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第63号
お奨め国内盤新譜(1)


6/8までの紹介分


AEON



MAECD1227
(国内盤)
\2940
ケージ:ソナタとインターリュード(全曲)
ジョン・ケージ(1912〜1992):
 プリペアード・ピアノのための『ソナタとインターリュード』(1946〜48)
セドリック・ペシア(プリペアード・ピアノ)
 あまりにも美しい、煌びやかな音色——現代音楽への恐怖感をとりのぞくには、飛び抜けた巨匠の重要作でありながら耳にもやさしい、こういう傑作にふれるのが一番では?
 解説全訳付。

 欧州の現代音楽最前線を支えるaeon、素晴しいピアニストと名盤を作りました。
 「現代音楽」は、いったいいつ私たちの耳を驚かせる、異質なものになっていったのか? 古くはベルリオーズやシューマン、あるいはブルックナーのように、明らかに時代から“浮いた”音楽で物議を醸した人も19 世紀からいたことは事実ですが、「現代音楽=前衛音楽(つまり、わかりにくい可能性大)」の図式が本当の意味で確立されていったのは、20 世紀も半ばくらいのことだったと思います。裏を返せば、それ以前は「新しい音楽=新しい喜び(つまり、聴く価値がある可能性大)」というような期待が多かれ少なかれあったはず。フランス随一、いやヨーロッパと全世界の「前衛」の最もとがった先までカヴァーする懐の深いaeon レーベルが、彼らにとって基本中の基本であろう「ジョン・ケージの古典的名作」に立ち返って発表してくれたこのアルバムがあまりに美しく、「前衛=こわい」の図式をかろやかに覆す音楽性あふれる内容になっていたため、ついそんなことを考えていまいました。
 驚いたことに、20 世紀現代音楽のまごうことなき旗手のひとりジョン・ケージは、なんと本年生誕100 周年!この記念すべき年に、あらためてケージが現代文化シーンに(音楽に限らず、ということでもあるでしょう)なした貢献について考えようとするとき、私たちはやはり彼の初期の傑作『ソナタとインターリュード』を聴かずには過ごせないのだと思います。
 独自の音楽哲学・音響理念のもと、数々の物議を醸したケージですが、ここで演奏されるのは全20 曲からなるピアノ独奏曲。ただ、ピアノは決して普通に弾かれない——現代音楽用語ではもはや「ピアノをプリペアする」という表現はすっかり一般的になりましたが、1948 年に完成したこの『ソナタとインターリュード』こそは、弦にさまざまな詰め物をしたり、障害物を挟んだりして全く新しい音響をこの楽器から引き出す、いわゆるプリペアード・ピアノの手法が最初に用いられた歴史的傑作です。
 ピアノを通常ではないやり方で弾く...などと聞いただけで恐ろしい音響効果につきあわされるのでは?という恐怖感が先に立った方、さにあらず——ケージがまだ30 代の頃(バッハでいえばケーテン時代、ベートーヴェンで言えば最初の弦楽四重奏曲集から「傑作の森」にさしかかる頃)に発表したこの作品集、プリペアード・ピアノのノウハウをよくわきまえた演奏家が弾けば、ピアノとは思えない実にハーモニアスかつ煌びやかな音色に、確かな「美」を宿らせることができるです!
 そんな離れ業をここで展開してみせたのは、現代芸術を大切にしてきた国スイスで、長年Claves に数々の録音を残してきた俊才ペシア...。
 例によって解説も的確(日本語訳付)、ケージと聞いて怖気をふるっていた人にも聴いてほしい、美しすぎる現代音楽の世界がそこに広がっています。要注目の新録音、さすがはaeon の底力...と改めて感服です!

AEON



MAECD0865
(国内盤)
\2940
『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』
 〜100年前の鍵盤曲集、英国のルネサンスからバロックへ〜

 ウィリアム・バード(1543〜1623):
   ①わが仇敵に好機あれ ②フィリップ・トレジアンのパヴァーナ
   ③ガリアルダ ④或るメドレー ⑤ロウランド ⑥ジョン、来てキスして今すぐ!
   ⑦涙のパヴァーナ ⑧ガリアード
 ジャイルズ・ファーナビー(1566〜1640):
   ⑨或るトイ ⑩教えてくれ、ダフネ ⑪そびえる丘
   ⑫モール・シムズ ⑬去りがたく
   ⑭ファーナビーの夢 ⑮年老いたスパニョレッタ
 ヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリンク(1562〜1621):
  ⑯プレルーディウム=トッカータ
 ジョン・ブル(1563〜1628):
  ⑰ブラウンシュヴァイク公爵夫人のトイ
  ⑱Dのプレリューディアム
  ⑲ブル博士の宝石
 ⑳作者不詳の歌「どうして訊くの」
  (21)イン・ノミネXII (22)ブラウンシュヴァイク公爵夫人のアルメイン
  (23)イン・ノミネIX
ジョヴァンカ・マルヴィル(チェンバロ、ヴァージナル)
 古楽界の隠れ先進国スイス生まれ。「当時の楽器」に情熱を燃やす俊才マルヴィルが、艶やかなルイ・クープラン盤に続いて世に問うたのは・・・。
 端整な美音は、精巧をきわめる復元楽器。英国ルネサンス最大の鍵盤曲集、その魅力をじっくり解き明かす忘れがたい名盤

