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第64号
お奨め国内盤新譜(1)


7/6までの紹介分


AEON



MAECD1215
(国内盤・3枚組)
\3990
ドビュッシー・アルバム〜作曲家と演奏家たち〜
   ブリジストン美術館『ドビュッシー、歴史的音源 1904〜1955 年収録

CD I 《ピアノ伴奏による歌曲》
メアリー・ガーデン(1874-1967)(S)、クロード・ドビュッシー(1862-1918)(p)
 ①グリーン(『忘れられたアリエット』より)1904 年録音(パリ)Grammophone G.33451 3077F)
ニノン・ヴァラン(1886-1961)(S)、ギュスターヴ・クロエ(1890-1970)(p)
 ②マンドリン ③あやつり人形(『艶なる宴』より)
 ④グリーン(『忘れられたアリエット』より)
  1928 年7 月4 日録音(パリ)Odeon 188 595(KI 1752-1/1753-1).
クレール・クロワザ(1886-1961)(Ms)、イヴァナ・メエディンティアーノ (p)
 ⑤母の願いによって聖母に祈る(『ヴィヨンのバラード』より)
  1936年11月録音(パリ)Lumen 32045(YL 91-1)
クレール・クロワザ(1886-1961)(Ms)、ジョージ・リーヴス(p)
 ⑥噴水(『ボードレールの五つの詩』より)
  1930年6月録音(ロンドン)Columbia LFX 109(WMX 5).
ジャーヌ・バトリ(1877-1970)(Ms・プレイエルp弾き語り)
 ⑦『ビリティスの三つの唄』
  1929年1月31日録音(パリ)Columbia D 1386/LF 50(WL.1415-2/1416/L.1417)
イレーヌ・ジョアシャン(1913-2010)(S)ジャーヌ・バトリ (p)
 ⑧グリーン(『忘れられたアリエット』より)
 ⑨『ビリティスの三つの唄』1948 年5 月18 日録音(パリ)
 Boite a Musique 54/55(PART 5673-1/5674-1/5675-1/5676-1)
ジェラール・スゼー(1918-2004)(Br)、ジャクリーヌ・ボノー(1917-2007)(p)
 ⑩『艶なる宴 第2 集』
  1947 年10 月23 日録音(パリ)Decca K. 2171(AR 11697-2/11698-1)

CD I 《ピアノ曲》

ベンノ・モイセイヴィチ(1890-1963)(p)
 ⑪雨の庭(『版画』より)1916 年録音(ヘイズ、イギリス)Grammophone D. 59(Ho 1844 ac)
リカルド・ビニェス(1875-1943)(p)
 ⑫グラナダの夕べ(『版画』第2集より)
  1929 年11月7日録音(パリ)Grammophone D 15 245(WLX 1150)
 ⑬金色の魚(『映像』第2集より)
  1930 年6 月6 日録音(パリ)Columbia LF 41(WL 2203-3)
セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)(p)
 ⑭グラドゥス・アド・パルナッスム博士(『子供の領分』より)
  1921 年1 月21 日録音(キャム
デン、アメリカ)Victorola 813(813-A)
 ⑮ゴリウォーグのケークウォーク(『子供の領分』より)
  1921 年4 月2 日録音(キャムデン、アメリカ)Victorola 813(813-B)
アルトゥール・ルービンスタイン(1887-1982)(p)
 ⑯水の反映(『映像』第1集より)
  1945年1月11日録音(ハリウッド)RCA Victor Album M. 998(11-8774-A)
ベンノ・モイセイヴィチ(1890-1963)(p)
 ⑰トッカータ 1946 年3 月21 日録音(ロンドン)Grammophone C 3487(2EA 10931-2)
マルセル・メイエール(1897-1958)(p)
 ⑱ラモーを讃えて(『映像』第2集より)
  1947 年5 月20 日録音(パリ)Discophile Francais DF 92
  Album A 21(PARTX 4154-1/4155-1)
 ⑲そして月は荒れた寺にかかり(『映像』第2集より)
  1947 年5 月20 日録音(パリ)
  Discophile Francais DF 93 Album A 21(PARTX 4151-1/4152-1).
CD II 《管弦楽曲》
 カミーユ・シュヴィヤール(1859-1923)指揮 コンセール・ラムルー管弦楽団
  ①「牧神の午後」への前奏曲 1922 年録音(パリ)Pathe 6594(6612/6617).
 アルトゥーロ・トスカニーニ(1867-1957)指揮 NBC交響楽団
  ②海 1950 年6 月1 日録音(ニューヨーク、スタジオ8H)RCA Victor LM 1833(E1-LRC 0241)
 ウォルター・ストラーラム(1876-1933)指揮 コンセール・ストラーラム管弦楽団 マルセル・モイーズ(fl)
  ③「牧神の午後」への前奏曲
   1930年2月24日録音(パリ、シャンゼリゼ劇場)Columbia LFX 30(LX 1289-1/1290-2)
 ロジェ・デゾルミエール(1898-1963)指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  ④ 海 1950年10月録音(プラハ)
  Supraphon H 23531/533(I 047040/1 ; II 047042/3 ; III 047044/5)
 ピエール・モントゥー(1875-1964)指揮ボストン交響楽団
  ⑤『三つの夜想曲』より 雲、祭り
   1955年8月15日録音(ボストン・シンフォニー・ホール)RCA LM 1939
CD III 《歌劇作品》
メアリー ・ガーデン(1874-1967)(S)、クロード・ドビュッシー(1862-1918)(p)
 ①私の長い髪が(歌劇『ペレアスとメリザンド』より)
 1904年録音(パリ)Grammophone G. 33447(3078 F)
  ジョルジュ・トリュック指揮 交響楽団 エクトール・デュフラヌ(1870-1951)(ゴロー)、
 マルト・ネスプロ(1894-1962),(メリザンド)、
 クレール・クロワザ(1882-1946)(ジュヌヴィエーヴ)、
 アルマン・ナルソン(アルケル)
 歌劇『ペレアスとメリザンド』より
  ②もうこの森から出られないだろう(エクトール・デュフラヌ、マルト・ネスプーロ)
   1928年2月15日録音(パリ)Columbia D. 15021(WLX 187-1/188-2)
  ③これが弟のペレアスからの手紙です(クレール・クロワザ、アルマン・ナルソン)
   1928 年3 月6 日録音(パリ)Columbia D. 15026(WLX265-1/266-1)
  ④ああ、全て大丈夫だ(エクトール・デュフラヌ、マルト・ネスプーロ)
   1928年2月15日録音(パリ)ColumbiaD. 15023(WLX 193-2/194-1)
   ピエロ・コッポラ指揮
   コンセール・パドルー管弦楽団
   イヴォンヌ・ブロティエ(1889-1967)(メリザンド)、
   シャルル・パンゼラ(1896-1976),(ペレアス)、
   ヴァンニ・マルクー(1877-1962)(ゴロー)
 歌劇『ペレアスとメリザンド』より
  ⑤どこへ連れてこられたのか、わからないでしょう
   (イヴォンヌ・ブロティエ、シャルル・パンゼラ)1927年3月29日録音(パリ)
   Grammophone W. 839(CFR 446-1/447-1)
  ⑥ああ、やっと息ができる!(シャルル・パンゼラ)
   1927年3月30日録音(パリ)Grammophone W. 838(CFR 450-1).
  ⑦果てしない無垢だ(ヴァンニ・マルクー)1927年10月6日録音(パリ)
   Grammophone DA. 902(BTR 3141-1)
  ⑧ずいぶん前に、私たちここへ来たわね(イヴォンヌ・ブロティエ、シャルル・パンゼラ)
   1927年3月30日録音(パリ)Grammophone W. 841(CFR 451-1)
  ⑨あの物音は何?(イヴォンヌ・ブロティエ、シャルル・パンゼラ)
   1927 年3 月30 日録音(パリ)Grammophone D. 2086(CFR 452-1)

