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フランク・ブラレイ(ピアノ)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
ピアノ・ソナタ
第14番「月光」,第23番「熱情」,第31番 |
フランク・ブラレイ(ピアノ) |
それは大人のベートーヴェンだった。
フランク・ブラレイの3作目のアルバム。
妙に哲学的になることも、精神論をぶちあげることもない。
情熱的なのだが青臭いそれではなく、過去に何かあったのかな、と思わせるようなユラユラと少しアンニュイな情熱。
即興的なところを多分に含むのに、それがどこまで計算されたものなのかも分からない。1882年製スタインウェイの色と香りを伝えるために、さまざまな演奏上の工夫が施されているのだろうが、それもどこまで計算されているのか分からない。
まるでバーの片隅のピアノで、憎いほど男前の外国人がタバコを吸いながらダララランと気ままに弾いている感じ。
手練手管にたけたドン・ファンのようにも思えるが、実は恐ろしくシャイだったりするのかもしれない。
「月光」の1楽章も、「熱情」の3楽章も、31番の終楽章も、とんでもないエネルギーと痛いほどの感性に満ちているのに、本人はいたってクール・・・。
そして演奏が終わってふうっと息をついた後に、静かにこちらを振り返って寂しげに微笑む。
・・・誠に心憎いベートーヴェン。
フランク・ブラレイ。1968年生まれ。
フランス生まれなのだが、もはや誰も彼をフランス限定のピアニストとして考えてない。
スケールがでかいのである。
しかしそれを正面切ってアピールするような無様なことはしない。
すべてが洒落ている。そして決まっている。
また2003年のアルゲリッチ音楽祭で急遽アルゲリッチの申し出で代役として来日。ラクリン、マイスキーとベートーヴェンの三重協奏曲を披露した。「爽やかな好演」と評した人がいたが、突然アルゲリッチの代役として3日間だけ来日し、ラクリン、マイスキーという怪物と組んでベートーヴェンの三重協奏曲を爽やかに演奏して帰る、などという芸当ができる若手ピアニストが果たしてどれだけいるか??
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吉田秀和氏絶賛!透明感と辛味のあるブラレイのベートーヴェン
録音:2001 年4 月
吉田秀和氏も大絶賛した、ブラレイのベートーヴェン。
「このあたりのブラレイのひき方は細かな心遣いが行き届いているだけでなく、いかに彼が楽譜の中に深く喰い入って、そこからベートーヴェンの「真意」を音に移すのにまじめに取り組んでいるかを示すものとして、私には快く感じられたものである。」(レコード芸術2002
年5 月号より)
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ベルリン古楽アカデミー
ジョヴァンニ・ベネデット・プラッティ(1697
− 1763):
(1)コレッリに基づく合奏協奏曲第10番ヘ長調(544)
(2)チェロ・オブリガートをともなう合奏曲(VIII)ニ長調
(3)コレッリに基づく合奏協奏曲第4番ヘ長調(540)
(4)「オーボエのための」協奏曲ト短調(644)
(5)コレッリに基づく合奏協奏曲第5番ト短調(541) |
ベルリン古楽アカデミー
シェニア・レッフラー(Ob)
セバスティアン・ヘス(Vc)
ゲオルク・カルヴァイト
(コンサートマスター、独奏Vn) |
陽性の魅力。バロック時代のオーボエの名手、プラッティによる作品集
録音:2007年11 月
プラッティは、イタリアに生まれ、ドイツのヴュルツブルクの宮廷に仕えた作曲家。自身、オーボエのとてつもない名手であったため、最初はオーボエ奏者として雇われたそうですが、ほどなくして作曲家としても才覚を発揮した人物です。オススメはトラック6
から始まる②のチェロ・オブリガートを伴う協奏曲。痛快なテンポで刻まれる弦楽器による前奏を経て、チェロが上下にめまぐるしく動く旋律を奏でてゆきます。ベルリン古楽アカデミーの面々の一糸乱れぬアンサンブルは見事。そしてオーボエ協奏曲は、多感様式を思わせるような雰囲気を漂わせる豊かな表情が印象的です。 |
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エカテリーナ・セメンチュク(Ms)
ロシア・ロマンス集
(1)ラフマニノフ:
昔から恋には慰めは Op.14の3 /リラの花 Op.21の5
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夜は悲しい Op.26の12 /わが子よ、お前は花のよう Op.8の2
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夢 Op.8の5 /花はしぼんだ
(2)チャイコフスキー:
夜 Op.73の2 /わが守護神、わが天使/ミニヨンの歌 Op.6の6
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眠る前の夢 Op.27の1 /地上に闇はたれこめ Op.47の3
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眠れ、悲しむ友よ Op.47の4 /カッコウ Op.54の8
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眠れ Op.57の4 /死 Op.57の5 /君だけ Op.57の6
(3)グラズノフ:
東方のロマンス Op.27の2 /スペインのメロディ Op.4
の4
(4)タネーエフ:人は眠る Op.17の10 /鍾乳石 Op.26の6
/泉 Op.26 の7
(5)グリエール:
人間の涙 Op.6の2 /おお、もし私の悲しみが Op.28の3
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夜が訪れる Op.50の1 /恋焦がれ Op.46の3
(6)グレチャニノフ:東洋の歌/夜 Op.47の7/雪つぶ Op.47の9 |
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エカテリーナ・セメンチュク(Ms)
ラリーサ・ゲルギエワ(Pf) |
美貌のメゾ・ソプラノ、エカテリーナ・セメンチュクのデビュー盤!
