズ(コントラバス)…6.8-10/エドソン・シャイト(第1ヴァイオリン)…8-10/
ジユン・ハン(第2ヴァイオリン)…6.8-10/
ラウル・ガルシア(ヴィオラ)…8-10/
アーノルド・チョイ(チェロ)…8-10/
アキレス・リアルマコプーロス(トロンボーン)
ピアソラ(1921-1992)のタンゴは、すでに普遍的な地位を築いており、今ではまるでJ.S.バッハの作品のように、様々が楽器で演奏されることが普通となっています。彼の作品はどんな楽器とも親和性があり、まるで最初から予定されていたかのようにそこに馴染むのです。今作はソロ・トロンボーンによるピアソラの最初の録音となります。有名なオブリビオンや、耳にする機会の多い「タンゴの歴史」も、全く新しい装いで立ち現れます。もちろん、ここでソロを担うリアルマコプーロスの超絶技巧には目を見張るものがあります。名チェリスト、ロストロポーヴィチのために書かれた「グラン・タンゴ」でも、涙が出そうなほどに見事な演奏を聴かせます。

8.572681
エベンシオ・カステリャーノス:パカイリグアの聖なる十字架
 1.パカイリグアの聖なる十字架(1954)/2.セブンスターの川/
 3-7.アビレーニャ組曲
  <アビレーニャ/子どもたちのロンド/ノットゥルノ/夜明けのクリスマス/クリスマス>
ベネズエラ交響楽団/
ヤン・ヴァグネル(指揮)
冒頭から高らかに響き渡るファンファーレ!これを聴いて「おおっ」と思わない人はいないのでは。20世紀前半に活躍したベネズエラの作曲家、カステリャーノス(1915-1984)の刺激的なこの作品「パカイリグアの聖なる十字架」は、人気のダンスのリズムやメロディーだけでなく、ベネズエラの中世のキャロルを引用するなど、まさに国家主義的なスタイルの音楽です。豊富なメロディ、厚みのあるハーモニー、そして見事な管弦楽法に彩られた曲は、ある意味、マーラーの第7番の終楽章の喧騒にも似た混沌たるエネルギーを感じさせてくれることでしょう。オリノコ川についての詩に触発されたという「セブンスターの川」、ベネズエラの流行歌や、マラカスなどを配した極めて楽しい「アビレーニャ組曲」も心地良い気分を誘います。とにかく気分良くなりたい人にうってつけの1枚です。

8.572707
コルデロ:カリビアン・コンチェルト他
 1-3.ギターと弦楽合奏のための「祝典協奏曲」(2003)/
 4-7.協奏組曲「インスラ」(2009)/
 8-10.ヴァイオリンと弦楽合奏のための「コンチェルティーノ・トロピカル」
ペペ・ロメロ(ギター)…1-3/
ギレルモ・フィグエロア(ヴァイオリン)…4-10/
イ・ソリスティ・ザグレブ
プエルトリコの作曲家兼ギタリスト、エルネスト・コルデオ(1946-)の作品集です。彼は名ギタリスト、ペペ・ロメロを「神のインスピレーションを持つもの」として讃え「祝典協奏曲」を捧げました。これは作曲家の心でもあるカリブ海の島に伝わるリズムに源を発した情熱的でリズミカルな音楽です。叩き付けるようなリズム、熱い風を感じさせる郷愁的なメロディ。とにかく盛り上がること間違いなしの音楽です。「インスラ」は「島」の意味を持ち、指揮者であり、また優れたヴァイオリニストでもあるフィグエロアに捧げられています。こちらもカリブ海の風景を思い起させるような音楽で、忍び寄るかのようなタンゴ風のメロディもたまりません。生い茂るマホガニーの木、その枝をぬって飛ぶ極彩色の鳥たち、そんな情景が目に浮かんできませんか?

8.572815
ブラガ・サントス:バレエ組曲「アルファーマ」他
 1.交響的序曲第3番Op.20(1954)/
 2.ヴィアンア・ダ・モッタへのエレジーOp.14(1948)/
 3-11.バレエ組曲「アルファーマ」(1956)(編曲:A.カッスート)…世界初録音
  <序曲/船乗りたちの踊り/パ・ドゥ・トロワ/魚売り女たちの踊り/
  魚売り女と港湾労働者の踊り/少女と隣人の踊り/
  広場一杯の少年少女たちの踊り/炎の回りの少女たちの踊り/終わりの踊り>/
 12.管弦楽のための変奏曲Op.49(1976)…世界初録音/
 13-15.3つの交響的スケッチOp.34(1962)
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団/
アルヴァロ・カッスート(指揮)
リスボン生まれのジョリ・ブラガ・サントス(1924-1988)は、フレイタス・ブランコの弟子であり、高い音楽的創造性をもち、ポルトガルの民族音楽の特徴を反映させて見事な音楽を残しました。彼は6曲の交響曲を書いていて、その全てがカッスートによってMARCO POLOに録音され好評を博していますが、こちらは久々の新録音となります。彼の音楽的言語はとても豊かで、緻密なアーキテクチュアを描くもので、どれもが魅惑的な音世界を持っています。バレエ音楽「アルファーマ」は世界初録音。作曲家と親しかったカッスートが、図書館に保存されたスコアの紛失部分と、作曲家が持っていたというメモを併せ再現したもので、もともとは長かった楽曲を、上演しやすいように短く整えたと言います。生き生きとした躍動感にあふれた見事な音楽です。

8.559703
ハンソン:交響曲第4番&第5番他
 1-4.交響曲第4番「レクイエム」Op.34(1943)/
 5.交響曲第5番「神聖な交響曲」Op.43(1954)/
 6.セルゲイ・クーセヴィツキーの思い出によるエレジー(1956)/
 7-15.ディエス・ナタリス(1967) ※DELOS原盤
シアトル交響楽団/
ジェラード・シュワルツ(指揮)
アメリカ音楽界に確固たる地位を築き、作品も評価され、順風満帆の人生を歩んでいたハンソン(1896-1981)ですが、1943年の父の死にはかなりのショックを受けたようです。その苦悩を乗り越えて書き上げられたのが、この交響曲第4番「レクイエム」。もともと抒情的な彼の作風ですが、ここでは一層ロマン主義に回帰し、深い精神性に満ちた曲を描きだしました。第2楽章以外はレクイエムの典礼文を用いた感動的なもので、交響曲というよりもカンタータとしての色合いが強くなっています。彼はこの作品でピューリッツァー賞も獲得しています。第5番は単一楽章の交響曲で、タイトル通り神聖な雰囲気を醸し出しています。彼が世に出るきっかけとなったクーセヴィツキーのために書かれたエレジーも、深い悲しみを湛えた一遍の叙事詩です。
HANSON, H.: Symphonies (Complete), Vol. 5 - Symphonies Nos. 6 and 7 / Lumen in Christo (Seattle Symphony and Chorale, Schwarz)

8.559704
ハンソン:交響曲第6番&第7番他
 1-6.交響曲第6番(1968)/7-8.キリストの光(1974)/
 9-11.交響曲第7番「海の交響曲」(1977) ※DELOS原盤
シアトル交響楽団…1-6.9-11/
シアトル合唱団…7-11/
ジェラード・シュワルツ(指揮)
「アメリカのロマンティスト」ハワード・ハンソン(1896-1981)の最後の2つの交響曲は、彼の作曲のキャリアにふさわしい結論を提示するかのようです。第6番はニューヨーク・フィルの創立185周年のシーズンを記念して委嘱された作品で、レナード・バーンスタインに捧げられています。印象的な3つの音によるモティーフが全曲を支配するロマンティックな作品で、第2楽章の冒頭のスネアドラムは新しい時代の到来を予感させる胸躍る音楽です。ナザレ大学からの委嘱作である「キリストの光」は、ハイドンとヘンデルの主題による変奏曲を書いて欲しいと依頼されたものですが、ハンソンは聖書から「光」についてのテキストを選ぶという独自の作品で応えました。第7番は実質カンタータとも言える美しく印象的な曲。81歳の作品ですが、創作意欲は全く衰えることなく、美しいメロディが次から次へと溢れ出す壮大さが魅力です。時代遅れと評される事も多かった作曲家ですが、自らの作風を貫いた姿勢は天晴というほかありません。


8.559676

スティル:交響曲第2番&第3番・森の調べ
 1-4.森の調べ(1947)<歌う川/秋の夜/月の夕暮/ヨタカの靴>/
 4-8.交響曲第2番ト短調「新種族の歌」(1937)/
 9-12.交響曲第3番「日曜日の交響曲」(1958) 1-4…世界初録音
フォート・スミス交響楽団/
ジョン・ジーター(指揮)
ラテン系アメリカ人の作曲家、ウィリアム・グラント・スティル(1895-1978)は、典型的なアメリカン・サクセス・ストーリーを実現した人でした。彼は3歳の時に町の楽団指揮者を務めていた父を亡くしますが、教師だった母の勧めでヴァイオリンを学ぶことで最初の音楽体験を果たしました。その後医学の研究にいそしみますが、やはり音楽への情熱捨てがたく、戦争をはさみながらも、アレンジャーとして働き、またブロードウェイではオーボエ奏者として、数多くの経験を積むことになります。ニューヨークからロサンゼルスに移り、古典的な作品を中心に数多くの曲を発表しました。当初5楽章として計画されるも、出版時に最終楽章を削除したという「森の調べ」は、少しだけドヴォルザーク色を感じさせる牧歌的でのどかなもの。自らのルーツを辿るかのように、ジャズなどの要素を埋め込んだ交響曲第2番、彼の生前は演奏されることのなかった交響曲第3番、どれも独特の情緒を湛えた名作です。

8.572243
ルーセル:蜘蛛の饗宴他
《バレエ音楽「蜘蛛の饗宴」Op.17(1912)》〈第1部〉
 1.前奏曲-庭/2.アリの入場/3.かぶと虫の入場-蝶の踊り/
 4.蜘蛛の喜び-蜘蛛の踊り/5.みみずが通る/
 6.2匹の戦闘的なカマキリ/7.アリのロンド/
〈第2部〉
 8.カゲロウの羽化/9.カゲロウの踊り/10.カゲロウが止まる/
 11.カゲロウの死/12.カゲロウの弔い/
《オペラ・バレエ「パドマーヴァティ」(1914-1918)》
 13-15.第1幕より第1組曲/16-17.第2幕より第2組曲
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団/
ステファン・ドヌーヴ(指揮)
印象主義から新古典主義へと進んだルーセル(1869-1937)の初期の名作「蜘蛛の饗宴」です。この作品はもっぱら作曲家自身が編纂した「交響的断章」が知られ、この全曲が演奏される機会はあまりありません。曲は印象主義そのものであり濃密な管弦楽法が特徴的です。1912年に芸術劇場の委嘱によって書かれたバレエ作品で、ファーブルの「昆虫記」からインスピレーションを受けていて、庭に巣を作った蜘蛛と、蜘蛛のエサとなる昆虫たち、その蜘蛛を狙うカマキリ。そして神秘的なカゲロウの羽化からその死までを精緻な書法で描いた、音による博物誌です。ルイ・ラロイの台本によるオペラ「パドマーヴァティ」は野性味あふれる異国的な音楽。本編には歌が挿入されますが、こちらは管弦楽組曲のみです。なかなか上演される機会のない幻のバレエです。ドヌーヴの演奏は闊達で色彩豊か。この曲を初めて聞く人にも安心してオススメできる逸品です。
HERRMANN, B.: Jane Eyre [film score] (Slovak Radio Symphony, Adriano)
8.572718
バーナード・ハーマン:ジェーン・エア(1943)
 1.前奏曲/2.ジェーンの出発/3.ジェーンの孤独/4.夢想-虚栄/
 5.悲歌-ジェーンの悲しみ/6.時間の経過-手紙/
 7.ソーンフィールド・ホール-火花のワルツ/8.ロチェスター/
 9.ピアノ-プロムナード/10.ロチェスターの過去-火事/11.二重唱-ドア/
 12.春/13.メースン氏/14.部屋-喧騒/15.庭/16.告別/
 17.歌:ジェーンの告白-嵐/18.結婚-妻/
 19.ジェーンの告別(ロチェスターの告白)/20.ジェーンの帰郷/
 21.終曲
  ※MARCO POLO 8.223535より移行盤
スロヴァキア放送交響楽団/
アドリアーノ(指揮)
ニューヨーク生まれの映画音楽作曲家、バーナード・ハーマン(1911-1975)の初期の代表作の一つ1943年作曲の「ジェーン・エア」です。1936年にオーソン・ウェールズと出会ったハーマンは、彼が演出したラジオ・ドラマに次々と曲をつけ、1938年には、あの「宇宙戦争」で市民を大パニックに陥れたことでも知られます。ウェールズは1940年から映画を撮影し始めますが、その時にもハーマンをハリウッドに呼び映画「市民ケーン」の音楽が出来上がったのでした。とは言え、ハーマンの活動の拠点はニューヨークであり、他の活動もしていたため、映画音楽に本腰を入れているというわけでもなかったようです。しかし、「ジェーン・エア」は重厚さと不気味さを適度に持ち合わせた名作であり、その後の彼の名声を約束したかのような優れた作品としてこの世にあらわれました。この録音は編集中に行われたカットなどを全て復元したものとなります。