CD III 《管弦楽付き声楽曲》

 ニノン・ヴァラン(1886-1961)(S)ギュスターヴ・クロエ指揮 大管弦楽団
  ⑩リアのレシとエール(カンタータ『放蕩息子』より)
  1930年6月27日(パリ)Odeon 123 708(XXP 7097-2)
   ニノン・ヴァラン(1886-1961)(S)ルイ・ベッツ指揮 交響楽団
  ⑪二人の恋人の散歩道(ルイ・ベッツ編)
   1943年7月28日録音(パリ)Pathe PDT 82(CPTX 554-1/555-1)
  ジェラール・スゼー(1918-2004)(Br)
  エドゥアール・ランダンベール指揮 パリ音楽院管弦楽団
 ⑫母の願いによって聖母に祈る(『ヴィヨンの三つの歌』より)
 ⑬洞窟(『フランスの三つの歌』および『二人の恋人の散歩道』より)
 ⑭マンドリン 1950年2月14日録音(パリ)Decca K. 2333(FAR 102-1/103-1)

CD III 《ボーナス・トラック》
 ピエロ・コッポラ指揮 管弦楽団 シャルル・パンゼラ(Br)
  ⑬アンドレ・カプレ(1878-1925)作曲 「森」
  (『レミ・ド・グールモン初期詩集による四つの歌曲』より)
  1928 年11 月2 日録音(パリ)Grammophone W. 996(CV 226-1)
 ドビュッシー生誕150周年。7〜10月、ブリヂストン美術館での展覧会は、パリ・オルセー美術館の充実企画とのタイアップ。会場で公式CD として発売されるアルバムを、CD ショップ先行で。作曲家自身がピアノを弾いた瞠目もののトラックほか、驚きの歴史的名手の「生の音」が続々...!
 2012 年——今年はドビュッシーが生誕150 周年を迎え、早くも春先に行われた東京の春・音楽祭や、来日アーティストの記念リサイタル、各社からの注目CD リリースなど、さまざまな音楽シーンでドビュッシー熱が少しずつ盛り上がってまいりました。
 そんな折とくに注目すべきイベントとして控えているのが、7月14 日から10 月14 日までブリヂストン美術館(東京・京橋)で開催される『ドビュッシー 音楽と美術 〜印象派と象徴派のあいだで』展。この展覧会は印象派の殿堂とも言われ、19世紀美術のコレクションでは世界随一のパリ・オルセー美術館、およびオランジュリー美術館との共催で行われ、当時の絵画作品のほか「作曲家の愛蔵品や直筆の手紙」など国内外の重要なコレクションが閲覧できる、記念年ならではの注目すべき展覧会。音楽ファンとしては長い会期を利用し、ぜひ訪れたい企画です。
 そしてこのプロジェクトに際してフランスでは一足先に、aeon レーベルが展覧会の公式CD を制作してくれました。
 現代音楽から古楽までシーン最前線のキィパーソンたちと密接な連携を保ち、深い音楽愛を貫きながら幅広いジャンルの重要企画を手がけてきたaeon ですが、今回は音楽学者ジャン=ミシェル・ネクトゥー(展覧会そのものの監修者でもあります)の選曲で、20 世紀初頭のフランス内外で収録された非常に貴重な録音の数々を、体系的に3枚のCD にまとめあげた充実内容。展覧会の内容を「音」の側面からも味わえるようにした、100 年前のフランスを肌で感じられる1枚になっているのです。
 詳細解説の日本語訳はもちろん、原文解説に掲載されている収録曲目リスト、マトリクス番号なども詳述。音楽愛好家のコレクター商品としても意義のある内容でお届けできることとなりました。
 ドビュッシーやラヴェルとの深い協力関係で知られるリカルド・ビニエス本人が弾く絶美のピアノ、作曲家自身(!)の弾くプレイエル・ピアノ、弾き歌いの名歌手ジャーヌ・バトリやクロワザ、ヴァラン、スゼーらの名唱、モントゥーやデゾルミエールらの深い解釈、パリ音楽院管弦楽団の名手たちやラフマニノフ、ルービンスタインら伝説的ピアニストの至芸...と、聴きどころは盛りだくさん。収録年こそ古いものの、丹念にCD 復刻された歴史的音源のノイズが聴き始めてすぐに耳を邪魔しなくなることは、クラシック音盤ファンの方々ならよくご存知のとおり。フランス音楽シーンに通じた柿市如氏の明快な訳文を読みながら、ドビュッシー自身の吸ったパリの空気を、作曲家を直接知る名手たちの至芸をじっくり味わう...そんな贅沢な時間を演出してくれる3枚組です。

 ※展覧会情報は、こちらをクリック! 「ドビュッシー 音楽と美術」 お近くの方はぜひ!

ALPHA



Alpha812
(国内盤・7枚組)
\7350
シューマン:ピアノを伴う室内楽作品全集
 〜『ピアノ曲・室内楽作品集』BOX〜

《CD I》管楽器を伴う室内楽作品
 ①オーボエとピアノのための3つのロマンス op.94(FLL・ELS)
 ②クラリネットとピアノのための幻想小品集 op.73(CL・ELS)
 ③ホルンとピアノのためのアダージョとアレグロ op.70(BS・ELS)
 ④ヴィオラとピアノのための「おとぎの絵本」op.113(AT・ELS)
 ⑤ヴィオラ、クラリネットとピアノのための「おとぎ話」op.132(AT・PM・ELS)
 ⑥チェロとピアノのための民謡風の5つの小品 op.102(JGQ・ELS)

《CD II》ヴァイオリンとピアノのための3つのソナタ
 ①ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ニ短調 op.121(GN・ELS)
 ②ピアノとヴァイオリンのためのソナタ イ短調 op.105(ELS・GN)
 ③ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ短調(遺作)(GN・ELS)

《CD III》編曲、原曲、連弾
 ①アンダンテと変奏 〜
  2台のピアノ、2面のチェロとホルンのための(FB・ELS・FS・VJL・BS)
 ②カノン形式の六つの練習曲 op.56
  (ドビュッシー編曲による2台ピアノ版)(FB・ELS)
 ③六つの即興曲「東方絵画」op.66(FB・ELS)

《CD IV》ふたりのピアニストのための作品
 ①小さな子供と大きな子供のための〜
  4手による12 の小品 作品85 (ELS・FB)
 ②舞踏会の情景 作品109 (ELS・DP)
 ③子供の舞踏会 作品130(ELS・DP)

《CD V〜VI》ピアノ三重奏曲
 ①ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 op.63 (ELS・GN・CC)
 ②ピアノ三重奏曲 第2番 ヘ長調 op.80 (ELS・GN・CC)
 ③ピアノ三重奏曲 第3番 ト短調 op.110 (ELS・GN・CC)
 ④ピアノ三重奏のための幻想小曲集op.88 (ELS・GN・CC)
 ⑤カノン形式の六つの小品 op.56
  (テオドール・キルヒナー(1823〜90)編曲による
 クラリネット・チェロ・ピアノ三重奏版)(ELS・PM・CC)

《CD VII》ピアノ四重奏曲・ピアノ五重奏曲
 ①ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44 (ELS・GN・DK・LB・FS)
 ②ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47(ELS・GN・LB・FS)
ピアノ...エリック・ル・サージュ(ELS)、
フランク・ブラレイ(FB)、
ドゥニ・パスカル(DP)
CD I-IV: スタインウェイDモデル
CD VI・VII: スタインウェイNo.32500(1875 年頃製作)
ヴァイオリン...ゴルダン・ニコリッチ(GN)、
樫本大進(DK)
ヴィオラ...アントワーヌ・タメスティ(AT)、
リズ・ベルトー(LB)
チェロ...ジャン=ギアン・ケラス(JGQ)、
クリストフ・コワン(CC)、
フランソワ・サルク(FS)、
ヴィクトール・ジュリアン=ラフィリエル(VJL)
オーボエ...フランソワ・ルルー(FLL)
クラリネット...ポール・メイエ(PM)
ホルン...ブルーノ・シュナイダー(BS)
 シューマンの心の奥へ、絶妙の距離感で——フランス随一の俊才ル・サージュが、いずれ劣らぬフランス随一のスーパープレイヤーたちとAlphaでくりひろげてきた大好評シリーズから、室内楽作品だけを抜き出し、お求めやすいBOXで限定販売!買い逃さないよう、要注意!
 フランス随一の俊才ピアニストであるエリック・ル・サージュが、2006 年から4年がかりで順次リリース、作曲家生誕200 周年にあたる2010 年に完成をみた、11 ものアルバムからなるCD 全19枚の充実シリーズ『シューマン:ピアノ曲・室内楽作品集』——すでに各タイトルに絶賛が寄せられ、『レコード芸術』誌で特選・準特選に選ばれたタイトルも少なからず、今もなお売れ続けているこのシリーズから、室内楽曲だけを選んでのBOX 版が登場!

