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第67号
お奨め国内盤新譜(1)
2012.10.23〜12.14紹介分


AEON



MAECD1230
(国内盤)
\2940
「指揮者ポール・メイエ」
 〜20世紀アメリカのクラリネット協奏曲

 ジョン・コリリアーノ(1938〜):
  1. 協奏曲 〜クラリネットと管弦楽のための(1977)
 エリオット・カーター(1908〜2012):
  2. クラリネット協奏曲(1996)
エディ・ファンオーストハイス(cl)
ポール・メイエ指揮
ブラッセルズ・フィルハーモニック
 「指揮者ポール・メイエ」、自らの楽器クラリネットのための協奏曲で素晴しい充実名演を!
 クラシカルな作曲ジャンルで名匠たちが綴ったニュアンス豊かな表現世界を鮮やかに伝えるのは飛び抜けた技量のスーパープレイヤーとベルギーの実力派楽団。インタビューも充実の内容!

 時代というのは移り変わるのが早いもので、音楽史の教科書が「現代」として扱ったりしていたようなシェーンベルクらのセリー技法派はもう100 年前、つまりどう頑張っても「近代」というくらいの音楽ということになると思いますし、事実そうした音楽技法はもはやいろいろなところで日常的になってきていて(たとえばサスペンスドラマや特撮映画などのBGM、合唱コンクールや吹奏楽での現代曲...)。
 そうした20 世紀中盤の新技法を使いこなした音楽を、ベートーヴェンやワーグナーの「新機軸」を味わうのと同じ鑑賞姿勢になっていてもおかしくはないのだと思っています。
 つまり、もっとじっくり聴かれてもよいのではないか?という意味で...さて、ここにご紹介するのは、そうした時代から間違いなく「現代・同時代」としか言いようのない「いま」の音楽までを重点的に録音、パリのIrcam やリヨンのグラームなど重要な現代音楽機関ともコラボレーションを続けてきたaeon レーベルからの新作——20 世紀アメリカを代表する大家ふたりのクラリネット協奏曲!
 20 世紀のアメリカといえば「西側の超大国」として世界を牽引する先進性をみせていたようでいて、音楽界には根強くクラシカルなものを守る文化もあり、ジャンル破壊型の音楽ではなく「交響曲や協奏曲など伝統的なジャンルのなかで、どれだけ新しいことができるか」といったことを模索し、すばらしい実績をあげている作曲家が少なくないのです(アメリカの重要なオーケストラの定期公演プログラムなどを見ていると、そうした作曲家たちがいかに大切にされているかもよくわかるところ...なぜ録音が少ない!と思っていたのも今は昔、Naxosやアメリカの良心的小規模レーベルの台頭で、今ではずいぶんたくさんの作曲家の世界に接することができるようになってきていますね。
 本盤に登場する二人も、斬新な音楽をたくさん書いてきた一方で、そうした伝統的ジャンルにも強い適性を示した名匠。かたやコリリアーノは2001 年(つい最近!)に『交響曲第2 番』でグラミー賞を受賞していますし、かたやエリオット・カーターは、期せずして一昨日(11 月5 日)に亡くなったとはいえ実はショスタコーヴィチと僅か2歳違い、そしてショスタコーヴィチ同じく、弦楽四重奏曲や協奏曲などで目覚ましい新技法を提案しつづけてきました。そうした「クラシック音楽の伝統」のかたわら、本盤で主役となるクラリネットという楽器はまた、アメリカ人音楽家たちにしてみれば「自分たちの音楽の楽器」という意識も強いところ——ジャズで多用されるこの楽器は、古くはベニー・グッドマン、近年ではリチャード・ストルツマンなどジャンル越境タイプの巨匠たちの活躍に代表される通り、アメリカ人にはとりわけなじみの深い管楽器!深い呼吸で伸縮するコリリアーノの協奏曲の面白さも、カーターが齢79(!)にして仕上げた、単一楽章に驚くほど多彩なソリスト&合奏の対話が凝縮されている傑作の魅力も、もはや「定まらぬ同時代」ではなく「現代の名曲」として味わい、聴き深めるのにうってつけな旨味を感じさせてやみません。
 しかし何より目をひくのは、この録音にクレジットされているフランス随一のクラリネット奏者ポール・メイエが、なんと指揮者としての参加になっていること——いま『レコード芸術』で特選となっているAlphaのシュポーア協奏曲全集でみごとな「吹き振り」を披露、先日も佼成ウィンドオーケストラに単独来日、シュミットのファンファーレや「ボレロ」、委嘱新作などの指揮で痛快な名演を聴かせるなど、そのタクトの確かさは他所でも立証済!えもいわれぬ多彩な表現をよどみなく繰り出す巨匠ファンオーストハイセ(クラリネット界では大御所!)、精妙な作品解釈に鮮やかな適応力をみせるベルギー随一の楽団...確かな演奏陣の名演、演奏者へのインタビュー(全訳付)も興味深々の内容です!

ALPHA


Alpha532
(国内盤・訳詞付)
\2940
マルコ・ビズリー&グイード・モリーニ
 ナポリのことなら、いくらでも語れる。
  〜故郷に帰ってきたアッコルドーネ〜

 ①聖人たちのバッロ
 ②愛しい美しき薔薇(アンドレーア・ファルコニエーリ 1585〜1656)
 ③牢屋にぶちこめ、パン職人どもを*(伝承歌) 
 ④窓辺の夜曲(モリーニ/詩:ヌンツィアンテ・パガーノ 1683〜1756)
 ⑤チチェレネッラ〔ひよこまめの君〕(伝承歌)
 ⑥つめたい仕打ち(作者不詳)
 ⑦タランテッラ・タパネッラ*〔田舎風タランテッラ〕
  (グイード・モリーニ 1959〜)
 ⑧マッサニエッロの嘆き*
  (モリーニ/詩:フランチェスコ・メロージオ1609〜1670)
 ⑨怠け者の年増女たち*(アドリアーノ・ヴィッラールト 1490〜1562)
 ⑩おまえが好きでたまらない(ガエータノ・ラティッラ 1711〜1788)
 ⑪モンテマラーノの聖母に捧ぐ歌
  (ガエータノ・ラマ 1866〜1950/ベッペ・ガンベッタ編)
 ⑫あの古き良き日々(ヴィンチェンツォ・ヴァレンテ 1855〜1921)
 ⑬カルーゾ〔小さな丘〕(ルーチオ・ダッラ 1943〜2012)
 ⑭レジネッラ〔女王さま気取り〕
  (ガエータノ・ラマ/ベッペ・ガンベッタ編)
 ⑮マッツァとペッツァとピッツォ
  (ジュゼッペ・チョッフィ 1901〜1976/ベッペ・ガンベッタ編)
 ⑯ナプール〔ナポリは...〕(ピーノ・ダニエーレ 1955〜)
 ⑰ディアーナ、わが星*
マルコ・ビズリー(歌)
グイード・モリーニ(cmb・p)
Ens.アッコルドーネ(古楽器使用・一部現代楽器)
グイード・モリーニ(cmb・p)
ロセッラ・クローチェ、
エリーザ・チッテリオ(vn)
フランチェスコ・ガッリジオーニ(vc)
ステーファノ・ロッコ(アーチリュート、バロックg)
ファビオ・アックルソ(リュート)
フランコ・パヴァン(テオルボ)
マウロ・ドゥランテ(perc)
 あの「声の魔術師」、ナポリ生まれのマルコ・ビズリーと異才チェンバロ奏者グイード・モリーニの本格ジャンル越境型バロック・バンド「アッコルドーネ」が、ついにAlphaに帰ってきた...!
古都ナポリの伝承歌と古楽こそ、彼らの心の故郷。スタイリッシュで情熱的なあの境地、再び。
 秀逸古楽レーベルArcana が、創設者ベルンステンの逝去後イタリアの会社となって以来、この国の古楽界を代表する異色アンサンブルの一つアッコルドーネはArcana で録音するのかと思いきや、今回はAlpha へと帰ってきてくれたのです!
 この歓迎すべき帰郷にさいして、彼らが選んだテーマは「ナポリ」——そう、2002 年に『ラ・タランテッラ』をラルペッジャータと録音してAlpha 白シリーズに単独で鮮烈デビューを飾った同アンサンブルの歌唱担当、マルコ・ビーズリーの故郷は、このオペラ大国がオペラ大国になった所以でもある「4つの音楽院の町」、古代ギリシャ時代まで歴史をさかのぼる地中海随一の古都ナポリだったのです。
 芸術、歴史、美食、民間伝承、そしてカンツォーネ...この町をとりまくさまざまな物語に思いを馳せ、中世・ルネサンスの正統派古楽曲から19〜20世紀の大衆音楽、はては一座のアレンジャーで即興演奏家・作曲家でもあるモリーニの「バロック風新作古楽曲」まで織り交ぜ、ガット弦をはじく音や擦る音の合間に痛快な民族打楽器の打ち込みもありつつ、あるときは土臭く、あるときは高雅に、あるいは荒唐無稽、あるいは扇情的、そしていつも、哀愁をはらんだマルコ・ビズリーの、あの千変万化のニュアンスをたたえた美声が私たちの耳を、心を、ひたすら魅了してやみません。
 そぞろイタリアから新酒も届く頃ですが、フレッシュな新酒よりもむしろ、ナポリを中心とするカンパニア地方の美酒、濃密な赤ワイン・タウラージをじっくり飲み深め琢なるような、民俗的古楽が好きでたまらない古楽ファンなら魅了されずにはおれない、まさにアッコルドーネにしかできない境地といっていいでしょう。
 味わい深い歌詞の翻訳も、ビズリーの寄せたコメントも含め、解説は全訳付!アルバム全体のストーリー演出まで含めた魅力をじっくり愉しんでいただける逸品としてお届けします。

