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第69号
マイナー・レーベル新譜(5)
2013.2.12〜2013.4.5


DELOS


DE 3427
\2300
《インドラ・トーマス/シングズ・スピリチュアルズ》
 1. I Feel The Spirit , 2. Honor, Honor ,
 3. Give me Jesus , 4. His Name So Sweet ,
 5. Sometimes I Feel Like a Motherless Child ,
 6. Joshua Fit the Battle of Jericho ,
 7. Hes Got the Whole World in His Hands , 8. Deep River ,
 9. Guide My Feet , 10. Witness , 11. This Little Light ,
 12. Steal Away , 13. Ride on, King Jesus ,
 14. Let Us Break Bread Together , 15. Great Day ,
 16. Were You There , 17. There is a Balm in Gilead
インドラ・トーマス(Sp),
サンドラ・ラターズ(P)
純粋な美声で歌い上げられた黒人霊歌集
【録音】2012年, ニュージャージー州、ホーボーケン、ウォーター・スタジオ〔デジタル:セッション〕
アフリカ系アメリカ人の奴隷制度の遺産ともいわれている黒人霊歌。黒人霊歌集には、マリアン・アンダーソンの伝説的なレコーディングがありますが、インドラ・トーマスの純然たるボーカルの美しさによって、豊かな感情あふれる魅力的な名盤がひとつ誕生しました。
 

DE 3428
\2300
フィリップ・ラッサー(1963-):
 ①『イン・カラーズ・オブ・フィーリングス』(2009)
 ②『愛の面影』(1998)
 ③『オカサンとニコレット』(2008)
スザンナ・フィリップス(Sp:①③),
エリザベス・フトラル(Sp:②③),
マイケル・ヨーク(語り:③),
マーゴ・ギャレット(P)
言葉と音楽の錬金術師フィリップ・ラッサー
【録音】2011年12月, ニューヨーク州立大学パーチェス校〔デジタル:セッション〕
作曲家であり、ジュリアード音楽院の教授でもあるフィリップ?ラッサー。「イン・カラーズ・オブ・フィーリングス」は、悲劇的に夭折した作家W・アン?カーソンのために4つの感情の色を鮮やかに描いた作品。現代音楽でありながら19世紀のロマン派を受け継いだ彼の音楽には、美しい情感が息づいています。
 


DE 3429
\2300→\2090
《オペラティック・ファンタジー》
 ジュリオ・ブリッチャルディ(181-1881):
  ヴェルディの主題による幻想曲集
   『「トロヴァトーレ」の主題による幻想曲』
   『「椿姫」による自由なトランスクリプション』
   『「アイーダ」の主題による劇的幻想曲Op.134』
   『「エルナーニ」による幻想的小品』
   『「ドン・カルロ」による幻想曲Op.121』
   『「マクベス」による幻想曲Op.47』
   『「リゴレット」による幻想曲Op.106』 "
ラファエレ・トレヴィザーニ(Fl),
パオラ・ジラルディ(P)
ゴールウェイが絶賛するトレヴィザニの至芸
【録音】2012年10月, クレモナ、サン・マルティノ教会〔デジタル:セッション〕
ジュリオ・ブリッチャルディ(1818-1881)は父親よりフルートを学び、その後ローマのサンタ・チェチーリア音楽院で学びました。
 卒業後は作曲を学びながらフルートの教師を務め、晩年にはフィレンツェ音楽院学長に任命されました。彼のテクニックは「フルートのパガニーニ」と呼ばれ、ロンドン、ヨーロッパ、アメリカでの演奏活動で絶賛をあびました。演奏技術だけでなく楽器自体の改良にも取り組み、左手親指で押さえてB♭の音を出す「ブリッチャルディ・キー」と呼ばれるキーを考案。作曲の面では有名な「ヴェニスの謝肉祭」程度しか知られていませんが、他の作曲家のメロディを使って、当時のフルートでは限界とも思われるような究極のテクニックを駆使する幻想曲を数多く残しました。ここではゴールウェイも絶賛するフルート奏者トレヴィザニによる名演が収録されています。
 

DE 3431
\2300
《Hymn to the Dawn》
 ホルスト:
  『リグ・ヴェーダからの合唱賛歌第3部Op.26』
  『2つの東方の絵画』/
 プロコフィエフ:『10の小品Op.12〜第7番前奏曲(ハープ版)/
 エイミー・ビーチ:『3つのシェイクスピアの合唱曲Op.39』/
 ラインベルガー:
  『あなたの住まいはいかに麗しいことかOp.35』
  『6つの歌Op.131』/
 メンデルスゾーン:『3つのモテットOp.39』/
 ロッシーニ:『3つの宗教的合唱曲』
デレク・グレーテン・ハリソン (リーダー:C-T),
エセレア・ヴォーカル・アンサンブル,
グレース・クルーティエ (Hp),
アラン・マーチー(Org, P)
純粋でエキゾチックな女声のための合唱作品集
【録音】2012年, コネチカット州、ニューヘイヴン、クライスト教会〔デジタル:セッション〕
2008年に設立された女声ヴォーカル・グループ「エセレア・ヴォーカル・アンサンブル」。エキゾチックな美意識あふれる女声合唱のための作品が集められています。カウンター・テナーも務めるリーダーD・G=ハリソンは、このグループを見事に純粋なハーモニーでまとめあげています。ハープやオルガン含む伴奏も、魅惑的な演奏に華を添えています。
 

DE 1628
\2300
珈琲でくつろぐ午後のひとときに・・・《クラシック・カフェイン》
 ビゼー(シチェドリン編):バレエ『カルメン』〜ボレロ/
 プロコフィエフ:『古典交響曲』〜終楽章/
 ミヨー:『スカラムーシュ』〜ブラジルの女/
 ショスタコーヴィチ:『馬あぶ』〜スペイン舞曲/
 フンメル:『トランペット協奏曲』〜ロンド/
 カバレフスキ:『道化師』〜ギャロップ/
 J.S.バッハ:『ブランデンブルク協奏曲第2番』〜第3楽章/
 ハチャトゥリアン:『仮面舞踏会』〜マズルカ/
 タマリン:『タペストリー』/
 J.S.バッハ:『管弦楽組曲第3番』〜ガヴォット/
 ヘンデル:『水上の音楽』〜ジーグ/
 グリーグ:『ホルベルク組曲』〜プレリュード/
 チャイコフスキー:
  『エフゲニー・オネーギン』〜ポロネーズ/
  『Pictures from Bashu』〜Evening Dance at Aba/
 J.S.バッハ:『ブランデンブルク協奏曲第6番』〜第1楽章/
 アイルランド民謡:『アイリッシュ・ジグ』/
 ゴメス:『ソナタ ニ長調』〜第4楽章/
 ドビュッシー:『小組曲』〜バレエ/
 フランクール:『チェロ・ソナタ』〜ジーグ/
 ラモー:『タンブーラン』/
 ベートーヴェン:『七重奏曲Op.20』〜スケルツォ/
 モーツァルト:『交響曲第41番「ジュピター」』〜第4楽章
J・デプリースト(指揮),
G・シュウォーツ(指揮),
A・リャプノフ(指揮),
コンスタンティン・オルベリアン(P),
ブラジリアン・ギター・クァルテット,
ロサンジェルス・ギター・クァルテット, 他
まったりとしてしまう午後の時間。そんなときのお供に選ばれた喫茶店で一息つきながら聴きたいクラシック。デロス・レーベルらしい、ロマンティックで爽やかな演奏でお届け致します。曲目が一切記載されず、効能、成分…など あたかもサプリメントのようなバックインレイ印刷が斬新です。

ECM


4764850
\2400
ステファノ・スコダニッビオ:《Reinventions》
 ① 『Contrapunctus I (2007)』
  (J.S.バッハ:「フーガの技法」による)
 ② 『Quattro Pezzi Spagnoli (2009)』
  (タレガ, リョベート, アグアド, ソルのギター作品による)
 ③ 『Contrapunctus V (2009)』
   (J.S.バッハ:「フーガの技法」による)
 ④ 『Canzoniere Messicano (2004-2009)』
  (ヒメネス, アラベス, ビルバオ, ベラスケスの作品による)
 ⑤ 『Contrapunctus IV (2008-2009)』
   (J.S.バッハ:「フーガの技法」による)
プロメテオ弦楽四重奏団
[Giulio Rovighi(Vn) ,
Aldo Campagnari(Vn),
Massimo Piva(Va),
Francesco Dillon(Vc)]
弦楽器の特殊奏法を用いた抽象画
 ステファノ・スコダニッビオ(1956-2012)は、イタリアを代表する作曲家のひとりでもあり、卓越したコントラバス奏者でもありました。
 ノーノ、クセナキス、ケージ、テリー・ライリーなどから影響を受け、楽器の拡張技術を発展させた作曲法で知られています。
 ここには彼の晩年の弦楽四重奏のための作品が収録されています。バッハやラテン系ギター作品などの伝統的音楽を、弦楽特有のレガート、ピチカート、フレーズ、倍音などを用いた特殊奏法によって、様々な色彩とフォルムに刻々と形を変えながら、抽象画的な世界を描いていきます。
 演奏している「プロメテオ弦楽四重奏団」は、プラハの春国際音楽コンクール、ミュンヘンARDコンクールなどで優勝歴をもつ四重奏団で、「圧倒的集中力と安定したテクニックと音楽性」と高い評価を得ています。
【録音】2011年1月, ポッレンツァ、ジュゼッペ・ヴェルディ劇場 [デジタル:セッション]
  

4810104
\2400
ヴィクトル・キーシン:《Between Two Waves》
 ①『Between Two Waves』
     (ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲)
 ②『Duo (after Osip Mandelstam)』
  (ヴィオラとチェロのための二重奏)
 ③『Barcarola』
  (ソロ・ヴァイオリン、弦楽オーケストラと打楽器のための)
①:アンドリュース・ウフガビーズ(P),
ローマン・コフマン(指揮)
クレメラータ・バルティカ/
②:ダニール・グリシン(Va),
ギードレ・ディルヴァナウスカイテ(Vc)/
③:ギドン・クレーメル(Vn),
アンドレイ・プシュカレフ(Perc),
クレメラータ・バルティカ
クレーメル絶賛!弦楽器による神秘的な沈黙のの音楽
 ヴィクトル・キーシン(1953-)はサンクトペテルブルク生まれ。リムスキー=コルサコフ音楽院で作曲と音楽学を学びました。彼のオペラ「Marat-Sade」は、1985年の初演の際にスキャンダルを引き起こしました。また、映画音楽の作曲も行い、ベルリン、ヴェネツィア、マドリードでの映画祭で賞を受賞しています。ギドン・クレーメルとクレメラータ・バルティカから委託も受けており、2000年以来オーケストラや室内楽作品の作曲を行っています。現実の世界から遠く逃避し、沈黙の神秘的な音によって再現された音楽です。
【録音】2011年7月、オーストリア、ロッケンハウス [デジタル:セッション]

MD+G


902 17846
(SACD Hybrid)
\3000
シュッツ:宗教的合唱作品集
 『これは確かなまこと SWV. 388』
 『燃える炉の中なる3人の男の歌 SWV.448』
 『言葉は肉となって私たちのもとに住む SWV.385』
 『シメオンのカンティクム SWV.432-433』
 『音楽による告別 SWV.279-281』,
シャイン:『音楽の饗宴 組曲第10番』,
ハンス・ハケ:『8声のパヴァーヌ』
ライナー・ヨハネス・ホムブルク(指揮)
シュトゥットガルト・ヒムヌス少年合唱団,
ローランド・ウィルソン(指揮)
ムジカ・フィアータ
ドイツ伝統的なポリフォニーによる暖かく美しい合唱
シュトゥットガルト・ヒムヌス少年聖歌隊は、ライプツィヒやドレスデンの名門少年合唱団に触発され、1900年当時シュヴァーベン地方有数の興行主のなかでも特に傑出した存在だったパウル・フォン・レフラーの協力を得て設立されました。少年時代にみずからもメンバーであったゲルハルト・ヴィルヘルムによって1946年に再興され、彼のもとで世界的な名声を獲得していきました。
 彼らの最新録音となる当盤では、シュッツの宗教的合唱作品。器楽アンサンブルにはローランド・ウィルソン指揮 のムジカ・フィアータが起用され、シュッツらしい独特なドイツ伝統的なポリフォニーが展開されます。爽やかな透明感あふれる、素直で暖かい音楽作りが心を打ちます。
【録音】2012年8月20〜23日, シュトゥットガルト・キリスト教会 (デジタル:セッション)

906 17996
(SACD Hybrid)
\3000
メンデルスゾーン:
 『前奏曲とフーガ Op.35』(アダム・レナートによるオルガン編曲)
 『前奏曲とフーガ Op.37』
アダム・レナート(2009年製:パッシェン社製オルガン)
厚みのある対位法によるオルガン編曲版『前奏曲とフーガ Op.35』
 バッハに強い関心を持っていたメンデルスゾーンが、バロックの巨匠の極めたジャンルに挑んだものがこの作品。「Op.35」は1827年に完成されたピアノのための作品ですが、ここではあえてオルガンで演奏することによって響きに厚みが加わった対位法が展開されています。「Op.37」は1837年に完成されたもので、イギリスで知り合った名オルガニスト、アトウッドに献呈されたものです。【録音】2012年8月25〜26日, デトモルト、マルティン・ルター教会 (デジタル:セッション)
 

619 7452
\2300
管楽アンサンブル編曲版による「祈り」
ウィリアム・バード:
 『老人は幼子を抱き』『5声によるミサ曲』
アルヴォ・ペルト:
 『アルボス/樹』『スンマ』『断続する平行』
 『マニフィカトとアンティフォナ』*
カイ・ヴェッセル(C-T)*,
カレファックス・リード・クインテット
[Eduard Wesly(Ob&Oboe d’amore),
Ivar Berix(Cl),
Raaf Hekkema(Sax),
Jelte Althuis(Bass-Cl),
Alban Wesly(Fg)]
 サクソフォン、オーボエ、クラリネット、バス・クラリネット、ファゴットという少し変わった編成による管楽五重奏団。
 毎回特徴ある作品を、素晴らしい演奏とパフォーマンスで楽しませてくれますが、今回はバードとペルトによる「祈り」の音楽。ペルトの「マニフィカトとアンティフォナ」では、BCJやコープマンとの共演でも有名なカウンター・テナーのカイ・ヴェッセルが、美しい声を重ねていきます。

【カレファックス・リード・クインテット】
 ポップスのメンタリティを備えたアンサンブルと評され、その卓越した技術、革新的なプログラミング、そして魅力的なコンサートで知られています。
 そのレパートリーは、8世紀から現代音楽におよび、自らで編曲、再作曲を行っています。質の高い演奏で様々な現代音楽祭や古楽フェスティヴァルにも参加。
 2005年には、ノースシーのジャズ・フェスティヴァルにおいて、トニー・オーバーウォーター・トリオともに2つのエリントン組曲を演奏し話題となりました。
 近年では、オルランド・コンソートやティボーデ、ジャズシンガーのデニス・ジャンなどとも共演。1997年フィリップ・モリス芸術賞、2001年 Kersjes van de Groenekan賞、またオランダで行われた室内楽公演に対してVSCD2005年度クラシック音楽賞を受賞しています。
 2009年, 2011年に来日し、その刺激的な演奏は話題となりました。2013年12月再来日予定。【録音】1996年9月, ギュータースロー、マルティン・ルター教会 (デジタル:セッション)
 


303 17942
\2300→\2090
トリオ・パルナッスス の新録音・・・・ついにこの曲が
 ヴィドール:ピアノ三重奏曲集
  『ピアノ三重奏曲編ロ長調Op.19』
  『アルザスの夕べ Op.52』
  『4つのトリオ(1890)』
トリオ・パルナッスス
〔ヤメイ・ユ(Vn), ミ
ヒャエル・グロス(Vc),
チアオ・チョウ(P)〕
 オルガン作品に隠れたピアノ・トリオの再発見
 パリのサン・シュルピス教会のオルガニストを64年間務めたヴィドール。教育にも情熱を注ぎ、パリ音楽院教授として、シュヴァイツァーなど多くの優秀な音楽家を育てあげました。また、作曲家として多くの作品を残していますが、オルガン作品ばかりが演奏され、それ以外の作品に光が当たる機会はまれです。ここで取り上げられているピアノ三重奏曲は、フランス的な資質はそのままに狂詩曲的雰囲気をも含んだヴィドールならでは作風。そこには「言葉」と「想い」という要素がメロディーに込められています。ブラームス他、メンデルスゾーン、ラインベルガー、モーツァルト、レーガー、フンメル、ラロ、バルギールなど、様々なレパートリーで優れた演奏を聴かせるトリオ・パルナッススが、見事なアンサンブルを展開しています。
【録音】2012年7月, マリエンミュンスター修道院 (デジタル:セッション)



店主が天国にもって行きたいと思っている1枚
・・・しかしひょっとしたら上記アルバムに入れ替わるかもしれない
Widor: Piano Trio in B flat major, Op. 19, etc.
NAXOS
8.555416
\1100
ヴィドール(1844-1937):
 ピアノ三重奏曲変ロ長調Op.19/
 ピアノ五重奏曲ニ短調 Op.7
イロナ・プルニ(p)/
新ブダペスト弦楽四重奏団
(録音: 1988年4月 ブダペスト、イタリア文化協会)
 シャルル=マリー・ヴィドールは、1844年、フランス、リヨンで生まれた。
 わずか25歳でサン・シュルピス教会の終身オルガニストに就任。46歳の時にフランクの急死を受けてパリ音楽院オルガン科教授となった。
 代々続くオルガン職人の家系で、父親は教会オルガニスト。まさにオルガンの申し子として生まれたわけである。
 そんなオルガンの大家ヴィドールのピアノ三重奏曲とピアノ五重奏曲が出た。もちろんこれまで聴いたことない。
 さっそく聴いた。ピアノ三重奏曲。
 第1楽章はとても感情を抑えた控えめな音楽。聖職者の趣をたたえる禁欲的な作風。フランクやラインベルガーなどに似ているかも。・・・おっと、自分でそう言っておいてあとから気づいたが、みんなオルガニスト。それは偶然じゃないと思う。ただ、かなり渋い。
 ・・・と思いながら聴いているうちに、曲は第2楽章へ。
 すると、まるで天国から流れてきた小川のように美しい音楽が始まった・・・
 信じられない。
 こんな美しい音楽がまだこの世の中にあったなんて。
 どこかの教会で緊張に顔をこわばらせながら真剣にお祈りしていた少女が、何かの弾みにふともらした優しい笑顔のような。
 軽やかで優雅な第3楽章、華やかで美しい終楽章、続くピアノ五重奏曲のたおやかな第2楽章、陽気な第3楽章、激しい終楽章、と、どれも素敵なのだが、ああ、あまりにもこの第2楽章が美しすぎる。素晴らしすぎる。

 この曲に引き合わせてくれたことを神に感謝します。




903 17966
(SACD Hybrid)
\3000→\2690
イギリスのヴィオラ作品集
 ブリス:『ヴィオラとピアノのためのソナタ』
 バックス:『ヴィオラとピアノのためのソナタ』
 V=ウィリアムズ:『ヴィオラとピアノのための組曲』
クリスティアン・オイラー(Va)
パウル・リフィニウス(P)
 ヴィオラの圧倒的なポテンシャルを引き出した演奏
 ライオネル・ターティス(1876-1975)は、パウル・ヒンデミットやウィリアム・プリムローズらとともにヴィオラの独奏楽器としての地位確立に貢献したヴィオラ奏者でした。ここには、ターティスのために書かれた作品が収録されています。究極のテクニックが要求されるブリスの作品をメインに据え、カップリングに、ヴィオラの音質を見事にとらえケルト的な色調が印象的なバックスのソナタと ロマンティックなメロディに魅了されるV=ウィリアムズの組曲を収録。オイラーは、ヴィオラの圧倒的なポテンシャルを引き出した演奏で、これらの作品の魅力を余すところなく引き出しています。
【録音】2012年9月, マリエンミュンスター修道院 (デジタル:セッション)

603 17762
\2300
プーランク:ポール・エリュアールの詩による歌曲集
 歌曲集『冷気と火』, 歌曲集『ある日ある夜』
 歌曲集『画家の仕事』, 歌曲集『ポール・エリュアールの5つの詩』
 歌曲集『燃える鏡』, 歌曲集『メタモルフォーゼ』
 『彼女の優しい小さな顔』『手は心の意のまま』
 『磁器の歌』『しかし死ぬための』『マズルカ』
ホルガー・ファルク(Br)
アレッサンドロ・ズッパルド(P)
 詩と音楽が完全に融合された歌曲集
 エリュアールとプーランクは芸術的な友好関係を持っており、彼の詩による歌曲を多く作曲しました。エリュアールがプーランクに送った手紙には、「あなたの音楽は、真に私の詩を理解した最初の作品です」と書かれていました。これらの歌曲は、ファルクは、完璧な解釈と詩的な歌唱法で高い評価を得ているバリトン。簡潔で無垢な表現に魅惑的な輝きが加味されたこれらの作品で、聴き手を未知の世界へ誘います。
【録音】2012年4月&9月, マリエンミュンスター修道院 (デジタル:セッション)

604 17952
\2300
ガーシュイン:ピアノ作品集
 『ソング・ブック』
  〔The Man I Love / Swanee / Nobody but You /
   I´ll Build a Stairway to Paradise / Do it Again /
   Fascinating Rhythm / Oh, Lady be Good /
   Somebody Loves Me / Sweet and Low Down /
   Clap Yo´ Hands / Do Do Do/ My One and Only /
   ‘s Wonderful / Strike up the Band /
  That Certain Feeling / I Got Rhythm / Who Cares?〕
 『3つのプレリュード』『4度のノヴェレッテ』『メリー・アンドリュー』
 『2つの調の即興曲』『スリー・クォーター・ブルース(アイリッシュ・ワルツ)』
 『プロムナード』『ラプソディー・イン・ブルー』
モーリス・ホイットニー:
 『パリのアメリカ人によるパラフレーズ』
コリンナ・ジモン(P)
 創造的な想像力による魅力的なガーシュイン
 ベルリン生まれのコリンナ・ジモンは、ベルリン芸術大学、ミュンヘン音楽大学で学び、ベルリン?フィルハーモニーでデビュー。それ以来、ソロや室内楽のピアニストとして高い評価を得ています。
 様々な音楽祭へ常連として出演する一方で、ベルリンのマスター・クラスで20年以上にわたり、才能ある若いピアニストたちの指導を続けています。このアルバムでは独自の豊かな想像力に基づいてガーシュイン作品を再構築し、愛情あふれる魅力的な演奏を展開しています。ガーシュインと同時代の1901年製スタインウェイを使用。 
【録音】2012年9月, マリエンミュンスター修道院 (デジタル:セッション)
 


337 17892
\2300→\2090
ジョン・ラッター:
 『ハーメルンの笛吹き』
トーマス・ホニッケル(指揮)
“Classix”ユンゲ・ゾリステンアンサンブル,
ボビーズ・クラシック合唱団,
ボン・ベートーヴェン管弦楽団, 他
 有名な伝承話による子供たちのための小オペラ
 かの有名な伝承話を元にして、1980年にジョン・ラッターが作曲した子供たちのための小オペラ。台本はジェレミー・ジェームズ・テイラーによるもので、8〜13歳のソリスト、合唱と器楽アンサンブルのために書かれています。このオペラは、ナレーション、子供たちによるソプラノとアルトの声によって歌われます。フルートのみは熟達したプレーヤーのために書かれていますが、他の楽器のパートは比較的簡単に書かれています。全体は笛吹きのライトモチーフによっており、彼の感情や魔法などへ転じて使用されます。ネズミたちの世界は比較的グロテスクに描かれています。
 【録音】2012年

RBM


RBM 463057
\2400
バルタ/テレマン&ブリテン:オーボエ作品集
 テレマン: 『無伴奏フルートのための12幻想曲』(オーボエ版)
 ブリテン: 『オヴィディウスによる6つの変容』
ミクローシュ・バルタ(Ob)
 オーボエ1本のみで紡ぎ出すファンタジーの世界
 もともと無伴奏フルートのための名作として知られるこの作品をオーボエによって演奏したもの。音域は同じでも、音色感の異なる楽器で演奏されることにより、新たな解釈が生まれています。機動力ではフルートには遥かに及ばないオーボエで千変万化のファンタジーの世界を描かれています。バルタは、ブダペスト・フランツ・リスト音楽アカデミーを卒業後、スイス・イタリア語放送管弦楽団の首席を務めたオーボエ奏者。

RBM 463186
\2400
三村智子/シューマン:幻想小曲集&幻想曲
 幻想小曲集 Op.12 & 111
 幻想曲Op.17
三村智子(P)
ドイツロマン主義の理念を捉えたシューマン演奏
 各曲に表題が付けられ、それぞれが有機的に関連づけられた作品として纏められたOp.12。ロマン的気分とソナタ形式の構想が結びついた傑作、Op.17の2曲に加え、ドイツロマン主義の掲げる「詩と音楽の融合」を図ったOp.111が収録されています。ヨーロッパで活躍するピアニスト三村智子による、作品の真髄を的確に描き出す演奏をお楽しみください。
 

BR KLASSIK



900116
\2300→\2090
若手指揮者有望株アンドリス・ネルソンス「新世界より」
 1-4.交響曲 第9番 ホ短調「新世界より」 Op.95/
 5.交響詩「英雄の歌」 Op.111 B.196
バイエルン放送交響楽団/
アンドリス・ネルソンス(指揮)
録音 2012年12月1-3日 ヘルクレスザール…1-4, 2012年4月25-27日 フィルハーモニー・イン・ガスタイク…5
 現在、若手指揮者の中でも最も有望株として注目されている指揮者アンドリス・ネルソンスのドヴォルザーク(1841-1904)です。彼は1978年にラトビア、リガの音楽家両親の元に生まれ、ピアノ、トランペット、声楽を学びました。まずはラトビア国立歌劇場管弦楽団の首席トランペット奏者に就任、同時に数多くの指揮者たちから指揮を学んでいます。なかでもマリス・ヤンソンスからは10年近くも指揮法を学んでいて、彼の音楽性にも強い影響を与えていることは間違いありません。2003年から2007年、ラトビア国立歌劇場の首席指揮者へ就任したのを皮切りに、30代半ばにして、世界の主要オーケストラのほぼ全てを指揮しており、各地のオーケストラの「次の首席指揮者」として検討されている人材です。
 これは彼の初のドヴォルザーク録音であり、このライヴはドイツ国内でも大絶賛されました。
 演奏は、本当にツボを心得たもので、例えば「新世界より」の第2楽章での歌わせ方や、終楽章での昂揚感など「この曲をこういう感じで聴きたい」と思っている人にぴったりの解釈なのではないでしょうか?同時収録の「英雄の歌」は1897年に書かれたドヴォルザーク最後の交響詩で、他の4曲とは違い、明確なストーリーはなく、一人の英雄が苦難を乗り越えて栄光をつかむというR.シュトラウスの作品とも似た佇まいを持っています。1898年12月4日、ウィーンにてグスタフ・マーラーの指揮により初演されていますが、今ではほとんど演奏される機会のない珍しい曲です。



アンドリス・ネルソンス、ORFEOの旧譜
 若手指揮者の中では一番メジャーかもしれない。アンドリス・ネルソンス。
 2010年夏、バイロイト音楽祭で「ローエングリン」を指揮。10月にはベルリン・フィルの定期演奏会に客演。そして日本のファンの記憶に残ったのは、同年11月、療養中の小澤征爾の代役として、ウィーン・フィル日本公演の指揮者を務めたこと。まさに信じられないシンデレラ・ボーイ。先日のバレンボイムのショパン/ピアノ協奏曲集ではDGデビューも果たした。

 アンドリス・ネルソンスは1978 年ラトヴィアのリガに生まれた。母はラトヴィアで初めての古楽アンサンブルを結成し、父は合唱指揮者、チェリスト、教師。少年時代はトランペット奏者とバス=バリトン歌手として研鑽を積んだという。
 サンクト・ペテルブルクでアレクサンドル・ティトフに指揮を師事、また、ネーメ・ヤルヴィ、ヨルマ・パヌラのマスタークラスを受講。トランペット奏者としてオスロ・フィルに急遽出演した折に、同郷の指揮者マリス・ヤンソンスの目に留まり、2002 年以来指揮を学ぶ。
 2007 年10 月、サイモン・ラトルの25 歳に次ぐ29 歳の若さでバーミンガム市響の首席指揮者と第12 代音楽監督に指名され、2008 年9 月より3 年の任期で就任、現在に至る。
 並行してコンサート、オペラハウスともに活躍の場を拡げており、ロイヤルコンセルトヘボウ管、チューリヒ・トーンハレ管、バイエルン放送響、シュターツカペレ・ベルリン、フランス国立管、ピッツバーグ響に登場しているほか、ウィーン国立歌劇場、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、メトロポリタン・オペラ、バイロイト・オペラにも客演を果たしている。

 まあ、この人の人生、ちょっとできすぎかと言う気もするが、何かでご覧になられた方もいるかと思うが、このチャイコフスキーもすごく評判がいい。





ORFEO 780091
\2600→¥1990
チャイコフスキー:
 交響曲第5番ホ短調Op.64
 幻想序曲「ハムレット」Op.67
アンドリス・ネルソンス(指)
バーミンガム市交響楽団
 同じラトヴィア生まれの指揮者ヤンソンスに見出されたネルソンスですが、ちょうど師ヤンソンスがオスロ・フィルとのチャイコフスキー全集で大きな飛躍を遂げたように、決然としたテンポとスケールの大きさとで、あらたなカリスマ指揮者の誕生を予感させるに十分な内容。
 録音:2008年10月16-17日バーミンガム、シンフォニー・ホール

ORFEO 832101
\2600→¥1990
チャイコフスキー:
 (1)幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 (2)交響曲第 6 番ロ短調 Op.74「悲愴」
アンドリス・ネルソンス(指)
バーミンガム市交響楽団
 本格的デビューとなった交響曲第 5 番のリリースに際して、ネルソンスは「地理的にも若いころにつねに強い影響を受けていたのがロシアの音楽、なかでもチャイコフスキーだけは特別」と語り、その演奏にかける強い意気込みを窺わせていました。
 このたびも、ネルソンスは『悲愴』交響曲について「チャイコフスキーが自身の人生のダイジェストを表そうとしたもの」であると述べ、また「、チャイコフスキーの音楽とはすべて人生における感情的な瞬間から出来ている」とも熱く語っています。
 いっぽう、「『悲愴』がチャイコフスキーのもっともパーソナルな作品であるのに対して、もっとも情熱的な作品である」という、カップリングの『ロメジュリ』については「シェイクスピアに題材を採りながらも、ここにはチャイコフスキーが当時、激しい恋に落ちていたヴァイオリニスト、ヨシフ・コテクへの抑えきれない感情が背景にあり、どれほど強く激しく深く愛しても、現実の人生では決して到達し得ない幸福を悟っていたのです」とネルソンスはユニークな持論を展開しています。
 そして、「前作のハムレットもそうでしたが、チャイコフスキーのいかなる作品といえどもその人生に密接に関連しており、このような自身の実体験なくしてはかくも美しく激しい音楽を書けないと思うのです」と結んでいます。
 じっさい、こうした言葉どおりに、ネルソンスのアプローチは両作品ともたいへん情熱的で、心を揺さぶるスケールのゆたかな音楽づくりが印象的。一作ごとに格段の成長を遂げていることを実感させる内容で、オケとのよりいっそうの良好な関係を物語る出来ばえとなっています。