 ご存知の通り、このシリーズではチェロにジャン=ギアン・ケラスやクリストフ・コワン、ヴァイオリンに樫本大進やロンドンの俊才ゴルダン・ニコリッチ、連弾などでのデュオ・パートナーにはソリストとしても上り調子が止まらないフランク・ブラレイや実力派ドゥニ・パスカル、そして管楽器勢は(先日も来日公演が大好評だった)レ・ヴァン・フランセのスーパープレイヤーたち...と、フランス内外の室内楽シーンを代表するとてつもなく贅沢なソリストたちが結集しているのが特徴。
 さらに弦楽器との三・四・五重奏曲など、ル・サージュは一部楽曲で19 世紀製のヴィンテージ・スタインウェイを弾いており、たんに作品像の真相へと迫る体系的録音...というにとどまらない、多角的な魅力のある企画となっていました。そうしたシリーズの「粋」ともいうべき室内楽曲だけを贅沢によりぬいたBOX でこの価格が体現できるのですから、ぜひとも確保いただきたいところ
 シリーズ全体のBOX ではないので、ここから興味を持たれたユーザー様は、他のル・サージュの独奏によるシューマン作品集にも好きなように手を伸ばせる...という小憎い作りも絶妙です。なお、このシリーズにはフランスの音楽学者ブリジット・フランソワ=サッペイ教授が一貫して解説を寄せており、その充実した文章の日本語訳ももちろん添付。一貫した作品理解につながる、意義深いリリースとなるでしょう!

 Alpha のBOX はこれまで、一定期間が過ぎると(まだ売れているにもかかわらず)ぱったり入手不可になってきたケースもございますので(ル・ポエム・アルモニークの『エール・ド・クール三部作』ALpha905 など)カフェ・ツィマーマンBOX などと同様、事実上の限定仕様とお考えいただいたほうがよいと思います。お求めのさいにはどうかお急ぎを。

ARS MUSICI



AMCD232-177
(国内盤・訳詞付)
\2940
フォーレ:レクィエム/シューマン:ミサ曲ハ短調
 〜フランスの美しさ、ドイツの清らかさ〜
 ガブリエル・フォーレ(1845〜1924):
  1. レクィエム 作品48(1887〜90/原典版)
 ローベルト・シューマン(1810〜1856):
  2. ミサ曲 ハ短調 作品147(1852)
イゾルデ・ジーベルト(S)
カロラ・マウラー(S)
ハンス=イェルク・マンメル(T)
ウルフ・ベシュトライン(Br)
ゲルハルト・グナン(org)
ヴィンフリート・トル指揮
カメラ—タ・フライブルク、
カメラータ・ヴォカーレ・フライブルク
 ドイツ合唱界、どこまでも奥深く。現在ますます豊かな活動を続ける独合唱界の俊才ヴィンフリート・トルが、音楽学都市フライブルクで織り上げた、どこまでも美しい響きの妙!
よく見れば、独唱者にさりげなく「のちの超実力派」も。完全日本語解説付にてお届け。
 ドイツのクラシック界の層の厚さは今さら強調するまでもありませんが、オーケストラの多さとレヴェルの高さのかたわらで、意外と気づかれていないのが「飛びぬけてすぐれた合唱指揮者」の存在。古くはブラームスやブルックナーの指揮活動に始まり、ギュンター・ラミンやルドルフ・マウエルスベルガー、日本でもファンの多いハンス=マルティン・シュナイト、あるいはHarmonia Mundi で大活躍しているRIAS 室内合唱団の英国人指揮者マーカス・クリード...と、ドイツ合唱界を支えてきた指揮者たちのなかには、国境を越えて全世界で第一線の活躍を続けている異才も少なくありません。ただ、ドイツ語圏というのは意外と広い(ドイツ+オーストリア+スイス)うえ、教授活動などのかたわらヨーロッパ内だけで精力的な活動を続けている指揮者も多く、地元では飛び抜けた音楽性を懇意の合唱団とますます磨いているにもかかわらず、意外にその成果が世界では知られていない...というケースもしばしば。本盤はそんな至高のドイツ合唱界で鍛えられ、今や第一線で活躍中の大物のひとり、ヴィンフリート・トルの充実録音ぱフランスにほど近いドイツ南西部のフライブルクは、古楽や音楽学がさかんな都市でもありますが、ここで彼はフォーレの『レクィエム』を小編成オーケストラ+オルガンの原典版小編成でしっとり、清らかな響きそのままに充実した解釈で仕上げてみせています。ソリスト陣も鍛え抜かれた俊才ぞろい——しかもよく見れば、テノールにはAlpha レーベルで異才スホーンデルヴルトの弾くフォルテピアノと『冬の旅』を録音して大好評を得た超・実力派、H−J.マンメルまでいるではありませんか。
 そしてアルバム後半の、シューマン後期のとてつもない秘曲がまた格別。
 シューマン合唱曲のなかの白眉ともいうべき『ミサ曲ハ短調』(ミサ・サクラ)は、伴奏が簡素なオルガンだけ、バロック以前風の響きとロマン派的な和声感が相半ばするその響きのあり方は、フランス近代のセンスで古楽的な要素を取り込んでいったフォーレ晩期にも相通じる、ため息ものの美しさ——ここでは室内編成くらいの合唱団でしょうか、ヴィブラートを押えた、どこか古楽派風ともいえそうな透明感ある歌い口でこの曲が歌われると、なんという異世界的な美が広がるのでしょうぱ今回も例によって解説日本語訳(長すぎず短すぎず、適切な解説です)に歌詞訳出もあり、とびきりの解釈を心行くまで味わえるアルバムに仕上がっています。

CALLIOPE



CAL7317
(国内盤)
\2940
エリック・ボード指揮&アンサンブル・フィリドオル
 モーツァルト(1756〜91):
  1. セレナード第10番 変ロ長調「グラン・パルティータ」KV361〜13の楽器のための
  2. セレナード第12番ハ短調「ナハトムジーク」KV388
エリック・ボード指揮
アンサンブル・フィリドオル(古楽器使用)
 古楽器で弾いてこそ——。
 モーツァルトの巧みな管楽器扱いが、フランス古楽界の躍進を支えてきた超・実力派グループによって明らかに!
 スリルと躍動、しみじみ美しい響き、辛口批評誌『ディアパゾン』が年間金賞を授けた決定的名盤、残僅少ながら確保できました。