 現代音楽の最先端から生粋の中世古楽まで、もちろんロマン派路線も含めて「ほんとうによい音楽」を分け隔てなく、独自のセンスで世に知らしめつづけてきたフランスの秀逸レーベルaeon——その本拠が、実はヨーロッパでもとくに古くから古楽教育機関があるスイスに近い場所にあり、またパリよりも(中世音楽研究のプロがいる)リヨンが近いという場所柄もあって、昨今はしだいに古楽レーベルとしても存在感をあらわしてきました。
 2010 年にはレコード・アカデミー賞音楽史部門も受賞…リヨン系の古楽集団ムジカ・ノーヴァの快挙ですが、この団体と並んでaeon レーベルの古楽部門に独特の花を添えているのが、スイスのチェンバロ奏者ジョヴァンカ・マルヴィル!
 バーゼルの向こうを張る古楽揺籃の地ジュネーヴで学んだ彼女の演奏は、すでにルイ・クープランとフローベルガーに光を当て、フランス1658 年製オリジナルの楽器で17 世紀フランスの「生の音」を伝えた前作(MAECD0751)でいかんなく示されたとおりですが、次なる本盤では一転、舞台は英国に。もうひとつの鍵盤音楽の宝庫、ルネサンス期のイギリス鍵盤音楽の世界で最も重要な資料のひとつ「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」に記載されている作品群をあざやかに。
 使用楽器は復元楽器ながら、モデルはかたやライプツィヒ楽器博物館にある現存最古(!)のチェンバロ、かたやベルギー屈指の名工リュッケルスによる、フェルメールその他のオランダ風俗画でおなじみのミュゼラール型ヴァージナル、後者のうるおいあふれる音色も、前者の立ち上がりのよいイタリア型特有の響きも、演奏作品の魅力をくっきり鮮やかに伝えてやみません。
 どうしてそれらの楽器を使うことになったのか?といったあたりは例によって解説に詳述されていますが(全訳添付)、もうひとつセンスを感じるのはその選曲。年代的に70 年近くもの開きがある300 曲もの作品から、16 世紀以降17 世紀初旬までのイギリス鍵盤音楽の多彩さをよく示すヴァリエーション豊かな楽曲を、3 人の英国人作曲家の作品に絞ってうまく選曲。そこへ、のちにブクステフーデやバッハにも影響を与えたオランダの大家スヴェーリンクの大曲(この曲集に記載されている、数少ない外国人作曲家の作品)をひとつ混ぜることで、英国音楽がヨーロッパ北方ともつながりのあることをうまく浮彫りにしてみせているのです(同曲集にはイタリア人ピッキの曲もありますが、そちらを混ぜると混乱が増すような)。

イタリア型単弦チェンバロ:
  バーゼルのトーマス・シュタイナー1989 年製作、
  ドミニクス・ピサレンシス(ピサのドメーニコ)1533 年製作モデルのチェンバロ
  (ライプツィヒ楽器博物館所蔵)に基づく)
フランデレン型ヴァージナル:
 ヴォードリヴィレールのアラン・デュー2003 年製作、
  アントヴェルペンのアンドレアス・リュッケルス1620 年製作モデルの
  ミュゼラール(ブリュッセル楽器博物館所蔵)に基づく

ALPHA



Alpha601
(国内盤)
\2940
エリック・ル・サージュ(p)
 フォーレ:ピアノ四重奏曲 第1・2 番
 〜ピアノを含む室内楽作品集Vol.2〜

  ヴァイオリンは樫本大進
ガブリエル・フォーレ(1845〜1924):
 1. ピアノ四重奏曲第1 番ハ短調op.15
 2. ピアノ四重奏曲第2 番ト短調op.45
エリック・ル・サージュ(p)
樫本大進(vn)
リズ・ベルトー(va)
フランソワ・サルク(vc)
 異才ル・サージュが大好評のシューマン全集に続いて世に問うのは、同じフランスの近代を代表する大家、フォーレの室内楽。
 大好評のチェロ曲集に続き、全員ソリスト編成で最重要作2曲が早くも登場!
 精妙と躍動の絶妙なバランス、そして弦には樫本大進が!

 レオンハルト、カフェ・ツィマーマン、ル・ポエム・アルモニーク、アルテュール・スホーンデルヴルト、マルコ・ビズリー...古楽界の大御所の忘れがたい名盤から、国外では誰も知らなかった最前線の鬼才たちまで、フランス随一の小規模レーベルAlpha がこの10 数年のあいだ世に紹介してきた才人たちは、枚挙に暇がありません。そして今や、あえてこうも言えるでしょう——エリック・ル・サージュは、すでにAlpha とともにある名演奏家にほかならない、と。パユ(fl)、メイエ(cl)ら名手続々のアンサンブル、レ・ヴァン・フランセとの来日で毎年のように日本を訪れるこのピアニスト、室内楽をこよなく愛し、同時にソリストとしてはまさに「絶妙」としか言いようのない踏み込み具合で作品と対峙、ほどよい客観性を保ちながらも作品そのものに潜む情熱をほのかに立ち昇らせ、いつしか私たち聴き手を深い鑑賞体験にいざない、あらがいがたい興奮を呼びさまさせている。それは彼自身のなかに、あふれんばかりの作品愛があるから...。
 そんなソリストとしてのル・サージュの一面をはっきり印象づけてくれたのが、2006 年まで概して古楽主体だったAlpha レーベルで5年にわたってリリースを続けてきた、一連のシューマン録音でした。そしてこのシリーズ完成後、ル・サージュが昨年新たにスタートさせたシリーズが、CD5作で綴る、フォーレの室内楽作品集。自分と同じフランス語を話し、フランスの空気を吸って生きてきたこの近代作曲家の繊細な芸術性に、ル・サージュがまたしても比類ない感性で迫ってみせた様子は、昨年後半にリリースされたフランソワ・サルクとのチェロ作品集(Alpha600)で実証済み。
 そして今回リリースされるのは・・・フォーレの全室内楽作品中でも、ヴァイオリン・ソナタと並んでおそらく最も注目度が高いであろう「ピアノ四重奏曲」全2曲!
 そしてごらんください、この演奏陣。
 チェロ作品集での共演者である多芸な才人サルクはもちろん、シューマン録音のさい第10 巻(ピアノ五重奏曲&四重奏曲、Alpha166)でも共演していたリズ・ベルトーと、そしてヴァイオリンはベルリン・フィル第1 コンサートマスターとして破竹の勢いで活躍を続ける俊才、樫本大進!
 それぞれがソロ活動でもめざましい活躍を続ける4人が、室内楽奏者として個性を絡ませあい、互いの感性を認めあいながら、整然としたアンサンブルの美を静かに白熱させてゆくさまに、どうして深く魅了されずにいられるでしょうか。
 前作で示されたこのシリーズの趣旨どおり、「ことば」と「音楽」のつながりを探るべく、同時代のフランス詩人ヴェルレーヌの「詩の技芸」という詩が解説冒頭に掲げられ(この部分も含め解説全訳付)、曲の魅力を多角的に解き明かしてゆこうとする入念なアルバム制作姿勢も高く評価したいところ。さまざまなストーリーの中で生まれた近代音楽史上の名品を、極上の演奏で味わうさいの演出もぬかりない、Alpha の魅力が凝縮された充実の1枚です!