(1)録音:2009 年 6 月 17、18 日バーミンガム、シンフォニー・ホール ( セッション )(2)録音:2010 年 6 月 2、3 日バーミンガム、シンフォニー・ホール ( セッション )/DDD、ステレオ、65’16”
Tchaikovsky: Symphony No. 4 & Francesca da Rimini
ORFEO 860111
\2600→¥1990
チャイコフスキー:
 ・幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」Op.32 (22’04”)
 ・交響曲第4 番ヘ短調Op.36 (41’41”)
バーミンガム市交響楽団
アンドリス・ネルソンス(指揮)
録音:2011 年6 月1-4 日バーミンガム、シンフォニー・ホール(デジタル・ライヴ)/DDD、ステレオ、63’44”

 手兵バーミンガム市響を指揮した最新アルバムは、ネルソンスの得意とするチャイコフスキー。交響曲第4 番と幻想曲『フランチェスカ・ダ・リミニ』は、ともに2011 年6 月に本拠バーミンガムのシンフォニー・ホールにおいて行われた定期公演の模様をライヴ収録したものです。
 「チャイコフスキーの音楽とはすべて人生における感情的な瞬間から出来ている」との持論を熱っぽく展開するネルソンスは、その言葉どおりにバーミンガム市響を指揮した第5 交響曲(ORFEO780091)、『悲愴』(ORFEO832101) でもたいへん情熱的で、心を揺さぶるスケールのゆたかな音楽づくりには印象深いものがありました。
 このたびのアルバムでも、思いきりのよいアプローチとあふれ出る歌心が際立って印象的な仕上がりとなっており、加えて、メインの第4 交響曲ではフィナーレのエネルギーの爆発的な開放など、実演ならではのホットな内容が期待以上の手ごたえで驚かされます。
 しかも、ライヴながら録音がきわめてすぐれているのもうれしいところで、各楽器、みごとなアンサンブルも精妙に聞き取ることが可能。首席指揮者就任3 年目を迎えたバーミンガム市響との変わらぬ好調な関係も窺えます。
 なお、第4 交響曲のみ終演後に拍手が入ります。



 


900712
(3CD)
\3000→\2690
大幅値下げ再案内
マゼール(指揮)&バイエルン放送響
 シューベルト:交響曲全集
ロリン・マゼール(指揮)/
バイエルン放送響
録音 2001年3月 ミュンヘン プリンツレーゲンテンシアター

 アリアCDでは先日までミュンヘンから直接取り寄せていたマゼールのシューベルト交響曲全集が、ようやく一般流通ルートに乗った。価格も大幅に値下がり。

 1993年から2002年まで、バイエルン放送交響楽団の首席指揮者として活躍したロリン・マゼール。彼らはブルックナーの全交響曲の名演をはじめとした数々のアルバムをこの世に送り出しています。
 このシューベルト(1797-1828)は2001年の記録で、友好な関係を象徴するような幸福感に溢れた演奏を聴くことができます。
 8歳の時に、ミュンヘン・フィルハーモニーを指揮して「未完成」を振ったこともある神童マゼールによるシューベルト。未完成やグレートなどの有名曲の素晴らしさはもちろんですが、第3番の終楽章や、あまり聴かれることのない第1番などの表現がとてもチャーミング。これらの曲自体の魅力を知るにもうってつけと言った全集であることは間違いありません。


900903
(4CD)
\2400→\2190
魔の炎で焼かれる世界
 〜イェルク・ハンドシュタインによる「音で聴くワーグナーの伝記」

<CD1>
 1.第1章:ライプツィヒのずぼら男/2.第2章:地方から劇場へ/
 3.第3章:パリの終わり/
<CD2>
 1.第4章:私は革命児/2.第5章:チューリヒの政治的亡命者/
 3.第6章:トリスタンとマティルデ/
<CD3>
 1.第7章:神の恵みを齎す王/2.第8章:トリプシェン牧歌/
 3.第9章:彼の妄想が平和をみつけた場所/
<CD4>
 1.第10章:世界の告別の作品/

《マリス・ヤンソンスが指揮するワーグナー名曲集》
 2.歌劇「タンホイザー」序曲
 3.歌劇「ローエングリン」第1幕:前奏曲/
 4.楽劇「トリスタンとイゾルデ」第1幕:前奏曲-第3幕:イゾルデの愛の死/
 5.楽劇「神々の黄昏」第1幕:夜明けとジークフリートのラインの旅
演奏部分:
バイエルン放送交響楽団/
マリス・ヤンソンス(指揮)

ドラマ部分:
ウド・ヴァハトファイトウル(ナレーター)/
ゲッツ・アルグス(ワーグナー)/
ヴィオラ・フォン・デル・ブルグ(コジマ)/
エンマ・ミシェル(ミンナ)/
シュテファン・ムール(リートヴィヒ2世)
ホルスト・ザハトレーベン,
クリスティアン・バウマン,
アイアーネ・ペイヤー(引用)
イェルク・ハンドシュタイン・・・作
ベルンハルト・ノイホフ・・・編集,演出
ヨスエル・テーガルテン&
クリスティアン・シャインメラー・・・音声,技術
CD3枚分+α・・・強烈な存在感で周囲を焼き焦がしつつ、自らの理想郷を造り上げた作曲家の物語
 2013年はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)のアニヴァーサリー・イヤーです。今回も白熱するドラマを作り上げたのはイェルク・ハンドシュタインで、既発の「世界、そして夢」(900901)と同じく、“稀代の天才”ワーグナーの生涯を丁寧に描いたものです。前回のマーラーもそうでしたが、今回のワーグナーもふんだんに音楽を用いた劇的なもの(添えられた音楽は様々な有名メーカーからリリースされているものを使用。)迫真のドラマに彩りを添えています。
録音 2009年3月16日 ルツェルン(CD4 トラック2.3.5…SONY原盤)
   2007年4月26-27日 ミュンヘン ヘルクレスザール(CD4 トラック4)

CEDILLE


CDR90000137
\2000
レーラ・アウエルバッハ:チェロキー 〜チェロとピアノのための音楽集
 1-24.チェロとピアノのための24の前奏曲/
 25-28.チェロとピアノのためのソナタ/
 29.チェロとピアノのための「ポストリュード」
アニ・アズナヴォリアン(チェロ)/
レーラ・アウエルバッハ(ピアノ)
 旧ソ連出身のピアニスト、作曲家アウエルバッハ(1973-)は2002年に衝撃的なデビューを果たし、それ以降作曲家として、また詩人として活発な活動をしています。様々な演奏家たちから作品を委嘱され、それらは世界各国で演奏され高い評価を受け、また日本でもテレビ出演するなど、その美貌も合わせて注目されている人です。
 彼女の音楽は情熱的であり、また抒情的。多くの場合「過去と現代」を繋ぐ、聞き手の心に直接訴えかける強い求心力を持った作品を書く人で、この「24の前奏曲」も次から次へとあふれ出るインスピレーションをそのまま音にしたかのような、驚異的な美しさを有しています。
 チェロを演奏するアズナヴォリアンは、彼女の長年の友人であり、ここでも息のあった演奏を聴くことができます。
 


CDR90000138
(2CD)
\2000→\1890
パシフィカ弦楽四重奏団 / ソ連の経験 第3集
<CD1>
 ショスタコーヴィチ(1906-1975):/
  1-5.弦楽四重奏曲 第9番 変ホ長調 Op.117/
  6-9.弦楽四重奏曲 第10番 変イ長調 Op.118/
  10-16.弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 Op.122/
<CD2>
 1-2.ショスタコーヴィチ:
   弦楽四重奏曲 第12番 変ニ長調 Op.133/
 3-8.ワインベルク(1919-1996):弦楽四重奏曲 第6番 ホ短調 Op.35
パシフィカ弦楽四重奏団
 パシフィカ弦楽四重奏団による「ショスタコーヴィチとその時代の弦楽四重奏を系統だてて聴く」シリーズ第3弾です。ショスタコーヴィチの4つの作品は1964年から1968年に作曲されたもので、各々5楽章、4楽章、7楽章、2楽章と異なった形式で書かれていて、どの曲にも様々な思いが込められた充実の筆致が見られます。ワインベルクの第6番は1946年の作品で、この時代に書かれたものとしては先進的過ぎたため、一時演奏禁止になるほど扱いを受けてしまいました。
 第1集も第2集も高い評価を受けているこのシリーズ、完成した暁には資料的にも高い価値を持つものとなりそうです。


旧譜
パシフィカ弦楽四重奏団 / ソ連の経験第 1・2 集
The Soviet Experience Volume I
CDR-90000127
(2CD)
\2000→\1890
パシフィカ弦楽四重奏団 / ソ連の経験第 1 集
〈CD1〉
ショスタコーヴィチ(1906-1975):
 1-3.弦楽四重奏曲第 5 番変ロ長調 Op.92/
 4-7.弦楽四重奏曲第 6 番ト長調 Op.101
〈CD2〉
 1-3.弦楽四重奏曲第 7 番嬰ヘ短調 Op108/
 4-8.弦楽四重奏曲第 8 番ハ短調 Op.110
 9-12.ミャスコフスキー(1881-1950):弦楽四重奏曲第 13 番イ短調 Op.86
パシフィカ弦楽四重奏団
 ショスタコーヴィチ(1906-1975)と同世代の作曲家たちによる弦楽四重奏曲を集めたシリーズの第1 集です。全部で4 巻となる予定のこのシリーズ、まずは、ショスタコーヴィチの中期の傑作4 曲と、少し前の世代に属するミャスコフスキー(1881-1950)の作品で幕を開けます。1950 年代から1960 年にかけて書かれたショスタコーヴィチの4 つの弦楽四重奏曲は、少しずつ圧力を増してくる政策と、自らの身の置きどころについて苦悩した彼の逡巡が透けて見えてくるような作品群で、その諸々の思いは、有名な「第8 番」で見事に結実します。ミャスコフスキーの作品は、彼がなくなる1 年前に作曲されたもので、全体的な暗さはあるものの、まだ抒情性を持ち、聴きやすいと言えば聴きやすいでしょう。日本でも人気の高いパシフィカ弦楽四重奏団の納得の演奏です。
 録音 2010 年7 月24-25 日,9 月3-5 日, 2011 年1 月31 日,2 月1 日,5 月14-15 日イリノイ フォーリンジャー・グレート・ホール



CDR-90000130
(2CD)
\2000→\1890
パシフィカ弦楽四重奏団 ソ連の経験第2集
<CD1>
 ショスタコーヴィチ(1906-1975):
  1-4.弦楽四重奏曲第1番ハ長調 Op.49/
  5-8.弦楽四重奏曲第2番イ長調 Op.68/
  9-12.弦楽四重奏曲第4番ニ長調 Op.83/
<CD2>
  1-5.弦楽四重奏曲第3番ヘ長調 Op.73/
  6-8.プロコフィエフ(1891-1953):弦楽四重奏曲第2番ヘ長調Op.92
パシフィカ弦楽四重奏団
 ショスタコーヴィチと同世代の作曲家たちによる弦楽四重奏曲を集めたシリーズの第2集です。
 この第2集は第二次世界大戦を取り巻く時代、1938年から1949年に書かれた5つの作品を集めています。交響曲の作曲については、政府からの弾圧を受け、思い通りのものが書けなかったショスタコーヴィチですが、弦楽四重奏ではその鬱憤を晴らすかのように、思いのたけを楽譜に叩き付けていることで知られています。1938年に書かれた第1番は、交響曲第5番の発表(かなり政府に阿た作風を取らざるを得なかった)後の作品であり、第2番はその6年後に書かれた重苦しい作風が特徴。第3番はシニカルで、第4番は批判を恐れ初演を遅らせたというエピソードがあります。どれも多くの問題を内包する作品ですが、それ自体は驚くほどの深化を見せる、ショスタコーヴィチの最高傑作の集合体です。プロコフィエフの第2番も、戦争によって地方都市へ退去させられた彼が、当地の民謡をベースに独自の味付けをして書き上げたものです。全てパシフィカ弦楽四重奏団による納得の演奏。第1集(CDR90000127)も大好評です。
 録音 2011年11月24-25日…CD1:1-8, 2010年7月23-24日…CD2:1-5, 2011年8月29-31日…CD1:9-12,CD2:6-8 イリノイフォーリンジャー・グレート・ホール

 


CDR90000139
\2000→\1890
ヴァイオリン・ララバイ
 1.ブラームス:子守歌 Op.49-4/
 2.イザイ:子どもの夢 Op.14/
 3.レビコフ:子守歌 第1番 Op.7…*/
 4.エイミー・ビーチ:子守歌 第2番 Op.40/
 5.シュワップ:スコットランドの子守歌…*/
 6.レスピーギ:子守歌/
 7.ガーシュウイン:ポーギーとベスより「サマータイム」/
 8.ファリャ:スペインの民謡組曲より 第5番「ナナ(子守歌)」/
 9.フォーレ:子守歌 Op.16/
 10.シベリウス:子守歌 Op.79-6/
 11.ポーリーヌ・ヴィアル=ガルシア:子守歌/
 12.ホヴァネス:オロール(子守歌) Op.1/
 13.ストラヴィンスキー:火の鳥より子守歌/
 14.ラヴェル:フォーレの名による子守歌/
 15.レベッカ・クラーク:子守歌/
 16.シューベルト:子守歌 D498 Op.98-2/
 17.シューマン:アルバムの綴り Op.124-16「子守歌」/
 18.デュロゾワール:子守歌/
 19.グリーグ抒情表曲集 Op.38-1ゆりかごの歌/
 20.アントセフ:子守歌…*/
 21.R.シュトラウス:子守歌 Op.41-1…*/
 22.シヴォリ:子守歌 Op.30…*/
 23.ベラール:小さな女王のための子守歌/
 24.ウィリアム・グラント・スティル:母と子 /
 25.レーガー:Op.79d-1「子守歌」
  *…ヴァイオリン版世界初録音
レイチェル・バートン・パイン(ヴァイオリン)/
マシュー・ヘイグル(ピアノ)
 名手レイチェル・バートン・パインはプライヴェートにおいて、2011年9月に母になったばかり。その輝くばかりの喜びと深い愛情を反映させたこの25曲の子守歌が詰まったアルバムは、世界中の「母と子」へのまたとない贈り物となることでしょう。もっともシンプルな子守歌は母親が乳児をあやしながらハミングするものであり、またゆりかごを揺らしながら歌って聞かせるもの。
 子どもたちは、それを記憶の片隅にしまいこみ、大人になってから懐かしく思い出すのです。このアルバムの子守歌は、芸術的でありながらもきわめて素朴であり、たくさんの人の幸せを願いながらヴァイオリンでそっと奏されています。世界初録音も含まれています。



レイチェル・バートンの1990年代後半のアルバム。

CEDILLE RECORDS
CDR90000 041
\2000→¥1890
「悪魔の楽器」
 サン=サーンス:死の舞踏
 タルティーニ:ソナタト短調「悪魔のトリル」
 リスト:メフィスト・ワルツ/
 バッジーニ:ゴブリンのロンド
 ベルリオーズ:幻想交響曲から魔女大集会の夜の夢/
 ファリャ:「恋は魔術師」から恐怖の踊り
 エルンスト:シューベルトの「魔王」による大奇想曲/
 パガニーニ:魔女
 ストラヴィンスキー:「兵士の物語」〜悪魔の踊り
 サラサーテ:ファウスト幻想曲
レイチェル・バートン(Vn)
パトリック・シノジク(P)

CEDILLE RECORDS
CDR90000 032
\2000→¥1890
ヘンデル:「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ集」
 ソナタ
 (イ短調HWV361、ニ短調HWV359a、ヘ長調HWV370、ト短調HWV359、
 イ短調HWV372、ト短調HWV368、ニ短調HWV371)
 アレグロ ハ短調HWV408/アンダンテ イ短調HWV412
レイチェル・バートン(Vn)
デーヴィッド・シュラーダー(Cem)
ジョン・マーク・ロゼンダール(Vc)


 

CDR90000140
\2000→\1890
カルロス・チャベス:ピアノ協奏曲 他
 1-3.チャベス(189-1978):ピアノ協奏曲/
 4.チャベス:瞑想曲/
 5.ホセ・パブロ・モンカーヨ(1912-1958:ムロス・ベルデ(緑の壁)/
 6.サミュエル・ジーマン(1956-):創作主題による変奏曲
ホルヘ・フェデリコ・オソリノ(ピアノ)/
メキシコ国立交響楽団/
カルロス・ミゲル・プリーエト(指揮)
 20世紀メキシコが生んだ偉大なる作曲家、カルロス・チャベス。このアルバムは、弾けるばかりのエネルギーに満ちた「ピアノ協奏曲」を中心に、いくつかの小品を組み合わせたものです。
 野性的でエネルギッシュなこのピアノ協奏曲は、1942年にニューヨークで名手ユージン・リストによって初演され非常に高い評価を受けました。
 「巨大で複雑な構成、演奏にまつわる技術的な困難を不屈の推力で解決した」まさに歴史的なパフォーマンスは作曲家の評価も押し上げ、世界的な人物として広く喧伝されるに至ったのです。ここではCedilleでおなじみのピアニスト、オソリノがこの難曲を易々と演奏。非の打ちどころのない説得力あるその音楽性をまざまざと見せつけています。

CPO

777439
\2000
フランソワ=アンドレ・ダニカン・フィリドール :「転調の技法」
 1.シンフォニア(四重奏曲) 第1番-
  フルート、2台ヴァイオリンと通奏低音のための/
 2.シンフォニア 第2番-
  オーボエ、2台ヴァイオリンと通奏低音のための/
 3.シンフォニア 第3番-
  フルート、2台ヴァイオリンと通奏低音のための/
 4.シンフォニア 第4番-
  オーボエ、2台ヴァイオリンと通奏低音のための/
 5.シンフォニア 第5番-
  フルート、2台ヴァイオリンと通奏低音のための/
 6.シンフォニア 第6番-
  フルート、2台ヴァイオリンと通奏低音のための
カメラータ・ケルン
 17世紀から18世紀のドイツに「バッハ一族」がいたように、同時期のフランスには「フィリドール一族」という有名な音楽家の家系が存在しました。
 一番名前が知られているのは、このCDの作曲家フランソワ=アンドレ(1726-1795)ですが、彼の祖父はパリのグラン・デキュリー軍楽隊のオーボエ吹きであり、また大叔父のミシェルはオトテールと共同でオーボエを開発した人です。他にも多くの音楽家を輩出したことで知られます。フランソワ=アンドレは音楽家として優れた資質を持っていましたが、本人は音楽の才能の欠如に悩んでおり、早いうちに音楽の道に見切りをつけてしまい、以降は得意としていたチェスの道を究め、現在では「チェスの名手」としての経歴の方が有名となっている面白い人でもあります。
 
777738
(SACD-Hybrid)
\3000
フェルディナンド・リース:オラトリオ「信仰の勝利」Op.157 クリスティアーネ・リボー(ソプラノ)/
ヴィープケ・レームクール(アルト)/
マルクス・シェーファー(テノール)/
マルクス・フライク(バリトン)/
ライニッシェ・カントライ/
ダス・クライネ・コンツェルト/
ヘルマン・マックス(指揮)
 「ベートーヴェンの弟子、友人」として知られるフェルディナント・リース(1784-1838)。最近、cpoレーベルとNAXOSレーベルを中心に、彼の作品の復興が著しく、ここでは師を凌駕するほどの才能に満ち溢れたピアノ協奏曲や、ピアノ・ソナタ集、8曲の交響曲を始め、優雅な室内楽曲などかずかずを聴くことができるようになりました。
 しかし、まだ声楽曲の分野ではほとんど作品が知られておらず、「まだまだ知らない曲があるのでは?」とファンが首を長くして待ち望んでいるのが現状です。指揮者ヘルマン・マックスは以前、オラトリオ「イスラエルの王」(777221-2)をリリースしていますが、今回も素晴らしいオラトリオを紹介しています。タイトルの通り、ジャン=バティスト・ルソーの詩を用いた「信仰と神の力の恵み」を歌ったもので、ホール全体が震えるほどの大きな感動を伴う力作です。
 

777756
\2600→\2290
ヴィルヘルム・ゲオルク・ベルガー:ヴィオラ協奏曲/交響曲 第4番
 1.ヴィオラ協奏曲 Op.12/
 2.交響曲 第4番 Op.30
ニルス・メンケマイヤー(ヴィオラ)/
ベルリン放送交響楽団/
ホリア・アンドレースク(指揮)
 ヴィルヘルム・ゲオルク・ベルガー(1929-1993)はルーマニア生まれの作曲家です。彼はブカレスト音楽院でヴィオラと音楽史を学び、ブカレスト・フィルハーモニー管弦楽団でヴィオラ奏者として活躍しました。
 1968年から1989年の間はルーマニア作曲家連合の秘書を務め、1991年にはブカレスト音楽院準教授に就任、同時に数々のラジオ、テレビ番組に出演し、コンサート、講演会などに出演、またエッセイや美術史まで手掛けるなど、幅広い才能をみせてます。作曲家としては、ヒンデミットの表現主義にも似た、抒情に流されることのない数値計算による音楽(フィボナッチ数列を用いることもある)などによる独自の世界を構築しています。
 24曲にのぼる交響曲の他、ヴィオラ協奏曲など管弦楽曲だけでも50曲ほどの作品が残されています。名手メンケマイヤーの渋い音色で聴くヴィオラ協奏曲は、感性の奥深くにひりひりした刺激をもたらします。
 
777799
\2000
「再びおいで!」 〜
 ダウランドの旅-ジョン・ダウランドと同世代の作曲家の音楽&レセプション

<作曲家>
 ジョン・ダウランド/ サムエル・シャイト/ ルイ・デ・マイス/
 ウィリアム・ブレード/ オルランド・ラッスス/ ヨハン・ソマー/
 ヨハン・ショップ/ ヨハン・リスト/ ガブリエル・フォークトレンダー/
 メルヒオール・ボルヒグレヴィンク/ ヤコブ・プレトリウス/
 D.J.&ミヒャエル・プレトリウス
ヤン・コボウ(テノール)/
ハンブルガー・ラッツムジーク/
シモーネ・エッケルト(指揮)
 1600年頃のヨーロッパにおいて、最も影響力の高い作曲家の一人であったジョン・ダウランド。彼は英国の宮廷リュート奏者の職を望むも、カトリック教徒であったためイングランド国教会から受け入れられず、しかたなく海外に出ることにしたのです。ニュルンベルク、ヴェネツィア、フィレンツェ、デンマークなど各地を遍歴し、その際知り合った地元の作曲家たちと交流し強い影響を与えたのでしょう。
 このアルバムには、そんな当時の「ダウランドの友人たち」の音楽を交え、この時代の音楽を楽しめるような工夫が凝らされています。ヤン・コボウの美しいテノールが時を超えた旅へと聴き手を誘います。
 
777825
(2CD)
\5200
ルイ・テオドール・グヴィ:オラトリオ「コロヌスのオイディプス」 クリスティーナ・ラッツェンベック(メゾ・ソプラノ)/
ヴィンツェンツ・ハーブ(バリトン)/
スティーブン・ロバーツ(テノール)/
ヨーゼフ・コーンウェル(テノール)/
ル・コール・ドゥ・ラ・グラン/
ソサエティ・フィルハーモニク/
カントライ・サールロワ/
ラ・グラン・ソサエテ・フィルハーモニク/
ヨアヒム・フォンテイン(指揮)
生地がドイツとフランスの係争地帯であったため(ロレーヌのゴフォンテーヌ=現ザールブュッケン)その帰属を巡って、一生苦労が絶えなかったというテオドール・グヴィ(1819-1898)のオラトリオ「コロヌスのオイディプス」世界初演盤です。彼自身はパリ音楽院への進学を望んでいたのですが、生まれた時にすでにゴフォンテーヌはプロイセンの支配下にあり、フランス市民権を獲得できずに諦めざるを得なかったようで、32歳になってようやくフランス国籍を取得しました。
 しかし、そんなに憧れたパリは彼の音楽を全く容認することもなく、やがては全く忘れられてしまいました。最近になってようやくグヴィの音楽の復興が進んできており、この劇的なオラトリオも、多くの資料を検討の上再構築されたもので、この演奏自体も非常に高く評価されています。
 

999703
\2000→\1890
ヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル:ヴァイオリン作品集
 1.ヴァイオリン・ソナタ Op.1/
 2.組曲 Op.15/
 3.カンツォーン/
 4.民謡の調べ
ウルフ・ヴァーリン(ヴァイオリン)/
ルーヴェ・デルヴィンイェル(ピアノ)
スウェーデン北部のウランゲルに生まれたペッテション=ベリエル(1867-1942)。
 既にリリースされている管弦楽作品全集(777160-2)はcpoのベスト・セラーとなっています。北欧の民族音楽を適度に取り入れたロマンティックで美しい音楽は、多くの人に愛されており、とりわけ彼自身が力を注いたピアノ曲からは、グリーグやシューマンの音楽を受け継ぐ独自の抒情性が感じられるものとして知られています。このアルバムではそんな彼の「知られざる」ヴァイオリン作品を集めたものです。ここでも民謡風なメロディを素材としながらも、新鮮で豊かな和声が感じられるユニークな作品となっています。評論家としては毒舌で知られた彼ですが、その作品には優しさが宿っています。
 
777490
(3CD)
\4200
ザンクト・ガレン教会のグレゴリアン・チャント集
<CD1>
 1.Missa in Dedicatione Ecclesiae/
 2.Aus dem Offizium des Kirchweihfestes/
 3.Die Sequenzen Notkers zu den Hauptfesten Des Kirchenjahres/
<CD2&3>
 1. Passio Domini
 (旧盤999111-2,999267-2…廃盤)
ジンクフォニカー/
ゴーデハルト・ヨッピヒ神父
発売当時、素晴らしい人気を誇ったヨッピヒ神父とジンクフォニカーによる「ザンクト・ガレン教会のグレゴリア・チャント集」を3枚セットで再発売するというもの。ザンクト・ガレン教会に残る聖歌はグレゴリオ聖歌の中でも最初期に属すると言われ、ミュンヘン音楽大学の教授でもあったヨッピヒ神父がこれを研究、解読し、そのプロジェクトに賛同したジンクフォニカーが実際の音にしたという、まさに「神と芸術のコラボレーション」がこの演奏です。もちろん学術的な興味も尽きないところですが、まずはこの深い祈りの精神と磨き抜かれた声に酔ってみたいと思います。
 


777757
(3CD)
\7800→\7190
R.シュトラウス:歌劇「無口な女」全曲 3幕
 シュテファン・ツヴァイク台本
フランツ・ハヴラータ(B)/
モニカ・シュトラウベ(A)/
アンドレアス・キンドゥシュフ(Br)/
ベルンハルト・ベルヒトルド(T)/
ユリア・バウアー(S)/
グィビー・ヤン(S)/
ティナ・ペンティネン(Ms)/
マティアス・ヴィンター(Br)/
コウタ・レーゼンネン(B)/
マルティン・ゲブラー(B) 他/
ケムニッツ歌劇場合唱団/
ロベルト・シューマン・フィルハーモニー管弦楽団/
フランク・ベールマン(指揮)
 R.シュトラウス(1864-1949)の「無口な女」。この作品が書かれた当時から、台本作家のツヴァイクのことや、内容が微妙に戦争批判をしていることと、シュトラウス自身が置かれていた微妙な地位のこともあり、なかなか演奏されにくいものであったことは間違いありません。その上、主役のモロズスを歌うバス歌手のみならず、「無口な女」であるはずのアミンタ(実はコロラトゥーラの超絶技巧が求められる役)を完璧に歌うことができる歌手もそうそう見当たらないこともあり、ほとんど上演、録音されることなく忘れられかけていたのでした。
 最近は研究も進み、また上演機会も増えてきたのは嬉しい限り。重い背景とは裏腹にとても楽しく含蓄に富んだ壮大なドタバタ劇であり、ばらの騎士を凌ぐ美しいメロディに満ちています。ハヴラータとバウアーの素晴らしい歌唱が光ります。
 

777690
(2CD)
\5200→\4790
ヴェンツァーゴ(指揮)&ベルリン交響楽団
 アントン・ブルックナー:交響曲集 第3集

  CD1.
   交響曲 第3番 ニ短調(第3稿 1889年版)/
  CD2.
   交響曲 第6番 イ長調(1881年)
ベルリン交響楽団/
マリオ・ヴェンツァーゴ(指揮)
これまでにも、ブルックナー(1824-1896)の交響曲にセンセーショナルな解釈を示してきた指揮者ヴェンツァーゴ。今回は第3番と第6番に新たな光を当てています。ここで彼が選んだオーケストラはベルリン交響楽団であり、その渋い響きは2つの作品に完全にマッチ、とりわけ「ワーグナー」の愛称を持つ第3番での鮮やかな表現力には驚くばかりで、もしブルックナーがこの曲の初演をウィーン・フィルでなく、このベルリン交響楽団で行っていたとしたら、ブルックナーの1年間自信喪失事件もなかったのではないか…と思えるほどツボにはまった演奏です。ブルックナーの全交響曲の中では比較的地味な存在である第6番も流麗さと強調されたリズムがくっきり表現されており、この曲の持つ魅力を再発見できそうな好演となっています。


旧譜
ヴェンツァーゴ/ブルックナー・チクルス第1〜3弾

777615-2
(2CD)
\5200→¥4790
ヴェンツァーゴ/ブルックナー・チクルス第1弾
 オケは
バーゼル管弦楽団
 1.交響曲第 4 番変ホ長調(第 2 稿)/
 2.交響曲第 7 番ホ長調(1881-83 年)
バーゼル管弦楽団/
マリオ・ヴェンツァーゴ(指揮)
ブルックナー(1824-1896)の交響曲については、様々な異稿版が存在し、現在でも研究が進んでいることは周知の事実です。初稿、改訂、後の人たちに拠る改編・・・。そのどれもが独自の声を挙げ、「これこそがブルックナーの真実の声」と主張し合っています。そして、演奏を聴く時には、ここ指揮者の解釈、オーケストラの音色などが加わり奥深い世界を構築していくのです。こうして、聴き手も演奏家もブルックナーから抜けられなくなるのでしょう。こちらは2002 年から2009 年までインディアナポリス交響楽団の音楽監督を務めた指揮者ヴェンツァーゴの渾身のブルックナーです。彼は以前にもバーゼル管弦楽団と「知られざるシューマン作品」の発掘を行ったことでも知られ、今回のブルックナー・ツィクルスでも何かをやってくれそうな期待が高まります。