 アンドレ・ナヴァラ(vc)やアンドレ・イゾワール(org)、ミハイル・ルディ(p)といった超実力派奏者たちを世に紹介してきたフランスのCalliope レーベルは、創業から約半世紀の活動をへて2011 年にいったん屋号を畳んだのですが、2012 年から新経営者のもとに移行。レーベル経営権移行前のカタログは「原則として」いったん全面廃盤...という扱いになったそうなのですが、幸いにしてごく一部、まとまった数で確保できる旧譜もあることがわかりました!それほどタイトル数はないのですが、なかには日本で広く知られていないのが不思議なくらいな過去の超・話題盤などもありますので、せっかくのチャンス。
 ただ、この種のアイテムはいったん在庫分が切れた後は、新経営者が新しくパッケージして新装再発売しないかぎり入手不可となりますので、できるだけ急ぎ確保していただければと思います。そんな「旧Calliope の忘れがたい名盤」シリーズ第1 弾としてお届けしたいのが、この『グラン・パルティータ』!モーツァルトが故郷ザルツブルクを離れてウィーンに来るかどうかという頃、バセットホルン2本とナチュラルホルン4本を含む大規模な管楽編成にコントラバスを加えた、異例の13楽器編成のために書いた全7楽章からなる大作『グラン・パルティータ』は、ベーム指揮ウィーン・フィル団員の名盤やクレンペラー盤、アルノンクール現代楽器盤...と注目の傑作名盤に事欠かない名曲ではありますが、異例の編成ならばやはり古楽器で聴いてこそ。
 そして古楽器録音でもブリュッヘンの名演など競合盤も数あれど、フランスのアンサンブル・フィリドオルによるこの名演は、古楽演奏にも詳しい批評家が少なくない上、辛い点をつけるときは容赦ないフランスの批評誌『ディアパゾン』が惜しみなく最高点(金賞)を持って迎え、リリース年(2002 年…Alpha やZig-Zag Territoires が大躍進した年でもありました)には1年を通じて最も素晴らしいアルバムに贈られる年間大賞も授けられた超・名演奏!
 アンサンブル・フィリドオル(PhilidOr と綴ります)は昔からシャンゼリゼ管やレザール・フロリサンなどフランス最前線の古楽オーケストラと協力して、古典派以降の管楽器群が必要になる大作で積極的にプロジェクトを補佐してきた「隠れ有名団体」でもありますから、このときの録音は満を持して!の感もありました。抑揚と調和のバランスがすばらしい音響は「これぞ生の18 世紀!」といったリアル感が申し分なく、オーガニックな素朴さをたたえた音色を絶妙のコントロールで味あわせてくれる名手たちの妙技にうっとり。静謐でダークな味わいにも事欠かない併録曲「ナハトムジーク」の魅力もたまりません。この機を逃すと入手不可になる可能性も大きい重要名盤の魅力、どうかお見逃しなきよう!

CARO MITIS



CM002-2008
(国内盤SACD-Hybrid・2枚組)
\3865
テレマン:4 声または6声のための六つの序曲
 〜オーケストラのための組曲全集2〜 (1736年ハンブルク刊)

ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681〜1767)
『4声または6声による六つの序曲[=組曲]』
(1736年ハンブルク刊)
 1. 序曲(組曲)ヘ長調 TWV55:F1 *
 2. 序曲(組曲)イ長調 TWV55:A1
 3. 序曲(組曲)変ホ長調 TWV55:Es1 *
 4. 序曲(組曲)イ短調 TWV55:a1
 5. 序曲(組曲)ニ長調 TWV55:D2 *
 6. 序曲(組曲)ト短調 TWV55:g1
  無印:弦4部、オーボエ2、ファゴット、通奏低音
  *印:弦4部、ホルン2、オーボエ2、ファゴット、通奏低音
プラトゥム・インテグルム・
オーケストラ(古楽器使用)
 楽器の盛り方も、減らし方も、自由自在——天才テレマン、さすがバッハ時代の人気作曲家。
 ロシアの超・実力派古楽アンサンブルが望む壮大な「全集」企画、第2弾は勇壮かつ素朴なナチュラルホルンの響きが美しい、モスクワで発見された古い印刷譜による充実の組曲6編。
 バロック音楽を好きで聴いていると、どこかで必ず「やっぱりテレマンはすごいひ」と思わされる瞬間がくるもの——それも、バロックを聴き始めた頃のどこかだけでなく、長年古楽を聴き続けていても、たびたびそういう「あらためて、すごい」と感じる時がくるもので、まだそういう思いにあったことのない方にもきっと、これからそういうことが起こるはず。このことを久々に感じたのは、ロシア最初のプロ古楽器アンサンブルとして、年を追うごとにますます実力が高まっているプラトゥム・インテグルム・オーケストラが、多作で有名なうえに今なお全貌が明らかになっていないとまで言われているテレマンの「合奏のための組曲をすべて録音するひ」という企画にふれたとき。彼らの選曲と録音スケジュールは思いのほか周到で、毎回必ず大きな発見が潜んでいるのですが(他にもう2巻出ていますが順次ご案内)、今回の「第2 巻」はかの有名な『食卓の音楽』がハンブルクで楽譜刊行されてから3年後、やはり同じハンブルクで刊行された『六つの序曲』を全曲録音。使用楽譜は近年モスクワで発見されたばかりの印刷譜とのことで、この曲集が刊行されるまでの経緯や、自ら楽譜出版販売を手掛けていたテレマンの周到な経営戦略など、解説文にも面白いエピソードが満載(全訳付)。
 しかし何より驚かされるのが、これらの組曲がすべてたった4パート(弦楽器4部+オーボエとファゴットは任意で、それらのパートを重ねて吹くかたちになっています)で作られているにもかかわらず、全42 もの楽章を通じ、まるで一つとして同じではない変幻自在の音楽が紡がれてゆくというところ。テレマンの着想は、まったく枯れることを知らなかったのでしょうか? さらに彼は全6編のうち3編までに「任意で加えてもよし」と一対のホルン・パートを添えているのですが、それが加わったときの響きの充実度たるや、まさに「バロック・オーケストラひ」と呼ぶにふさわしい、スペクタキュラーな古楽器サウンドの交錯にバロック・ファンなら必ずや、心もとろけんばかりになることでしょう。1736 年といえば、バッハが『ミサ曲 ロ短調』の前半部分を捧げたザクセン選帝侯から宮廷作曲家の称号を受けた頃、ヘンデルが苦戦しながら数々の傑作オペラを書き、ハッセやD.スカルラッティら他ジャンルの巨匠たちもどんどん仕事を増やしていた頃、つまり後期バロック最盛期ともいえる充実した時代だったわけですが、テレマンはさすが、そんな折に全ドイツ語圏で最も高く評価されていた作曲家だっただけある...と認めざるを得ません。
 SACD-Hybrid2枚ながら、ややお求めやすく。全集云々を抜きにして、聴き逃せない傑作録音です。


CM009-2007
(国内盤 SACD Hybrid)
\3360
モーツァルト オーボエのための作品集3
 〜オーボエ・ダモーレ協奏曲と「大協奏曲(コンチェルトーネ)」〜

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-91):
 1. オーボエ・ダモーレ協奏曲 イ長調 KV622
  (原曲:クラリネット協奏曲/編曲:A.ウトキン)
 2. 大協奏曲(コンチェルトーネ)ハ長調 KV190
  〜フルート、オーボエ、ヴァイオリンとチェロのための
 (原曲:2挺のヴァイオリン、オーボエと
  ファゴットのための大協奏曲/編曲:A.ウトキン)
独奏 :
ピョートル・ニキフォロフ(ヴァイオリン)
アンナ・ウストユジャニナ(チェロ)
マリア・チェプリナ(フルート)
アレクセイ・ウトキン(オーボエ、オーボエ・ダモーレ)
アレクセイ・ウトキン(オーボエ)
エルミタージュ室内管弦楽団
 かつてバッハが愛したオーボエ・ダモーレは「A管」。モーツァルトのクラリネット協奏曲は「イ長調」。
 編曲愛好家で低音域好みの天才オーボエ奏者ウトキン氏が、この曲を見逃すはずはない...自由闊達な完璧解釈の精悍さ、そして弦を管に置き換えたKV190の、多彩な音色の魅力!
 