旧譜から
Schumann - Piano Works & Chamber Music X
Alpha166
(国内盤)
\2940
シューマン:ピアノ曲・室内楽作品集 Vol.10〜
 1. ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44
 2. ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47
エリック・ル・サージュ(p/1875年製スタインウェイ)
ゴルダン・ニコリッチ、
樫本大進(vn)
リズ・ベルトー(va)
フランソワ・サルク(vc)
 ここにご案内する「第10集」は、シューマンの室内楽でも最も重要な2曲といっても過言ではない、「室内楽の年」の代表作たるピアノ五重奏曲とピアノ四重奏曲。いわば、室内楽作品の大本命。師匠ヴィークにその娘クララとの恋路を阻まれ、苦難の日々を送っていた頃はピアノ曲ばかり書いていたシューマンですが、1840 年に晴れてクララと結婚してからは、1840 年に歌曲、1841 年に大規模管弦楽曲、そして1842 年には室内楽…とこれまで手がけたことのなかったジャンルに挑戦、次々と傑作をものにしてゆきました。「室内楽の年」に弦楽四重奏曲を3曲書いたあとに彼が相次いで完成させたのは、それまで殆ど前例のなかった演奏編成、ピアノと弦楽四重奏ないし弦楽三重奏による作品。その両者がどちらも音楽史に残る傑作になったのですから、驚くべき才能の開花というほかありません。
 本盤でル・サージュは19 世紀製のスタインウェイの玄妙な音色を操り、気鋭のソリストたちとこれまで同様の(いや、それ以上に?)鮮烈なみずみずしさと絶妙の客観的理知性を兼ねそなえた濃密・充実の解釈をくりひろげてゆくのですが、注目すべきはその「気鋭のソリストたち」の顔ぶれ。同シリーズで高雅なロマン情緒をふりまいてきた名手ニコリッチ、先日来日したばかりの若き俊英サルクや躍進中のベルトーといった面子に混じって、五重奏曲ではなんと、ベルリン・フィルのコンサートマスター就任へ向けての活躍が話題となった名手、樫本大進の名が!
 えもいわれぬ高揚感で盛り上がり、稀有のバランスで織り上げられてゆく音響世界のインテンスさは、こうした豪奢な演奏陣の顔ぶれに負うところも大きいのでしょう。両作品の新たな決定的解釈となるであろう強力アルバム。

ALPHA



Alpha815
(国内盤・5枚組)
\7770
グスタフ・レオンハルト/最後に刻んでいったもの
 〜Alpha レーベルへの晩年の録音全集〜 5枚組¥7770


《CD I》レオンハルト、ボルドー聖十字架大修道院教会のオルガンを弾く(Alpha017)

 フランソワ・クープラン(1668〜1733):
  ①修道院のためのオルガン・ミサ(1690)より7編
 アブラハム・ファン・デン・ケルクホーフェン(1608 頃〜1701):
  ②ファンタジア
 ヨーハン・カスパール・フェルディナト・フォン・フィッシャー(1656〜1746):③シャコンヌ
 ゲオルク・ムファット(1653〜1704):④トッカータ 第1番 ⑤同・第5番
 ルイ・マルシャン(1669〜1732):
   ⑥プラン・ジュ ⑦クロモルヌ管のバス ⑧デュオ ⑨レシとディアローグ
 ジョン・ブロウ(1648〜1708):⑩ヴォランタリ第4番 ⑪同・第8番 ⑫同・第18 番
  ※使用楽器:ボルドー聖十字架大修道院教会 ベドス・ド・セル師1748 年建造
グスタフ・レオンハルト
(チェンバロ、オルガン、クラヴィチェンバロ、指揮)
《CD II》レオンハルトが奏でる、イタリアとフランスの響き(Alpha026)
 ジローラモ・フレスコバルディ(1583〜1643):
  ①トッカータ 第2番(1615)②カンツォーナ 第5番(1615)
  ③ファンタジア 第4番(1608)
  ④バッサ・フィアメンガによるカプリッチョ(1624)
  ⑤トッカータ 第7番(1627)
  ⑥リチェルカーレ 第1番(1615)
  ⑦カンツォーナ 第3番(1627)⑧トッカータ 第8番(1615)
 ルイ・クープラン (1626 頃〜1661):
   ⑨組曲 ニ長調 ⑩パッサカーユ ト短調 ⑪組曲 ホ短調
   ⑫パヴァーヌ 嬰ヘ短調
    ※使用楽器1:イタリア式モデルによる
      マルティン・スコヴロネック製作による復元楽器
    使用楽器2:ヴァンサン・ティボー(フランス17 世紀)の
     モデルに基づくエミール・ジョバン製作の復元楽器
《CD III》イタリア音楽の遺産 〜イギリスとドイツの鍵盤楽曲集(Alpha042)
 ハンス・レオ・ハスラー(1564〜1612):①カンツォン
 ニコラス・ストロージャーズ(1560〜75 頃活躍):②ファンタジア
 ウィリアム・バード(1542〜1623):
   ③コルラント(クラント)④女王陛下のアルメイン ⑤グラウンド
 ジョン・ブル(1563〜1628):⑥ジョン・ブルがおやすみなさいを言う
 オーランド—・ギボンズ(1683〜1625):⑦ファンタジア
 ヨーハン・パッヘルベル(1653〜1708):⑧ファンタジア ⑩トッカータ ト長調
 ヨーハン・クリストフ・バッハ(1642〜1703):⑪プレルディウム
 クリスティアン・リッター(1650〜1725):
   ⑫スウェーデン国王カール11 世の死を悼むアッレマンダ(アルマンド)
 ヨーハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750):
  ⑬ファンタジア BWV1121 ⑭イタリア様式による変奏付アリア BWV989
  ⑮「おお神よ、汝慈悲深き神よ」の旋律にもとづくパルティータ BWV767
  ※使用楽器1:
    アンスニー・サイディ&マティアス・グリーヴィシュ復元製作によるクラヴィオルガヌム
  使用楽器2:
   ジルバーマン1735 年製2段鍵盤楽器に基づくアンスニー・サイディ1995 年製作の復元楽器
《CD IV》ウィリアム・バード:鍵盤のための作品集(Alpha073)
 ウィリアム・バード(1542〜1623):
  ①パヴァーン (16a) ②ガリアード (16b) ③栄光を与えたまえ、主よ (49)
  ④この道を通る人は (19) ⑤アルメイン (89) ⑥パヴァーン (14a)
  ⑦ガリアード (14b) ⑧ラ・ヴォルタ (91) ⑨パヴァーン (23a)
  ⑩ガリアード (23b) ⑪ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ (64) ⑫グラウンド (43)
  ⑬ローランド (7) ⑭ファンタジア (13)
  ※使用楽器:
    ローデヴェイク・テーヴェス1579 年製作のクラヴィチェンバロに基づく
    マーカム・ローズ製作の復元型チェンバロ
《CD V》J.S.バッハ いとも豪奢なる世俗カンタータ2編(Alpha118)
 ヨーハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750):
  ①世俗カンタータ『楽しきヴィーダーアウよ』BWV30a(1737)
  ②世俗カンタータ『相和する弦の音よ』BWV207(1726)
   ※モニカ・フリンマー(ソプラノ)
     ロビン・ブレイズ(カウンターテナー)
     マルクス・シェーファー(テノール)ステファン・マクラウド(バス)
     グスタフ・レオンハルト指揮
     カフェ・ツィマーマン(古楽器使用)、
     ヴェルサイユ・バロック音楽センター合唱団
 その生き方が「古楽復興」だった——思いは若い世代に受け継がれ、彼は伝説になった。
 偉大な古楽鍵盤奏者=指揮者グスタフ・レオンハルトが、生涯最後に深く愛したレーベル、Alpha の録音をすべて結集。フィリップ・ヘレヴェッヘや主宰者らの書き下ろしコメントも全訳付です。