ARCO DIVA


UP0155
(国内盤)
\2940
ヤクプ・ヤン・リバ(1765〜1815):
 1. 「みんな、素晴しいお知らせです」
 2. 「喜びと健康と聖なる平安を」
 3. 「そして水は流れ」
 4. 「皆でベツレヘムに向かおう」
 5. 「不思議な夜の子」
 6. 「おめでとう、降誕祭の祝典ですね」
 7. 降誕祭のチェコ荘厳ミサ
  〜独唱、合唱と管弦楽のための〜
ペトル・フィアラ指揮
ブルノ・チェコ室内合奏団、
チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー合唱団
ハナ・シカルコヴァー(S)
マリエ・ヴルボヴァー(A)
ペトル・レヴィーチェク(T)
リハルト・ノヴァーク(Bs)
マルティン・ヤクビーチェク(org)
 チェコは音楽大国——弦の国にして、世界的にすぐれた合唱団を擁する国。
 ドヴォルザークやヤナーチェクの大作で名演続出、ブルノの合唱団と世界的合唱指揮者はチェコ人の「心の故郷」たる名曲へ...それは、古典派時代の作曲家による隠れ名品 !

 降誕祭シーズン——それはキリスト教のカレンダーで言う、クリスマスから年末年始にかけての季節。このシーズンのヨーロッパでは、町のいたるところにある教会で合唱団が毎日のようにコンサートを開催し、クリスマスのムードがいやおうなしに高まる頃でもあります。こうした合唱団というのは、ヨーロッパではオーケストラが市民たちによっても続々と結成されるようになった19 世紀に、やはりオーケストラと同じように続々結成され、それにつれて合唱のための音楽も次々と生み出されては楽譜が出版されて、彼らによって買い求められ、合唱音楽の一大ブームというのが起こったものでした。
 クラシック音楽ファンからすれば、それはブラームスやブルックナー、ラインベルガーといったドイツ・ロマン派の、あるいはフォーレやグノー、20 世紀のデュリュフレ...といったフランス近代の合唱曲と分かちがたく結びついているところでしょうが、たとえばギターの世界にアグアドやソルの名曲があり、フルートの世界にゴベールやドップラーの小品が、コントラバスの世界にボッテジーニやクーセヴィツキーの協奏曲があるように、合唱の世界にも「合唱ならでは」のレパートリーがあるところ。
 ヨーロッパに冠たる音楽大国チェコの場合、それはドヴォルザークやヤナーチェクの無伴奏合唱曲であり、かつ(ドイツでいうバッハの受難曲やブラームスの大作のような)全者の『スターバト・マーテル』や『レクイエム』、後者の『グラゴル・ミサ』...といった、チェコを代表する作曲家たちによる管弦楽付きの大作もそうしたところに含まれるのでしょうが、同国随一の良心的な小規模レーベルArco Diva から突如届いたのは、そうした路線よりもむしろギターにおけるソルのグラン・ソロ、コントラバスにおけるクーセヴィツキーの協奏曲のような「合唱団ならいつかは手がける、チェコ合唱界の超・有名曲」——18 世紀末にリバという地元密着の作曲家が書いたのち、19 世紀の合唱ブームに乗ってチェコ中で愛唱されるようになった『降誕祭のチェコ荘厳ミサ』!クリスマスシーズンのチェコの教会では、必ずと言ってよいほどこの曲を披露する演奏会が行われるのだそうです。
 「ミサ」といいつつ、バッハの大きめのカンタータくらいの規模で、救世主イエスの誕生物語をオペラ風に喜ばしく歌い上げてゆく...という内容。素直に美しいローカル色たっぷり、しかし音楽はまさしく古典派で、さながらハイドンの立派なミサ曲を聴くかのような充実感!そうした音楽に聴こえるのも、これを演奏しているのがなんと、同レーベルでのドヴォルザーク『レクィエム』で「レコ芸特選」に輝いたチェコ随一の大御所、ペトル・フィアラ率いるブルノの合唱団——耳の肥えた聴衆の多い、実際に「歌う側」の人も多いチェコの合唱シーンで絶大な支持を集めるタッグの演奏だと、ローカルな秘曲がかくも充実した鑑賞体験をもたらすのか!と玄人ファンでも嬉しくなるに違いありません。お見逃しなく!

ARS MUSICI


AMCD233-174
(国内盤)
\2940
パッヘルベル オルガンのための作品集
 〜J.S.バッハの偉大な先駆者、ドイツ北方と南方とのあいだで〜

 ヨハン・パッヘルベル(1653〜1706)
  ①トッカータ ホ短調
  ②コラール前奏曲「汝にのみぞ、主イエス・キリストよ」
  ③コラール前奏曲「我ら唯一なる神を讃えん」
  ④コラール前奏曲「暁の星、なんと美しく」
  ⑤コラール前奏曲「バビロンの流れのほとりで」
  ⑥ファンタジア ト短調
  ⑦コラール前奏曲「神は我らの堅き砦」⑧チャコーナ ニ短調
  ⑨コラール「いと高き天には神のみにぞ栄光あれ」
  ⑩フーガニ短調 ⑪トッカータ ヘ長調
  ⑫コラール前奏曲「今ぞ我が魂、主を讃えん」
  ⑬トッカータ ハ短調 ⑭コラール・パルティータ「喜ばしからむ、わが心」
  ⑮コラール前奏曲「いと高き天より我は来れり」
  ⑯コラール前奏曲「我が魂は主を讃え」
  ⑰マニフィカト(我が魂は主を讃え)と第6旋法によるフーガ
  ⑱プレルディウム(前奏曲)ニ短調
ヨーゼフ・スライス(org/エアフルト聖ペトロ教会、1702年製)
 「パッヘルベルのカノン」の作者は、大バッハの一族とも深いかかわりのあった異才——
 この作曲家がドイツの「北」と「南」のスタイルに通じていなければ、大バッハの傑作群は生まれなかったかも?オルガニストたちの至宝たる傑作群を、名匠の演奏で、じっくりと。
 「パッヘルベルのカノン」「ゴセックのメヌエット」「バーバーのアダージョ」...、これらの曲名の前半部分が作曲家の名前であるということは、クラシックを聴かない方々には(いや、時には聴く方々でも…)意外にちゃんと認識されているとは限らないところ。それはパッヘルベルもゴセックもバーバーも、他の作品がほとんど知られていないからにほかなりません。
 しかし、ゴセックの数ある交響曲は確かに彼を「フランスのモーツァルト」と呼ぶにふさわしい仕上がりを誇っていますし、バーバーはあの忘れがたいヴァイオリン協奏曲や至高の声楽曲「ノックスヴィル1915 年の夏」をはじめ、無数の傑作とともにアメリカ音楽史に名を刻んだ人——そしてヨハン・パッヘルベルもまた、あの不滅の「カノン」以外の音楽にきわめて興味深い、古楽ファン垂涎の逸品がたくさん潜んでいる作曲家なのです。
 そんなパッヘルベルが生前最も得意としていたのは、バッハと同じく「オルガン」。パイプオルガンの名工が数多く活躍していたチューリンゲン地方のエアフルトに長く住んでいた彼は、生前オルガニスト=教会音楽の作曲家として大いに尊敬されており、バッハが幼い頃にはその年の離れた兄であるヨハン・クリストフ・バッハの先生もしていたのですが、そこでパッヘルベルが門弟に教え伝えたのが、イタリアやドイツ南方で17 世紀末当時に流行していた鍵盤芸術と、地元ドイツの、とくに北方の幻想様式(スティルス・ファンタスティクス)。
 プロテスタント教会に勤める身だったが故、コラール前奏曲もお手のものですが、即興的な軽妙さとずっしり重みを感じさせる古雅な調べとの交錯で織りなされるその音楽内容は、まさに17 世紀末のイタリア様式と、同じ頃ドイツに脈々と受け継がれてきた作曲形式、そしてドイツ北方で育まれた幻想様式...といった「南と北」の作曲様式があざやかにひとつの作品で併存する、センス抜群の仕上がりを誇る逸品ばかり。すでに大バッハの直接の師匠だったG.ベームの作品集で実績をあげている欧州随一の名匠スライスが、18 曲もの収録作品をそれぞれ見事に弾き分けてくれています。
 作品の持ち味をじっくり確かめながら、演奏者自身による入念な解説にも心踊らされるところ——使用楽器は17 世紀エアフルトで建造され、のちに移設された歴史的銘器。その響きも本盤の魅力です。
 AMCD232-174から番号変更

FUGALIBERA



MFUG595
(国内盤)
\2940
ダネル四重奏団
 ドビュッシー:

  ①弦楽四重奏曲 ト短調 作品10(1893)
  ②神聖な舞曲と世俗の舞曲(1903/p使用版)
  ③ピアノ三重奏曲 ト長調(1880)
  ④神聖な舞曲と世俗の舞曲(1903/hrp 使用版)
ダネル四重奏団
フランセット・バルトロメー(ハープ)
ダニエル・ブリュメンタール(ピアノ)
 フランス語圏ベルギーから世界へ——来日も多い銘団体が、フランス語話者が録音しない「あの傑作」を!玄妙な和音のうねりも思いのまま。初期の秘曲のひとつピアノ三重奏曲や「舞曲」はハープ版のみならず、ピアノ使用でも録音——記念年ならではの充実室内楽!

