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読み物第37号


作曲家特集 アラ・パヴロワ

 2年前、NAXOSにいきなりフェドセーエフが登場した。
 フェドセーエフはCDリリースに関しては非常にマイペースな人で、メジャー・レーベルにはまったく関心がなく、出すCDは超マイナー・レーベルばかりなのでNAXOSから登場することも考えられなくもない。
 しかし、NAXOSで録音したのは、ロシア生まれの現代音楽作曲家「パヴロワ」という人の作品だった。女流作曲家らしい。それがかえって新鮮で、さっそく取り寄せてみた。フェドセーエフが扱う作品だからガリガリの前衛音楽ということはないだろう。案外掘り出し物的作品かもしれない。

 で、聴いた。
 これが、まったく掘り出し物だった。
 人によってはあまりにロマンティックすぎるというかもしれない。でもいいと思う。胸を打つ作品は時代を超える。
 収録されているのは交響曲第2番と第4番。例によってほとんど先入観、予備知識なしで聴く。
 劇的でメロディアス、人の心に直接訴えかけてくるストレートな音楽である。女流作曲家は案外照れ屋の人が多く、感情をそのまま作品に投影しない人が多い。その作品の中であまりの切なさに涙をそそるような旋律とか、息が詰まるような激しさとか、狂おしく身もだえするような焦燥感を呈示してくれることは少ない。その点男ははしたなく、恥も外聞もなく、自らの感性を作品にさらけだす。
 パヴロワは、それができる。しかしそれは彼女が男勝りだからではない。
 交響曲第2番は「新世紀のために」と名づけられた人類救済の作品。作曲の1年前に起きた同時多発テロを追悼し、人類みんなで平和な世界を築いていこうという壮大な交響曲。そこでは何もためらうものはない。作曲している間彼女は間違いなく人類につかわされた使徒であり、救世主である。マザー・テレサが着るものに頓着しなかったように、パヴロワも音楽で世界を救済するためには、恥も外聞も感じる必要がなかった。ただ人々の心に打ち響く音楽を書くことしか頭になかった。だからどうしようもなく哀しく、美しく、気高い、こんなすごい曲が出来上がった。
 続く第4番は下書き無しに3週間で仕上げられたという。ジャケットにもなっている「シャンバラへの道」という絵画にインスピレーションを受けて作られた。シャンバラとはチベットでいうところの「理想郷」。のっけから壮大なオルガンで始まり、開始早々鐘の音も響き渡り、いきなりシャンバラが山の向こうに見えてしまったかと思ってしまうような高揚感。中盤以降は逆に天国的な展開で、深い瞑想に入り、そのまま昇天する。

 そして2006年には第3作目が登場した。今度はシンフォニーはない。
 最初の「モノローグ」は、幼少の頃ヴァイオリンを弾いていた父親の印象を曲にした私小説的作品。期待にたがわぬロマンティックな音楽で、冒頭から店主の心をわしづかみにしてくれた。
 次の「 オールド・ニューヨーク・ノスタルジア」はもともと1990年代にピアノ用に作られていたが、これもまたあの同時多発テロをきっかけに再創造された。天気でジャジーないかにもニューヨークっぽい雰囲気の中に、けだるく切ないメロディーがあふれる。今回新たに加えられた4曲目「双子のためのララバイ」の双子(TWINS)がさすのはやはり「あれ」か。夕映えさすビルの屋上で年老いた独りの黒人が廃墟に向かってトランペットを吹く姿が思い浮かぶ。
 3つ目はソロモン王と貧しい召使の少女スラミスとの悲劇的な愛を描いたバレエ組曲。重厚でパワフルな曲と、耽美的でナイーヴな曲が交錯する45分にわたる大作。最近では日本でのコンサートでも取り上げられるようになっているらしい。

