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名盤雑記帳

 これからどういう形で進んでいくのか店主自身もわからない。
 膨大なクラシック音源の中から名盤とされているCDを無秩序に取り上げ、数年後にはそこそこのライブラリにしたいという企画。
 演奏家主体なのか、作曲家主体なのか、作品主体なのか、音盤主体なのか、現段階では未定。とにかく始めちゃいます。

 ここで扱うアルバムの条件は、歴史に名を残す名盤であり、且つ実際聴いて素晴らしいものであること。買って、「ギャー、やめときゃよかった〜」というようなことはありえないもの(2枚目だったとかいうのはナシです)。
 そして現在入りやすいということと、・・・できれば比較的安価な価格のもの。
 そんな基準で選んでいくつもりです。


2008.10.10

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

 これまた名盤ひしめく大名曲。
 ただ、一般にブラームスのピアノ協奏曲というと、第2番のほうが扱いがいい。
 どんなに言っても第1番はまだ20代の作品。第2番は第1番からほぼ20年後、交響曲第3番や第4番と同時期に作られた、まさに全盛期の作。オーケストレーションも練れたものだし、ブラームス的情緒にもあふれる。どうみても第2番のほうが分がいい。
 しかしこのピアノ協奏曲第1番を、情熱が先走った若書きの欠陥作品と評価する人はいない。
 その重量感、存在感、悲劇性、深いロマン・・・そう、誰もが敬愛するあの交響曲第1番を最も彷彿とさせるのは、ブラームスの数多くの傑作の中でもこの曲だといっていい。製作開始時期が同じころだったということもあるのかもしれないが、この曲の持つ荒々しくも荘厳な情熱というのは、交響曲第1番に直結し完結する。それを無意識のうちに感受した音楽ファンは、それゆえにこの曲を当然のように深く敬愛するのだろう。

 さて、この曲のCDを選ぼう。
 もともと交響曲として作られていた時期もあったこの作品。また完成したときは「ピアノ付き交響曲」と呼ばれたりもしたことから、ピアノとオーケストラは対等、ときにはオーケストラのほうが存在感が大きい。なので、録音を選ぶときも、ピアニストと指揮者・オーケストラその三者に平等に責任がのしかかる。
 そうすると、さすがにメジャー・レーベルが誇る大有名アーティスト軍団が強い。
 ちょっと思いつくだけでも、
  
ベルリン・フィル アバド  ブレンデル 86
ポリーニ 97
ヨッフム ギレリス 72
ウィーン・フィル ベーム バックハウス 53
ポリーニ 79
バーンスタイン ツィマーマン 83
ショルティ シフ 88
コンセルトヘボウ ハイティンク アシュケナージ 81
アラウ 69
イッセルシュテット ブレンデル 73
クリーブランド管 セル ゼルキン 68
ロンドン響 セル カーゾン 62
モントゥー カッチェン 63
フィルハーモニア管 ジュリーニ アラウ 60
ニュー・フィルハーモニア管 バルビローリ バレンボイム 67
ドレスデン国立 コンヴィチュニー ケンプ 57
バイエルン放送(*) クーベリック アラウ 64
イスラエル・フィル メータ ルービンシュタイン 76
BBC響 ボールト バックハウス 32

 まさに圧巻のラインナップである。さすがメジャー(*だけORFEO)。正直どれもすごい。ちょっと見た目弱そうなハイティンク&アシュケナージでさえ、結構聴かせてくれる。ショルティ&シフとも聴かせどころは多い。ファショナブルに決めたければポリーニ、優美さを求めるならツィマーマンもいいだろうし、王道で迫りたければブレンデルやアラウもいいと思う。
 とはいうものの、個人的にはこの曲にもっと研ぎ澄まされたもの、あるいはズブズブとはまるような人間性を求めてしまうので、そうしたところからCDを選んでみよう。