 ドビュッシー記念年も佳境にさしかかり、ついにインマゼール&アニマ・エテルナ・ブリュッヘの「古楽器による管弦楽作品集」(ZZT313)もめでたく発売あいなったところ。
 しかし、記念年で嬉しいのは、思わぬ秘曲や、名曲なのにめったに録音されない作品にあらためて光が当たること。
 ベルギーのブリュッセルに本拠を置き、欧州随一の超実力派奏者たちの充実した企画をじっくりリリースしつづけてきたFuga Libera レーベルが新たに世に問うドビュッシー・アルバムは、フランス語圏ベルギーから世界をまたにかけて大活躍、日本にも来日数多のダネル四重奏団と、秘曲発掘から歌曲伴奏・室内楽...ときわめて多岐にわたって活躍するベルギー随一のピアニスト、ダニエル・ブリュメンタールのほか、輸入盤の世界ではすでに何度かユニークなアルバムもリリースしているハープ奏者フランセット・バルトロメーをゲストに迎えて送る、傑作・秘曲を織り交ぜての充実作!
 何が嬉しいといって、まずはどうしたものかフランス語圏の団体がほとんど新録音を出さない、あのドビュッシーの傑作四重奏曲が彼らの息をのむような名演で聴けること——ダネル四重奏団はベルギー・フランス語共同体だけでなく、なぜかフランス文化省からも公式にサポートを受けているほど、欧州フランス語圏にとってなくてはならないグループであるうえ、現代音楽からショスタコーヴィチ(前代理店時代、FugaLibera で制作したショスタコーヴィチ四重奏曲全集が大きな成功となりました)、王道レパートリー...となんでもこなせる多元的なセンスを誇る団体。堂々たる風格もさることながら、4人の息がぴったり合ったアンサンブルで、フランス語話者ならではの感性をふわり漂わせた玄妙な和声の動きを追っていると、ああやはりドビュッシー初期だ、フランス語詩マニアの文学青年が綴った音楽だ...といたるところでひしひしと感じさせられるのです!
 さらに嬉しいことに、ほとんど見過ごされて存在さえめったに知られていない?まれにしか録音されない最初期の「ピアノ三重奏曲」を、同団体のヴァイオリンとチェロに超実力派ブリュメンタールが加わった編成で聴けるほか、ブリュメンタールはハープ作品の粋ともいうべき「神聖な舞曲と世俗の舞曲」のハープ・パートをピアノに代えた版でも精妙な作品解釈をみせ、ハープの音色でぼやけがちな「作品そのものの魅力」へと私たちを立ち返らせてくれるのです。
 しかしこの曲、やはりあのハープの眩惑的な響きがあってこそ...という方のために、こちらも現代音楽まで広範にこなすフランス語圏ベルギーの俊才フランセット・バルトロメーが参加しての「オリジナル版」でも名演が聴ける憎い作り!晩年の三大ソナタにばかり気がゆきがちなドビュッシー室内楽ですが、初期の歩みこそ重要なのだ!と改めて感じる、奏者の適性抜群の逸品です。
 


MFUG596
(国内盤)
\2940
アルミンク指揮&ベルギー王立リエージュ・フィル
 フランク(1822〜1890):
  1. 交響曲 ニ短調(1888)
  2. 交響詩「山の上で聞こえるのは」(1846)
  3. バレエ組曲「フルダ」(1879〜1885)
クリスティアン・アルミンク指揮
ベルギー王立リエージュ・フィルハーモニー管
 今シーズンで「ベルギー」といえば...日本の音楽ファンにとって最も旬な話題は、このマエストロに!
 リエージュ・フィルの新たな音楽監督に就任早々、この国にとって最も大切な作曲家の「代表作」と「知られざる境地」の魅力をあざやかに探りあてる。同郷人たちの名演、必聴です!
 
 新日本フィル音楽監督として活躍を続け、今や日本でも確たる存在感とともに実力が認められているウィーン生まれのマエストロ、クリスティアン・アルミンク! この若き天才指揮者が今季から芸術監督に就任、新たな歩みをともにすることとなったのは、フランス語圏ベルギー随一の古都リエージュに本拠をおく老舗楽団、リエージュ・フィル! 創設50 周年を迎えた一昨年より「王立 Royale」を名乗れるようになり(このため略称もOPL からOPRL となりました)、オランダ語圏を代表するフランデレン・フィル(ロイヤル・フランダース・フィル)や首都ブリュッセルのベルギー国立管などとともに、この芸術大国屈指の名楽団としていっそう目立った活躍をするようになりました。
 そして音盤シーンでもアルミンクの就任早々、彼ならではの選曲でFugaLibera レーベルに録音してくれたのは…ベルギーが世界に誇る音楽史上の巨匠、フランクの充実作品集!日本の音盤シーンでもLP 初期から隠れファンに事欠かない、あの渦巻く浪漫情緒をひたすら高雅な調べに昇華させた傑作交響曲を軸に、ほとんど聴く機会のない2作の重要曲をカップリングして私たちの視野を広げてくれるあたり、いかにもアルミンクらしいセンスの良さを感じずにはおれません。
 交響曲では、リエージュ・フィルの繊細にして統一感あふれる弦セクションをすっきり操りながら、管の美質もあざやかに浮かび上がらせてみせる、奥に熱いものを感じさせながら何とノーブルな力強さ!そして「秘曲」のひとつめは、フランクという作曲家がいかにキャリアの長い人だったかを改めて立証する傑作、初期の交響詩「山の上で聞こえてくるのは」——そう、このタイトルは実は「交響詩の父」リストが最初に書いた第1の交響詩と同じ。
 実は彼らは10ほど年は違えど、若い頃には交流もあり、文豪ユーゴーの詩(本作のインスピレーション源)について意見交換もしていたとかで、その上なんと作品を仕上げたのはフランクの方が先。つまりこちらが正真正銘「世界初の交響詩」と目しうる作品なのです。他方「フルダ」はフランス近代音楽ファン、オペラ・ファンには是非一度聴きたい!とお感じの方がきっと多いであろう、まず上演される機会のないフランク唯一の大作オペラ『フルダ』からの舞曲楽章を集めた組曲——アルミンクのスマートなタクト、リエージュ・フィルの共感あふれる精悍かつ気品ただよう音作りが、この生粋のロマン派歌劇(フランクの管弦楽作品には、本当に「ロマン派」という言葉が正しい意味でよく似合うと思うのです...)の美質を端的に伝えてくれるのです。19世紀末、名手イザイの主導で開館した本拠サル・フィラルモニークでの収録、エンジニアはAlpha でおなじみのH.デショー&A.ブロンディオ...と聞けば、オーディオ的にも申し分ないことがおわかりいただけるかと。

GRAMOLA



GRML98927
(国内盤)
\2940
パウル・グルダ(ピアノ)、20年前の異色アルバム復活
 ハイドン × ピアノ × ロマ
  〜ハイドンの音楽に息づくハンガリーのロマ音楽〜

《作曲者・編曲者》
 ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809 jh)伝承曲(t)
 フランツ・パウル・リーグラー(18 世紀末に活躍 fpr)
 ヤーノシュ・ビハリ(1764〜1827 jb)
 パウル・グルダ(pg)
 ロボ・ガシュパル(rg)
【収録作品】
 ①ハンガリー風ロンド(jh/ピアノ協奏曲 ニ長調 Hob.III-11 より)
 ②長い長い道を歩いていた(t/rg)
 ③ロンド〜ロマ風に(jh/rg/ピアノ三重奏曲 ト長調 Hob.XV-25 より)
 ④ロンド〜原作通り(jh/ピアノ三重奏曲 ト長調Hob.XV-25 より)
 ⑤ピアノのためのモデラートとアレグロ(1790)(t/pfr)
 ⑥ピアノのためのモデラートとアレグロ(1790)(t/rg)
 ⑦アレグロ・モデラート(jh/弦楽四重奏曲 ト長調 Hob.III-81 より)
 ⑧チャルダーシュ「無一文になったとき」(jb)
 ⑨アダージョ( jh/ ピアノ三重奏曲 変イ長調Hob.XV-14 より)
 ⑩ロマの心(t/rg)
 ⑪ガランタ地方の踊りを四つ(1790 頃)(t/pg)
 ⑫ほうきを持って踊る(t/rg)
 ⑬ロンド・プレスト(jh/弦楽四重奏曲 ハ長調 Hob.III-39「鳥」より)
 ⑭ロマの嘆き(t/rg)
 ⑮フィナーレのメドレー(jh/pg)
 ⑯プレスト(jh/ピアノ三重奏曲 ト短調 Hob.XV-1 より)
 ⑰ビストリツァに行ってきた(t/rg)
パウル・グルダ(ピアノ)
ロボ・ガシュパル楽団
 異才パウル・グルダがひそかに録音していた「かけがえのないアルバム」が突如、再浮上!
 ウィーンの中央に拠点を置くGramola レーベル発、最新コメントを交えての解説も充実——
 これぞ「一聴に如かず」。ピアノの起源は民俗音楽だった?痛快に通念を覆すスリリングな1枚!