 さあ、こうなってくるとこれまで出ていたものも聴きたくなる。
 交響曲第1番と第3番。
 第1番は「さよならロシア」というタイトルがある。
 ちなみにパヴロワの経歴を簡単に話しておくと、モスクワで作曲を学び、1983年からブルガリアでオペラの作曲を中心に活躍、1986年から1990年まではロシアに戻っていたが、1990年ニューヨークに拠点を移している。この交響曲第1番は1994年に作曲された。ニューヨークにきて3年、彼女はそこで故国への惜別の思いを曲に託したことになる。
 曲は祖国への哀惜の念を綴った哀しく美しい作品かと思ったが、終始一貫、透明で不思議な浮遊感を漂わせて終わる。わずか11人の奏者のための室内交響曲。驚くほどクリアで静謐な作品なのだが、作曲家の意図を積極的に展開して見せた第2,4番のような明確なメッセージはここにはなかった。彼女がロシアという国に何を思い何を期待していたのか、それはわからないまま曲は幕を閉じる。空から舞い降りたマリア様が光を放つかごとき強烈な第2番のような音楽を期待していた店主には、少し肩透かしだったかもしれない。
 ところがその身勝手な失望感は第3番で一気に回復する。第3番は、ニューヨークにあるジャンヌ・ダルクのモニュメントにインスパイアされたという作品。ある評では「まるでロマン派」、というような形容がされているが、こんな甘ったるい曲はロマン派でも存在しない。全編エレジー。今の時代だからこそ書けるロマン、か。進歩や未来への希望、というものを安易に信じることができない現代だからこそ書ける哀しく美しい抒情。
 だがパヴロワのすごいところは、ダサいムード音楽に堕ちることなく気品高いクラシック作品としての高い水準を常にクリアしていること。甘々系の作品を聴いてて時々感じる背筋の寒さはない。そしてすべての雰囲気をぶっ壊すようなチンドン屋みたいなブザマな楽想を持ち込むことは一切ない。南欧風の情熱的な場面はあっても、全編気高く尊い雰囲気で貫かれる。
 だからパヴロワは、ジャンヌを哀しき人生をたどった美しき殉教者としてとらえ、戦場を駆ける場面を描写したりすることはない。


 さて、さらに2007年にも最新作が登場する予定である。曲は交響曲第5番とエレジー。実は待ちきれずに発売前に聴いてしまった。そうしたら、第5番はこれまで以上にロマンティック。なにせ全5楽章のうち最初の3楽章がアダージョで開始され、続く第4楽章もラルゴ。とにかく全編切々と歌い続ける哀歓シンフォニー。第5楽章ラストは弦の絶唱で終わる。そしてそのあとの5分足らずの小品「エレジー」たるや・・・。
 このアルバムについては日本での発売日がはっきりしていないのですが、それを承知いただけるようでしたら予約のご注文お受けします。 


8.557157
\1100→\990
パヴロワ:
 交響曲 第1番「さようならロシア」*
      第3番+
コンスタンティン・D・クリメッツ指揮*
アレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮+
ロシア・フィルハーモニア管弦楽団
オリガ・ヴェデルニコワ(vn)*/レオニード・レベデフ(fl)*
ニコライ・ロタコフ(Piccolo)*/ミハイル・シェスタコフ(vn)*/
ヴァレリー・ブリル(vc)*/ミハイル・アダモヴィチ(p)*
録音: 1995年6月(第1番)、2001年12月(第3番) ロシア、モスクワ、ロシア放送スタジオ
8.557566
\1100→\990
パヴロワ:
 
交響曲 第2番「新世紀のために」(2002年改訂版)
       第4番*
ヴラディーミル・フェドセーエフ指揮
モスクワ放送チャイコフスキー交響楽団
ヤロスラフ・クラスニコフ(vn)*/ゲオルギー・ハチキャン(org)*
録音: 2003年9月 モスクワ、ロシア国営TV&ラジオ・カンパニー「Kultura」、第5スタジオ
8.557674
\1100→\990
パヴロワ:
 ヴァイオリンと弦楽オーケストラのためのモノローグ
 組曲「 オールド・ニューヨーク・ノスタルジア」(2002年改訂)
 バレエ組曲「スラミス」
ロセン・ミラノフ指揮
モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
ヤロスラフ・クラスニコフ(vn)/レオニード・マカレヴィッチ(p)/
アルシオム・グリンコ(tp)/アンドレイ・チェルニショフ(perc)/
アレクセイ・ヴォルコフ(sax)/ミハイル・ポロシン(sax)/
ゲオルギー・プレスカッチ(tp)
録音: 2004年6月、7月 モスクワ、ロシア国営TV&ラジオ・カンパニー「Kultura」、第5スタジオ


