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第35号読み物




作曲家特集
エルマンノ・ヴォルフ=フェラーリ



 前回のマルケッティが意外と好評だったので、引き続いて今回もイタリア・オペラに関係のある人を。
 ただこのヴォルフ=フェラーリ、イタリア人といってよいのかどうか。母親はイタリア人だが、父親はバイエルン出身の画家。・・・そしてドイツとイタリアの混血という、この生まれながらの特質が、生涯彼を悩ませその人生を左右する。

 少年時代は父親のすすめで画家を志望するが、勉強のために赴いたミュンヘンでいきなり音楽学校に入学してしまう。画家としての天分もあったように聞くが、当時のミュンヘンでの音楽的環境が彼のもうひとつの才能を目覚めさせたのであろう。
 とはいうものの、その後ミラノでボーイトに弟子入りしてリコルディ社に作品の出版を依頼するが断られたり、ようやく上演にこぎつけた歌劇「シンデレラ」も失敗に終わるなど、残念ながら彼の作曲活動はそれほど順風満帆というわけではなかった。
 しかし1900年になってミュンヘンに移り住み、「シンデレラ」の改訂版がドイツで成功。
 それ以外の作品もそこそこ評判を呼び、ようやく作曲家として認められるようになって、なんといきなり20代後半でヴェネツィアの音楽学校の校長に就任することになる。
 前回果たせなかったイタリアでの成功をようやくここで勝ち取ったわけである。

 ただ、彼の人生は漂泊の人生である。ふたつの祖国が、彼に定住を許さなかったのである。
 せっかくヴェネツィアで栄誉に恵まれた環境にいられたにもかかわらず、6年後彼はミュンヘンに移る。そしてさらにその2年後にはアメリカに移住。翌年にはもうヨーロッパに戻ってきている。さらに1914年に第1次大戦が始まり、今度はチューリヒに移る。そこで一時期作曲活動を停止するが(二つの祖国が戦うという悲痛な現実に彼はひどく苦しんだという)、戦争が終結するにあたってまた活動再開、39年にはザルツブルグ・モーツァルテウムの作曲家の教授となり、その後もミュンヘン、ザルツブルグなどを拠点に活動を行う。
 しかし、再び戦争が始まり、またもや彼はチューリヒへ逃れ、戦後彼は最後の住処をヴェネツィアに定める。そこで2年間を過ごし、彼の流転の人生はようやく終わりを告げるのである。

 ドイツとイタリアの二つの血の相克。
 ふたつの祖国の間で揺れた彼の人生同様、彼の作品もまたふたつの血の奇妙な融合から生まれた。
 彼の音楽的才能を支えたのは父親譲りのドイツ的芸術感覚だったが、だからこそ、彼は余計に自分の中のイタリアの血を開花させたくて悩んだのに違いない。彼の作品はいつもイタリアよりドイツで高く評価され、成功当時の彼の評価は、先進的な半音階的手法など、優れた作曲技法や厳格な和声によるいかにもドイツ的なものだった。また、ヴェリズモ・オペラを意識して作った「マドンナの宝石」よりも、モーツァルトに近い「好奇心の強い女たち」、「4人の田舎者」のほうが成功したというのも、彼の才能がドイツ的であったことを物語る。
 しかしそれでも彼は「成功したドイツ人」で終わることはできなかった。
 晩年にレスピーギと並んでイタリアの新しい音楽に重要な役割を果たすために多くの器楽曲を残したのはまさにその現れであろう。またイタリア・オペラの過激な変遷の中にあって、一種孤立した立場ではありながらも彼の作品が20世紀イタリア・オペラの重要な位置を占めているのは、彼自身が自らのオペラを「イタリア・オペラ」であると考えて いたからにほかならない。

 優れたドイツ的作風を持ちながらイタリア人作曲家であろうともがく彼の意思が、その作品には常に内在する。
 優雅で華麗な彼の作品。だが、その背後には痛切な自己希求の叫びが聞こえるような気がする。
 



≪CD紹介≫

 残念ながらヴルフ=フェラーリの作品はあまりCD化されていない。
 ようやくFONITから代表作2つがCD化されたが、これもいつまで入手できるか不安である。とりあえずそれ以外にもMARCO POLO、及びARTSで彼の傑作オペラ2作がリリースされているのはまだ救いである。どちらも第1次大戦で中断していた作曲活動が再開されたころに生まれた問題作である。
 またオペラ管弦楽曲集としてのアルバムが、名手セレブリエルの指揮でうまくまとめられているのでこちらもおすすめである。