 マルコ・ビズリー&アッコルドーネがイタリアの伝統音楽とイタリア・バロックをむすびつけ、きわめてユニークな世界を描き出し、ヴァンサン・デュメストルとル・ポエム・アルモニークに代表されるフランス勢がフランス各地の民謡を古楽解釈で演奏しているとすれば、実は「音楽の都」ウィーンの音楽家たちは、そうしたラテン系諸国の古楽シーンが盛り上がりをみせる遥か前から、土地に根ざした伝統音楽とウィーン古典派の芸術をあざやかにかけあわせ、彼らにしかできない音楽を綴っていました——
 といっても、ここでご紹介するのはクレメンス・クラウスやウィリー・ボスコフスキーの指揮する「ウィーンの魂をもったワルツ」とは、また違います。
 イヴァン・フィッシャーやライナー・キュッヒルが提唱する「中欧のセンスがなくては古典派は弾けない」というのともまた別。仕掛け人は、オーストリアきっての鬼才フリードリヒ・グルダの子、父親に劣らず異色のクロスオーヴァーもいとわぬ稀代のパフォーマー、パウル・グルダ!彼が今から20年ほど前、すでになくなってしまった或るドイツの小規模レーベルで制作していた『ロマ風ハイドン』というアルバムをGramola レーベルが復活させたのが、ここに紹介するアイテムなのですが、当時は流通事情もよくなかったため埋もれたままになっていました。
 しかし、これはパウル・グルダの活動歴の初期を飾るきわめて注目度の高いパフォーマンスの音盤化——パウル・グルダを個人的に知る方なら、きっと耳にしたことがあるはず。それはいつもの現代ピアノをそのまま使い、ハイドンの活躍地だったハンガリー西部のロマ(ジプシー)の弦楽器奏者たちと共演するという、一見「古楽」とは無縁の企画。
 しかしピアノという楽器は、実は「弦をたたいて音を出す」という根本的なしくみの部分で、あのハンガリーのロマ音楽で使われるハックブレットとかツィンバロンと呼ばれる民俗楽器に発明段階でたいへん多くを負っていた...というのが、本盤の面白さの鍵なのです。パウル・グルダは(時にロマ音楽風の楽章も多々ある)ハイドン作品のピアノ・パートを、ちょっと勢いよく普通にピアノで弾いている。
 しかしこれにロマのミュージシャンたちが、彼らにとっての普通のやり方、つまり色濃く民俗的な弾き方で他の弦楽器パートを弾いたり、彼らなりのアレンジで関連する民俗音楽とハイドン作品を交互に弾いたりすると…何と不思議!明らかにウィーン古典派だったと思っていたハイドンが、驚くほど民俗的な響きになり、それでいてまったく同時に「オーセンティックなハイドン」らしさも完全に保たれているのです...!
 明らかにクラシックの現代ピアノそのものなのに、同時にツィンバロンそっくりにも聴こえてくるパウル・グルダのあざとい至芸…一度聴いたら、クセになると思います。
 


GRML98952
(国内盤)
\2940
またもやグルジアから天才登場
 ラフマニノフ、リスト
  ファウストのように——ふたつの超絶技巧ソナタ

 ラフマニノフ(1873〜1943):
  1. ピアノ・ソナタ 第1番 ニ短調 op.28
 リスト(1811〜1886):
  2. ピアノ・ソナタ ロ短調(1852)
ケテヴァン・セパシヴィリ (p)
 超絶技巧だけでなく、圧倒的な音楽性と洞察力なくしては、この名演は成り立たない!
 近年ますます異才が続出しているグルジアから、とてつもないピアニストが現れた——
 録音少なきラフマニノフの第1ソナタ、そしてリストのロ短調。隠れたテーマは「ファウスト」!

 ロシア・ピアニズムの系譜に連なる異才エリソ・ヴィルサラーゼやアレクサンドル・トラーゼ(先日Pan Classicsからパーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト響とのショスタコーヴィチ協奏曲集をリリース(PC10261)、とてつもない技巧的名演で「レコ芸」特選に輝きました)を輩出した旧ソ連構成国、グルジア——黒海からコーカサス山塊にかけて広がる、独自の文字と言語を持つ自然豊かなこの小国は、近年これまでにもまして異能の名手を続々と輩出しているようです。
 ピアノのカティア・ブニアティシヴィリやヴァイオリンのリサ・バティアシヴィリ...そしてここにまた思わぬ才人が、グルジアから音楽大国オーストリアに移り着実に腕を磨いていたことを世界に知らしめる傑作盤をリリースしてきました。
 ケテヴァン・セパシヴィリ——首都トビリシで4歳の頃から英才教育音楽学校(!)で徹底的に磨きあげられ、ネイガウスの系譜をひくロシア・ピアニズムの異才タマル・プハカーゼから持てる全てを注ぎ込まれたという彼女の演奏は、とにかく1音目から強烈な印象をもって聴き手の耳と心とをぐいと引き寄せずにはおかない、すさまじい求心力を放ってやみません。
 技巧はもはや一点の曇りもなく、そのうえ雄大な曲構想をしかと見据えながら細部までおろそかにしない作品把握力、洞察力の鋭さたるや、群を抜いて...という言葉をプロのあいだでさえ使わなくてはならないほどの頼もしさにあふれているのです!
 しかも、そんな彼女がGramola からリリースされる最初のアルバムに注ぎ込んだアイデアは、ゲーテの戯曲「ファウスト」との関連をそこはかとなく感じさせる二つの傑作を弾こう、というもの——そうして選ばれたのが、よりによって「ピアノの貴公子」ことリストの傑作ソナタ(!)を「カップリング曲」であると思わせるほど、あまりに演奏が難しく曲構想も雄大すぎるラフマニノフの秘曲「第1 ソナタ」!この滅多に演奏されない傑作が間違いなく傑作だったということを、彼女は回りすぎるほどの指まわりで、圧倒的にパワフルな和音からかそけきピアニシモの旋律まで自由自在、まさに完璧な曲構造把握のもとダイナミックに織り上げてゆくのです!そのとてつもない個性と痛烈なまでに高い演奏能力には、音楽の都ウィーンの名手たちでさえ舌を巻き、かの巨匠バドゥラ=スコダも「ラフマニノフの第1 ソナタという不当にも見過ごされている作品を、かくも素晴しい演奏で聴けるのか」と嬉しい興奮隠しきれず、といった言葉を贈っています。
 対するリストのロ短調ソナタでも、迫力一辺倒では伝わらないこの曲の多元的魅力をダイナミズム豊かに浮き彫りにするその手腕は、息をのまんばかりに聴き手を興奮させずにはおかないことでしょう!誘惑、魅了、悪魔性、救済——両ソナタはゲーテの戯曲『ファウスト』を思わせる点で共通している、とはセパシヴィリ自身の言葉。文学的センスにも恵まれたこのピアニスト自身も言葉を寄せ、音楽学者クリスティアン・ハイントルが実に詩情豊かな言葉でまとめている解説文(全訳付)も、改めて読み耽るに足る内容。ピアノの魅力を十全に解き明かしてくれる傑作盤の登場です!

NCA



NCA60252
(国内盤)
\2940
「2台ピアノ」による『春の祭典』、バルトークもすごい!
 ストラヴィンスキー(1882〜1971)
  春の祭典 〜2台のピアノのための
 バルトーク(1881〜1945)
  2 台のピアノと打楽器のためのソナタ
フランク=インモ・ツィヒナー、
フランク・グートシュミット(p)
ドミニク・エルツェ、
トルステン・シェーンフェルト(perc)
 バーバリズムの真骨頂は、虚飾を配した「2台ピアノ」の響きからこそ立ちのぼる——スコアを精妙になぞってゆくかのような解釈から、静々と忍び寄る迫力、沸点、才気...!
 バイロイト祝祭劇場はじめ、超一流ドイツ劇場で活躍する打楽器奏者たちの妙技も圧巻!

 「2台ピアノ」「連弾」——この種のジャンルのディスクを見ると、個人的にはいつも「きっと名盤に違いない」と半ば反射的に思ってしまうのですが、実はこの種の「ピアニストふたりでのアルバム」というものは、かなりの高確率で企画からして周到でユニーク、そして演奏内容も(なにしろ、ひとりでも相当な才人であることが少なくない「CD 録音をするほどのピアニスト」が二人もいるわけですから)ほとんどの場合は名演、企画力を幾倍にも引き立てる仕上がりになっているものです。
 そうしたわけで、基本的に古楽路線で長年やってきたのに「時々出す現代楽器ものはたいてい名盤」のNCAレーベルが新たに送り出してきたこの新譜を見たときには、DigiPack ジャケットの只者ではない感じからして期待値がぐっと高まったもの——そしてお察しの通り、演奏内容は実にユニークなものでした。それは20 世紀初頭、19 世紀以前の音楽とはまったく違う、ほとんど異質と言ってもよいくらい斬新な要素がたっぷり盛り込まれ、パリでの世界初演時(実は来年2013 年が初演100 周年)にはたいへんな騒動まで巻き起こしたストラヴィンスキーの傑作バレエ音楽「春の祭典」。初演から10 年ほどが過ぎた頃、1920 年代には名門ブージー&ホーク楽譜出版社から、この管弦楽法の通念を一新した問題作をピアノ2台で弾けるようにした楽譜が刊行されており、本盤はこの版の演奏が最も大きな割合を占めています。
 ベルリンのハンス・アイスラー音楽院で同窓だった縁からデュオ活動を続けてきたドイツの俊才ふたり(ふだんからシュトックハウゼンやハルトマンなど、20 世紀以降の現代音楽をよく演奏しています)は、いたずらにバーバリム的欲求にまかせて楽譜を勢い弾き荒らすのではなく、音符のひとつひとつの意味を解き明かすような精妙な演奏解釈でこの傑作に真っ向から取り組み、みずみずしくも透明感にあふれた音色でめざましい音響空間をつくりだしてゆきます。これが「春の祭典」の世界の魅力を実にうまくあぶりだす結果に…いたずらに音数の多いオーケストラでの音色が入り乱れる状況を脱し、ピアノだけで奏でられることによって、ストラヴィンスキーの思わぬ旋律美が浮き彫りになり、緩急のダイナミズムや破壊的な前衛性といったものが本当はどこに潜んでいたのかもよくわかる結果に。
 全曲釣り込まれるように聴き通したあとの充実感たるや、それこそオーケストラでこの曲を聴いたときよりもずっと深いかもしれません。
 そしてカップリング曲は、同じく20 世紀初頭に音楽表現のあり方を刷新した異才のひとりバルトークの、あの晩年の傑作ソナタ——打楽器奏者ふたりはドレスデン国立歌劇場やベルリン国立歌劇場、バイロイト祝祭管弦楽団でソロ奏者をつとめる超・実力派!ピアノ2台というオーケストラとの共演でも、その完璧な技量やダイナミックな感性は十全に活かされ、作品の充実度を幾倍にも高めてくれているようです。
 決してゴージャスな残響をとらず、ほどよい近さと残響で直接音の魅力をストレートに伝えるエンジニアリングも好感度大。がっちり硬派な充実演奏、お見逃しなく!
 