8.572787

リムスキー=コルサコフ:雪娘-管弦楽組曲集
 1-4.組曲「雪娘」<序曲/鳥たちの踊り/行列/道化師の踊り>/
 5.交響的絵画「サトコ」Op.5/
 6-10.組曲「ムラダ」<序曲/レドワ/リトアニアの踊り/インドの踊り/行列>/
 11-14.組曲「金鶏」
  <宮廷のドドン王/戦場のドドン王/ドドン王とシェマハの女王/
  婚礼の祝宴とドドン王の哀れな末路と死>
シアトル交響楽団/
ジェラード・シュワルツ(指揮)
ロシア五人組のなかでも、とりわけ管弦楽法に優れた才能を発揮したリムスキー=コルサコフ(1844-1908)。このアルバムに収録されたオペラからの管弦楽組曲の数々は、そんな彼の特筆を知るのにふさわしいものと言えるでしょう。組曲「雪娘」は春の精と冬の精との許されぬ愛が生んだ悲劇の物語。とりわけ「道化師の踊り」が知られていますが、悲しげに始まる「序曲」から聞きごたえ充分です。海の英雄となった「サトコ」の物語、こちらも伝説から採ったという、亡霊になっても愛する人を守る娘「ムラダ」、そして彼の最後のオペラで、風刺に満ち少々教訓めいた終わり方をする「金鶏」から素晴らしい音楽を並べました。演奏はシュワルツとシアトル交響楽団で、彼らの見事な演奏はシェエラザード(8.572693)でも聴くことが可能です。

スーザ:吹奏楽のための作品集 10 (ノルウェー王国海軍軍楽隊/ブライオン)
8.559397

スーザ:吹奏楽のための作品集第10集
 1.救世軍行進曲(1930)/2.ジャズ・アメリカ(1925)/
 3.フリー・ランス行進曲(1906)/4.キルティング・パーティ・マーチ(1889)/
 5-8.「温室に住む人々」よりバレエ組曲(1909)/
  <シャンパン/ラインのワイン/ウィスキー-スコッチ, アイリッシュ, バーボン&ライ/
   コーディアルの大集合、ワイン、ウイスキー、ホワイト・ロック>/
 9.兵士たちが船で帰還してくる時には!(1918)/
 10.ミルラ・ガヴォット(1876)/11.コンドル序曲(1886)/
 12.ボウ・アイディアル・マーチ(1893)/
 13.ジェローム・カーンの「幸せを求めて」によるユモレスク(1922)/
 14.錨と星(1918)/15.海軍紳士録(1920)
ノルウェー王国海軍軍楽隊/
キース・ブライオン
「マーチ王」ジョン・フィリップ・スーザ(1854-1932)の作品集、第10集です。今回のアルバムにも胸躍る行進曲など、たくさんの名曲が収録されています。中でも珍しいのがトラック13のユモレスクです。この曲はP.D.Q.バッハの作品にも匹敵するほどのユーモアにあふれたもの。ミュージカルのスタンダード・ナンバーで知られるジェローム・カーンのヒット曲のもじりで、T型フォードを酩酊状態で運転すること(ダメですよ)についての作品とのことで、曲は様々な楽器で演奏されます。「温室に住む人々」はいろいろなアルコール飲料についての音楽。聴いているだけで幸せな気分になれそうな組曲です。

ビレット・アーカイヴ・エディション 11 - サイグン:ピアノ協奏曲第1番/12の前奏曲/フランセ:ピアノ・ソナタ/アルカン:鉄道
8.571288

イディル・ビレット/アーカイヴ・エディション第11集サイグン:ピアノ協奏曲他
 1-3.サイグン(1907-1991):ピアノ協奏曲第1番…世界初録音/
 4-15.サイグン:アクサク・リズムによる12の前奏曲集/
 16-19.ジャン・フランセ(1912-1997):ピアノ・ソナタ(ビレットに捧ぐ)/
 20.アルカン(1813-1888):鉄道Op.27/
 21.バラキレフ(1837-1910):イスラメイ ※1-15のみモノラル録音
オーケストラ・コロンヌ…1-3/
アフメト・アドナン・サイグン(指揮)…1-3/
イディル・ビレット(ピアノ)
今でこそ、トルコの作曲家アフメト・アドナン・サイグンの作品は、耳にする機会が比較的多いのですが、この演奏が行われた1958年当時は、まだまだ広くは認められていませんでした。そんな彼のピアノ協奏曲を堂々たる身のこなしで演奏したのが、17歳の若きピアニスト、イディル・ビレットだったのです。サイグン自身の指揮と彼女の演奏により、この曲の持つ雄弁な表現法と、独創的で知的なイディオムが広く知れることとなり、聴衆たちは、作曲家と演奏者ともどもに熱い拍手を送ったのです。また、フランス屈指の技術を持つオーケストラ・コロンヌの役割も大きなもので、このような新しい音楽を演奏すること自体、冒険であったはずですが、彼らは期待以上の働きをしています。サイグンの信頼を得たビレットは、ソロ作品でも素晴らしい演奏をしていて、それは「12の前奏曲」で目の当りにすることができるでしょう。フランセの作品もビレットのために書かれたもので、こちらはウィットに富んだ軽やかな、いかにも「フランス風」の曲。アルカンとバラキレフの2曲は超絶技巧のオンパレード。ビレットでなくしては成立しない1枚といえるでしょう。

8.572550
プレイエル:交響曲とフルート協奏曲
 1-4.交響曲変ロ長調(Benton125)/
 5-8.交響曲ト長調(Benton130)/
 9-11.フルート協奏曲ハ長調(Benton106)
シンフォニア・フィンランディア・ユバスキュラ/
パトリック・ガロワ(指揮&フルート…9-11)
オーストリアで生まれ、ハイドンに学び、そのまま行けばベートーヴェンの良き先輩として活躍したであろうプレイエル(1757-1831)ですが、1783年にフランスに移り、名前を改名してから(以前はプライエルであった)は、ロンドンで成した財で邸宅を購入、そして師であるハイドンの楽譜を出版するために立ち上げた音楽出版社が成功を呼び、ついにはピアノ制作会社までをも設立するに至ったというのですから、人生全く何が起こるかわかりません。こんな多彩な活躍をした彼ですが、その作品数もとても多く、一時期はヨーロッパにおいて「最も有名な作曲家」として知られていたほどであり、ここで聴ける2つの交響曲などからは、その才能を存分に感じることができるでしょう。彼の唯一のフルート協奏曲であるハ長調の作品も、きらめくような美しさを備えています。最近は指揮者として活躍している名手ガロワですが、ここでは文句なしのフルートを聴かせます。

8.572559
クライスラー&ジンバリスト:弦楽四重奏曲他
 1-4.クライスラー(1875-1962):弦楽四重奏曲イ短調(1919)/
 5-8.ジンバリスト(1890-1985):弦楽四重奏曲ホ短調(1931/1959改編)/
 9.イザイ(1858-1931):夕べのハーモニーOp31(1924) 5-9…世界初録音
ファインアーツ弦楽四重奏団
<メンバー:
ラルフ・エヴァンス(第1ヴァイオリン)/
エフィム・ボイコ(第2ヴァイオリン)/
ニコロ・ユージェルミ(ヴィオラ)/
ヴォルフガンク・ラウファー(チェロ)>/
フィルハーモニック・オーケストラ・オブ・エウロペ…9/
オーティス・クレーバー(指揮)…9
伝説のヴァイオリニストたちによる弦楽四重奏曲をじっくりと。クライスラーについては、もう説明の必要もないでしょう。3歳からヴァイオリンを学び、作曲は一時期ブルックナーにも師事していたという彼、その演奏はもちろんのこと、数々の愛らしい作品も良く知られています。とは言え、彼が弦楽四重奏曲を書いていたとは!…とは言え、この曲は思いの他シリアスであり、そんな点が却って人気をなくしてしまったのかもしれません。ジンバリストも名ヴァイオリニストであり、クライスラーの友人でした。ロシアでユダヤ系の家庭に生まれ、1911年にボストン交響楽団と共演してからアメリカに定住、素晴らしい活動をしています。2人ともイザイを大変尊敬したいたと言い、このアルバムにはそんなイザイの知られざる作品「夕べのハーモニー」も収録されています。世紀末音楽とは全く違った世界に属する音がここにあります。
リヒター:フルート、チェトロとチェンバロのためのソナタ集 2 - 室内ソナタ第4番 - 第6番(1764)(フレッド/ペルトニエミ/ハッキネン)
8.572030
F.X.リヒター:フルート、チェロとチェンバロのためのソナタ第2集
 1-3.フルート、チェロとチェンバロのためのソナタ第4番ハ長調/
 4-6.フルート、チェロとチェンバロのためのソナタ第5番ヘ長調/
 7-9.フルート、チェロとチェンバロのためのソナタ第6番ト短調/
 10.前奏曲ハ長調/11.アンダンテヘ長調
パウリーナ・フレッド(フルート)/
ヘイディ・ペルトニエミ(チェロ)/
アーポ・ハッキネン(チェンバロ)
フランツ・クサーヴァー・リヒター(1709-1789)は、18世紀の作曲家でマンハイム楽派の最も重要な代表者の一人です。彼の作品はこの時代としては、かなり独創的であり、声部の処理や表情豊かなハーモニーには驚かされるばかりです。このソナタ集は第1集(8.572029)に続くもので、ここでもバロックのトリオ・ソナタの伝統に根差しつつも、それだけに留まることのない新しい時代の息吹を感じさせるソナタを聴くことができます。またこのアルバムには、彼の2つの鍵盤作品も収録。これらの作品は、どの楽器のために書かれたのかは不明ですが、当時の南ドイツやオーストリアのオルガンは足鍵盤を持たない簡便なものが多かったため、こういったオルガンの練習用に書かれたものではないか?と考える人もいます。ただし、このアルバムではハープシコードで演奏されています。まだまだ研究余地の多い作曲家だけに、これから先が楽しみです。

8.572580
ボーエン:ヴィオラ・ソナタ第1番&第2番幻想曲
 1-3.ヴィオラ・ソナタ第1番ハ短調 Op.18/
 4.幻想曲Op.54/5-7.ヴィオラ・ソナタ第2番ヘ長調 Op.22
ブリッジ・デュオ
<メンバー:マシュー・ジョーンズ(ヴィオラ)/
マイケル・ハンプトン(ピアノ)>
イギリスの近代作曲家エドゥイン・ヨーク・ボーエンは、ヒンデミットのようにオーケストラのほぼ全ての楽器を演奏できるほどの腕前を持っていたのですが、彼が愛したのはヴィオラの音色でした。それは「近代ヴィオラの父」ライオネス・ターティスの存在に触発されたのは間違いないのですが、もしかしたら戦争で受けた心の傷が影を落としているのかもしれません。そんな彼がヴィオラを通して歌い上げた2つのソナタは、作曲当時から「演奏困難」とされていて、なかなか弾き手が現れず、世に出る機会を失ってしまったものと思われますが、これらは本当に溢れんばかりのファンタジーに満ちたロマンティックで美しい歌だったのです。存命時は、その懐古的な作風から、「時代遅れ」と批判されてしまったこともあるものの、こんなに美しい曲を書く人が埋もれているのはもったいないの一言に尽きるのではないでしょうか。ヴィオラの魅力がひしひしと伝わる1枚です。
Chamber Music (Piano Trios) - GERHARD, R. / MONTSALVATGE, X. / CASSADO, G. (Trio Arriaga)