 
ASV
CD DCA861
\2300→¥2090
ヴォルフ=フェラーリ:オペラ管弦楽曲集
 「マドンナの宝石」組曲、
 「4人の田舎者」前奏曲と間奏曲、
 「恋する医者」序曲、
 「町の広場」間奏曲とリトルネッロ、
 「愚かな女」序曲、「スザンナの秘密」序曲
ホセ・セレブリエル指揮
ロイヤルPO.


FONIT
8573.87481
(2CD)
¥1200
ヴォルフ=フェラーリ:歌劇≪四人の気むずかし屋≫
                (モノラル録音)
ルナルド:フェルナンド・コレナ(B)
マルガリータ:アニェーゼ・ドゥッビーニ(Ms)
ルチエータ:ジャンナ・ペレア・ラビア(S)
マウリツィオ:パスクアーレ・ロンバルド(B)
アルフレード・シモネット指揮
RAIミラノ・リリック・オーケストラ&合唱団
FONIT
0927.43616
¥1000
ヴォルフ=フェラーリ:スザンナの秘密(全曲)
 ボーナストラック
  ドニゼッティ:<ファヴォリータ>〜シンフォニエッタ
  ヴェルディ:
   <リゴレット>〜前奏曲/
   <仮面舞踏会>〜前奏曲/
   <アイーダ>〜前奏曲
  プッチーニ:<蝶々夫人>〜ハミングコーラス
エレーナ・リッツィエーリ(S)
ジュゼッペ・ヴァルデンゴ(Br)
アンジェロ・クエスタ指揮
トリノRAI交響楽団
ACCORD
476 2675
(2CD)
¥4400
ヴォルフ=フェラーリ:
 歌劇「ずるい後家さん」(全曲)
アンネ=リーズ・ソリード(S)
ヘンリエット・ボンデ=ハンセン(S)
フランチェスコ・ピッコリ(T)
ジョルジョ・トゥルッコ(T)
フランク・ルケリネル(B)
エフゲニ・アレクシエフ(B)
ジョナサン・ヴェイラ(Bs)
モンペリエ国立歌劇場合唱団
モンペリエ国立管弦楽団
指揮:エンリケ・マッツォーラ
レアなオペラの全曲盤を次々に世に送り出しているモンペリエ歌劇場のライヴ録音シリーズの最新作ヴォルフ=フェラーリの「ずるい後家さん」はカルロ・ゴルドーニの原作に基づく3幕のオペラ。ウィーンに住む裕福な未亡人が4人の外国人の求婚者(イギリス人フランス人スペイン人イタリア人)を手玉に取る国際色豊かな(?)喜劇(でも結局勝利を得るのはイタリア人)で1931年にローマで初演されている録音:2004年4月、モンペリエベルリオーズ歌劇場におけるライヴ
ARTS
47549
(2CD)
\1380
ヴォルフ=フェラーリ:
 歌劇「スライ」または「目覚めて夢見る人の伝説」
バーダー、ポラスキ、レー、ヘルテル、
マキシン指揮
ニーダーザクセンオペラ
MARCO POLO
8.223261
(3CD)
\5100
ヴォルフ=フェラーリ:
 歌劇「天の衣」
アンジェリーナ・ルッツァファンテ
ゲルハルト・マルクゾン指揮
ハーゲンPO.


 一方、彼の器楽作品もできれば注目してほしい。同時代の最も穏健なグループからさえ「保守的で時代遅れ」とされた彼の音楽も、今聞けば美しくロマンティックな作品としてまったく違和感無く受け入れることができるはずである。
 ブスタボに捧げられた可憐で清楚なヴァイオリン協奏曲、「祈り」と題された美しく幻想的なチェロ協奏曲は、いずれも一聴に値する名品である。こちらはいずれもCPOからリリースされているので比較的入手しやすい。