NCA60254
(国内盤)
\2940
〜19世紀当時の楽器による〜
リスト:
 1. 交響詩第2番「タッソ、悲哀と勝利」
 2. 葬送というタッソの勝利
  〜「タッソ、悲哀と勝利」へのエピローグ
 3. 交響詩第8番「英雄の葬送」
 4. 交響詩第12 番「理想」
マルティン・ハーゼルベック指揮
ウィーン・アカデミー管弦楽団(古楽器使用)
 シリーズ大詰め。「リスト時代のヴァイマール宮廷楽団の再現」から見えてきた、 リストの革新的な管弦楽語法の真価...解説も毎回充実、全曲を通して知ることでさらに深まる、その面白さ!
 「タッソ、悲哀と勝利」では、同作を交響曲レヴェルに拡充する終章も。秘曲2作も絶妙の出来!
 先日第3 巻が出たばかり、前2巻はどちらもすでに『レコード芸術』誌で準特選に輝いた「古楽器によるリスト管弦楽作品全集」、いよいよ大詰めになってきました。
 これまで「リストはピアノ曲ばかり書いていて管弦楽法については素人。曲のスケッチを仕上げると、あとは門弟のコンラーディやラフに管弦楽編曲を任せていた」などとまことしやかに語られ、生前からピアニストとしての人気へのやっかみ半分に「リストの管弦楽曲は斬新すぎるというよりむしろ、何もわかっていない」というような言われ方で軽視されつづけてきたのが、リストの管弦楽を使った大作——『レ・プレリュード』がナチス・ドイツのニュース番組のテーマ曲に使われたことも不運の片棒をかつぎ、20 世紀も末頃になるまで欧州の一流楽団もめったにプログラムでとりあげなかったため、多くの人はそれらの真価を実際に体感した経験もなしに、なんとなくリスト管弦楽を軽視する風潮をうのみにしてきたとか...しかし(前2作への高評価が立証しているとおり)ハーゼルベック&ウィーン・アカデミーの徹底的な時代検証にもとづく古楽器演奏は、それがたんなる“風評被害”だったことを強く印象づけるものとなっています。
 19 世紀半ば、リストがこれらの管弦楽作品を作曲した1850 年代頃の実情を徹底的に調査、その当時の現状をリストがどう覆していったのかを、ヴァイマール宮廷楽団の帳簿や当時の人々の証言、現存する古楽器の作例などから周到に導き出し、さらにはヴァイマール宮廷劇場の広さや残響にいたるまで音響条件をことごとく再現すべく作られたライディングのフランツ・リスト・センターで録音は行われており、強烈なアクセントをみごと説得力ある表現に変えてしまうハーゼルベック随一の力強い音楽性とあいまって、リストが考えていたとおりの「当時のまま」の管弦楽の響きがここに甦ります。
 この第4 弾でとくに注目すべきは、半ば交響曲のようなかたちで仕上げられていた最初の交響詩「山の上で聞きしこと」に続く音楽史上第2 のリストの交響詩『タッソ、悲哀と勝利』——ルネサンス期のイタリアを代表する叙事詩作家の生き様をロマンティックに描いたこの交響詩、もともと序曲として構想されていたにしては妙に長いうえ、後年リストはさらなる終章「葬送というタッソの勝利」をその末尾に添えたのですが、ハーゼルベックはこの章までも収録、19 世紀後半にかけてのリストの創意とオーケストラ芸術の変遷も見て取れるようにしてくれているのです。
 他の2曲は滅多に演奏される機会のない秘曲、しかしコントラスト豊かな解釈にはまるで手抜きがありません!磨き抜かれた解釈の隅々を成り立たせている使用楽器へのこだわりは、楽団規模(第1 弾)、金管(第2 弾)、木管(第3 弾)と来て、今度の第4 巻では弦楽器と打楽器について周到に解説——シリーズ全体を通じ、この解説(全訳付)もまた常に見逃せない内容なのです!


輸入盤はすでにお知らせ済み

NCA 60254
\2000→\1890
リスト:管弦楽曲集第3弾
 交響詩「タッソー、悲哀と勝利」  2011/3/25-27
 タッソーの輝かしき葬送   2011/10/24
 交響詩「英雄の嘆き」  2011/3/25-27
 交響詩「理想」  2011/3/25-27
マルティン・ハーゼルベック指揮
ウィーン・アカデミー



第1&2弾

NCA 60246
\2000→\1890
ハーゼルベック&ウィーン・アカデミーによる
 リスト
第2弾
リスト:
 交響詩「前奏曲」、
 交響詩「オルフェウス」、
 交響詩「山上にて聞きしこと」
マルティン・ハーゼルベック指揮
ウィーン・アカデミー

NCA60234
¥2000→\1890
ハーゼルベック&ウィーン・アカデミーによる
 リスト第1弾

リスト:
 ダンテ交響曲
 システィーナ礼拝堂を想って
マルティン・ハーゼルベック指揮
ウィーン・アカデミー
シネ・ノミネ合唱団



PAN


JS Bach: Violin Concertos BWV1041-1043
PC10277
(国内盤2枚組・訳詞付)
\4200
Symphonia の傑作盤ふたつが2枚組で登場!
 レツボール/ペルゴレージ→バッハ

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750):

 1. ヴァイオリン独奏、2本のリコーダー、 弦楽合奏と通奏低音のための協奏曲 ヘ長調
    BWV1049(ブランデンブルク協奏曲 第4番)
 2. 2挺のヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
 3. ヴァイオリン協奏曲第2 番 ホ長調 BWV1042
 4. ヴァイオリン協奏曲第1 番 イ短調 BWV1041

 5. 詩編第51編「拭ってください、主よ、わが背きの罪を」
    BWV1083 (ペルゴレージ『スターバト・マーテル』による)
 6. カンタータ第182 番「ようこそ天上の王」
グナール・レツボール(ヴァイオリン&指揮)
ケース・ブッケ、
ミヒャエル・オーマン(bfl)
ダニエル・ゼペック(vn)
アルス・アンティクヮ・アウストリア(古楽器使用)
聖フローリアン少年聖歌隊、
ケプラー・コンソート(合唱)
 活動休止したイタリア古楽界最高峰のレーベル、Symphonia の音源復活が相次いでいますが、これら傑作盤ふたつが2枚組で登場してくれようとは・・・
 知る人ぞ知る声楽曲に、誰もがよく知るヴァイオリン協奏曲。「真のバッハ像」に迫る、筋金入りの古楽盤。

 レツボールとそのアンサンブルがここで披露してくれるのは「超・有名作品の知られざる真相」と、「意外な編曲作品」、そして「初期の大作」。
 事実上ヴァイオリンの独奏協奏曲になる「ブランデンブルク協奏曲第4番」での圧巻の超絶技巧ソロに始まり、二重協奏曲を含む有名な協奏曲3作では各パート1〜2名程度の極少編成が最高の結果を生み(リコーダーには“神様”ブリュッヘンの片腕でもあった異才ケース・ブッケと新世代の雄・M.オーマン...そして第2ヴァイオリンはアルカントSQ のリーダーD.ゼペック)、これだけでも本盤を手元においておく価値は充分。
 そして2枚目のCDには、知る人ぞ知る異色の編曲作品が。
 晩年のバッハが、ペルゴレージの『スターバト・マーテル』に新しい歌詞をつけ、楽譜に多少の手を入れて換骨奪胎し完成させた「詩編51編」を、レツボールは入念な作品解釈のもと、それ自体存在意義のある立派な「作品」として仕上げてみせている。初期の人気作となったカンタータBWV182での堅固な解釈もそうですが、天性の洞察力と音楽性のもと地道な古楽研究をしてきたレツボールでなくては、このような説得力ある響きにはそう辿りつけるものではありません。