8.572647
ジェラール/モンサルバーチェ/カサド:ピアノ三重奏曲集
 1-3.ロベルト・ジェラール(1896-1970):ピアノ三重奏曲第1番(1918)/
 4-6.モンサルバーチェ(1912-2002):ピアノ三重奏曲(1986-1988)/
 7-9.カサド(1897-1966):ピアノ三重奏曲ハ長調(1926-1929)
トリオ・アリアーガ
<メンバー:ダニエル・リゴーリオ(ピアノ)/
フェリペ・ロドリゲス(ヴァイオリン)/
デヴィッド・アペラニス(チェロ)>
3人のカタロニアの作曲家たちによるピアノ三重奏曲集です。ロベルト・ジェラールはファリャ以降の世代で最も優れたスペイン人作曲家として評価されています。シェーンベルクの影響を受け、無調の音楽をスペインに持ち込んだことで知られていますが、この初期の三重奏曲はフランス風の洗練された味わいを持つものであり、瑞々しい若者の感性漲る流麗な作品です。次のモンサルバーチェの曲は、どこか官能的な響きを持つ「ドルシネアのバラード」という楽章で始まります。第2楽章は彼が尊敬していたモンポウへのオマージュで、静謐な響きが横溢しています。そして活動的な第3楽章「リトメッロ」はジャズの雰囲気を持ちあわせています。カザルスの弟子であり、チェリストとしても高名なカサドの作品は、力強い民族的なリズムを持つ輝かしい作品で、先人たちの影響を受けつつも、決してロマン派の風合いをなくすことなく、独自の世界を築いています。

メイエル:弦楽四重奏曲第9番, 第11番, 第12番(ヴィエニャフスキ弦楽四重奏団)
8.572656

クシシトフ・メイエル:弦楽四重奏曲集第2集第9番,第11番,第12番
 1-5.弦楽四重奏曲第9番Op.74(1990)/
 6.弦楽四重奏曲第11番Op.95(2001)/
 7-15.弦楽四重奏曲第12番Op.103(2005)
ヴィエニャフスキ弦楽四重奏団
<メンバー:
ヤロスラフ・ゾルニエルチュキ(ヴァイオリン)/
ミロスラフ・ボチェク(ヴァイオリン)/
レフ・バラバン(ヴィオラ)/
マチェイ・マズレク(チェロ)>
1943年、ポーランドのクラコフ生まれのメイエル(1943-)の弦楽四重奏曲第2集です。ペンデレツキとブーランジェの指導を受けた人ですが、単一楽章で書かれた第11番の弦楽四重奏曲からは、明らかにショスタコーヴィチの影響が感じられます。5つの楽章に分かれ、それらが目まぐるしく変化するテンポが心地良い(?)快感を呼び覚ます第9番、そして彼の最も直近の作品である第12番は、9つの部分に分かれていて、それらが緊密な関係を持って描かれています。切れ切れのメロディは相互に睦みあい、古典派やロマン派の音楽のように、美しく響きあうのではないものの、精巧なポリフォニーは刺激的な響きを以って人間の感覚の奥深い部分に棲みつくかのよう。現代音楽の一つの形がここにあります。

8.572844

ヒル:弦楽四重奏曲集第4集
 1-4.弦楽四重奏曲第10番ホ長調/
 5-7.弦楽四重奏曲第11番ニ短調
 8-11.「人生」の五重奏曲
  <重々しく-速く/葬送行進曲/スケルツォ/
  終曲「いと高きところの神の栄光」(声とピアノ五重奏版)>
ドミニオン弦楽四重奏団/
リチャード・マップ(ピアノ)…8-11/
ブライオニー・ウィリアムズ(ソプラノ)…11/
アメリア・ベリー(ソプラノ)…11/
リンデン・ローダー(メゾ・ソプラノ)…11/
アナベル・チータム(メゾ・ソプラノ)…11/
リチャード・グリーガー(テノール)…11/
クリス・ベレントソン(テノール)…11/
ダニエル・オコーナー(バス)…11/
キース・スモール(バス)…11/
マーク・ドレル(指揮)…11
オーストラリアの作曲家の中でも第一人者として讃えられているアルフレッド・ヒル(1869-1960)。彼の作品は、同世代のヨーロッパの作曲家たちのものと比べると若干時代遅れの感は否めませんが、数多くある弦楽四重奏曲は、そのどれもが個性的であり、凝った作風を持っています。1935年に書かれた第10番と第11番の曲は、ガーシュウイン的でもあり、また印象派の影響も受けています。第10番の身を切るように美しいアダージョや、第11番の第1楽章の重苦しい冒頭部からアレグロへと移り変わる一瞬の閃きからは、ヒルのしたり顔が見えてくるようです。最終楽章で声楽が登場する「人生の五重奏曲」は、後に交響曲へと編曲されるほど、彼のお気に入りのもの。終楽章で高らかに人生の喜びを歌い上げるという、まさにヒルによる「喜びの歌」と言えるでしょう。

8.572608-09
(2CD)
ロッシーニ:ピアノ作品全集第4集
《CD1.老年のいたずら第8集「館のアルバム」より》
 1.No.1 旧体制の見本/2.No.2 あわただしいロココ風の前奏曲/
 3.No.3a 悲嘆/4.No.3b 希望/5.No.4 だったんボレロ/
 6.No.5 おおげさな前奏曲/7.No.6 現代の見本/
 8.No.7 反舞踏的ワルツ/
《老年のいたずら第9集より》
 9.No.9 イタリア風前奏曲/10.No.12 4手のための小ファンファーレ/
《CD2.老年のいたずら第8集「館のアルバム」より》
 1.No.8 ちょっぴり牧歌的な前奏曲/
 2.No.9 サラブレッドのためのタランテラ/3.No.10 夢/
 4.No.11 劇的な、いわゆるプレリュード/5.No.12 将来の標本/
《老年のいたずら第9集より》
 6.No.6 イタリアのノエルの歌のカタログ/
 7.No.7 わが最後の旅のための行進曲と思い出/
 8.No.11 右手のための、良く知られたブラックジョークのカタログ
アレッサンドロ・マランゴーニ(ピアノ)
引退後のロッシーニ(1792-1868)の手による、何ともケッタイな作品集がこの「老年のいたずら」です。13集からなる曲集は、独奏曲や室内楽、声楽曲など様々な形の作品の集合体であり、その中身はまるで「ごった煮」。それも1曲1曲に良く味のしみた老舗の味わいのようなものを醸し出しているのです。舞曲あり、フーガあり。そして大抵の曲には、一筋縄でいかないような捻ったタイトルが付けられていて、その真意を探るのは全く困難。まさに、常にいたずらを仕掛けられているような楽しいものなのです。もちろん、稀代のメロディメーカーであるロッシーニのこと、美メロに事欠くことはありません。この第4集には第8集と第9集からの抜粋が収録されていて、夢のような曲からクリスマス?のメロディ、ブラックジョークまで盛りだくさん。さあ、何からいただきましょうか?


8.572427

J.S.バッハ:ギターのための編曲集
 1-6.パルティータ第2番ハ短調 BWV826(T.マヌキアン編)/
 7-10.リュート組曲ハ短調 BWV997(T.ホップストック編)/
 11-13.前奏曲,フーガとアレグロBWV998(T.ホップストック編)/
 14-16.協奏曲ニ長調 BWV972 (原曲:ヴィヴァルディ)(J.ペロワ編)
ジュディカエル・ペロワ(ギター)
J.S.バッハ(1685-1750)の作品はその限りない可能性に惹かれるのか、数多くの作曲家たちによって様々な編曲が試みられています。ギターのために編曲を試みた最初の作曲家は、名ギタリストでもあったタルレガでした。タルレガはバッハの対位法や色調の多様さを見事にギターへと置き換えることに成功、次世代の作曲家たちに多くの示唆を与えたのです。そんな中、パルティータ第2番を編曲したのがマヌキアンでした。彼は鍵盤楽器のために書かれたこの曲を、完璧にギターへと移し替えることに成功しています。ホップストックの手による2つの作品も、もともとギターのために書かれたかのように、ぴったりとマッチしています。そして、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲をバッハ鍵盤独奏曲へと編曲したBWV972をギターへと移し替えたのは、演奏者であるペロワ自身。こちらも何も文句のない仕上がりです。演奏しているペロワは1973年パリ生まれの名手で、2003年からジェレミー・ジューヴと「パリ・ギター・デュオ」を創設し活動、世界中で好評を博しています。深みのある美しい音色が魅力的です。
KOECHLIN, C.: Heures persanes (Les) (van Raat)
8.572473
ケクラン:ペルシアの時Op.65
 1.旅立ちの前のひるね/2.キャラバン(ひるね中の夢)/3.暗がりの山登り/
 4.すがすがしい朝、高い山間にて/5.町を望む /6.街道を横切る/7.夜の歌 /
 8.テラスから見る月の光/9.夜明けの歌/10.真昼の日差しを受けるばらの花/
 11.石像の泉の近くの日陰で/12.アラベスク/13.日暮れ時の丘陵/
 14.語り部/15.夜の平穏、墓地にて/16.真夜中のイスラム教修道増たち
ラルフ・ファン・ラート(ピアノ)
フランク、フォーレ、ドビュッシーら先人の影響を受けながらも、伝統的なハーモニーと作曲技法を独自に拡大し、時には無調の作品までをも書いたフランスの作曲家ケクラン(1867-1950)。彼は良き教師でもあり、近代和声学、対位法の著作も残し、また映画からもインスピレーションを受けるなど、多方面に渡って影響を及ぼした人でもありました。彼は夜になると望遠鏡で星を眺め、宇宙の神秘を解明しようと試み、またある時は神話や旅行記、未知の国についての書物を熱心に読んでいたともいいます。そんな知識人であり夢想家であった彼ならではのピアノ曲がこの傑作「ペルシアの時」です。「ピエール・ロティの『イスパーンの方へ』に基づくピアノのための組曲」という副題をもち、彼の特徴でもある静謐さと、東洋的な雰囲気が横溢した16曲からなる組曲で、時に聞こえてくる古代の響きや、砂漠の熱い風が感じられる、今の慌ただしい時間を忘れさせてくれるかのような音たちが蠢いています。こういう曲を演奏させたら右に出る者はいないであろう、ラルフ・ファン・ラートがさらりと弾いてのけています。


8.572594

バラダ:ピアノ作品集
 1.ショパンのバラード第1番によるトランスパレンシー(1977)/
 2-6.プレルディス・オブスティナント(1979)…世界初録音/
 7.コントラスト(2004)/8-15.ミニ=ミニチュアー(2010)…世界初録音/
 16-19.4つのテンポによる音楽(1959)<レント/エネルジコ/スケルツァンド/様々なテンポで>/
 20.アライルヴィング・ヴァリエーション…世界初録音/
 21.持続性…世界初録音
パブロ・アモロス(ピアノ)
単なる「現代音楽家」として一括りにしてしまうには、あまりにももったいないカタルーニャ生まれの作曲家レオナルド・バラダ(1933-)。これまでにNAXOSレーベルに10枚以上の録音がありますが、そのどれもが奇怪で奇妙な音に溢れているのです。今回のピアノ作品も、その例に漏れることなく極めて刺激的で挑戦的な音に満ちた作品が目いっぱい並びます。第1曲目の「ショパンのバラードによる〜」では、千切れたショパンのかけらのようなものを探しているうちに、見たこともない異世界へ迷い込むこと必至。「プレルディス・オブスティナント」は名ピアニスト、アリシア・デ・ラローチャのために書かれた作品で、ピアノがどれほどまでに創造的な力を発揮できるか?を命題とした5つの部分で構成されています。彼女は何度もこの曲を演奏したのですが、ついに録音することがなかったため、このアルバムが世界初録音となります。他の作品も興味深いものばかり。ここでピアノを演奏するアモロスに献呈された「ミニ=ミニチュアー」も凝縮された世界を描き出しています。
CIMAROSA, D.: Keyboard Sonatas, Vol. 2 (Sangiorgio) - R. 19-35
8.572689
チマローザ:ピアノ・ソナタ集第2集ピアノ・ソナタR.19-R.35
 1-3.ソナタハ長調 R.19/4-6.ソナタト長調 R.20/7-9.ソナタハ長調 R.21/
 10-12.ソナタイ長調 R.22/13-15.ソナタ変ロ長調R.23/
 16-18.ソナタニ長調 R.24/19-21.ソナタハ短調 R.25/22-24.ソナタ変ロ長調 R.26/
 25-26.ソナタニ短調 R.27/27-29.ソナタニ長調 R.28/30-32.ソナタ変ロ長調 R.29/
 33.ソナタハ長調 R.30/34.ソナタト長調 R.31/35-36.ソナタヘ長調 R.32/
 37.ソナタハ長調 R.33/38.ソナタ変ロ長調 R.34/39.ソナタイ長調 R.35
ヴィクトル・サンジョルジョ(ピアノ)
チマローザ(1749-1801)のピアノ・ソナタの第2集です。第1集(8.570718)でも、その多彩な音楽の片鱗に触れることができましたが、ここでも興味深い曲が並びます。彼は活動の早い時期からソナタを書き始めましたが、これらが教育目的だったのか、それとも「手なぐさみ」だったのかはわかっていません。しかし、速い楽章での目もくらむような音使いからは、彼が国内の演奏会などで自らの技巧を誇示するために書かれたものではないか?と推測することもできそうです。緩徐楽章はやや保守的ではあるものの、その表現力の巧みさには驚くばかりです。第1集と同じく、サンジョルジョの丁寧な演奏が光ります。