 モーツァルトの「オーボエ・ダモーレ協奏曲」??
 オーボエ・ダモーレはご存知の通り、モーツァルトではなくバッハが開発に一枚かんでいたとかいなかったとか、バロック後期にドイツ中部で局地的にはやった管楽器なのですが、モーツァルトのいたウィーンで使われたという話はまず聴きません。これは本盤の独奏者でありアンサンブル主宰者である、驚くほど深い感性の持ち主にして超絶技巧のオーボエ奏者アレクセイ・ウトキン(Caro Mitis レーベルでは常連ですね)が、編曲という行為に異様な執着をみせているがゆえ実現した企画。
 有名なオーボエ協奏曲KV.314 は当然とうの昔にCaro-Mitis で名演を披露してくれていて(CM003-2004)、その後モーツァルトで第2 弾・第3 弾...と協奏曲アルバムが出てくると思ったら、実にセンスのよい編曲が必ず入っていて、18 世紀はこうした編曲など当たり前の時代だったので、それは全く問題ないところでしょうが、今回のオーボエ・ダモーレ協奏曲は、なんとあのクラリネット協奏曲からの編曲。
 オーボエ・ダモーレという楽器の魅力をご存知の方なら容易に想像できるとおり、これが曲のほのかな哀調に寄り添う、実にしっくりくる編曲に仕上がっているのです(特に緩徐楽章)!比較的元気な両端楽章の味わいも絶妙、また四つの楽器のソロがあるコンチェルトーネでもオーボエ主役の編成にソロを書き変えて、これまたドキドキするようなアンサンブルの妙を愉しませてくれる名演として録音してくれたのでした。
 手兵エルミタージュCo.の引き締まった統率感も健在。聴いていて本当に気持ちいい、傑作の魅力を再発見させてくれる1枚です。

CONCERTO



CNT2070
(国内盤)
\2940
ヨハン・クーナウ(1660〜1722):
 『聖書のいくつかの物語を、
  鍵盤で弾く六つのソナタにした音楽描写』(1700年出版)、通称『聖書ソナタ』

  ①第1ソナタ:ダヴィデとゴリアテの戦い
  ②第2ソナタ:憂鬱なるサウル、ダヴィデに音楽で慰められる
  ③第3ソナタ:ヤコブの結婚
  ④第4ソナタ:苦悶の後快癒するエゼキア
  ⑤第5ソナタ:ギデオン、イスラエル人たちの導き手
  ⑥第6ソナタ:ヤコブの墓 朗読:ルチアーノ・ベルトーリ
フェデリーコ・カルダーラ(チェンバロ)
使用楽器:フェデリーコ・マスケローニ製作、タスカン1769年モデル
 当時のドイツは、想像以上に「外国文化尊重」だった——「偉大すぎた」バッハの先任者の代表的傑作、周到なオリジナル楽譜研究にもとづく名演によって堂々、登場!
 チェンバロの芳醇かつ明快な音色もあまりに美しい、バッハとバロックを知るうえで必携の1枚

 「音楽の父」バッハが生前やっていた仕事のなかで、ライプツィヒ聖トーマス教会のカントール(聖歌隊監督)をしていた時期が最も長いのは有名な話。
 このポストの職務として、彼は『マタイ受難曲』をはじめとする一連の受難曲やオラトリオ、無数の教会カンタータなどを作曲したものでした。ところで、バッハの伝記をひもとくと必ず出てくるエピソードのひとつが、このカントール職につくまでのごたごた。ライプツィヒはザクセン地方でも大きな町のひとつで、聖トーマス教会のカントールというのはその大都市の音楽行事をとりしきる公式作曲家という位置づけでもあったため、新任者もそれなりに大物でなくてはならない!と市当局はそうとう人選に苦労したようです。
 まず大人気の巨匠テレマンに声をかけたものの別の要職についたばかりで断られ、次いでダルムシュタットの宮廷に仕えていた名匠グラウプナーを引き抜く話が決まりかけたところ、主君のヘッセン公が俸給を大幅増額して彼を引きとめたため話は沙汰やみ、「これはもう二流の人物に甘んじるしかない」と、人気の点ではそれほどでもなかったバッハにようやく声がかかった...というのは、音楽ファンにもわりと良く知られた逸話です。ライプツィヒ市当局がそこまで躍起になって大物獲得に奔走していたのは、そもそも前任者が予期せぬタイミングで急逝してしまったせいでもあり、そのうえその前任者が、ドイツ語圏でも屈指の、とてつもなく尊敬されていた巨匠だったから——そう、その前任者こそが、本盤の主人公ヨハン・クーナウなのです!
 生まれたのはA.スカルラッティと同じ年、コレッリより7最年下。つまりイタリア音楽がヨーロッパ中を席巻して、フランス人たちは反発したり同調したり、ドイツ人たちは「自分たちこそフランス音楽とイタリア音楽の調停者」といいとこどりを狙ったり、強烈なイタリア音楽コンプレックスのあった時代。いまの音楽史は基本的にドイツ人の視点で出来ていて、クーナウも「バッハの前任者」と紹介されることが多いため自立したドイツの巨匠だと思われがちですが、彼が生きていた頃のドイツ人たちの自意識は必ずしも、そうではなかった——
 最先端のイタリア音楽をきちんとふまえていることこそ、教養の証だったわけです(古くはシュッツやブクステフーデ然り、後年ではバッハやヘンデル然り...)。
 そんな時代に「たいへんな教養人」として尊敬されていたクーナウは、生前は弁護士としても活躍、イタリア語はもちろんラテン語やギリシャ語も自由に操る多言語話者だったとか。そんな彼の代表作『聖書ソナタ』は、チェンバロ1台で聖書の名場面を描写してゆくという趣旨の先進的な作品なのですが、その楽譜を見ると、表題こそ当時のドイツ語であるものの、楽譜に添え書きされている各場面の説明は(いわば「アレグロ」「アダージョ」などといった表情表記と同じく)ことごとくイタリア語で表記されているのです!そこに着目したのが、イタリアの古楽鍵盤奏者フェデリーコ・カルダーラ——歴史的モデルのチェンバロを用い、折々に表題のイタリア語朗読を交えて織りなされる大胆・流麗なバロック鍵盤書法のめくるめく魅力が、バッハ登場前夜のドイツ音楽の素顔を過不足なく、そしてこのうえなくヴィヴィッドに伝えてくれます。
 解説充実(全訳対)、直接音を的確に拾ったConcerto 特有の生々しい自然派録音も絶妙。バロック・ファンには見逃せない1枚です!

GRAMOLA



GRML98929
(国内盤・2枚組)
\3865
シューベルト:ピアノ・ソナタ第3・6・15・18 番 他
 〜さすらい人幻想曲、幻想ソナタ、レリーク、もうひとつの未完成ソナタ...〜

フランツ・シューベルト(1797〜1828):
 1)幻想曲ハ長調 D.760「さすらい人」
 2) 五つの小品(ソナタ第3 番)D.459
 3) ソナタ 第6 番 ホ短調 D.556(未完)
 4) ソナタ 第15 番 ハ長調 D.840 「レリーク」(未完)
 5) ソナタ 第18 番 ト長調 D.894「幻想曲風」
メイラ・ファルカーシュ(ピアノ)
 稀代のシューベルト解釈者、ルーマニア出身のファルカーシュ、待望の新録音が登場!
 すでに生涯最後のソナタ群ですばらしい実績をあげたこの超・実力派は、演奏もさることながら選曲センスも絶妙。若き野心、未完成の美と幻想と——テーマ性あるプログラムも絶妙です。