輸入盤もご紹介しておきます
PC10277
輸入盤
日本語解説無し
(2CD)
¥4400→¥3590
ヨハン・セバスティアン・バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
 ヴァイオリン協奏曲第1番 BWV.1041
 ヴァイオリン協奏曲第2番 BWV.1042
 2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV.1043
 ブランデンブルク協奏曲第4番 BWV.1049
グナー・レツボア指揮
アルス・アンティクァ・アウストリア
 グナー・レツボア(第1Vn独奏)
 ダニエル・セペク(第2Vn独奏)
 ケース・ブッケ、
 ミヒャエル・オーマン(リコーダー)
 ヨハンナ・ガメリート、
 トーマス・ビーク、
 アウグスト・コトバウアー、
 クリストフ・ビッツィンガー(Vn)
 ペーター・アイグナー(Va)
 C.ブルスマ(Vc)
 ロベルト・センシ(Cb)
 N.キルヒナー(Cemb、Org)
ヨハン・セバスティアン・バッハ:
 詩篇51(ペルゴレージのスタバト・マーテルの音楽による)
 カンタータ第182番
  「天の王よ、よくぞ来ませり」BWV.182
グナー・レツボア指揮
アルス・アンティクァ・アウストリア
ザンクト・フロリアン少年合唱団
ケプラー・コンソート
バッハの珍曲「詩篇51」のピリオド楽器を用いた本格的なものはこれが初めてであった。
 


PC10271
(国内盤)
\2940
ボッテジーニ コントラバスとピアノによる傑作さまざま
 〜19世紀イタリアの3弦コントラバス、
 超絶技巧とカンタービレ〜

ジョヴァンニ・ボッテジーニ(1821〜1889):
 ①パイジェッロのアリア「うつろな心」*と、
   その主題による変奏曲
 ②ベッリーニの歌劇『夢遊病の女』による幻想曲
 ③フランス歌曲「愛されている唇は」*
 ④エレジア(悲歌)⑤タランテッラ
 ⑥アリア「すべてこの世の」*
 ⑦ベッリーニの歌劇『ノルマ』による幻想曲
 ⑧レヴリ(夢想)
*は解説に歌詞日本語訳付
アルベルト・ロ・ガット(19世紀イタリアの3弦コントラバス)
ルーカ・アントニオッティ (エラール・ピアノ1871年製オリジナル)
*エマヌエーラ・ガッリ(メゾソプラノ)
 コントラバス好きなら、誰もが待ち望んでいたはず——「3弦バスでのボッテジーニ」を、ボッテジーニと同郷のイタリア人奏者が、イタリア19世紀の銘器でたっぷり味あわせてくれる!
 「コントラバス=野趣」の通念を易々と覆すノーブルさ。伴奏も古楽器、名花ガッリの歌も絶妙。
 本日届きたてホヤホヤの新譜です——昨今のPan Classics にしては珍しく前情報いっさいなしで突然、他のサンプルに交じってしれっと入ってきました。あまりにインパクトが強かったので、急ぎ情報をお届けします。
 完全新録音、コントラバスという楽器に興味を持った方が必ず一度は通る「コントラバスのパガニーニ」、19 世紀イタリア出身の世界的名手=大指揮者=作曲家ジョヴァンニ・ボッテジーニの作品集…を、古楽器で!というより、そもそもコントラバスという楽器はもともとヴィオラ・ダ・ガンバ属とヴァイオリン属どちらの最低音楽器でもあった不思議な歴史をもつ楽器なこともあり、現在ふつうのオーケストラで使われているものさえある意味古楽器が普通に混ざり込んでいるようなところもあるのですが(そもそも弦の数からして4〜5本(まれに6本や3本)でいろいろ)、それでもめったに見かけないのが、超絶技巧のヴィルトゥオーゾたちが活躍した19 世紀にはソリストのための楽器として重宝がられていたことが知られているはずの「3弦コントラバス」。
 コントラバスという楽器がチェロのように艶やかなカンタービレを奏でられ、ヴァイオリンのように敏捷なパッセージで人を圧倒することも不可能ではない!と実演で示したスーパープレイヤーのボッテジーニ自身、有名な肖像写真では3弦バスと一緒に映っていたりするのですが、この楽器を使いこなそうという意識になるプレイヤーと、実際にボッテジーニを弾きこなせるくらい腕がたつプレイヤー(これは録音物を出そうという人となると、もう世界的に数人レベルまで絞り込まれるのでは?)というのがなかなか重ならなかったのか、録音の世界ではついぞ見かけないように思います。そこへ登場したのがこのアルバム!
 2003 年までミラノのジュゼッペ・ヴェルディ響(!)やイタリア・フィルといった重要なオーケストラの首席奏者を歴任してきたトリノ生まれのイタリア人奏者アルベルト・ロ・ガットは、ラ・ヴェネシアーナやモード・アンティクオ、ラ・リゾナンツァ(古楽ファン垂涎の名前が並びます…!)といった世界に冠たるイタリア最前線の古楽バンドでも活躍を続けるかたわら、過去10 年ほどのあいだ着々とこのソロ企画を練り上げ練習を重ねていたとのこと。ボッテジーニが指揮者として『アイーダ』のカイロ初演を振った年、1871 年にパリで作られたオリジナルのエラール・ピアノをバックに奏でられる3 弦バスの響きは、楽音というよりは風圧のパワーで聴き手を圧倒するようなところもある現代楽器コントラバスでのボッテジーニ演奏とは明らかに違う、あでやかでしなやか、羊腸(ガット)弦の味わいと上品な倍音をたっぷり感じさせてくれるノーブルな演奏に
 ——超絶技巧はより軽やか、カンタービレはよりしなやか、コントラバスは確かにヴィオラ・ダ・ガンバの子孫だったということを強く印象づけてやみません。
 異才集団ラ・ヴェネシアーナの名花E.ガッリがうたう声楽曲も「ベル・カントの真相」を伝えて雰囲気満点。解説充実全訳付、低音ファン必携の異色盤なのです!

PHI



LPH007
(国内盤・訳詞付)
\2940
フィリップ・ヘレヴェッヘ、phiでの新作はベートーヴェン!
 ベートーヴェン:
  荘厳ミサ曲 ニ短調(ミサ・ソレムニス)op.123
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼ管弦楽団(古楽器使用)、
コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
マルリス・ペーターセン(S)
ゲアヒルト・ロンベルガー(C-T)
ベンジャミン・ヒューレット(T)
デイヴィッド・ウィルスン=ジョンスン(Br)
アレッサンドロ・モッチア(vn独奏)
 バッハ新作で盛り上がっている真っ最中ではございますが、こんな大型新譜の情報を——
 名匠ヘレヴェッヘ、交響曲全集の経験をへて今、満を持して古楽器オーケストラと稀有の一体感で臨んだ楽聖最後の大作『ミサ・ソレムニス』——は、あまりにも自然でありながら、同時に荘厳・壮大・深遠...!年末へ向けての痛烈なリリースが続きます。
 古楽大国ベルギーを代表する天才指揮者フィリップ・ヘレヴェッヘの自主制作レーベルPhi(フィー)からのさらなる新譜は、なんと楽聖ベートーヴェン最後の大作!ちょうど先週末から出荷となった『バッハという、新しい聖歌隊監督』(LPH006)がさっそく痛快な売れ行きをみせはじめているところ、このリリースが続くことで指揮者自体の認知度も高まろうというもので——ご存知の通り、ヘレヴェッヘはこの『ミサ・ソレムニス』をすでに1 度HarmoniaMundi France で録音しているのですが、それはすでに15 年以上前のこと。この間、彼は同じベルギーを代表する現代楽器オーケストラの一つ、ロイヤル・フランダース・フィル(王立フランデレン・フィル)とともにPentatone レーベルでベートーヴェンの交響曲全曲録音を完成させているのが印象的な出来事(他にもNaive でコパチンスカヤとヴァイオリン協奏曲も録音していましたね)。
 今回の新録音はつまり、この交響曲録音でのさまざまな経験をふまえたうえで「やはり古楽器オーケストラと録音したい!」との考えから、15 年前の録音で果たせなかったこと・新しく発見したことなども含め、ヘレヴェッヘがいま満を持して臨んだ決定的録音という位置づけになってきます。私たち「送り手側」にとって非常に嬉しいのは、ヘレヴェッヘは今年初頭にバッハの『ミサ曲 ロ短調』の実に3回目となる新録音をPhi でリリースしたのですが、ご存知の通り、このリリースは(同じ楽団との同曲3回目の録音にもかかわらず!)いまだに止まらない売れ行きをみせており、日本の明敏な古楽ファンがいかに「ヘレヴェッヘの“いま”」に興味を示しているかが立証されたかたちになった...というまだ新鮮な実績があがっていること。
 そして到着したサンプルを聴いてみて、そのような経験が年末にもう一度くりかえされるであろうことを確信しました——そう!現代楽器ではなかなか体現できない「理想的な音量バランス」を、ヘレヴェッヘは合唱団と古楽器による管弦楽の員数配置で、そして絶対的な信頼関係で結ばれているこのシャンゼリゼ管弦楽団&コレギウム・ヴォカーレ・ヘントとの細やかなコラボレーションで、あざやかに実現してみせているのです!まるで「楽器群まで取り込んだア・カペラ」であるかのように、なめらかな一体感で呼吸する「キリエ」に始まり、壮麗な「グローリア」や「クレード」でも爆発的なインスピレーションは決して作品そのものの宇宙的調和を乱さず、コントラスト鮮やかで清涼な「サンクトゥス」へ、そして、鋭い刃がやさしく、深く、静かに心の奥底へと刺さってゆくような、至高の「アニュス・デイ」へ...充実解説の全訳に加え、現在日本独占にヘレヴェッヘ氏自身への小インタビューも計画中(解説封入予定)。

