−アリアCD対談−
|
ラスコル:アリアCD店主 ミヒン:インフォ担当 ドニャ:配送スタッフ |
ラスコル
ドニャ
ラスコル
ミヒン
ラスコル
ミヒン
ラスコル
ドニャ |
空梅雨かと思ったら一転雨続き。はやく晴れてくれー。
夏が好きなんですって?
そう。完全夏男。夏に死ぬことはないと思う。
しかしこう暑いとクラシックなんて聴く気にならないんじゃないですか?
こう暑いと逆に外に出て行くのがいやになるから、部屋で涼しくクラシックでも聴こうかな、という気になる。
今回は面白いのありました?
今回はドニャからどうぞ。
私は今回ピアノ・アルバムでふたつと室内楽でひとつ。 |
|
ラスコル
ドニャ
ラスコル
ドニャ |
なんだっけ、これ。
モーツァルトのピアノ・ソナタに大胆にもグリーグがセカンド・ピアノ部分を書き足した版の新録音です。それはやりすぎかな、
と思ったり、なるほどそんなふうにその旋律をふくらませるのかー、とか面白い楽しみが調所にありました。グリーグ本人が
4手ピアノに編曲したペール=ギュント組曲も聴き応えありましたし。
ふーん。
もうひとつはシベリウスのピアノ作品集。 |
|
ラスコル
ドニャ
ラスコル
ドニャ
ラスコル
ドニャ |
シベリウスなんて聴くんだ。
普段は聴かないですけど、この中の6つの即興曲の第6番ってとっても素敵な曲ですよね。6分くらいの曲ですけど、私にして
みたら交響曲よりこの曲のほうがすばらしいと思います。
まあそれは極端な意見だけど、確かに名曲だよね。
もうひとつはベルギーPHAEDRAの、ルクーともうひとりの人のピアノ・トリオ。
もう一人の人って、それはないよ。デ・グレーフ、結構有名なピアニストだったんだよ。
そうなんですか。でもどっちもとーっても素敵な作品だったですよ! |
|
ドニャ
ミヒン |
ミヒンさんはどうでした?
アダム・フィッシャーの「運命」は、歴史的な重みと血気盛んな情熱を感じられるいい演奏でした。けっこう過激で。 |
|
ラスコル
ミヒン
ラスコル |
フィッシャー兄弟、がんばってるね。あとはどう?
ブーレーズの「復活」もすごかったですよ。こんなに感動的な演奏になっているとは思ってませんでした。
事務所でかけたら、ラストでみんな感動してたね。まさかブーレーズであんなことになるとは。 |
|
ミヒン
ラスコル |
CPOのアンタイルのコンチェルト集も楽しかったです。
悪童アンタイル。指揮も大植で充実してるし。いつかアンタイルがすごく人気の出る時代が来るかなあ。 |
|
ドニャ
ミヒン
ラスコル
|
それ以外では?
ミンコフスキのモーツァルトの40番、41番は期待通りの衝撃的な演奏でした。
今年の成果は、モーツァルトも無茶やっていい、という演奏がいっぱい出てきたことかな。このミンコフスキもそうだし、ムターやビ
オンディのヴァイオリンもそう。この間聴いたプレトニョフのソナタもかなり過激でおもしろかった。これまでモーツァルトは禁
断の聖地のようなところがあって、なかなか個性的演奏というのに出会えなかったから。まあ、そんな演奏ばかり追っかけるのも
どうかとは思うけど。 |
|
ドニャ
ラスコル
ドニャ
ラスコル
ドニャ
ラスコル
|
あれ?あのフェイとかファイとかいう青年指揮者はどうだったんですか?
ああ、90年代にRBMの強烈なジュピターを出したファイね。そうそう忘れてた、最近ハイデルベルグ響自主制作盤が入ってきて、
その中のハイドンとボッケリーニのアルバムがさすがファイらしい面白い演奏だった。今回聴いたアルバムの中でも5本の指に入る
名盤。そして最大の話題は、RBMの過激演奏から十数年、満を持してPROFILから「ジピター」を再録音したことかな。
どうだったんですか?
つまらんかった。RBM盤のほうが10倍くらいすごかった。
そうなんですか。
・・・と思ったんだけど。・・・確かに表面的な過激さ奇天烈さは旧盤のほうがすごい。・・けど新盤もよくよく聴いているうちに段々深
みが伝わってきた。非常に奥の深い部分で勝負してた。これはこれで聴く価値ある。どんなに言ってもファイも成長してたんだよ。
ただ過激さを追い求めるのではなく。 |
|
ドニャ
ラスコル |
ほかにはどうですか。
そうだなあ、ほかにもいろいろ気になるアルバムはあった。ハイティンクのLSOとの「エロイカ」とか。 |
|
ドニャ
ラスコル
ミヒン
ラスコル
|
あれ?ハイティンクの「エロイカ」はコンセルトヘボウで聴いてきて、すごく退屈だったと言ってませんでしたっけ?