8.572694
ブラームス:合唱と管弦楽のための作品集
 1.アヴェ・マリアOp.12/2.埋葬の歌Op.13/
 3.アルト・ラプソディOp.53/
 4.運命の歌Op.54/5.悲歌Op.82/6.運命の女神の歌Op.89
エヴァ・ヴォラク(アルト)…3/
ワルシャワ・フィルハーモニー合唱団/
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団/
アントニ・ヴィト(指揮)
ブラームス(1833-1897)の合唱作品と言えば、まず最初に頭に浮かぶのが「ドイツ・レクイエム」ですが、彼は他にも素晴らしい合唱曲をいくつも書いています。彼が最初に合唱曲を書いたのは1957年の時。ここに収録されたアヴェ・マリアになります。その後、1863年にウィーンのジンクアカデミーから指揮者としての招聘を受け、聴衆受けのするバッハのカンタータや自らの「ドイツ・レクイエム」を初演しつつ、合唱の素材をものにし、素晴らしい作品を創り上げていくことになります。その後に書かれた「アルト・ラプソディ」(ゲーテの『冬のハルツ紀行』の断章)や、「運命の歌」での荘厳さはブラームスでなければ書けない深い世界が広がります。また画家フォイエルバハの追悼のために書かれた「悲歌」は悲しみに満ちた内容でありながらも、優しさと希望の光にも満ちた美しい音楽です。絶望しかけた時に、こんな曲が聞こえてきたら・・・。

8.559698
モラヴェック:有用な知識
 1-5.人生は短し(ソプラノとピアノ三重奏編)(2009)/
 6-12.特性(1996)
  <騒々しい/穏やかな/子鬼のような/快活な/優雅な/ひょうきんな/瞑想的>/
 13.有用な知識-フランクリン・ファンタジー(2006) ※全て世界初録音
エイミー・バートン(ソプラノ)…1-5/
トリオ・ソリスティ…1-5/
サイモン・マリガン(ピアノ)…6-12/
ランドール・スカルターラ(バリトン)…13/
ラ・フェニーチェ…13/
セシリア・ブラウアー(グラス・ハーモニカ)…13
このアルバムのジャケットに使われている肖像画は、作曲家モラベック(1957-)のものではありません。学者でもあり、政治家としても知られるベンジャミン・フランクリンその人を描いたもので、タイトルの「有用な知識」も、フランクリンの言葉からの引用です。作曲者モラヴェックによると、このアルバムに収録されているのは「音楽の肖像」ともいうべき作品であり、歌曲集「人生は短し」はジェームズ・エッジの詩による“ゆがんだ子守歌”に始まる、一人の人間の誕生から死までを描いたもの。「特性」はピアノ独奏による、モラヴェックの友人たちの肖像画、そして表題作「有用な知識」は前述の通り、フランクリンのテキストを短縮、拡大して用いた音楽的賛辞です。ピューリッツァー賞を受賞するほどの頭の良い人が考えることは、やはり突き抜けています。

8.572449
ナイトハルト:宮廷歌人と彼の「涙のベール」
 1.カンティレーナ「おんどり」/2.私は全ての尺度を越えて悲しむ/3.夏と冬/
 4.クラウスラ/5.歌え、黄金のめんどりよ-ダンス「僧侶」/
 6.来たれ、甘い夏の天候よ/7.優雅な女性はこの名誉に値する/
 8.私は夫など望んでいない/9.私は花を悼む/10.ヘダメルスコール/
 11.すべてのすべての夏の長いこと/12.神よ、高く賛美します/13.死ぬ、死ぬ
アンサンブル・レオーネス
<メンバー:
マルク・レヴォン(指揮、ヴォーカル、リュート、ギター、ヴィエール)/
エルス・ヤンセンス=ファンミュンスター(ヴォーカル)/
バティスト・ロマン(ヴィエール、バグパイプ、ヴォーカル)>
中世後期。ミンネゼンガーとはドイツの宮廷歌人で、徳の高い貴婦人をあがめ、その人のために愛の歌を歌うという役を担っていました。そんな時代、ナイトハルト(1185?-1240?)は最も人気のある宮廷歌人のひとりとして知られています。とはいえ、詩人でありミュージシャン、所謂「シンガーソングライター」であった彼の歌は素朴で、ある時は暴力的であり、また時にはエロティックであり、宮廷文化を伝えつつも、また一味違った「市井の音楽」として人気を博したのです。憂鬱さを歌うかと思えば、必要に応じて舞曲を演奏、また季節の風物詩を取り入れた歌の数々は、当時の生活を彷彿させる興味深いものです。このアルバムに収録されている作品は「フランクフルト・フラグメント」と呼ばれる資料から修復したもので、少なくとも5人の作曲家の名前が認められますが、大部分はナイトハルトのものであろうと推測されています。1000年近くの長い年月を経て蘇る中世の響きは聴き手を不思議な気分にさせてくれること間違いありません。


8.572832

フィリップス:カンツィオネス・サクレ
 1.蘇りたまいしキリストは/2.主は教義と英知とを/3.使徒は口々に/
 4.主よ、思い出したもうことなかれ/5.天使ガブリエル/6.シオンへの道は嘆く/
 7.めでたし、イエス・キリストよ/8.天にましますわれらの父よ/
 9.賛美されたアニェス/10.使徒らはステファノを/11.われら生のただ中にありて/
 12.幸いなるかな天の女王/13.恵みあふれる聖マリア/14.ああ、何と甘美な/
 15.聖母マリアの生涯/16.喜べ、処女マリアよ/17.喜べ、処女マリアよ/
 18.歓喜とともに祝おう/19.幸いなるかな女王/20.ああ、だから
サルム・コンソート/
アンドリュー・マッケイ(指揮)
ピーター・フィリップス(1560/61-1628)。良くある名前ではありますが、ルネサンス後期のイギリスでウィリアム・バードと共に最も有名な作曲家として名を馳せていた人です。最初はロンドンのセントポール寺院で少年聖歌隊のメンバーとして活躍、1582年に宗教上の理由でイギリスを離れローマへ行き、オルガニストに任命されます。この時期にイタリア風のポリフォニーを徹底的に学んだようです。その後はヴァージナル教師をしながらヨーロッパを巡り、1590年にアントワープに定住。残りの人生はアルベール大公の火度を受けながら1628年に亡くなるまでその地で過ごしました。彼の音楽は当時としてはとても複雑であり、見事な対位法に彩られたドラマティックなものです。彼の鍵盤音楽(8.557864)も、魅力的で、この当時の上流社会の生活の一端を見るような典雅さを味わうことができるでしょう。

NEWTON CLASSICS

 歴史的録音もあるのですが煩雑になるのでこちらにまとめて掲載しました。


Famous Film Scores
8802104
(3CD)
\2600→¥2390
フランツ・ワックスマン&マックス・スタイナー、そしてその他の人による有名映画音楽集
《CD1.風と共に去りぬ他》
 1.Out of the Blue/2.Unfinished Sonata/3.Josephine/
 4.Forward the Light Brigade/5.A Star is Born/
 6.Life of Emile Zola/7.Dark Victory/
 8.Symphonie Moderne/9.Gone with the Wind/
《CD2.サンセット大通り他》
 1.Prince Valiant Suite/2.A Place in the Sun Suite/
 3.The Bride of Frankenstein:The Creation of the Female Monster/
 4.Sunset Boulevard Suite/5.Old Acquaintance:Elegy for Strings/
 6.Rebecca Suite/7.The Philadelphia Story/
 8.Taras Bulba:The Ride to Dubno/
《CD3.クラシック映画音楽の素晴らしい世界》
 1.Universal Pictures Fanfare/
 2.Metro-Goldwyn-Mayer Fanfare/
 3.Selznick International Pictures Fanfare/
 4.Warner Bros. Fanfare/5.Twentieth Century Fox-Fanfare/
〈その他の名画から〉
 6.Star Wars/7.Captain Blood/8.Now, Voyager/
 9.Gone with the Wind/10.Elizabeth and Essex/
 11.The Caine Mutiny/12.Citizen Kane/
 13.Knights of the Round Table/14.Objective Burma/
 15.The Guns of Navarone/16.Julius Caesar/17.Peyton Place/
 18.Another World/19.King of the Khyber Rifles/20.Salome
《CD1》
マックス・スタイナー(指揮)/
オーケストラ/
《CD2-3》
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団/
チャールズ・ゲルハルト(指揮)
 1930年代、ハリウッドの創世記に作曲された数多くの映画音楽は、その後の世代の作曲家たちにも多大なる影響を与え、ついには孤高のジャンルを創り上げました。そんなジャンルの創生者としてしられるコルンゴルト(アメリカではコーンゴールドで知られる)とワックスマンがハリウッドで活動を始めたのは、皮肉にもナチスの台頭から逃れるためだったということは、案外知られていないものです。彼らは当時のヨーロッパで流行していたシェーンベルクやストラヴィンスキーたち「モダニスト」の音楽からは背を向け、あくまでも「後期ロマン派」の旋律美に拘ることで、あの独特な重厚で肉厚の音楽を映画の世界に定着させたと言えるのではないでしょうか?そんな姿勢はマックス・スタイナーやバーナード・ハーマンらに受け継がれ、誰もが知るジョン・ウィリアムズやニーノ・ロータへとつながって行くのです。
 この3枚組は、そんな大きな流れを味わわせてくれる贅沢なセットです。各々の映画会社の冒頭のファンファーレが収録されているのもうれしいところです。なお、日本での公開時はタイトルが違うこともあるため、曲目表記は英文のままにしてあります。
 録音 《CD1》1933年9月/《CD2》1974年6月10-11日 ロンドン キングスウェイ・ホール/《CD3》1972年7月,BMG Music原盤

Bottesini: Music for double bass and piano
8802105
\2000→¥1790
ボッテシーニ:コントラバスとピアノのための作品集
 1.ベッリーニの歌劇「夢遊病の女」による幻想曲/
 2.悲歌 ニ長調/3.タランテッラ/
 4.パイジェッロの「わが心はもはやうつろになりて」による主題と変奏曲/
 5.夢想/6.ベッリーニの歌劇「異国の女」による幻想曲/
 7.「ヴェニスの謝肉祭」の主題による序奏と変奏曲
ステファノ・シャシャ(コントラバス)/
デヴィッド・ジョヴァンニ・レオナルディ(ピアノ)
 「コントラバスのパガニーニ」と称されるジョヴァンニ・ボッテシーニ(1821-1889)は、この楽器の奏法と認知度を飛躍的に高めた人物として知られています。1821年、イタリアのクレモナ近郊で生まれたボッテシーニは、クラリネット奏者の父から音楽の手ほどきを受け、14歳の時にミラノ音楽院に入学したのですが、経済的な事情から奨学金を得るためには、ファゴットかコントラバスを選択する他なかったとか・・・。もし、彼がこの時ファゴットを選択していたとしたらどうなっていたのでしょう???それはともかく、前述の通り、ボッテシーニの作品はひたすら超絶技巧をともなうので、弾き手は大変ですが、聴き手にとっては至福の贈り物と言えそうです。コントラバスのベルカント。これはステキです。
 1960年生まれのコントラバス奏者ステファノ・シャシャは、日本でもアンサンブルを設立するなど、ファンにとってはおなじみの人。この復刻は嬉しい限りです。
 録音 1994年5月10-15日イタリア トレヴィーソ,イン・スタジオ,Rivoalto原盤

Castelnuovo-Tedesco: Works for Guitar
8802106
\2000→¥1790
カステルヌオーヴォ=テデスコ:ギター作品集
 1-3.世紀をわたる変奏曲Op.71/
 4-14.手帖からの音符第1集-インターバル
  <開放弦で-船乗りの心がけ/伴奏なしのメロディ:祈る人/
   その2:石鹸の泡/その3:刈り入れ人の歌/その4:谷間の鐘/
   その5:踊る熊/その6:小さなムクドリ/その7:小夜曲/
   その8:操り人形の葬送行進曲/その9:雨の中のばら/その10:アヴェ・マリア>/
 15-19.手帖からの音符第2集-18,19世紀のリズムによる舞曲集
  <マズルカ/ポルカ/フランス風ワルツ/ポロネーズ/ツーステップ>/
 20.アンドレス・セゴビアの名前によるトナディーリャOp.170-5/
 21.悪魔的奇想曲「パガニーニを讃えて」Op.85
レナート・サムエッリ(ギター)
 1895年にフィレンツェで生まれた作曲家、カステルヌオーヴォ・テデスコ(1895-1968)は、最初ピアニストとして活躍するも、1939年のムッソリーニの政策を逃れるため、アメリカに行き、ハリウッドの映画音楽を手掛けるようになった人です。また、1932年にはアンドレス・セゴビアと出会うことでギター音楽に関心を持ち、およそ100曲ものギター曲を作曲することとなります。このアルバムに収録されたのは、そんな彼の楽曲のごく一部。多くの作品を委嘱し、よき理解者でもあったセゴビアとは、後に別々の方向性を見出していくことになったのですが、彼との関係から生まれた名作の光は、未来永劫衰えることはないでしょう。
 録音 1994年9月20-25日イタリア トレヴィーソ,イン・スタジオ,Rivoalto原盤