RAMEE



RAM1105
(国内盤)
\2940
〜ルイ王朝のヴィオールとクラヴサン さまざまな小品の世界〜
 ジャン=アンリ・ダングルベール(1635〜1691)
 マラン・マレ(1656〜1728)
 アントワーヌ・フォルクレ(1671〜1745)
 シャルル・ドレ(1710〜1755)
  ①クラヴサンのためのプレリュード 〜自筆譜より(ダングルベール)
  ②組曲 ハ長調〜第3曲集(1711)より(マレ)
  ③マラン・マレ1世のトンボー(ドレ)
  ④クラヴサンのためのプレリュード ト長調 〜『クラヴサン曲集』(1689)より
   (ダングルベール)
  ⑤第2組曲 ト長調より
 デュブリュイユ/ルクレール/ビュイソン 〜
  『ヴィオールのための作品集』(1747)より(フォルクレ)
  ⑥リュリ氏のトンボー 〜第2曲集(1701)より(マレ)
  ⑦組曲 ホ長調 〜同(1701)より(マレ)
  ⑧プレリュードト長調(作曲者不詳)
  ⑨第5組曲 ハ長調より
   ラモー/レオン:サラバンド/モンティニ 〜同(1747)より(フォルクレ)
ミーネケ・ファン・デル・フェルデン...ヴィオール (ヴィオラダガンバ)
グレン・ウィルソン...クラヴサン(チェンバロ)
 進化しつづける古楽大国オランダの“いま”を代表する大物ガンバ奏者ファン・デル・フェルデン、満を持してのフランス・アルバム! パートナーはNAXOSに名盤続々のグレン・ウィルソン。みずみずしさと深さ——フランス・バロックからロココへの、ほんとうにうつくしい古楽芸術。今、古楽の世界は相変わらず才能ある演奏家たちが続々現れていて、実は20 世紀から名前の出てきている実力派の演奏家たちはもう、軒並み大御所になりつつある——つまり、やることなすこと「格」が出てきた演奏家が少なからずいるという現状なのですが(たとえば鍵盤のインマゼールやスホーンデルヴルト、弦のエンリーコ・ガッティやパオロ・パンドルフォ、あるいはオルガンのフォクルール、バロック・オーボエのベルナルディーニ…)そうした人がきっちり作り上げてきたCD アルバムの充実度は、かつて古楽復興の勢いが出てきた頃とはまるで違う(否、当時の聴き手が感じていた驚きと同じくらいのインパクトで迫ってくる)、みずみずしくも深い魅力を放ってやみません。
 ここにご紹介するのは、かつてフォルテピアノのインマゼール同様Channel Classics に数々の名盤を放ってきたオランダのガンバ奏者、ミーネケ・ファン・デル・フェルデン!ヴィーラント・クイケンが育てた門弟でも指折りの技量を誇る彼女はドイツ語圏ものにも強いのですが(バッハ、17 世紀ドイツ音楽...)ガンバ芸術といえば、やはりフランスもの。かつてクープランの曲集でChannel Classics レーベルにこの人あり・の存在感を示した適性そのまま、例によってチェンバロ1台だけで共演するというストイックなスタイルで(つまり通奏低音用のガンバは交えず)、フランス・バロックの2大ヴィオール(=ガンバ)の巨匠であるマレとフォルクレを軸に、クラヴサン(=チェンバロ)の独奏曲も交えながら綴る艶やかなプログラムは、ルイ14 世の治世末期から18 世紀のロココ期にかけての、高雅さ一辺倒ではない、親しみやすさや煽情性を漂わせたニュアンス豊かなフランス後期バロックの魅力を、さまざまな角度から堪能させてくれます。
 脇役にとどまらない確かな伴奏をつとめ、時にはソロ・トラックでクラヴサン芸術の至芸をいかんなく味あわせてくれるのは、Naxos にもソロの名盤あまた、アルノンクールのモーツァルト録音、レオンハルトやブリュッヘンのバッハ録音でも通奏低音を支えてきた超ヴェテラン、グレン・ウィルソン!! 長年のパートナーシップが織りなす阿吽の呼吸は、バロック・ヴァイオリン奏者出身のエンジニア=プロデューサーが活躍するRamee レーベルの自然派サウンドに美しく刻まれていて、まるですぐそばで名手ふたりが演奏しているかのような臨場感...嬉しいのはやはりプログラム構成で、クラヴサン独奏トラックがヴィオール曲並の存在感を放っているところもさることながら、曲集だけはガンバ奏者に愛奏されていながらいまだ正体不明なバロック最晩期のヴィオール芸術家ドレの作品が数々収録されているのも吉。解説全訳付、Digipackパッケージも美しく、1枚でヴェルサイユ気分に浸れる好感度古楽盤です。
 


RAM1201
(国内盤)
\2940
ルネサンスの横笛、バロックの横笛
 〜リュートの響きを添えて〜

 ①すてきな森で(クローダン・ド・セルミジ 1490〜1562)
 ②アルカデルトの「わたしの幸せな両眼」によるレセルカーダ
  (ディエゴ・オルティス 1510頃〜1570頃)
 ③ファンタジア3様*(フランチェスコ・ダ・ミラノ 1497〜1543)
 ④花さく時を生きるとも(セルミジ)
 ⑤わたしもすぐに(ティールマン・スザート 1510/15〜1570)
 ⑥リチェルカーレ*(ダ・ミラノ)
 ⑦パレストリーナの「清らかなるは、わが心」
  (フランチェスコ・ロニョーニ ?〜1626頃)
 ⑧ダンプ*(フィリップ・ファン・ヴィルデル 1500 頃〜1554)
 ⑨第3リチェルカータ(ジョヴァンニ・バッサーノ 1558〜1617)
 ⑩星々を見てはため息をつき(ジューリオ・カッチーニ 1551〜1618)
 ⑪高音部と低音部のための第4カンツォーナ(ジローラモ・フレスコバルディ 1583〜1642)
 ⑫人知れず傷ついて悩んでいるとき、わたしは
  (ジョアキン・ティボー・ド・クルヴィル 1535 頃〜1581)
 ⑬この傷ついた心が、もしただのひとときも
  (ピエール・ゲドロン 1563〜1621)
 ⑭さあお互いどうしよう(コンスタンテイン・ハイヘンス 1596〜1687)
 ⑮プレリュード*(ロベール・ド・ヴィゼー 1655〜1732)
 ⑯岩場よ、おまえの返すこだまさえあれば
  (ジャック=マルタン・オトテール、通称ル・ロマン 1674〜1763)
 ⑰リュリ氏の「スペイン人たちのアントレ」*(ド・ヴィゼー)
 ⑱ある日、わたしのクロリスは(オトテール)
 ⑲リュリ氏の「妖精ロジスティルのエール」*(ド・ヴィゼー)
 ⑳あなたは貞淑なキジバトを手本にして(オトテール)
 (21)横吹式フルートと通奏低音のための第1組曲+(オトテール)


* はN.ノースの独奏トラック
ケイト・クラーク
 (ルネサンス&バロック型フルート3種)
ナイジェル・ノース(リュート、テオルボ)

+フレーク・ボルストラップ
(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 この素朴な響きをソロで味わい尽くせるのは、なんという喜び!フルート独奏の最も古いルーツを3種のルネサンス&バロック型トラヴェルソでうつくしく味あわせてくれるのは、古楽先進国オランダで活躍する超・名手ケイト・クラーク——しかも伴奏はナイジェル・ノース!解説も充実、外装も美麗。
 これは贅沢な古楽盤...!バロック・ヴァイオリン奏者ライナー・アルントが録音エンジニアリングから企画・デザインまでをこなし、古楽特有のオーガニックな楽器の響きや学究性を知り尽くした丁寧なアルバム作り、美麗Digipack ジャケットでファンを魅了してやまないRamee レーベルがおくる新譜のテーマは、いわゆるフラウト・トラヴェルソ、つまり現在のフルートの前身となった、リコーダーのようにキィがほとんどついていない木管横笛。バッハやヴィヴァルディの協奏曲、ヘンデルのソナタなどでこの楽器を使った録音盤の解説などでは「横笛は18 世紀に入って人気を獲得、縦笛=リコーダーを駆逐した」というようなことが書かれているかもしれませんが、実際はこの種の笛はかなり古くから使われており、ルネサンス期にはとりわけフランス語圏や英国などでさかんに演奏されていたことが、当時の絵画資料などからもはっきりわかるのです。
 仕掛け人は、ルネサンスから古典派まで、およそ横に吹く古楽器の笛なら何でもあざやかに吹きこなすうえ、どの曲にどんな楽器を使えばよいのかも知りつくし、時には絶妙のアレンジまで効かせて「笛」の至芸を隅々まで愉しませてくれるオーストラリア出身のスーパープレイヤー、ケイト・クラーク!かつて同じRamee レーベルで、複数人のルネサンス・フルート奏者を集めてアンサンブルで録音したアルバムも制作している彼女が、今度は堂々ソロで、しかも3種類のこだわり復元古楽器を使いわけ、器楽奏者たちの主たるレパートリーが声楽作品の編曲だった時代の美しい音楽を次から次へ、リュートやテオルボといったガット弦の撥弦楽器の伴奏とともに織り上げてゆきます。
 いわば、フルート+ギターという重奏形態のルーツともいうべき古い時代の演奏スタイル...そしてその撥弦パートを担当しているのが、なんとC.ホグウッドやT.ピノックら英国古楽勢がバッハやヘンデル、ヴィヴァルディなどをさかんに録音していた時代、必ずといってよいほど通奏低音のリュートやテオルボを弾いていた超実力派、日本にも熱心なファンの多いナイジェル・ノース(!)で、しかもそのソロ・トラックまでいくつもあるというのですから、もう贅沢ここに極まれり!としか言いようがないわけです。奏者クラーク自身がこだわりを徹底的に詰め込んでいながら読みやすく引き込まれる長大な解説文も、例によって全訳付。