 昨年末にパリで引退公演を行ってから2ヵ月後、今年1月16 日にアムステルダムの自宅で息を引き取った巨匠、グスタフ・レオンハルト。
 大戦前の1928 年に生まれ、17 世紀の姿を今にとどめる古都アムステルダムでアンティーク家具や古楽器に囲まれて育ったこの巨匠は、早くから歴史的楽器(ピリオド楽器)と歴史的奏法(ピリオド奏法)の意義をはっきり打ち出し、楽譜解釈の誠実さを説き続けるかたわら、高速鉄道やジェット機など大の高速移動手段好きという意外な一面もあった。彼こそは、20 世紀以降の理想的な「古楽復興」のあり方を地でゆく人物だったのではないでしょうか。
 録音にも積極的で、Vanguard、Telefunken/Teldec、DeutscheHarmonia Mundi、Philips、SEON...とさまざまなレーベルで名盤を残してきたレオンハルトですが、音盤シーンが大きく変革していった21 世紀以降は、もっぱらフランスの良心的小規模レーベルAlpha と充実した音盤制作を続けていました。
 母国語であるオランダ語に加え、英語やドイツ語と同じくらいフランス語を流暢に話し、演奏会では好んでフランス・クラヴサン楽派の作品をとりあげもすれば、最後のリサイタル地にパリを選ぶ。そのかたわら英国ルネサンスの鍵盤音楽を偏愛し、最後に正規制作した録音はウィリアム・バードの作品集。また映画『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記』でバッハ役を演じ、鍵盤作品はことごとく録音、さらにニコラウス・アルノンクールと協力して指揮活動に精を出し、歴史的アプローチによるバッハ・カンタータ全曲録音を完遂するなど、彼はJ.S.バッハとも深く結び付けられた芸術家でもありました。
 そうした足跡の総決算が、Alpha レーベルで制作された最後の足跡に深く刻まれているのです。
 ボルドーの歴史的オルガンでの最初の録音、現代の名工による歴史的モデルのチェンバロの銘器2台を奏で分け、欧州はもちろん日本でもレコード・アカデミー賞に輝いたフランスとイタリアの傑作集、ドイツと英国に焦点をあて、バロックの合成楽器クラヴィオルガヌムの魅力を解き明かしてみせた第3作、最後の正規鍵盤録音となったバード作品集、そして「もう指揮はしない」と標榜していたとの風評を覆し、カフェ・ツィマーマンをはじめとする古楽先進国フランスきっての俊才たちの前にあらわれ「バッハ指揮者」として全うした、レオンハルト最後の録音。全5枚の録音すべてと、添付されていた解説日本語訳もことごとく収録。さらに今回の企画にあたり、レーベル主宰者や名匠フィリップ・ヘレヴェッヘらが寄せたコメントまで全訳、現代屈指の名レーベルが巨匠に捧げた敬意の“魂”を、可能な限り日本の音楽ファンにお届けします。
 なお制作元は特記こそしていませんが、昨今の音盤制作状況からすると、事実上の限定生産になる可能性も充分考えられるところ。歴史的意義のあるリリース、お早めにどうぞ!!

CYPRES



MCYP8604
(国内盤・訳詞付)
\2940
ボザール音楽堂のジョゼ・ヴァン・ダム
 〜ブラームス、プーランク、デュパルク...
 偉大なオペラ歌手の、いとも細やかな歌曲世界〜
 フーゴ・ヴォルフ(1860〜1903):
  ①ミケランジェロの叙事詩による三つの歌
 ブラームス(1833〜1897):
  ②夜更けに僕は起き上がり op.32-1
  ③僕はさまよい歩く op.32-3
  ④すぐそばにあった小川は op.32-4
  ⑤またしてもこの鎖は op.32-5
  ⑥勘違いだというけれど op.63-5
  ⑦青春の歌I op.59-8 ⑧教会墓地にて op.105-4
  ⑨永遠の愛についてop.43-1
 アンリ・デュパルク (1848〜1933):
  ⑨前世 ⑩ため息 ⑪悲しき歌
  ⑫ロズモンドの館(⑫はアルバム末尾に収録)
 イベール (1890〜1962):⑬ドン・キホーテの四つの小唄
 フランシス・プーランク (1899〜1963):⑭陽気な歌(全8曲)
ジョゼ・ヴァン・ダム(バス=バリトン)
マチェイ・ピクルスキ(ピアノ)
 世界の歌劇場が、この偉大なバス=バリトンの声と才気に惚れ込んできた——王立モネ劇場の音源資料室から、深みを増し続けるヴァン・ダム芸術の極致をしめす1997年の歌曲リサイタル音源が登場。

 「ファン・ダムの歌曲リサイタル?(…中略…)ファン・ダムといえば、世界の大劇場で大役を務める歌手、それもワーグナーならハンス・ザックス『ニュルンベルクのマイスタージンガー』) や、「さまよえるオランダ人」、ヴェルディならフェリペ2世 (『ドン・カルロ』)といった役を恒常的にこなす重量級だ。そんな彼にとって、ピアノ伴奏ひとつだけのドイツ歌曲やフランス歌曲などというものは、ある大役から次の大役へうつるための息抜き のような、間奏曲のような仕事にすぎないだろう...とつい考えてしまうのは当然のことである。しかし、それは先入観にすぎない」(本盤解説より、小阪亜矢子訳)