Geminiani: Pieces de clavecin
8802108
\2000→¥1790
ジェミニアーニ:クラヴサン小品集
 《様々な作品から取られたチェンバロ小曲集と、この楽器のために付け加えられた曲集》
  1.前奏曲/2.軽快に/3.鋭く/4.優しく/5.鋭く/6.優雅に-優しく/
  7.愛情を込めて/8.鋭く/9.適度に/10.優しく/
  11.鋭く/12.メヌエットハ短調/13.メヌエットト短調
フランチェスカ・ランフランコ
 (ハープシコード1760年P.タスキン製)
 イタリア後期のバロック作曲家ジェミニアーニ(1687-1762)は、コレッリからヘンデルをつなぐ存在としても知られています。彼はヴァイオリンの名手であり、また作曲家、教師として活躍しましたが、鍵盤音楽についてはほとんど作品を残していません。しかし、自らのヴァイオリン・ソナタ Op.1とOp.4の何曲かをチェンバロ用に編曲し、その際に修正を加え、完全な鍵盤作品として送り出しました。これらの作品が、ただ単に教育用のものだったとしても、「ここまで極上の作品が生み出されたのなら、もっと多くの鍵盤用作品を残してほしかった」と悔しがるファンが多く出現しそうな1枚です。
 録音 1999年10月1-6日イタリア モンテプルチアーノ,スタジオ・デル・カマイオーネ,Rivoalto原盤

Donizetti: Sonatas and Waltzes for Piano & Four Hands Piano Works
8802107
(2CD)
\2300→¥2090
ドニゼッティ:ピアノのためのシンフォニアとワルツ集、4手のためのピアノ曲集
《CD1.ピアノのためのシンフォニアとワルツ集》
 1.シンフォニアニ長調「出発」/2.シンフォニアイ長調/
 3.シンフォニアハ長調 第1番/4.シンフォニアハ長調 第2番/
 6.シンフォニアニ長調 第2番/7.カプリッチョ・イン・シンフォニアホ短調/
 8.アダージョとアレグロト長調/9.ワルツ第1番ハ長調/
 10.ワルツ第2番ハ長調/11.ワルツ第3番イ長調/
 12.ワルツ第4番イ長調/
《CD2.4手のためのピアノ曲集》
 1.ソナタハ長調/2.ワルツト長調/3.ソナタニ長調/4.ソナタト長調/
 5.ソナタ「4つのサンフェ」/6.ソナタイ短調/8.ソナタハ長調/
 9.悲しき行進曲ホ短調/10.ソナタ変ロ長調/11.ソナタハ長調
エリザベッタ・デッシー(ピアノ)…CD1/
フランコ・カラブレット&エディ・デ・ナデイ(4手ピアノ)…CD2
 ドニゼッティ(1797-1848)といえば、誰しもがあの美しいオペラ・・・「ルチア」や「愛の妙薬」の旋律を思いだすのではないでしょうか。「ベルカント=美しい歌」の言葉が示す通り、彼の音楽と歌は密接に関係していると言えるでしょう。そんなドニゼッティですが、実はこんなに素晴らしいピアノ曲も書いていました。今のようにCDや映像のない時代、家庭で音楽を楽しむためには、ピアノが一番であったこともあり、そんな事情もあって、このようなピアノ曲が生まれたのでしょう。独奏曲もさることながら、4手のための作品はまさに歌そのもの。ショパンが目指した「ピアノで歌を歌う」世界がここにあると言えそうです。
 録音 1996年3月8-12日…CD1,1993年2月18-22日…CD2 イタリアトレヴィーソ,イン・スタジオ,Rivoalto原盤

Vivaldi: Concertos & Sonatas
8802109
(9CD)
\4500→¥3990
ヴィヴァルディ:協奏曲とソナタ集
《CD1.トリオ・ソナタ Op.1(1705)》
 1.第1番ト短調RV73/2.第2番ホ短調RV67/3.第3番ハ長調RV61/
 4.第4番ホ長調RV66/5.第5番ヘ長調RV69/6.第6番ニ長調RV62/
《CD2.トリオ・ソナタ Op.1(1705)(続き)》
 1.第7番変ホ長調RV65/2.第8番ニ短調RV64/3.第9番イ長調RV75/
 4.第10番変ロ長調RV78/5.第11番ロ短調RV79/6.第12番ニ短調RV63/
《CD3.「ラ・ストラヴァガンツァ」12のヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 Op.4》
 1-3.第1番変ロ長調RV383a/4-6.第2番ホ短調RV279/
 7-9.第3番ト長調 RV301/10-12.第4番イ短調RV257/
 13-15.第5番イ長調RV347/16-18.第6番ト短調RV316a/
《CD4.「ラ・ストラヴァガンツァ」12のヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 Op.4(続き)》
 1-4.第7番ハ長調RV185/5-9.第8番ニ短調RV249/
 10-12.第9番へ長調 RV284/13-15.第10番ハ短調RV196/
 16-18.第11番ニ長調RV204/19-21.第12番ト短調RV298/
《CD5.6つのソナタ集 Op.5》
 1.ヘ長調RV18/2.イ長調RV30/3.変ロ長調 RV33/4.ロ短調RV35/
 5.変ロ長調RV76/6.ト短調RV72/
《CD6.6つのヴァイオリン協奏曲 Op.6》
 1-3.第1番ト短調RV324/4-6.第2番変ホ長調RV259/
 7-9.第3番ト短調RV318/10-12.第4番ニ長調RV216/
 13-15.第5番ホ短調RV280/16-18.第6番ニ短調RV239/
《CD7.ヴァイオリン協奏曲集「和声と創意の試み」Op.8より四季》
 1-3.第1番ホ長調「春」RV269/4-6.第2番ト短調「夏」RV315/
 7-9.第3番ヘ長調「秋」RV293/10-12.第4番ヘ短調「冬」RV297/
《CD8.6つのヴァイオリン協奏曲Op,12》
 1-3.第1番ト短調RV317/4-6.第3番ニ長調RV124/
 7-9.第5番変ロ長調RV379/10-12.第2番ニ短調RV244/
 13-16.第4番ハ長調RV173/17-20.第6番変ロ長調RV361/
《CD9.チェロと通奏低音のための6つのソナタ》
 1.第1番変ロ長調RV47/2.第2番ヘ長調RV41/3.第3番イ短調RV43/
 4.第4番変ロ長調RV45/5.第5番ホ短調RV40/6.第6番変ロ長調RV46
エルマンノ・モリナーロ(vn)/
マリエッラ・ソレッリ(cemb/org)…CD1&2/
アントニオ・ポカテッラ(vc)/
マリオ・フェラリス(vn)…CD1,2,5&6/
ティノ・バッケッタ(vn)…CD3:10-18,CD4:13-21/
フランコ・ファンティーニ(vn)…CD3:1-9,CD4:1-12,CD5-8/
イ・ソリスティ・ディ・ミラノ…CD3,4,6-8/
アンゲロ・エフリキアン(vn/編曲…CD5/指揮)…CD3-8/
ヴェラ・ルッキーニ(cemb)/
ゲヌンツィオ・ゲッティ(vc)…CD5/
マリア・イザベラ・デ・カッリ(cemb)…CD5&6/
ポール・トルトゥリエ(vc)/
ロベール・ヴェイロン=ラクロワロベール(cemb)…CD9
 「ヴィヴァルディ(1678-1741)の作品集?イ・ムジチを持っているからいいや」。そんなことはありません。もちろんのことですが、オーケストラ、ソリストが少しでも変わると音楽もがらりと変わります。ここで中心的役割を担う指揮者&ヴァイオリニスト、エフリキアンはイタリア本国でヴィヴァルディ研究家としても名高く、彼の手から生まれる音楽は、贅沢な響きと微細な表現に彩られています。昨今のオーセンティックな演奏とも一味違う、ゆったりとした流れをお楽しみいただける、バロック・マニア垂涎の1セットです。
 録音 《CD1&2》1966年7月8-14日/《CD3&4》1964年7月9-15日/《CD5》1969年1月5-13日/《CD6》1969年3月21-29日/《CD7》1972年3月20-30日/《CD8》1967年6月10-20日/《CD9》1968年5月13-21日ミラノ ヴィラ・リッタ,Arcophon-Rivoalto原盤

Bartok: String Quartets Nos. 1-6 (complete)
8802111
(2CD)
\2300→¥2090
バルトーク:弦楽四重奏曲第1番-第6番
《CD1》
 1-3.弦楽四重奏曲第1番Sz40 Op.7/
 4-7.弦楽四重奏曲第3番Sz85/
 8-12.弦楽四重奏曲第5番Sz102/
《CD2》
 1-3.弦楽四重奏曲第2番Sz67 Op.17/
 4-8.弦楽四重奏曲第4番Sz91/
 9-12.弦楽四重奏曲第6番Sz114
グァルネリ弦楽四重奏団
<メンバー>
アルノルド・シュタインハルト(第1ヴァイオリン)/
ジョン・ダレイ(第2ヴァイオリン)/
マイケル・トゥリー(ヴィオラ)/
デヴィッド・ソイヤー(チェロ)
 1881年生まれのバルトーク(1881-1945)は、ハンガリーの民族音楽を世界的に高め、また独自のリズムやオーケストレーションで、極めて特徴的な作品を数多く残しています。この弦楽四重奏曲は、ベートーヴェンからの伝統を受け継ぎながらも、ドビュッシー、シェーンベルクなどの影響を感じさせつつ、新古典派の要素も交えた名作です。およそ30年の年月に渡って書かれた6つの作品は、バルトークの作曲様式の変遷をそのまま伝えるものであり、初期の民謡風の素材を多く用いた第1番、第2番から、荒々しいリズムと無調風の主張の激しい作品である第3番、第4番、ロマン派の作風に回帰するかのような第5番、第6番と、どれも個性的で魅力的。もちろん演奏は困難を極めるものですが、このグァルネリ弦楽四重奏団の全曲盤は技術的にも解釈も満足の行くものとして高く評価されています。
 録音 1974年12月20日&1975年1月14-15日…CD2:1-3/1976年3月15-17日…CD2:4-8/1976年5月20日…CD1:4-7/1976年5月25-26日&6月4日…CD1:8-12/1976年11月29日&12月13日…CD1:1-3/1976年12月13-14.17日…CD2:9-12 アメリカニューヨーク・シティ