CPO
999271
¥2600
ヴォルフ=フェラーリ:
 ヴァイオリン協奏曲
 弦楽セレナード
ウルフ・ヘルシャー(Vn)
アラン・フランシス指揮 フランクフルト放送SO.
母のような優しさと乙女のような清純さを合わせ持ったメロディーを、独奏ヴァイオリンが静かに弾き始めた瞬間からこの協奏曲の虜となってしまいます。美しい歌にあふれたこの曲は、初演(1946)当時では、非難囂々のアナクロ作品でした。しかし、今となってはもう何も関係ありません。抱き締めたくなるほど可憐な協奏曲が、人知れずたたずんでいるだけなのです。(でも、終楽章は少し恥ずかしい・・・) さて、協奏曲が最晩年の作品であるのに対して、セレナードは作曲者が十代半ばに作った最初期の作品です。4つの楽章から構成され、モーツァルトへの崇拝心が実を結んだ音楽と言われています。
CPO
999278
¥2600
ヴォルフ=フェラーリ:
 チェロ協奏曲「祈り」
 シンフォニア・ブレヴィス               
グスタフ・リヴィニウス(Vc)
アラン・フランシス指揮 フランクフルト放送SO.
これまた素晴らしく美しい歌にあふれたチェロ協奏曲の登場です。第1楽章、第2楽章ともにゆったりとした歌謡楽章で、特に第1楽章は美しい調べが次から次へと繰り出される幻想曲風の逸品です。この曲になぜ「祈り」という副題がついたかは定かではありませんが、愛する調性音楽を書いた先人たちへの崇拝の念を込めて作曲したためとも考えられているようです。シンフォニア・ブレヴィスも1943年に作られたと考えれば相当なアナクロです。ただ、4つの楽章の中で、第2楽章「カプリッチオ」は高く評価されており、歌劇でヒット作を飛ばしていた若い頃の作風を彷彿とさせる楽曲と言われています。実際、ペーソスとユーモアが絶妙に合体したこの曲は、チャップリン映画の音楽や往年のアニメ音楽を想起させ、一度耳にしたら癖になりそうな魅力があります。
CPO
999624-2
¥2600
ヴォルフ=フェラーリ:
 弦楽三重奏曲ロ短調/同イ短調Op.32/
 弦楽二重奏曲ト短調Op.33b(ヴァイオリンとチェロのための)/
 同 序奏とバレーOp.35(ヴァイオリンとチェロのための)
ドイツ弦楽三重奏団
ヴォルフ=フェラーリはその名が示すように、ドイツ人ヴォルフを父、イタリア人フェラーリを母として生まれましたが、その音楽は美しい歌に溢れたイタリア的なものと言ってよいでしょう(母の血は強し)。三重奏曲ロ短調は18歳の時の作品にもかかわらず、冒頭からして心の微妙な襞に訴えかけてくるような魅力をもっています。一方、三重奏曲イ短調は晩年の1945年の作品で、不安と嘆きの影が感じられます。第2次世界大戦中と戦後のヴォルフ=フェラーリは不遇で、ミュンヘン郊外やスイスで細々と暮らしていました。そして、死の直前に故郷ヴェネツィアに戻り、その地で亡くなったのです。



≪新譜≫
ヴォルフ=フェラーリ:管楽器のための協奏曲集
TALENT DOM 292990 1CD\2400→¥2190

 そして今回新譜として登場するのが、管楽器のための協奏曲。
 1932年に作曲された『牧歌』から、最後に書いたイングリッシュホルンのための小協奏曲(1947)まで、どの作品でも前世紀の後期ロマン派の作風を一貫している。
 ロマンティックな曲想はオペラ作曲家ならではのものだが、激情的な叫びとは無縁の牧歌的な世界に心洗われる思いがすることだろう。

DOM 292990
(SACD Hybrid)
\2400→¥2190
ヴォルフ=フェラーリ:
 オーボエ、イングリッシュホルン、ファゴットのための協奏曲集
  牧歌 イ長調
  (オーボエ、弦楽、2つのホルンのためのコンチェルティーノ)op.15 
  イングリッシュホルン、弦楽、
   2つのホルンのための小協奏曲op.34 
  組曲 ヘ長調
   (ファゴット、弦楽と2つのホルンのためのコンチェルティーノ)
ピエト・ファン・ボクスタル(Ob、E-hrn)、
ルク・ルブリ(Fag)
ハンス・ロトマン指揮
西ザクセン響





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