韓国で最も権威あるオーケストラの一つと言われるスウォン・フィルハーモニー管弦楽団。
スウォン(水原)市はソウルの南50キロに位置する人口100万人の文化都市。
スウォン・フィルは1982年に芸術文化新興のために創設された若いオーケストラ。写真を見る限り、弦楽器奏者のほとんどが女性。管楽器も半分は女性。
21世紀にはいってから、ウィーンで指揮を学びスウィトナーに師事していたパク・ウンソンが音楽監督に就任。スウォン・フィルはその薫陶を受けて飛躍的に成長を遂げた。また客演して好評だった外山雄三が名誉指揮者に迎えられている。
これはそんなスウォン・フィルの自主制作盤。ベートーヴェンの交響曲第5番&第2番。
指揮は2008年に第6代常任指揮者に就任したキム・デジン音楽監督。カーネギーホールでも見事なデビュー公演を果たし、ベートーヴェンの交響曲/ピアノ協奏曲全曲シリーズに取り組んでいる。同オケを世界的オケにすることを目標に、創立30周年記念事業を推進中。
で、このキム・デジン、1985年、第6回ロベルト・カサドシュ国際ピアノコンクールで優勝。翌1986年のニューヨーク・デビュー・コンサートでは、ニューヨークタイムズ紙に「一流ソロアーティストに必要な資質のすべてを兼ね備えた逸材」と絶賛された。その後は指揮にも進出、あれよあれよといううちに韓国の中心的スターへと登りつめた。
そのキム・デジンと若きスウォン・フィルのベートーヴェン・・・。これが韓国の最先端の演奏なのか。とにかくうまい。世界を席巻する最新型家電のように機能的でスマート。ときに遊びも見せつつ、若々しく溌剌として活きがいい。「運命」の第3楽章から終楽章にかけては、いかにも腕利きぞろいらしく、流麗過ぎるくらいに洗練された演奏を聴かせてくれる。あまりに美しすぎるという評もあるかもしれないが、これもひとつのベートーヴェンのあり方だと思う。そして「美しいだけで終わり」、「きれいにまとめて終わり」というのではなく、世界を目指そうと言うキラキラした情熱を感じさせてくれるのが心地いい。
これからはこういう若手新興オーケストラからものすごい演奏が生まれてくるかもしれない。
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