 ...ブリュッセルの王立モネ劇場とともに、最上の意味で欧州歌劇界の“火薬庫”でありつづけてきたベルギー。20 世紀の後半からワーグナーやR.シュトラウスなどドイツ系作品での大役、あるいはプーランク、ドビュッシーなどのフランス物のエキスパートとして、そしてもちろんヴェルディ歌手としても、ジョゼ・ヴァン・ダムはこの国を代表する偉大な男声歌手でありつづけ、その存在感はドイツのフィッシャー=ディースカウやブルガリアのニコライ・ギャウロフらにも比肩し、国境を易々と乗り越え世界的に絶賛されてきたと言ってよいでしょう。音盤シーンでもカラヤン、マゼール、小沢、アバド、ガーディナー、ブーレーズ...と、この名匠を重要な役柄に据えて不朽の名演を刻んできた大御所は枚挙に暇がありません。
 ブリュッセルに拠点を置き、欧州歌劇界に通じた俊才プロデューサーがディレクターを務めるCypres は、近年モネ劇場との共同企画でこの世界的オペラハウスの貴重なアーカイブを音盤化しはじめていますが、ここに実現したのは、そんな名歌手ヴァン・ダムが行った貴重な歌曲リサイタルのライヴ盤リリース。
 1997 年5 月7 日、ブリュッセルのボザール音楽堂で行われたこのリサイタルでは、そんな「重量級」の歌い手が実は「ちいさきもの」にも細やかに心をくだき、歌曲ひとつひとつの小宇宙を個性豊かに美しく描き上げられる、稀代のリート歌手でもあったことを鮮やかに印象づけてやみません。ライヴならではの静かな緊張感が作品ひとつひとつの輝きを美しく増幅させ、ヴァン・ダムの声は深く、変幻自在に、ブラームスやデュパルクの優しさと幻想を、イベールやプーランクの機知を、丹念に解釈として息づかせてゆきます。
 プログラムの流れの美しさも、リサイタル・ライヴならではの味わいのひとつ。演奏史のひとこまに居合わせたような、至高の体験を約束してくれる味わい深い1 枚。
 演奏と作品への深い洞察にみちた解説の日本語訳はもちろん、歌詞も完全訳詞付でお届けいたします。

GRAMOLA


GRML98923
(国内盤)
\2940
アーツィエス四重奏団/ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲集
 ショスタコーヴィチ:
  1. 弦楽四重奏曲第3番ヘ長調 op.73(1946)
  2. 弦楽四重奏曲第5番変ロ長調 op.92(1948)
  3. ポルカ 〜バレエ「黄金時代」op.22(1930)
アーツィエス四重奏団
ベンヤミン・ツィーアフォーゲル(第1vn)
ラファエル・カスプリアン(第2vn)
マンフレート・プレースル(va)
トーマス・ヴィースフレッカー(vc)
 きりっと引き締まった精緻な解釈、颯爽とクールな音作り。音楽大国オーストリア発、新世代の担い手アーツィエス四重奏団の弾くショスタコーヴィチは、あまりに痛快、ドキドキするような名演に。

 音楽大国オーストリアでいま最も注目されている弦楽四重奏団のひとつ、アーツィエスSQ による痛快な新録音。
 すでにGramola レーベルの看板グループの一つになりつつあるこの俊才集団は、これまでに巨匠ダヴィド・ゲリンガスをゲストに迎えてのシューベルトの弦楽五重奏曲(GRML98840)や、1950 年代にまだ若者だったフリードリヒ・グルダの書いた心躍る弦楽四重奏曲をはじめ、プッチーニやドビュッシーの初期作品も収録した気になるアルバム(GRML98843)など、耳の肥えた室内楽ファンをうならせずにはおかない充実したディスコグラフィを刻んできました。そのアーツィエスSQ、今度は一転、ロシアの音楽世界をみずみずしく、あざやかに披露します。
 ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲15 曲は、彼の交響曲がソ連当局の目をつよく意識した対外的な表現(と、その裏に込められたメッセージ)の象徴であったのに対し、言論の自由がないに等しい時代を生きる人間としての私的な思いを静かに塗り込めた、この作曲家の個人史のような音楽内容であるとみなされています。アーツィエス四重奏団の面々はそのことをよくふまえたうえで、かたや偽りの感情の裏にひそむ個人的な悲哀を、かたや公的な活動から締め出された天才芸術家の内面の声を、聞くに堪えない叫びとして表現するのではなく、ひたすら耳を魅了してやまない美しい弦音の重なりのなか、純粋な音楽美として昇華させてみせたのです。
 ショスタコーヴィチの心情を想って聴くも、極上室内楽として聴くもよし...解説も端的(日本語訳付)で有用。

INDESENS!


INDE039
(国内盤)
\2940
超一流ソロ奏者によるピアノと管楽器のための五重奏曲
 モーツァルト(1756〜91):
  1. ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 KV452
 ベートーヴェン(1770〜1827):
  2. ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 Op.16
ヘルベルト・シュフ(p)
ラモン・オルテガ・ケロ(ob)
セバスティアン・マンツ(cl)
マルク・トレーネル(fg)
ダヴィド・フェルナンデス・アロンソ(hr)
 バイエルン放響やチューリヒ・トーンハレ管など、超一流楽団でソロ奏者をつとめるミュンヘンARD 国際コンクールの覇者たちって、やっぱりとてつもなく芸達者だった!!
 個人技もアンサンブルも、息をのむ技量と味わい。「管の国」のレーベル、耳が肥えてますかつてベルリオーズやドビュッシーが、音色の多彩さを生かした華麗なオーケストラ語法を使いこなし、その高い要求に見合うだけの腕達者な管楽器奏者たちがしのぎをけずる中、刺激を受けた大作曲家たちも巻き込みつつ、19 世紀後半以来、管楽器のための素晴らしい楽曲と桁外れの名手を続々と世に送り出してきた「管楽器の王国」フランス。
 その最上級の伝統を世界に知らしめるべく発足したIndesens!(アンデサンス)レーベルのプロデューサーは、やはり管楽器ものの録音では生半可なものを絶対に作らない、実にグルマンな耳の持ち主だったと、今回の録音を試聴して改めて思いました。
 というのも、これまで「フランスの管・管楽器の王国の伝統」を前面に打ち出すかのごとく、パリ管やパリ・オペラ座管などフランスの超一流オーケストラで活躍する管楽器プレイヤーの新録音を集中的に出してきた同レーベルから、明らかにフランス人のそれではない名前ばかりが並ぶ録音が届いたのですから、すわレーベル発足数年後にありがちな「方向性のブレ」か?と不安になったりもするわけです。しかし一聴してその考えは吹き飛びました——主宰者=プロデューサーが元・パリ音楽院でトランペットを学んでいた音楽家だっただけあって、演奏家の活躍地がフランスであろうとなかろうと、極上のものしか世に届けようとはしないわけです。
 今回の録音に集う管楽器奏者たちは、出身国こそスペイン、フランス、ドイツ...とさまざまながらまさに凄腕ぞろい。
 4 人中3 人が超・難関として知られてきたミュンヘン国際ARD コンクールで優勝(!)した超・猛者。2 人がドイツ屈指の音楽賞であるECHO賞をデビュー・アルバムで獲得した強者。さらにバイエルン放響、チューリヒ・トーンハレ管、SWR シュトゥットガルト放響...といった超・一流オーケストラのソロ奏者(ないしソロ奏者経験者)が続々。そしてさらにピアニストはOehmsClassics でシューベルトからラッヘンマンまで幅広く、センス抜群のソロ・アルバムを連発しているドイツの俊才ヘルベルト・シュフ!息の合い方はまるで優雅な生き物のよう、各人のソロの際立ちようも実にしなやかで美しく、全体に漂うノーブルな気品というか、気張らずおのずと優美な響きはまさに絶品そのもの!
 ベートーヴェン初期の超・傑作でも、モーツァルト自身が「ぼくの最高傑作」と言明した五重奏曲でも、やはりこのくらいの名手に弾いてほしいもの・・・というか、並居る競合盤と易々と伍してみせるだけの突き抜けたクオリティが、ここにはあります。