NEWTON CLASSICS

8802098
(2CD)
\2600→¥2190
アルビノーニ:室内での和声の楽しみOp.6
〈CD1〉
 1-4.第1番ハ長調/5-8.第2番ト短調/9-12.第3番変ロ長調/
 13-16.第4番ニ短調/17-20.第5番ヘ長調/21-14.第6番イ短調/
〈CD2〉
 1-4.第7番ニ長調/5-8.第8番ホ短調/9-12.第9番ト長調/
 13-16.第10番ハ短調/17-20.第11番イ長調/21-14.第12番変ロ長調
セルジオ・バレストラッチ(フルート)/
シルヴィア・ランバルディ(ハープシコード)
ヴェネツィアの貴族の血を引く裕福な紙商人の家に生まれ、ヴァイオリンと声楽を学んだアルビノーニ(1671-1751)。50曲ほどのオペラを作曲しましたが、現在では、そのほとんどが散逸してしまい、どちらかというと器楽曲作曲家としての名声が残っています(とは言え、有名な「アルビノーニのアダージョ」は後年になってR.ジャゾットが捏造したもので、アルビノーニの真作ではありません)。23歳の時に作曲した「12のトリオソナタOp.1」をオットボーニ枢機卿に献呈し、また「組曲Op.3」をフェルディナント3世に献呈しています。この「室内での和声の楽しみ」は、もともと12曲からなるヴァイオリン独奏のためのソナタで、18世紀の定型に従って、「速い、遅い、速い、遅い」の4つの楽章が並ぶ楽しい作品です。音楽愛好家ジョヴァンニ・フランチェスコ・ツェーノに献呈され、オランダの出版社エスティエンヌ・ロジャーへと渡されました際にタイトルが付けられたようです。当時は木管楽器を愛するアマチュア音楽家たちの技能が飛躍的に向上したため、この盤のように、これらの曲をフルートで演奏することについては何の違和感もないでしょう。ヴァイオリンの音型を理想的に再現するバレストラッチと、ハープシコードのランバルディの解釈は、この曲に新しい光を当てることでしょう。録音 2003年6月8-14日イタリア ラヴェンナ, サンヴィターレ教会
8802099
\2000→¥1690
ブゾーニ:ヴァイオリン・ソナタ第1番&第2番
 1-3.ヴァイオリン・ソナタ第1番ホ短調 Op.29/
 4-13.ヴァイオリン・ソナタ第2番ホ短調 Op.36a
ジュリアーノ・フォンタネッラ(ヴァイオリン)/
タニア・サリナーロ(ピアノ)
巨匠ピアニストとして、また約200作品の作曲家として知られるブゾーニ(1866-1924)ですが、室内楽作品は、比較的活動の初期の時期に書かれています。第1番は1889年から取り掛かり、1990年に完成、ブロツキーに献呈されています。まだブラームスなどの先人たちの影響が見えますが、情熱的で力強い音楽です。第2番はそのほぼ10年後、1898年から1900年に作曲されたもので、ブゾーニ自身、自らの作風を確立させたと断言したほどの力作であり、ヴァイオリン部分だけでなく、ピアノ伴奏の充実した書法も楽しめる作品です。3楽章構成で書かれ、また様々な楽想が用いられています。ゆっくりとした冒頭に始まり、次々と変化する音楽には息つく暇もありません。タランテラ風の第2部を経て、第3部はバッハのコラール「わが幸いはいかに、おお魂の友よ」と同じメロディが使われた見事な変奏曲となっています。フォンタネッラとサリナーロの2人は、この曲の持つメロディアスな側面と、古典的な端正さをバランス良く結びつけた有機的な演奏で、ブゾーニの音楽の魅力を紐解いてくれます。録音 1999年3月7-11日トレヴィソ イン・スタジオ
8802100
\2000→¥1690
アンドレア・ガブリエリ:主日のミサ
 1-49.主日のミサ
ピエルパオロ・トゥレッタ(ヴェニス、サンマルコ教会ガエターノ・カッリードによる1766年製のオルガンで演奏)/
イワン・フローリャンク(語り)
オルガン・ミサは、オルガン伴奏で合唱が歌うのではなく、オルガンのみで演奏され(時に声部と交互に奏されることもある)、J.S.バッハのクラヴィーア練習曲集第3部なども、これに当たります。バッハの時代にはかなり簡潔なものとなっていますが、もともとはイタリアが発祥の地であり、このジョヴァンニの作品のように、祝典的なエネルギーに満たされた華やかなものでした。アンドレア・ガブリエリ(1533?-1585)は、ヴェネツィアのサン・マルコ寺院のオルガニストを務め、甥のジョヴァンニとともに、ヴェネツィア楽派のコンチェルト様式、および器楽曲の発展の上で重要な役割を果たした作曲家です。このアルバムでは彼の忘れられてしまった作品である「オルガン・ミサ」を、ゆかりの地であるサン・マルコ教会で演奏しています。録音 2008年4月5-10日ヴェネツィア サンマルコ教会
8802101
(3CD)
\3000→¥2590
ジュリアーニ:カントリー・ダンス他
〈CD1.
 カントリー・ダンス〉1-6.6つのスコットランド民謡/
 7-12.6つのアイルランド民謡Op.125/
〈CD2〉
 1-54.ギターのための練習曲選集/
〈CD3〉
 1-5.ロッシーニアーナ
トゥリア・カルトーニ(ギター)/
エレナ・カソーリ(ギター)/
マッシモ・スカットーリ(ギター)
ベートーヴェンとも交友があった19世紀初期のギタリスト、ジュリアーニ(1781-1829)の知られざる作品集です。彼はヴァイオリンにおけるパガニーニと同じくらい、ギターの演奏技術の向上に寄与した人であり、また多くのギターのための練習曲や、華やかな作品を書いています。CD1に収録されているのは、当時流行していた「民謡編曲」で・・・これはハイドンやベートーヴェンでもおなじみ・・・ジュリアーニも自身で採取した民謡を素晴らしい作品へと昇華させています。CD2は練習曲集であり、演奏するだけでなく、聴いても楽しい作品です。CD3は、ジュリアーニが親しくしていたロッシーニの作品の数々をポプリ(メドレーのようなもの)にした作品集。超絶技巧を駆使した曲ばかりで、原曲を知らずとも楽しめるすぐれものです。録音 CD1…2011年6月17-22日ローマ マリーノ,クラシカ・スタジオ/CD2…1994年4月10-14日トレヴィソ イン・スタジオ/CD3…1990年10月1-6日ヴェニス スタジオシンテッシ
8802102
(3CD)
\3000→¥2590
ボッケリーニ:6つの小弦楽三重奏曲&交響曲集
〈CD1.ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための小弦楽三重奏曲集Op.1〉
 1.第1番ヘ長調 G77/2.第2番変ロ長調 G78/3.第3番イ長調 G79/
 4.第4番ニ長調 G80/5.第5番ト長調 G81/6.第6番ハ長調 G82/
〈CD2.交響曲集Op.35〉
 1-3.第1番ニ長調 G509/4-6.第2番変ホ長調 G510/
 7-9.第3番イ長調 G511/
〈CD3.交響曲集Op.35(続き)〉
 1-3.第4番ヘ長調 G512/
 4-6.第5番 変ホ長調G513/7-9.第6番 変ロ長調G514
イ・フラルモニキ・ディ・ボローニャ/
アンジェロ・エフリキアン(指揮)
現在では、メヌエットばかりが知られるボッケリーニ(1743-1805)。数多くの作品を書いたのに、メヌエット以外は忘れられてしまったという残念な作曲家です。確かに同時代のハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンと比べてしまうと知名度的には落ちるかもしれませんが、夥しい数にのぼる室内楽作品は、もっともっと聴かれてもよいのではないでしょうか?弦楽五重奏曲での対等に扱われた各声部の見事さはもちろんですが、彼自身優れたチェロ奏者でもあったため、通常通奏低音としての役割を担っていたチェロを主役として活躍させていることにも注目です。ここに収録された17歳の時の作品「小三重奏曲」から、チェロの扱いが巧みです。彼は交響曲も多く作曲していて、このOp.35は1782年の作品で、彼を庇護していたマドリッド王カルロス3世の弟、ドン・ルイスのために書かれています。指揮者のアンジェロ・エフリキアンはマリピエロの弟子で、ヴィヴァルディ研究家としても知られています。録音 1971年ミラノ ヴィラ・リッタ

MARCO POLO

STRAUSS I, J.: Edition - Vol. 20
8.225340
\2000
J.シュトラウス1世:管弦楽作品集第20集
 1.ワルツ「ゾフィーの踊り」Op.185/2.ワルツ「モルダウの響き」Op.186/
 3.コンサート土産のカドリーユOp.187/4.オーストリア祝典行進曲Op.188/
 5.ワルツ「踊りの名手」Op.189/6.ワルツ「エピオンの踊り」Op.190/
 7.ジプシー娘のカドリーユOp.191/8.エスメラルダ行進曲Op.192/
 9.ワルツ「祝祭の歌」Op.193/
 10.エルドラドのカドリーユOp.194/
 11.ワルツ「たいしたことないもの」Op.195
スロヴァキア・シンフォニエッタ/
クリスティアン・ポラック(指揮)
今作は1846年前後の作品を収録しています。名手であったシュトウス(1804-1849)の元には、様々な演奏会のための曲の依頼が舞い込み、その都度ふさわしい作品を書き上げていたのです。例えば、1945年に発生したモルダウ川の洪水は、地域に大きな損害を与えたのですが、その復興のために書かれた「モルダウの響き」はプラハ市民の心の支えになりました。トラック6の「エピオン」とは、健康の女神の名前(ヒュギエイアの母)で、医師会の舞踏会のための曲につけたオシャレなタイトルです。どの曲も晩年のシュトラウスの円熟した作曲技法が感じ取れる美しいワルツです。

OEHMS


OC-402
\2000
「俺のショパンを聴け」
 フレデリック・ショパン:バラードと即興曲集
 1.バラード第1番 ト短調 Op.23/2.バラード第2番 ヘ長調 Op.38/
 3.バラード第3番 変イ長調 Op.47/4.バラード第4番 ヘ短調Op.52/
 5.即興曲第1番 変イ長調 Op.29/6.即興曲第2番 嬰ヘ長調 Op.36/
 7.即興曲第3番 変ト長調 Op.51/8.幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66
アミール・カッツ(ピアノ)
 前作「夜想曲」(OC-779)の録音の際、インタヴューで「俺のショパンを聴け」と言い切った男、エミール・カッツ。このバラードと即興曲は、ショパン・プロジェクトの第2弾としてベルリンで録音されたものです。ここでも彼の個性は際立っていて、どの曲からも、今まで聞いたことのないような新鮮な驚きと発見を引き出しています。それは、あくまでも自然な流れの中から沸き起こるもので、不思議な旋律線を出したり、新奇なテンポを設定するものではありません。まずは「バラード第3番」での両手のバランスや、「即興曲第2番」での目を見張るような軽やかさに息を飲んでください。このアルバムは彼が信頼するテノール歌手、パヴォル・プレスリクに捧げられています。
録音 2011年9月10日,10月1日ベルリン テルデック・スタジオ
Recording Producer: Friedemann Engelbrecht, Sound Engineer: Tobias Lehmann


アミール・カッツ、前作「ノクターン」
Chopin: Nocturnes Nos. 1-21 (complete)
OC-779
(2CD)
\4800→¥3290
ショパン:ノクターン全集(全21曲)
 【録音】2010年3月15日、4月1日
  ミュンヘン音楽大学大ホール(セッション:デジタル)
アミール・カッツ(P)
「のだめカンタービレ ベスト100(SICC-631のDisc7)」「シューベルト:ピアノ・ソナタ第16&19 (82876782172)」で、静かな話題となったピアニスト、アミール・カッツの最新録音「ショパン:ノクターン集」の発売です。
この夜想曲の弾き手であるカッツは、インタビュアーから「今更、ショパンの夜想曲の新しい録音が必要なのでしょうか?」という少々意地の悪い質問を受けた時、こう答えた。「それでは質問をお返ししますが、私が5回録音をした場合、その最上のものはどれにあたるのですか?全てのピアニストは常に自分自身の言葉で音楽を語りたいし、作品から新しい何かを発見しています。素晴らしい芸術からは無限の可能性を引き出すことができるのです」と答えています。聴き手にしてもそれは同じこと。一つの作品を繰り返し聴き、また違う演奏家によって命を吹き込まれたものを聴き比べ、少しずつ自分の中に蓄積し、音楽への愛を高めていくことは大いなる「聴く喜び」と言えるでしょう。彼だけのショパンを心行くまで堪能して欲しい。


OC-407
\2000→\1890
ザルツブルク・モーツァルテウム管&アイヴァー・ボルトン
 ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調(ノーヴァク版)
ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団/
アイヴァー・ボルトン(指揮)
 ブルックナー(1824-1896)の交響曲の中でも、最も愛される曲の一つである第4番「ロマンティック」については、すでに多くの人が挑んでおり、この聳え立つ山の様々な面の景観を楽しむことができるものです。さて、アイヴァー・ボルトンは2004年からこのザルツブルク・モーツァルテウムの首席指揮者として活躍していて、ブルックナーの交響曲全集も着々と進行。そろそろ完成に近づいているところです。この第4番は7作目にあたるもので、今回もライブ録音であり、極めて集中力の高い演奏を提示しています。彼の作り出すブルックナーは、音の厚さよりも、透明感を追求する傾向にあり、この4番のような比較的軽めの作品では、その美点が最大限発揮されていると言っても過言ではありません。清々しく美しい・・・そんなブルックナーです。
録音 2008年4月25.26日ザルツブルク祝祭劇場 大ホール
Recording Producer, Editing & Mastering: Jir?i Pospichal (Classic Sound Austria) . Sound Engineer: Gustav Soral