2013 年ザルツブルク音楽祭ではエボリ公女役で登場が予定されているなど、今、実力・人気ともに注目株のセメンチュクのデビュー盤。オペラもロシアものからフランスもの、宗教作品から歌曲リサイタルまで、幅広いレパートリーをもつ彼女の表現の幅広さは、既にこのデビュー盤でも発揮されていました。
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ディートリヒ・ヘンシェル(Br)
コルンゴルト:歌曲集(未出版曲多数含む)
12の歌曲「神様とパパはこう望んだ」,
6つのやさしい歌曲集Op.9 より(3曲),
4つの別れの歌Op.14,3つの歌曲Op.18,
5つの歌曲Op.38,他全36曲 |
ディートリヒ・ヘンシェル(Br)
ヘルムート・ドイチュ(P) |
クリムト的世紀末甘美の世界
コルンゴルトの歌曲は、クリムト的な世紀末の甘美な世界のものが多いですが、未出版曲も多数あり、なかなかまとまった録音がありませんでした。このCD
は、米国から自筆譜を多く取り寄せ、ドイッチュが書き起した楽譜をもとに録音したものも収められています。またコルンゴルトの最高傑作に挙げる人も多い作品14
の歌曲集は、陶酔の音楽。ドイツ・ロマン派の最後の最後の偉大な傑作です。ヘンシェルの知性と抑えの効いた表現が、曲の甘美な世界に溺れてしまうことなく、コルンゴルトの旋律を聴かせます。ドイチュの伴奏もピタリと見事。 |
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トリオ・ヴァンダラー
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲
(1)第1番 ニ短調 Op.49
(2)第2番 ハ短調 Op.66 |
トリオ・ヴァンダラー |
高貴にして官能的!メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲集
録音:2006 年9 月
高貴な薫りに満ちた美音の弦楽器が展開する、官能的で時にむせび泣くような表現に引き込まれます。ピアノがまた素晴らしい!たとえば第2
番のスケルツォ楽章で、真珠の粒のように美しく転がる音が、弦とたわむれ、時に熱いうねりとなって盛り上がる様子は、神がかりともいえる美しさです。トリオ・ワンダラーが誘う、たまらなく官能的でディープなメンデルスゾーンです。 |
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アレッサンドロ・カルボナーレ(Cl)
「オペラ座のクラリネット」
マスカーニ(カルロ・デッラ・ジャコマ編):
「カヴァレリア・ルスティカーナ」幻想曲
ロッシーニ(ジローラモ・サリエーリ編):
「エドァルドとクリスティーナ」導入、主題と変奏曲
プッチーニ(デッラ・ジャコマ編):「トスカ」幻想曲
ベッリーニ(ルイージ・バッシ編):「夢遊病の女」
ヴェルディ(バッシ編):「リゴレット」協奏幻想曲 |
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アレッサンドロ・カルボナーレ(Cl)
アンドレア・ディンド(P) |
ベルカント・クラリネット
2000 年3,4 月
カルボナーレは、1967 年イタリア、デゼンツァーノ(
ヴェネツィア近郊) 生まれ。アバドとのバセット・クラリネットを使用したモーツァルトの協奏曲録音でも知られ、リヨン歌劇場管弦楽団、イタリア人としては異例のフランス国立管弦楽団首席を経て、2003
年より、ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の首席奏者を務め、現在に至ります。この録音はフランス国立管時代のもの。恐るべき超絶技巧と豊かな歌心が要求されますが、カルボナーレは誰にも真似できぬ余裕の名演を繰り広げています。 |
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マリア・クリスティーナ・キール(S)
聖週間のための哀歌〜
[聖水曜日]
(1)カリッシミ(1605-1674):エレミアの哀歌、ここに始まる
(2)カリッシミ:「おとめシオンより、栄光はことごとく去り」
(3)ロッシ(C.1601-1656):トッカータ・クヮルタ
(4)フレスコバルディ(1583-1643):「敵はその手を下し」
(5)パレストリーナ(C.1525-1594):「主よ、救いたまえ」
[聖木曜日]
(6)作曲者不明:エレミアの哀歌
(7)作曲者不明:彼らが傷ついた者のように
(8)カプスベルガー(C.1580-1651):トッカータ・クィント
[聖金曜日]
(9)作曲者不明:エレミアの哀歌
(10)作曲者不明:トッカータ・アルペッジャータ
(11)マルコレッリ(C.1615-C.1675):なにゆえ黄金は光を失い
(12)作曲者不明:預言者エレミアの祈り |
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マリア・クリスティーナ・キール(S)
ジャン=マルク・エメ(指、Org.)