777617-2
(2CD)
\5200→¥4790
ヴェンツァーゴ/ブルックナー・チクルス第2弾
 今回のオケはタピエラ・シンフォニエッタ
アントン・ブルックナー:交響曲全集第2集
 1.交響曲第0番ニ短調(1869年第2稿とされている版)/
 2.交響曲第1番ハ短調(1866年第1稿リンツ版)
タピエラ・シンフォニエッタ/
マリオ・ヴェンツァーゴ(指揮)
第1集(777615-2)では、バーゼル交響楽団とともに第4番と第7番を演奏、無駄を削ぎ落としたさっぱりとした音色で聴かせたヴェンツァーゴですが、彼曰く、「ブルックナーの交響曲は全て違った音色で演奏しなくてはいけない」のだそうです。彼は第2作でそれをどのように実現したか・・・。なんとオーケストラを丸ごと交換(?)してしまいました。確かにオーケストラを変えれば、否応でも違った響きが得られます。
今回のツィクルスは初期の2つの交響曲であり、ヴェンツァーゴが求めたのは、比較的簡素ですっきりした音なのでしょう。モーツァルトなども得意とするこのオーケストラからは小回りの利く、古典的で静謐の響きが導きだされることは間違いありません。ブルックナー(1824-1896)の全集を完成させるための新たな試みとしても高く評価されるのではないでしょうか。今後、重量級の音に期待も膨らみます。
Bruckner: Complete Symphonies Volume 3
777735-2
\2600→\2390
マリオ・ヴェンツァーゴ
 ブルックナー:交響曲チクルス第3集

   交響曲 第2番ハ短調(1877)
ノーザン・シンフォニア/
マリオ・ヴェンツァーゴ(指揮)
 ヴェンツァーゴの魅力あふれる「ブルックナー(1824-1896)交響曲ツィクルス」の第3弾です。今作はあまり演奏機会の多くない第2番で、「曲のスケールに合わせてオーケストラを選択する」というコンセプトを踏襲するヴェンツァーゴは、比較的規模の小さいノーザン・シンフォニアを選びました。ノーザン・シンフォニアは1958年に創立されたイギリス・イングランド北部のニューカッスル・アポン・タイン近郊のゲイツゲッド市にある室内オーケストラで、I.フィッシャー、R.ヒコックス、H.シフらが歴代の指揮を務め、現在はヴァイオリニストのトーマス・ツェトマイアーが音楽監督を務めてます。このエキサイティングかつ革新的なオーケストラからヴェンツァーゴは極めて精緻な響きを引き出すことに成功しました。

 
777754
(2CD)
\5200
ゲオルク・フィリップ・テレマン:
 ルカ受難曲(1728年)

  ソリストと合唱、管弦楽のための受難曲 TVWV5:13
ヴォルフガンク・クローゼ(T)/
マルクス・ウルマン(T)/
クリスティアン・ヒルツ(Br)/
レイモンド・スポーギス(Br)/
ティロ・ダールマン(B-Br)/
ケルン・アカデミー/
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ
後期バロック時代を代表するテレマンは(1681-1767)、ハンブルク市の音楽監督と多忙な日々を送っていました。現代もそうですが、当時のハンブルクの教会では定期的に宗教曲が演奏され、テレマンもそれに合わせて数多くの宗教曲を作曲しなくてはならず、この「ルカ受難曲」だけでも、すくなくとも11のヴァージョンがあることが知られています。1728年に作曲されたこの版は、マグデブルクで開催された、テレマンの50歳を記念する「テレマン祭り」で演奏されたもので、バロックから古典へと移り変わる時代の潮流を反映した素晴らしい作品となっています。ケルン・アカデミーとヴィレンズの説得力に満ちた演奏です。
 
777767
\2000
クルト・ヴァイル:子どものためのパントマイム「魔法の夜」 アルテ・アンサンブル
1922年11月18日、この「魔法の夜」が上演された時、会場に居合わせた聴衆たちは、その奇抜な衣装と魅力的な音楽に大熱狂しました。そしてこれを作曲したのが22歳の若者であったことにも称賛の声が湧き上がったのです。その名はクルト・ヴァイル(1900-1950)。ブレヒトとの共同作業に入るまえの、新古典派の影響が強い時期のこの作品ですが、長い間スコアが失わており、彼自身が組曲として編纂した「クオドリベット」Op.9のみが、一部の曲を伝えるだけにすぎませんでした。この初演全曲盤では、当時の人々が熱狂したポルカやワルツが次々と奏されており、この楽しくエレガントな作品の全容をようやく知ることが可能となったのです。
 

777770
\2000→\1890
アダルベルト・ギロヴェッツ:弦楽四重奏曲集
 1.弦楽四重奏曲 Op.13-1/
 2.弦楽四重奏曲 Op.29-1/
 3.弦楽四重奏曲 Op.29-2
プレイエル弦楽四重奏団
ボヘミア出身のウィーン古典派の作曲家ギロヴェッツ(1763-1850)。彼の作品は今ではほとんど演奏されることもありませんが、当時はモーツァルトと親交を結んでいたり、彼自身の作品がハイドン名義で知らぬ間に出版され大人気となっていたりと、なかなか人気者としての地位を築いていた人です。オペラ、交響曲、ピアノ協奏曲、室内楽、宗教曲など数多くの作品を出版し、晩年には自叙伝まで執筆するほどの知名度を誇ったのです。そんな彼の作品は、想像通りモーツァルト、ハイドンに似通ったものですが、時折シューベルトを先取りしているかのような先進的な部分も見えるなど、なんとも興味深い音楽です。古典派好きならぜひ一度は聞いてみてください。


旧譜
アダルベルト・ギロヴェッツのアルバム

チェコ放送ラジオサービス
CR 0590-2
\2000→\1890
ボヘミア生まれのウィーン宮廷楽長
 ヴォイチェフ・マティアーシュ・イーロヴェツの交響曲集

  [アーダルベルト・ギロヴェッツ](1763-1850):
   交響曲変ホ長調 Op.18/交響曲ニ長調 Op.9/交響曲変ホ長調 Op.8
南ボヘミア室内フィルハーモニー管弦楽団
ヤン・タリフ(指揮)
録音:2010年6月22-23日、9月27-30日、オタカル・イェレミーアーシュ・コンサートホール、 チェスケー・ブジェヨヴィツェ、チェコ
イーロヴェツはボヘミア(現チェコ)のチェスケー・ブジェヨヴィツェに生まれた作曲家。ウィーン宮廷楽長を務め、ハイドン、モーツァルトらと交流しウィーン古典派の重鎮として活躍。ロマン派にも理解を示し自分の音楽に取り込んでいきました。

NCA60231
(国内盤)
\2940
ギロヴェッツ:四つのピアノ三重奏曲
 〜明敏なる晩期古典派の名匠〜

ヴォイチェフ・マティアーシュ・イロヴェツ、
通称アーダルベルト・ギロヴェッツ(1763〜1850):
 ヴァイオリンとチェロの助奏付ピアノ・ソナタ(=ピアノ三重奏曲)
 1. ソナタ 変ホ長調 作品23-2(1790)
 2. ソナタ 変ロ長調 作品28-1(1792)
 3. ソナタ ニ短調 作品14-2(1790)
 4. ソナタ イ長調 作品22-1(1790)
トリオ・フォルテピアノ(古楽器使用)
ミリアム・アルトマン(フォルテピアノ/シュタイン1780年オリジナル)
ユリア・フーバー(ヴァイオリン) アーニャ・エンデルレ(チェロ)
NCA
60231
\1800→¥1690

 ハイ・クラシカル(後期古典派)の忘れがたい名匠、ギロヴェッツの実力は「折り紙つき」!
 モーツァルトも感嘆し、ウィーンの耳の肥えた聴衆からも愛されたセンス抜群の古典派書法。ドイツ最前線の精鋭集団による巧みな古楽器演奏で。

 ハイドンやモーツァルトたちによって完成の域にまで洗練されていった「ウィーン古典派」の音楽スタイル。巨匠中心の音楽史に従えば、それを「真に完成の域にまで導いた」のはベートーヴェンだった...ということになるのでしょうが、しかしベートーヴェンはその活動期の前半ですでに古典派様式をきわめつくしてしまい、あとは彼なりの破壊と再創造にいそしんでいたわけです。いってみれば、ベートーヴェンはあくまで自分自身と戦っていただけであって、スタイリッシュな古典派美をきわめつくす、といったようなことは、同時代の周囲の作曲家たちが好きにすればよいと思っていたのでしょう。
 だから私たちは、つまり逆に言えば、ハイドンやモーツァルトら18 世紀の作曲家たちが磨いてきた古典派様式の完成形は、ベートーヴェンと同じ頃生きていた当時の「人気作曲家」たちにこそ見出せるのです。
 なにしろ1800 年前後のウィーンにいた音楽愛好家たちは、ベートーヴェンの(当時としてはとくに)難解きわまる音楽にじっくり付き合うくらい審美眼の高い人たちだったのですから、当時のウィーンでは当然、つまらない音楽を書く作曲家はどんどん淘汰され、人気のある人物はたいへんな実力派作曲家ぞろいだったわけです。
 そのことを何より明らかに実証してくれる隠れ名匠のひとりが、このギロヴェッツ!つづくロマン派世代にとっては、整然としたソナタ形式の形式美に絶妙のウィットと機微がいたるところに織り込まれているギロヴェッツ作品は「革新のない音楽」と聴こえてしまったようですが、野心が高じて「革命に命を投じても惜しくない!」という気持ちで生きていたロマン派の芸術家たちの感覚をうのみにして、21 世紀の私たちの心を安らがせ、刺激してやまない晩期古典派の傑作にまったく意識を向けないなんて、実にもったいない話です。
 古楽復興の波に乗って、かつてはイングリッシュ・コンサートの伝説的トップ奏者たちによるザロモン四重奏団が四重奏曲の名録音を残したり、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズの「モーツァルトの同時代人たち」シリーズでもとりあげられて良好な古典派センスを「いま」の私たちにもあらためて印象づけてくれたギロヴェッツ。生前は彼の書いた交響曲がいくつか、売上増をねらった出版社たちによって「ハイドン作」として大いに売れ、レッスンを授けたモーツァルトもその作曲センスに感嘆して交響曲を演奏会でとりあげるなど、ソナタ形式を扱うセンスの良さは先人たちの折り紙つき。
 シュタイアー門下のフォルテピアノ奏者やドイツ西部の一流グループで多忙な活躍をみせる弦楽器奏者たちが、これまた絶妙の演奏センス(欧州最前線には、もはやセンスのない古楽奏者などいないかのよう...ウマいです!)で聴かせてくれるピアノ三重奏曲は、古楽器なくしては真価の伝わりにくいこのジャンルの多彩な魅力を十全に伝える名曲・充実作ぞろいです。


 

777794
\2600→\2390
カール・ハインリヒ・グラウン:復活祭オラトリオ
 (Graun WV Bv:IX 21, 20, 16, 10)
ニーナ・コウトヒリストウ(ソプラノ)/
ダグマール・サスコワ(ソプラノ)/
ヤン・コボウ(テノール)/
アンドレアス・ヴォルフ(バス・バリトン)/
ケルン・アカデミー/
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指揮)
日本ではあまり知名度が高いとは言えませんが、海外ではとても高く評価され、最近その復興の気概が高まっているカール・ハインリヒ・グラウン(1704-1759 兄ヨハン・ゴットリープも同じく作曲家)の知られざるオラトリオです。cpoでは以前から彼の作品をいくつかリリースしており、そのどれもが、この作曲家の真意を伝えるにふさわしい見事なものとして認知されています。この4曲のカンタータからなる「復活祭オラトリオ」もすっかり忘れられていた作品ですが、どれもがバッハのカンタータとの親和性を持ち、精密なメロディと複雑な対位法を駆使した素晴らしい出来栄えです。まさに壮大な発見であり、ここでもケルン・アカデミーとヴィレンズの巧みな演奏が光っています。
 

777818
(8CD)
\10800→\9990
ルイ・シュポア:ヴァイオリン協奏曲全集
CD1(999067).
 ヴァイオリン協奏曲 第2番&第5番/
CD2(999145).
 ヴァイオリン協奏曲 第3番&第6番&イ長調/
CD3(999196).
 ヴァイオリン協奏曲 第4番&第11番/
CD4(999232).
 ヴァイオリン協奏曲 第7番&第9番&第10番/
CD5(999187).
 ヴァイオリン協奏曲 第8番&第12番&第13番/
CD6(999403).
 ヴァイオリン協奏曲 第1番&第14番&第15番/
CD7(999798).
 ヴァイオリン協奏曲
 Wo09番&Wo010番、協奏曲の楽章 Wo016、ポプリ Op.23/
CD8(999751).
 2台のヴァイオリンと管弦楽のためのコンチェルタンテ 第1番 Op.48,
 第2番 Op.88.
 大ポロネーズ Op.40,ポプリ Op.59
ウルフ・ヘルシャー(ヴァイオリン)/
グンヒルト・ヘルシャー(ヴァイオリン…CD8:コンチェルタンテ)/
ベルリン放送交響楽団/
クリスティアン・フレーリヒ(指揮)
15曲あるルイ・シュポア(1784-1859)のヴァイオリン協奏曲は、すでに999657(6枚組)としてパッケージ化されていましたが、今回は以降に録音された遺作集と、ヴァイオリンのためのいくつかの小品、そして2台ヴァイオリンのための作品を収録した2枚分を付け加えて、新たなBOXセットとして販売することになりました。自身、優れたヴァイオリニストであったシュポアの協奏曲は、古典派的な明快な形式の中に、ロマン派の情緒を融合された上品で華麗な音楽です。常に新しい作風を追求していたシュポアらしく、どの曲も工夫が凝らされ、聞き手も全く飽きることがありません。ヴァイオリン・パートは一貫してドイツの名手ヘルシャーが受け持ち、フレーリヒ率いるベルリン放送交響楽団が見事なサポートを付けています。落穂拾い的な2枚のCDがまた素晴らしく、協奏曲とは違ったのびのび自由な作風が楽しめる佳品ばかりが収録されています。

DACAPO

8.226108
\2000
ファンタスマゴリア-変幻自在 〜デンマークのピアノ三重奏曲集
 1-5.ベント・セアンセン(1958-):
  ピアノ三重奏のための「ファンタスマゴリア」
   <モルト・エネルジコ/ミステリオーゾ・エ・ドルチェ/
    ドルチッシモ/ミステリオーソ・デ・メッカニコ/ドルチッシモ>/
 6-11.ハンス・アブラハムセン(1952-):
  ピアノ三重奏のための「夢の歌」
   <セレナード/アラベスク/ブルース/葬送行進曲/
    スケルツォ・ミステリオーゾ/子どものために>/
 12.ペア・ノアゴー:ピアノ三重奏のための「Spell-呪文」
コペンハーゲン・トリオ・コン・ブリオ
録音 2011年5月19-20日 コペンハーゲン,デンマーク王立音楽アカデミー
 3人のデンマークの作曲家が描く新しくも不可思議な音の世界。知らない世界で鳴き交わす鳥の声のような音で始まる、流動的で夢見るようなセアンセン。崩壊してしまったものを慈しむかのようなアブラハムセンの三重奏は、断ち切られたように音楽が終わり、深い静寂が部屋を満たすでしょう。
 ノアゴーの更に不可解な曲は、永遠に続く道の始まりのようです。
8.226109
\2000
セアン・ニルス・アイクベア:天の前に、地の前に 〜交響曲 第1番&第2番
 1-4.交響曲 第2番「天の前に、地の前に」(2010)
  <混沌として、攻撃的に/非常に性格に/
   ガラスのように/もう一度、細心に>/
 5-8.交響曲 第1番「私たちは火の中に身を投じた」(2005)
  <速く、目をこらして/テンポ Ⅰ/7.神秘的に/テンポ Ⅱ>
デンマーク国立交響楽団/
クリストフ・ポッペン(指揮)
 ドイツ系デンマークの作曲家、ニルス・アイクベア(1973-)の交響曲集です。「作曲家としての公式の資格は持っていない」と語る彼ですが、その滾々と湧き出るアイデアは留まることを知らず、自らの探究心のみで管弦楽曲の作曲技法をマスターしたと言います。第1番の交響曲のアイトルはゴスペルからの引用であり、これは怠惰な生活を送る人類への警鐘とも言える作品です。
 第2番は、彼がイタリアに留学したときにインスピレーションを受け書かれたもので、タイトルは老子の「老子道徳経」からとられたものです。バッハから現代音楽まで、その知的な解釈で人気の高いクリストフ・ポッペンによる納得の演です。
 
Riisager: Violin Works
6.220594
(SACD-Hybrid)
\2200
クヌドーゲ・リーサゲル:ヴァイオリン作品集
 1.ブリッコナータ/2.水彩画 ホ長調/3.パラヴァス/
 4.ロマンス ハ長調/5.メヌエット/6.伝承曲による子守歌/
 7-9.ヴァイオリン・ソナタ 第2番 Op.5/
 10-12.2台のヴァイオリンのためのソナタ Op.55b/
 13-15.コンチェルティーノ Op.28a
ヨハンネス・ソー・ハンセン(ヴァイオリン)/
クリスティーナ・ビェルケ(ピアノ…1-9.13-15)/
アンネ・ソー・イワン(ヴァイオリン…10-15)/
インケリ・ヴァンスカ(ヴァイオリン…13-15)/
インゲル・ホイ(ヴァイオリン…13-15)/
クリスティアン・エレガード(ヴァイオリン…13-15)
録音 2011年12月19-21日 デンマーク王立音楽アカデミー エストニア、ポート
 デンマークの作曲家クヌドーゲ・リーサゲル(クヌーズオーエ・リスエア 1897-1974)は、父親の仕事の関係(セメント工場を経営していた)でエストニアのポルト・クンダで生まれました。その後、家族とともに帰国し、コペンハーゲン大学で政治学を学びます。同時に音楽理論も学び、大学卒業後はパリへ留学、ルーセルの弟子となります。当時の音楽を広範囲に学び1925年に帰国しますが、そのまま財務省に入省し、25年間公務員として働きます。音楽家としては、独自の作風を創り上げるまでには至りませんでしたが、彼は優れたヴァイオリニストであり、ここに収録された作品のほとんどは、彼自身のために書かれたもので、初期の習作から成熟した新古典派的な作品まで、この作曲家の音楽的発展を垣間見ることができるのではないでしょうか。
 
Vagn Holmboe: Concertos
6.220599
(SACD-Hybrid)
\2200
ヴァーフン・ホルンボー:協奏曲集
 1-2.ヴィオラ協奏曲 Op.189(1992)/
 3.管弦楽のための協奏曲(1929)/
 4-5.ヴァイオリン協奏曲 第2番 Op.139(1979)
  ※世界初録音(トラック3は世界初演)
エーリク・ヘイド(ヴァイオリン)/
ラーシュ・アネルス・トムテル(ヴィオラ)/
ノールショッピング交響楽団/
デマ・スロボデニューク(指揮)
録音 2011年6月13-17日 スウェーデン ノールショッピング デ・ゲールハレン
 ホルンボーの作風はあまりにも多岐に渡っているため、全てを一言で語ることは難しく、時として、その作品が不当に見過ごされてしまっていることもあるようです。
 ソロ楽器を伴う協奏曲もそんなジャンルの一つであり、この3つの作品の中の「管弦楽のための協奏曲」は今まで演奏されたことすらありません。ヴィオラ協奏曲は彼の晩年の作品で、イスラエルの名手リヴカ・ゴラーニのために書かれています。管弦楽のための協奏曲は、ヒンデミットとルトスワフスキの同名曲にも勝るとも劣らない見事な音楽。そして古典的な形式で書かれたヴァイオリン協奏曲も傑作です。
 
Bent Sorensen: La Notte
8.226045
\2000
ベント・セアンセン:夜
 1-7.ヴァイオリンとピアノのための「7つの憧憬」(1999)/
 8.ピアノのための「赤死病の仮面」(1989-1990)/
 9-10.ピアノ協奏曲「夜」(1996-1998)
ロルフ・ハインド(ピアノ)/
デヴィッド・アルバーマン(ヴァイオリン)/
BBC交響楽団/
ミハエル・シェンヴァント(指揮)
録音 2011年3月2日 UK サフォーク,ポットン・ホール…1-8, 2000年4月29日 ロンドン ロイヤル・フェスティヴァル・ホール…9-10
 作曲家セアンセン(1958-)は、25歳になってから専門的な音楽教育を受け、いくつかの作品を書いて注目されるも、「まだ作曲家として学び足りない」とコペンハーゲンの大学で32歳まで生徒として在籍。
 ここで徹底的に自らを鍛え上げたという人です。そんな彼の作品は、どれもまずタイトルから凝りに凝っていて、例えばエドガー・アラン・ポーの作品からヒントを得た「赤死病の仮面」は、物語をそのまま音楽にするのではなく、あくまでも象徴として描くことで、その不可思議な世界を新たに映し出しているのです。基本的に静かな音楽であり、ここから広がるイメージは無限大です。
 
8.226097
\2000
クリスチャン・フレゼリク・エミール・ホーネマン&アスガー・ハメリク:弦楽四重奏曲集
 1-4.ホーネマン:弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調(1861)/
 5.ハメリク:四重奏曲(1859)/
 6-9.ホーネマン:弦楽四重奏曲 第1番 ト長調(1859)
アーリルド弦楽四重奏団
録音 2011年6月6-9日 コペンハーゲン オペラハウス,小劇場
 この知られざるデンマークの2人の作曲家は、実はいとこ同士(2人の母親が姉妹)という関係。その上、母親たちは同じく作曲家 J.P.E.ハルトマンの妻エンマともいとこというのですから、この家系はまさに「デンマークを代表する音楽家たち」を生み出すものであったことは間違いありません。
 そんな彼らは幼い頃からごく自然に音楽に親しみ、ホーネマン(1840-1906)が12歳頃に書いた最初のオペラ「鉄のカギ」は、なんと4歳年下のハメリクの台本によるものだったというから驚きです。そんな彼らですが、大人になってからの作風は違っていて、ホーネマンの作品はグリーグ的な響き、ハメリク(1843-1923)の作品はドイツ的な響きを持っているところが興味深いものです。
 
8.226540
\2000
AUXILIARY BLUE 〜アイナー・カンディング&フランク・ブレトシュナイダー:作品集
 1.異なる種類の緊張(2012)/
 2-12.Auxiliary Blue-予備の青(2008)/
 13.困難な形&受動的なリズム(2007)
コンテンポラネア
<メンバー:
フリッツ・ゲルハルト・ベルトヘルセン(バス・クラリネット)/
デヴィッド・ヒルデブラント(パーカッション&作曲…1)/
ヘリアーネ・ブライス(ヴァイオリン)/
イリーナ=カリーナ・ゴウデヴァ(コントラバス)/
アイナー・カンディング(ライブ・エレクトロニクス)>
録音 2012年11月 コペンハーゲン ヒルデブラント・スタジオ&マロルカ・スタジオ
 すでに日本でも人気が高いフランク・ブレトシュナイダー(1956)は、演奏家,作曲家,そして映像作家であり、ドイツのエレクトロニック・ミュージック・レーベル<raster-noton>の共同設立者としても知られ、2012年には来日ツアーも開催、その独特の美学で絶大なる影響力を誇る人です。
 デンマークの作曲家カンディング(1965-)とブレトシュナイダーによる共同作業から生まれたこの3つの作品は、お互いの個性をぶつけあうことで新しい境地を開いたもの。もちろんウルトラ・ミニマリズムも健在です。注目の1枚です。
 
Niels Rosing-Schow: Peinture du temps (Painting Time)
8.226557
\2000
ニルス・ロシング=スコウ:Peinture du temps-時の絵
 1.オーボエ、バス・クラリネット、ハープ、
  パーカッション、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための
   「都市の陰の庭」(2010-2011)/
 2.メゾ・ソプラノ、クラリネット、ヴィオラ、
   パーカッション、ピアノのための「語彙 Ⅱ」(1986/1997)/
 3.フルート、ヴィオラ、ピアノのための「時のスペクトル」(2004)/
 4.フルートとチェロのための「時の刻印」(2006)/
 5.サクソフォンと弦楽四重奏のための「時の絵」(2004)
TM+/
ローラン・キュニオ(指揮…1.2.5)
録音 2012年5月24-25日…1.2, 2010年3月25-26日…3-5, デンマーク王立音楽アカデミー
 「時」を具現化することというのは、多くの芸術家や思想家たちが繰り返し試みてきたものです。このロシング=スコウ(1957-)もそんな一人。ここに収録された5つの作品は、さまざまな楽器と刻々と変化する響きを用いて「時」を音として描き出すことに成功したユニークなもの。フランスのアンサンブル「TM+」による世界初演リリースです。

GRAND PIANO


GP638
\2000
マヌエル・ポンセ:ピアノ作品全集 第1集
 1.エストレリータ(小さな星)-コンサート・メタモリフォシス/
 2.メキシコの前奏曲「シェリト・リンド」/
 3.椰子の林のそばで/
 4.メキシコのセレナード「アレバンターテ」/
 5.バレンティナ/6.月が来て/
 7.メキシコの前奏曲「お大事に」/
 8.メキシコの子守歌「ラ・ランチェリータ」/
 9.メキシコの舟歌「ソチミルコ」/10.マナニタス/
 11.メキシコのスケルツィーノ/
 12.マヤのスケルツィーノ/13.間奏曲 第1番/
 14.サロン風マズルカ 変イ長調/
 15.マズルカ ニ短調/16.スペイン風マズルカ/
 17.ロマンティックな前奏曲/
 18-19.2つの練習曲/
 20-22.ソナティネ/23-26.4つのメキシコ風舞曲
アルバロ・センドージャ(ピアノ)
録音 2012年6月28-30日 Musikart Amezketa Guipuzkoa,Spain
 マヌエル・ポンセ(1882-1948)はメキシコの作曲家、音楽教師であり、その作風は後期ロマン派風の作曲様式と新古典主義の中庸に位置しています。日本では、ハイフェッツが編曲した歌曲「エストレリータ(小さな星)」や、いくつかのギター曲が良く知られていて、どちらかというと「ギターの作曲家」として位置づけられていますが、実は彼自身が優れたピアニストであり、その作品にもピアノ曲がかなりの数を占めていることが知られていないのは、本当に残念です。
 彼の音楽の持つ魅力的なハーモニーとロマンティックな雰囲気、そしてメキシコ民謡。これらが上手く絡み合ったピアノ曲は、熱帯の空気が持つ独特の官能性と、幾許かの気怠さが感じられるステキなものばかりです。ロマンティックな彼を楽しみたければ、「エストレリータ」(これは作曲家自身によるピアノ版)や「間奏曲」、モダンな曲を楽しみたければ、「メキシコ風舞曲」ガオススメです。
 
Florent Schmitt: Complete Original Works for Piano Duet and Duo 3
GP623
\2000
フローラン・シュミット:2台ピアノと連弾のためのピアノ曲全集 第3集
 1.第163歩兵連隊の行進 Op.48-2/
 2-6.旅のページ 第1集 Op.26
  <第1番:セレナーデ/第2番:訪問/第3番:あいさつ/
   第4番:さわやかな夜/第5番:英国の舞曲>/
 7-11.旅のページ 第2集 Op.26
  <第1番:子守歌/第2番:マズルカ/第3番:愉快な行進曲/
   第4番:慣れ親しむ家に戻る/第5番:ワルツ>/
 12-17.謝肉祭の音楽 Op.22
  <第1番:パレード/第2番:ピエロのお話/
  第3番:美しきファティマ/第4番:象の訓練/
  第5番:占いの魔女/第6番:回転木馬>
  ※連弾…2-17(1は本来連弾ですが、ここでは2台ピアノで演奏しています)
インヴェンシア・ピアノ・デュオ
(ピアノ…アンドレイ・カスパロフ&
オクサーナ・ルチシン)
録音 2012年1月3日…1, 2011年1月4日…2-11, 2011年5月13日…12-17 アメリカ ヴァージニア,ノーフォーク オールド・ドミニオン大学,ウィルソン G.チャンドラー・リサイタル・ホール
 後期ロマン派から20世紀初頭における「フランス音楽」の作曲家の一人、フローラン・シュミット(1870-1958)。彼は、普段は難解な作風の曲ばかり書いているイメージがあり、また、その作品は近現代の作曲家、メシアンやデュティユーに影響を与えています。しかし、ここで聴けるピアノの連弾作品集は、どれも親しげな面持ちで聴き手の想像の世界を広げ、また音楽の楽しさを味わわせてくれるものばかりです。
 本来、軍楽隊のために書かれた「第163歩兵連隊の行進」ですが、このスコアは現在失われており、シュミットによる連弾版のみが知られている作品です。
 勇壮さの中にも戦いへの不安が刻み込まれた印象的な音楽です。「旅のページ」は音によるスケッチであり、精巧な音を用いながら、見事な絵画が描かれています。「謝肉祭の音楽」はフランスの謝肉祭の光景を描いた組曲。この時期のフランスには、公園に移動遊園地が設置され、パレードやサーカス、見世物小屋などがやってきます。魅惑的で幻想的な光景は、やはり一抹の郷愁をともないつつも、ひと時の喧騒を齎します。シュミットはそんな印象を見事な音にしています。
 
Silvestrov: Piano Works
GP639
\2000
シルヴェストロフ:ピアノ作品集
 1-7.素朴な音楽(1954-55/1993改編)
  <第1番:ワルツ/第2番:夜想曲/第3番:おとぎ話/
   第4番:牧歌/第5番:夜想曲/第6番:前奏曲/第7番:ワルツ>/
 8.使者(ピアノ・ヴァージョン)(1996/97)/
 9-10.2つのワルツ Op.153(2009)/
 11-14. 4つの小品 Op.2(2006)
  <第1番:子守歌/第2番:田園曲/
   第3番:バガテル/第4番:後奏曲>
    ※世界初録音・・・1-7.9-10
エリザヴェータ・ブルーミナ(ピアノ)
録音 2011年10月11-13日 ドイツ ベルリン=レンクヴィッツ,ジーメンスヴィラ
 最近になって、クレーメルやリュビーモフを始めとした、熱烈な「シルヴェストロフ・マニア」の尽力もあって、このウクライナの作曲家の極めて繊細な作品が知られるようになってきました。とは言え、彼の作品は本当に繊細であり、また静かな様相を湛えているので、ちょっとでも気持ちを逸らしてしまうと、この音楽の魅力…永続性を切り取った瞬間など…を捉えることは難しいでしょう。
 このアルバムには世界初録音となる初期の作品(1993年に改編された)である「素朴な音楽…Naive Music」は古典的な和声とシューベルトにも似た清明な旋律で書かれていますが、このメロディに聞き惚れていると、ふと隣に横たわる“深い闇”と“沈黙の世界”に気が付く瞬間が訪れるはず。彼の名を高めた「使者」はロシアの哲学者ドゥルスキンのテキストにインスパイアされたものですが、ここではモーツァルト風のメロディを媒体とし、音色の変化、テンポ、これらはが一体となり、聴き手は現世界と空蝉の世界を体感するのです。
  