 若干深刻すぎて粘液気質的なところをバサっと切り捨てて見通しのよい快演で聴かせてくれるのはセルとゼルキン。

国内SONY
SICC 27
¥1995
ブラームス:
 ピアノ協奏曲第1番
 ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
ルドルグ・ゼルキン(P)
ジョージ・セル指揮
クリーブランド管
1968年

 ずっと長い間この曲の代表的名盤として君臨した1枚であり、この演奏で育った人は多いと思う。店主もまさにその一人。なのに今この国内盤が廃盤になりかけで、輸入盤では出ていないというのも悲劇である。



 そしてブラームスの優柔不断さを豪腕で叩き切った豪演がヨッフム&ギレリス。
 作曲当時、ロベルト・シューマンが死んで、残された未亡人クララへの募る愛に苦しんだブラームス。その苦悶と焦燥をブラームスに代わって焼き尽くして、「成仏せよ」と言って天上に帰らせるような演奏である。後ろに何か取り付いているような気がしているあなたは、これを聴いていっしょに供養してもらうといいでしょう。

DG
447446
¥3200→¥2990
ブラームス:
 ピアノ協奏曲第1番
 ピアノ協奏曲第2番
 幻想曲集 op.116
エミール・ギレリス(p)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 
オイゲン・ヨッフム(指揮) 
1972年



 さすればやはりバックハウスも落とせない。ドイツものならなんでもバックハウス、というつもりはないが、ヴィルトゥオーゾ性と重厚さ、そしてほどよく知的で繊細なニュアンス。やはりバックハウスはいい。・・・なのに今この名盤がオーストラリア・ユニバーサルでしか手に入らない。
 だったらついでにこの曲の初録音である1932年の録音もいっしょに。ボールトとBBC響にとっても初の大曲録音だったらしく記念碑的な音源である。
 当時のバックハウスはすでに50歳近いベテラン。情熱とロマンを端々に感じさせてくれて、ひょっとしたら53年録音よりも気に入る人もいるかも。 

豪ユニバーサル
4800800
¥1800→¥1490
ブラームス:
  ピアノ協奏曲第1番
   ピアノ協奏曲第2番
   カプリッチョ ロ短調 op.76-2
   間奏曲 変ホ長調作品 op.117-1
   ラプソディー ロ短調 op.79-1
   間奏曲 ホ長調 op.116-6
   間奏曲 ホ短調 op.119-2
   間奏曲 ハ長調 op.119-3
   6つの小品 op.118
ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム指揮
 録音:1953年6月
 録音:1967年4月
 録音:1956年10月
NAOXS
8.110699
\1100→¥990
ブラームス:
 ピアノ協奏曲第1番
  パガニーニの主題による変奏曲
  2つの狂詩曲
ヴィルヘルム・バックハウス(P)
 エードリアン・ボールト指揮
 BBC交響楽団
 1932年11月28日、29日
  1929年11月19日
  1932年12月7日
マーク・オバート=ソーン復刻。



 そしてバックハウスとくればルービンシュタインも外せない。ルービンシュタインにはこの曲の壮絶な録音が一つ残っている。1976年、彼の長いキャリアの最終期、引退直前の録音である。実にこのときルービンシュタイン89歳・・・。もちろんかつてのまばゆいようなテクニックはない。しかしこの堂々たる歩み、毅然とした風格。そしてこれがルービンシュタインの性格のよさなのか、そうした圧倒的な力強さの中に、なぜか心に染みる温かいものを感じることができるのである。これが巨匠の巨匠たるゆえんか。

国内ユニバーサル
UCCD9694

¥2500
ブラームス:ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品15 アルトゥール・ルービンシュタイン(P)
ズビン・メータ指揮
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、
録音:1976年4月 テルアヴィヴ
SHM-CD。