OC-648
(2SACD-Hybrid)
\3000→\2790
ケルン・ギュルツェニヒ管&マルクス・シュテンツ
 マーラー:交響曲第3番ニ短調
ミヒャエラ・シュースター(アルト)/
ケルン少年少女合唱団(エバーハルト・メッテルニヒ…指揮)/
ケルン・オペラ女性合唱団(アンドリュー・オリヴァント…指揮)/
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団/
マルクス・シュテンツ(指揮)
 常に堅実な音楽を聴かせるドイツの中堅指揮者シュテンツ。決して派手ではなくとも、その良さがじわじわと浸み込んでくるような指揮は、来日公演の際も賛否両論を巻き起こしながら、大きな話題となったものです。
 今回のマーラー(1860-1911)も、この大曲の隅から隅までをじっくりと見渡し、細部まで丁寧にスコアを読み込んだ上で、一貫した流れに乗った音楽を聴かせます。ソリスト、合唱団も全て力を出し切った上で、最終楽章へとなだれ込む様は、まさに感動の極みと言えるでしょう。日本では、どうしてもマーラー指揮者として見られてしまうシュテンツですが、劇場でのオペラ経験も長く、また、ヘンツェのスペシャリストでもあります。次代を担う指揮者の筆頭として押さえておきたい一人です。
 録音 2010年7月4-6日ケルン・フィルハーモニー Recording Producer, Editing, Mastering:Jens Schunemann, Balance Engineer: Christian Feldgen, SACD Authoring: Ingo Schmidt-Lucas


マルクス・シュテンツ&ケルン・ギュルツェニヒ管
マーラー:交響曲チクルス第1〜3弾


OC647
(2SACD-Hybrid)
\3000→¥2790
マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」 クリスティアーネ・エルツェ(ソプラノ)/
ミカエラ・シュスター(メゾ・ソプラノ)/
カルトイザーカントライ・ケルン/
バッハ=フェライン・ケルン/
ケルン音楽大学マドリガルコア/
ケルン音楽大学カンマーコア/
フィギュラルコア・ボン/
マルクス・シュテンツ(指揮)/
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
録音 2010年10月23-27日ケルン・フィルハーモニー
 新興レーベルOEHMSで着実に名を上げているマルクス・シュテンツ。師バーンスタイン譲りのダイナミックで感情豊かな指揮で観客を引き込む術を心得ている。N響定期での『復活』もえらい評判がよかった。これからどんどんその名を聞くことになるでしょう。
 ということでシュテンツのマーラー・ツィクルス、純器楽作品である第5番、ソプラノを伴う第4番に続いていよいよその第2番「復活」の登場。ソプラノ、メゾ・ソプラノのソロと合唱を伴うこの「復活交響曲」のために、ケルンとボンから5つの合唱団と、2人の名歌手が力を合わせた。今作もシュテンツは作曲家の真意を汲むために、入念なスコアの読み込みを行い、確固たる表現力でこの大作を見事に形にしている。またホールの空気感までをも余さず捉えた素晴らしい録音にも注目。全てのマーラー・ファンに。
Mahler: Symphony No.  4 in G major
OC 649
(SACD Hybrid)
\2300→¥2090
マーラー:交響曲第4番ト長調 クリスティアーネ・エルツェ(Sp)
マルクス・シュテンツ(指揮)
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
バーンスタインらの演奏とは真逆的演奏ながら、ジンマンの新解釈とも全く異なった演奏として、古典的新解釈を提唱するシュテンツの、マーラー録音第2弾となります。第5番の演奏と同じように指揮者マルクス・シュテンツは、この曲をできるだけ元の形のまま演奏していきます。近年のシャープなマーラーに慣れている耳には、若干のんびりした響きとして聞こえるかもしれませんが、初演時にワルターが感じたという「管弦楽法が声部の対位法的構造を明白に表していなかった」不満を体感できるかもしれません。またメンゲルベルクが提唱した自由なテンポのゆらぎが多く再現し、初演時の興奮を聴き手に届けることに成功したと言えるでしょう。この録音では、カプリッチョ・レーベルのキタエンコのシリーズと同じく、プロデューサーはイェンス・シューネマンが、エンジニアはクラウス・ヴァッハシュッツが担当しており、優秀で安定したサウンド・クオリティが確保されており、ケルンのフィルハーモニーの美しい響きとともに収録されているのもポイントです。既にマーラーの5番の録音(OC650)は、演奏もそうですが録音の面でも高い評価を得てきています。
【録音】2009年8月23〜26日、9月28〜29日、ケルン・フィルハーモニー [デジタル:セッション] 【演奏時間】 17:10 / 9:00 / 19:51 / 8:45 ウィーン原典版使用 ハイブリッドSACD仕様:CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.0 SURROUND
Mahler: Symphony No.  5 in C sharp minor
OC 650
(SACD Hybrid)
\2300→¥2090
マーラー:交響曲第5番 マルクス・シュテンツ(指揮)
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
マーラーの交響曲第5番は、1904年10月にこのケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団によって初演されました。もちろん指揮はマーラー本人によるものです。彼がこの曲のスケッチを始めたのは1901年の夏。その年の冬には19歳年下のアルマ・シントラーと出会い短期間のうちに婚約、結婚と話がすすみ、精神的にも絶好調の時期で、創作活動も華々しいものでした。この第5番には、並行して作曲していた『亡き子をしのぶ歌』や『子どもの不思議な角笛』などの様々な素材がモティーフとして使われていることでも知られます。マーラー自身、曲の仕上がり具合には疑問を持っていたようで、ワルターやアルマの意見によって曲を何度も校訂したというのですが、あまりにも多くのものを内包したマーラーの作品は、作曲家本人にしても完璧な形に収まるということはないのかもしれません。
 指揮者マルクス・シュテンツは、この曲をできるだけ元の形として演奏し、初演時の興奮を聴き手に届けることに成功したと言えるでしょう。近年のシャープなマーラー5番に慣れている耳には、若干のんびりした響きとして聞こえるかもしれませんが、初演時の雰囲気を体感できるかもしれません。
 最近のギュルツェニヒ管弦楽団は、定期公演のライヴ録音をドイツのアップル・ストアでデータ販売していますが(ドイツ内のみで購入可能)、この録音ではマルクス・シュテンツの強い要望により、完璧な演奏をCD(SACD)として聴いていただきたいとのことで、あえてスタジオ録音となっています。それほどこの演奏には、シュテンツの気迫と意気込みが感じられます。



ライヴCD-Rでの第4番のソプラノはサンプソンでした・・・
EN LARMES
ELS 10-858/9
(2CD−R)
¥4800→¥3400
マーラー:花の章/交響曲第4番
シューベルト/デトレフ・グラネルト編曲:歌曲「孤独に」D.620
キャロリン・サンプソン(S)
マルクス・シュテンツ指揮
ハレ管
2010年4月のライヴ ステレオ 初出



OC-799
\2000
バーバー&コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲他
 1-3.サミュエル・バーバー(1910-1981):ヴァイオリン協奏曲Op.14/
 4-6.エーリッヒ・ヴォルフガンク・コルンゴルト(1897-1957):ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35/
 7.フランツ・ワックスマン(1906-1967):カルメン・ファンタジー/
 8.ジョン・ウィリアムズ(1937-):「シンドラーのリスト」メイン・テーマ
アレクサンダー・ギルマン(ヴァイオリン)/
ケープタウン・フィルハーモニー管弦楽団/
ペリー・ソー(指揮)
 「何ともロマンティックな表現、そして美しい音色!」若きヴァイオリニスト、ギルマンを聴いた途端、誰もがそう思うに違いありません。あのハイフェッツを凌駕するほどのコルンゴルトのコンチェルトからは、まさに「良き時代のアメリカとウィーン」の風景が感じられるのです。彼は1982年にドイツ、バンベルク在住のロシア系音楽一家に生まれ、幼い頃から音楽的才能を示し、数多くのコンクールに入賞し、多くのコンサートで演奏、また名教師ザハール・ブロンに師事し、チューリヒ音楽大学で修士号を取得、現在はブロンのアシスタントとして活躍しています。2006年からは、フランク・ペーター・ツィマーマンが所有していたストラディヴァリス“ex Croall(1684年製)”を与えられ、その楽器から素晴らしい音色を引き出しているのです。そんな前途洋々の彼のデビュー・アルバムは前述のコルンゴルトとバーバーのヴァイオリン協奏曲を中心とした1枚です。ケープタウン・フィルハーモニー管の若き指揮者ペリー・ソーのバックを得て、この少し懐かしい感触の音楽を瑞々しく、この上ない美しさで表現しつくしています。超新星の生まれる瞬間をご堪能ください。
 録音 2010年12月ケープタウン
Recording Engineer: Marek Pinski, Digital Editing & Mastering: Joel Cormier

OC-830
\2300
リローデッド・ハッセ
 ヨハン・アドルフ・ハッセ(1699-1783):
  1-5.音楽劇「捨てられたディドーネ」(1742) /
  6-9.室内カンタータ「嫉妬」(1762)
  10.ポルポラ(1686-1768):
   ハッセの歌劇「アルタセルセ」(1734)への追加アリア「今や嵐の雲が」
ヴェラール・バルナ=サバドゥス(カウンターテナー)/
ホーフカペレ・ミュンヘン/
ミヒャエル・ホフステッター(指揮)
 「リローデッド(再充填)・ハッセ」とは、なんともステキなアルバム・タイトルではないでしょうか?「18世紀に書かれた音楽は古臭く、誇りに塗れている」という偏見を取り除きたいと語る現代屈指のカウンターテナー、バルナ=サバドゥスが目を付けたのは、ヘンデルとヴィヴァルディの名声の陰に隠れてしまい、名前すら忘れられかけてしまった作曲家、ヨハン・アドルフ・ハッセでした。
 ハッセは120作品に及ぶオペラ作品のほか、オラトリオ、カンタータ、ミサ曲、そして数多くの器楽曲を作曲し、一時は「ヘンデルのライバル」として持ち上げられようとしましたが、彼自身がそれを断ったことでも知られます。生前は高く評価され、人気もあったのですが、この当時の多くの作曲家たちと同じく、時の流れとともに忘れ去られてしまいました。
 そんなハッセの作品に、300年以上経た今こそ新しい命を与えるべく立ち上がったバルナ=サバドゥス。彼の試みは、すばらしい技巧と強靭な声、そしておなじみホフステッターによる見事なオーケストラによって、ここに見事に実現いたしました。録音 2011年6月ミュンヘン 昇天教会
Recording Producer: Jakob Handel, Schnitt & Editing: Jakob Handel & Gerhard Betz