Weinberg: Complete Piano Works Volume 4
GP611
\2000→\1890
ミェチスワフ・ワインベルク:ピアノ作品全集 第4集
 1-3.ピアノ・ソナタ 第3番 Op.31/
 4-6.ピアノ・ソナタ 第5番 Op.58/
 7-8.リュドミラ・ベルリンスカヤのための2つのフーガ…世界初録音/
 9-10.ピアノ・ソナタ 第6番 Op.73
アリソン・ブリュースター・フランツェッティ(ピアノ)
録音 アメリカ ニュージャージー,キーン大学 ジーン&シェリー・エンロウ・リサイタル・ホール 2009年11月23-25日…1-6.9-10, 2010年6月25-26日…7-8
 1939年ワルシャワ音楽院を卒業したワインベルク(1919-1996)は、第二次世界大戦の勃発に伴いソビエトに亡命します。ミンスクで過ごしている間に作曲を学び、その後ミンスクからタシュケントに再び移り結婚。私生活は激動の波にもまれるも創作活動は活発で、1944年から1946年にかけては彼の最高傑作のいくつか-ヴァイオリン・ソナタ、ピアノ三重奏曲、五重奏曲、交響曲などが次々と書き上げられます。
 1946年のピアノ・ソナタ第3番もその時期の作品で、表現と技法に確実なる進歩がみられるものです。友人の作曲家アベリオヴィチに捧げられ、ショスタコーヴィチの作品へのオマージュも見てとれます。
 第5番は1956年、第6番は1960年の作品で、更に彼らしい語法を有した名作です。
 世界初録音のフーガは、ボロディン弦楽四重奏団のチェリスト、ベルリンスキーの娘に捧げられており、思いの他穏やかな風情をもっています。
 

Florent Schmitt: Complete Original Works for Piano Duet and Duo 2
GP622
\2000→\1890
フローラン・シュミット:2台ピアノと連弾のためのピアノ曲全集 第2集
 1-8.5つの音で Op.34…世界初録音
  <ロンド/舟歌/マズルカ/ベースメント/ピレネー風舞曲/
   メロディ/田園曲/ファランドール>/
 9-16.ドイツの思い出 Op.28
  <ハイデルベルク/コブレンツ/リューベック/ヴェルダー/
   ウィーン/ドレスデン/ニュルンベルク/ミュンヘン>/
 17-24. 8つのやさしい小品 Op.41…世界初録音
  <序曲/メヌエット/シャンソン/セレナーデ/
   ヴィルレー/ボレロ/哀歌/行列>
    ※連弾…1-24
インヴェンシア・ピアノ・デュオ(ピアノ…アンドレイ・カスパロフ&オクサーナ・ルチシン)
録音 アメリカ ヴァージニア,ノーフォーク オールド・ドミニオン大学,ウィルソン G.チャンドラー・リサイタル・ホール 2011年5月18日…1-8, 2010年6月4日…9-16, 2010年7月9日…17-24
 普段は難解な作風の曲ばかり書いているイメージのあるフローラン・シュミット(1870-1958)。その作品は近現代の作曲家、メシアンやデュティユーに影響を与え、また管弦楽作品の魅力に捉えられて抜け出せなくなったファンも数多し。とにかく孤高であり晦渋な作曲家なのです…が、ここで聴ける連弾の小品たちの何とも愛らしく親しみやすいこと。「5つの音で」は彼が追求した「五音階(全音階)」を極めた曲集で、シンプルな旋律線の中にユーモアや抒情性を詰め込んだ見事な音楽です。「ドイツの思い出」はノスタルジックな美しさを持つ8つのワルツ集で、自由闊達さに溢れています。「8つのやさしい小品」は当時の現代音楽を学ぶ学生のために準備された作品で、こちらも「5つの音」の概念を根底においており、様々な時代の形式と技巧を取り入れながら、魅力的な世界を描き出すことに成功した精巧な作品群です。
 
Turk: Easy Keyboard Sonatas Collections I and II
GP629
(2CD)
\2600
ダニエル・ゴットリープ・トゥルク:
 やさしい鍵盤のためのソナタ集 コレクション 第1集&第2集

<CD1.第1集(1783)>
 1-3.ソナタ 第1番 ヘ長調 HedT99.3.1/
 4-6.ソナタ 第2番 イ短調 HedT99.3.2/
 7-9.ソナタ 第3番 ト長調 HedT99.3.3/
 10-12.ソナタ 第4番 ハ長調 HedT99.3.4/
 13-15.ソナタ 第5番 ホ短調 HedT99.3.5/
 16-18.ソナタ 第6番 ニ長調 HedT99.3.6/
<CD2.第2集(1783)>
 1-3.ソナタ 第1番 ハ長調 HedT100.4.1/
 4-6.シンフォニア 第2番 ニ長調 HedT100.4.2/
 7-9.ソナタ 第3番 変ホ長調 HedT100.4.3/
 10-12.ソナタ 第4番 ト長調 HedT100.4.4/
 13-15.ソナタ 第5番 ニ短調 HedT100.4.5/
 16-18.シンフォニア 第6番 変ロ長調 HedT100.4.6
   ※CD1:10-12.16-18以外は全て世界初録音
ミカエル・ツァルカ(ピアノ&ハープシコード) CD1:4-6.CD2:4-9.16-18…J.S.シュタイン製グランド・ピアノ(1784年), CD1:10-12.CD2:13-15…シュタイン製アップライト・グランド・ピアノ(1820年), CD1:7-9.13-15.CD2:10-12…ソデイ製グランド・ピアノ(1785年), CD1:1-3.16-18.CD2:1-3…シュディ&ブロードウッド製ハープシコード(1781年)
録音 2011年8月2-5日 アメリカ マサチューセッツ,ボストン ニュートン・センター
 前作(GP627-28)でも、その繊細かつ上品な音色で聴き手を魅了したモーツァルトと同時代の作曲家トゥルク(1750-1813)。彼の作品は当時の鍵盤奏者たちにも絶大なる影響を与えたことで知られています。学生たちの技術的なスキルを高め、なおかつ音楽性の向上を図るために彼が書いたたくさんのソナタは、現在でも十分に、学び手たちへの助言となることは間違いありません。
 まだまだ知られていない作品が数多くありますが、これらが知られていくうちに、存分に活用されるようになるかもしれません。このアルバムは、歴史的楽器の研究家でもあるミカエル・ツァルカが4台の楽器を弾き分け、その音色の違いを聞き分けるという楽しみもあるのです。未開拓の財宝を発見する喜びを。

LPO



LPO-70
\2400→\2190
ウラディーミル・ユロフスキ&ロンドン・フィル
 マーラー:交響曲 第1番 ニ長調(花の章付き)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団/
ウラディーミル・ユロフスキ(指揮)
録音 2010年12月4日 ロンドン サウスバンク・センター ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
 マーラー(1860-1911)の若々しき情熱をそのまま写し取ったかのような交響曲第1番。
 以前は「巨人」という副題(ジャン・パウルの小説からインスパイアされたもの)で呼ばれることが多かったのですが、最近はあまりその呼び名を用いることはありません。
 マーラーは最初、5楽章形式による交響詩としてこの曲を想起。その際、各々の楽章に、前述のジャン・パウルの小説から影響を受けたタイトルを付けていたのですが、何度かの改訂にともない、楽章の表題を全て外し、また第2楽章に置かれていた「花の章」も取り除き、現在普通に聴かれる形に落ち着いたのでした。
 この「花の章」は長年楽譜が行方不明でしたが、第二次世界大戦後にマーラーの弟子の家から発見され、1967年に蘇演され、その翌年にようやく出版されたのです。多くの演奏ではこの「花の章」は演奏しないのですが、とは言え、この美しさ(とりわけ主部のトランペットとヴァイオリンの掛け合いは絶品)はまことに捨てがたく、改めて聞いてみると、その素晴らしさに陶然とすることは間違いありません。
 このユロフスキーの演奏、思いの他濃厚な味付けが施されています。
 弦をたっぷり歌わせ(特に第1楽章展開部でのヴァイオリンにおける独特なポルタメントはちょっと時代がかっています)、そこに表情豊かな管を絡ませるという演奏。
 最近のすっきりとしたマーラーとは一線を画す見事なものです。



旧譜
ユロフスキ、華麗鮮烈、マーラー2番

LPO-0054
(2CD)
\2000→¥1890
マーラー:交響曲第2番「復活」 アドリアーナ・クチェローヴァ(ソプラノ)
クリスティアンヌ・ストーティン(メゾ・ソプラノ)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団
ウラディーミル・ユロフスキ(指揮)
 このオーケストラには1980年から1990年代初期に記録された、「並ぶべきものなき名演」とされる一連のテンシュテットのマーラー(1860-1911)が存在します。とは言え、21世紀に生きる者たちとしては、その伝統にいつまでも縛られているわけにはいきません。
 今回登場のユロフスキの演奏は、そんな新しいマーラー像を構築します。
 曲の冒頭から説得力のある音で聴き手を惹きつけ、めりはりのあるデュナーミク(強弱法)を用い、テンポ良く進めていきます。昔ながらの濃厚なマーラーを好む人には、若干耳慣れない部分もあるかもしれませんが、これも時代の流れなのかもしれません。
 第4楽章でストーティンが「O Roeschen rot!」と歌い始める時、聴き手の感情は地上の俗事から解き放たれ、終楽章の最後の音が消える時、全ての思いは天上へと浄化され、希望の光に満たされることでしょう。
 今を生きる全ての人に捧げるアルバムです。
 録音 2009年9月25&26日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホールライヴ録音


MYRIOS CLASSICS



MYR-9
(SACD Hybrid)
\2600→\2390
ハーゲン弦楽四重奏団
 ベートーヴェン(1770-1827):弦楽四重奏曲集

 1-4.弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 Op.18-3
 5-8.弦楽四重奏曲 第5番 イ長調 Op.18-5
 9-12.弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 Op.135
ハーゲン弦楽四重奏団
 まさにかくあるべし。ハーゲン弦楽四重奏団の赫赫たるベートーヴェン
 録音 2012年10月…ベルリン,ジーメンスヴィラ 2012年11月…DJFカンマームジクザール

 第3番は1798年の作品で同じOp.18の6曲の中で最も最初に書かれました。古典的な形式の中に若々しい情熱が込められたもので、冒頭の憧れに満ちた楽想はまるで春の香りを伝えるかのような馥郁たる美しさを誇ります。
 第5番は1800年頃の作品。Op.18の中で第4番目に書かれたこの曲は伸びやかなメロディが横溢するモーツァルトを思わせる柔和な曲。とりわけ第2楽章のメヌエットの簡素で優しい音楽が心をくすぐります。
 第16番は1826年の作品で、ベートーヴェン最後の弦楽四重奏となります。12番から15番まで規模が大きい四重奏を書いていたベートーヴェン、ここでは古典的な4楽章の形式に戻し、極めて端正な音楽を書いています。
 最終楽章の導入部に「Muss es sein(かくあらねばならぬか)?」第1主題に「Es muss sein(かくあるべし)!」と記されていることでも知られる謎めいた作品です。
 このアルバムは、ベートーヴェンをことのほか得意とする彼らの「絶対にこうでなければならない。」と強い決断が感じられる3曲をお楽しみください。

NAXOS 1CD¥1100



8.573051
スラットキン&デトロイト交響楽団
 ラフマニノフ:交響曲 第3番 他
  1-3.交響曲 第3番 イ短調 Op.44/
  4-6.交響的舞曲 Op.45
デトロイト交響楽団/
レナード・スラットキン(指揮)
録音 2011年11月25-27日…1-3, 2012年2月9-11日…4-6 デトロイト交響楽団,オーケストラ・ホール
 ラフマニノフ(1873-1943)の交響曲第3番は、1935年6月に構想され、完成したのは翌年1936年6月6日のことでした。それはあの美しい「パガニーニの主題による狂詩曲」を作曲した2年後であり、彼が作曲した「最後の番号付き」の交響曲でもありました。第2番ほどの濃厚なロマンティシズムは感じられませんが、全体的に引き締まった流麗なメロディと、思いがけないほどの活気に満ちた楽想に溢れた魅力的な音楽です。彼が好んだ“怒りの日”のメロディももちろん顔を見せます。「交響的舞曲」は1940年作曲、ラフマニノフの最後の作品です。タイトルこそ「舞曲」ですが、各楽章には緊密な関係性があり、またテンポ設定などを考えても、この作品は「交響曲」として捉えることに何の異論もないのではないでしょうか。
 こちらの作品にも“怒りの日”のメロディが随所に引用されていて、また楽器編成は第3番とほとんど同じ、またサクソフォンの使用も印象的な作品です。
 第2番(8.572458)の濃厚な演奏でおなじみ、スラットキンとデトロイト交響楽団は、このラフマニノフの晩年の2曲にも、滴り落ちるほどにずっしりとした響きと、強いメリハリを与え、曲の持つエネルギーを光り輝く音価に転換し、聞き手につきつけます。
 

8.573032
「ベニーを待ちながら」 〜ベニー・グッドマンを讃えて
 1-3.プーランク(1899-1963):
  クラリネット・ソナタ HP184(1962)/
 4-5.バーンスタイン(1918-1990):
  クラリネット・ソナタ(1941-1942)/
 6-8.ガーシュウィン(1898-1937):
  3つの前奏曲(J.コーン編)(1926/1987)/
 9-11.ストラヴィンスキー(1882-1971):
  クラリネット独奏のための3つの小品(1918)/
 12-19.モートン・グールド(1913-1996):
  ベニーズ・ギグ(1962/1979)
  <ゆっくり、そしてノスタルジックに/
   活発に、ドライブ感をもって/とてもゆっくり、そして躊躇いがちに/
   活発に/ゆっくりと/カリプソ・セレナーデ:ほどよく動いて/
   ゆったりと動いて/陽気に>/
 20-22.バルトーク(1881-1945):
  コントラスツ BB116/SZ111(1938-1940)
ジュリアン・エルヴェ(クラリネット)/
モード・ロヴェ(ヴァイオリン)…20-22/
ジーン=ヒサノリ・スギタニ(ピアノ)…1-8.20-22/
イン・ライ=グリーン(コントラバス)…12-19
録音 2011年7月25-28日 フランス,コンセルヴァトワール・ドゥ・パリ
 クラリネット界の巨匠、「スウィングの王様」ベニー・グッドマン(1909-1986)。彼はスウィング・ジャズの代表的存在であり、伝説的なバンドリーダーですが、クラシック音楽にも深い愛情を注いでおり、例えばモーツァルトの「クラリネット協奏曲」などの録音も存在し、また同世代であったバルトークとは親しい友人で、このアルバムに収録されている「コントラスツ」を献呈された時は、ヴァイオリニストのシゲティとともにこの曲を録音、これはNAXOSでも聴くことができる歴史的名演として存在しています(8.111343)。そんなグッドマンに触発された作曲家は数多く、例えばバーンスタインは自作の「前奏曲とフーガ」を捧げていますし、映画音楽で知られるモートン・グールドもグッドマンの友人で、彼のために2つの作品を書いています。プーランクのソナタは厳密にはグッドマンに捧げられたものではありませんが(オネゲルの墓前に捧げられたとされる)初演はバーンスタインの伴奏でグッドマンが行っています。ガーシュウインの「前奏曲」はジェームズ・コーンがグッドマンのためにクラリネット用に編曲したものです。
 


8.572750
サン=サーンス:ヴァイオリンとピアノのための作品集 第1集
 1-4.ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75
 5.子守歌 Op.38/
 6.エレジー Op.160/
 7.エレジー Op.143/
 8-9.サラバンドとリゴドン Op.93/
 10.ロマンス Op.37/
 11.振り子時計のアリア イ短調/
 12-14.三部作 Op.136
  <はじまり/コンゴの幻想/おかしなこと>
ファニー・クラマジラン(ヴァイオリン)/
ヴァニャ・コーエン(ピアノ)
録音 2011年6月13-15日 UK モンマス,ウィアストン・コンサート・ホール
 様々なジャンルに多くの作品を残したサン=サーンス(1835-1921)ですが、かつて彼は、ヴァイオリニストの友人に「私は室内楽以上に好きなものはない」と手紙を書き送ったほどに、このジャンルを愛していました。その中でも、ヴァイオリンのための作品には驚くほどの情熱が込められています。なかでもマルタン・マルシックに捧げられたヴァイオリン・ソナタ第1番は、4つの部分が切れ目なく演奏される、力強く美しいメロディに充たされた音楽です。元々ピアニストとしても素晴らしい能力を有していた彼、これらの作品のピアノ・パートの充実ぶりにも目を見張るものがあります。
 1912年に書かれた「三部作」は晩年の彼が至った境地を示すかのような深みを有しています。
 印象派の音楽が世を風靡していた時代、このような音楽を書いていた彼は時代遅れなのでしょうか?それとも信念を貫いた人なのでしょうか?演奏するのは、度々の来日ですっかり人気者となったファニー・クラマジラン。しっとりとした美音がサン=サーンスの魅力を引き出しています。
 

8.572979
ドビュッシー:4手のためのピアノ作品集
 1-4.小組曲(1888-1889)
  <小舟にて/行列/メヌエット/バレエ>/
 5.スコットランド行進曲(昔のロス伯爵家の人々の行進曲)(1890年第1稿)/
 6-11. 6つの古代の墓碑銘
  <夏の嵐の神、パンに祈るために/無名の墓のために/
  夜が幸いであるために/カスタネットを持つ舞姫のために/
  エジプト女のために/朝の雨に感謝するために>/
 12-15.第1組曲(連弾版)
 <祭り/バレエ/夢/行進とバッカナール>
ジャン・ピエール・アルマンゴー(ピアノ)/
オリヴィエ・シャズ(ピアノ)
録音 2012年3月12-14日…5-15, 2012年7月4日…1-4 フランス イヴリー=シュル=セーヌ ピエール・マルボス.スタジオ「4'33」
 1872年にドビュッシー(1862-1918)はパリ音楽院に入学。正式に音楽の勉強を始めます。もともとはピアニストを志していた彼ですが、2年続けて賞が取れずに諦めてしまったのです。1878年からは作曲もはじめ、いくつかの曲を書きますが、1880年にあのメック夫人の伴奏者として同行し、多大なる影響を受けたことでも知られています。この当時に書かれた曲はあまり残存していないと言われていましたが、いくつかのピアノ連弾曲が2002年に発見、出版され、若きドビュッシーの姿を再現するのに一役買っていることはご存知の通りです。
 このアルバムでは更にレアな作品「管弦楽のための組曲」のピアノ連弾版が収録されていることに注目です。1882年から1884年頃に作曲されるもずっと演奏されることなく、2008年にようやく公開されたこの作品は、バレエ組曲のようであり、ドビュッシーのインスピレーションがフルに発揮された興味深い音楽です。どちらかといえばドリーブやラロに近い曲調ですが、至るところにドビュッシーらしさが感じられる、とても楽しい仕上がりとなっています。
 

8.573041
イラ・ハーシェン:ストライク・アップ・ザ・バンド
 1.ガーシュウイン(1898-1937):
  ストライク・アップ・ザ・バンド(ハーシェン編)(1927/1987)
 2-5. J.P.スーザの主題による交響曲(1994-1997)
  <第1楽章:ワシントン・ポスト/第2楽章:雷神/
  第3楽章:美中の美/第4楽章:海を越える握手>/
 6.アーヴィング・バーリン(1888-1989):
  ショウほど素敵な商売はない(ハーシェン編)(1954/1988)/
 7-11.バンドのためのディヴェルティメント
  <ラグタイム/ブルース/マンボ・ロコ/
   スーザンの歌/小市民のための行進曲>
アメリカ空軍ヘリテージ・オブ・アメリカ・バンド…1-6/
アメリカ空軍バンド…7-11/
ローウェル・グレアム(指揮)
録音 1989年 アメリカ ボルティモア クラウスハール・アウディトリウム…1.6, 1994年2月 アメリカ ノーフォーク,チェリスラー・ホール…2-5, 2000年1月18-22日 アメリカ メリーランド・ホール・フォー・ザ・クリアティヴ・アーツ
 吹奏楽の分野では“知らぬ者のない”アイラ・ハーシェン(1948-)。アメリカで最も人気を誇り、また成功した名アレンジャーの一人です。彼は「トイ・ストーリー」や「スコーピオン・キング」などのハリウッド映画の名曲をバンドようにアレンジしたり、スーザの色とりどりのマーチを自由に構築し、驚くばかりの楽しさで聴かせる「J.P.スーザの主題による交響曲」(トラック2-5)を作り上げたり、と、ユニークな創作活動を行っています。この「交響曲」(とは言え吹奏楽の編成で書かれていますが)がとても面白いのです。
 おなじみのスーザのメロディが手を変え、品を変え現れては消えていくのですが、この過程の楽しいことと言ったら。まるで映画音楽ばりの壮大な世界観と、ひねった響き、そして何よりスーザのメロディの素晴らしさを再確認できるという、なんとも凄い1曲です。「ショウほど素敵な商売はない」のアレンジにも思わず笑ってしまうかも。
 

8.573104
ランドスケープ
 1.マイケル・トーキー(1961-):ジャベリン(M.パターソン編)(1994/1997)/
 2.トーキー:モハーヴェ(2011)/
 3.フランク・ティケリ(1958-):アメリカン・エレジー(2000)/
 4-7.ティケリ:シンプル・ギフト-4つのシェイクスピアの歌(2002)
  <第1番:さらに向こうの谷に/第2番:ダンス/
  第3番:ここでこのステキな花を摘む/
  第4番:シンプル・ギフト>/
 8.アーロン・コープランド(1900-1990):
  静かな都会(D.ハンスバーガー編)(1941/42)/
 9.コープランド:シェーカー派の主題による変奏曲(1960)
イ・ヘジュン(マリンバ)…2/
スティーヴ・レイスリング(トランペット)…8/
マーガレット・マルコ(イングリッシュ・ホルン)…8/
カンザス大学ウィンド・アンサンブル/
ポール.W.ポピエル(指揮)
録音 2012年4月1.2.21.22.23日 USA カンザス ローレンス,リード・センター・オブ・カンザス
 「風景」と題された、アメリカの吹奏楽曲で巡る様々な地域の旅の印象をタペストリーにした1枚。トーキーの「ジャベリン」はご存知、アトランタ・オリンピック委員会の委嘱によって作曲された曲(アトランタ交響楽団創設50周年の記念演奏会もかねて)で、これは1996年の夏季大会の開会式で演奏され大人気を博したものです。
 当時の公式CDも大ヒットしたものを、パターソンが吹奏楽へと編曲しています。マリンバが大活躍する「モハーヴェ」は砂漠に咲く花の美しさをミニマル風の音で讃えます。ティケリの「アメリカン・エレジー」は1999年に起きたコロンバイン高校銃乱射事件を悼んで書かれ、「シェイクスピアによる4つの作品」は自然を賛美しています。コープランドの「静かな都会」は説明不要の名曲で、「変奏曲」はティケリと同じくシェーカー教徒の歌をモティーフにしたものです。
 
フックス:弦楽四重奏曲第5番「アメリカン」/フォーリング・キャノンズ/フォーリング・トリオ(オライリー/デルレイ弦楽四重奏団/トリオ21)
8.559733
ケネス・フックス:弦楽四重奏曲 第5番(アメリカ風) 他
 1-7.落ち行くするカノン/
 8-11.弦楽四重奏曲 第5番(アメリカ風)/
 12.落下する三重奏曲(1楽章のみ) ※世界初録音
クリストファー・オライリー(ピアノ…1-7)/
デルレイ弦楽四重奏団
<メンバー:
メイ・メイ・ルー(ヴァイオリン)/
トーマス・ゴチック(ヴァイオリン)/
リチャード・フレイシュマン(ヴィオラ)/
クラウディオ・ヤフェ(チェロ)>…8-11/
ジェフリー・ビーゲル(ピアノ…12)/
キンガ・アウグスティン(ヴァイオリン…12)/
ロバート・デマイン(チェロ…12)
録音 2011年3月27日 …1-7, 2011年9月19日…12, 2012年1月23日 フロリダ ヒット・ファクトリー…8-11 USA ニューヨーク アメリカン・アカデミー・オブ・アーツ・アンド・レターズ
 ケネス・フックス(1956-)は現代アメリカ有数の作曲家の一人で、彼の作品は世界中で愛聴されています。ここでは3つの作品を収録。最初の「落ち行くカノン」はフックスの友人であるピアニスト、オライリーのために作曲されたもので、2010年に書かれた「落ち行く男」の素材がモティーフとして使われています。
 「落ち行く男」の元になったのは、デリーロの小説であり、9/11の事件の際、破壊されたワールド・トレード・センターの瓦礫に躓き、恐怖と混沌の感情に襲われた男を描いたものですが、ここからフックスは様々な音楽を導き出したのでした。トラック12のトリオも同じものから派生した曲です。弦楽四重奏曲第5番は、もう少し耳に優しい響きを持っていますが、第3楽章には同じ「落ち行く男」の素材が使われているなど、現代のアメリカの抱えるカオスを見事に表現しています。「落ち行く男」はすでに録音済とのことで、こちらも発売が待たれるところです。
 

ドアティ:ラシュモア山/ラジオ・シティ/ゴスペル・アコーディング・トゥ・シスター・エーメー(ジェイコブス/パシフィック・コラール/パシフィック響/セント・クレア)
8.559749

マイケル・ドアティ:ラシュモア山
 1-4.合唱と管弦楽のための「ラシュモア山」(2010)
  <ジョージ・ワシントン/トーマス・ジェファーソン/
   セオドア・ルーズベルト/エイブラハム・リンカーン>/
 5-7.アルトゥーロ・トスカニーニと
   NBC交響楽団による交響的幻想曲「ラジオ・シティ」(2011)
  <素晴らしき新世界/旧世界への頌歌/オン・ジ・エア>/
 8-10.オルガン、ブラスとパーカッションのための
    「シスター・エイミーによるゴスペル」(2012)
  <悪魔をノックアウト/溺れる福音史家-砂漠の踊り/約束の地へ>
   ※世界初録音
ポール・ジェイコブス(オルガン)…8-10/
パシフィック交響楽団&合唱団(…1-4のみ)/
カール・セントクレア(指揮)
録音 2010年2月4-6日…1-4, 2012年2月23-25日…5-10 USA カリフォルニア,コスタメサ ルネ・アンド・ヘンリー・セーゲルストローム・コンサート・ホール
 グラミー賞受賞!現代アメリカで最も人気を集めている作曲家マイケル・ドアティ(1954-)の最新作を含む3つの作品集です。どの作品もアメリカの発展に寄与する題材がモティーフとなっています。アメリカ合衆国建国から150年、この歴史に名を残す4人の偉大な大統領の胸像が彫られた「ラシュモア山」ですが、この彫刻が制作されたのは1927年から1941年という、大恐慌から第2次世界大戦をまたぐ激動の時代でした。ドアティは各々の大統領をイメージした4つの曲に、親しみやすいメロディと深い内容をもたせ、興味深い作品に仕上げています。
 「ラジオ・シティ」はイタリア統一150周年記念の委嘱作。1937年から1954年まで続いたNBCのラジオ番組で、トスカニーニとNBC交響楽団が演奏し、アメリカ全土で数百万人が聴いたという名番組です。この作品では演奏するトスカニーニを音でリスペクトします。「シスター・エイミー」は、1923年にフォースクエア教団を設立したエイミー・S・マクファーソン(1890-1944)を讃えた音楽。彼女のメッセージは当時のアメリカ人たちの心を動かしたことで知られています。
 

ロータ:室内楽作品集 - 三重奏曲/即興曲/トッカータ/クラリネット・ソナタ/幻想曲(ケネディ/ゼレンカ/クオ・リン/スウィーニー)
8.572778

ニーノ・ロータ:クラリネット・ソナタ&クラリネット三重奏曲 他
 1-3.クラリネット、チェロとピアノのための三重奏曲(1973)/
 4.アヴィオリンとピアノのための即興曲 ニ短調(1947)/
 5.ファゴットとピアノのためのトッカータ(1974)/
 6-8.クラリネットとピアノのためのソナタ ニ長調(1945)/
 9.ピアノのための幻想曲 ハ長調(1944-1945)
ゴラン・ゴジェヴィク(クラリネット)/
メアリー・ケネディ(ピアノ)/
クオ・リン(ヴァイオリン)/
ウィノナ・ゼレンカ(チェロ)/
マイケル・スウィーニー(ファゴット)
録音 2010年11月10-14日 カナダ放送,グレン・グールド・スタジオ
 「太陽がいっぱい」や「ゴッドファーザー」など数多くの素晴らしい映画音楽で知られるニーノ・ロータ(1911-1979)。しかし彼は「本業はあくまでもクラシックの作曲であり、映画音楽は趣味に過ぎない」と公言していました。何しろ13歳でオペラを作曲し、聖チェチーリア音楽院で学んだ後、カーティス音楽院に留学するほどの筋金入りのクラシック畑を歩み、その後も音楽教師として身を立てていたほどの人物です。
 しかし、彼の名声は、本人の意に反して映画音楽ばかりに傾いており、生前の彼にしてみればかなりの不満がたまっていたのではないでしょうか?(これはコルンゴルトやローザと同じ状況です)ようやく最近になって「クラシック作品」の存在が知られるようになってきたロータ。確かにここで聴ける数々の作品に、あの「愛のテーマ」のような究極の甘美さばかりを求めてはいけません。さあ、新たなロータの魅力をみつけてください。
 

フィビヒ:交響曲第1番/交響詩「田舎の印象」(チェコ・ナショナル響/スティレック)
8.572985
フィビヒ:交響曲 第1番
 交響曲 第1番 ヘ長調 Op.17/
 管弦楽組曲「故郷の印象」Op.54
チェコ・ナショナル交響楽団/
マレク・スティレック(指揮)
録音 20112年2月6-7日 プラハ CNSO第1スタジオ「ギャラリー」
 チェコの作曲家、ズデニェク・フィビヒ(1850-1900)は、同胞であるスメタナやドヴォルザークと共に、チェコ国民楽派の創世期を築いた人として知られています。確かに、自作にチェコ民謡や民族舞曲のリズムを取り入れたり、チェコの伝説に基いたオペラ「シャールカ」を作曲するなど、その作風は極めてチェコ風味が漂うものですが、実際に彼が生きた時代のボヘミアはオーストリア帝国の支配下にあったことや、母親がドイツ人で、ライプツィヒ音楽院で学んだことなども重ね合わせると、彼の音楽からはどうしてもドイツ・ロマン派、それもシューマンの強い影響が感じられても仕方ありません。
 そんな彼が1877年から取り組んだ交響曲第1番は、まさにシューマンらしい重厚さを有した名作です。組曲「故郷の印象」は1897年から98年にかけて書かれた曲で、各々にタイトルが付された描写的な側面も持っていますが、交響曲としても成り立つ力作で、これは次代のチェコの作曲家たちに大きな影響を与えたことでも知られています。
 