PHI(Φ)



LPH005
(国内盤・訳詞付)
\2940
ヘレヴェッヘ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
 新作はビクトリア:レクイエム

トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548〜1611):
 ①逝ける者への聖務日課(レクィエム)
  〜皇太后マリア・デ・アウストリアの逝去に寄せて(1605)
 ②おお、主イエス・キリスト(1585)
 ③主よ、わたしは取るに足らない者です(1583)
 ④ごきげんよう、天の皇后(サルヴェ・レジーナ)(1576)
 ⑤わたしは立ち上がり、かの町に行こう(1572)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
ハナ・ブラジコヴァー、
ドミニク・フェルキンデレン(Sop1)
ジュリエット・フレイザー、
ズュジ・トート(Sop2)
アレックス・ポッター、
アレクサンダー・シュナイダー(C-T)
シュテファン・ゲーラー、
デイヴィッド・マンダロー(Ten1)
ヘルマン・オスヴァルト、
マヌエル・ヴァルヴィッツ(Ten2)
ペーター・コーイ、
マティアス・ルッツェ、
アドリアン・ピーコック(Bs)
 『ロ短調ミサ』の興奮さめやらぬまま、名匠ヘレヴェッヘはいま「原点」へと立ち戻る——。極限まで絞られたルネサンス小規模編成で、歌い手は全員が精鋭ソリスト。
 峻厳・端正、スペイン・ルネサンスの最後を飾る大家ビクトリアの、あまりにも美しい世界へ...!

 アルノンクールとレオンハルトが古楽器によるバッハ・カンタータ全集を録音制作したプロジェクトで合唱指揮者として抜擢された天才古楽指揮者フィリップ・ヘレヴェッヘは、その後はフランスとベルギーを拠点にバロック・オペラやバッハ作品などの斬新な解釈を提案、さらに近年ではメンデルスゾーン、ベルリオーズ、ブルックナー...などロマン派以降のレパートリーを古楽器オーケストラで録音するかたわら、今やロイヤル・フランダース管のような現代楽器の交響楽団とも意欲的なプロジェクトを続々成功させている。そして2010 年に立ち上げた自主レーベルPHI(フィー)では、これまでの経験の集大成としてマーラーやブラームスの管弦楽を要する大作、バッハの重要作品などで他の追従を許さない名解釈を披露してきました。
 しかしそんなヘレヴェッヘにとっての変わらぬ原点は、つねに「合唱」であり「人の声」だった・・・。そのことはharmonia mundi france で録音された一連のブルックナー作品やフォーレ作品など、教会音楽に通じたロマン派の大家たちの傑作における一糸乱れぬ整然とした解釈などにも、とりわけよく示されているところでしょう。
 楽器さえ声の協和のように響かせ、各パート・各細部の独自性をきわだたせながら整然とした統一感を打ち出してみせる——故郷ベルギーのルネサンス期を彩ったファン・エイク兄弟やヘラルト・ダーフィトらの祭壇画をも思わせるその至芸をあざやかに示すべく、自主レーベルPHI の第5 弾リリースとしてヘレヴェッヘが世に問うのは、極少編成のア・カペラ編成による、スペイン・ルネサンス最後の巨匠ビクトリアの至高の傑作「レクィエム」!
 13 人に絞られた「合唱」の面々は、全員がそれぞれソリストとして活躍している欧州随一の実力派!バスのペーター・コーイ、ソプラノのハナ・ブラジコヴァーやズュジ・トートらはバッハ・コレギウム・ジャパンの公演でもおなじみの面子。
 強大なカトリック国家として世界に君臨していた頃のスペインで王室音楽家として活躍したビクトリアは、カトリックの総本山ローマで、あの巨匠パレストリーナに教えを受けた大家。峻厳なポリフォニーで、シンプルでありながら強烈な表現力の宿る傑作を残してきたこの巨匠が晩年に残した「レクィエム」の美質は、ヘレヴェッヘと、強固な信頼関係で結ばれた俊才歌手たちでなくてはなしえない透明感あふれる歌い口と抜群の相性。鮮やかな相乗効果で、この指揮者がたどりついた境地、さらなる未来をしみじみ感じさせてやみません。
 この1枚で、ルネサンス音楽の美に開眼させられさえするのでは。

SAPHIR



LVC1088
(国内盤)
\2940
「現代楽器」で「ひとり1パート室内楽編成」
 ヴィヴァルディ(1678〜1741):四季

 協奏曲集『和声と創意の競演』作品8より
 1. 協奏曲第1 番 ホ長調 op.8-1「春」
 2. 協奏曲第2 番 ト短調 op.8-2「夏」
 3. 協奏曲第3 番 ヘ長調 op.8-3「秋」
 4. 協奏曲第4 番 ヘ短調 op.8-4「冬」
アマンダ・ファヴィエ(ヴァイオリン)
アルマ弦楽四重奏団
アクセル・サル(cb)
ジョエル・ポンテ(cmb)
 フランス楽壇、層、厚し——というか、若い世代のイキの良さには目をみはるばかり。
 「現代楽器」で「ひとり1パート室内楽編成」。表現の幅といいスタイリッシュなアンサンブルといい、ありそうでない21世紀ならではの『四季』。ちなみにこの編成が初演時通りなのだとか。