<最新新譜>

8.570369
\1100→\990
パヴロワ: 交響曲第5番
 エレジー
ミハイル・シェスタコフ(Vn)
アンドレイ・コロベイニコフ(P)
ウラディミル・ジヴァ指揮
モスクワ放送SO





アリアCD対談

ドニャ
ラスコル
 
 
ドニャ
ラスコル
 
 
 
 
ミヒン
ラスコル
 
ミヒン
ラスコル
 
 
ドニャ
ミヒン
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ミヒン
 
 
 
ラスコル
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ミヒン
ドニャ
 
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ミヒン
 
 
ラスコル 
 
 
 
 
ドニャ
ミヒン
ラスコル
 
 
 
 
 
 
 
 
 
すっかり春ですね。
というか、もう初夏という感じだよ。初春は寒かったし、かと思うとすぐに夏日になるし。なんだか過激な演奏み
たい。もう少し穏やかで情緒豊かな部分も残してほしい。
 
今回の話題は何でしょう。
そうだなあ、今回も見たことなかったレーベル・オケと取引できるようになったことが大きいかな。ANGELOK1
とかPIERIANとか、めずらしいオーケストラの自主制作盤。日本にはこれだけたくさんの輸入代理店があって、
これだけ長い輸入小売の歴史があって、それでもまだ知られていないおもしろいレーベルや演奏家がいるっ
ていうのは本当にすごいよね。さすがにもう未知のレーベルはないだろう、と思っててもどこからともなく現
れてくる。
でもたいていの場合それを見つけてくれるのはお客さんですよね。
そうそう。ありがたいことです。実は今もそんな感じで交渉してる新規レーベルが10個くらいあるよ。返事が
来ないところもあるけどさ。
アリアCDが取引を始めたことで、大手の輸入業者が交渉して取引を始めることが最近多くないですか?
そうそう。別に独占でやってるわけじゃないから、そうなったらそうなったでいいけど。逆に大手が交渉に行っ
たら、「うちはアリアさんとやってるからそれでいい」と断るところもあったりするらしい。あはは。
 
