REGISの情報では
「Great British Sopranos/戦前の英国ソプラノ名演集」。
それだけ。
ところがブックレットを読んでみたら、これはちょっと見過ごせない一枚でした。
メアリー・ガーデン。
ドビュッシー《ペレアスとメリザンド》1902年世界初演で、メリザンドを創唱したその人。
ここには、そのガーデン自身が歌う《ペレアス》が収録されています。
しかも1904年録音。
そして、そのガーデンからメリザンド役を受け継いだのがマギー・テイト。
こちらはなんと、ドビュッシー本人から直接メリザンド役の指導を受けた歌手です。
このCDではドビュッシー、ビゼー、デュパルク、ショーソン、アーンなど、テイトのフランス歌曲を6曲収録。
つまり一枚の中で、
メリザンド初演者メアリー・ガーデン
↓
ドビュッシー直伝のマギー・テイト
という20世紀音楽史そのものがつながります。
まだあります。
1908年、コヴェント・ガーデンの英語版《指環》でブリュンヒルデを歌ったアグネス・ニコルズ。
プッチーニの大役を得意とした英国ドラマティック・ソプラノの雄、エヴァ・ターナー。
英国オラトリオ界を代表したイゾベル・ベイリーとエルシー・サダビー。
そして驚異的な超高音域を誇ったコロラトゥーラ、グウェン・キャトリー。
最後には、プッチーニ本人から《蝶々夫人》を高く評価されたというマーガレット・シェリダンの1926~27年録音まで。
録音年代は1904年から1949年。
10人の歌手、21曲、79分44秒。
これは単なる「古い英国歌手の寄せ集め」ではありません。
SP時代から戦後直後まで、英国を中心に活躍したソプラノたちの約半世紀を一枚で聴く、小さな声楽史。
そして何より面白いのは、今では名前すら滅多に見かけなくなった歌手の中に、音楽史のど真ん中にいた人が何人もいること。
REGISの在庫表を眺めているだけでは、絶対に気づかなかった一枚です。
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