マクスウェル・デイヴィス:ストラトクライド 協奏曲第2番/チェロ・ソナタ(チェカンティ/カニーノ/イタリア放送響/マクスウェル・デイヴィス)
8.573017
マックスウェル=デイヴィス:ストラスクライド協奏曲 第2番
 1-3.チェロと管弦楽のための「ストラスクライド協奏曲」第2番(1987)/
 4-9.チェロとピアノのためのソナタ「セクエンツィア・セルペンティゲナ」(2007)
  <第1楽章:裏切り者/
   第2楽章:あなたは死すことなし/
   第3楽章:知恵を守る世界/
   第4楽章:静かに塚を抱き/
   第5楽章:不滅の訴訟/
   第6楽章:影の中で荒れ狂う>/
 10.2つの平野から「舞曲」
  (V.チェカンティによるチェロとピアノ版)(1977/1988/2007)/
 11.無伴奏チェロのための「マレンマのヴィットリオ」による小さな曲(2008)
  ※4-11…世界初録音
ヴィットリオ・チェカンティ(チェロ)/
ブルーノ・カニーノ(ピアノ)…4-10/
RAI国立交響楽団…1-3/
ピーター・マックスウェル=デイヴィス(指揮)…1-3
録音2006年9月13日 イタリア トリノ,RAIオーディトリアム…1-3 ライヴ収録/2012年5月10-11日 イタリア アゼッロ,レジストラツィオーネ・ディ・ヴァルター・ネリ スタジオ
 マックスウェル=デイヴィス(1934-)の「ストラスクライド協奏曲」とは、スコットランドのストラスクライド社から作曲を委嘱された10曲からなる協奏曲のシリーズのこと。1987年から1996年にかけて作曲され、各々オーボエ、チェロ、クラリネット、フルート、コントラバス、ファゴット、ホルンとトランペットの二重協奏曲、ヴァイオリン、ヴィオラ、木管六重奏と管弦楽の合奏による協奏曲として書かれています。曲調は全体的に渋めであり、決して一般受けするものではありませんが、この作曲家が好きな人にはたまらない世界観が広がっています。
 チェリストのチェカンティは作曲家の親しい友人であり、「セクエンツィア・セルペンティゲナ」も舞曲もチェカンティなしには成立しません。最後に置かれた小さな曲はまさにチェカンティのためのものであり、彼のプライヴェートな演奏会(バッハの無伴奏組曲第6番)が終わったあと、マックスウェル=デイヴィスが、アンコールピースとして手書きで譜面を作成したという微笑ましいものです。
 

W.F. バッハ:チェンバロ・ソナタ集 Fk. 1b, 3 and 202/2台のチェンバロのための協奏曲 Fk. 10 (ブラウン)
8.573027
W.F.バッハ:鍵盤のための作品集 第4集
 1-3.2台のハープシコードのためのソナタ(コンチェルト) ヘ長調 F.10/BR A12/
 4-6.ソナタ ハ長調 F.1b/BR A2a/
 7-9.ソナタ ヘ長調 F.202/BR A10/
 10-12.ソナタ ニ長調 F.3/BR A4
ジュリア・ブラウン(ハープシコード)/
バーバラ・ベアード(第2ハープシコード…1-3)
録音 2012年3月26-27日 アメリカ オレゴン大学,ビーオール・コンサート・ホール
 J.S.バッハ(1710-1784)の長男であり「最も才能に恵まれた」とされるヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ。しかし、ありあまる才能に溺れてしまい、努力を怠ったため、晩年は寂しくこの世を去ったという人としても知られています。そんな彼のこと、出版された作品は数が少ないのですが、どれも、感情の迸りが素晴らしい幻想的な作品として、愛好する人が多いのです。
 残された作品を見てみると、初期の作品は父の影響が強く感じられますが、少しずつ自由度が高くなり、彼の初の出版作品である「ニ長調」のソナタは、あまりにも複雑過ぎて、アマチュア愛好家たちの手には到底負えない難曲となってしまったためか、それ以降のソナタは敬遠されてしまったとも言われています。同時代からは背を向けられてしまった彼の作品ですが、今の私たちにとっては素晴らしい贈り物であることは間違いありません。


旧譜
第2集、第3集はそうでもないのだが、この第1集はすごい。
いつか紹介しなければと思いながらここまできてしまった。
これを聴けばこの作曲家が「ゴールドベルク」を作った人の息子であることを理解する。
そして同時にこのロバート・ヒルの演奏に驚嘆、人によっては狂喜するだろう。
絶対、お奨め。

W.F. バッハ:鍵盤作品集 1 (ヒル)
8.557966

W.F.バッハ:鍵盤作品集 第1 集
 12 のポロネーズ F.12/
 鍵盤のためのソナタ ニ長調 F.3/幻想曲 イ短調 F.23
ロバート・ヒル(フォルテピアノ)
大バッハが唯一認めたと言われる長男フリーデマン(1710-1784)。あまりにも多くの天分とインスピレーションを受け継いだせいか、その音楽活動は当時の因習に受け入れられず最後は貧困と無理解の内に世を去ったといわれています。ここで聴ける「12 のポロネーズ」をはじめとした一連の作品にもその特色は強く現れており、半音階的な和声進行はしばしば聴き手を驚かせるものです。ロバート・ヒルの丁寧な演奏で。

 
モーラン:チェロ協奏曲/セレナード/ロンリー・ウォーターズ/トマス・ホワイソーンの影(ジョンソン/アルスター管/ファレッタ)
8.573034
モーラン:チェロ協奏曲・セレナード 他
 1-3.チェロ協奏曲(1945)/
 4-11.セレナード ト長調(1948年原典版)
  <第1楽章:プロローグ/第2楽章:エア/
   第3楽章:インテルメッツォ/第4楽章:ギャロップ/
   第5楽章:メヌエット/
   第6楽章:リゴードン/第7楽章:フォルラーナ/
   第8楽章:エピローグ>/
 12.寂しい水(1931?)/13.ホワイソーンの影(1931)
ガイ・ジョンストン(チェロ)…1-3/
レベカー・コーフィ(ソプラノ)…12/
アルスター管弦楽団/
ジョアン・ファレッタ(指揮)
録音 2012年2月5日…4-13, 2012年2月6日…1-3 UK ベルファスト,アルスター・ホール
 アーネスト・ジョン・モーラン(1894-1950)はイギリスの作曲家です。アイルランド家系の聖職者の息子として生まれ、幼い頃よりヴァイオリンとピアノを学び、1913年に英国王立音楽大学に入学、ここではスタンフォードに作曲を学んでいます。その後第1次世界大戦に従軍しますが、ここで頭部を負傷。これが彼の生涯に暗い影を落としたと言われています。室内楽や歌曲の分野に多くの作品を残しましたが、1945年にチェリストのピアーズ・コートモアと結婚。このアルバムの「チェロ協奏曲」やチェロソナタなどの傑作が生まれました。
 セレナードは1948年に書かれた大規模な管弦楽曲ですが、初演時に「長すぎる」とされ「インテルメッツォ」と「フォルラーナ」を削除、以来6楽章で演奏されてきましたが、1996年に8楽章の原典版は出版されてからは、この当初の意向による形で演奏されるようになっています。同時期のイギリスの作曲家たちと同じく、母国の民謡に大きな影響を受けたモーランらしく、素朴で印象的なメロディが次から次へと溢れ出してくる美しい音楽です。刺激的な「さびしい水」、ホワイソーンのマドリガルに基く「ホワイソーンの影」は初期の作品であり、複雑な音楽言語を用いつつも、耳に優しい音楽と言えそうです。
 

マンチネッリ:ヴェネツィアの風景/「クレオパトラの悲劇」のための6つの交響的間奏曲(ローマ響/ラ・ヴェッキア)
8.573074
近代イタリア器楽派の先鋒
 ルイージ・マンチネッリ:ヴェネツィアの情景・クレオパトラ
  指揮はもちろん・・・ヴェッキア!

 1-5.組曲「ヴェネツィアの情景」(1989)
  <第1曲:カルノヴァーレ/第2曲:愛の宣言/
   第3曲:キオッジアへの恋人のかけおち/
   第4曲:ゴンドラで戻る/第5曲:結婚式と舞曲>/
 6-7.歌劇「クレオパトラ」-6つの交響的間奏曲より(1877)
  <第1番:序曲/第3番:戦争> ※1-5の組曲全曲…世界初録音
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア
録音 2011年12月18-19日…1-6, 2011年11月27-28日…7 ローマ アウディトリウム・デ・ヴィラ・コンチリアツィオーネ
 19世紀から20世紀にかけて、イタリアを席捲していたのは華やかなオペラでした。そんな中「器楽音楽を復興しよう」と立ち上がったのがレスピーギやカセッラ、マルトゥッチであることはよく知られています。しかし、その少し前の世代であり、この運動を発足させた作曲家マンチネッリ(1848-1921)の名前を知っている人がどのくらいいるのでしょうか?
 彼はボローニャ音楽院院長を経て、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の指揮者に就任。イタリア故国ではヴェルディやプッチーニよりもワーグナーとその系譜にあたる作品を積極的に紹介した人であり、作曲家としてもやはりワーグナー風の壮大な作品を何曲か残しています。とは言え、どちらかというと指揮者としての活動が高く評価されているためか(生地オルヴィエーロの歌劇場には彼の名が冠されている)その作品については、あまり耳にする機会が持てないのが現状でしょう。しかしながら、ここで聴く2つの作品は、まさにレスピーギを先取りするものであり、色彩的で活力に溢れたもの。埋もれさせておくには心底惜しい作曲家です。


フランチェスコ・ラ・ヴェッキア旧譜
BRILLIANTレーベルのレスピーギ

BRL94392
(2CD)
\1200
レスピーギ:管弦楽曲集第1集
 ローマの松、ローマの祭り、ローマの噴水、組曲「鳥」、
 弦楽のための組曲、オルガンと弦楽のための組曲
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア指揮、
ローマ・イタリア放送交響楽団
 

BRL94393
(2CD)
\1200
ラ・ヴェッキア&ローマ・イタリア放送響
 レスピーギ:管弦楽曲集第2集

  組曲「ブラジルの印象」、ボッティチェルリの3枚の絵、
  交響的印象「教会のステンドグラス」、
  5声の協奏曲、秋の詩、古風な協奏曲
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア指揮、
ローマ・イタリア放送交響楽
 

BRL94394
(2CD)
\1200
レスピーギ:管弦楽曲全集第3巻
 ヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲「グレゴリオ聖歌風」、
 ピアノと管弦楽のための「トッカータ」、
 チェロと管弦楽のための「アダージョと変奏」、
 劇的交響曲、ピアノと管弦楽のための「スラヴ幻想曲」
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア指揮、
ローマ交響楽団
ワジム・ブロドスキ(Vln)
アンドレア・ノフェリーニ(Vc)
キアーラ・ベルトーリオ(pf)
デシレ・スクックリア(pf)
NAXOSのカゼッラ・シリーズでベストセラーを創り上げたフランチェスコ・ラ・ヴェッキアのレスピーギ・シリーズ!

 
マクダウェル/カザルス/フィノー/ダッガン/マンディ/ヴォーン・ウィリアムズ/マウエルスベルガー:合唱作品集(ススピーリ)
8.573078
失われた都市-時を超えた哀歌
 1.チェチーリア・マクダウェル(1951-):良き主よ/
 2.パブロ・カザルス(1876-1973):おお、全ての人々よ/
 3.ドミニク・フィノー(1510-1556頃):哀歌/
 4.ベンジャミン・ブリテン(1913-1976):
  神聖と世俗 Op.91-第7番「通り過ぎるあなた」/
 5-7.ジョン・ダッガン(1963-):哀歌 Ⅰ-Ⅲ/
 8.パブロ・オルティズ(1956-):
  5つのモテットより第2番「おお、全ての人々よ」/
 9.ジョン・マンディ(1555頃-1630):ジェレミーの哀歌/
 10.ラルフ・ヴォーン=ウィリアムズ(1872-1958):おお、全ての人々よ/
 11.ルドルフ・マウエスベルガー(1889-1971):何ゆえこの町は荒れ果ててしまったのか
ミランダ・ローレンス(ソプラノ)…1./
スザンナ・フェアベアン(ソプラノ)…5-7/
ロバート・ヴァンライン(トランペット)…5-7/
ソスピーリ/
クリストフ・ワトソン(指揮)
録音 2011年8月9-12日 ルジャン,ラングドック=ルシヨン地域圏 サン・ローレン教会
 哀歌とは、旧約聖書の中の一つ「エレミアの哀歌」のことであり、紀元前586年に起きたエルサレムの陥落と神殿の破壊を嘆く預言者エレミアの書いた詩的なテキストです。全体は5つの部分からなり、第1から第4までの部分はヘブライ語のアルファベットが各連のはじめにくるように技巧を凝らされています(第5の歌は民衆の祈りです)。
 この嘆きと悲しみの感情は、後世にキリストの受難の予言の比喩ともされるなど、多くの人々の共感を得て様々な芸術作品にも反映されました。これらの闇、荒廃、混乱の強大なイメージは悲観的な感情を想起させるも、破壊からやがて希望へと繋がるものであり、悲しみを乗り越える強さをももたらしてくれるものであることも間違いありません。中世の時代から現代まで、400年以上に渡る「哀歌」の数々は聴き手の心を優しく揺さぶることでしょう。
 
チャイコフスキー:即興曲/3つの小品 Op. 9/6つの小品 Op. 21 (ヤロシンスキー)
8.573086
期待の新進演奏家シリーズ/アンドレイ・ヤロシンスキー ピアノ・リサイタル
チャイコフスキー(1840-1893):
 1.即興的カプリス ト長調/2.即興曲 変イ長調/
 3.即興曲 変イ長調「抒情的な時」(タネーエフによる完成版)/
 4-5. 2つの小品 Op.1
  <ロシア風スケルツォ 変ロ長調/即興曲 変ホ短調>/
 6-8. 3つの小品 Op.9 <夢想/サロン風ポルカ/サロン風マズルカ>/
 9-14.同一主題による6つの小品
  <前奏曲 ロ長調/4声のフーガ 嬰ト短調/即興曲 嬰ハ短調/
  葬送行進曲 変イ短調/マズルカ風 変イ短調/スケルツォ 変イ長調>
アンドレイ・ヤロシンスキー(ピアノ)
録音 2012年3月15-30日 モスクワ,ロシア国営TV&ラジオ・カンパニー 第1スタジオ
 1986年にロシアで生まれたピアニスト、アンドレイ・ヤロシンスキーの奏でる若々しく抒情的なチャイコフスキーのピアノ小品集です。
 モスクワ・チャイコフスキー音楽院でホアキン・ソリアーノ、ヴェラ・ゴルノステワらに学び、1999年のチェルニー国際コンクールをはじめ、2001年のギレリス、2002年のルービンシュタインなど、同時代の若きピアニストたちと同じく、数多くのコンクールの受賞歴を有しています。2005年のショパン・コンクールではファイナリストとなり、以降も数多くのコンクールに挑戦、やがて2011年のガバラ国際ピアノコンクールで優勝したのでした。すでに国際的な評価を受けている彼は、世界中で多くのオーケストラと共演し、その魅惑的な音楽で聴衆を幸せにしています。
 
シューマン:4つの行進曲/4つのフーガ/フゲッタ形式による7つの小品/子供のためのアルバム(ロドリゲス)
8.573094
シューマン:ピアノ小品集
 1-4. 4つの行進曲 Op.76
  <変ホ長調/ト短調/変ロ長調「野営の情景」/変ホ長調>/
 5-8.4つのフーガ Op.72/
 9-15.フゲッタ形式の7つのピアノ小品/
 16.子どものためのアルバム Op.68 第8番「乱暴な騎手」/
 17-20.子どものためのアルバム 追加作品 Wo0.16
  <隠れているカッコウ/鬼ごっこ/ワルツ/ヴェネツィアの入り江>/
 21-36.子どものためのアルバム 追加作品 Wo0.30
  <ゴンドラにて/熊のおどり/ごく小さい子どものために/
   題名なし/左手もみせましょう/題名なし/
   人形のための子守歌/謎かけ/ヘンデルの主題/
   J.S.バッハによる小品/(グルックによる小品)/
   モーツァルトによる小品/(ベートーヴェンによる小品)/
   ウェーバーによる小品/
   ベートーヴェンによる優雅なメロディ/
   シューベルトによるレントラー>/37.予感
ホァン・カルロス・ロドリゲス(ピアノ)
録音 2012年7月20-21日 バルセロナ アウディトリ・キャン・ロイ・イ・トレ
 シューマン(1810-1856)のあまり聴かれることのない小品を集めた1枚です。「4つのフーガ」は1845年の作品。当時そろそろ精神的な変調を自覚していたシューマンですが、この作品にはそのような不安は微塵もありません。「4つの行進曲」は1849年の作品ですが、この頃は住み慣れたドレスデンが革命騒ぎで大きく揺れ動き、そのためシューマン一家も静寂を求め、マクセンに移動します。
 そんな時期に書かれたこの曲は、勇壮さの中に不安が見え隠れします。1848年には子ども好きのシューマンによる「ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)」が長女マリーへの贈り物として書かれました。最初は7曲、そこに40曲を加え、第2版ではもう1曲の全43曲の小品集としましたが、出版社との兼ね合いもあり、別々に出版されています。このCDでは、興味深いWo.030の追加曲と、2007年に発見された「予感」聴くことができます。
 


ベル・カント・バリー - 伝説的オペラ興行主ドメニコ・バルバイヤの音楽遺産
8.578237

ベル・カント・バリー 〜
 伝説の名オペラ・インプレサリオ(興行主)、ドメニコ・バルバイヤを讃えて

 ロッシーニ:オペラ・アリア集
  1.「新聞」よりシンフォニア/
  2.「オテッロ」より「私は何を聞くのです?」/
  3.「オテッロ」より「柳に身を寄せて」/
  4.「エジプトのモーゼ」より「汝の星をちりばめた玉座に」/
  5.「湖上の美人」より「おお、甘い炎よ」/
  6.「湖上の美人」より「胸の思いはあふれ」/
  7.「モハメット2世」より「心配にはおよびません」/
  8.ウェーバー(1786-1826):「オイリュアンテ」より序曲/
  9.ベッリーニ(1801-1835):「海賊」より「嵐の猛威で」/
  10.ベッリーニ:「海賊」より「無駄な涙をあなたのために」/
  11.ドニゼッティ(1797-1848):「ロベルト・デヴリュー」より
   「彼女の隣で」/
  12.ドニゼッティ:「ロベルト・デヴリュー」より
   「流された血は天国へと昇っていく」/
  13.メルカダンテ(1795-1870):「エレーナ・ダ・ファルトレ」より
   「ああ、私の優しい愛」
歌い手たち:
1.チェコ・チャンバー・ソロイスツ:
クリストファー・フランクリン(指揮)/
2.フィリッポ・アダミ(T)/
3.ジェシカ・プラット(S)/
4.ロレンツォ・レガッツォ(B)
天羽明惠(S) 他/
5.マキシム・ミロノフ(T)/
6.ソニア・ガナッシ(Ms)/
7.エヴァ・ポドレス(Ms)/
8.スロヴァキア交響楽団
アルフレッド・ヴァルター(指揮)/
9-10.マルチェロ・ジョルダーニ(T)
ジョヴァンニ・グァリアルド(Br)/
11-12.ディミトラ・テオドッシュウ(S)/
13.モニカ・コロンナ(S)
収録曲の原盤: 1. 8.660277-78/2-3. 8.660275-76/4. 8.660220-21/5-6. 8.660235-36/7. 8.553543/8. 8.550146/9-10. 8.557269/11-12. 8.660222-23/13. 8.225064-65
 ドメニコ・バルバイヤ(1777-1841)はナポリを拠点とし30年間に渡ってヨーロッパ歌劇場を支配した伝説の興行主でした。彼は当時ナポリで瀕死状態にあった、サン・カルロ歌劇場の復興を足掛かりとし、すぐさま活躍の幅を広げ、ロッシーニやウェーバーなど多くの作曲家や歌手たちと契約を結び、「新しい歌劇を聴衆に届ける」というビジネスプランを構築したのです今も昔もオペラの上演には膨大な資金が必要ですが、当時のイタリアは、この敏腕興行主バルバイヤがいたおかげで、数多くの名作が生まれたと言っても過言ではありません。
 彼は「どんな作品が受けるか」ということを本能的に感じ取っていたようで、それは1815年に契約したロッシーニの活躍ぶりをみてもおわかりでしょう。しかしロッシーニは大胆にも、バルバイヤの愛人コルブランと愛の逃避行を試み、起こったバルバイヤがすぐさまドニゼッティを契約を交わしたというエピソードも知られています。そんなバルバイヤの尽力(?)で生まれた数々の作品からチョイスした名アリア集をご堪能ください。
 

ゴードン:歌劇「ラッパハンノック郡」(ウォルターズ/シャーマン/トゥール/モレーノ/ムーア/ヴァージニア芸術祝祭管/フィッシャー)
8.669028
(2CD)

リッキー・イアン・ゴードン:歌劇「ラッパハンノック郡」他
 《歌劇「ラッパハンノック郡」(2009/2010)…マーク・キャンベル詞》
 《歌曲集「遅き午後」》
《ラッパハンノック郡》
マーク・ワルターズ(バリトン)/
フェイス・シェルマン(メゾ・ソプラノ)/
マシュー・トゥエル(テノール)/
ケヴィン・モレノ(バリトン)/
アウンディ・メアリー・ムーア(ソプラノ)/
ヴァージニア・アーツ・フェスティヴァル管弦楽団/
ロブ・フィッシャー(指揮)/
《歌曲集「遅き午後」》
マーガレット・ラティモア(メゾ・ソプラノ)/
リッキー・イアン・ゴードン(ピアノ)
録音 《ラッパハンノック郡》2011年4月12.16-17日 ヴァージニア ノーフォーク,ハリソン・オペラ・ハウス/《歌曲集「遅き午後」》2011年1月25日 USA ニューヨーク,スコット・レーナー・サウンド・デザイン
 1861年、独立後のアメリカで起きた最大の内戦「南北戦争」。経済、社会、政治的な相違によって引き起こされたこの戦いを、作曲家のゴードン(1956-)は90分のオペラに仕立てあげました。もちろんこれは容易なことではなく、台本を書いたキャンベルに至っては、南北戦争に詳しい学者であるエド・エアーズの協力を仰ぎ、様々な資料…当時の写真、日記、古い楽譜や手紙なども含め…を徹底的に調べあげ、苦労の末、この作品を書きあげたと言います。上演にあたっては、一人で何役もこなす歌手をはじめとした全てのスタッフが協力の上、感動的な舞台を作り上げたことはいうまでもありません。
 歌曲集「遅き午後」はゴードンのパートナーであったジェフリー・グロッシの死を悼んで書かれた作品。悲痛な感情の中に甘美さが漂っています。
 


8.570552J
\1100
日本作曲家選輯
 山田一雄(1912-1991):

  1.大管弦楽のための小交響楽詩「若者のうたへる歌」(1937)
  2.交響的木曽 Op.12(1939)
  3-6.交響組曲「印度」(1940)
  7.おほむたから(大みたから) 作品20(1944)
ロシア・フィルハーモニー管弦楽団
ドミトリー・ヤブロンスキー(指揮)
録音: 2007年5月18-22日 モスクワ,
ロシア国営TV&ラジオ・カンパニー 第5スタジオ

全身を使ってしなやかに、時には爆発的な指揮を行う姿で知られる昭和の名指揮者山田一雄。しかし戦前の時代の彼は近代フランス風の歌曲を書き、マーラー顔負けの管弦楽作品を書く「前衛作曲家」としての名前を欲しいままにしていたことは、ようやく最近になって認知されてきたように思えます。
彼自身、戦後になって指揮者としての活動が活発になると同時に、作曲家としての側面を封印していたきらいもあり、これらの作品の再復興が山田の本意であるのかは不明ですが、今の時代に容認されるのであれば、あのいたずらっぽい笑顔で「しょうがないな」と言ってくれるに違いありません。この4つの作品に漲る多彩な表現法は、確かに彼が「大作曲家」であったことを物語るものでしょう。
 


8.573151
\1100
名匠カラブチェフスキー(指揮)&サンパウロ交響楽団
 ヴィラ=ロボス:交響曲 第3番&第4番

  1-4.交響曲 第3番「戦争」(1919)/
  5-8.交響曲 第4番「勝利」(1919)
サンパウロ交響楽団/
イザーク・カラブチェフスキー(指揮)
録音 2012年2月26日-3月5日 ブラジル サンパウロ・ホール
 ヴィラ=ロボス(1887-1959)の「戦争」と「勝利」の交響曲は、第一次世界大戦の休戦を記念するためのブラジル政府から委嘱された作品です。当時32歳の彼は、すでに「国際的なモダニズム感を持つブラジルの芸術家グループの中心人物」として位置づけられており、この依頼を受けた彼は、決して勝ち誇った態度をとることのないように細心の注意を払った上で、この2つの曲を書き下ろしたのです。第3番「戦争」では、ブラジルの国家と「ラ・マルセイエーズ」の断片が聴こえてきたり、リゴレットの苦悩のモティーフが引用されたりと、かなりコラージュ的な手法で書かれています。第4番はさらに情熱的になり、最終楽章では狂乱の真っただ中に放り込まれるかのような陶酔感に満ちています。


旧譜
カラブチェフスキー&サンパウロ交響楽団
 ヴィラ=ロボス交響曲集第1巻

8.573043
\1100
指揮は名匠カラブチェフスキー
 ヴィラ=ロボス:交響曲第6番&第7番

 1-4.交響曲第6番「ブラジルの山の稜線」(1944)/
 5-8.交響曲第7番(1945)
サンパウロ交響楽団/
イサーク・カラブチェフスキー(指揮)
 「ブラジル風バッハ」で知られる作曲家ヴィラ=ロボス(1887-1959)は、生涯に12曲の交響曲を残しました。このアルバムはNAXOSにおける彼の交響曲全集の第1作目となるものです。
 1944年に書かれた第6番はエキゾチック、かつ雄大な音楽で幕を開けます。平明さを湛えながらも一筋縄ではいかない手の込んだ音は、まさに入り組んだ山並みを思い起こさせます。第2楽章の美しさも特筆すべき点でしょう。賑やかな第3楽章を経て、これまたダイナミックな終楽章へと傾れ込む見事な展開は、まさに手に汗を握るがごとしです。その翌年に書かれた第7番は、近代的な響きに彩られた野心的な作品で、ハープや打楽器を駆使した大管弦楽の咆哮は、胸を躍らせること間違いなし。20世紀音楽をじっくり語りたいなら、必ず通らなくてはいけない道と言えそうです。

 


8.572696
\1100
ペンデレツキ:ピアノ協奏曲&フルート協奏曲
 ピアノはバリー・ダグラス

 1-10.ピアノ協奏曲「復活」(2001/2002)…2007年改編ヴァージョン/
 11-15.フルート協奏曲(1992)
バリー・ダグラス(ピアノ…1-10)/
ルーカス・ドゥルゴスツ(フルート…11-15)/
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団/
アントニ・ヴィト(指揮)
録音 2010年6月17-18日 ワルシャワ・フィルハーモニック・ホール…1-10, 2010年10月4-5日 ポーランド放送,ウィトルド・ルトスワフスキ・コンサート・ホール…11-15
 今回のペンデレツキの新録音は、なんと1986年チャイコフスキー国際コンクールの覇者バリー・ダグラスをソリストに迎えた「ピアノ協奏曲」を中心とした1枚。技巧派として知られる彼が繰り広げる華麗な音色がマッチした、およそペンデレツキの作品とは思えないプロコフィエフやラフマニノフ風の壮大なピアノ協奏曲を聴くことで最近の彼の求める方向性が見えてくるように思えてきます。
 2001年から2002年にかけて初稿が作曲され、初演はサバリッシュ指揮のフィラディルフィア管、ソリストはエマニュエル・アックスでした。2007年に改編版が作られ、ここでは作曲家自身が指揮するシンシナティ交響楽団とダグラスが演奏を担っています。全体は10の部分からなり、タイトルの「復活」には9.11からの影響も含まれているとのことで、最終部に現れる美しすぎる聖歌を耳にすると不思議な感動が呼び起されることでしょう。1992年のフルート協奏曲はペンデレツキらしさが横溢するものであり、この不定形な音の動きが却って安心できる音楽です。
 


8.572575
\1100
エルンスト:ヴァイオリン作品集
 1.魔王 Op.26/
 2.ロッシーニの主題による華麗な変奏曲 Op.4/
 3-8.無伴奏ヴァイオリンのための重音奏法の6つの練習曲/
 9.フレーズの芸術 Op.16より第14番 変ニ長調(S.ヘラー原曲)/
 10.エレジー/
 11.ヴァイオリンのためのトリオ /
 12.ヴェニスの謝肉祭 Op.18
ヨーゼフ・シュパチェク(ヴァイオリン)/
ゴードン・バック(ピアノ…2.9.10.12)
録音 2010年3月17-19日 モーンマス,ウィアストン・コンサート・ホール
 モラヴィア生まれのヴァイオリニスト、作曲家ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンスト(1812-1865)は9歳の頃からヴァイオリンを始めるもすぐに才能を発揮。神童と呼ばれるまでになりました。
 しかし1928年に衝撃的な体験…パガニーニの演奏を聴くこと…で、超絶技巧演奏に目覚め、練習風景を見せなかったと言われるパガニーニの演奏を耳コピするなどして苦心の末にその作品を再現。作曲家本人の前で「ネル・コル・ピウによる変奏曲」を演奏しパガニーニを驚愕させたというエピソードが残っています。
 そんな彼の作品はもちろんパガニーニを彷彿させるものであり、そのほとんどはオペラのメロディをトランスプリクションしたものですが、トラック1の「魔王」のような、凄すぎる技巧を誇示した作品も目立ちます。トラック12の「ヴェニスの謝肉祭」もよく知られたメロディです。
 


8.572633
\1100
キリル・カラビッツ、父イワン・カラビッツを振る!
 イワン・カラビッツ:管弦楽のための協奏曲:

  1-3.第2番(1986)/4-5.第3番「Holosinnya(嘆き)」(1989)/
  6-7.第1番「Musikalnoe prinosheniye Kievu(キエフへの音楽)」(1980-81)
   ※1-7…世界初録音
 シルヴェストロフ:
  8.エレジー(2002)/9-10.別れのセレナーデ(2003)
ボーンマス交響楽団/
キリル・カラビッツ(指揮)
録音 2010年6月14-15日 UK プール,ライトハウス
 ウクライナで生まれ、キエフ音楽院でリャトシンスキーとスコリクに学んだカラビッツ(1945-2002)。 指揮者のキリルは言うまでもなく息子。
 彼は1991年のウクライナ独立後、この国の音楽界を牽引する立場となり、キエフ音楽祭の芸術監督を務め、またキエフ・チャイコフスキー音楽院で作曲の教授として後進を指導、数々の業績を残しました。彼の作風はマーラーやショスタコーヴィチ、シチェドリンの影響を感じさせながらも、自国の民族音楽の特徴を巧みに取り入れたもので、この色彩的で、時として豊かに響き過ぎる音楽は聴き手の心をつかむことは間違いありません。
 この3つの管弦楽のための協奏曲は彼の魅力を端的に伝えるものです。そして57年という決して長くはない生涯を閉じてしまった彼のために、同胞シルヴェストロフ(1937-)が書いた2つのメモリアル…素材にカラビッツのスケッチを用いた2人の友人の親密な会話であり、とりわけ優しく包み込むような「別れのセレナーデ」のモデラートの部分は涙なくしては聞けません。


指揮者キリル・カラビッツのアルバム

 キリル・カラヴィッツはウクライナ国立歌劇場の首席客演指揮者の任に加えて、2004/2005シーズンよりストラスブール・フィルの首席客演指揮者を務め、ブダペスト祝祭管、フランス放送フィルでアシスタントをつとめた実力派の若手指揮者。日本への客演経験も持つのでご存知の方も多いと思う。
 そのカラビッツがいよいよ英国に渡りボーンマス交響楽団の首席指揮者に就任。カラビッツの時代が近づいてきているのがなんとなく肌でわかる。武闘派タイプのルックス。青年時代のベートーヴェンを思わせる風貌。




ONYX 4074
\2400→¥1990
逸材キリル・カラビッツ再登場!チャイコフスキーの交響曲第2番!
 チャイコフスキー:交響曲第2番ハ短調Op.17《小ロシア》
 ムソルグスキー:
  交響詩《はげ山の一夜》(原典版)
  組曲《展覧会の絵》(ラヴェル編)
キリル・カラビッツ(指揮)
ボーンマス交響楽団
 ボーンマス交響楽団を振った「ハチャトゥリアン(ONYX 4063)」の大成功により、新進気鋭の若手指揮者から一気に次代の名指揮者候補へと飛躍を遂げたキリル・カラビッツ。
 2008年から首席指揮者を務めている手兵、ボーンマス交響楽団とのレコーディング・プロジェクト第2弾は、前作に引き続きロシアン・プログラム、チャイコフスキー&ムソルグスキー!
 チャイコフスキーでは敢えて「後期三大交響曲」ではなく、『交響曲第2番「小ロシア(ウクライナ)」』を選曲してきたカラビッツ。
 ウクライナ、キエフ出身のカラビッツにとって、祖国の民謡が用いられたチャイコフスキーの傑作は"最も燃える"作品の1つなのだろう。

ONYX 4063
\2400→¥1990
ハチャトゥリアン:
 バレエ音楽《スパルタクス》より
  序奏とニンフの踊り、エギナとガルモジーのアダージョ、
  エギナの変奏とバッカナール、
  情景とクロタルを持った踊り、
  スパルタクスとフリーギアのアダージョ、
  ガディスの娘の踊り
 バレエ音楽《ガイーヌ》より
  友人たちの踊り、じゅうたん刺繍、レズギンカ、
  ウズンダアラ、娘たちの踊り、アイシャとガイーヌ、
  アイシャのモノローグ、山岳人の踊り、剣の舞、ゴパック
キリル・カラビッツ(指揮)
ボーンマス交響楽団
※録音:2010年7月1日−2日、ライトハウス(ドーセット/イギリス)
 ウクライナ生まれの若きマエストロ、キリル・カラビッツがボーンマス交響楽団と共にオニックス初登場!
 そして予想通り両者の快進撃は目覚しく、このハチャトゥリアンの2大バレエが本格始動したこのコンビの名刺代わりとなる!