 有名作曲家の音楽でも、知られているようで意外と知られていない分野というのはあるものです。たとえばショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲(15 曲もあるのに!)、リストの歌曲、ハイドンのオペラ、プロコフィエフのピアノ・ソナタ、モーツァルトの初期交響曲20 曲ほどや「ハイドン・セット」以前の弦楽四重奏曲、それからハイドンの「ロンドン・セット」といくつかの表題付以外の交響曲...いや、あげだすときりがなさそうですね。
 ともあれ、最後の方の作品だけしか知られていないという点では、シューベルトのピアノ・ソナタもまさにそうした「意外な未踏分野」の一つだと思います。
 この作曲家を育てた大都市ウィーンに本拠を構えるGramola レーベルから、そんな分野に痛快な一石を投じる新録音が登場しました。
 メイラ・ファルカーシュ——数年前に(これだけは多少なりと有名な)シューベルト最晩年の三つのソナタを録音、そのユニークな解釈と存在感ゆえに一部で熱狂的な支持を呼んだ彼女は、なんと若い頃にはヴィルヘルム・ケンプ門下で修業を積み、晩年のカザルスやルドルフ・ゼルキン、ティボール・ヴァルガといった往年の超・巨匠たちとも共演経験があるという大ヴェテラン!
 今回のプログラムは有名な後期の未完成作品「レリーク」、D894 の幻想ソナタ、そしてかの有名な「さすらい人幻想曲」といった重要作品を柱に据えながらも、「5 つの小品」の名でも知られる初期ソナタや未完に終わった第6 ソナタなど、聴く機会がそれほど多いとは言えない作品もバランスよく集め、シューベルトという作曲家の作風の一貫性、どうやって彼なりの、あの独特のソナタ観が養われていったかを一望できる選曲になっているのが頼もしいところです(日本語解説付)。
 ファルカーシュのピアノは、どの曲でも最初の1小節から聴き手を自分の世界に一瞬で引き込む求心力があり、こういった曲目に関心を持った方をますますシューベルトの奥深い世界へと誘ってくれる、存在感の高いアルバムとなってくれそうです。このあたり「音」があれば一発で判っていただけると思います。とくに初期作品でこれだけ飛び抜けたクオリティの演奏で聴けるというのは、つくづくよい時代になったものだ...と感慨を新たにせずにはおれません。
 近年“ウィーンのピアノ”ベーゼンドルファーを傘下に収めたスタインウェイの支局、ウィーン・スタインウェイ社も推薦する、「音楽の都」の懐の深さをひしひしと感じさせる逸品です!

INDESENS!



INDE040
(国内盤)
\2940
驚愕の演奏陣
 ドビュッシー 室内楽作品集
  〜フランス最前線のソリストたち〜

クロード・ドビュッシー(1862〜1918)
 ①トランペットとピアノのための「祝祭」
  (『管弦楽のための夜想曲』より〜ジョアシャン・ジュス編)
 ②フルートとピアノのための「『牧神の午後』への前奏曲」
  (ギュスターヴ・サマズイユ編)
 ③クラリネットとピアノのための第1狂詩曲
 ④シランクス(無伴奏トランペットによる)
 ⑤フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
 ⑥サクソフォンとピアノのための狂詩曲
 ⑦シランクス(原作通りフルートで)
 ⑧チェロとピアノのためのソナタ(チェロとハープによる演奏)
 ⑨ハープと弦楽合奏のための「神聖な舞曲」と「世俗的な舞曲」 
①パスカル・ガレ、
②エマニュエル・シュトロッセ、
③クレール・デセール、
⑥ローラン・ヴァグシャル(p)
⑨ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ソリスト
ヴァンサン・リュカ(fl)
フィリップ・ベルロー(cl)
リズ・ベルトー(va)
エリック・オービエ(tp)
ニコラ・プロスト(sax)
ルートヴィヒ・クヴァント(vc)
マリー=ピエール・ラングラメ(hrp)
 ドビュッシー記念年に、フランス最前線のプレイヤーたちが黙っているはずがない!
 「管楽器の王国」を代表するパリ管弦楽団のソリストふたり、モーリス・アンドレの衣鉢を継ぐオービエ。そしてベルリン・フィルで活躍中のフランス人ハープ奏者が連れてきた、強者ぞろいの弦楽勢!

 今年はドビュッシー生誕150 周年。
 その祖国であるフランスのレーベルも、いよいよ盛り上がってまいりました。とくに“管楽器の王国”を代表するソリストたちの新録音を次々と世に問うてきたIndesens!レーベルの張り切りようには目を見張らされるものがあります。今回もこの国の最前線で活躍しているソリストたちを集め、珠玉の室内楽アルバムをさっそく送ってきてくれました。
 フランスの名手たちによる、極上のドビュッシー室内楽アルバム——
 そう聞くだけでもドキドキですが、本盤の素晴らしいところは、Digipack のジャケットの美麗さや演奏陣の豪華さにいたるまで徹底してフランスの粋を集めているだけでなく、一部になんと、ベルリン・フィルからの驚くべきゲストプレイヤーたちが名を連ねていること。
 ドビュッシーが残したこの二つの傑作ハープ室内楽でソロをつとめているのは、すでにアバド時代からベルリン・フィルで20 年近くハープを任されてきた超ヴェテランのフランス人奏者、M-P.ラングラメ! メリハリの利いた立ち回りで、繊細一辺倒だけで終わらない縦横無尽の音楽性をいかんなく発揮、時に「攻め」もいとわないハープの存在感はため息ものの美しさ!
 チェロ・ソナタではこの超一流楽団の第1 ソリストとして知らぬ者はいないルートヴィヒ・クヴァントのソロ。そこではピアノ・パートをハープに代えてラングラメが登場、ひたすら圧巻の一言です。
 他にも同レーベル別盤に収録されていたトランペット編曲作品などが余白的に織り込まれ、78 分いっぱいに馥郁たる「フランス最前線のエスプリ」が広がる嬉しい逸品。
 解説充実(全訳付)、見逃せない逸品です!

PAN CLASSCIS


Lute Music
PC10256
(国内盤)
\2940
SYMPHONIAの名盤よみがえる!
 〜ペトルッチ出版による、最古のリュート作品集より〜

 フランチェスコ・スピナチーノ(生歿年不詳):
  『リュートのための奏法譜集 第1・2 巻』より
   15 曲(リチェルカーレ、舞曲、歌曲編曲)
 ヨハン・アンブロージオ・ダルツァ(生歿年不詳):
  『リュートのための奏法譜集 第4 巻』より
   19 曲(カラータ、舞曲、歌曲編曲...)
パオロ・ケリーチ(リュート、ビウエラ)
 かそけき音色から、雄弁な弦のうなりまで——最も高貴なルネサンス楽器リュートは、はじめから、これほど多彩な表現力を誇っていた。
 繊細な響きの美しさと、たくましい構成感。リュート芸術のはじまり、楽器のための楽譜印刷のはじまり。イタリアの俊才、金字塔的録音。