 まあ、これだけすさまじい名盤を紹介したらもう十分でしょう。・・でもあともうちょっとだけ。これから、個人的に愛する4枚を。
 まずはカッチェン。バックのモントゥーもさることながら、20世紀最高のピアニスト、カッチェンがその才能を遺憾なく発揮した名録音。多くの演奏家はこの大曲・難曲に必死の思いで挑み、やがて互角に対峙し、そしてついに踏破する、という雰囲気なのだが、カッチェンはひとりはるかにブラームスの才能の上を行く。そのスケールも力強さも内省的な深まりも、すべてカッチェンの掌の上。カッチェンはブラームスが描いた音楽を、作曲家が想像した以上の域にまで高めていく。聴いていてちょっと空恐ろしいくらいだが、これがカッチェンのすごさ。

DECCA
460 8282
(2CD)
\2200→¥1990
ブラームス:
 (1)ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品15
 (2)ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83
シューマン:
 (3)ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
 (4)幻想曲 ハ長調 作品17
ジュリアス・カッチェン(P)
モントゥー指揮(1)
ヤーノシュ・フェレンチーク指揮(2)
ロンドン響(1)(2)
ケルテス指揮(3)
イスラエル・フィル(3)
1)1963、(2)1967、(3)1965、1956



 さて、これだけの大曲となるとさすがにメジャー・レーベルのメジャー・アーティスト軍団が強い。しかし決してマイナー・レーベルにいいものがないわけではない。それどころか・・・店主のベスト5のうち3つはマイナー・レーベルである。

 コンラート・ハンゼン。これは万人向けの名演というわけではないが、これまでのハンゼンのイメージを変えてくれたという点で感動的だった1枚。昔NOMOSレーベルから出たとき、何かの雑誌で絶賛されたにもかかわらずなかなか入らないので哀しい思いをしたファンは多かったと思う。最近ようやくANDROMEDAから復活したのでこの機会に。
 それまでどちらかというと聖人君子のように立派で意思貫徹的演奏を繰り広げていた紳士ハンゼンが、ここでちょっと羽目を外した。
 ときにタッチはあらく、鍵盤をすべる。しかしこれまでのベートーヴェンでは聴かせてくれなかった熱い情熱がここでは聴ける。それはバックのフリッチャイによるところが大きいかもしれない。冒頭から壮絶なスケールでかなり大胆なルパートをかけてくる。・・・そしてハンゼンはそれにこたえて一歩も引かない。
 そんなハンゼン見たくない・・・という方もいるかもしれないが、これもハンゼンの一面。第2楽章での抒情も、禁欲的ないつものハンゼンとは違って、甘く切ない。終楽章ではオーケストラを制止するようなアクセントをつけたりする。
 異色のブラームスの第1番としても記憶されるべき1枚である。

ANDROMEDA
ANDRCD 5128
\1200
 ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 二短調 op.15
  1953年4月19日
コンラート・ハンゼン(ピアノ)
フェレンツ・フリッチャイ指揮
RIAS交響楽団
 フランク:交響変奏曲
  1957年4月5/6日
マルグリット・ヴェーバー(ピアノ)
フェレンツ・フリッチャイ指揮
ベルリン放送交響楽団



 そして隠れ名盤の一つがセレールグレンの演奏。スウェーデンSTERLINGのアルバムである。
 スウェーデン鍵盤音楽界の重鎮であるラーシュ・セレールグレンは、1927年に生まれストックホルムとウィーンでピアノを学んだベテラン奏者。
 まあ、にもかかわらずまったく無名なのだが、これが本物中の本物。まっすぐ前を向いて重心低く構えるその音楽的姿勢は、まさに戦前の大巨匠のもの。はったりやらひやかしとかはまったく皆無。極めて正統派で真剣そのもの。しかもその演奏には華がある。粋がある。なまめかしさがある。ギラギラした自己顕示欲にあふれた派手さはないのに、気づくとミューズの神が知らない間に彼の背に寄り添っていることに気づく。こういう名匠が何気に世界の片隅には潜んでいるのだからおそろしい。

STERLING
CDA 1655-56-2
(2CD)
¥5000→¥4590
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調Op.15