 


8.573095
\1100
フレデリコ・デ・フレイタス:愚かな少女の踊り 他
 1.愚かな少女の踊り(1941)/2.蕩けるほどの愛の壁(1940)/
 3-8.中世組曲(1958)
  <第1番:舞踏会/第2番:セレナード/第3番:山脈/
  第4番:友情の歌/第5番:歌/第6番:吟遊詩人>/
 9.リバテージョ(1938)
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団/
アルヴァロ・カッスート(指揮)
録音 スコットランド グラスゴー,ロイヤル・コンサート・ホール 2012年8月16日…2.9, 2012年8月17日…1.3-8
 フレデリコ・デ・フレイタス(1902-1980)はポルトガルで最も成功した作曲家の一人です。彼は数多くの作品を書きましたが中でもポルトガルの伝承民話を元にしたバレエ作品で人気を集めまさに「国民的作曲家」として称えられています。このアルバムの「愚かな少女」と「愛の壁」はリスボンの人気ダンサー、ベルデガイオのために作曲されたもので溌剌とした音楽が魅力的です。
 中世組曲とリバテージョはバレエのための曲ではありませんがやはりどれも色彩的かつリズミカルです。リバテージョはリスボンの北東地域のタホ川流域の風景を描いた曲で舞曲と灼熱の夏の景観、そして農民たちの歌を描いています。
  
HANDEL, G.F.: Concerti Grossi, Op. 6 (Aradia Ensemble, Mallon)
8.557358
(3CD)
\3300
ヘンデル:合奏協奏曲集 Op.6
<CD1>
 1-5.第1番 ト長調 HWV319 /6-9.第2番 ヘ長調 HWV320/
 10-14.第3番 ホ短調 HWV321/15-18.第4番 イ短調 HWV322/
<CD2>
 1-6.第5番 ニ長調 HWV323/7-11.第6番 ト短調 HWV324/
 12-16.第7番 変ロ長調 HWV325/17-22.第8番 ハ短調 HWV326/
<CD3>
 1-6.第9番 ヘ長調 HWV327/7-11.第10番 ニ短調 HWV328/
 12-15.第11番 イ長調 HWV329/16-20.第12番 ロ短調 HWV330
アラディア・アンサンブル(ピリオド楽器使用)/
ケヴィン・マロン(指揮)
録音 2011年8月15-18日 カナダ トロント,グレース・チャーチ・オン・ザ・ヒル
 この合奏協奏曲 Op.6は、数あるヘンデル(1685-1759)の作品の中ではどちらかというとマイナーな曲集に属するものかもしれませんが、この中には18世紀最高の音楽がいくつも含まれています。
 様々な色彩的な響きと舞曲のリズム、宮廷の優美さ、コレッリなど他の作曲家たちからの影響…など興味深い要素が盛りだくさんなのです。
 ヘンデル54歳、1739年の9月から10月まで、およそ1か月足らずの期間に一気に書かれた作品で、その勢いと流麗さには思わず舌を巻くことでしょう。
 マロンの演奏は全体的にしっとりとした音色を用い、過度に華美になることのない落ち着いたものです。本来は弦楽合奏の曲ですが、1,2,5,6番ではヘンデルが付け加えたオーボエ・パートを加えて演奏しています。
 
ADLER, S.: Cantos III, VI A, X, XVI, XIX and XXI / Close Encounters / 5 Snapshots (Fulmer, Kelly, Eldan, Muroki, Iznaola, June Han)
8.559743
\1100
サミュエル・アドラー:カント集
 1.カント Ⅲ/2.カント XVI/3.カント X/
 4-6.未知との遭遇
  <偉大な熱意をもって/ゆっくり、そして抒情的に/
   速く、そして気力をもって>/
 7.カント VI A/8.カント XIX(ギター版)/
 9.カント XXI/10-14.5つのスナップショット
デヴィッド・フルマー(ヴァイオリン)…1.4-6.10-14/
ランドルフ・ケリー(ヴィオラ)…2.10-14/
エミール・エルダン(チェロ)…3.4-6.10-14/
クルト・ムロキ(コントラバス)…7/
リカルド・イズナオラ(ギター)…8/
ユン・ハン(ハープ)…9
録音 ニューヨーク ユンカーズ,オクターヴェン・スタジオ 2010年12月14日…1.2.4-7, 2010年12月15日…10-14/オハイオ オバーリン,クロニック・スタジオ 2011年5月10日…3/コロラド デンヴァー,ラモント・スクール・ミュージック・スタジオ 2011年3月19日…8/ニューヨーク ジュリアード音楽院,543号室 2011年5月1日…9
 ドイツのユダヤ人家庭に生まれたアドラー(1928-)は、11歳の時に家族とともにアメリカに亡命します。彼の父は聖歌隊のカントルであり、もともと音楽的な素養がありましたが、アメリカでヒンデミット、コープランド、トンプソンらに学ぶことで作曲家として活動することを決意、以降、アメリカの現代音楽にユダヤ音楽の伝統を加えた独特の音楽を数多く書いています。
 この一連の「カント」は、彼がイーストマンで教えている時に、同僚から「各楽器のための演奏会用練習曲」を書くように依頼されたのが発端となって書かれたもの。およそ20年の間に、21の作品を書き、ここでは弦楽器のためのもの全てが紹介されています。緊張漲る「カント」の間には、ちょっとした作品がはさまれています。
 

FAIROUZ, M.: Native Informant / Tahwidah / Chorale Fantasy / Posh / For Victims / Jebel Lebnan (Hughes, Kravitz, Barton Pine, Krakauer, Thompson)
8.559744
\1100
レイチェル・バートン・パインも参加
 モハメド・フェイルーズ:ネイティヴ・インフォーマント 他
 1.Tahwidah-子守歌(2008)/2.コラール・ファンタジー(2010)/
 3-7.無伴奏ヴァイオリンのためのネイティヴ・インフォーマント
  (土地の情報を提供する人)(2011)
  <抒情的な描写/ロンド/エジプトから/スケルツォ/
   例えばソルダットの子守歌>/
 8-10.ポッシュ(2011)<新生児用品のバラード/青い海の歌/ポッシュ>/
 11-12.犠牲者のために(2011)<プロローグ:正義の館/犠牲者の歌>/
 13-17.レバノンの山
  <第1番:バシルのマーチ/間奏曲:ナイ/
   第2番:ラメンテーション-アリエルの歌/
   第3番:舞曲と小さな歌/
   第4番:Mar Charbel's Dabkeh(アラビアの舞曲)>
    ※世界初録音
メリッサ・ヒューズ(ソプラノ)…1/
デヴィッド・クラカウアー(クラリネット)…1/
ボロメーオ弦楽四重奏団…2.11-12/
レイチェル・バートン・パイン(ヴァイオリン)…3-7/
クリストファー・トンプソン(バリテナーサックス)…8-10/
スティーヴン・スプーナー(ピアノ)…8-10/
ディヴィッド・クラヴィッツ(バリトン)…12/
イマニ・ウィンド…13-17
録音 ニューヨーク ヨンカーズ,オクタヴェン・オーディオ 2012年3月7日…3-7, 2012年3月10日…8-10, 2012年4月17日…1, 2012年5月7日…13-17, 2012年5月12日…2.11-12
 若いニューヨーク在住のアラブ系作曲家フェイルーズ(1985-)。名前が示す通り、彼の音楽には西洋の構造と中東の響きが溶け合い、これが得も言われぬ感動を齎してくれます。
 冒頭のアラビア語で「子守歌」を表すTahwidahでの、嘆きと諦めに満ちた歌声に絡みつく、妖艶なクラリネットの音色の凄惨な美しさ。この青白い光に満ちた小品を聞いただけでも、この作曲家の才能がなみなみならぬものであることを確認するのではないでしょうか?
 名ヴァイオリニスト、レイチェル・バートン・パインのために書いたという「無伴奏ソナタ」の雄弁かつ濃厚な音楽、まるでラフマニノフのようなメロディを持つ連作歌曲「ポッシュ」、レバノン内戦に触発された木管五重奏のための「レバノンの山」など、どの曲も心の底に大いなる悲哀を持ちながらも、懸命に生きる人々の姿を映し出しています。
 


マイール:歌劇「イェフタの犠牲」(ジモン・マイール合唱団&アンサンブル/ハウク)
8.572719
(2CD)
\2200

マイール:宗教的オラトリオ「イェフタの犠牲」
<CD1>1-22.第1部/
<CD2>1-21.第2部 ※世界初録音
イェフタ(ギレアデの指導者)…フラチュヒ・バセーンス(ソプラノ)/
セリア(彼の娘)…ステファニー・イラニー(メゾ・ソプラノ)/
アブネロ(セイアの婚約者、王子)…ロバト・セリアー(テノール)/
ジャッド(高僧)…ヨッヘン・クプファー(バス)/
セリアの側近とギレアデの乙女の合唱/
ジモン・マイール合唱団/
ジモン・マイール・アンサンブル/
フランツ・ハウク(ハープシコード&指揮)
録音 2009年9月1-4日 ドイツ インゴルシュタット,アザム教会,マリア・デ・ヴィクトリア
 ここ数年のジモン・マイール(1763-1845)復興の陰には、指揮者フランツ・ハウクの活躍に負うところが大きいことは言うまでもありません。
 この「イェフタの犠牲」もそんな作品の一つであり、このアルバムが世界初録音となります。この作品は作品年などの詳細は不明でありながらも、完全稿とは言えない程度の自筆譜が存在するため、数多くの人々が復元に力を注いでいて、研究もかなり進んでいるものです。
 序曲こそ明るく軽快ですが、内容はとても深刻であり、聖書の「エフタの悲劇」(ギレアドの指導官エフタは、戦いに勝利するために神と約束をする…勝利して帰宅した時に最初に出迎えたものを生贄にする…悲しきことに、彼を出迎えたのは一人娘のセリアであった)を丁寧に描いています。
 オラトリオとされていますが、まるでオペラのように、各々の登場人物の心理が描写されたドラマティックな作品です。


旧譜/モーツァルトの影
ヨハン・ジモン・マイール
モーツァルト:荘厳ミサ曲ハ長調 K C1.20(偽作)
NAXOS (1CD)8.570926 \1100

 ヨハン・ジモン・マイール(1763年 - 1845年)は、イタリアで活躍したドイツ人作曲家。バイエルン王国のメンドルフに生まれ、1787年からイタリア留学。1802年にベルガモ大聖堂の終身教会楽長に就任。同地の音楽界の中心人物となり、70曲のオペラを残した。ドニゼッティはマイールの弟子。
 そのマイールは、現在モーツァルトの作かどうか疑わしい「荘厳ミサ曲ハ長調 K C1.20」を1802 年に書き写したとされるが、その時に楽譜の表紙に「モーツァルト作」と記した。しかしこの作品が本当にヴォルフガンク・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)のものなのか、それとも彼の父親レオポルドの作品であるのか、あるいはまったく第三者の手によるものなのかは永遠の謎になってしまった。ただこの曲がマイールによって上演された時には聴衆から大絶賛を浴びたことは間違いない事実。なのでこの作品にマイールの何らかの意図、そしてモーツァルトの「影」を見ることができるかもしれない。
 一方、マイール自身による祝祭的なテ・デウムは、1805 年のミラノ大聖堂で行われたナポレオンの戴冠式のために書かれたもので、マイールの伝記作家ジローラモ・カルビが「傑作」と宣言したほどの魅力的な作品。


8.570926
\1100
モーツァルト:荘厳ミサ曲ハ長調 K C1.20(偽作)
マイール:テ・デウムニ長調
プリスカ・エセル=シュトライト(ソプラノ)/
メリット・オスターマン(アルト)/
アンドレアス・ヒルトライター(テノール)/
イェルク・シュナイダー(テノール)/
ロベルト・メルヴァルト(バス) 他/
ジモン・マイール合唱団/
フランツ・ハウク(オルガン)/
インゴルシュタット・グルジア室内管弦楽団/
フランツ・ハウク(指揮)


 

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲集 5 - 第7番, WoO 38/「仕立て屋カカドゥ」の主題による変奏曲(ジリオン・トリオ)
8.572343
\1100

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲集 第5集
 1.ピアノ三重奏曲 第11番 ト長調「W.ミュラーの
  “私は仕立て屋カカドゥ”の主題による変奏曲」 Op.121a/
 2-5.ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調「大公」Op.97/
 6-8.ピアノ三重奏曲 第9番 変ホ長調 Wo038
ニーナ・ティクマン(ピアノ)/
イダ・ビーラー(ヴァイオリン)/
マリア・クリーゲル(チェロ)
録音 209年4月 ドイツ ザントハウゼン,クララ・ヴィーク・アウディトリウム
 ベートーヴェン(1770-1827)の数多い室内楽作品の中でも、とびきりの人気を誇るのがピアノ三重奏曲第7番「大公」です。
 この大公とはベートーヴェンの弟子でありパトロンだった貴族で、1803年頃に知り合って以降、1824年までの20年あまり交友関係にあり、ベートーヴェンは彼のために、この「大公」をはじめ、ピアノ・ソナタ「告別」や「ミサ・ソレムニス」など14曲を献呈しています。大公自身も作曲を行った上に、優れたアマチュア・ピアニストであり、ベートーヴェンが心から信頼を寄せた数少ない友人の一人であったことは間違いありません。
 このアルバムは、その「大公」をメインに、第9番とされている変ホ長調の作品と、むやみに重苦しい前奏がついた楽しい変奏曲である第11番を収録。見事さの中にも、ベートーヴェンのちょっとリラックスした表情が見えるステキな1枚に仕上がっています。
<既リリースアルバム>
第1集…8.557723, 第2集…8.557724, 第3集…8.570255, 第4集…8.570943
 


ペトラッシ:ディヴェルティメント/パルティータ/聖歌四篇/コーロ・デイ・モルティ(ローマ響/ラ・ヴェッキア)
8.572411
\1100

フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)&ローマ交響楽団
 ペトラッシ:パルティータ・4つの宗教的賛歌 他

 1-4.ディヴェルティメント ハ長調/5-7.パルティータ/
 8-11. 4つの宗教的賛歌
  <第1番:イエスの甘き思い出/第2番:一日が終わる前に/
   第3番:光の創造主よ/第4番:キリストの傷を癒したまえ>/
 12.劇的マドリガル「死者の合唱」
カルロ・プテッリ(テノール…8-11)/
ダヴィデ・マルヴェスティオ(バス…8-11)/
リリコ・シンフォニコ・ロマーノ合唱団…8-12/
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
録音 ローマ アウディトリウム・ディ・ヴィア・コンキリアツィオーネ 2012年2月26-27日…1-4, 2007年3月18-19日…5-7, 2011年11月27-28日…8-12
 最近人気のカゼッラやピツェッティより少し後の世代に属するイタリアの作曲家ペトラッシ(1904-2003)。新古典派主義の影響をもろに受けた初期の作品は極めて旋律的ですが、その後無調や十二音技法を用いた作風へと移行し、これらを丹念に融合した独自の音楽を多く発表した人です。
 指揮者としても活躍し、1959年には来日もしています。長い生涯を送ったことや、新古典主義から十二音を使ったことなど、ストラヴィンスキーとの共通点も多く指摘されますが、ここでは1930年代から40年代の彼の作品に焦点を合わせることで、彼の創作の出発点を探ることにしましょう。とりわけ有名な「死者の合唱」は神秘的な美しさを備えた名曲です。



旧譜
NAXOSイタリアものでベストセラー続出!
ラ・ヴェッキアのカセッラ作品集

8.572413
¥1100
カセッラ:交響曲第 1 番ロ短調 Op.5 他
 1-3.交響曲第1 番ロ短調 Op.5(世界初録音)/
 4-6.ピアノ,ティンパニ,パーカッションと弦楽のためのOp.69
デシレ・スクックリア(ピアノ)…4-6/
アントニオ・セラヴォーロ(パーカッション)…4-6/
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
 最近、人気が復興しつつあるイタリアの作曲家、カセッラ(1883-1947)の管弦楽作品を4 枚のアルバムに収録するシリーズの第1 作です。世界初録音となる交響曲第1 番は、作曲家の23 歳の誕生日の前日に完成された作品です。パリ音楽院でフォーレに作曲を学んだ彼らしく、先人の影響も多分に認められますが、至るところに若き自信のようなものも感じられ、独自の道を切り開こうとする青年の苦悩が散りばめられているかのようです。暗く垂れこめた雲の間から光が射すかのように美しい第2 楽章に心惹かれぬ人はいないでしょう。かたや1943 年に作曲された「協奏曲」はまるで筋肉が収斂するかのようなメカニカルで躍動的な音楽です。40 年ほどの年月を経ると人はこのように変化していくのですね。しかし終楽章にはまたロマンティックな風景に立ち返ります。これが彼における原風景なのかもしれません。

8.572414
¥1100
カゼッラ:交響曲第 2 番ハ短調 Op.12 他
 1-4.交響曲第 2 番ハ短調 Op.12…世界初録音/
 5.ピアノとオーケストラのための「深夜に」Op.30bis
ユ・ソンヒ(ピアノ)…5/
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
 1910 年4 月17 日、マーラー自身の指揮による「復活交響曲」がフランスのシャトレ劇場に鳴り響きました。その時、ドビュッシーは途中で退場してしまいましたが、若き作曲家カゼッラ(1883-1947)の体は興奮で打ち震えていました。そんな強い感銘を受けたカゼッラがこの交響曲を書いたのは当然の成り行きと言えるでしょう。最初の音、そして打ち鳴らされる鐘の音。これはまさにマーラーそのもの。人間の苦悩を一身に背負ったかのような悲痛な表情を見せています(この交響曲は結局公表されることなく、すっかり忘れ去られてしまっていたものですが、あまりにもマーラーの影響が強いことに気づいた彼自身が封印してしまったのでしょうか? )。
 イタリア人でありながら、ドイツ音楽へ深く傾倒した彼の根底には、こういう事情があったようです。同じく公表されることのなかった、彼の第1 番の交響曲は、下記8.572413 で聴くことができます。

8.572415
¥1100
カゼッラ:交響曲第3番他
 1-4.シンフォニア(交響曲第3番) Op.63(1939-1940)/
 5.英雄のエレジーOp.29(1916)
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
 NAXOSのカゼッラ(1883-1947)・シリーズは回を重ねる毎に少しづつ人気が高まってきています。このアルバムには、2つの世界大戦後に書かれた2つの作品が収録されています。焼けつくような不協和音と、慟哭に満ちた「英雄のエレジー」は、第1次世界大戦の犠牲となったイタリア人兵士へのオマージュ。交響曲第3番は、、第1番、第2番の交響曲が書かれてから、およそ30年を経てから作曲されたもの。その間カゼッラは交響曲という作品を書きたいという欲求に突き動かされることがなかったとのことですが、シカゴ交響楽団の創立50周年の記念に作品を委嘱されたことで、「自分の今の思いを託すには、交響曲という形が最もふさわしい」と悟った彼は、自分の持てる力をこの第3番の交響曲へ全て注ぎ込みました。新古典派や、当時のアメリカの作曲家たちの影響も感じられますが、第2楽章の美しい部分や、スケルツォ楽章などは紛れもなくカゼッラ独特の音楽です。
Casella: Notte di maggio
8.572416
¥1100
カゼッラ:五月の夜 Op.20・チェロ協奏曲
 1.声楽と管弦楽のための「五月の夜」 Op.20…世界初録音/
 2-4.チェロ協奏曲 Op.58/
 5-9.ピアノと少管弦楽のための
  D.スカルラッティの音楽によるディヴェルティメント
  「スカルラッティアーナ」
 <シンフォニア/メヌエット/カプリッチョ/パストラーレ/終曲>
アリヴィア・アンドレイニ(メゾ・ソプラノ)…1/
アンドレア・ネフェリーニ(チェロ)…2-4/
ユ・ソンヒ(ピアノ)…5-9/
ローマ交響楽団/
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
 NAXOS レーベルが力を注ぐ、アルフレード・カゼッラ(1883-1947)の作品集。今回は声楽曲とチェロ協奏曲、そして彼が研究していたスカルラッティの音楽に基づいた管弦楽作品と、広範囲に渡る曲を収録しました。「5 月の夜」はストラヴィンスキーの「春の祭典」に触発されて書かれた作品で、不可解な月の光が広がる夜から、光溢れる夜明けまでを入念に描いています。同じくストラヴィンスキーのプルチネルラを思わせる「スカルラッティアーナ」、タイトルこそは付されていないものの、新古典主義的な音の動きを持つ1934 年に書かれたチェロ協奏曲、と、カゼッラが目指した音楽の方向が見えるような曲ばかりが選ばれています。


 

マクミラン/プーランク/ハンフォース/ハレー/スタンフォード:合唱作品集(エローラ・セント・ジョンズ合唱団)
8.572540
\1100

内省、熟考のための詩編とモテット集
 1.ウィリアム・クロチュ(1775-1847):詩編第47番/
 2.ヨハネス・エッカルト(1553-1611):マリアが教会へ行く時/
 3.ジェームズ・マクミラン(1959-):詩編第96番より「新しい歌」/
 4.アイヴァー・アトキンス(1869-1953):詩編第2番/
 5.ジョン・タヴナー(1944-):子羊/
 6.フランソワ・プーランク(1899-1963):「悔悛のための4つのモテット」より
  第2番「わが庭のぶどうは刈り取られ」/
 7.バリー・ローズ(1934-):詩編第121番/
 8.トーマス・ハンフォース(1867-1948):詩編第145番/
 9.ポール・ハリー(1952-):キリスト、その栄光は天を満たす/
 10.プーランク:「悔悛のための4つのモテットより
  「第1番「恐れおののき、われは願う」/
 11.アトキンス:詩編第96番/
 12.チャールズ・スタンフォード(1852-1924):テ・デウム・ラウダムス 変ロ長調/
 13.ジョン・スタイナー(1840-1901):神は世界を愛された/
 14.シュテファン・パウルス(1949-):巡礼者の賛歌/
 15.アトキンス:詩編第107番/
 16.エドワード・カトラー(1831-1916):詩編第27番/
 17.ジョナサン・ハーヴェイ(1939-2012):主よ、忘れたもうな/
 18.ジョージ・クーパー(1820-1876):詩編第19番
エローラ・セント・ジョンズ合唱団/
マイケル・ブロス(オルガン)/
ノエル・エジソン(指揮)
録音 2011年4月29日-5月1日 カナダ オンタリオ,聖ジョン教会
 神を賛美するための合唱曲集はなぜこんなにも真摯な思いに満ちているのでしょう。それは、プロテスタント、カトリック、東方正教会、中世の伝統に則り整然と歌い上げられるそれぞれの曲に、本当に数多くの人々の思いが宿っているからなのです。
 古くは16世紀の作品から、現代イギリス、フランス、スコットランドなどの作曲家たちの生み出した作品までその色合いは様々です。
 荘厳さと敬虔さを併せ持つこれらの曲。シンプルな響きを持つものもあれば、驚くほど複雑な対位法を有しているものもあり、その見事さには驚くばかり。神の存在を感じながら聞いてみてください。
 

ムファット:チェンバロのための組曲集(芥川直子)
8.572610
\1100
ゴットリーブ・ムッファト:ハープシコードのための組曲集
 1-7.パルティ ニ短調 MC B2/
 8.音楽作品集 第7番 ト長調 MC A19/
 9-17.組曲 イ短調「パルティア・パリジャン」MC B19/
 18-25.音楽作品集 第1番(パルティ ハ長調)MC A13
  ※1-7.9-17…世界初録音
芥川直子(ハープシコード)
録音 2012年3月13-15日 ドイツ リュクハイム,シュッツバウ
 広島に生まれ、3歳からピアノを学び16歳でハープシコード奏者に転向。桐朋学園出身で有田千代子に師事,現在はドイツを中心に活動している名奏者芥川直子。彼女はすでにNAXOSレーベルから4枚のアルバムをリリースしていて、そのどれもが古楽愛好家や研究者たちから高い評価を受けています。
 演奏の素晴らしさもさることながら、知られざる作曲家の音楽に光を当て現代に蘇らせるというという、曲への愛情の深さが人気の秘密なのかもしれません。
 今作でもほとんど知られることにない作曲家ゴットリープ・ムッファト(1690-1770)の作品を取り上げています。
 ゴットリープはザルツブルク大司教の宮廷オルガニストを務めたゲオルク・ムッファトの息子で、父と同じく音楽の道を歩み、ウィーンの宮廷聖歌隊で歌います。その後マリア・テレジアの宮廷で首席オルガン奏者として活躍。伝統を受け継いだ鍵盤作品を何曲も残しています。
 同時代のバッハやヘンデルとも交流があり、お互いに影響しあっていたことでも知られています。彼の作品の中ではトラック8の「音楽作品集 第7番」がシャコンヌとして比較的知られていますが、ここで聴くゴットリープの作品は堂々とした見事なものであり、重心の低いハープシコードの迫力ある音色と相まって、素晴らしい名曲として立ち現れています。

<既リリースアルバム>
8.570459 グラウプナー:ハープシコードのためのパルティータ集
8.572209 ストラーチェ:チェンバロ作品集
8.572307 ベンダ:ヴァイオリン・ソナタ第10番, 第14番, 第23番, 第28番, 第32番)
8.557884 ル・ルー:1台、2台のクラヴサンのための作品全集(芥川直子)
 

ホフマイスター:フルート協奏曲集 1 - 第21番, 第24番(B. マイアー/プラハ室内管)
8.572738
\1100

ホフマイスター:フルート協奏曲集 第1集
 1-3.フルート協奏曲 第24番 ニ長調/
 4-6.フルート協奏曲 第21番 ニ長調
  ※全て世界初録音
ブルーノ・マイアー(フルート)/
プラハ室内管弦楽団
録音 2011年10月4-5日 プラハ ドモヴィナ・スタジオ
 18世紀の終わり頃、最も人気を誇っていた作曲家の一人ホフマイスター(1754-1812)。彼のフルート協奏曲は全部で25曲あり、NAXOSではこの全曲の録音を開始します。
 現在、彼の名は「偉大なる音楽出版者」としても知られていて、彼は同時代の作曲家、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなど名だたる作曲家たちの作品を積極的に世に出していました。
 もちろん彼らたちと親しい友人として接していたことも間違いありません。
 そんなホフマイスター、作曲家としても多彩な作品を残しましたが、なかでもフルートのための作品は当時ウィーンに多数存在したアマチュア音楽家のために書かれたと推測され、現代でもその優雅さが愛されています。驚くほどの超絶技巧が駆使されているわけではありませんが、フルートの持つ魅力が見事に表現されています。
 

サン=サーンス:ピアノ四重奏曲/舟歌/ピアノ五重奏曲(ファイン・アーツ四重奏団/オルティス)
8.572904
\1100

サン=サーンス:ピアノ四重奏曲・ピアノ五重奏曲 他
 1-4.ピアノ四重奏曲 変ロ長調 Op.41/
 5.舟歌 ヘ長調 Op.108/
 6-9.ピアノ五重奏曲 イ短調 Op.14
ファイン・アーツ四重奏団
<メンバー:ラルフ・エヴァンス(第1ヴァイオリン…1-4.6-9)/
エフィム・ボイコ(第2ヴァイオリン…5-9)/
ニコロ・エウゲルミ(ヴィオラ)/
ロバート・コーエン(チェロ)>/
クリスティーナ・オルティス(ピアノ)
録音 2012年3月26-29日 ニューヨーク パーチェス大学,コンサート・ホール・オブ・パフォーミング・アーツ・センター
 サン=サーンス(1835-1921)の室内楽作品は、フランス音楽の歴史の中でも重要な位置を占めています。魅力的な個性と溢れるほどの抒情性、そして決して激昂することのない穏やかな表情が多いため、時として「没個性」とレッテルを貼られてしまうこともありますが、やはり聴き手にとって「心を落ち着ける場所」になることは間違いありません。
 1875年に書かれた「ピアノ四重奏」はフォーレの雰囲気を湛えた音楽。よく練られた構成を持ち、しばし劇的な感情の高ぶりを見せています。
 「舟歌」は1897年の作品で、最初はヴァイオリン、ピアノ、チェロとハルモニウムのために書かれましたが、ここではサン=サーンス自身の編曲によるハルモニウムの代わりにヴィオラを用いたの編成で演奏されています。
 本当に舟に揺られているような優美な作品です。1854年から1855年にかけて作曲された「ピアノ五重奏曲」は、思いの他厳粛な音で始まりますが、すぐに美しい流れが現れます。
 シューマンのピアノ五重奏を思わせる内省的で、名ピアニストだった彼らしい充実したピアノ・パートをもっています。
 