SAPHIR



LVC1171
(国内盤)
\2940
ジャン=ピエール・ランパル指揮!
 ヴィヴァルディ:ピッコロによる協奏曲集
  〜ソプラニーノ・リコーダー/フルート協奏曲〜

ヴィヴァルディ(1678〜1741):
 ①ソプラニーノ・リコーダー協奏曲 ハ長調 P.78/RV 444
 ②ソプラニーノ・リコーダー協奏曲 イ短調 P.83/RV 445
 ③ソプラニーノ・リコーダー協奏曲 ハ長調 P.79/RV 443
 ④室内協奏曲 イ短調 P.77/RV 108
  〜フルート、2挺のヴァイオリンと通奏低音のための
 ⑤協奏曲 ハ長調 P.76/RV 533〜2本のフルート、
  弦楽合奏と通奏低音のための
 ⑥フルート協奏曲 ハ短調 P.80/RV440
ジャン=ルイ・ボーマディエ(ピッコロ)
ジャン=ピエール・ランパル指揮
フランス国立放送管弦楽団
⑤⑥クリストフ・ポワジェ(ヴァイオリン・指揮)
ラ・フォリア合奏団
⑤エリザベート・ジュリ(第2ピッコロ)
 世界的ピッコロ奏者による歴史的快演、ここに復活——しかも指揮はフルートを知り尽くした男、ジャン=ピエール・ランパル!
 20世紀後半、現代楽器の室内合奏団が最も輝いていた時期にCalliope レーベルが放った忘れがたいレコードは、今も輝きを失わない。名手ならではの境地!古楽器演奏というものがすっかり定着した今でも、現代楽器によるバロック音楽の演奏にはやはり独特の魅力がある——いうまでもないことですが、このような録音が復活して改めてかけてみると、しみじみそう思わずにおれない方もさぞ多いことでしょう。
 とくにローマ合奏団やイ・ムジチ合奏団、シュトゥットガルト室内管弦楽団といった20世紀半ば以来の名アンサンブルによる『四季』その他のヴィヴァルディ演奏でバロックに開眼した世代の方々は...たとえばロシア映画界の異才アンドレイ・タルコフスキー最後の傑作『サクリファイス』にも重厚なバッハ演奏が出てきますが、南国イタリアでは快楽芸術の天才パゾリーニ監督の『マンマ・ローマ』(1962)で、遺跡のある野原を白黒のスクリーンが映しているあいだ、壮麗なヴィヴァルディの緩徐楽章が響きわたるシーンがあり、これなどは古楽器演奏では明らかに場違い、「現代楽器のバロック演奏」でなくては表現しえない叙情と哀愁があればこその感興をかきたてる場面になっていて、こういう音を肌に沁み込ませて育った脳には無条件で語りかけてくる「あの味」というのをぜひとも聴きたくなる、そんな瞬間が誰しもあるのではないでしょうか。
 ここでパリのSaphir レーベルが復活させた音源は、かつてLP 時代には高嶺の花・憧れの輸入盤としてしか接する機会のなかったCalliope レーベルの名録音——南仏とパリでランパル父子に師事した生粋のフランス・フルート楽派の継承者、世界的に活躍するソロ・ピッコロ奏者ボーマルディエが若い頃に刻んだ決定的なヴィヴァルディ演奏!中心的な演目は、今でこそ小編成の古楽器バンド&高音用の超小型リコーダーで18世紀通りに演奏されることが多くなったRV443〜445 の傑作協奏曲。バッハの『ブランデンブルク協奏曲』第2 番や第4 番のリコーダー・パートが相当長いあいだフルートで演奏されていたのと同じく、この3曲の協奏曲も現代楽器でやるときにはリコーダーを使わずピッコロで演奏される場合が多いのですが、とにかく敏捷な歌いまわしが問われるこれらの作品のソロを、ボーマルディエは艶やかな響きをぞんぶんに生かし、ピッコロという楽器が単なる再高音域のやかましい笛ではなく、とてつもなくニュアンス豊かなカンタービレをも奏でうるものだったことを痛切に印象づけてくれます(ヌーヴェルヴァーグの旗手J.L.ゴダールの『気狂いピエロ』で軽やかな逃避行の場面を彩るのも、この作品のピッコロ版)。
 その比類ない名演を支え、情感あふれる美しい弦音を重ねるオーケストラを指揮しているのは、フルートという楽器を知り尽くした20 世紀最大の名手ジャン=ピエール・ランパル!1998 年に別途録音されたアルバムからもトラックを増やし、より小編成でフルート協奏曲原作のピッコロ版を奏でた充実演奏が聴けるのも嬉しいところ。あらためてクセになること必至の名演の連続、アマチュア・フルート奏者の世界でもますます語り継がれるべき逸品なのです!

ZIG ZAG TERRITOIRES



ZZT306
(国内盤)
\2940
2台のフォルテピアノで、モーツァルトを
 〜ソナタKV448、四重奏曲KV493...〜

 モーツァルト(1756〜1791):
  1. 2台のピアノのためのソナタ ニ長調 KV448
  2. ラルゲットとアレグロ 変ホ長調 KV.deest
   (補筆&校訂:ロバート・レヴィン)
  3. アダージョとフーガ ハ短調 KV426/546
   (復元:フランツ・バイヤー)
  4. ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調KV493
   〜J.G.プラッチュによる2台ピアノ版
アレクセイ・リュビモフ(フォルテピアノ/1790年頃製)
ユーリ・マルティノフ(フォルテピアノ/1785年頃製)
「ロシア・ピアニズム」+「作品尊重の古楽アプローチ」。
 対極にあるようで実は親和性の高いふたつのキィワードをむすびつける新旧世代の桁外れな異才ふたりが、なんとモーツァルトで思わぬ絶品デュオを!! 両者とも『レコ芸』特選ヒッター=かなり広く認知されている俊才です。  アレクセイ・リュビモフ!! かつてフランスのErato レーベルがBMG 傘下からWarner/Teldec 傘下に移ったさい、ちょうど冷戦終結とともに国外旅行を禁じられていた不遇な時代に終止符を打ち、意気揚々とフランスに渡ったのち、この実り豊かなレーベルで誰よりも早くモーツァルトのピアノ・ソナタを「古楽器録音」してみせた巨匠のひとり——そんなリュビモフは近年、ヨス・ファン・インマゼールやキアラ・バンキーニといった古楽界のスーパープレイヤーたちも愛するZig-ZagTerritoires レーベルで、シューベルトとベートーヴェンの驚くべき録音を送り出し、どちらも『レコード芸術』誌で特選に輝くなど世界的に高く評価されています。かたや、彼と同じくロシア・ピアニズムの古き良き伝統をひき、現代楽器奏者としても活躍しながらフランスで本格的にフォルテピアノやチェンバロを学び、やはりZig-Zag Territoires レーベルでソロ録音した古楽器によるリスト編曲版ベートーヴェンの交響曲集が『レコード芸術』特選に輝いた若き俊才、ユーリ・マルティノフ!マルティノフはそのキャリアの歩み方がリュビモフを彷彿させる...と思っていたところ、やはりフランスでは両者が意気投合、門弟としてレッスンを受けながら、こうして師弟デュオをみごと実現させてくれました(昨年12 月の来日時、リュビモフが嬉しそうにこのデュオ計画のことを話してくれたのを思い出します)!
 曲目はモーツァルト一色ながら、通り一遍のプログラムではまるでなく。目玉はもちろん、姉や弟子たちとしばしば連弾や2台ピアノ演奏を披露していたモーツァルトが残した傑作中の傑作、ソナタKV448——しかしその他にも、弦楽四重奏版が有名ながら当初はバッハ一族の作品よろしく2台ピアノ用に構想されていた「アダージョとフーガ」(楽譜校訂は『レクィエム』KV626 の補筆で知られるフランツ・バイヤー)、バドゥラ=スコダ補筆版(GRML98900 参照)も知られていながら、こちらも『レクィエム』の独自補筆などで知られる才人ロバート・レヴィンが独自に(モーツァルト自身の作風を忠実になぞりながら)復元した「ラルゲットとアレグロ」...といった興味深いプログラムが並び、きわめつけは人気絶頂期の傑作・第2ピアノ四重奏曲の、同時代人による編曲版!どのトラックでも、意気揚々たる自発性で完璧なタッチが繰り出され、むずかしいパッセージでもまるで日常会話のようにくつろいだ対話を続けてゆく、それでいてフレーズひとつひとつに「18 世紀の語り口(レトリック)」が生きているのは、やはり「作品本来の姿」を見据えつづけたロシア・ピアニズムの系譜をひく凄腕奏者が、徹底して「作曲家の念頭に置いていた楽器とは何か」を探り続けた成果といえるでしょう。
 特にリュビモフはさきのシューベルト録音のために、実に15 年も理想のフォルテピアノを探し続けたほどの「こだわりの人」。そんな彼が今回選んだのは、古楽大国オランダをはじめとする欧州各国の異才たちがこぞって頼りにする古楽鍵盤の名工たちが腕によりをかけて調整した、1785〜1790年頃に作られたオリジナルのフォルテピアノ!Zig-Zag Territoires の精妙な自然派録音で、そのごく細やかなタッチも、空間に響きわたる「間」の味わいも、ため息が出るほど生々しく美しく伝わってきます。解説全訳も充実、お見逃しなく!





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