今回もお奨め盤を紹介していきましょう。
ハイドシェックのCDが復活して、ぞくぞく登場したのは嬉しかったです。
とくに第1弾の「テンペスト」は本当にすごいね。待望の待望の復活だった。
 KING KDC 5 \1800 宇和島ライヴ1 
  モーツァルト:ソナタ第12番K332、ベートーヴェン:ソナタ第17番「テンペスト」 他  ハイドシェック(P)
私のお奨めは純粋なクラシックじゃないかもしれないけど
 TRIOLIA 7427 99022 \2300 オリエンタル・バッハ!!  アンジェリカ・アクバール(P)
トルコの美人キーボード奏者アンジェリカ・アクバールがバッハをトルコ風にアレンジして民族楽器とかも入れ
てすっごくおしゃれ。今回の一番のお気に入りかな。
僕はALTUSのチェリビダッケとミュンヘン・フィルの来日公演シリーズ。第1弾のブルックナーもすごかったけ
ど、「展覧会の絵」はもう本当に飛び上がってしまいました。
 ALTUS ALT 140 ¥2290
   ムソルグスキー:「展覧会の絵」、シューマン:交響曲第4番 チェリビダッケ指揮&ミュンヘン・フィル
第3弾もあるみたいだよ・・・。採算無視のALTUS決死のシリーズらしい。
ほかで印象に残ったのはリプキンのバッハ「無伴奏」全曲。あの不思議な装丁のアルバム。
 Berlin Classics GLP0016132 (3SACD)\8690 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲 リプキン(チェロ)
やまごもりして修行して明らかにスピリチュアル系に変貌。装丁もかなりすごいけど、演奏もやっぱり神がか
り的。若手チェリストとしては一気に突き抜けた感じだね。今後は要注目。
リプキンも「Berlin Classics」という形態はとってますがほとんど自主制作ですよね?最近こういうアーティスト
の自主制作盤が多くないですか?
もうレーベルに頼る時代じゃなくなってきてるんだろうね。最近紹介した日本に関係する自主制作系アルバム
だけでも、
デムスの日本公演、
 DEMUSICA 99 ¥2290(40本限定)
  イェルク・デームス、ベヒシュタインを弾く 南会津町御蔵入交流館文化ホール デームス(P)
日本のピアノ界の重鎮 松浦豊明のライヴ録音集、
 オフィス・マツウラ TMCD001 ¥2300 シューマン作品集 松浦豊明(P)
作曲家の命日の二日前にムジークフェラインで行われた福島章恭のモーツァルト、
 BLUE LIGHTS BLCD 0909 1CD-R¥2700 モーツァルト:交響曲第40番 , レクイエム 福島章恭(指揮)
日本の代表的オルガン製作者辻 宏が死の前の年に自作のオルガンを演奏した、
 辻オルガン TOG 0005 ¥2000 辻 宏 オルガン自作自演録音集「オルガンは歌う」
などなど・・・非常に印象的なアルバムがぞくぞく現れた。
これらは「商品」というより「記念品」ですね。「鑑賞する」というより「授かる」という感じかも・・・。
もちろん聴いてもすばらしかった。松浦豊明氏の1957年のスタジオ録音がいっしょにCD-Rで手に入ったんだけど、
それなんてほんとにすさまじかった。
「記念盤」といえば、今回はぞっとするような貴重なアルバムがいくつかありました。あとで手に入らなくなる前
に必ず持っておきたいというような。
衝撃的だったのはジュリーニの引退後の「田園」コンサート。まだ聴いてないけど、これは宝物になるだろうなあ。
 OGI ¥1990 ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」 1999年2月13日 ジュリーニ指揮
それからショックだったトスカニーニのブルックナー録音、
 ANSFELDEN ANS 0127 CD-R ¥2700 ブルックナー:交響曲第7番 トスカニーニ指揮
そして同じく豪華な装丁が目を引いたスカラ座製作の
 LSB 0094072 (4CD + BOOK)¥4390 トスカニーニ/ミラノ・スカラ座録音集
これらは販売目的じゃないからすぐに市場から消えそう。
あとはVENEZIAやオクタヴィアが、昔日本のトリトンから出ていたスヴェトラーノフの晩年のオムニバス・アルバ
ムを復刻してくれたこと。
 CDVE 04269 \1500 メロディーVol.2 「哀〜Sorrow」スヴェトラーノフ指揮
VENEZIAはリヒテルの3つ目の「平均律第1巻」も復刻してくれたね。リリース内容はいきあたりばったりでハチャ
メチャだけどときどき大ファインプレーをしてくれる。
  CDVE 04272(3CD)\2300 リヒテル/平均律クラヴィア曲集第1集 他 リヒテル(P)
 
 
ほかにはなにかありますか?
HMVジャパンが売却されるという噂がありますが・・・。ショックだったですね。我々にとって古巣ですから。
昔、音楽配信事業が盛んになってもクラシック業界は直接被害はこうむらない、でもポップスの売り上げが下が
ることで大型ショップや輸入代理店の体力が落ちると、結果的にそれがめぐりめぐってクラシック業界にもしわ
寄せとして来るようになる、という話をしただろう?HMVジャパンがもしイギリス本社から切り離されて弱体化
すれば、うちにとってはライバル店が減るわけだからひょっとしたら一時的に売り上げは上がるかもしれない。し
かしHMVの弱体化は代理店やメーカーに確実に影響を与える。メディアだってそうだ。そうするとクラシック音楽
業界全体の活気や流れが弱まってくる。音楽業界というのはパイを食い合うような了見の狭い世界じゃない、お
互いを刺激しながら拡大していく、そういう世界なんだ。そういう世界ではHMVとかタワー・レコードといったメガ・
ショップはクラシック音楽業界の旗振り役として存在してもらわなきゃ困る。HMVも今のようにあんまり向こう見
ずな価格設定は困るけど、熱意と愛情を持ってこれからも業界を引っ張っていってほしい。いい買い手が現れて、
今まで以上にがんばってくれることを願ってる。タワー・レコードがそうだったように。

事務所にて



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