OC-841
(2CD)
\3000→¥2690
ブリタニック・オルガン第3集〜外海で
《CD1》
 1.J.S.バッハ(1685-1750):トッカータとフーガニ短調/
 2-4「主よ御許に近づかん」サラ・アダムズ(1805-1848)の詩による讃美歌のための3つの旋律
  <ローウェル・メイスン(1792-1872):アメリカ民謡から「ベサニー」/
  A.S.サリヴァン(1842-1900):イギリス民謡から「プロピオール・デオ」/
  J.B.ダイクス(1823-1876):ホーベリー(タイタニック号沈没の際に演奏された曲)
   (オルガン演奏…デヴィッド・ラムゼイ)/
 5.ヨーゼフ・ベネット(1884-1944):タイタニック号の思い出ヴェルテ・ロール1661(マスター)
  (オルガン演奏…ヨーゼフ・ベネット)/
 6.ドビュッシー(1862-1918):沈める寺ヴェルテ・ロール1995(マスター)
  (オルガン…バーナード・テン・ケート)/
 7.ショパン(1810-1849):葬送行進曲ヴェルテ・ロール1006(マスター)
  (オルガン演奏…エンリコ・ボッシ(1861-1925))/
 8.メンデルスゾーン(1809-1847):静かな海と楽しい航海ヴェルテ・ロール1476(マスター)
  (オルガン演奏…ハリー・ゴス=カスタード(1871-1964))/
 9.シューベルト(1797-1828):海の静けさヴェルテ・ロール512(マスター)
  (オルガン演奏…フランツ・フィリップ)/
 10.ワーグナー(1813-1883):さまよえるオランダ人よりヴェルテ・ロール645(マスター)
 (フランツ・クサヴァー・フランツ(1857-1920) ハンドメイド・ロール)/
《CD2》
 1.テオドール・デュボワ(1837-1924):トッカータト長調(オルガン演奏…デヴィッド・ラムゼイ)/
 2.ハインリッヒ・ホフマン(1842-1902):舟歌Op.46 ヴェルテ・ロール1233
  (オルガン演奏…エドウィン・レマル(1865-1934))/
 3.ジャック・ニコラ・レンマン(1823-1881):大幻想曲ホ短調 ヴェルテ・ロール1121
  (オルガン演奏…ハリー・ゴス=カスタード)/
 4.ウィリアム・ウォルステンホルム(1865-1931):舟歌ヴェルテ・ロール1577(マスター)
  (オルガン演奏…ウィリアム・ウォルステンホルム)/
 5.ドヴォルザーク(1841-1904):交響曲第9番より第1楽章ヴェルテ・ロール957(マスター)
  (ハンドメイド・ロール)/
 6.ロシア民謡「ヴォルガの舟歌」ヴェルテ・ロール1920(マスター)
  (オルガン演奏…ポール・マニア)/
 7.ヨーゼフ・ランナー(1801-1843):古いウィーンのワルツヴェルテ・ロール384(マスター)
  (アルトゥール・シュナーベルのピアノ演奏による)/
 8-12.ハンス・ホイザー・トリビュート<マルダーレン:夢のタンゴヴェルテ・ロール2067(マスター)/
 ブラウフックス:黄金の夢の島ヴェルテ・ロール2067(マスター)/
 ハイン(1879-1928):パウニーヴェルテ・ロール2067(マスター)/
 ペレシュ・フレイレ(1880-1930):Ting-a-Ling ヴェルテ・ロール2082(マスター)/
 ペレシュ・フレイレ:クレオールのセレナーデヴェルテ・ロール2080(マスター)
  (オルガン演奏…ハンス・ホイザー)/
 13.J.B.ダイクス:涯しも知られぬ青海原(オルガン演奏…デヴィッド・ラムゼイ)/
 14.W.H.モンク(1823-1889):日暮れて四方は暗く ヴェルテ・ロール1154(マスター)
 (オルガン演奏…オルガン演奏…ハリー・ゴス=カスタード)
 つい最近起きた、イタリアの海難事故の例を挙げるまでもなく、あの「タイタニック号の悲劇」は永遠に人々の記憶からなくなることはありません。このシリーズで使われているオルガンが搭載されていた「ブリタニック号」はもともと、タイタニック号の姉妹船「ジャイガンティック号」として造船されたもので、本来は同じ形としてこの世に生を受けるはずでしたが、1912年のタイタニックの事故を受け、設計を大幅に変更し、船名までを変更し、ようやく1914年に就航したものの、結局は残念ながら海底に沈んでしまったという顛末を持った船でした。
 さて、この第3巻も貴重な音で埋め尽くされていますが、注目は、あの讃美歌「主よ御許に近づかん」の3つのヴァージョンの音楽でしょうか。これは「タイタニック」が沈没した時に甲板で音楽家たちが最後まで演奏していた音楽とされていますが、本当のところは、どの曲だったのかは記録が残っていないようです(1904年、カナダ沖でバレンシアの船が難破した時に逃げてきた女性が、その船で賛美歌が演奏されたと語っていて、この話が混同されている可能性もあるようです)。映画では、アメリカ人が一番好むメロディが使われたため、トラック2の「ベサニー」が最期を飾る曲として広く知られるようになったというわけです。
録音 2011年7/8月スイス ゼーヴェン、自動演奏楽器博物館
Musical Direction: David Rumsey, Technical Direction: Daniel Debrunner, Recording Supervision, Editing and Mastering: Andre Scheurer


ブリタニック号のオルガン第1集&第2集

OC-840
(2CD)
\3000→¥2690
沈没船ブリタニック号に搭載されていたとされる自動演奏オルガン
 ブリタニック号のオルガン第1集

 スイスのバーゼル近郊のゼーヴェンにある「自動演奏楽器博物館(Museum fur Musikautomaten)」ここには、バーゼルで印刷業を営み成功を収めたハインリヒ・ヴァイス氏が自ら蒐集してきたオルゴールなどの自動演奏楽器が収蔵されています。この中の1台が今回のアルバムの主人公です。
 豪華客船タイタニック号の姉妹船「ブリタニック号」。1871年に汽船運航を始めた英国の名門船会社ホワイト・スター・ラインが建造した大型豪華客船ですが、完成しないうちに第一次大戦となり、戦争中病院船として働いている途中で,エーゲ海で触雷して沈没し,一度も客船として就航できませんでした。このブリタニック号には、ピアノ・ロールでおなじみヴェルテ社の自動演奏オルガン「フィルハーモニック・オルガン」が搭載されていましたが、沈没と同時に行方不明になってしまいました。1世紀以上も消息が不明だったこの銘器ですが、ヴァイス氏のコレクションの一つがそのオルガンではないかと推測。手がかりも発見し、2006年から秘かに修復作業を行ってきたのです。そして見事に修復完了。2007年10月に一般公開し、世界的な話題を呼んだというものです。
 この楽器は「ブリタニック・オルガン」と命名され、博物館で展示されると同時に、ヴェルテのロール紙の演奏を行い、また実際の演奏も可能です。海に沈んだ楽器が再び音を奏でる姿は感動的ですらあります。珍しい楽器をこよなく愛するOEHMSならではの、貴重な音を伝えるシリーズです。
録音2011年2.3月スイス ゼーヴェン、自動楽器博物館 Recording Supervision, Editing and Mastering: Andre Scheurer

OC-842
(SACD-Hybrid)
\2300→¥2090
ブリタニック号のオルガン第2集〜クリスマスの旅
 ゼーヴェンの「自動演奏楽器博物館」所蔵のブリタニック・オルガンを蘇らせるシリーズの第2弾です。
 第1弾(OC840)では総合的な音の紹介に終始したのですが、今回はクリスマスの音楽に絞ってご紹介します。本来、クリスマスは一家で静かに過ごすのが昔からの習慣ですが、もし旅の途中でクリスマスを迎えることになったら、旅人は少々寂しくなってしまうかもしれません。そんな時のために、ブリタニック号はクリスマス音楽のロール紙をあらかじめ用意して出航しました。もちろん演奏は当時最高のオルガニストたちによるものです。船上で彼らの演奏を再現しながら旅人達は静かにクリスマスを祝ったのです。彼らの華やいだざわめきもこのアルバムから感じ取れるかもしれません。予想以上に力強いオルガンの音は、1世紀以上も前の空気をありありと伝えてくれます。
 録音 2011年7/8月スイス ゼーヴェン、自動演奏楽器博物館 Musical Direction: David Rumsey/Technical Direction: Daniel Debrunner/Recording Supervision, Editing and Mastering: Andre Scheurer


ONDINE


ODE-1113
(4CD)
\3000→¥2790
カイヤ・サーリアホ:管弦楽作品集
〈CD1〉
 1.オーロラ(1986)/2.夢の手引きから(1988)/3.水晶から(1990)/
 4.煙の中へ(1990)/
〈CD2〉
 1.カリバンの夢(1992)/2.ソラル(1993)/
 3-4.ヴァイオリン協奏曲「聖杯の劇場」(1997)/
 5.ミランダの嘆き(1997)/
〈CD3〉
 1-7.海を越えて-新世紀のための7 つの前奏曲(1999)/
 8-13.睡蓮の黙想(2001)/
 14-18.「はるかな愛」による5 つの黙想(2001)/
〈CD4〉
 1-3.オリオン(2002)/4-8.ノーツ・オン・ライト(2006)/9.蜃気楼(2007)
〈CD1…2〉
アヌ・コムシ(ソプラノ)/
リッカ・ランタネン(コントラルト)/
〈CD1…1-2〉
アヴァンティ室内管弦楽団/
ハンヌ・リントゥ(指揮)/
〈CD1…3-4〉ペトリ・アランコ(フルート)/
アンシ・カルットゥネン(チェロ)/
ロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団/
エサ・ペッカ=サロネン(指揮)/
〈CD2…1〉
ペッテーリ・サロマー(バリトン)/
〈CD2…3-4〉
ジョン・ストルゴーズ(ヴァリオリン)/
〈CD2〉
アヌ・コムシ(ソプラノ)/
アヴァンティ室内管弦楽団/
ハンヌ・リントゥ(指揮)/
〈CD3…14-18〉
ピア・フロインド (ソプラノ)/
ガブリエル・スオヴァネン(バリトン)/
〈CD3…1-7〉
タピオラ室内合唱団/
〈CD3〉
フィンランド放送交響楽団/
ユッカ=ペッカ・サラステ(指揮) /
〈CD4…4-9〉
アンッシ・カルットゥネン(チェロ)/
〈CD4…9〉
カリタ・マッティラ(ソプラノ)/
〈CD4〉
パリ管弦楽団/
クリストフ・エッシェンバッハ(指揮)
 フィンランドが誇る女性作曲家、カイヤ・サーリアホ(1952-)の生誕60 周年を記念した4 枚組の作品集です。
 1986 年から2007 年までの管弦楽曲、独奏付きの曲、そして声楽曲のアンソロジーは、彼女の音楽性の変化を目の当たりにすることができるでしょう。初期の作品は伝統楽器や電子音楽を積極的に用いたもので、多彩な音色の揺らめきが特徴的でしたが、1990年代後半からは、旋律に重きを置くようになり、声を用いた作品では、その趣旨が一層強調されているようです。ONDINE レーベルでも重要な作曲家の一人であり、エッシェンバッハ&パリ管を始めとした多くの名演を所持しており、これらが惜しげもなく投入されたこのBOX は、これからサーリアホを聴いてみようと思う人への贈り物と言えるでしょう。

ODE-1178
\2300
ラウタヴァーラ:地平線に向かって
 1-3.チェロ協奏曲第 2 番「地平線に向かって」(2008-2009)/
 4-6.改良-モディフィカータ(1957/2003)/
 7-9.パーカッション協奏曲「呪文」(2008) ※世界初録音
トゥルス・メルク(チェロ)…1-3/
コリン・クッリエ(パーカッション)…7-9/
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団/
ヨン・ストゥールゴールズ(指揮)
 ONDINE レーベルが積極的に紹介しているフィンランドの作曲家、ラウタヴァーラ(1928-)の最新アルバムです。
 彼の初期のモダニズム様式によるオーケストラ作品である「モディフカータ」(2003 年改作版)と、「チェロ協奏曲第2 番」、パーカッション協奏曲「呪文」の3 曲が収録されています。アルバムタイトルでもある「チェロ協奏曲」は独奏者メルクのために書かれたもので、20 分程度の長さの作品の中に、神秘性と永遠の時が凝縮されています。パーカッション協奏曲は、この曲の初演者であるクッリエに献呈されており、主楽章の超絶的なカデンツァもクッリエ自身によるものです。ヘルシンキ・フィルハモニー管弦楽団と、首席指揮者ストゥルゴールズは、彼らの偉大なる同胞作曲家に、多大なる賛辞を込めてこれらの曲を演奏しています。

ODE-1184
\2300→¥2090
オリ・ムストネン、スクリャービンを弾く
 1-12.12 の練習曲 Op.8/
 13-18.6 つの前奏曲 Op.13/
 19-23.5 つの前奏曲 Op.16/
 24.ピアノ・ソナタ第 10 番 Op.70/
 25.炎に向かって Op.72
オリ・ムストネン(ピアノ)
 ピアニスト、作曲家として幅広く活躍中。ヘルシンキ生まれのオリ・ムストネン。彼は常に新鮮な心持ちで曲に対峙し、作曲家の信念を聴き手に伝えることをモットーとしていると言います。このスクリャビンも、爛熟した後期ロマン派の音楽の特徴でもある「多弁さ」と「妖艶さ」を余すことなく伝え、時折訪れる「夢のような瞬間」を具現化しています。単一楽章、無調で書かれたソナタ第10 番、ソナタとして構想されながらも、あまりにも逸脱した様式を持つため、作曲家自身が「詩曲」に分類した「炎に向かって」この2 曲は、演奏困難な作品として知られますが、ここでのムストネンはホロヴィッツにも匹敵するほどの驚異的な技巧で、難なく弾ききっているところがさすがです。

ODE-1194
\2300
ヴァスクス:合唱作品集
 1.シジュウカラの伝言/2-5.静寂の歌/
 6.私たちの母の名/7.悲しき母/8.夏/
 9.プレインスケープ/10.小さな暖かい祭日/11.誕生
ラトヴィア放送合唱団/
シグヴァルズ・クラーヴァ(指揮)
 ラトヴィアのバプテスト教会の牧師の家に生まれたヴァスクス(1946-)は、教会への政治的な弾圧などを理由に、地元の音楽大学で学ぶことができず、ようやく隣国のリトアニアの音楽大学に入学したという、苦難の青春時代を送った人です。自然を愛し、また、ラトヴィアの民謡にも強い共感を抱く彼は、その音楽にも、失われつつあるものへの哀悼の意と、伝統への憧憬を盛り込むことで、独自の世界観を表出しています。ここに収録された合唱曲にも、自然への讃歌と太陽への敬意が見てとれるもので、美しさだけではなく、泥臭いまでの生命への執着も感じ取れるのではないでしょうか。バルト諸国の合唱の水準の高さにも、改めて驚かされることでしょう。録音 2011 年5 月リガ 聖ジョン教会




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