コンチェルト・ソアーヴェ |
これだけの人が日本ではまだそれほど認知されていないということがなんとも信じられない。
初めて彼女の歌声に接した人は、その清楚で伸びやかで透明な歌声に心しびれる思いがするに違いない。
キールはアルゼンチンで生まれ、早いうちからヨーロッパでバロックの声楽曲を習うためにルネ・ヤーコプスに師事した。その後たちまち頭角をあらわし、サヴァール、ヘレヴェッヘ、ブリュッヘン、レオンハルト、アーノンクールたち、まさにそうそうたる巨匠たちと共演、HMのいくつかのアルバムにも参加するようになった。
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マリア・クリスティーナ・キール&コンチェルト・ソアーヴェ、音楽による至高の慰めキールの純度の高い結晶のような歌声
キールによる最高純度の結晶のような歌声。受難を前にしたキリストを悼む哀歌が、澄み切った空気の中に響きます。器楽のみの楽曲も、リュートをつまびく音一つ一つが真珠の涙の粒のような美しさです。至高の慰めがここにあります。
キリスト教では、枝の主日(キリストが、十字架につけられる前にロバに乗ってエルサレムに入城した日。人々は棕櫚の枝を掲げてイエスを迎えたことから「枝の主日」と呼ばれる)から、復活の主日までを聖週間といいます。この期間の夕刻からロウソクの火が消えて教会が暗闇と化す時まで朗唱された音楽が、「ルソン・ド・テネブル」の原型。声楽の場合、エレミアの哀歌の聖句が、歌詞の大部分を占めます。ルネッサンス時代にこのジャンルは誕生し、ルイ14
世下のフランスで発展を遂げました。イタリアでは、17
世紀の前半にこのジャンルは流行し、ボローニャにある音楽博物館には、当時ローマで活躍していたあらゆる音楽家たちによる哀歌の23
種類の曲集の譜が残されていますが、この盤は、マリア・クリスティーナ・キールとコンチェルト・ソアーヴェが、これらの資料から、聖週間のための哀歌を再構築したもの。歌詞にも現れるdolor(悲しみ)、lamentatio(哀れみ)といった言葉を、他に類を見ない純度の高い美しい結晶にして蘇らせ、聴く者の心に溶け入るように聴かせます。 |
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オルランド・コンソート
アントワーヌ・ビュノワ:
モテ「喜べ、天のような女性よ」
シャンソン「私はある女性に御辞儀をした」
シャンソン「愛は私たちを名誉を持って扱う」
シャンソン=モテ「喜べ、フランスの大地よ」
賛歌「星々の優しき創造主よ」
ミサ「おお木の十字架」
シャンソン「もう彼にそれを当てにさせないよう」
シャンソン「君はつま先だって歩いている」
シャンソン「終わりのある慈悲はあるのだろうか」
モテ「限りなきこと」 |
オルランド・コンソート
〔ロバート・ハリー=ジョーンズ(CT)
マーク・ドウベル(T)
アンガス・スミス(T)
ドナルド・グレイグ(Br)〕 |
オケゲムの影にかくれてしまった作曲家ビュノワの真価がここに!
録音:2003 年11 月2-5 日
アントワーヌ・ビュノワ(1430 頃-1492)は、15
世紀後半の、いわゆるフランドル楽派の作曲家。ブルゴーニュのシャルル勇胆公と、その後継ぎのマリーに仕え、ベルギーのブリュージュで亡くなっています。大先輩であるオケゲム(1410
頃-1497) の圧倒的な名声の前にビュノワは隠れがちでしたが、しかし残された彼の作品はどれも高度なものばかり。ビュノワは多数のシャンソン(現存するのは60
曲ほど)と、いくつかの宗教曲を残しています。このCDには、それらの中から10
曲が選ばれています。御存知オルランド・コンソートが、いつもながらの練り上げたカルテットを聞かせてくれます。ビュノワの再評価を促す演奏です。 |
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ネーヴェル&フエルガス・アンサンブル
パドヴァーノ(1527-1575):24声のミサ |
パウル・ヴァン・ |
オルガンの大家、パドヴァーノによる24 の声のためのミサ
ヴェネツィア楽派の作曲家にしてオルガン奏者、パドヴァーノの声楽作品。パドヴァーノはオルガン作品などで知られていますが、声楽作品も貴重。 |
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ペレス&アンサンブル・オルガヌム
モサラベ聖歌〜スペイン中世キリスト教聖歌集 |
マルセル・ペレス(指)
アンサンブル・オルガヌム |
ペレス&アンサンブル・オルガヌムが紡ぐ中世スペインの宗教音楽のタペストリー
モサラベ聖歌はイベリア半島特有のもの。モサラベとは、アラブ支配下の、スペインのキリスト教徒をさす言葉。今もモサラベ典礼を行うところはありますが、その歌唱はまれだと言われています。ペレス率いるアンサンブル・オルガヌムが、モサラベ聖歌の独特の世界を濃密に織り上げています。 |