 C・フランク:交響的変奏曲
  (録音:1978年8月29日)*/
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
  (録音:1963年2月15日)+/
 R・シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54
  (録音:不詳)§,**
ラーシュ・セレールグレン(P)、
シクステン・エールリンク(指揮)
ストックホルム・フィルハーモニック
 1963年9月25日

 スティグ・ウェステルベリ(指揮)*、
 シクステン・エッケルベリ(指揮)+、
 ジェイムズ・デプリースト(指揮)§、
 スウェーデン放送交響楽団



 そして最後の一枚。
 店主にとって究極の1枚。奇跡の1枚(2枚組ですが)。
 ピアノはハンス・リヒター=ハーザー、指揮はクルト・ザンデルリンク。
 これはデンマークKONTRAPUNKTの珍しい1枚。上記STERLINGといい、このKONTRAPUNKTといい、北ヨーロッパには上質なブラームスを生み出す何かがあるのか。まったくの余談だが国粋主義のブラームスは生前、デンマーク戦争後のコペンハーゲンを訪れたとき当地の立派な建物を見て、「これがドイツの建物だったら」と発言してデンマークの人の反感を買い、演奏会を急遽中止したことがあったらしい。
 さて、室内楽や北欧レパートリーが中心のデンマークKONTRAPUNKTによる、異例といっていいリリース。
 まずバックはクルト・ザンデルリンク。
 あの決定的なブラームス交響曲全集を引き合いに出すまでもなく、ドイツ音楽最高の指揮者。なぜか伴奏指揮が好きで、独奏家のキャラクターを存分に生かし、自由で彫りの深い演奏を作り上げることが得意。伴奏指揮者としてこれ以上の人はない。ここでも音楽の広がり方、掘り下げ方のなんと奥深いこと。冒頭数分間はまさに一大交響曲。この曲をここまで壮大に崇高に描きあげた指揮者はいない。それだけでもこのCDは聴く価値がある。
 しかしもっとすごいのがリヒター・ハーザー。なぜか日本ではもう一つの知名度だが、ヨーロッパでの人気はすごいものがあったらしい。彼はチェルニーの孫弟子にあたるので、ベートーヴェン直系のドイツ・ピアノ音楽の厳粛なる伝道師ということになる。質実剛健、豪胆なその演奏はこれぞドイツ魂。考えてみれば冒頭のザンデルリンクの一大叙事詩的演奏も、ただ考えなしにやっていたわけではなく、ザンデルリンクがリヒター・ハーザーの重厚な存在感にシンクロさせて曲作りをしていたのである。だからリヒター・ハーザーが現れたあと、その重厚深煎り演奏はさらにいっそうその深みを増す。同い年の二人は、お互い触発しながら刺激しながら、より高い次元に音楽をもっていくのである。
 演奏自体はとても厳しく、にっこり微笑んでくれるような瞬間はない。北ドイツのゴシック建築のように峻厳な面持ち。ひょっとしたら黒光りするその形相に恐怖感すら抱くかもしれない。しかしこの威容こそがブラームスが表現したかったものだと思う。この演奏は、そうした痛々しいほどの厳しさの向こうにこそ、あなたが求めるものがある、そう訴えかけてくる。だからそんな域に達していない店主などが聴くと、ただひたすら涙が出てくる。あとにも先にもこの曲を聴いて泣いたのはこの演奏だけである。
 どんな曲にも、他の演奏とまったく次元の違う、聴いている人と演奏家と作曲家と、そして空の上の何かを直結する演奏があるのではないかと思って、いつも探している。
 この演奏もそんな演奏のひとつだと思う。

 ハンス・リヒター=ハーザーはこのライヴの1年後に急逝する。
 おりしも、ブラームスの協奏曲の演奏中だった。

KONTRAPUNKT
32020/21
(2CD)
¥5000→¥4790
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73《皇帝》
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
ハンス・リヒター=ハーザー(P)
クルト・ザンデルリンク指揮
デンマーク放送交響楽団 






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