 いつも驚かされるのが、フランスのクラシック・シーンを支えているベテランから若手まで、きわめて層の厚い演奏家勢の飛び抜けた音楽性とパフォーマンス能力です。もっとも、これはフランスのみならずヨーロッパ全体に言えることですが、国境を越えてパリやリヨンなどの大都市にやってきて、そうした土地を拠点に活躍している異国人たちも含め、フランスにはクラシックという枠にとらわれないパフォーマーも少なくありませんし、それでいて本業の王道クラシック路線でも、真っ向勝負をして全く問題ない腕前を印象づけてくる人もたくさんいます。
 それは世代を問わずそうで、それはたとえば弦のイヴリー・ギトリスやネマーニャ・ラドゥロヴィチ(生まれはどちらも東欧ですが)、J-G.ケラス、あるいはピアノのP-L.エマールやブリュノ・フォンテーヌ、クラリネットのポール・メイエ...といった名手たちに代表されるとおり、それこそ世代を問わずフランスの音楽家たちには言えることではないでしょうか。
 しかも彼らは往々にして室内楽にも熱心で、若手の弦楽四重奏団などにも卓越したパフォーマーが少なくありません。
 そうしたフランス楽壇の充実度をありありと示してくれるのが、パリの中央に拠点を構えるSaphir レーベルによるこの『四季』アルバム。
 主人公はアマンダ・ファヴィエという若き女性ヴァイオリニストですが、そのしなやかな弓さばき、抑揚豊かな音楽作り、周到に設計された解釈などには、彼女がただ「誰もが知る有名曲だから」という理由だけでこの演目をデビュー・アルバムに選んだのではない、筋金入りの作品愛がありありと窺えます。
 彼女のパフォーマンスが安直さとは無縁であることをとくに強く印象づけるのは、共演に選んだのがオーケストラでも室内合奏団でもなく、なんと「1パートひとり」の弦楽四重奏団であるところ——そう、ヴェネツィアの「赤毛の司祭」ことヴィヴァルディですが、実はこの『四季』という名作に関するかぎり、長年勤めた職場であるピエタ慈善院のオーケストラのためにではなく、キャリアの絶頂期に2年ほど暮らしたマントヴァの宮廷のために書いたのだそうで、そのときのマントヴァの宮廷合奏団がまさに「1パートひとりの、名手揃いの精鋭ソリスト編成」だったのだとか。
 ファヴィエの『四季』はそうしたことを踏まえ、さらにチェンバロ奏者には百選練磨のベテラン、ジョエル・ポンテを迎え、存在感あふれる通奏低音サウンドで筋金入りのピリオド解釈を印象づけてみせてくれるわけです。
 解説書に目を転じれば、ヴィヴァルディが楽譜に添えていたという短詩の仏語訳も掲載されていて(オリジナルのイタリア語から起こした訳詩を掲載)、彼女がこの傑作を心の底から愛し、解釈を深めてきたのだとわかります(実際、フランスでは有名なアナウンサー俳優をゲストに迎え、短詩の朗読を交えながら演奏することも多いそうです)。
 一見の印象を大きく凌駕すること間違いなしのアルバムです!!

ZIG ZAG TERRITOIRES



ZZT304
(国内盤・3枚組)
\5040
フランソワ=フレデリク・ギィ
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集vol.2

《CD I》
 ①ソナタ第15 番 ニ長調op.28「田園風」
 ②ソナタ第19 番ト短調op.49-1
 ③ソナタ第20番 ト長調op.49-2
 ④ソナタ第21 番 ハ長調op.53「ヴァルトシュタイン」
《CD II》
 ①ソナタ第16 番 ト長調op.31-1
 ②ソナタ第17 番 ニ短調op.31-2「テンペスト」
 ③ソナタ第18 番 変ホ長調op.31-3「狩」
《CD III》
 ①ソナタ第23 番 ヘ短調op.57「熱情」
 ②ソナタ第25番 ト長調op.79
 ③ソナタ第24 番 嬰ヘ長調op.78「テレーゼ」
 ④ソナタ第28番イ長調op.101
 ⑤ソナタ第22 番 ヘ長調op.54
フランソワ=フレデリク・ギィ(ピアノ)
 早くも、新時代の定盤なるや。
 第1巻から話題騒然。フランスの若獅子ギィが放つ、とてつもないカリスマ性に貫かれた「鍵盤音楽の新約聖書」ことベートーヴェンの32曲。

 全集第2巻は、初期の終わりから「傑作の森」にかけて、中期のいちばん充実したところを収録!
 Naive レーベルでフィリップ・ジョルダン指揮フランス放送フィルと録音したベートーヴェンの協奏曲5曲が、時として辛辣な批評もいとわないフランスの批評界を騒然とさせたのも、はや数年前のこと。アンヌ・ガスティネルとのチェロ・ソナタも軒並み高評価、その後Zig-Zag Territoires に移籍し、あのリスト中期の難曲集『詩的で宗教的な調べ』の全曲録音で圧倒的な存在感を印象づけ、日本でも『レコード芸術』特選をもぎとったあと、やおら登場した「鍵盤音楽の新約聖書」ことベートーヴェンのソナタ全32曲録音プロジェクト。
 未来の巨匠候補が続々とあらわれ、欧州楽壇の勢力図が静かに塗り替わりつつある昨今、21世紀の「ベートーヴェン弾き」として着実に存在感を強めてきたフランスの若獅子、フランソワ=フレデリク・ギィ。昨年末に日本リリースされたソナタ全曲録音シリーズ第1巻(ZZT111101)もさっそく『レコード芸術』特選に輝きましたが、今度の「第2巻」はそこでふくらんだ期待感をさらに盛り上げてくれる内容!
 なにしろ前作では、比較的作風の似通った曲が多いような印象もある初期作品ばかりを集め、そのひとつひとつの個性をあれだけ明確に際立たせてくれたのですから、そのあと「テンペスト」近辺から「熱情」近辺にいたる、交響曲で言えば第3番「英雄」から第6番「田園」くらいまでのあいだに書かれた、いわゆる「中期の森」の傑作をすべからく収めた今回の第2巻が、どうしてファンの心を躍らせずにいられましょう?!
 しかも、あの謎めいた「第28番」と、番号では19〜20番にはなっているものの作曲年代は第1〜第3ソナタとほぼ同時期にあたる2曲の小ソナタも含め、おそらくベートーヴェンの初期から後期へと至る作風の広がりを最も端的に味わえるのは、ギィの全曲録音ではこの第2巻ということになるわけです。
 現代作曲家であり音楽祭主宰者でもあるマルク・モネのお墨付きコメント(第1巻解説)にあったとおり、ギィは選曲・曲順にこだわりぬき、彼自身の磨き抜かれた、そして自然体を崩さないのにオーラを放ってやまない個々の絶妙解釈を、最も深く味わえる曲順で配列しているようです。
 大気が呼吸するかのように柔軟な「ヴァルトシュタイン」、静かな謎めきが息づく「テンペスト」、そして痛快な「熱情」...と超・有名曲がじっくり聴き深めるに足る銘解釈なのはもちろん、他のさまざまなソナタの個性が気持ちいいくらい明確に感じられるのは、やはり弾き手の傑出した腕前ゆえのこと——こんな調子で遠からず「第3巻」も出るのかと、今からそわそわすること必至です!



