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すごかったらしい
シモン・トルプチェスキ
「シモン・トルプチェスキ、このピアニスト凄いです・・・」
先日、東京都交響楽団の演奏会に出かけたうちのスタッフが帰ってきて、そう言いました。
ふーん。
トルプチェスキ。
そんなすごいひとだったっけ?
と思ってネットを見てみたら――
あれ?
みんな騒いでる。
9月3日、4日。
大野和士指揮、東京都交響楽団。
シモン・トルプチェスキが弾いたのは、
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番。
実際、終演後には
「圧巻だった」
「予想をはるかに上回った」
という反応が次々に出ていました。
ある聴き手は、初めて聴くトルプチェスキについて、期待以上の「圧巻の演奏」だったと書いています。
冒頭の静かな旋律から引き込まれ、そこから超絶技巧が炸裂。
しかも技巧だけではなく、響きの純度、美しさにも魅了された、と。
もちろん、みんなが同じ感想だったわけではありません。
「テンポが速すぎる」
「もっとロマンティシズムがほしかった」
という声もありました。
でも、これも面白い。
絶賛する人もいれば、異論を唱える人もいる。
でも、とにかくみんな、このピアニストについて語っている。
それだけ強烈な何かがあったのでしょう。
これだけ大勢の人が騒ぐことはめったにありません。
***************************
で。
「トルプチェスキ・・・」
うちで特集したことあったかな、と思って調べてみました。
すると。
2010年。
アリアCDにこんな記事が。
「AVIEからラフマニノフのピアノ協奏曲2番3番(AV2192)をリリースして喝采を浴びたシモン・トルプチェスキ。
『今はまだ無名だが、そう遠くない将来人々は彼のチケットをオークションで買い求めるようになるだろう』と言われている。」
・・・・・・。
書いてました、トルプチェスキ(笑)。
16年前です。
あ、でもこれは私が書いたわけじゃなくて、どっかの評論家がそんなこと言ってる、と書いただけですが。
でも2026年のいま、そのトルプチェスキを初めて生で聴いた人たちが、
「この人、何者なんだ」
と驚いている。
うちのスタッフまで、
「このピアニスト凄いです・・・」
と言って帰ってきた。
ひょっとすると今度来るときは
彼のチケットをオークションで買い求めるようになってるかもしれない
。
ところで。
今回、東京の聴衆を驚かせた曲は何だったかというと。
そうです。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。
そこで代理店に聞きました。
「トルプチェスキのラフマニノフの3番、まだ何か入ります?」
すると――
はい。
海外から取り寄せになりますが、1か月ほどで入荷できそうです。
とのこと。
ちなみに・・・このアルバムというのが。
AVIE AV2192
ラフマニノフ:
ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18
ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30
シモン・トルプチェスキ(ピアノ)
ワシリー・ペトレンコ(指揮)
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
そう。
16年前、アリアCDが紹介していた、
まさにそのアルバムです。
これはもう、もう一度取り寄せるしかないでしょう。
ちなみにこのAVIE盤。
いま改めて調べてみると、
2010年当時の評価が、とんでもないんです。
2010年3月発売。
トルプチェスキにとってAVIEへのデビュー盤であり、初の協奏曲録音でした。
フランスのDiapason d'Or de l'Annee 2010を受賞。
BBC Music Magazineは5つ星。
Classic FMも5点満点。
Telegraphも5つ星。
BBC Music Magazineは、
トルプチェスキとペトレンコが作品全体をひとつに統合していること、
とくに第3番では、音楽を前へ押し出すところと、立ち止まって呼吸させるところの判断が見事だと高く評価。
Classic FMは、
鮮やかな技巧と自発的なロマンティシズム、
それでいて決して品位を失わない美しい音を絶賛しています。
そしてAVIE自身も、後にこの盤を
「2010年でもっとも高く評価され、よく売れたクラシック盤のひとつ」
と紹介しています。
つまり――
日本でいま突然すごいピアニストが現れたわけではないんです。
世界は、ずっと前から知っていた。
アリアCDの店主は忘れていたけど、ずっと前からすごかった。
シモン・トルプチェスキ(ピアノ)
1979年マケドニア生まれ。
2001年から2003年までBBC New Generation Artist。
2003年には英国ロイヤル・フィルハーモニック協会のYoung Artist Award。
その後はコンセルトヘボウ管、ニューヨーク・フィル、シカゴ響、ロンドン響など、世界の主要オーケストラと共演。
2011年には母国マケドニア初の「National Artist」にも選ばれています。
トルプチェスキ、
もうとっくに、世界的ピアニストだった。
ただ。
世界的ピアニストであることと、
われわれ自身が「この人すごい!」と発見することは、
まったく別の話。
今回、東京の客席では、
その「発見」があちこちで起きたのでしょう。
そして、うちのスタッフにも起きた。
その一言をきっかけに、
アリアCDの店主も16年前の自分たちの文章に再会した。
そして16年前の一枚を、
もう一度海外から取り寄せることになった。
なんだか面白いじゃないですか。
入荷まで1か月ほどかかる予定です。
AVIE
AV 2192
\3100
ラフマニノフ:
ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18
ピアノ協奏曲第3番ニ短調Op.30
シモン・トルプチェスキ(ピアノ)、
ワシリー・ペトレンコ(指揮)、
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
2009年、4月、8月
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