 その美しい形状といい、癒しにあふれた古雅な音色といい、リュートという古楽器はいつも、私たち現代人の心をひきつけてやみません。古楽関連の演奏会でなければ、日頃めったに目にしない楽器でもあることが、音盤ファンの幻想をいっそうかきたててやまない原因になっているのかもしれません。ルネサンス期には高貴で芸術的な音楽を奏でられる重要な楽器として、チェンバロやヴァイオリンなどよりもずっと大切にされていた室内楽器——調弦の複雑さがたたってバロック期以降に衰退してしまったものの、その黄金時代ともいえる16 世紀には、ベルギー(ネーデルラント地方)やイタリアなどの音楽先進地域はもちろん、ドイツやフランスでもリュートの名手たちが活躍、すぐれた作品の楽譜も数多く出回りました。
 時おりしも、グーテンベルクの活版印刷術が発案されてまだ間もない頃——イタリア北部の楽譜印刷技術者オッタヴィアーノ・ペトルッチの活躍によって、ヴェネツィア周辺では活版による楽譜印刷技術が発明され、これによって数多くの傑作楽曲が印刷譜としてまとめられてゆくことになります。そのさいペトルッチは決して「歌」ばかりではなく、楽器だけで演奏される音楽も見過ごしはしませんでした。こうして1507 年から1508 年にかけ、高貴な楽器リュートひとつで弾ける音楽を集めた曲集が4冊、相次いでペトルッチの工房から刊行されていったのでした。
 印刷された楽譜としては間違いなく「最古のリュート曲集」と目すべきこれらの楽譜は、「奏法譜(タブラチュア)」と呼ばれる独特のフォーマットで書かれているのですが、そうした楽譜を読み解いてゆくのは、本格派の古楽奏者たちにとってはもはや日常的な演奏活動の一環。イ・バロッキスティやアッカデーミア・モンティス・レガリスなどの古楽集団の通奏低音を支え、ミラノ・スカラ座やドレスデン国立歌劇場などの一流歌劇場でのバロック作品上演にも招かれながら、卓越したソリストないし歌曲ユニット奏者として活躍を続けるイタリアの超実力派、パオロ・ケリーチによるこの名演は、かつてSymphonia からリリースされたもののレーベル閉鎖で入手不可になっていた貴重な音源。
 解説日本語訳付でお届けするこの録音では、ペトルッチが刊行した曲集から、最古の2冊(どちらもスピナチーノという作曲家の作品集)および第4巻(ダルツァの作品集)からの名品を集め、イタリア北部に花開いていたリュート芸術が当時いかに豊かなものだったかを、リュート2種と、スペインを中心にもてはやされていた古楽器ビウエラを使い分けながら、メリハリの利いた巧みな演奏解釈で教えてくれます。現在もギター曲として愛奏されている曲もありますが、本職のリュート奏者による本格解釈はやはり格別ぱラファエロ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロらルネサンス美術の三大巨匠がまさに活躍中だった頃のイタリア音楽を、見逃す手はない名演・名録音で。

RICERCAR


German Baroque Oboe Sonatas
MRIC321
(国内盤)
\2940
ドイツ・バロックのオーボエ音楽
 〜そしてロココへ、前古典派へ…〜

 ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681〜1767):
  ①ソナタ 変ロ長調 〜オーボエと通奏低音のための
  ②無伴奏オーボエのための第4ファンタジア 変ロ長調
  ③無伴奏オーボエのための第6ファンタジア ニ短調
 ヨハン・ダーフィト・ハイニヒェン(1683〜1729):
  ④オーボエ独奏[と通奏低音]のためのソナタ 第33番
 カール・ルーデヴィヒ・マッテス(生歿年不詳、18 世紀):
  ⑤オーボエ[と通奏低音]のためのソナタ ハ長調
 ヨハン・フィリップ・キルンベルガー(1721〜1783):
  ⑥ソナタ 変ロ長調 〜オーボエと通奏低音のための
 カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(1714〜1788):
  ⑦オーボエ独奏[と通奏低音]のためのソナタ ト短調
   (CDでの収録曲順は①④⑤②⑥③⑦)
ブノワ・ローラン(オーボエ)
Ens.リンガ・フランカ(古楽器使用)
ベルナール・ヴォルテーシュ(vc) ジュリアン・ヴォルフス(cmb)
 バロック・オーボエの魅力は、この時代の曲でこそ一番映えるのでは。
 テレマンの同時代からハイドン初期くらいの、いちばん現代人の耳になじみやすいメロディアスな名曲群をとびきりの古楽器サウンドで。

 オーボエの音色、本当に素敵ですよね。シューベルトの『未完成』やチャイコフスキー『白鳥の湖』のソロ、モーツァルトやマルチェッロの協奏曲...バロック・ファンであれば、むしろバッハがこの楽器を愛用していたところから、管弦楽組曲第1 番やブランデンブルク協奏曲第1 番、さまざまなカンタータなどでの活躍を思い出すかもしれません。それも、とびきりの古楽バンドが弾くバロック・オーボエのソロなどを聴くと、この楽器だけを取り出して存分に聴ける機会はないものか?と思ったりもするのでは——そうした願いをかなえてくれるバロック・オーボエのためのソロ作品集というのは、出ているようで意外と出ていないもの。
 オーボエ奏者としても、自分を出せる貴重な機会!とばかりさまざまなジャンルの作品を詰め込んでアルバムにしたりすることも少なくないので、テーマ性のあるまとめ方で聴けるものとなるとこれもまた、限られてきます。
 しかし、バロック・オーボエを聴こう!という気持ちの盛り上がりが一番大きくなるのはやはり、18 世紀の、それもバッハやテレマン、ハイドン、モーツァルト...といった作曲家を生んだ、ドイツ=オーストリアの音楽が聴きたい気分の時なのではないでしょうか?
 その意味で、古楽大国ベルギーの俊才が集うアンサンブル・リンガ・フランカの精鋭メンバーだけで録音された本盤のテーマ設定は実に絶妙かつ的確!
 ひとくちに「バロック」「ドイツ」と言っても、バッハ以前の17 世紀の音楽などは実のところ、ちょっと聴き慣れるまで時間のかかるものも少なくはないものと思いますが、それがバッハ以降、バロックというよりもむしろロココ・前古典派にかかってくるくらいの時代の音楽だと、わかりやすくも美しいメロディがチェンバロ入りのバロック風通奏低音ともきれいにマッチして、私たちが「古い音楽」「バッハの同時代」と聞いてすぐ思い浮かべるような「あの」きれいな音作りの作品が続々あるものです。
 『リチェルカール古楽器ガイド』の執筆者ジェローム・ルジュヌ氏による制作監修、筋金入りのオーボエ史マニアでもある演奏者ブノワ・ローラン自身による解説(全訳付)で、この楽器の歴史についても情報がたっぷり詰まった1枚に仕上がっているのも嬉しいところ。
 ロココ・サウンド全開のキルンベルガー、バッハも一目置いたハイニヒェンやテレマン(無伴奏作品も2曲!)、次男C.P.E.バッハの初期作品、謎の前古典派マッテスの優雅なメロディセンス...どこをとっても聴きどころ満載の、バロック・オーボエの魅力を味わい尽くせる好感度の高い1枚です。おすすめ!


MRIC317
(国内盤・訳詞付)
\2940
ライプツィヒの日曜礼拝〜
 あのゴールトベルクの壮大なカンタータ

 ヨハン・ゴットリープ・ゴールトベルク(1727〜1756):
  ①洗礼者ヨハネの祝日のためのカンタータ
   「真の慈愛をわたしたちの神から授かり」
  ②詩編第12編(カンタータ)「助けてください、主よ」
 ヨハン・ルートヴィヒ・クレープス(1713〜1780):
  ③ドイツ語によるマリアの讃歌
  「わたしの魂は主をあがめ(マニフィカト)」
 ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ(1677〜1731):
  ④ミサ・ブレヴィス〜「いと高きところには
   神の栄光(グローリア)」の聖歌による
ゾフィー・カルトイザー(S)
マリアンヌ・フリーヘン(A)
ステファン・ヴァン・ダイク(T)
リーフェン・テルモント(Br)
フローリアン・ヘイエリック指揮
Ens.エクス・テンポレ
ゴールトベルク:二つの教会カンタータ 他
 『ゴールトベルク変奏曲』の逸話で有名なバッハの弟子は、作曲家としても活躍していた!
 彼がライプツィヒでバッハの教えを受けていた頃に書いた壮大なカンタータ作品に、他の愛弟子クレープス、大バッハより年上の親類の逸品を加え、欧州随一の古楽演奏で!