旧譜
ランソワ=フレデリク・ギィ
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集第1巻

ZZT111101
(国内盤・3枚組)
\5040
ランソワ=フレデリク・ギィ
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集第1巻
  ソナタ第4番〜第14番 「作品7」から「月光」まで

ベートーヴェン:
《CD I》
 ①ソナタ第14 番嬰ハ短調op.27-2「月光」②ソナタ第9番ホ長調op.14-1
 ③ソナタ第10 番 ホ長調op.14-2 ④ソナタ第11 番 変ロ長調op.22
《CD II》
 ⑤ソナタ第8番 ハ短調op.13「悲愴」⑥ソナタ第5番 ハ短調op.10-1
 ⑦ソナタ第6番 ヘ長調op.10-2 ⑧ソナタ第7番 ニ長調op.10-3
《CD III》
 ⑨ソナタ第13 番 変ホ長調op.27-1「幻想曲風」
 ⑩ソナタ第12 番 変イ長調op.26「葬送」⑪ソナタ第4番 変ホ長調op.7
フランソワ=フレデリク・ギィ(ピアノ)
 ギィというピアニストは「艶やかさを備えた硬派」、本格的にベートーヴェンの音楽世界と組み合えるだけの力量をそなえているうえ、音の仕上がりをただ質実剛健なだけにしてしまわない、絶妙なセンスで言葉を選んでみせる魅力的な話し相手のような、そんな作品解釈を縦横無尽、思うがままに展開してみせます。
 「悲愴」「幻想曲風」「葬送」「月光」、確かに今回の3枚には綽名つきの傑作も少なからず含まれてはいるものの、収録されているのは第4番から14番(あえて最初の曲集「作品2」にまとめられた第1〜3 番を外しているのがもう、ものすごく意図的でワクワクするじゃありませんか——シリーズ後続刊、どんな手で攻めてくるのか?)、作曲年代にして1796〜1802 年ときわめて短期間に集中していますから、作風的にはかなり似通ったものばかりになっているはずなのに、ひとつとして同工異曲な印象を与えない。ごらんのとおりの意図的な曲順もあるのでしょうが、曲構造をがっちり打ち出しながら、微妙な間、繊細なタッチの妙ひとつで曲のリアリティというか、身近さがぐいっと強くなる。
 いや、これは聴いてみていただくのが一番でしょう。曲配列・音楽内容についてわかりやすく解き明かす解説文(全訳付)も圧倒的な読みごたえ。先々まで愉しめる、否「新たな決定盤」になること必至の全曲録音のスタートです!

ZZT111101
(輸入盤・3枚組)
日本語解説なし
\3990
ランソワ=フレデリク・ギィ
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集第1巻
フランソワ=フレデリク・ギィ(ピアノ)


ZIG ZAG TERRITOIRES



ZZT120101
(国内盤)
\2940
トリオ・ジョルジュ・サンド
 フランス近代ピアノ三重奏曲集

  ラヴェル: ピアノ三重奏曲(1914)
  メル・ボニス(1858〜1937):夕・朝 〜ピアノ三重奏のための(1905)
  フォーレ(1845〜1924): ピアノ三重奏曲(1923)
トリオ・ジョルジュ・サンド
 ヴィルジニ・ビュスカイユ(vn)
 ナディーヌ・ピエール(vc)
 アンヌ=リズ・ガスタルディ(p)
 ドビュッシーの同時代人たち、新旧世代の3名匠。このあたりの音楽はやはり、フランス語で生まれ育っていればこそ伝わる「機微」の芸術でもあるでしょう。

 相変わらず名盤続出中のZig-Zag Territoiresの新譜は、ゾクゾクするほど濃密に優雅。選曲の妙にもときめかされます「フランス近代」、歴史的名盤も多々あるジャンルです。しかしながら、フランス語圏の演奏家たちが繰り出してくる昨今の新録音をいろいろ聴いていると、それらと伍しうるくらい個性的で存在感の強い新盤も、やはり少なくありません。21世紀「初頭」ならではの勢いなのでしょうか?私たちと同じ21 世紀を生きる人間たちの、しかし彼ら「フランス近代」の作曲家と同じ言葉を話す演奏家たちならではの、比類ない芸術性。その結実が、フランス音盤シーンに革新をもたらしつづけるZig-Zag Territoires からのこの新譜にもあざやかに息づいています。
 トリオ・ジョルジュ・サンド...ショパンとの恋愛関係で知られる19 世紀フランスの女性作家の名を冠した、飛び抜けた実力と抜群のセンスをあわせもつ女性奏者3人が紡ぎ出すピアノ・トリオの音響世界は、フランスが「芸術と機知の国」であると同時に、すぐれた演奏家たちが刺激を与えあうコミュニケーションの国、卓越した室内楽のメッカであることを改めて印象づけてくれる1枚!
 プログラムはラヴェルの傑作トリオとフォーレ最晩期のとてつもなく美しい「あの」三重奏曲、そしてその間をつなぐのが、近年にわかに注目度が高まりつつある女性作曲家メル・ボニスの印象派的傑作「夕・朝」——1905 年、まだドビュッシーのいわゆる印象主義的音作りが最前衛の技法だった頃に、そのテイストをほどよく取り入れたこの2連作を書いたボニスは1858年生まれ、つまりショーソンや(同じく女性作曲家の)シャミナードとほぼ同世代ですから、かなり先進的な人だったと言ってもよいのではないでしょうか。
 嬉しいのは演奏がすばらしいクオリティであること、そしてもちろん「フランスの女性陣」であること——それが作曲家の感性とどのように呼応しあっているのか、この精妙な(という言葉がしっくりきます)解釈に耳と心を預けながら、ゆっくり考えてみたいものです。妙にヴィブラートをかけすぎたりせず、作品の造形をおのずと語らしめるような、ほどよい客観性ある音作りは、ラヴェル作品でも、また静かな諦念の美をたたえたフォーレの三重奏曲でも、他の歴史的名匠たちとは違った「いまのフランス」ならではの深い鑑賞体験を約束してくれます。
 作品の成立や作曲家について説き明かした解説の日本語訳も(とくに、ボニスはまだ文献が少ないだけに)貴重。フランス音楽随一の美、シーン最先端の魅力がたっぷり詰まった、フランス音楽愛好家必聴のリリースです!




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