ヴァルヒャ:コラール前奏曲集 3 (ディッセルホースト)
8.572912
\1100

ヘルムート・ヴァルヒャ:コラール前奏曲集 第3集
 1.第1番:神の御子が船でやってくる/
 2.第2番:汝ら、愛するキリストのともがらよ、今ぞ喜べ/
 3.第3番:どのようにあなたをお迎えしましょうか/
 4.第4番:私は、ここ飼い葉桶のそばに立つ/
 5.第5番:おお、神の子羊よ、罪なくして十字架の木にかけて/
 6.第6番:キリストよ、汝神の子羊/
 7.第7番:われら汝に感謝す、主イエス・キリストよ/
 8.第8番:大いなる痛みの人よ/
 9.第9番:われらの救い主なるイエス・キリストは、死に打ち勝ちて/
 10.第10番:賛美する神は高きところに/
 11.第11番:目覚めよ、わが心よ、喜びもて/
 12.第12番:我らいま、聖霊を願い求む/
 13.第13番:主なる神、我々はすべてを称賛する/
 14.第14番:全地よ、神に向かって喜び呼ばわれ/
 15.第15番:今こそ人みな たたえ歌え主に感謝をささげよ/
 16.第16番:至高の善に讃美と栄光あれ/
 17.第17番:天におりますわれらの父よ/
 18.第18番:アダムの罪により全ては失われぬ/
 19.第19番:私は巡礼者の生涯を送る/
 20.第20番:神の名のもとにわれらは行く/
 21.第21番:わが最初の思いは称賛と感謝である/
 22.第22番:全ての朝は新しく新鮮だ/
 23.第23番:主よ汝のうちにのみ、われ望みを持ち/
 24.第24番:月は昇り
ヴォルフガンク・リュプザム(オルガン…ジョン・ブロンバウ製 Opus35)
録音 2011年10月23-24日 イリノイ州 スプリングフィールド,ファースト・プレスビテリアン教会
 20世紀を代表するオルガニストとして知られるヘルムート・ヴァルヒャ(1907-1991)。彼のコラール前奏曲は、バッハなどのバロックの伝統を踏まえながらも、全く独自の音楽によって成立しています。
 表現力豊かな対位法的明快さ、そして透明性の高い響き、これらはオルガンを知り尽くしていたヴァルヒャでなくては描きだせなかった音楽です。完全なる闇の中で、常に神と対話をしていたヴァルヒャの心の中に宿ったこれらの音楽。神々しいまでの美しさと捉えきれぬ神秘的な雰囲気が漂っています。
<既リリースアルバム>
8.572910 第1集/8.572911 第2集
 


モーツァルト:ミサ・ブレヴィス K. 194 and 275/「天の女王、喜びませ」 K. 127 (セント・オールバンズ大聖堂合唱団/シンフォニア・ヴェルディ/ルーカス)
8.573092
\1100

モーツァルト:ミサ・ブレヴィス&レジーナ・チェリ
 ザルツブルクで書かれた声楽作品

 1-3.アンティフォナ「レジーナ・チェリ」 変ロ長調 K127/
 4-9.ミサ・ブレヴィス ニ長調 K194/
 10.アレグロとアンダンテ(幻想曲) ヘ短調 K608/
 11-16.ミサ・ブレヴィス 変ロ長調 K275
エリザベス・クラッグ(ソプラノ)/
デボラ・マイルス=ジョンソン(コントラルト)/
ダニエル・オーキンクロス(テノール)/
ローレンス・ホワイト(バス)/
トム・ウィンペニー(オルガン…10)/
セント・オールバンズ大聖堂合唱団/
シンフォニア・ヴェルディ/
アンドリュー・ルーカス(指揮)
録音 2012年7月18日-20日 UK セント・オールバンズ大聖堂&アビー教会
 モーツァルト(1756-1791)の全作品の中では比較的知名度が低いものの、全てがザルツブルクで書かれた作品というテーマに沿って絶品中の絶品を集めた1枚です。
 1772年16歳のモーツァルトは、その前年に行ったイタリア旅行であまり芳しい手ごたえを得ることができず煮え切れない思いを抱えていました。
 そんな折、それまで寛大であった大司教シュラッテンバッハが死去し、新しい大司教コロレドが着任することになり、彼は自分の才能を認めてもらうために新しい声楽曲を精力的に書くことにしたのです。
 その中の1曲がこのレジナ・チェリ(天の皇后)」であり、この曲はそれまでの彼の声楽曲の中でも最高のスキルを有する見事なものとなりました。
 K197のミサ・ブレヴィスは1774年に書かれた作品で、ザルツブルク大聖堂のために書かれたとされています。K275は1777年に書かれた作品で、シンプルなメロディラインに彩られた美しさが光ります。
 オルガン独奏の「アレグロとアンダンテ」は1791年に自動オルガンのために書かれた作品で、当時の英雄ロウドン男爵追悼のための告別の音楽ですが、その深い内容には驚くばかりです。
 


ファル:喜歌劇「イスタンブールのばら」(マッコード/ケリー/ブッフホルツ/フランツェン/シカゴ・フォーク・オペレッタ/フランツェン)
8.660326
(2CD)
\2200

レオ・ファル:喜歌劇「イスタンブールのばら」(英語歌唱)
 ロベルト・ボダンツキー台本による3幕の喜歌劇
  (ハーシュ・グラゴフ&
   ジェラルド・フランツェンによる英語版…ビル・ウォルター監修)
<CD1>1-11.第1幕/
<CD2>1-10.第2幕/11-18.第3幕
コンジャル・ギル…キンベリー・マッコールド(ソプラノ)/
ミディリ・ハヌム…アリソン・ケリー(ソプラノ)/
フリードロン・ミュラー…エーリヒ・ブフホルツ(テノール)/
アーメッド・ベイ…ジェラルド・フランツェン(テノール)/
ミュラー氏…ロバート・モリッセイ(バス)/
シカゴ・フォークス・オペレッタ/
ジョン・フランツェン(指揮)
録音 2011年8月8日 イリノイ州 オーク・パーク,パーシー・ジュリアン・オーディトリウム
 オーストリア・ハンガリー帝国の地方都市で生まれ、ウィーン市立音楽院で学び、ベルリンでオペレッタの作曲を始めたレオ・ファル(1873-1925)。その初期の経歴はフランツ・レハールに酷似していて、果たして1906年から本格的にウィーンで作曲に専念してからは、レハール、カールマン、オスカー・シュトラウスに並ぶ人気者となりました。
 彼の名声は一時アメリカまで伝播しましたが、あまりにも時代に迎合し過ぎた作風だったため、死後は人気が落ちてしまったのです。
 このオペレッタは彼の最も成功した作品の一つであり、詩の師匠を好きになった主人公ギルが、自らの婚約が決まるも、まだ見ぬ師への思いを断ち切れずに悩むというお話。
 結局は、その婚約者が「詩の師匠」であり2人は改めて愛し合うというもの。タイトルの「イスタンブールのばら」というのは、ギルが師匠につけてもらったペンネーム。他愛のない話ですがメロディは極上です。なお、この演奏では英語による歌詞が用いられています。

NAXOS(Blu-ray AUDIO)


NBD-32
(Blu-ray AUDIO)
\2300
楊天堝(ティアンワ・ヤン)
 &ガロワ指揮/シンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラ
  メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調・ニ短調 他

 1-3.ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64,MWV O14/
 4-6.ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 MWV 03/
 7-9.ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調 Op.4 MWV Q12 (8.572662と同内容)
楊天堝(ヴァイオリン)/
ロマン・デシャルム(ピアノ…7-9)/
シンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラ…1-6/
パトリック・ガロワ(指揮…1-6)
録音 2010年9月1-3日 フィンランド ユヴァスキュラ,ハンカサルミ教会…1-3,2010年8月30-31日 フィンランド ユヴァスキュラ,ハンカサルミ教会…4-6,2011年12月15日 ドイツ ザントハウゼン,クララ・ヴィーク・オーディトリアム…7-9 24-bit 96kHz PCM Surround(トラック7-9…16-bit 44.1kH)/5.1 Surround-DTS-HD Master Audio/2.0 Stereo-PCM
 数あるヴァイオリン協奏曲の中でもとりわけ知名度が高く、また完成度の高い作品であるメンデルスゾーンのホ短調。しかし、あまりにも知られすぎているためか、却ってあまり耳にすることもない。という不思議な存在でもあります。さて、NAXOS期待のヴァイオリニスト楊天堝(ティアンワ・ヤン)によるこの名曲の演奏は、この曲にしみ込んだ手垢のようなものをきれいさっぱり洗い落としたかのような新鮮な感触であり、曲の持つ天真爛漫な美しさと技巧性を再確認させてくれること間違いありません。
 あまり耳にすることのない「ニ短調」も素晴らしい演奏であり、メンデルスゾーンを聴く喜びを再確認させてくれることでしょう。ガロワ指揮するシンフォニア・フィンランディア・ユヴァスキュラの揺るぎない伴奏も見事。14歳の作品である「ソナタ」も、その完成度の高さに息を飲むことでしょう。

OEHMS


OC426
\2000
ラフマニノフ&プロコフィエフ:チェロ作品集
 1-4.ラフマニノフ(1873-1943):チェロ・ソナタ ト短調 Op.19/
 5-7.プロコフィエフ(1891-1953):チェロ・ソナタ ハ長調 Op.119/
 8.ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14/
 9.ラフマニノフ:前奏曲 Op.2-1/
 10.ラフマニノフ:東洋風舞曲 Op.2-2/
 11.ラフマニノフ:チェロとピアノのための「リート」ヘ短調
ユリアン・ステッケル(チェロ)/
パウル・リヴィニウス(ピアノ)
録音 2012年1月30日-2月1日 ミュンヘン バイエルン放送第2スタジオ
 1982年生まれのチェリスト、ユリアン・ステッケル。音楽一家に生まれ5歳からチェロをはじめ、ウルリッヒ・ヴォスに最初に師事し、やがてグスタフ・リヴィニウス、ボリス・ペルガメンシコフ、ハインリッヒ・シフ、アンチェ・ヴァイトハースに教えを受けます。2010年のミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で第1位を獲得し、一躍世界的名声を得ました。現在では2011年にはルガーノ・フェスティヴァルでハイドンを演奏したり、CAvi-musicレーベルからメンデルスゾーンやブラームスなどのロマン派の作品を中心としたレパートリーのCDリリースを精力的に行っています。彼の音色はとても繊細でありながらも、とても伸びやかで艶やか。今作ではロシア物という、これまでとは違う雰囲気の音楽を聴かせます。ピアニスト、リヴィニウスとはこれまでも何度も共演を重ねており、ここでもその親密なやりとりが伺えます。
 

OC427
\2000
ファビオ・マルティーノ:ピアノ・リサイタル
 1-4.ブラームス(1833-1897):ピアノ・ソナタ 第1番 ハ長調 Op.1/
 5-7.エディノ・クリーガー(1928-):ピアノのための音程の練習曲
  <二度のための/三度のための/四度のための>/
 8-10.シューマン(1810-1856):3つの幻想小曲集 Op.111/
 11.ヨルク・ヘラー(1944-):ピアノ・ソナタ 第3番
ファビオ・マルティーノ(ピアノ)
録音 2012年1月3-5日 ミュンヘン バイエルン放送第2スタジオ
 1988年、サンパウロ生まれのファビオ・マルティーノは5歳の時にブラジルでピアノのレッスンを受け始めました。マグダ・タリアフェッロ財団から奨学金を得てアルマンド・ファヴァ・フィホに師事し、その後2008年にはカールスルーエ・アカデミーに留学しました。数々のコンクールを制覇し、2011年にはドイツ文化委員会が主催するコンクールで優勝しました。このアルバムはバイエルン放送との共同制作で、ブラームス、シューマンと言ったオーソドックスなレパートリーから、クリーガー、ヘラーと言った新しいものまで多彩な選曲となっています。とりあわけクリーガーの「音程の練習曲」はとても面白い作品であり、タイトルの通りの音程で展開される音楽は、まさに耳への喜びです。
 

OC690
(SACD-Hybrid)
\2300
ワーグナー:オルガン・ファイヤーワーク 〜オルガンで聴く序曲と前奏曲集
 1.序: 歌劇「タンホイザー」序曲 WWV70/
 2.アダージョ:楽劇「パルジファル」序曲 WWV111/
 3.スケルツォ:歌劇「さまよえるオランダ人」 WWV63/
 4.間奏曲:楽劇「トリスタンとイゾルデ」序曲 WWV90/
 5.終曲:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」WWV96
  ※エドウィン・ヘンリー・ルメア&アーヴィン・ホルン…オルガン編曲
ハンスイェルク・アルブレヒト(聖ニコライ教会 ドッペルオルガン)
録音 2012年4月24-29日 聖ニコライ教会 Recording Producer, Editing & Mastering: Martin Fischer, Horos
 オルガンで演奏する「惑星」が2012年のグラミー賞にノミネートされるなど、その卓越した演奏と解釈が遍く知れ渡っているハンスイェルク・アルブレヒト。このアルバムはワーグナー生誕200年の記念でもあり、以前リリースした「2台オルガンのための“指環”(OC612)」を凌駕する中身の濃い1枚です。ワーグナー(1813-1883)の楽劇、歌劇の序曲から5曲を選び、その曲想を基にして「一つの組曲」として編成したもので、そのアルバム構の独自性もさることながら、ブックレットの解説は「ワーグナーとアルブレヒトの対談」という意表を突くものとなっているのが面白いところです。ワーグナーの音楽をとことん面白く聴かせるこの1枚。確かにこういうのあり!です。
 


OC763
\2000→\1890
ポッペン(指揮)&ザールブリュッケン
 チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 他

  1-4.交響曲第5番 ホ短調 Op.64/
  5.スラヴ行進曲 変ロ短調 Op.31
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団/
クリストフ・ポッペン(指揮)
ライヴ録音 2010年2月26-27日…1-4, 2010年12月10.12日…5, ザールブリュッケン コングレス・ホール
 チャイコフスキー(1840-1893)が1888年に作曲したこの第5番の交響曲は、彼の交響曲の中でも、第6番に並ぶ、とりわけ人気の高い作品として知られています。1877年に第4番を作曲した以降は、番号のない「マンフレッド交響曲」を書いたほかは交響曲に手を染めなかったチャイコフスキー。その原因は定かではありませんが、一時的にスランプに陥っていたのではないかと推測されています。しかし1886年にヨーロッパへ演奏旅行に出かけ、そこで当地の音楽家たち、マーラーやR.シュトラウス、グリーグらと交流を持ったことで、創作意欲が湧いてきたチャイコフスキーが一気に書き上げたのがこの第5番。初演当初はあまり芳しい評価を得られませんでしたが、その濃厚な歌謡性や愛らしいワルツ、そして「悲劇から勝利へ」のパターンが聴衆たちには好意を持って迎えられたことは間違いありません。
 演奏の際も、楽章ごとにいかにメリハリをつけるかが指揮者の腕のみせどころ。
 もちろんポッペンは巧妙かつ流麗に曲を盛り上げ、感動ノクライマックスへと導いてくれます。スラヴ行進曲も大盛り上がり。ライブならではの熱狂ぶりが楽しめます。
 

OC796
\2000
デリアン・クァルテット
 ベートーヴェン:弦楽四重奏・五重奏曲集

  1-4.弦楽四重奏曲 第1番 ヘ長調 Op.18-1/
  5.フーガ ニ長調 Op.137/
  6-9.弦楽五重奏曲 ハ長調 Op.29
デリアン・クァルテット
<メンバー:エイドリアン・ピンツァル(ヴァイオリン)/
アンドレアス・モショー(ヴァイオリン)/
アイーダ=カルメン・ソアネア(ヴィオラ)/
ロマン・ジルー(チェロ)>/
ジェラール・コセ(ヴィオラ)…5-9
録音 2010年6月11-13日…1-4, 2010年10月21-24日…5-9 ケルン ドイツ放送,室内楽ホール
 <デリアン::クァルテット>のデリアンとはデロス島のことで、ここにあの太陽神であり、音楽、芸術の守護神であるアポロが生まれ、また4年ごとの体育、音楽、詩歌の饗宴が行われた、という故事からこの名称がつけられたのです。メンバーはルーマニア、ドイツ、フランス人の混成チームで2007年1月に結成されて以来、広く活躍しているアンサンブルです。これまでにシューマン、ハイドンの作品をリリースし、その伸びやかで表現力豊かな音楽は、若さと円熟を併せ持つものとして高く評価されました。今回のベートーヴェン(1770-1827)は音楽的に一層の厳しさを備え、驚くばかりの高みに昇った演奏です。五重奏曲にはベテラン、コセを交え、高度なアンサンブルを聴かせています。アルバム名の::の意味を知りたいところです。
 

OC835
(3CD)
\4000
アドリアン・ヴィラールト:ムジカ・ノーヴァ-モテット集
<CD1>
 1.星空から降りてくるように命じ-とげのある冠-私の唯一の愛について/
 2.私の祈りの声を主は聴く-主よ、私の魂の声をききたまえ/
 3.島よ聞け-彼は鋭いナイフのように/
 4.これは主の家-いと高き方は礎を築く/
 5.神の言葉は述べ進む-生まれながらに/
 6.汝、主をほめたたえる-その日を-私は悩みのうちを歩む/
 7.天におりますわれらが父よ-父なる神に/
 8.こころの貧しい人たちは-今、飢えている人は天国の喜びにあずかっている/
 9.私たちは平和を望む-私たちは祖先とともに罪を犯し/
 10.自然の秩序に反して-精霊の力/
<CD2>
 1.なんと美しき救い主の母-あなたは救い主を生み給うた/
 2.聖処女に-私は先に行く-聞き受け入れる/
 3.祝福されしあなた、天の女王-あいさつを通じて/
 4.讃えよ、聖なる両親を-神の母マリア/
 5.けがれなき純粋なるあなた-甘き祈りの声/
 6.あなたの保護のもとで我々は逃れた/
 7.おお、素晴らしき交歓-汝生まれし時-
  モーゼは繁みを-エサイの根-偉大なる不思議な謎-
  マリアをみよ-継承の謎-大いなる遺産の神秘/
<CD3>
 1.主を見よ-彼女は夜に泣く/
 2.主よ、私の罪よ-私はおのれの罪を知っている/
 3.主よ、あのような人の多くは-私は深く眠っていた/
 4.父よ、私は罪を犯した-あなたの雇った使用人のように/
 5.神は全てを憐れんで-あなたの手を持ち上げて/
 6.おお主よ、汝の怒りと憤りが-わが神よ、私の言葉に耳を傾けたまえ/
 7.私たちに行われた全てのことを-主よ、われらは罪を犯したことを認める/
 8.主よ、覚えておいてください-私たちの先祖は罪をおかしました/
 9.復活祭の犠牲者に捧げる賛美の歌-マリアよ、私たちに語りたまえ/
 10.来たれ聖霊よ-祝福された光
ジンガー・プア
録音 2011年5月10-13日,6月27-28日,7月4-7日 St. Vitus, Bezirksklinikum Regensburg
 アドリアン・ヴィラールト(1490?-1562)はフランドル出身でありながらも、イタリアに移住してヴェネツィア楽派の礎を築き、当地にフランドル楽派のポリフォニー形式を定着させた、この世代を代表する作曲家です。またヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂の楽長を務めていたため、この当時のヨーロッパでもっとも影響力を誇っていました。
 単純に見えるポリフォニーの中に極めて精緻な旋律線が隠される高度な技法で書かれた彼の作品ですが、当時は高い人気を誇ったものの、今ではほとんど忘れられてしまっています。ジンガー・プアはこのヴィラールトの作品の復興に力を入れていて、以前リリースされた「フランチェスコ・ペトラルカの詩によるマドレガーレ集」(OC814)でも、見事なアンサンブルを聴かせていました。今作では一層充実したハーモニーを聴くことができます。
 

OC857
\2300
アーノルド・ベズイエン(テノール)
 シューマン:詩人の恋&ベルク:7つの初期の歌

  1-20.ロベルト・シューマン:詩人の恋 Op.48
   <美しい5月に/私の涙から/ばらよ、ゆりよ、鳩よ/
   私がおまえの瞳を見つめるとき/あなたの顔は気高く美しい/
   君の頬を寄せてくれ/私の心をゆりの杯にひたそう/
   聖なるラインの流れに/私は恨むまい/
   花がわかってくれるなら/それはフルートとヴァイオリンの響き/
   あの歌の響きを聞くと/若者はおとめを愛した/
   明るい夏の日に/私の恋は輝いている/
   僕の馬車はゆっくりと車輪を転がしてゆく/
   私は夢の中で泣いた/夜ごとの夢に君を見る/
   昔のおとぎ話より/昔のいまわしい歌
      ※5.6.15.16…印刷時に歌集より破棄された曲>/
  21-27.アルバン・ベルク:7つの初期の歌
       <夜/葦の歌/ナイチンゲール/夢にみた栄光/
       室内にて/愛の頌歌/夏の日々>
アーノルド・ベズイエン(テノール)/
ユラ・マルグリス(ピアノ)
録音 2011年12月18-21日 バイロイト シュタイングレーバー・ハウス 室内楽ホール
 通常は16曲のはずのシューマンの「詩人の恋」。ベズイエンはシューマンが作曲しながらも、組曲には入れずに破棄してしまった4曲を付け加えて“完全版”として歌い上げます。このロマンティックで感傷的な作品を、オランダのベテランテノール、ベズイエンがこの上ない共感を持って歌いあげます。カップリングはベルクの「7つの初期の歌」で、どちらかというと、繊細な女声で歌われることの多いこの作品に、ベズイエンは力強さと甘さをうまく付け加えています。ピアノのマルグリスが、また見事な表現で彼の歌をサポートしています。
 

OC864
\2300
パリス・ツェニコグルー(ピアノ)
 ドビュッシー&ショパン:作品集

 1-3.ドビュッシー(1862-1904):映像 第1集
   <水に映る影/ラモーをたたえて/運動>/
 4-6.ドビュッシー:映像 第2集
   <葉末を渡る鐘の音/
    そして月は荒れた寺院に落ちる/金色の魚>/
 7-30.ショパン(1810-1849):24の前奏曲 Op.28
パリス・ツェニコグルー(ピアノ)
録音 2012年7月14-16日 ミュンヘン バイエルン放送 第2スタジオ
 1989年、ギリシャのテッサロニキで生まれたツェニコグルー。ピアノを始めたのは8歳と若干遅めではありますが、その3年後にはすでにバッハのピアノ協奏曲ニ短調と、ゴルトベルク変奏曲を公式の場で演奏するなど、瞬く間に才能を発揮したのでした。教えていたジャニス・アダミディスは、15歳になった彼をミュンヘンの音楽演劇学校に留学させ、そこでフランツ・マッシンジャーに師事、2012年6月に卒業証書を得たのです。現在はザルツブルク・モーツァルテウム音楽院の修士課程で学び、マレイ・ペライアから指導を受けています。
 18歳の頃から何枚かのCDをリリースし、また演奏会のオファーも数多く、今後ますます注目を浴びる逸材であることは間違いありません。このアルバムではショパンの「前奏曲」とドビュッシーの「映像」という、極めて多感で繊細な作品が選ばれており、彼の資質を垣間見ることができる1枚となっています。
 


OC868
(2CD)
\3000→\2690
ゴットフリート・シュナイダー(ヴァイオリン)
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ集

 <CD1>
  1-4.ソナタ 第1番 ト短調 BWV1001/
  5-8.ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003/
  9-12.ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005/
 <CD2>
  1-8.パルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002/
  9-13.パルティータ 第2番 ト短調 BWV1004/
  14-19.パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006
ゴットフリート・シュナイダー(ヴァイオリン)
録音 2011年8月 ミュンヘン 音楽演劇学校 大ホール
 オーストリア、バードガシュタインの音楽家の家庭に生まれ、11歳でソリストとしてデビューした神童です。オットー・ヴュヒナー、マックス・ロスタル、イヴァン・ガラミアンに師事し、カール・フレッシュ国際ヴァイオリンコンクールやベオグラード国際青年音楽コンクールなどの数々の国際コンクールを制覇、マールボロ音楽祭ではルドルフ・ゼルキンに招待され演奏を披露し、ヴォルフガンク・サヴァリッシュとの共演が話題となり世界中で演奏会を行うようになります。教師としても素晴らしい才能を持ち、デュッセルドルフ国立音楽大学マスターコース主任を経て、1991年よりミュンヘン国立音楽大学ヴァイオリン科主任として活躍、ヴァイオリン及び室内楽を指導しています。また現代作曲家の作品を積極的に紹介し、不当に忘れられた作曲家の復興にも尽力しています。そんな彼が真っ向から取り組んだバッハの最高傑作です。これはただただ瞑目して聴くほかありません。

ONDINE


Jorg Widmann: Violin Concerto
ODE 1215
\2300→\2090
ハーディング指揮&スウェーデン放送響
 ヴァイオリンはテツラフ!

イェルク・ヴィトマン:ヴァイオリン協奏曲 他
 1.ヴァイオリン協奏曲(2007)/
 2.ヴァイオリンと19楽器のための「セイレーンの島」(1997)/
 3.オーケストラ・グループのための「アンティフォン」(2007-2008)
クリスチャン・テツラフ(ヴァイオリン)/
スウェーデン放送交響楽団/
ダニエル・ハーディング(指揮)
録音 2011年9月23-24日…1, 2012年9月13-14日…2, 2012年11月16-17日…3 ストックホルム ベルワルド・ホール ライブ録音
 1973年ミュンヘンに生まれたイェルク・ヴィトマン(1973-)は現代最高のクラリネットの名手であり、また最も注目される前衛作曲家の一人でもあります。7歳から音楽の勉強を始め、最初はケイ・ヴェスターマンに作曲を師事、やがてヘンツェやリーム、ハイナー・ゲッペルスらからも学んでいます。彼の作品は大規模な管弦楽曲から室内楽曲、そしてオペラまでと多岐に渡り、自身の音色のルーツを辿りながらその表現の幅を増やしています。また、2008年からはフライブルク大学のクラリネット科の教授を務め、また音楽院では作曲を教えるなど、その活動は限界を知ることがありません。
 このアルバムでは、そんな彼の作品を再現するために、これ以上ないほどの素晴らしい演奏家を揃えました。ヴァイオリンには名手クリスチャン・テツラフ、そしてスウェーデン放送響を振るのはダニエル・ハーディング。「セイレーンの島」はイザベル・ファウストとクリストフ・ポッペンが初演した「ギリシャ三部作」の中の1曲で、抒情的なヴァイオリンとそれを支える規則的なオーケストラの精緻な響きが楽しめます。アンティフォンは更に魅惑的で、彼が2006年に書いた「アルモニカ」(多彩な楽器を用いて虹色の音を追求した)を上回る見事な作品です。ヴァイオリン協奏曲はテツラフのために書かれた曲で、ベルクやバルトークの系譜に連なる、無限の可能性に挑戦した作品です。
 

Saariaho: La Passion de Simone
ODE 1217
(SACD-Hybrid)
\2300→\2090
サロネン指揮&フィンランド放送響
 ソプラノはアップショウ!