 「ゴールトベルク変奏曲」——グレン・グールドやグスタフ・レオンハルトの名を出すまでもなく、「音楽の父」ことJ.S.バッハの鍵盤楽曲を代表するこの名曲については、あまりに広く知られているといって過言ではないでしょう。仕えていた主君が不眠症で悩んでいるのを知ったチェンバロ奏者ゴールトベルクが、なんとか主君の不眠を音楽で解決できないかと悩み、かつての師匠バッハに相談したところ、折しも仕上がったばかりの長大な変奏曲集の楽譜を渡された——ゴールトベルクはこれを毎晩のように弾き、主君はその安らかな調べで無事、不眠症を解決した、この変奏曲集が今日『ゴールトベルク変奏曲』と呼ばれている所以である…という逸話で有名なこの傑作、逸話そのものの真偽のほどはともかくとして、J.G.ゴールトベルクなる若い作曲家がライプツィヒでバッハに師事していたこと、逸話にあるとおりカイザーリンク伯爵という北方の貴族にチェンバロ奏者として仕えていたことは、間違いない事実として確認されています。
 しかも嬉しいことに、このゴールトベルクが残した作品の楽譜も今日、かろうじていくつか見つかるのだとか...ゴールトベルク本人は齢30 を目前に早世してしまったそうですが、残された作品はどれも18 世紀半ばのドイツらしい、繊細な感傷をほんのりたたえた佳品ばかり。
 そう、これまで知られていたゴールトベルク作品はみな、室内楽や鍵盤楽曲などの小さな音楽ばかりだったのですが、本盤はなんと、この早世の天才が大舞台を与えられたらどんな曲を書いたのか?という、非常に興味深い問題に対するあざやかな答えをくれる1枚。
 かたや洗礼者聖ヨハネの祝日に捧げられ、かたや詩編を台本にとる、2作の壮大なカンタータを、古楽大国ベルギーの「いま」を代表する超・実力派ソリストとアンサンブルの演奏で聴けるわけです。ごらんのとおり、AlphaやBIS、Accent などでも大活躍のステファン・ヴァン・ダイク、Cypres やRicercar でソロ録音も行っているゾフィ・カルトイザーなど独唱者陣の充実もさることながら、演奏をまとめているのは、昨年『レコード芸術』誌で特選を得たグラウプナー(バッハとテレマンの共通の友人、当時を代表する大作曲家)の異色のカンタータ集でとてつもない実力をいかんなく示してみせた俊才指揮者、フローリアン・ヘイエリック。手兵エクス・テンポレとともに、早すぎる死を迎えたゴールトベルクの偉業がどのようなものだったのか、手際よくもダイナミズム豊かな演奏で明らかにしてくれます(どちらの曲もバッハの代理として、ライプツィヒの教会で上演されるべく書かれたもの)。
 さらに嬉しいのは、バッハより年上の同世代親族J.L.バッハによる小ミサ、バッハ晩年の愛弟子クレープスの「ドイツ語マニフィカト」という、同時代の逸品も聴けること。作曲家についての解説も充実(全訳付)、興味の尽きない1枚です。

ZIG ZAG TERRITOIRES



ZZT307
(国内盤・3枚組)
\5040
インマゼール&ミドリ・ザイラー
 ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ(全10曲)

《CD I》
 ①ソナタ第5番 ヘ長調op.24「春」②ソナタ第1番二長調op.12-1
 ③ソナタ第2番イ長調op.12-2 ④ ソナタ第3 番 変ホ長調op.12-3
《CD II》
 ①ソナタ第6番 イ長調op.30-1 ②ソナタ第7番 ハ短調op.30-2
 ③ソナタ第10 番 ト長調op.96
《CD III》
 ①ソナタ第4番 イ短調op.23 ②ソナタ第8番 ト長調op.30-3
 ③ソナタ第9番 イ長調op.47「クロイツェル」
ヨス・ファン・インマゼール(フォルテピアノ)
ミドリ・ザイラー(フォルテピアノ)
 「インマゼールのベートーヴェン」、まだまだ続きます——ミドリ・ザイラーと全10曲、じっくり録音してくれました。
 古楽器録音による全曲収録が意外にない分野、Zig-Zag Territoiresからのこの瞠目リリースは確実に重要。解説もきっちり全訳付でお届け!Alpha レーベルの創設者が「最も気になるライヴァル」としてあげていたZig-Zag Territoires レーベルで、今もずっと看板アーティストでありつづけている異能のフォルテピアノ奏者=指揮者ヨス・ファン・インマゼール。鍵盤での録音も衰えを知らず、一昨年はドイツの知性派トーマス・バウアーとの『冬の旅』、昨年は自らチェンバロやフォルテピアノ独奏もしながらのプーランク作品集(!)と痛快なリリースを続けてくれていますが、なんと今度はベートーヴェン!!
 しかもです、かつてソナタ1〜3番だけを録音&リリース、後続盤が出ていなかったヴァイオリンとピアノのためのソナタを、第4 番以降まですべて録音、それら初出音源をことごとく収録したBOX 仕様でいきなり出してくれたのです!
 成果は上々、なにしろベートーヴェン室内楽の古楽器録音というやつは、ご存知のとおり意外とあるようでないもので、とくにヴァイオリン・ソナタは滅多に全曲古楽器録音などがなく、散発的に出ていても「春」「クロイツェル」の重要曲2 曲が単独でさえなかなか出てこない...というジャンル。そもそも全曲録音なんて、競合盤はヒロ・クロサキ&リンダ・ニコルスン(Accent)くらい——もちろん国内盤など皆無なジャンルなのです。過激派古楽バンドの最先端でもあるベルリン古楽アカデミーでも活躍しながら、インマゼールの楽団アニマ・エテルナ・ブリュッヘでコンサートマスターもつとめるミドリ・ザイラーが弾くヴァイオリンも、ガット弦にこだわりあり、楽器は18 世紀イタリアのオリジナル、弓は19 世紀のダッド・モデル...と気合の入ったセッティングで、えもいわれぬ抑揚、縦横無尽の語り口でフォルテピアノとからみあう。かたやファン・インマゼールの楽器はモーツァルトの愛器ヴァルター・モデル——
 嬉しいことに、解説は両者への端的に充実したインタビュー。口を開けば、どちらもツェルニーが、シュポーアが、修辞法が...と興味深いコメントの連続(全訳付)!彼らふたりの玄妙なクロイツェル・ソナタを聴くためだけでも買う価値は充分以上にあり!


旧譜
ザイラーとインマゼールといえば、これ
Rimsky Korsakov: Scheherazade, Op. 35, etc.
ZZT 050502
¥2500→¥1790
リムスキー=コルサコフ:
 (1)交響組曲「シェエラザード」Op35
 (2)序曲「ロシアの復活祭」Op36
ボロディン:
 (3)交響詩「中央アジアの草原にて」
 (4)歌劇「イーゴリ公」より、だったん人の踊り
ジョス・ファン・インマゼール指揮
アニマ・エテルナ
ミドリ・ザイラー(Vnソロ)(1)
 ザイラーのヴァイオリンは水のようになめらか、妖精のように可憐。インマゼールとアニマ・エテルナもすごいです。管うますぎ。

 ビリビリと電気が走るような大ショック!インマゼールのシェエラザードは、切れ味は鋭く、甘美なところはとことん甘く、そしてとてつもない爆発力で釘付け!数あるクラシック音楽のなかでも指折りの有名曲「シェエラザード」。アニマ・エテルナとのコンビによるロシアものはチャイコフスキーの4番以来。弦はピリオド奏法特有のノンヴィブラートによる短く刈り込んだフレージング。オリジナル楽器のオーボエやクラリネットの味わい深い音色。皮の感触まで聴き取れるティンパニの放つ刺激的な音響には目がくらむ。加えてザイラーのチャーミングなソロがまたこよなく可憐。まさしくこれまでのイメージを一新する、まったく聞いたことの無い世界が拡がる。カップリングもぜいたく!だったん人の踊りもシェエラザードに負けないくらいのショッキングな演奏でビックリ。録音も抜群。
 録音:2004年6月1-3日ブリュージュ、コンサートホール(コンセルトヘボウ)





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