そうそう。死ぬほど退屈だった。時差のせいもあるし、直前に飲んだビールのせいもあるけど、しかしほんっとに退屈な演奏だった。
でもこのLSOの演奏は結構がんばってる。ティンパニががんばってるだけじゃないか、と言われると返す言葉はないけど、こんな
ふうに熱いハイティンクも珍しい。
ときどき生煮えみたいなところもありましたが。
まあまあ、それもまたハイティンクということで。あとは、ようやくバティスのライヴ・ボックスが3点出た。ちょっと雑な演奏
もあるけど、生々しい記録。 |
|
ラスコル
ドニャ
ラスコル |
どのアルバムにもすごい演奏が入っていて、パリ公演ではビゼー、ベートーヴェン、ワルシャワ公演ではチャベス、マドリッド公演
ではアルフテル。もちろんラテン系の作品はどれもすごいね。
紆余曲折あったラウテンバッハーのバッハ無伴奏もようやく入りましたね。
いやー、VOXにはいじめられたねー。でも出してくれてよかったよ。音がもう少し太ければよかったんだけど、聴けただけでも幸せ。 |
|
ラスコル
ミヒン
ラスコル |
あと、世間では騒がれてたのに聴いていなくて、ようやく聴いたらやっぱりすごかったのはフェドセーエフのブラ1。モスクワ放送響の
首席指揮者になったばかりの42歳の録音。やっぱり怪物は若いときから怪物だった。こんな好き勝手なブラームスもひさしぶり。
売れましたねー。
というかすごかったから。 |
|
ラスコル
|
そしてフェドセーエフとくれば、もちろんVISTA VERAのフェドセーエフ・シリーズ・・・というよりアンドレイ・コルサコフ・シリーズ。今回は
ブルッフとパガニーニ。ブルッフは想像通りコルサコフの超絶技巧ヴァイオリンが悪魔のように縦横無尽に駆け巡る。1回目に聴いたと
きはあまりの速さに、あっけに取られている間に終わってしまったけど、2回目聴いてようやく落ち着いてそのすごさを堪能できた。そ
してパガニーニとサラサーテは、これぞコルサコフ、まさに快刀乱麻。本当にこの人の録音にははずれがない。 |
|
|
ラスコル
ドニャ
ラスコル
ミヒン |
あとはユリアとダニエルの超美人&イケメン天才コンビのメンデルスゾーンのピアノ・トリオ。この曲は多少の才能やセンスじゃそうそう
弾けないぞ、とちょっと意地悪に聴きはじめたけど、やっぱりすごいわ。この人らは。
あの・・・、コンビって、もうひとりのギラード忘れてます。
あはは。ハリー・ポッターとハーマイオニーにはさまれて影は薄いけど、ロン・ウィーズリーって感じで悪くない。
なんだかよくわかりません。 |
|
ミヒン
ラスコル
ドニャ
ラスコル
|
そうだ、ヤンソンスががんばってますね。
まあ、リリース数は多くなってきた。念願のショスタコーヴィチ交響曲全集も完結したし。RCOからは3本も新作が登場。
どうでした?
そうだな。きれいで充実した演奏。ただぶっとんでどっか違う星に行ってしまうような演奏はなかった。もちろんどれもAクラスの演奏なん
だけどね。たとえばショスタコの7番だったら、EMIのほうのレニングラード・フィルとの演奏のほうが切れ味が鋭くてインパクトは強かった。 |
|
ラスコル
ミヒン
ラスコル
|
で、同じショスタコーヴィチの7番なら、このところBERLIN
CLASSICSからガンガン新譜を出しているヘルビッヒの演奏がすごかった。
なんでこの人急に出てきたんですか?地味なおじいさんだと思ってましたけど。
まあ、そうだよね。ただ、自分も最近になってどどっと新録音が出てきたと思っていたけど、実はちょっと前にマーラーの6番とかも入れ
てたんだね・・・。全然ノーマークだった。 |
|
ラスコル
ドニャ
ラスコル
ドニャ
ラスコル |
で、一連の録音で一番すごいのはマーラーの9番。これがまた何がどうすごいのかうまくいえない。
またですか。
その・・・、1回聴いて、そんな特別すごいと思わなかったのに、なんとなく気になって次の日また聴いて、そのときも何がすごいのかよくわ
からなかったのに、また次の日聴いて。で、結局1週間近く毎日1回か2回聴き続けた。このくらーい曲をだよ。普通ありえない。自分でも
異常としか思えない。でも間違いなく今回もっともたくさん聴いたアルバム。ショスタコーヴィチ:交響曲第5番(BC
0017922)、第8番(BC
0017932)も急いで聴かないと。そのうち多分特集することになると思う。大化けしそうな予感・・・。
そうだ、今年の暑い夏を乗り切るのにお奨めのCDはありませんか?
あ、あるある。素敵なのが。 |
|
ドニャ
ラスコル
ドニャ
ラスコル
ミヒン
ラスコル |
ヴァイス・・ですか?
そう。バッハとほぼ同時代のリュート奏者・作曲家。NAXOSのシリーズはもうすぐ第7巻まで行く。まあ無理に全部そろえなくてもいいかも
しれないけど、一度はまるとついつい続きを買っちゃう。
いいんですか?
なんというか清涼剤。さわやかで屈託がなくて。何か聴きたいけど特に何もない、っていうときにはいつもこれをかけちゃう。夏の暑さにも
ぴったり。
なんというか相変わらず社会的には不穏な動きがありますけど、じゃあ、そのヴァイスを聴いてさわやかに締めましょうか。
うん、それがいいと思う。 |