カイヤ・サーリアホ:オラトリオ「シモーヌの受難」他
 1-15.オラトリオ「シモーヌの受難」15章の音楽で綴る軌跡
ドーン・アップショウ(ソプラノ)/
ドミニク・ブラン(朗読)/
フィンランド放送交響楽団/
タピオラ室内合唱団/
エサ=ペッカ・サロネン(指揮)
録音 2012年10月19-20日 フィンランド、ヘルシンキ・ミュージック・センター
 パリのユダヤ人家庭に生まれたシモーヌ・ヴェイユ(1909-1943)。彼女はリセ(高等学校)時代に哲学者アランの教えを受け、その教えに傾倒します。やがて、当時は女子を受け入れていなかった高等師範学校に入学、哲学の教員資格を取得し1931年にリセの教員となります。彼女は様々な国際情勢を肌で感じながら、多くの政治活動に身を投じ、戦争の悲惨さを訴え続けます。
 ヒトラーの迫害を避けながら、1942年はアメリカからロンドンに移住し、そこでもレジスタンスに参加、結核で体力を冒されながらもハンストを決行。治療と栄養補給の全てを拒否したまま1943年に34歳の若さで生涯を閉じた人です。この作品はそんなシモーヌの生涯と思想を、作曲家サーリアホ(1952-)がソプラノ独唱、合唱、管弦楽と電子楽器のためのオラトリオとして作曲したものです。
 サーリアホは若い頃からシモーヌの文章を読み、強く感銘を受けていたとのことで、このオラトリオを作曲する際も、シモーヌについて多くの考察を重ね、全てを描き出すように務めたと言います。ここでは歌唱部分を名ソプラノ、アップショウが受け持ち、混沌としたオーケストラの部分はサロネンが見事な陰影をつけています。サーリアホの60歳の誕生日を記念してのリリースとなります。
 
ODE 1219
\2300
ハコラ&細川:ギター協奏曲集
 1-3.キンモ・ハコラ(1958-):ギター協奏曲(2008)/
 4.細川俊夫(1955-):ギター,弦楽とパーカッションのための「旅 IX,目覚め」/
 5.細川俊夫:室内オーケストラのための「開花 Ⅱ」
ティモ・コルホーネン(ギター)/
オウル交響楽団/
サントゥ=マティアス・ロウヴァリ(指揮)
録音 2012年10月22-25日 フィンランド オウル,マデトーヤ・ホール
 ほとんど同年代の、フィンランドと日本を代表する2人の作曲家のギター作品集です。キキンモ・ハコラの「ギター協奏曲」は、スペイン風の伝統を感じさせる大胆な音楽。アラブ人もユダヤ人もジプシーもキリスト教徒も、全てが平和に暮らしていたという中世アンダルシアの時代に思いを馳せると同時に、ユダヤ音楽の起源を探るという壮大な意味を有しているものです。一方、細川作品はご存知の通り、モダンで都会的な雰囲気を持つもので、日本の楽器と西洋の楽器の響きの融合を図り、なおかつ世界の内面を推し量るというものです。生け花の師匠を父に持つ細川は、近年、花にまつわる作品を手掛けており、この2作も花と密接に関係があるものです。「開花」はもとより、「旅 Ⅸ-目覚め」は「旅」シリーズの第9作に当たるもので、ここでのギターは「泥の中深くに根差すも、空に向かって咲く蓮の花」のような存在として捉えられています。花の開花は自己の復活を表す。と語る作曲家の神髄がここにあります。
 
ODE 1222
\2300
VIVIT!-生きる! 〜レーガー&トビアス:合唱作品集
 1.ルドルフ・トビアス(1873-1918):
  涸れた谷に鹿が水を求めるように/
 2.トビアス:モテット「小さな聖金曜日」/
 3.トビアス:復活祭への序章/
 4.トビアス:復活祭の朝/
 5.マックス・レーガー(1873-1916):メロディ Op.59-11/
 6.レーガー:われらが愛する聖母の夢 Op.138-7/
 7.レーガー:人々の生活はわずかな時間のみ存在する Op.138-1/
 8.レーガー:夜の歌 Op.138-3/
 9.トビアス:今すぐ全ての森を/
 10.トビアス:彼は天に昇り/
 11.トビアス:生きる!/
 12.トビアス:神の子どもたち/
 13.レーガー:夜に Op.6-2/
 14.レーガー:夕べの歌 Op.6-3/
 15.レーガー:夕べの歌 Op.39-2/
 16.トビアス:あなたは知っている
エストニア・フィルハーモニー室内合唱団/
ダニエル・ロイス(指揮)
録音 2012年5月4-8日 エストニア タリン 聖ニコラス教会
 エストニアにおける最初の職業作曲家、ルドルフ・トビアス。彼はこの国において、最初の職業オルガニストでもありました。とは言え彼の作品はほとんど知られておらず、ごく一部のオラトリオと、このアルバムの最後に収録された「Eks teie tea-あなたは知っている」などが細々と聴かれるのみと言ってもよいでしょう。そんなトビアスの合唱曲を、同じ年に生まれたドイツの巨匠マックス・レーガーの曲と併せたのがこのアルバムです。
 多作であったレーガーは、合唱分野でも、宗教的なものと世俗的なものをバランスよく書き上げていますが、ここではとりわけ「宗教的」なものを選択。トビアス作品との対比を浮かび上がらせることに成功しています。合唱は、高い実力を誇るエストニア・フィルハーモニー室内合唱団。ロイスとの共演はメンデルスゾーン&クレーク(ODE1201),トゥール(ODE1183)の2枚があり、どちらも好評を得ています。

ORCHID CLASSICS

Ballets Russes
ORC100028
\2000
バレエ・ルセ
 1-10.プロコフィエフ(1891-1953):
  ピアノのための組曲「ロメオとジュリエット」Op.75
  <民衆の踊り/街の目覚め/客人たちの到着/
   少女ジュリエット/仮面/モンタギュー家とキャピュレット家/
   僧ロレンツォ/マーキュシオ/
   百合の花を持った娘たちの踊り/
   別れの前のロメオとジュリエット>/
 11-12.ラヴェル(1875-1937):
  「ダフニスとクロエ」より2つの楽章(R,ラビノヴィチ編)
   <パントマイム/全員の踊り>/
 13-15.ストラヴィンスキー(1882-1971):
  ペトルーシュカからの3楽章
   <ロシアの踊り/ペトルーシュカの部屋/謝肉祭>
ローマン・ラヴィノヴィチ(ピアノ)
録音 2012年4月16-18日 アメリカ マディソン,ドロー大学
 イスラエル生まれの若きピアニスト&画家、ローマ・ラビノヴィチ。彼は2008年のルービンシュタイン国際コンクールの受賞者であり、ピアニストとしてはウィグモア・ホール、カーネギー・ホールなど数多くのホールで演奏会を開き、また画家としてはメトロポリタン美術館などで展覧会を開くほど注目されている「アーティスト」です。
 ジャケットに使われているドローイングも彼の作品で、そのムダのない流麗な線を見るだけでも彼の才能の一端が伺われるというものです。
 このアルバムは、ロシアの名バレエ団「バレエ・ルセ」にまつわる音楽20世紀初頭の音楽集で、これは最もエキサイティングな時代へのオマージュであり、またピアニストとしてのテクニックを披露するにも最適な1枚と言えるのではないでしょうか。
 
ORC100029
\2000
ミトス・アコーディオン・デュオ
 1-4.ストラヴィンスキー(1882-1971):ペトルーシュカ(1911)
  <第1の情景:謝肉祭の市/
   第2の情景:ペトルーシュカの部屋/
   第3の情景:ムーア人の部屋/
   第4の情景:謝肉祭の市(夕景)>/
 5.ボロディン(1833-1887):中央アジアの草原より/
 6-8.チャイコフスキー(1840-1893):
  くるみ割り人形から3つの楽章(1892)
   <小さな序曲/アラビアの踊り/トレパーク>/
 9.ムソルグスキー(1839-1881):はげ山の一夜(1860-1867/1886)
ミトス・アコーディオン・デュオ
<メンバー:
ビャルケ・モーゲンセン(アコーディオン)/
ラスムス・シャルフ・キョッレ(アコーディオン)>
録音 2012年2月11.12日&12月15日 デンマーク王立音楽アカデミー,スタジオ・ホール
 このCDに収録されている4人の偉大なる作曲家たち、彼らが描く様々な物語は広大なロシアの大地に根差した壮大なものばかり。
 これらの作品は世界中の劇場やコンサート・ホールで数えきれないほど演奏されています。
 ここでは、ちょっと趣向を変えて、若きアコーディオン・デュオ「ミトス・アコーディオン・デュオ」の斬新な演奏でこれらの名曲をお楽しみください。
 メンバーの一人、ビャルケ・モーゲンセンは1985年生まれ。7歳でアコーディオンを始めすぐに頭角を現し、現代では新作や編曲など多彩な活動をしている人。ソロアルバムも何枚か出ていますが、ここではシャルフ・キョッレと絶妙なるアンサンブルを聴かせています。

QUINTONE



Q12003
\2300→\2090
ヘレナ・バシロワ(ピアノ)
 ヤナーチェクピアノ作品集

 1-4.霧の中で/
 5-6.ピアノ・ソナタ 変ホ長調「1905年10月1日 街頭にて」/
 7-16.草が茂る小道を通って
  <われらの夕べ/落ち葉/一緒においで/
   フリーデリクの聖母マリア/
   彼らはつばめのようにしゃべりたてた/言葉もなく/
   おやすみ/こんなにひどくおびえて/
  涙ながらに/みみずくは飛び去らなかった>
ヘレナ・バシロワ(ピアノ)
録音 2012年9月5&6日 ドルブレヒト レモンストランセ・ケルク
 モスクワに生まれ、現在アムステルダムに住むの若きピアニスト、ヘレナ・バシロワ。彼女のショスタコーヴィチの優れた解釈が、ニューヨーク・タイムズ紙で絶賛されたことで世界中から注目を浴びています。
オペラ作曲家、または管弦楽作曲家として知られるヤナーチェク(1854-1928):。彼のピアノ曲は決して数が多いわけではありませんが、そのどれもが彼が追求していたモラヴィア民謡や舞曲、そして土の香りがふんだんに盛り込まれた個性的な作品群です。
 バシロワの弾くヤナーチェクは、作品の持つ独特の雰囲気と個性を見事に表出したものであり、その夢幻的でロマンティックな楽想の裏に隠された情熱までをも顕わにする強靭な精神性も持ち合わせたユニークなものです。
 この若き才能、賛美する他ありません。



RPO(ORCHID CLASSICS)


Grzegorz Nowak conducts Brahms
RPOSP038
(5CD)
\3000→\2790
ロイヤル・フィル首席準指揮者ノヴァーク
 ブラームス:交響曲全集&管弦楽作品集

<CD1>
 1-4.交響曲 第1番 ハ短調 Op.68/
<CD2>
 1-4.交響曲 第2番 ニ長調 Op.73/5.大学祝典序曲 Op.80/
<CD3>
 1-4.交響曲 第3番 ヘ長調 Op.90/5.悲劇的序曲 Op.81/
<CD4>
 1-4.交響曲 第4番 ホ短調 Op.98/
 5-14.ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a/
<CD5>
 1-6.セレナーデ 第1番 ニ長調 Op.11
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団/
グルジェゴルス・ノヴァーク(指揮)
録音 2010年1月4-8.13.15日 ロンドン カドガン・ホール
 ロイヤル・フィルの首席準指揮者ノヴァークによるブラームス(1833-1897)です。今回もひたすら真面目にブラームスを熱演しています。
 最近の尖ったブラームスではなく、オーソドックスで安心できるブラームス。じっくりと音楽そのものを聴きたい人にオススメです。



旧譜
グルジェゴス・ノヴァーク&ロイヤル・フィル
大作交響曲シリーズ
Dvorak: Symphonies Nos. 6-9 & Carnival Overture
RPOSP020
(3CD)
\2300→\2090
ドヴォルザーク:交響曲第6番-第9番
<CD1>
 1-4.交響曲第6番ニ長調 Op.60 B.112/
<CD2>
 1-4.交響曲第7番ニ短調 Op.70 B.141/
 5-8.交響曲第8番ト長調 Op.88 B.163/
<CD3>
 1-4.交響曲第9番ホ短調「新世界より」Op.95/
 5.序曲「謝肉祭」Op.92 B169
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団/
グルジェゴス・ノヴァーク(指揮)
録音 2009年10月-2010年1月…第6番&第7番, 2009年1月…第8番&第9番ロンドンカドガン・ホール
 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の首席准指揮者であるグルジェゴス・ノヴァークによるドヴォルザーク(1841-1904)の4つの交響曲です。彼は「エルネスト・アンセルメ指揮者コンクール」で第1位を獲得した他、数多くのコンクールで優秀な成績を収め、またヴァイオイリニストとしても優れた才能を発揮しています。
 このドヴォルザークは、若々しい感性を生かした爽やかな解釈が際立つもので、随所ではじける金管や、滑らかな弦の音色が大変魅力的な演奏です。
 
Grzegorz Nowak Conducts Shostakovich
RPOSP037
\2000→\1790
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番他
 1-4.交響曲第5番ニ短調 Op.47/
 5.祝典序曲Op.96
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団/
グルジェゴルス・ノヴァーク(指揮)
録音 2011年1月13-14日ロンドンカドガン・ホール
 ロイヤル・フィルの首席準指揮者ノヴァークによるショスタコーヴィチ(1906-1975)。思いの外「濃厚」で熱い演奏です。祝典序曲のまったりさもなかなかです。ショスタコーヴィチに狂気を感じたくない人にオススメしたい1枚です。
 
Schumann: Symphonies Nos. 1-4 (complete)
RPOSP014
(2CD)
¥2200→\1990
シューマン(1810-1856):交響曲全集
 CD1:
  1.交響曲第 1 番変ロ長調 Op.38「春」/
  2.交響曲第 2 番ハ長調 Op.61/
 CD2:
  1.交響曲第 3 番変ホ長調 Op.97「ライン」/
  2.交響曲第 4 番ニ短調 Op.120
グルジェゴルス・ノヴァーク(指揮)/
ロイヤル・フィル
ロイヤル・フィルの首席准指揮者としてじっくり活動しているノヴァークの手堅い演奏を。これがなかなか遅めのテンポの熱いシューマンで、気楽に聴こうと思うと火傷するかもしれません。録音 2008 年2 月4.5 日(2 番&4 番) 2009 年1 月6.7 日(1 番&3 番)


SOLO MUSICA


SM180
\2000
Wahlverwandtschaften-親和力
 1-3.フォルクマール・アンドレーエ(1879-1962):
  ピアノ三重奏曲 ヘ短調 Op.1/
 4.シューベルト(1797-1828):ピアノ三重奏曲Op.99-アンダンテ/
 5-7.ミシャ・ケーザー(1959-):ピアノ三重奏曲 第1番/
 8.シューベルト:ピアノ三重奏曲 Op.100-アンダンテ・コン・モート/
 9.ロベルト・シューマン(1810-1856):
  4つの二重奏曲 Op.34-2「恋する者のセレナード」(ピアノ三重奏版)/
 10-13.チョンヘ・リー(1964-1):ソノレッテン/
 14.シューマン:4つの二重奏曲 Op.78-3「君を思う」(ピアノ三重奏版)
アブソリュート三重奏団
録音 2011年11月-12月 スイス チューリヒ放送スタジオ

ドイツ語で「親和力」と題されたこの1枚。一見、ばらばらに見える曲たちが独特の内的要因で結びつき、これらが集まることで美しい光を放っています。シューベルトとシューマンの親密な室内楽と、対照的な現代作品の響きの対比、また知られざる作曲家アンドレーエの、ドヴォルザークにも似た美しいメロディ(とりわけ第3楽章の口ずさみたくなるような人懐っこさ)もたまりません。雄弁なピアノ、渋いチェロ、そして艶のあるヴァイオリンが溶け合う瞬間に何かが生まれます。
 

TOCCATA

Borys Lyatoshynsky: Ozymandias
TOCC-53
\2600
ボリス・リャトシンスキー:「オジマンディアス」と、そのほかの低声のための歌曲集
 1-5.バスとピアノのための5つのロマンス Op.5/
 6.シェリーとバルモントの詩による4つのロマンス Op.14から第3番/
 7.オジマンディアス Op.15/
 8-10.低声とピアノのための3つのロマンス Op.6/
 11-13. A.プーシキンの詩による4つのロマンス Op.27から第1番-第3番/
 14.太陽/
 15-18. I.フランコの詩による5つのロマンス Op.31から第1番、第3番-第5番/
 19.L.ペルヴォマイスキーの詩による2つのロマンス Op.32から第2番/
 20-21.バスとピアノのための2つのロマンス Op.57/
 22-23. 2つのロマンス Op.37
ヴァシリー・サヴェンコ(バス)/
アレクサンダー・ブロック(ピアノ)
録音 2009年1月25-28日 モスクワ アカデミー・オブ・コラール・アーツ
 ウクライナ生まれの作曲家、指揮者、音楽教師であるリャトシンスキー(1895-1968)。初期の作品にはスクリャービンの影響がみられますが、時代を経るにしたがって、少しずつ国民楽派的な作品を書くようになったことで知られています。しかしながら、ロシアでの知名度の高さとはうらはらに、海外ではほとんど顧みられることのない「希少作曲家」の一人であり、その作品を聴く機会もまずありません。
 このアルバムは、そんなリャトシンスキーの歌曲を集めた1枚です。タイトルの「オジマンディアス」とはイギリスのロマン派詩人パーシー・シェリーの詩で描かれた古代エジプトのファラオ、ラムセス大王の別名で、作曲家は、傲慢さで知られる王の姿に専制君主であったスターリンを重ね合わせたのかもしれません。ブックレットには英語による対訳が含まれています。
 
Heino Eller: Complete Piano Music Volume 3
TOCC-161
\2600
ヘイノ・エッレル:ピアノ作品全集 第3集
 1-18. 10の抒情小曲集(1942-1943)
  <第1曲:アンダンテ・コン・モート/
   第2曲:アレグロ・コン・パッショーネ/
   第3曲:アンダンテ・メディタティーヴォ/
   第4曲:アレグロ・モルト/
   第5曲:メスト,モデラート・アッサイ/
   第6曲:ソステヌート・エスプレッシーヴォ/
   第7曲:アレグロ・アジタート/
   第8曲:アレグレット・グラジオーソ/
   第9曲:アダージョ・エレジアーコ/
   10曲:主題と8つの変奏(Track 10-18)>/
 19.練習曲 変イ長調(1918)/
 20.練習曲 変ト長調(1919)/
 21.練習曲 変ト長調(1917)/
 22-26.前奏曲集(1929-1930)/
 27-29.ピアノ・ソナタ 第4番(1957-1958)
ステン・ラスマン(ピアノ)
録音 2010年12月9-11日 サフォーク,オールド・グラナリー・スタジオ
 エストニア音楽の創始者の一人ヘイノ・エッレル(1887-1970)のピアノ曲全集(全部で7枚の予定)の第3集です。今作は彼の初期から中期の作品である「抒情小曲集」と、ソナタ、練習曲と前奏曲です。「抒情小曲集」は第二次世界大戦中に、ドイツの占領下にあったエストニアで書かれた作品で、ユダヤ人であった妻アンナが逮捕され処刑されるという悲劇に見舞れた、エッレルの悲しみが反映されています。
 様々な事情により印刷されることもなく、これらは2010年まで全曲が演奏されることもありませんでした。風変りであり、またロマンティックで表現的な前奏曲とソナタ第4番、極めて初期の作品である3つの練習曲など興味深い小品が含まれています。
 
Mihkel Kerem: Symphony No. 3, Lamento & Sextet
TOCC-173
\2600
ーケル・ケレム:交響曲 第3番 他
 1-3.交響曲 第3番「共産主義の犠牲者のために」(2003)/
 4.弦楽合奏と独奏ヴィオラのための「ラメント」(2008-2009)/
 5.弦楽六重奏曲(2004)
エストニア国立交響楽団…1-3/
タリン室内管弦楽団…4/
タリン・アンサンブル…5/
ミック・マードヴィー(4…ヴィオラ,1-4…指揮)
録音 2012年1月11-12日 エストニア・コンサート・ホール…1-3, 2012年2月29日 エストニア・コンサート・ホール…4, 2012年3月2日 ハウス・オブ・ブラックヘッズ,フランタニティ・ホール…5
 エストニアのヴァイオリニスト、ミーケル・ケレム(1981-)は、最近イギリスに自宅を構え、積極的な演奏活動を行っています。作曲家としての彼は、既に100曲以上の作品を完成させており、新作も待ち望まれてます。交響曲第3番は、ロシアの共産主義で抑圧されたイデオロギーをテーマしたもので、ショスタコーヴィチから、彼の弟子であったティシチェンコと連なる音楽的闘争のアイデアに触発されたとケレム自身が語っています。
 弦楽六重奏曲は、シェーンベルクの「浄夜」やR.シュトラウスの「メタモルフォーゼン」に共通する佇まいを持った曲、そして「ラメント」は本来チェロと弦楽合奏のための書かれたもので、孤独な人間の声を表現するために、独奏をヴィオラへと移し替えたことが一層の効果をあげています。
 
Judith Bingham: Piano Music
TOCC-181
\2600
ジュディス・ビンガム:ピアノ作品集
 1.月はウェストミンスター寺院の向こうへ(2003)/
 2.ライムハウスの夜想曲(2004)/
 3-16.バイロン、暴力的な進歩(2008)/
 18-20.過去のクリスマス、クリスマスプレゼント(1989)
 <クリスマス・ツリー/クリスマス・イヴ/プレゼント/
  過去のクリスマス>/21.ショパン(1979)/
 22.受胎告知 Ⅲ(2010)/
 23-26.内なる絵画(1981)
  ※1.2以外,初録音
デヴィッド・ジョーンズ(ピアノ)
録音 2009年10月27日 リーズ音楽大学 ヴェニュー
 イギリス、ノッティンガム生まれの女性作曲家ジュディス・ビンガム(1952-)は、1983年から13年館、BBCシンガーズのメンバーとして活躍、同時に数多くの作品を創り上げています。そんな彼女ですから、声楽曲やオルガン曲は聴かれることも多いのですが、ここでは「詩」の力に頼ることないピアノの音のみの音楽で彼女の美質に触れることが出来ます。とは言え、彼女のピアノ曲は極めて詩的であり、言葉との関係性を断ち切ることは不可能です。
 「バイロン、暴力的な進歩」は詩人の内なる世界の闘争を描いた変奏曲で、見えざる言葉が支配する見事な作品と言えるでしょう。収録曲のほとんどは世界初録音であり、この作曲家の真意を図るにも最適な1枚です。
 

Theodore Gouvy: Serenades for Flute and Strings
TOCC-185
\2600→\2390
ルイ・テオドール・グヴィ:フルートと弦楽のためのセレナード集
 1.セレナード ニ短調 Op.posth/
 2-5.セレナード 第2番 ヘ長調 Op.84/
 6-9.セレナード 第1番 ニ長調 Op.82/
 10.フルートとピアノのための「序奏とポロネーズ」/
 11.フルートとピアノのための「スウェーデン風舞曲」
マルクス・ブレニマン(フルート)/
クライスラー弦楽四重奏団/
イルカ・エンメルト(コントラバス)/
ミヒャエル・クライザー(ピアノ)
録音 2012年10月20-21日…1-5, 2013年1月5-6日…6-11 ザールブリュッケン放送 大ホール
 19世紀フランスの作曲家、テオドール・グヴィ(1819-1898)のフルート作品集です。
 彼の出身地はフランスとドイツの係争地帯であり、彼自身も若い頃はドイツで学び、32歳の時にフランス国籍を取得するなど、生涯ずっと2つの国の文化に影響され続けていました。
 そんな彼のフルート曲は、確実に19世紀の室内楽のレパートリー拡大に貢献するものであり、この魅力的な旋律は、隣国同士の戦いなどという小さな嵐に巻き込まれることなく、普遍の命を与えられたものです。彼の交響的作品はcpoレーベルで継続的にリリースされ続けていて、このアルバムは隙間を埋める貴重なものとしてファンにも歓迎されることでしょう。
 
TOCC-102
\2600
ゲオルク・フィリップ・テレマン:音楽による礼拝 第5集
 1-3.神は定めある命の人となり/
 4-6.全てのキリスト教徒よ喜べ!陽気に/
 7-9.目を覚ませ、あなたの罪深き夢から身を引き裂く/
 10-12.楽しき祭りに胸が高まり/
 13-15.全能の神の子の求める声が聞こえ/
 16-18.麻痺した龍はあなたを捉え
ベルゲン・バロック
録音 2008年9月12-18日 ノルウェイ Ostre Toten,ホフ教会
 1726年、ハンブルクで出版された72のカンタータからなる「音楽による礼拝」。これまでに全曲録音盤が存在せずファンをやきもきさせていた曲集です。
 TOCCATAが進めているこの全集、今回の第5集でも、全ての場面に熟練した対位法が使われ、各々の楽器と声楽が精妙な掛け合いを行う、いかにもテレマン(1681-1767)らしい創意工夫に満ちたものです。
 演奏は今回もベルゲン・バロックによるもので、ソプラノ、バロック・ヴァイオリン、ハープシコード&オルガン、テオルボ、バロックチェロによる編成からなる妙なる響きがたまりません。
 
Theodor Grigoriu: Byzantium after Byzantium
TOCC-131
\2600
テオドール・グレゴリー:ビザンチウム・アフター・ビザンチウム
 1-3.3部作の協奏曲:ビザンチウム・アフター・ビザンチウム Ⅰ(1994)/
 4-7.偉大なるパッセージ:
  無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ-
   ビザンチウム・アフター・ビザンチウム Ⅱ(1999)/
 8-10.永遠への回帰:
  ヴァイオリンとピアノのためのソナタ-
   ビザンチウム・アフター・ビザンチウム Ⅲ(2004)
スティーヴン・ルプー(ヴァイオリン)/
シンフォニア・ダ・カメラ/
イアン・ホブソン(指揮)/
アンドレイ・タナセスク(ピアノ)
録音 1996年10月17日 イリノイ州 クランネート・センター・オブ・パフォーミング・アーツ ライヴ録音…1-3, 1999年5月5-6日 ブカレスト,ルーマニア放送レコーディング・スタジオ…4-7, 2005年6月11-12日 ブカレスト,ルーマニア放送レコーディング・スタジオ…8-10
 モラヴィアにうまれたグレゴリー(1926-)は現代ルーマニアの主要作曲家の一人です。エネスクの後の世代であり、現代的な書法を持つ素晴らしい作品を書く人ですが、なぜかあまり国外で話題になることがないのが本当にもったいないものです。
 彼の作品のルーツはルーマニアの民族音楽にありますが、この作品はそれらの雰囲気の中に古代東ローマ帝国(ビザンチン)の雰囲気を溶かし込んだ独特な風合いを持ち、一度聴いたら忘れられない印象を残します。
 
Martinu: Early Orchestral Works, Volume One
TOCC-156
\2600
ボフスラフ・マルティヌー:初期管弦楽作品集 第1集
 1.前奏曲とスケルツォの形式で H181a/
 2.管弦楽の楽章 H90/3.Posviceni-ごちそう H2/
 4.夜想曲 H91/5-8.小舞曲組曲 H123
シンフォニア・ヴァルソヴィア/
イアン・ホブソン(指揮)
録音 2012年12月19-21日 ポーランド放送,ヴィトルト・ルトスワフスキ・コンサート・スタジオ
 チェコ出身の作曲家マルティヌー(1890-1959)は、最初はプラハで学ぶも1923年にパリに出て当時の前衛であった新古典主義に傾倒します。その後は様々な変遷を経てチェコの民族音楽を取り入れた音楽を書いたり、新印象主義の音楽を書いたりと大変数多くの作品を残しています。
 そんな彼ですが、10代後半から30代前半に書いた管弦楽作品はあまり知られておらず、演奏の機会も多くないのが実情です。ここではそんな彼の「初期作品」を6枚に渡ってまとめて録音するというもので、こんなにも魅力的な作品がこれまで知られることなく存在していたという事実には驚きを隠せません。
 

TOCC-160
\2600→\2390
エーリッヒ・ヴィルフガンク・コルンゴルト:劇音楽「空騒ぎ」Op.11
 1-18.劇音楽「空騒ぎ」/
 19-23.ディアローグなしの楽章
ユニヴァーシティ・オブ・ノースキャロライナ・
 スクール・オブ・ザ・アーツ・ドラマ・ソロイスツ
 &交響楽団/
ジョン・マウチェリ(指揮)
 最近、著しく復興を遂げた作曲家の一人に「コルンゴルト」がいます。
 映画音楽の分野では「コーンゴールド」という名で知られ、その後期ロマン派の重厚な音色は後のハリウッドにおけるサウンドトラックの礎ともなっています。
 そんな彼は少年時代より「神童」として知られ、この「空騒ぎ」も23歳の時の作品ながら、それ以前にいくつもの作品を上演し、既に高い名声を得ていた作曲家の新作として迎えられたものです。
 シェークスピアを原作にした作品で、今までは彼自身が編纂したヴァイオリンとピアノのための組曲がしばしば聴かれていましたが、最近はこのような全曲版も世に出始めています。なんとも機知に富んだ「完成された」音楽です。

TWO PIANISTS

American Classics
TP1039152
\2600
ロリ・シムズ(ピアノ)
 アメリカン・クラシック

  1.コープランド(1900-1990):ピアノ変奏曲/
  2.ベン・ウェバー(1916-1979):幻想曲(変奏曲) Op.25/
  3-6.グリフィス(1884-1920):ローマのスケッチ Op.7/
  7-10.バーバー(1910-1981):ピアノ・ソナタ Op.26
ロリ・シムズ(ピアノ)
録音 2012年1月16-18日 南アフリカ ステレンボッシュ大学,エンドラー・ホール
 1998年ジーナ・バッカウアー国際ピアノコンクールで優勝したピアニスト、ロリ・シムズによる「アメリカのピアノ音楽」を集めた1枚です。ここで取り上げられた4人の作曲家は、生まれた時代は近いのですが、その作風は全く違います。
 「アメリカ」そのものを表出することに力を注ぎ、それまでの伝統に新しい風を注ぎ込んだコープランド、革新的なものを追求したウェバー。この2人の変奏曲の違いが象徴的です。ロマン派の流れにそのまま身を置いたギリフィス、保守的な作風の中に現代的な感覚を融合させたバーバー。スペインの伝統に連なるラテンスタイル、イギリスからのヨーロピアンスタイルなどが混在した20世紀初頭のアメリカ音楽界を目の当りにできる好企画です。
 
Haydn - Rachmaninoff - Prokofiev
TP1039176
\2600
ルカーシュ・ヴォンドラーチェク(ピアノ)
 ハイドン/ラフマニノフ/プロコフィエフ:ピアノ作品集

  1-3.ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809):ピアノ・ソナタ ハ短調 XVI:50/
  4.ラフマニノフ(1873-1943):コレッリの主題による変奏曲 Op.42/
  5-7.プロコフィエフ(1891-1953):ピアノ・ソナタ 第7番 Op.83
ルカーシュ・ヴォンドラーチェク(ピアノ)
録音 2012年9月29-30日 南アフリカ ステレンボッシュ大学,エンドラー・ホール
 数多くの国際ピアノ・コンクールで優勝し、20代の半ばであるにも関わらず既に巨匠の風格を湛えたピアニスト、ルカーシュ・ヴォンドラーチェク。彼は14歳の時にアシュケナージに見出されるも、じっくりと自らの音楽性を熟成し、慎重にキャリアを築いてきました。
 デビュー後はカーネギー・ホールやウィグモア・ホールなどで演奏、また世界中のオーケストラと共演。ユニークな個性が聴き手を惹きつけています。このアルバムで選ばれた作品も、なかなか興味深いものばかりで、ハイドンとプロコフィエフ、そしてラフマニノフという全く性格の違う3つの作品が見事に並び、どれにも新鮮な解釈が与えられています。
 
TP1039237
\2000
インプレッション #1(サンプラーCD)
Two Pianists Records既発リリースから聴きどころをあつめた全19曲のサンプラーCD。このレーベルの方向性が見えてくる興味深いアルバムです。

YARLUNG RECORDS

lorraine: Works by JS Bach
YAR-96298
\2300
ロレイン・ハント・リーバーソン:バッハを歌う
 1-3.J.S.バッハ(1685-1750):
  ブランデンブルク協奏曲 第4番 BWV1049/
 4.J.S.バッハ:カンタータ「我が心は血にまみれ」
ロレイン・ハント・リーバーソン(メゾ・ソプラノ…4)/
ロサンジェルス室内管弦楽団/
ジェフリー・カハネ(指揮)
録音 UCLA ロイス・ホール 2003年9月…4, 2011年11月…1-3
 2006年,53歳という若さでその生涯を閉じたメゾ・ソプラノ歌手ロレイン・ハント・リーバーソン。彼女はもともとヴァイオリンを学び、やがてヴィオラに転向。合唱団でも歌うという多彩な才能の持ち主でしたが、26歳の時に本格的に声楽家としてキャリアを始めました。古楽系の作品を得意としていましたが、1997年に現代アメリカ作曲家であるピーター・リーバーソンと出会い、現代作品を積極的に歌うようになったのです。そのピーターとの熱愛はスキャンダルにもなったものの、様々な試練を経て1999年に2人は結婚。そのロマンスも伝説的なものです。
 このアルバムは、2003年に彼女がロサンゼルス室内管弦楽団との演奏を記録したもの。最初のリハーサルの際、彼女があまりにも感動的な歌を歌ったため、全ての共演者たちが涙を流したというプロデューサーの証言通り、本当に感動的な音楽が聞こえてきます。
 併録のブランデンブルク協奏曲は、現在のロサンジェルス室内管弦楽団の響きを伝えるもので、1968年に設立されて以来、才能ある若き音楽家たちの成長を見守ってきたこの管弦楽団の卓越したアンサンブルを聴くことができます。



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